JP4242662B2 - 低α線錫合金の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、α線量が低減された錫合金の製造方法に関し、特に電子部品のはんだ付けに好適な低α線錫合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電子部品のはんだ付けには錫−鉛系のはんだ材料が多く使用されている。しかし、天然の鉛中にはα線を放出する放射性核種である210Poやその親核種である210Pbが微量に含まれているため、上記のはんだ材料に含まれる鉛からもα線が生じ、このα線が半導体のメモリーエラーの原因となることがある。このようなメモリーエラーの発生を抑制するため、例えば特許文献1,2に示すような低α線鉛合金はんだ材料が種々提案されている。
【0003】
その一方、鉛合金は、毒性を有する鉛を主成分とするものであるため、環境に悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、近時は錫−銀系、錫−銅系、錫−銀−銅系などの鉛フリーのはんだ材料が種々提案されている(特許文献3,4参照)。
【0004】
通常の鉛フリーはんだは、錫を主成分とし、鉛を含まないことから、鉛合金はんだよりもα線カウント量が低くなることが期待される。ところが、錫中に不純物として鉛が含まれていると、この鉛からα線が放出されるため、たとえ鉛フリーの錫合金であってもα線量の低減効果は必ずしも十分ではない。特に、近年は、電子部品の高密度・高容量化が進展するのに伴い、メモリーエラーを極限まで低減する必要性が生じており、はんだ材料のα線量をより一層低減させることが要望されている。
【0005】
このため、α線量を低減させた錫およびその製造法が種々提案されている。すなわち、下記特許文献5には、高純度の濃硫酸を用いた硫酸電解液中で錫を陽極に用いて電気分解を行うことにより、α線量を0.03cph/cm2以下にまで低減した錫が記載されている(「cph/cm2」は、1cm2、1時間あたりにカウントされるα線量をいう。以下同じ。)。しかし、このような方法で得られる低α線錫は高価であるため、はんだの製造コストも高くなるという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−250485号公報
【特許文献2】
特開平6−182580号公報
【特許文献3】
特開平7−88680号公報
【特許文献4】
特開平8−215880号公報
【特許文献5】
特開平1−283398号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、α線量が低減され、各種電子部品のはんだ付け材料などに好適な錫合金を簡単にかつ安価に製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる低α線錫合金の製造方法は、不純物として鉛を含む錫粉末と、鉛よりもイオン化傾向が小さい金属の塩または錯体とを含有する組成物を加熱し、析出した錫合金を溶剤で洗浄することを特徴とする。
【0009】
かかる本発明では、イオン化傾向の差を利用した置換反応によって錫のα線量を低減している。すなわち、上記組成物を加熱することにより、前記金属の塩または錯体から解離した金属イオンと錫との間で置換反応が生じるが、これと同時に錫中に不純物として含まれる鉛との間でもイオン化傾向の差により置換反応が生じ、錫中に含まれる鉛がイオン化し、錫から流出する。これにより、錫中の鉛含有量が低減される。一方、前記置換反応により前記イオン化傾向が小さい金属は錫と合金を形成して析出する。この析出物を溶剤などで洗浄することにより、α線量が低減された低α線錫合金が得られる。
【0010】
上記の低α線錫合金の製造方法は、特に錫−銀系、錫−銅系、錫−銀−銅系などの鉛フリーのはんだを形成する際に好適に使用できる。したがって、本発明では、前記イオン化傾向が小さい金属が、銀および/または銅であるのが好ましい。これにより、特に電子部品のはんだ材料に好適な錫−銀系、錫−銅系または錫−銀−銅系の低α線錫合金が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態にかかる低α線錫合金の製造方法について詳細に説明する。本発明の製造方法は、不純物として鉛を含む錫粉末と、例えば銀、銅などのような鉛よりもイオン化傾向が小さい金属の塩および/または錯体とを含有する組成物を加熱し、析出した錫合金を溶剤で洗浄するものである。
【0012】
不純物として鉛を含む錫粉末には、いわゆる不可避不純物として鉛を含む錫粉末の他、精錬によって鉛が充分に除去されていない粗錫粉末をも含む。一般には、α線量が0.1cph/cm2以上の錫が使用可能である。
【0013】
本発明において、錫粉末というときは、金属錫粉末の他、例えば銀を含有する錫−銀系の錫合金粉末や銅を含有する錫−銅系の錫合金粉末なども含むものとする。
【0014】
前記金属の塩としては、有機カルボン酸塩、有機スルホン酸塩などが挙げられる。有機カルボン酸としては、炭素数1〜40のモノまたはジカルボン酸を使用することができる。これを例示すると、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの低級脂肪酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などの動植物油脂から得られる脂肪酸、2,2−ジメチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、2,2−ジメチルオクタン酸、n−ウンデカン酸などの有機合成反応から得られる各種合成酸、ピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸などの樹脂酸、石油から得られるナフテン酸などのモノカルボン酸とトール油脂肪酸または大豆脂肪酸から合成して得られるダイマー酸、ロジンを二量化させた重合ロジンなどのジカルボン酸などであり、これらを二種以上含むものでもよい。
【0015】
また有機スルホン酸としては、メタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、アニソールスルホン酸、又はナフタレンスルホン酸などがあげられ、これらを二種以上含むものでもよい。
【0016】
また、本発明では、金属の塩に代えて、あるいは金属の塩と共に、金属の錯体を組成物中に配合することもできる。例えば、銀や銅の錯体としては、銀イオンおよび/または銅イオンと、アリールホスフィン類、アルキルホスフィン類およびアゾール類から選ばれる少なくとも一種との錯体が挙げられる。
【0017】
上記ホスフィン類としては、例えば下記一般式(1)で表される化合物が適当である。
【化1】
(式(1)においてR1、R2およびR3は、それぞれ置換若しくは非置換アリール基、炭素数1〜8の置換若しくは非置換の鎖状若しくは環状アルキル基を表し、前記アリール基の水素は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアルコキシ基、水酸基、アミノ基またはハロゲンで任意の位置が置換されていてもよく、前記アルキル基の水素は炭素数1〜8のアルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基またはハロゲンで任意の位置が置換されていてもよく、R1、R2およびR3は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0018】
具体的には、ホスフィン類としては、トリフェニルホスフィン、トリ(o−、m−又はp−トリル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン等のアリールホスフィン類、またはトリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン、トリベンジルホスフィン等のアルキルホスフィン類が好適に用いられる。これらの中でも、トリフェニルホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンが特に好適に用いられ、トリフェニルホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィンが最も好適に用いられる。
【0020】
アリールホスフィン類またはアルキルホスフィン類との錯体は、カチオン性であるので、カウンターアニオンが必要である。このカウンターアニオンとしては、有機スルホン酸イオン、有機カルボン酸イオン、ハロゲンイオン、硝酸イオンまたは硫酸イオンが適当である。これらは、単独であるいは二種以上を併用して使用することができる。
【0021】
カウンターアニオンとして使用される有機スルホン酸としては、例えばメタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、アニソールスルホン酸、又はナフタレンスルホン酸などが好適に用いられ、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸などが特に好適である。
【0022】
また、前記カウンターアニオンとして使用される有機カルボン酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、オクタン酸等のモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等のジカルボン酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、パーフルオロプロピオン酸等のハロゲン置換カルボン酸が適当に用いられる。中でも、ギ酸、酢酸、シュウ酸、乳酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸又はパーフルオロプロピオン酸が好適であり、酢酸、乳酸、トリフルオロ酢酸が特に好適に用いられる。
【0023】
前記アゾール類としては、例えばテトラゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、インダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ピロール、インドール又はこれらの誘導体の一種又は二種以上の混合物を使用することができる。
【0024】
これらの中でも、テトラゾール、5−メルカプト−1−フェニルテトラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−オクチルベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メチルチオベンズイミダゾール、ピラゾール、インダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メチルチオベンゾチアゾールイソオキサゾール、アントラニル、ベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ピロール、4,5,6,7−テトラヒドロインドール、インドールなどが好適である。
とりわけ、5−メルカプト−1−フェニルテトラゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−オクチルベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールなどが特に好適に用いられる。
【0025】
前記組成物中の前記錫粉末と、前記金属の塩または錯体との比率(錫粉末の重量:金属の塩または錯体の重量)は、99:1〜50:50程度、好ましくは97:3〜60:40程度とするのがよい。なお、本発明では、金属の塩よりも金属の錯体を使用するのが好ましい。
【0026】
前記組成物中には、上記成分以外にフラックス成分や溶剤を混合することもできる。フラックス成分としては、通常、錫−銀系や錫−銅系のはんだ材料に使用されるものを用いることができ、溶剤としては組成物中の他の成分を溶解し、粘度や濃度を調整することができるものであれば、特に限定されるものではない。
【0027】
本発明にかかる錫合金をはんだ付けに利用する場合には、上記した組成物を、はんだを形成しようとする回路基板上にスクリーン印刷などにより塗布し、所定の温度で加熱して錫合金を析出させればよい。すなわち、加熱により生成する錫合金は、回路基板における導体パターンを構成する銅との濡れ性が高いため、この導体パターンの表面に選択的に付着してはんだが形成される。特に、前記錯体を使用する場合には、導体パターンの表面への選択性が向上する傾向にある。したがって、加熱後、回路基板を冷却して溶剤などで残ったペーストを洗い流すことにより、鉛を除去することができる。
【0028】
加熱温度は、錫中に不純物として含まれる鉛と、前記金属とが置換反応する温度であれば特に限定されないが、電子部品の耐熱性なども考慮に入れると、180〜270℃程度、好ましくは220〜260℃程度とするのがよい。
【0029】
加熱時間は、組成物の組成や回路基板上に形成されるはんだに要求されるα線量に応じて適宜決定すればよく、通常、30秒〜10分程度、好ましくは1分〜5分程度とされる。加熱時間が30秒未満になると、鉛と金属との置換反応が十分に進行しないおそれがある。一方、加熱時間が10分を超えると、過度の熱履歴によって部品などに悪影響を与える恐れがある。
【0030】
本発明の製造方法を適用した具体例(1)〜(3)を以下に示す。すなわち、下記組成物(出発原料)を上記条件で加熱することにより、例えば下記最終合金組成の低α線錫合金がそれぞれ得られる。なお、具体例(1)〜(3)の数値は重量%を表す。
【0031】
なお、上記の実施形態では金属として銀や銅を使用した場合について説明したが、本発明では、前記金属としては鉛よりもイオン化傾向が小さいもの、例えばAu、Bi、Ptなども使用可能である。
【0032】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
実施例1〜2では、次の物質を銀塩または銅塩として使用した。なお、末尾の括弧内の数値は、化合物中の銀または銅の含有率(重量%)である。
銀塩a:C7H15COOAg (42重量%)
銅塩b:(C7H15COO)2Cu (18重量%)
【0034】
実施例1
フラスコ中に表1に示す所定量の錫粉末、銀塩aおよびフラックスを仕込み、これをマントルヒーターで加熱して250℃まで昇温し、250℃で3分間保持した。ついで、フラスコの温度を下げてフラックスを取り出し、フラスコ中の金属をトルエンで洗浄した。ついで、フラスコ中にグリセリンを入れて再度加熱した。ついで、フラスコの温度を下げて金属を取りだし、この金属を4cm×4cm×厚さ5mm程度にたたき伸ばして試験体を得た。得られた試験体の組成を表2に示す。試験体組成の測定は、試験体の一部を王水に溶解させて得られた溶液を高周波プラズマ発光分光分析(ICP)することにより行った。
また、実施例1で使用したフラックスの組成を以下に示す。
(フラックス組成)
ハリマ化成社製不均化ロジン「G100F」 10重量%
理化ハーキュレス社製水添ロジン「フォーラルAXE」 10重量%
ハリマ化成社製ホルミル化ロジン「FG-90」 50重量%
ヘキシカルビトール 30重量%
【0035】
<α線量の測定>
得られた試験体のα線量を、下記のアルファカウント測定装置を用いて下記条件で測定した。結果を表2に示す。
測定装置:ZnS−451F型(アロカ社製)
試料面積:9.5〜11.4cm2
計数時間:48時間
計数効率:85%
【0036】
実施例2
フラスコ中に表1に示す所定量の錫粉末および銅塩bを仕込んだ他は、実施例1と同様にして試験体を得、α線量を測定した。得られた試験体の組成およびα線量を表2に示す。
【0037】
実施例3〜4では、次の物質を銀錯体または銅錯体として使用した。なお、末尾の括弧内の数値は、化合物中の銀または銅の含有率(重量%)である。
銀錯体A:[Ag{P(C6H5)3}4]+CH3SO3 - (8重量%)
銅錯体D:[Cu{P(C6H5)3}3]+CH3SO3 - (6重量%)
【0038】
実施例3
フラスコ中に表1に示す所定量の錫粉末および銀錯体Aを仕込んだ他は、実施例1と同様にして試験体を得、α線量を測定した。得られた試験体の組成およびα線量を表2に示す。
【0039】
実施例4
フラスコ中に表1に示す所定量の錫粉末および銅錯体Dを仕込んだ他は、実施例1と同様にして試験体を得、α線量を測定した。得られた試験体の組成およびα線量を表2に示す。
【0040】
比較例
フラスコ中に表1に示す所定量の錫粉末およびフラックスを仕込んだ他は、実施例1と同様にして試験体を得、α線量を測定した。得られた試験体の組成およびα線量を表2に示す。また、比較例で使用したフラックスの組成を以下に示す。
(フラックス組成)
ハリマ化成社製不均化ロジン「G100F」 10重量%
理化ハーキュレス社製水添ロジン「フォーラルAXE」 10重量%
ハリマ化成社製ホルミル化ロジン「FG-90」 50重量%
トリエタノールアミン(TEA) 10重量%
ヘキシカルビトール 20重量%
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
表2から明らかなように、錫粉末に、銀塩または銅塩を加えた実施例1,2、銀錯体または銅錯体を加えた実施例3,4は、比較例と比べてα線量が著しく低減していることがわかる。
【0044】
実施例5〜10
実施例5〜10では、次の物質を銀の錯体または銅の錯体として使用した。なお、末尾の括弧内の数値は、化合物中の銀または銅の含有率(重量%)である。
錯体A:[Ag{P(C6H5)3}4]+CH3SO3 - ( 8重量%)
錯体B:[Ag{P(C3H6OH)3}4]+CH3SO3 - (10重量%)
錯体C:[Ag]+C2H2N3S- (50重量%)
錯体D:[Cu{P(C6H5)3}3]+CH3SO3 - ( 6重量%)
錯体E:[Cu{P(C3H6OH)3}3]+CH3SO3 - ( 7重量%)
錯体F:[Cu]+C2H2N3S- (35重量%)
【0045】
フラスコ中に表3に示す錫粉末、フラックス、および銀の錯体または銅の錯体を同表に示す比率で仕込んだ他は、実施例1と同様にして試験体を得、α線量を測定した。実施例5〜10で使用したフラックスの組成を以下に示す。このフラックスは下記の各物質を混合して120℃に加熱熔融させ、室温に冷却することにより調製した。実施例1と同様にしてα線量を測定した結果、実施例5〜10の試験体は、実施例3,4と同程度までα線量が低減されていることが確認された。
(フラックス組成)
WW級トールロジン 70重量%
ヘキシルカルビトール 25重量%
水素添加ひまし油 5重量%
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、錫合金製造過程で鉛を除去することができるので、出発原料には鉛を不純物として含む錫粉末も使用可能であり、このため鉛に由来するα線量が低減された錫合金を簡単にかつ安価に製造することができる。そして、この錫合金をはんだ材料に適用する場合には、半導体などのメモリーエラーを抑制し、電子部品の信頼性を向上させることができるという効果がある。
Claims (2)
- 不純物として鉛を含む錫粉末と、鉛よりもイオン化傾向が小さい金属の塩または錯体とを含有する組成物を加熱し、析出した錫合金を溶剤で洗浄することを特徴とする低α線錫合金の製造方法。
- 前記イオン化傾向が小さい金属が、銀および/または銅である請求項1記載の低α線錫合金の製造方法。
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