JP4242599B2 - 窒化物半導体装置の製造方法及び窒化物半導体基板の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体装置の製造方法及び窒化物半導体基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、III-V族窒化物からなる発光ダイオード装置、半導体レーザ装置及び高速トランジスタ装置等の半導体装置の製造方法並びにIII-V族窒化物からなる半導体基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)及び窒化アルミニウム(AlN)等のIII-V族窒化物半導体は、発光ダイオード装置や半導体レーザ装置等の発光デバイス及び高温動作可能な高速トランジスタ等の電子デバイスを構成する材料として好適である。
【0003】
このようなIII-V族窒化物半導体を含む窒化物半導体装置の製造方法において、窒化物半導体からなる基板上にホモエピタキシャル成長により窒化物半導体を成長してデバイス構造を形成することが望ましいが、良質な窒化物半導体からなる基板を得ることが困難であるため、近年、サファイア基板の上に窒化物半導体をヘテロエピタキシャル成長することによりデバイス構造を形成した後、形成したデバイス構造における母材基板との界面にレーザ光を照射して窒化物半導体を熱分解することによりデバイス構造を母材基板から分離する方法が検討されている。
【0004】
例えば特開2000−252224号公報には、母材基板上に形成された窒化物半導体からなるデバイス構造を、レーザ光を照射することにより母材基板から分離して安価で加工が容易なシリコン等からなる支持基板に移し換える方法が示されている。
【0005】
以下、第1の従来例として、母材基板の上に形成された窒化物半導体層を支持基板に移し換える方法について図面を参照しながら説明する。
【0006】
図6(a)〜図6(e)は、従来例に係る窒化物半導体層の移し換え方法を示している。
【0007】
まず、図6(a)に示すように、主面の面方位が(0001)であるサファイア基板101の上にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によりGaNからなる窒化物半導体層102を形成する。
【0008】
次に、図6(b)に示すように、窒化物半導体層102の上にエポキシ樹脂等の接着層103を介してシリコンからなる支持基板104を貼り合わせる。
【0009】
次に、図6(c)に示すように、サファイア基板101における主面と反対側の面(裏面)側から、例えばNd−YAGレーザの3次以上の高調波光又はKrF(フッ化クリプトン)−エキシマレーザ光等のレーザ光105を照射する。これにより、レーザ光105はサファイアを透過し、GaNに吸収されるため、窒化物半導体層102のサファイア基板101との界面においてGaNが分解されることにより、窒素が気体となって窒化物半導体層102から分離し、主に金属ガリウムからなる分解領域102aが生じる。これにより、サファイア基板101と窒化物半導体層102との間の結晶結合が切断される。
【0010】
次に、図6(d)に示すように、レーザ光105を走査してサファイア基板101の全面に照射することにより、分解領域102aが窒化物半導体層102におけるサファイア基板101との界面の全面に形成される。
【0011】
次に、図6(e)に示すように、塩酸等の酸を用いて分解領域102aの金属ガリウムを除去することにより、窒化物半導体層102をサファイア基板101から分離し、窒化物半導体層102を支持基板104に移し換えることを可能としている。
【0012】
第1の従来例によると、サファイア基板101が除去されるため、支持基板104上に接着層103を介して窒化物半導体層102を形成することできる。なお、ここでは窒化物半導体層102のみを形成しているが、図6(a)に示す工程の後に、窒化物半導体層102の上に他の窒化物半導体層を順次成長して所望のデバイス構造を形成した後、同様の工程により、サファイア基板101から支持基板104にデバイス構造を移し換えて窒化物半導体装置とすることが可能である。
【0013】
また、第1の従来例と同様のレーザ光照射工程を用いて窒化物半導体基板を形成する方法も検討されている。第2の従来例として、Japanese Journal of Applied Phisics 第38巻 L217〜L219 頁に記載された論文には、サファイア基板上に厚さが200μm〜300μmのGaNからなる窒化物半導体層を成長した後、レーザ光をサファイア基板の裏面側から照射することにより、窒化物半導体層をサファイア基板から分離してGaNからなる窒化物半導体基板を得る方法が示されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記第1の従来例によると、図6(a)に示す工程の後、結晶成長時の温度から室温にまで冷却される過程において、サファイア基板101との熱膨張係数の違いから窒化物半導体層102に応力が発生して反りやひずみの原因となる。特に窒化物半導体層102の厚さが100μmよりも大きいと窒化物半導体層102にクラックが発生する。
【0015】
同様に、第1の従来例を用いて窒化物半導体装置を形成する場合、積層されたデバイス構造の厚さが100μmよりも大きいとデバイス構造にクラックが発生し、窒化物半導体装置の歩留まりが著しく低下する。このため、第1の従来例の方法では形成される窒化物半導体層の厚さに制限があるので、例えば半導体レーザではクラッド層として窒化物半導体層を厚く積層する必要があるが、クラッド層として光閉じ込めに十分な効果を得られない等の問題が生じる。また、デバイス構造の厚さが100μmよりも小さい場合であっても、例えば他の半導体層を形成した後に生じる反りやエッチングされた部分の凹凸の影響により、支持基板104が均一に貼り合わされない場合も多く、窒化物半導体装置の歩留まりが悪い。
【0016】
そこで、第1の従来例において窒化物半導体層102を5μm程度に薄く形成し、該窒化物半導体層102を下地層として利用することが望ましい。しかし、前記第1の従来例の方法により形成された窒化物半導体層102は、以下の理由で下地層として用いることができない。
【0017】
即ち、サファイア基板101上に結晶成長により形成された窒化物半導体層102は、サファイア基板101の面方位と一致するように(0001)面を主面として形成されるが、このとき、サファイア基板101側の界面側がV族原子の配列した面となり、主面側にIII 族原子が配列する。ここで、窒化物半導体層102を下地層として他の窒化物半導体層を結晶成長しようとする場合、III 族原子の配列した面の上に成長することが好ましく、V族原子の配列した面の上では結晶性が悪化しやすい傾向がある。従って、第1の従来例によって得られた支持基板104上の窒化物半導体層102において、露出した面はV族原子の配列した面であるため、結晶性良く窒化物半導体層を成長することはできない。また、窒化物半導体層102の主面であるIII 族原子の配列した面の上は、接着層103と支持基板104とによって覆われているため、他の半導体層を結晶成長するための下地として用いることができない。
【0018】
このように、第1の従来例では、下地層として利用可能な窒化物半導体層を得ることができないという課題を有している。
【0019】
また、前記第2の従来例において、窒化物半導体層の貫通欠陥密度が1×108 cm-2以下であると、サファイア基板との熱膨張係数差や格子定数差による歪みが緩和できず、窒化物半導体層の厚さを100μm以上にするとクラックが生じてしまう。そこで、窒化物半導体層の厚さを100μm以上にする場合には、バッファ層等を用いて貫通欠陥密度が1×109 cm-2以上とする必要があり、結晶性が良くない。また、厚さが100μm以下であれば、選択成長等の手法を用いて貫通欠陥密度を1×108 cm-2以下とすることができるが、この場合には機械的強度が不十分であり、基板としての実用性に乏しい。このように、第2の従来例によると、低欠陥で結晶性の良い窒化物半導体基板を得ることができないという問題を有している。
【0020】
本発明は、前記従来の問題を解決し、母材基板上にクラック等の欠陥が少なく窒化物半導体層を形成すると共に、形成された窒化物半導体層を下地層又は基板として利用できるようにすること目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明は、母材基板上の窒化物半導体層に保持層を形成する構成とする。
【0022】
具体的に、本発明に係る窒化物半導体装置の製造方法は、母材基板の上に窒化物半導体層を形成する第1の工程と、窒化物半導体層の上に該窒化物半導体層を保持する保持層を形成する第2の工程と、窒化物半導体層における母材基板との界面に照射光を照射する第3の工程と、保持層を除去する第4の工程とを備えている。
【0023】
本発明の窒化物半導体装置の製造方法によると、保持層を形成した後に照射光を照射するため、クラックを生じさせることなく母材基板と窒化物半導体層との結晶結合を切断することできる。さらに、保持層を除去することにより、窒化物半導体層におけるIII 族原子の配列する面を露出することができる。これにより、窒化物半導体層の上に結晶欠陥の少ない半導体層をさらに結晶成長することができ、窒化物半導体層をデバイス構造を形成するための下地層として用いることが可能となる。
【0024】
本発明の窒化物半導体装置の製造方法は、第4の工程よりも後に、窒化物半導体層の上に所定のデバイス構造を形成する第5の工程をさらに備えていることが好ましい。このようにすると、第3の工程によって母材基板と窒化物半導体層との結晶結合を切断した後にデバイス構造を形成するため、熱膨張係数差によって生じる応力を小することができ、デバイス構造の厚さ寸法を大きくしても温度変化に伴ってデバイス構造にクラックが発生することがなく、また反りやひずみ等の欠陥も生じにくい。
【0025】
本発明の窒化物半導体装置の製造方法は、第5の工程よりも後に、デバイス構造の上に支持基板を貼り合わせた後、窒化物半導体層から母材基板を分離する工程をさらに備えていることが好ましい。このようにすると、デバイス構造に反りやひずみが生じていないため、母材基板とほぼ同面積の領域において、母材基板から分離され且つ支持基板上にデバイス構造が形成された窒化物半導体装置を得ることができ、クラック等の欠陥が少ない窒化物半導体装置を歩留まり良く得ることができる。
【0026】
本発明の窒化物半導体装置の製造方法において、第3の工程における照射光のエネルギーは、母材基板のバンドギャップよりも小さく且つ窒化物半導体層のバンドギャップよりも大きいことが好ましい。このようにすると、母材基板と窒化物半導体層との結晶結合を確実に切断することができる。
【0027】
本発明の窒化物半導体装置の製造方法において、第2の工程は、窒化物半導体層の上に流動性を有する保持層形成材料を塗布する工程と、塗布された保持層形成材料を硬化する工程とを含むことが好ましい。このようにすると、保持層形成材料が流動性の材料であるため、窒化物半導体層上の全面に均一に形成することができる。しかも、保持層の形成にスピンコート法を用いることができるため、特別な装置を必要とせずコストの上昇を招くことがない。
【0028】
本発明の窒化物半導体装置の製造方法において、保持層形成材料は光の照射により硬化することが好ましい。このようにすると、第3の工程における照射光の照射によって保持層がさらに硬化されるため、第3の工程において窒化物半導体層にクラックが発生することを確実に防止することができる。
【0029】
本発明の窒化物半導体装置の製造方法において、保持層形成材料はレジスト材料であることが好ましい。このようにすると、窒化物半導体層の特性に影響を与えることなく第2の工程における保持層の形成と第4の工程における保持層の除去とを実施することができる。
【0030】
本発明の窒化物半導体装置の製造方法において、保持層はネガ型レジストであることが好ましい。このようにすると、第3の工程において窒化物半導体層にクラックが発生することを確実に防止することができるのに加えて、窒化物半導体層の特性に影響を与えることなく第2の工程における保持層の形成と第4の工程における保持層の除去とを実施することができる。
【0031】
本発明の窒化物半導体装置の製造方法において、窒化物半導体層は、厚さが100μm以下であることが好ましい。このようにすると、窒化物半導体層をクラックなく形成することが確実となる。
【0032】
本発明に係る窒化物半導体基板の製造方法は、母材基板上に第1の窒化物半導体層を形成する第1の工程と、第1の窒化物半導体層の上に該第1の窒化物半導体層を保持する保持層を形成する第2の工程と、第1の窒化物半導体層における母材基板との界面に照射光を照射する第3の工程と、保持層を除去する第4の工程とを備えている。
【0033】
本発明の窒化物半導体基板の製造方法によると、保持層を形成した後に照射光を照射するため、クラックを生じさせることなく母材基板と窒化物半導体層との結晶結合を切断することできる。さらに、保持層を除去することにより窒化物半導体層の結晶成長面を露出することができるため、母材基板上に形成された窒化物半導体層を窒化物半導体基板として用いることができる。これらにより、クラック等の欠陥が少ない窒化物半導体基板を大面積に得ることができる。
【0034】
本発明の窒化物半導体基板の製造方法は、第4の工程よりも後に、第1の窒化物半導体層の上に第2の窒化物半導体層を形成する工程をさらに備えていることが好ましい。このようにすると、窒化物半導体層における第4の工程の後に露出した面はIII 族原子の配列した面であるため、結晶欠陥を少なく半導体層を形成することができる。これにより、窒化物半導体層と半導体層とによって窒化物半導体基板を形成されるため、半導体層を厚くすることにより十分な強度を有する窒化物半導体基板を形成することができる。
【0035】
本発明の窒化物半導体基板の製造方法において、第2の工程は、第1の窒化物半導体層の上に流動性を有する保持層形成材料を塗布する工程と、塗布された保持層形成材料を硬化する工程とを含むことが好ましい。このようにすると、保持層形成材料を第1の窒化物半導体層上の全面に均一に形成することができると共に、保持層の形成にスピンコート法を用いることによりコストの上昇を招くことがない。
【0036】
本発明の窒化物半導体基板の製造方法において、保持層形成材料は光の照射により硬化することが好ましい。このようにすると、第3の工程における照射光の照射によって保持層がさらに硬化され、第1の窒化物半導体層にクラックが発生することを確実に防止することができる。
【0037】
本発明の窒化物半導体基板の製造方法において、保持層形成材料はレジスト材料であることが好ましい。第1の窒化物半導体層の特性に影響を与えることなく保持層の形成と除去とを実施することができる。
【0038】
本発明の窒化物半導体基板の製造方法において、保持層形成材料はネガ型レジスト材料であることが好ましい。このようにすると、第3の工程において第1の窒化物半導体層にクラックが発生することを確実に防止することができるのに加えて、窒化物半導体層の特性に影響を与えることなく保持層の形成と除去とを実施することができる。
【0039】
本発明の窒化物半導体基板の製造方法において、第1の窒化物半導体層は、100μm以下であることが好ましい。このようにすると、第1の窒化物半導体層をクラックを生じることなく確実に形成することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0041】
図1〜図4は、本実施形態の窒化物半導体装置の製造方法についての工程順の断面構成を示している。
【0042】
まず、図1(a)に示すように、サファイアからなる母材基板11の上に、有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により、III 族源であるトリメチルガリウム(TMG)と、V族源であるアンモニアとを供給し、基板温度が約1000℃の条件で窒化ガリウム(GaN)からなる厚さが約5μmの窒化物半導体層12を形成する。
【0043】
母材基板11は直径が約5.1cm(約2インチ)で厚さが約330μm、主面の面方位を(0001)面として鏡面に仕上げられ、主面の反対側の面である裏面は粗面に仕上げられている。このとき、窒化物半導体層12は、母材基板11と面方位が一致するように、主面の面方位を(0001)面として形成される。ここで、MOCVD法において、まず母材基板11の主面には窒素原子が配列し、その上にガリウム原子が配列されるため、形成された窒化物半導体層12は裏面側が窒素原子の配列したV族面となり、主面側がガリウム原子の配列したIII 族面となる。
【0044】
なお、母材基板11に対する窒化ガリウムの核(成長核)の形成密度を増加するために、基板温度を約500℃として結晶成長することによりGaNからなる低温バッファ層を形成した後に基板温度を約1000℃として窒化物半導体層12を形成してもよい。また、母材基板11をアンモニア等を用いて窒化処理することにより核の形成密度を増加することもできる。勿論、これら2つの方法を組み合わせて行うことも可能である。
【0045】
また、窒化物半導体層12の厚さは約5μmに限られず、100μm以下であればクラックを発生させることなく窒化物半導体層12を形成することができる。窒化物半導体層12の厚さが100μmより大きいと、結晶成長時の温度から室温にまで冷却される過程において、母材基板11との熱膨張係数差によって生じる応力が大きくなり、クラックや割れ等の欠陥が生じやすくなる。
【0046】
次に、図1(b)に示すように、窒化物半導体層12の上に、スピンコート法により、保持層形成材料として粘度が約1000cPのネガ型レジスト材料を用い、回転速度が約600rpmの条件で塗布した後、約100℃でベーキングを行ってネガ型レジスト材料を硬化することにより、厚さが約30μmの保持層13を形成する。ここで、保持層13を形成するための保持層形成材料として通常のフォトリソグラフィ工程に用いられるネガ型レジスト材料を用いている。
【0047】
保持層13は、その厚さが30μm以下であると、後の工程において窒化物半導体層12を十分に保持することができず、窒化物半導体層12にクラックや割れ等の欠陥が生じやすくなる。このためのスピンコートの条件は、回転速度を100rpm以上とし、保持層13の形成に用いるネガ型レジスト材料の粘度を150cP以上とする。回転速度が100rpm以下であると、保持層13を均一に塗布することができず、また、ネガ型レジスト材料の粘度が150cP以下であると保持層13の厚さを十分に確保できない。
【0048】
保持層13を形成する保持層形成材料をネガ型レジスト材料とすることにより、通常のフォトリソグラフ工程におけるスピンコート法を用いて塗布することができるため、窒化物半導体層12に反りや凹凸が生じている場合であっても保持層13を密着性よく均一に形成することができると共に、保持層13を形成するために特別な装置を必要とせず、コストの上昇を招くことがない。また、レジスト材料は、例えばナトリウム等の窒化物半導体層12を汚染する物質の含有量が少ないため、窒化物半導体層12の特性を損なうことなく保持層13を形成することができる。
【0049】
また、本実施形態では、保持層13を形成する保持層形成材料をネガ型レジスト材料とすることにより、後の工程においてレーザ光を照射して窒化物半導体層12を分解する過程において、レーザ光によって保持層13がさらに硬化されるため、窒化物半導体層12は保持層13によってより強固に保持されるので、分解領域12a形成時におけるクラックの発生を確実に防止することができる。勿論、保持層形成材料を、ネガ型レジスト材料に変えて、光を照射することによって硬化する感光性樹脂等の材料を用いて同様の効果を得られる。
【0050】
なお、保持層13を形成する材料は、ネガ型レジスト材料に限られず、流動性の材料であって硬化させることが可能な材料であればよい。また、例えばナトリウム等の窒化物半導体層12を汚染する物質の含有量が少ない材料であることがより好ましい。
【0051】
例えば、保持層13を形成する材料をポジ型レジスト材料とした場合には、熱処理の時間を長くするなどにより十分に保持層13を硬化することにより、後の工程においてレーザ光を照射しても保持層13が分解されて窒化物半導体層12を保持する機能がなくなることがない。
【0052】
また、熱硬化性の樹脂、紫外線硬化性の樹脂、空気と接することで硬化する樹脂又は2つの薬剤を混合した後に所定時間で硬化する樹脂等を用いることも可能であり、この場合には、感光性材料に換えてこれらの樹脂をそれぞれスピンコート法により塗布した後、加熱、紫外線照射、所定時間空気中で保持する等それぞれの樹脂に適した硬化を行うことにより保持層13を形成することができる。
【0053】
また、室温では固体であって高温で液化する材料、例えばインジウム及び錫等の金属、並びにインジウム及び錫等の金属を含む合金等を用いることも可能であり、この場合にはこれらの材料の融点以上の温度とすることにより液化し、窒化物半導体層12を加熱した状態で塗布を実施し、室温にまで低下させることにより固化して保持層13を形成してもよい。
【0054】
次に、図1(c)に示すように、母材基板11の主面と反対側の面(裏面)側からレーザ光14を照射する。レーザ光14には、波長が約355nmのNd(ネオジウム)−YAG(イットリウム、アルミニウム、ガーネット)レーザの3次以上の高調波光を用い、窒化物半導体層12の位置において、光密度が0.2J/cm2〜2J/cm2の間の値となるように直径が約2mmの円形状に集光し、パルス幅を5ns、パルス周期を10Hzとして照射する。ここで、レーザ光14のエネルギーは、サファイアのバンドギャップである8.7eVよりも小さく、且つGaNのバンドギャップである3.4eVよりも大きいため、母材基板11を透過して窒化物半導体層12における母材基板11との界面に到達して窒化物半導体層12に吸収される。
【0055】
レーザ光14の照射により、窒化物半導体層12における母材基板11との界面が加熱され、窒化物半導体層12の窒化ガリウムが窒素分子と金属ガリウムとに分解される。これにより、窒素分子は気体となって窒化物半導体層12から分離されるため、窒化物半導体層12におけるレーザ光14の照射された領域は主に金属ガリウムからなる分解領域12aとなる。
【0056】
ここで、レーザ光14の光密度が0.2J/cm2 より小さい値であると窒化物半導体層12は分解されず、また2J/cm2 より大きい値であると母材基板11までもが分解又は融解して母材基板11と窒化物半導体層12とを分離することが困難となる。
【0057】
なお、本実施形態では分解領域12aを形成するための照射光として、エネルギーが大きく且つ集光や光軸制御が容易なレーザ光14を用いているが、母材基板11を透過し且つ窒化物半導体層12を分解するエネルギーを有する光であればよい。
【0058】
次に、図1(d)に示すように、レーザ光14を円形状の母材基板11における円周方向に沿って外周部から内側に走査して窒化物半導体層12の全面に照射することにより、窒化物半導体層12における母材基板11との界面の全領域に分解領域12aを形成する。レーザ光14の走査は、パルス波として照射されるレーザ光14の隣り合うスポット同士が互いに約1.5mm幅の重なりを持つように行う。
【0059】
ここで、レーザ光14の照射領域において窒化物半導体層12が加熱されることにより、母材基板11と窒化物半導体層12との間の熱膨張係数差によって応力が発生するが、窒化物半導体層12は保持層13によって均一に且つ密着して保持されているため、全面にレーザ光14を照射しても窒化物半導体層12にクラックが生じることはない。
【0060】
分解領域12aの形成に伴い、母材基板11と窒化物半導体層12との間の結晶結合が切断され、窒化物半導体層12は分解領域12aを介して母材基板11の上に付着された状態となる。
【0061】
ここで、母材基板11と結晶結合により結合されている場合の結合力と比べ、窒化物半導体層12と分解領域12aとの結合力は弱いため、窒化物半導体層12において下層である分解領域12aとの間に温度変化に伴って生じる応力は小さくなる。特に、金属ガリウムは融点が約25℃であり室温では液体であるか又は固体であっても非常に軟らかい金属であるため、窒化物半導体層12は熱による寸法変化によって応力はほとんど生じない。
【0062】
次に、図2(a)に示すように、有機溶剤を用いて保持層13を除去する。ここで、金属ガリウムは有機溶剤によって溶解されないので、窒化物半導体層12は分解領域12aを介して母材基板11に付着された状態を維持することができる。ここで、保持層13はレジスト材料かならるため除去工程において、窒化物半導体層を汚染することがない。
【0063】
保持層13を除去した後、窒化物半導体層12の表面を酸やアルカリなどによって洗浄しても良い。ただし、塩酸は金属ガリウムを溶解するため、窒化物半導体層12が母材基板11から剥離することがあるので、硫酸若しくはリン酸等を主成分とし塩酸を含まない酸、又はアンモニア若しくは水酸化カリウムを主成分とするアルカリを洗浄液として用いることが好ましい。
【0064】
以上の工程により、母材基板11の上に分解領域12aを介して形成された窒化物半導体層12を得ることができる。この窒化物半導体層12は、III 族原子の配列した主面が表面に露出されているため、窒化物半導体層12を窒化物半導体装置を形成するための下地層として用いることができる。以下の説明では、窒化物半導体層12の上に面発光型のレーザ素子となるデバイス構造を形成する例について説明する。
【0065】
まず、図2(b)に示すように、MOCVD法により、窒化物半導体層12の上にn型のAlNとn型のAlGaNの多層構造からなる第1の多層膜ミラー層15と、n型AlGaNからなる第1の光ガイド層16と、InGaNからなる量子井戸活性層17と、p型AlGaNからなる第2の光ガイド層18と、p型のAlNとp型のAlGaNの多層構造からなる第2の多層膜ミラー層19とが順次結晶成長されたデバイス構造を形成する。
【0066】
ここで、結晶成長時の温度から室温にまで冷却される過程において、母材基板11と窒化物半導体層12上のデバイス構造とは、それぞれの熱膨張係数の違いによりそれぞれ異なる程度に寸法が変化するが、分解領域12aによって母材基板11と窒化物半導体層12との結晶結合が切断されることにより、熱膨張係数差によって生じる応力を小さくされているため、デバイス構造を100μm以上に厚く形成してもクラックが発生することはなく、また反りやひずみ等の欠陥も生じにくい。
【0067】
次に、図2(c)に示すように、フォトリソグラフィ法により、第2の多層膜ミラー層19の上に直径が約30μmの円形状にパターニングされたレジストマスク(図示せず)した後、塩素を含むエッチングガスを用いた反応性イオンエッチング法により、レジストマスクを用いて第1の光ガイド層16が露出するまで第2の多層膜ミラー層19、第2の光ガイド層18及び量子井戸活性層17を順次エッチング除去し、その後レジストマスクを除去する。これにより、量子井戸活性層17の平面形状がほぼ円形に形成される。
【0068】
なお、エッチングは少なくとも量子井戸活性層17が露出するまで行えばよく、必ずしも第1の光ガイド層16までエッチングされる必要はない。また、量子井戸活性層17の形状も円形状に限定されず、四角形状又は多角形状等であっても良い。
【0069】
次に、図3(a)に示すように、金属蒸着法及びフォトリソグラフィ法により、第2の多層膜ミラー層19の上には金及びニッケルからなる円形のp側電極20を、第1の多層膜ミラー層15上における量子井戸活性層17の周囲には、量子井戸活性層17と間隔を置いて金及びチタンからなるリング形状のn側電極21をそれぞれ形成する。
【0070】
次に、図3(b)に示すように、p側電極20及びn側電極21を、金錫合金からなる半田材22を介して、例えばシリコンからなる支持基板23と接着する。ここで、半田材22は、あらかじめ支持基板23の下面にp側電極20及びn側電極21と同様の形状にパターニングしたものを用いており、p側電極20及びn側電極21と半田材22との位置合わせを行った後、半田材22の融点以上に加熱することにより、p側電極20、n側電極21及び半田材22を介してデバイス構造を支持基板23と貼り合わせる。なお、この張り合わせの工程においてデバイス構造と支持基板23とが均一に接するように、p側電極20、n側電極21及び半田材22のそれぞれの厚さが設定される。
【0071】
ここで、母材基板11と窒化物半導体層12との間には分解領域12aが形成されているため、窒化物半導体層12には熱膨張係数に基づく応力がほとんど生じないため、窒化物半導体層12をクラックなく形成することができ、反りもほとんど生じないので、窒化物半導体層12上の全面においてp側電極20及びn側電極21を支持基板23と均一に接着することができる。
【0072】
なお、支持基板23はシリコンに限られず、用途に合わせて材料を選択してもよい。例えば、砒化ガリウム(GaAs)、燐化ガリウム(GaP)及び燐化インジウム(InP)等を用いると素子の劈開が容易になるという利点がある。また高放熱が要求される用途では、炭化シリコン(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)及びダイヤモンド等を用いることができる。
【0073】
次に、図4(a)に示すように、金属ガリウムの融点よりも高い温度に保持することにより金属ガリウムを融解し、真空吸着等によりデバイス構造と母材基板11とを分解領域12aの位置で分離する。このとき、母材基板11の上面及び窒化物半導体層12の下面には融解された分解領域12aの残渣が付着している。
【0074】
なお、金属ガリウムの融解時の温度が半田材22の融点を超えると、デバイス構造と支持基板23との接着が剥離する可能性があるため、半田材22の融点以下で行われる必要がある。
【0075】
次に、図4(b)に示すように、金属ガリウムの融解後に窒化物半導体層12の下面に付着した金属ガリウムを塩酸等の酸によって除去する。また、母材基板11は、同様に金属ガリウムを除去した後、窒化物半導体成長用の母材基板として再び使用できる。
【0076】
以上の工程により、第1の光ガイド層16、量子井戸活性層17及び第2の光ガイド層18を挟む第1の多層膜ミラー層15と第2の多層膜ミラー層19とを反射面とする共振器構造が支持基板23上に形成され、窒化物半導体層12側の面から紫外域〜紫色域の光を放射する面発光レーザ素子を得ることができる。
【0077】
前述の一連の工程において、窒化物半導体層12の上に形成されたデバイス構造は、母材基板11と窒化物半導体層と12の結晶結合が切断された状態で形成されることにより、クラックや反り等の欠陥を少なく形成されているため、母材基板11上のほぼ全面においてデバイス構造と支持基板23とを均一に接着できるようになる。これにより、母材基板11のほぼ全面から面発光レーザ素子を得ることができる。
【0078】
以上説明したように、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の製造方法によると、保持層13を形成することにより、レーザ光14によって母材基板11と窒化物半導体層12とを分離する工程において、熱膨張係数差に伴う変形から窒化物半導体層12を保護することができるため、窒化物半導体層12をクラック等の欠陥を少なく得ることができる。また、レーザ光14を照射した後に保持層13を除去することが可能であるため、窒化物半導体層12の主面が露出されるので、窒化物半導体層12を下地層として用いることが可能となり、半導体デバイス構造体の厚さ寸法を大きくしても欠陥の少ない窒化物半導体装置を歩留まり良く形成することができる。
【0079】
なお、本実施形態では一例として面発光レーザ素子としてデバイス構造を形成したが、その他の発光素子や高速トランジスタ等を構成するように、窒化物半導体層12の上に適切な半導体層及び電極を形成することにより所望のデバイス構造を形成してもよい。
【0080】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0081】
図5(a)〜図5(c)は、本実施形態の窒化物半導体基板の製造方法についての工程順の断面構成を示している。なお、図5(a)〜図5(c)において、第1の実施形態と同一の部材については同一の符号を付すことにより説明を省略する。また、本実施形態の窒化物半導体基板の製造方法において、図5(a)に示す工程よりも前の工程は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法における図1(a)〜図1(d)に示す工程と同様に実施可能であるため、図面を参照することにより詳細な説明を省略する。
【0082】
まず、図1(a)に示す工程と同様に、サファイアからなる母材基板11の上に、MOCVD法により、GaNからなる厚さが約5μmの窒化物半導体層12を形成する。ここで、第1の実施形態と同様に、窒化物半導体層12は100μm以下とすることによりクラックが生じないようにしている。
【0083】
次に、図1(b)に示す工程と同様に、スピンコート法によりネガ型レジスト材料を塗布した後、加熱して硬化させることにより厚さが約30μmの保持層13を形成する。
【0084】
次に、図1(c)に示す工程と同様に、母材基板11の下面側からレーザ光14を照射して窒化物半導体層12を分解することにより、主に金属ガリウムからなる分解領域12aを形成する。
【0085】
次に、図1(d)に示す工程と同様に、レーザ光14を走査して窒化物半導体層12の全面に照射することにより、窒化物半導体層12における母材基板11との界面の全領域に分解領域12aを形成する。ここで、分解領域12aにより母材基板11と窒化物半導体層12とは結晶結合が切断され、窒化物半導体層12は分解領域12aと弱く結合した状態であるため、窒化物半導体層12に生じる応力は小さくなる。
【0086】
次に、図5(a)に示すように、有機溶剤を用いて保持層13を除去することにより、母材基板11の上に分解領域12aを介して付着した窒化物半導体層12を得ることができる。
【0087】
ここで、保持層13を除去した後に、金属ガリウムの融点よりも高い温度に保持することにより、母材基板11と窒化物半導体層12とを分解領域12aの位置で分離し、窒化物半導体層12を窒化物半導体基板として用いることが可能である。しかし、このようにして得られた窒化物半導体基板は、厚さ寸法が小さく、支持や搬送に十分な強度を確保できない。そこで、本実施形態においては、以下の工程により窒化ガリウムからなる窒化物半導体基板する。
【0088】
まず、図5(b)に示すように、ハイドライド気相成長(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)法により、III 族源には金属ガリウムとHClガスとを約800℃で反応させて得られる気体状の塩化ガリウムを、V族源にはアンモニアを用いて、それぞれを水素又は窒素等をキャリアガスとして供給すると共に、基板温度を約1000℃として、窒化物半導体層12の上に厚さが約300μmの窒化ガリウムからなる厚膜半導体層24を形成する。この工程により、窒化物半導体層12と厚膜半導体層24とによって構成される窒化ガリウムからなる窒化物半導体基板25を得ることができる。
【0089】
ここで、結晶成長時の温度から室温にまで冷却される過程において、母材基板11と厚膜半導体層24とは、それぞれの熱膨張係数の違いから異なる程度に寸法が変化するが、分解領域12aによって母材基板11と窒化物半導体層12との結晶結合が切断されることにより、熱膨張係数差によって生じる応力を小さくされているため、厚膜半導体層24を100μm以上に厚く形成してもクラックが発生することはなく、また反りやひずみ等の欠陥も生じにくい。
【0090】
なお、窒化物半導体層12と厚膜半導体層24とが同一の材料により構成されている必要はなく、厚膜半導体層24に、例えばAlN及びInN等の他のIII-V族窒化物を用いて異なる窒化物が積層された窒化物半導体基板を形成してもよい。
【0091】
次に、図5(c)に示すように、金属ガリウムの融点よりも高い温度に保持することにより、母材基板11と窒化物半導体層12とを分解領域12aの位置で分離し、塩酸等の酸によって分解領域12aの残渣を洗浄することにより、厚さが約300μmの窒化物半導体基板25を得ることができる。また、母材基板11は窒化物半導体基板の形成に再び使用することが可能である。
【0092】
ここで、厚膜半導体層24の厚さを調節することにより、必要に応じた任意の厚さの窒化物半導体基板25を得ることができる。
【0093】
また、本実施の形態では例示しないが、厚膜半導体層24の形成時において横方向成長による各種の貫通欠陥低減法を用いることにより、欠陥密度が1×106 cm―2以下となるような結晶性が良好な厚膜半導体層24を成長することも可能である。
【0094】
以上説明したように、第2の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法によると、保持層13を形成することにより、レーザ光14によって母材基板11とを分離する工程において、熱膨張係数差に伴う変形から窒化物半導体層12を保護することができるため、窒化物半導体層12をクラック等の欠陥を少なく得ることができる。また、レーザ光14を照射した後に保持層13を除去して窒化物半導体層12の主面を露出することにより、窒化物半導体層12の上に厚膜半導体層24を形成することにより厚い窒化物半導体基板25を形成することができ、クラック等の欠陥が少なく且つ保持及び搬送に十分な強度を有する窒化物半導体基板25を大面積に形成することができる。
【0095】
なお、以上に説明した第1及び第2の実施形態において、母材基板11の直径は5.1cm(2インチ)に限られず、より大きな直径の母材基板を用いても同様の工程により窒化物半導体装置及び窒化物半導体基板を得ることができる。
【0096】
また、第1及び第2の実施形態において、母材基板11は、裏面が粗面に仕上げられている必要はなく、裏面の仕上げ状態が異なる場合には、裏面におけるレーザ光14の透過率に合わせてレーザ光14の強度の調整を行うことにより、同様の工程により窒化物半導体装置及び窒化物半導体基板を得ることができる。
【0097】
また、第1及び第2の実施形態において、母材基板11を構成する材料はサファイアに限られず、レーザ光14を透過する材料であればよい。具体的に、レーザ光14が、248nmの波長を有するKrFエキシマレーザ光や355nmの波長を有するNd:YAGレーザの3次高調波光である場合には、サファイアに変えて、スピネルやAlN等を用いることができる。さらに、レーザ光14を透過する複数の材料が積層又は複合された基板を用いてもよい。
【0098】
また、窒化物半導体層12を構成する材料はGaNに限られず、レーザ光14を吸収する材料であればよい。具体的に、レーザ光14が248nmの波長を有するKrFエキシマレーザ光や355nmの波長を有するNd:YAGレーザの3次高調波光である場合には、GaNに変えてAlGaNやInGaNなどを用いることができる。また、窒化物半導体層12は同一の材料によって構成されている必要はなく、AlN、GaN、InN及びこれらの混晶からなる積層構造を成長してもよい。
【0099】
【発明の効果】
本発明の窒化物半導体装置の製造方法によると、クラックを生じさせることなく母材基板と窒化物半導体層との結晶結合を切断すると共に窒化物半導体層における結晶成長面を露出することができる。これにより、窒化物半導体層の上に結晶欠陥の少ない半導体層をさらに結晶成長せさることが可能となり、窒化物半導体層をデバイス構造を形成するための下地層として用いることができる。
【0100】
また、本発明の窒化物半導体基板の製造方法によると、クラックを生じさせることなく母材基板と窒化物半導体層との結晶結合を切断すると共に窒化物半導体層の結晶成長面を露出することができる。これにより、窒化物半導体層をクラック等の欠陥が少ない窒化物半導体基板として大面積に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図2】(a)〜(c)は第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図3】(a)及び(b)は第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図4】(a)及び(b)は第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図5】(a)〜(c)は第2の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図6】(a)〜(e)は第1の従来例に係る窒化物半導体層の移し換え方法を示す工程順の構成断面図である。
【符号の説明】
11 母材基板
12 窒化物半導体層(第1の窒化物半導体層)
12a 分解領域
13 保持層
14 レーザ光
15 第1の多層膜ミラー層
16 第1の光ガイド層
17 量子井戸活性層
18 第2の光ガイド層
19 第2の多層膜ミラー層
20 p側電極
21 n側電極
22 半田材
23 支持基板
24 厚膜半導体層(第2の窒化物半導体層)
25 窒化物半導体基板

Claims (11)

  1. 母材基板の上に厚さ100μm以下の窒化物半導体層を形成する第1の工程と、
    前記窒化物半導体層の上に該窒化物半導体層を保持する保持層を形成する第2の工程と、
    前記窒化物半導体層における前記母材基板との界面に照射光を照射する第3の工程と、
    前記保持層を除去する第4の工程と
    前記第4の工程よりも後に、前記窒化物半導体層の上に所定のデバイス構造を形成する第5の工程とを備え
    前記第3の工程における前記照射光のエネルギーは、前記母材基板のバンドギャップよりも小さく且つ前記窒化物半導体層のバンドギャップよりも大きく、
    前記第3の工程において、前記保持層は熱膨張係数差に伴う変形から前記窒化物半導体層を保護することを特徴とする窒化物半導体装置の製造方法。
  2. 前記第5の工程よりも後に、前記デバイス構造の上に支持基板を貼り合わせた後、前記窒化物半導体層から前記母材基板を分離する工程をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
  3. 前記第2の工程は、前記窒化物半導体層の上に流動性を有する保持層形成材料を塗布する工程と、塗布された保持層形成材料を硬化する工程とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
  4. 前記保持層形成材料は光の照射により硬化することを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
  5. 前記保持層形成材料はレジスト材料であることを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
  6. 前記保持層形成材料はネガ型レジスト材料であることを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
  7. 母材基板上に厚さ100μm以下の第1の窒化物半導体層を形成する第1の工程と、
    前記第1の窒化物半導体層の上に該第1の窒化物半導体層を保持する保持層を形成する第2の工程と、
    前記第1の窒化物半導体層における前記母材基板との界面に照射光を照射する第3の工程と、
    前記保持層を除去する第4の工程と
    前記第4の工程よりも後に、前記第1の窒化物半導体層の上に第2の窒化物半導体層を形成する第5の工程とを備え
    前記第3の工程における前記照射光のエネルギーは、前記母材基板のバンドギャップよりも小さく且つ前記第1の窒化物半導体層のバンドギャップよりも大きく、
    前記第3の工程において、前記保持層は熱膨張係数差に伴う変形から前記第1の窒化物半導体層を保護することを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
  8. 前記第2の工程は、前記第1の窒化物半導体層の上に流動性を有する保持層形成材料を塗布する工程と、塗布された保持層形成材料を硬化する工程とを含むことを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  9. 前記保持層形成材料は光の照射により硬化することを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  10. 前記保持層形成材料はレジスト材料であることを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  11. 前記保持層形成材料はネガ型レジスト材料であることを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
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