JP4242185B2 - アルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法、めっき方法およびめっき品 - Google Patents
アルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法、めっき方法およびめっき品 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質めっき(クロムめっき、ニッケル系めっき、鉄系めっき等)を行うためのアルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法、およびこの前処理後、混酸による活性化処理、亜鉛置換処理およびまたは陽極酸化処理を行った後にめっきを行う硬質めっき方法、及び前記硬質めっきを施しためっき品に関するものであり、特に、Siを含有するアルミニウム合金の鋳造品、ダイカスト品、もしくは粉末合金製品よりなる内燃機関のシリンダー内面に、めっき密着性がよく、かつ非めっき部における過剰エッチングがない、クロム系めっき、ニッケル系めっき、鉄系めっき等の硬質めっきを行うためのめっき前処理方法およびこの前処理を施した内面めっきシリンダー製品に関するものである。
【0002】
【従来技術及びその課題】
アルミニウムおよびアルミニウム合金(以下、これらを総称して単にアルミニウム合金と記述する場合もある。)は、十分な機械的強度を持つこと、熱伝導性が良いこと、比重が小さいことという特長があることから、シリンダー等の内燃機関の素材として広く利用されている。
【0003】
しかし、内燃機関の素材としてアルミニウム合金を利用する場合、アルミニウム合金の素材のままだと耐磨耗性が劣っていることから、少なくとも摺動を受ける部位(例えば、シリンダーボア等)には、その表面にニッケル系めっき、クロムめっき、鉄系めっき等の硬質めっきが施されて利用されている。
アルミニウムおよびアルミニウム合金にめっきを行う場合、アルミニウムおよびアルミニウム合金は化学的に卑な金属であるため、その表面が強固で厚い酸化膜に覆われており、そのままめっきを行ったのでは、密着性に優れためっき皮膜を得ることができない。
【0004】
そこで、めっき密着性の優れた皮膜を得るために、予め表面酸化膜を均一かつ完全に除去する必要があり、そのためのめっき前処理として酸化膜除去処理(以下、エッチング処理ということもある。)が非常に重要なものとなっている。
【0005】
従来、アルミニウム合金のめっき製品は、以下の工程で製造されている。
(1)脱脂工程、
(2)アルカリ(または酸)の溶液により酸化膜を除去するエッチング処理工程、
(3)エッチングにより生じたスマットの除去を行う活性化処理工程、
(4)亜鉛置換処理工程または陽極酸化処理工程、および
(5)めっき工程(なお、各工程間には水洗工程が適宜設けられる。)。
【0006】
これら工程の中で、本発明が解決しようとする酸化膜を除去するためのエッチング処理工程は、従来、アルカリ金属の水酸化物が溶解した水溶液に被めっき材を浸漬することにより行われている。
【0007】
しかし、アルミニウム合金の場合には、熱処理などの過程で合金成分が表面に偏析するため表層の組成が不均一となる結果、部位によって表面電位が異なり、エッチング溶液中で局部電池を形成するため、エッチングが局部的かつ不均一となり、短時間のエッチングでは酸化物を均一に除去することができない。一方、一般的なアルカリによるエッチングで処理時間を長くした場合にはエッチングが急激に進行するためエッチング過剰となり、製品の寸法精度に問題(例えば、ネジ穴の侵食によるネジ山寸法不良)が生じたり、製品自体の強度低下を招くなどの問題があった。
【0008】
このように、従来のエッチング処理技術では、均一かつ完全に酸化膜を除去するための、エッチングのコントロールは非常に困難であった。
こういった問題点に鑑みて、アルミニウム合金のエッチング処理として、以下の技術が提案されている。
【0009】
特開平9-53182号公報(特許文献1)には、アルカリ性溶液による浸漬エッチング処理として、アルカリ金属の水酸化物と、有機カルボン酸またはそのアルカリ金属塩と、特定濃度の有機ホスホン酸またはそのアルカリ金属塩を含む水溶液で、75℃以下の温度で浸漬エッチングし、その後特定の組成よりなる浴で、亜鉛置換処理を行うアルミニウム合金材料のめっき前処理方法が提案されている。
【0010】
特許第2826755号公報(特許文献2)には、アルカリ性溶液中での電解エッチング処理として、苛性ソーダを主成分とし、錯化性を有する有機酸ソーダ塩を含有する電解液中に浸漬し、被めっき材のめっきを施そうとする部位の近傍に電極を設置したのち、被めっき材を陽極とし、電極を陰極として5〜20Vの電圧を印加することにより電解エッチングするアルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法が提案されている。
【0011】
また、特開平11-193481号公報(特許文献3)には、酸性溶液によるエッチング処理用として、特定配合の硝酸、酸性ふっ化アンモン、硫酸を含む水溶液からなるアルミニウム合金またはアルミニウムダイカストの酸性エッチング液が提案されている。
【0012】
しかし、これらの従来技術には、以下のような問題がある。
特許文献1に提案されているアルカリ性溶液による浸漬エッチング処理技術は、例えば、内燃機関であるシリンダーのシリンダーボアをクロムめっきするためのめっき前処理として使用した場合、提案されている技術が浸漬エッチング処理であるため、本来エッチングする必要のない部位(以下、非めっき部という場合もある。)まで過剰にエッチングされてしまい、例えばネジ山寸法不良等の寸法精度不良、フィン折れ不良等の素材の強度低下等過剰エッチングに起因する不良が生じる。逆に、この過剰エッチングによる不良を防止するために、エッチング量を低減させた場合には、エッチングが本来必要な部位(以下、めっき部という場合もある。)(例えば、シリンダーの場合はシリンダーボア部)の酸化膜の除去が不十分となり、めっきの密着性が劣る等の問題が発生し、最適なエッチングを行うことが極めて困難であった。
【0013】
特許文献2(特許第2826755号公報)に提案されているアルカリ性溶液による電解エッチング処理技術は、錯化性を有する有機酸を用い、めっきを施そうとする部位の近傍に電極を設置して電解エッチングをおこなうことにより、エッチングが必要な部位を選択的にエッチングすることが可能となり、非めっき部における寸法精度不良、強度低下をある程度防止することが可能とはなったが、めっき後にホーニング加工、研磨、研削等の機械加工を行うような厳しいめっき密着性が要求される用途では、めっきに膨れ、剥離が生じ、めっき密着性は必ずしも十分なレベルのものではなかった。
【0014】
特許文献3(特開平11-193481号公報)に提案されている、酸性溶液によるエッチング処理技術は、特許文献1と同様に浸漬エッチングであるために、非めっき部で過剰エッチングによるエッチング不良が生じやすく、まためっき部もめっき後にホーニング加工、研削、研磨等の機械加工を行うような厳しいめっき密着性が要求される用途では、めっきに膨れ、剥離が生じ、そのめっき密着性は十分なレベルのものではなかった。
【0015】
従って、本発明の課題は、上記アルミニウムおよびアルミニウム合金のめっき前処理方法における従来技術の問題を改善し、非めっき部での過剰なエッチングを防止し、寸法精度、強度を維持する一方、めっき部では、めっき後にホーニング加工、研削、研磨等の機械加工をするような厳しいめっき密着性が要求される用途においても、優れた性能を有することを可能とするアルミニウムおよびアルミニウム合金のめっき前処理方法、その前処理方法と組み合わせた硬質めっき方法およびその方法で得られるめっき品を提供することにある。
【0016】
【特許文献1】
特開平9−53182号公報
【特許文献2】
特許第2826755号公報
【特許文献3】
特開平11−193481号公報
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、非めっき部での過剰なエッチングを防止し、寸法精度、強度を維持しつつ、めっき後にめっき部にホーニング加工、研削、研磨等の機械加工を施すような厳しいめっき密着性が要求される用途においても、優れためっき密着性を有するめっき前処理方法(エッチング処理)について鋭意検討した結果、めっき部での十分なエッチングを確保しつつ、非めっき部での過剰エッチングを抑制するには、特許文献2に提案されているようにめっきを施そうとする部位の近傍に電極を設置して電解エッチングを行うことはある程度有効であるが、まだ十分ではなく、さらに錯化性を有する有機酸とアルカリ水酸化物濃度の比を特定の範囲に規定することにより、その効果がより顕著になることが判明した。
【0018】
次に、熱処理および/または機械加工時のめっき密着性について検討した。その結果、電解エッチングと浸漬エッチングを比較すると、エッチング量が同じ場合には、電解エッチングでは表面がより平滑にエッチングされるために、エッチング後の表面の凹凸によるアンカー効果が低下し、めっき密着性が劣化するため、めっき密着性の観点からは、浸漬エッチングの方が有効であることが判明した。
【0019】
また、酸とアルカリによるエッチングを比較すると、同じエッチング量であれば、酸によるエッチングは、アルカリによるエッチングに比較して、表面が平滑にエッチングされ易く、めっき密着性が劣化し、めっき密着性を向上させるには、アルカリによるエッチングが有効であることが判明した。
以上のことから、非めっき部の過剰エッチングを抑制しつつ、かつめっき部に十分なエッチングを施し、めっき後に優れためっき密着性を得るためには、特定の成分を含有するアルカリ溶液中で電解エッチングと浸漬エッチングを併用して行うことにより、はじめて課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
【0020】
すなわち、本発明は以下のアルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる被めっき材のめっき方法、および前記方法で得られためっき品に関する。
【0021】
1.アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる被めっき材の表面にクロムめっき、ニッケル系めっき、または鉄系めっきを行うための前処理であって、アルカリ金属の水酸化物および錯化性を有する有機酸またはそのアルカリ金属塩を含有する水溶液中で電解エッチングを行った後に、さらにアルカリ溶液中で浸漬エッチングを行うことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法。
2.電解エッチング溶液中のアルカリ金属の水酸化物濃度(A)と錯化性を有する有機酸またはそのアルカリ金属塩濃度(B)の濃度比が、下記式
【数3】
を満足する前項1に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法。
3.浸漬エッチング用のアルカリ溶液が、アルカリ金属の水酸化物およびアルミン酸塩を含有する水溶液であることを前項1に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法。
【0022】
4.浸漬エッチング溶液中のアルカリ金属の水酸化物濃度(C)とアルミン酸塩濃度(D)との濃度比が、下記式
【数4】
の条件を満たす前項3に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法。
5.浸漬エッチングに使用するアルカリ溶液中のアルカリ金属の水酸化物の濃度(C)が10g/L〜150g/L、アルミン酸塩の濃度(D)が3g/L〜80g/Lである前項1、3または4に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法。
6.電解エッチングに使用する水溶液中のアルカリ金属の水酸化物の濃度(A)が10g/L〜200g/L、錯化性を有する有機酸またはそのアルカリ金属塩の濃度(B)が5g/L〜170g/Lである前項1または2に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法。
7.浸漬エッチングに使用するアルカリ金属塩が水酸化ナトリウムであり、アルミン酸塩がアルミン酸ナトリウムである前項3乃至5のいずれかに記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法。
【0023】
8.電解エッチングに使用するアルカリ金属塩が水酸化ナトリウムであり、錯化性を有する有機酸がグルコン酸ナトリウムである前項1、2または6に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法。
9.浸漬エッチングを、10℃〜80℃の温度で10秒〜300秒間行う前項1に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法。
10.電解エッチングが、被めっき材のめっきを施そうとする部位の近傍に電極を設置し、被めっき材を陽極、電極を陰極として5V〜20Vの電圧を印加することにより、当該部位のみを電解エッチングする前項1に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法。
11.被めっき材が内燃機関のシリンダーであり、円柱状電極を挿入して電圧を印加することによりシリンダーの内面のみを電解エッチングする前項10に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき前処理方法。
12.前項1〜11のいずれか1項に記載の前処理後、さらに混酸による活性化処理、亜鉛置換処理および/または陽極酸化処理を行った後、クロムめっき、ニッケル系めっき、または鉄系めっきを施すことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる被めっき材のめっき方法。
13.アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる被めっき材を前項12に記載のめっき方法でめっきして得られためっき品。
14.被めっき材が、Siを含有するアルミニウム合金の鋳造品、ダイカスト品、または粉末合金製品である前項13に記載のめっき品。
15.被めっき材が内燃機関のシリンダーである前項14に記載のめっき品。
【0024】
本発明はアルミニウムまたはアルミニウム合金に、クロムめっき、ニッケル系めっき、鉄系めっき等の硬質めっきを施すためのめっき前処理方法に関するものであり、その前処理が、アルカリ金属の水酸化物と、錯化性を有する有機酸および/またはそのアルカリ金属塩を必須成分して含有する薬液(水溶液)中で電解エッチングを行った後に、さらにアルカリ溶液中で浸漬エッチングを行うことを特徴とするものである。ここで、浸漬エッチングとは、素材を薬液に浸漬することにより化学的にエッチングを行う処理のことを言う。
【0025】
本発明のめっき前処理の対象となる素材としては、展伸用、ダイカスト用、鋳物用、粉末合金用のアルミニウムまたはアルミニウム合金を挙げることができる。特に、合金元素としてSiを含有するアルミニウム合金は、Siがアルミニウムより溶解されにくいため、材料表面にSiが濃化し表面処理性を劣化させ、均一なめっき皮膜が得られないという問題がある。とりわけ、Siを7%以上含むアルミニウム合金は、シリコンによる表面処理性への悪影響が顕著に現れるため、本発明はこういったSiを含有するアルミニウム合金(例えば、JIS規格のAC4C、AC4B、AC4D、AC8A、ADC10、ADC12等)に、より好適に利用可能である。
【0026】
本発明では、アルカリ金属の水酸化物と錯化性を有する有機酸またはそのアルカリ金属塩を必須成分とする水溶液中での電解エッチングとアルカリ溶液中での浸漬エッチングのダブルエッチング処理を行う。
【0027】
エッチング処理が、電解エッチングのみでは、被めっき材の表面が平滑にエッチングされてしまい、エッチング後の表面に適度な凹凸を付与することができず、めっき後に機械加工を行うような厳しいめっき密着性が要求される用途に適用すると、めっきの剥離および膨れが生じてしまう。
【0028】
一方、浸漬エッチングのみでは、めっき部の酸化膜を除去するに必要な処理を行った場合に、非めっき部まで過剰にエッチングされてしまい、寸法精度の不良および強度の低下が生じてしまうため好ましくない。
本発明のように電解エッチング後に浸漬エッチングを行うダブルエッチングを採用することによって初めて、本発明が目的とするところの効果が得られる。
【0029】
本発明における電解エッチングは、アルカリ金属の水酸化物と、錯化性を有する有機酸およびまたはそのアルカリ金属塩を必須成分として溶解した水溶液中で行われる。錯化性を有する有機酸および/またはそのアルカリ金属塩を必須成分として溶解した水溶液中で電解エッチング処理することにより、電極に近接した部位のみにエッチングが施され、電極より遠く離れた部位は電気的影響を受けにくいため電気的には殆どエッチングされない。さらに、錯化性を有する有機酸および/またはそのアルカリ金属塩を含有する水溶液は、エッチングを抑制する効果を有するため、電気的影響を受けにくい場所での化学的なエッチングを抑制し、選択的に所定の場所のみに十分なエッチングを施すことが可能となる。
【0030】
浸漬エッチングは、アルカリ溶液中で行われる。酸性溶液では、アルカリ溶液と比較して、アルミニウムおよびアルミニウム合金表面を平滑にエッチングしてしまうため、電解エッチング後の平滑になった表面に適度な粗さの付与ができず、所望のめっき密着性が得られない。
【0031】
アルカリ金属の水酸化物と錯化性を有する有機酸およびまたはそのアルカリ金属塩とを必須成分とする水溶液中で電解エッチングを行った後、さらにアルカリ溶液中で浸漬エッチングを施すダブルエッチングを行うことによりはじめて、非めっき部での過剰エッチングが防止されると共に、めっき部に適度の粗さを付与しながら十分な量の酸化膜を除去することが可能となり、めっき後に機械加工を行うような厳しいめっき密着性が要求されるような用途に使用しても、めっき剥離および膨れを生じないめっき密着性に優れためっきを得ることができる。
【0032】
本発明では、電解エッチングの薬液のアルカリ金属の水酸化物の濃度(A)と錯化性を有する有機酸またはそのアルカリ金属塩の濃度(B)を、下記式
【数5】
の範囲内とすることにより、非めっき部のエッチングをより効果的に抑制しつつ、めっき部のめっき密着性をさらに向上させることが可能となる。
【0033】
濃度比(B/A)が0.1未満では、錯化性を有する有機酸によるエッチングの抑制が十分ではなく、エッチング条件によっては、エッチングを意図しない部位も過剰にエッチングし、寸法精度不良、強度低下等のエッチングに起因する不良が生じやすくなる場合があるため好ましくない。また、濃度比が1.0を超えると複雑な形状を有する素材においては、酸化膜の除去が不完全となる場合があり、結果としてめっき密着性が劣ったものとなるため好ましくない。特に望ましい濃度比は、0.5超1.0以下であり、最も望ましくは0.6以上1.0以下である。
【0034】
本発明では、浸漬エッチング用のアルカリ溶液を、アルカリ金属の水酸化物とアルミン酸塩を含有する水溶液とすることにより、めっき密着性をより効果的に向上させることが可能となる。
【0035】
さらに、アルカリ金属の水酸化物濃度(C)とアルミン酸塩との濃度(D)の比が、下記式
【数6】
の条件を満たすことが好ましい。濃度比(D/C)が0.05未満、および1を超えると、過剰エッチングの抑制効果あるいはめっき密着性の向上効果の何れかが不十分となる。最も望ましい濃度比は、0.25以上1.0以下である。
【0036】
本発明では、電解エッチング水溶液中のアルカリ金属水酸化物、錯化性を有する有機酸およびその塩の好ましい濃度は、アルカリ金属の水酸化物の濃度が10g/L〜200g/L、錯化性を有する有機酸またはそのアルカリ金属塩の濃度が5g/L〜170g/Lであることが好ましい。アルカリ金属の水酸化物の濃度が10g/L未満では、酸化膜の除去が不十分となり、結果としてめっきの密着性は劣ったものとなる。また、200g/Lを超えてもそれ以上の効果が得られず経済的に不利であるばかりでなく、非めっき部が過剰にエッチングされてしまい、エッチング不良が生じる。一方、錯化性を有する有機酸またはそのアルカリ金属塩の濃度が5g/L未満では、エッチングの抑制効果が不十分となり、エッチングを意図していない部位が過剰エッチングとなり、エッチング不良となる。また、170g/Lを超えるとそれ以上の効果が得られなくなるためコスト的に好ましくない。特に望ましい濃度は、アルカリ金属の水酸化物の濃度が20g/L〜100g/L、錯化性を有する有機酸またはそのアルカリ金属塩の濃度が15g/L〜80g/Lである。
【0037】
一方、浸漬エッチングに使用する溶液の場合、アルカリ金属の水酸化物濃度の濃度を10g/L〜150g/L、アルミン酸塩の濃度を3g/L〜80g/Lとすることがより好ましい。
浸漬エッチング用溶液のアルカリ金属水酸化物の濃度が10g/L未満では、浸漬エッチングの目的である素材表面への適度な粗さの付与を行うことができず、めっきの密着性は劣ったものとなる。一方、150g/Lを超えると浸漬エッチング時にエッチングを意図していない部位でのエッチングが過剰となるため好ましくない。
【0038】
また、アルミン酸塩の濃度が3g/L未満では、エッチングが過剰となり、非めっき部でエッチング不良が生じる。80g/Lを超えてもそれ以上の添加効果が得られなくなり、コスト的に好ましくない。特に好ましい濃度は、アルカリ金属の水酸化物の濃度が30g/L〜100g/L、アルミン酸塩の濃度が10g/L〜60g/Lである。
【0039】
本発明で使用可能なアルカリ水酸化物は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムであり、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
錯化性を有する有機酸およびそのアルカリ金属塩としては、例えば、グルコン酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩の中から選ばれる少なくとも1種が利用可能である。上記の錯化性を有する有機酸の中でも、グルコン酸およびグルコン酸ナトリウムが好ましい。
アルミン酸塩としてはアルミン酸ナトリウムが最も好ましい。
【0040】
本発明では、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、電解エッチング溶液および浸漬エッチング溶液に、本発明で規定する以外の第3成分が含まれていても何ら問題はない。
【0041】
また、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸塩は、エッチングにより素材から溶け出したアルミニウムイオンと薬液中のアルカリ水酸化物が反応して、薬液中で必然的に飽和濃度まで上昇していくことが想定されるが、アルミン酸塩は、錯化性を有する有機酸および/またはその塩と同様にエッチングを抑制する効果も有するので、本発明を阻害しない範囲で電解エッチング溶液中に含まれていても何ら支障がなく、予め積極的に建浴時に添加しておいてもよい。
【0042】
また、本発明における浸漬エッチング溶液中のアルミン酸塩の濃度は、薬液作成時の建浴濃度で規定したものであり、素材のエッチングにより必然的に増加していくものに関しては、本発明の目的を阻害しない範囲の濃度増加であれば何ら支障がない。
【0043】
また、浸漬エッチング溶液は、前工程である電解エッチング溶液から、錯化性を有する有機酸および/またはそのアルカリ金属塩溶解物等が持ち込まれてくるが、これも本発明に支障のない範囲であればなんら問題が無い。
【0044】
本発明において、電解エッチングは、めっきを施そうとする部位の近傍に電極を設置した後、被めっき材を陽極とし、電極を陰極として所定時間、電圧を印加することにより行う事ができる。印加する電圧、処理時間等は、素材の種類およびその形状等を考慮し、適宜選択して、電圧、処理時間、処理温度を決定すればよいが、電圧としては5V〜20Vの電圧で処理することが好ましく、7V〜15Vがより好ましく、8V〜13Vが最も好ましい。また、エッチング処理中の処理温度は、10℃〜60℃が好ましく、15℃〜40℃が最も好ましい。
本発明では浸漬エッチングの処理条件(浸漬時間、処理温度)は、素材の種類、形状により適宜選択することができるが、処理温度10℃〜80℃、浸漬時間10秒〜300秒の条件で浸漬エッチングすることが好ましい。処理温度が80℃を超える場合、あるいは浸漬時間が300秒を超える場合は、素材の種類によっては過剰エッチングとなり、寸法精度不良、および強度低下が問題となる。また、処理温度が10℃未満あるいは浸漬時間が10秒未満では、浸漬エッチングによる適度な表面粗さの付与ができず、本発明で目的とする優れためっき密着性を得ることができない。特に好ましい処理温度は20℃〜60℃であり、特に好ましい浸漬時間は30秒〜180秒である。
【0045】
また、本発明では、電解エッチング用の薬液中で、所定時間電圧を印加し所定時間処理後、そのままの状態で電圧印加を停止して(電圧0として)所定時間浸漬することにより、浸漬エッチングを行うことも可能である。この場合、電解エッチング溶液中で電解エッチングを行った後、そのまま電圧のみ0とすることにより浸漬エッチングを行うことでエッチングを完了としてもよいし、さらに引き続き浸漬エッチング溶液中で浸漬エッチングを行ってもよい。
【0046】
本発明では、アルカリおよび/または酸による脱脂処理を行い、前述した電解エッチング処理後にさらに浸漬エッチング処理を施した後、混酸による活性化処理を行い、陽極酸化処理または亜鉛置換処理後、クロムめっき,ニッケル系めっき、または鉄系めっき等の硬質めっき処理を行うことにより、寸法精度の不良、強度の低下がなく、めっき後にホーニング加工、研削、研磨等の機械加工を行った場合にもめっきの膨れ、剥離等を生じないめっき密着性に優れためっき品を得ることができる。
【0047】
本発明の方法で採用される脱脂処理、活性化処理、陽極酸化処理、亜鉛置換処理、クロムめっき、ニッケル系めっき、鉄系めっき等の硬質めっきは、アルミニウムおよびアルミニウム合金の表面処理に利用されている公知の技術を利用することができる。また、各処理工程の間には、適宜、水洗工程を入れることができる。
また、硬質めっきとしてクロムめっきを行う場合は、亜鉛置換処理および/または陽極酸化処理を行った後,クロム酸の濃度50g/L〜150g/L、硫酸濃度0.5g/L〜1.5g/L、液温10℃〜40℃の常温、低濃度のクロム酸浴中でストライクめっきを行った後、クロム酸濃度180g/L〜300g/L、硫酸1.8g/L〜3g/L、液温35℃〜70℃の高温、高濃度クロム酸浴中で所定膜厚になるまでクロムめっきを行うことにより、よりめっき密着性に優れたアルミニウムおよびアルミニウム合金よりなるクロムめっき品を得ることができる。また、クロムストライクめっきの際には、めっき液に浸漬する前に予め電圧をかけた後、めっき液に浸漬することが好ましい。こうすることにより、めっき液中での素材あるいは置換めっき皮膜が、めっき中に溶け出すことを防止することができる。
【0048】
本発明の方法は、アルミニウムおよびまたはアルミニウム合金素材の硬質めっきの前処理及び硬質めっき方法として広く利用可能であるが、特に、エンジンのシリンダーのような内燃機関用のアルミニウム部品、例えば、シリンダーボア、ピストンのように寸法精度が要求され、かつ絶えず摺動が繰り返される用途に利用される部分のめっき前処理およびめっきとして好適に利用することができできる。
【0049】
【実施例】
実施例1:
アルミニウム合金(AC8A)よりなる取り付けネジ穴付きアルミ合金製シリンダーを、円柱状電極がシリンダーボア内部の近傍にくるように、治具に設置した。その後、アルカリ脱脂(ネオユトール#500:35g/L、52℃、60秒浸漬)を行い、水洗し、さらに酸脱脂(ネオサンディップ:100g/L、35%塩酸:300ml/L、35℃、60秒浸漬)を行い、水洗した。
次いで、被めっき材を陽極、円柱状電極を陰極として、表1に示す電解エッチング(E−1)を行った後、さらに表2に示す浸漬エッチング(D−1)を行い水洗後、混酸(55%フッ酸50ml/Lと67.5%硝酸500ml/L)中で、1分間浸漬し水洗を行った後、亜鉛置換処理液(苛性ソーダ400g/L、酸化亜鉛65g/L、水酸化ニッケル0.4g/L、水酸化第二銅1.5g/L、20℃)中で、60秒間、亜鉛置換めっきを行い十分に水洗した。
その後、被めっき材を陰極、円柱状電極を陽極として通電した状態で、クロムストライク液(無水クロム酸100g/L、硫酸1.0g/L、25℃)に浸漬し、5Vで1分間クロムストライクめっきを行った後、さらにクロムめっき液(無水クロム酸230g/L、硫酸2.3g/L、54℃、6〜7.5V)中でクロムめっき厚が100μmになるように所定時間めっきを行い、水洗後乾燥し、実施例1に示す内面シリンダーボア部にクロムめっきを施したアルミ合金性クロムめっきシリンダーを作成した。得られたクロムめっき品のネジ山寸法精度、めっき密着性を下記の方法で評価した結果も合わせて表3に示した。
【0050】
[寸法精度]
シリンダーの取り付けネジ穴をねじプラグケージ(止り、通り)により判定し、下記の基準により評価した。
○:ねじゲージの止り側が2回転以内で止まり、且つ、ねじゲージの通り側を通した状態で、ねじゲージがガタつかない。
△:ねじゲージの止り側が2回転超え3回転以内で止まり、通り側を通した状態でガタつかない。。
×:ねじゲージの止り側が3回転を超えて止まる。あるいは、通り側ネジを通した状態でネジがかなりがたつく。
【0051】
[めっき密着性1(研磨後密着性)]
めっき後、研磨を行い、めっきの厚さ方向に30μmめっきを研磨削除した後のめっき外観を目視で評価し、下記基準により評価した。
○:めっきの膨れ、剥離、割れともに無し
△:めっきの膨れ、剥離無し、軽度の割れ有り。
×:めっきの膨れ、剥離のいずれかがあり。
【0052】
[めっき密着性2(熱衝撃試験)]
めっき後、研磨を行い、めっきの厚さ方向に20μmめっきを研磨し削除した後、さらに、220℃の熱風乾燥炉中で2時間加熱後、常温水中に浸漬急冷し、めっきの割れ、膨れ、剥離の有無を調べ、下記の基準により評価した。
○:めっきの膨れ、剥離、割れともに無し
△:めっきの膨れ、剥離無し、軽度の割れ有り。
×:めっきの膨れ、剥離のいずれかがあり。
【0053】
実施例2〜15:
実施例1と表1に示す電解エッチング条件(E−2〜E−6,E−8〜E−15)が異なる以外は、実施例1と同様の方法で実施例2〜15の内面シリンダーボア部にクロムめっきを施したアルミ合金性クロムめっきシリンダーを作成した。得られためっき品のネジ山寸法精度、めっき密着性を実施例1と同様の方法で評価した結果も合わせて表3に示した。
【0054】
実施例16:
アルミニウム合金(AC8A)よりなる取り付けネジ穴付きアルミ合金製シリンダーを、円柱状電極がシリンダーボア内部の近傍にくるように、治具に設置した。その後、アルカリ脱脂(ネオユトール#500:35g/L、52℃、60秒浸漬)を行い、水洗し、さらに酸脱脂(ネオサンディップ:100g/L、35%塩酸:300ml/L、35℃、60秒浸漬)を行い、水洗した。
次いで、被めっき材を陽極、円柱状電極を陰極として、表1に示す電解エッチング(E−17)を行い水洗後、混酸(55%フッ酸50ml/Lと67.5%硝酸500ml/L)中で、1分間浸漬し水洗を行った後、亜鉛置換処理液(苛性ソーダ400g/L、酸化亜鉛65g/L、水酸化ニッケル0.4g/L、水酸化第二銅1.5g/L、20℃)中で、60秒間、亜鉛置換めっきを行い十分に水洗した。
その後、被めっき材を陰極、円柱状電極を陽極として通電した状態で、クロムストライク液(無水クロム酸100g/L、硫酸1.0g/L、25℃)に浸漬し、5Vで1分間クロムストライクめっきを行った後、さらにクロムめっき液(無水クロム酸230g/L、硫酸2.3g/L、54℃、6〜7.5V)中でクロムめっき厚が100μmになるように所定時間めっきを行い、水洗後乾燥し、実施例16に示す内面シリンダーボア部にクロムめっきを施したアルミ合金性クロムめっきシリンダーを作成した。得られたクロムめっき品のネジ山寸法精度、めっき密着性を実施例1と同様の方法で評価した結果も合わせて表3に示した。
【0055】
実施例17〜28:
実施例1と表2に示す浸漬エッチング条件(D−2〜D−13)が異なる以外は、実施例1と同様の方法でクロムめっきを行い、実施例17〜実施例28の内面シリンダーボア部にクロムめっきを施したアルミ合金性クロムめっきシリンダーを作成した。得られためっき品のネジ山寸法精度、めっき密着性を実施例1と同様の方法で評価した結果も合わせて表3に示した。
【0056】
比較例1:
実施例1と表1に示す電解エッチング条件(E−7)が異なる以外は、実施例1と同様の方法でクロムめっきを行い比較例1の内面シリンダーボア部にクロムめっきを施したアルミ合金性クロムめっきシリンダーを作成した。得られためっき品のネジ山寸法精度、めっき密着性を実施例1と同様の方法で評価した結果も合わせて表3に示した。
【0057】
比較例2:
実施例16と、表1に示す電解エッチング条件(E−18)が異なる以外は、実施例16と同様の方法でクロムめっきを行い、比較例2の内面シリンダーボア部にクロムめっきを施したアルミ合金性クロムめっきシリンダーを作成した。得られためっき品のネジ山寸法精度、めっき密着性を実施例1と同様の方法で評価した結果も合わせて表3に示した。
【0058】
比較例3:
アルミニウム合金(AC8A)よりなる取り付けネジ穴付きアルミ合金製シリンダーを、円柱状電極がシリンダーボア内部の近傍にくるように治具に設置した。その後、アルカリ脱脂(ネオユトール#500:35g/L、52℃、60秒浸漬)を行い、水洗し、さらに酸脱脂(ネオサンディップ:100g/L、35%塩酸:300ml/L、35℃、60秒浸漬)を行い水洗した。
次いで、表2に示す浸漬エッチング(D−14)を行い水洗後、混酸(55%フッ酸50ml/Lと67.5%硝酸500ml/L)中で、1分間浸漬し水洗を行った後、亜鉛置換処理液(苛性ソーダ400g/L、酸化亜鉛65g/L、水酸化ニッケル0.4g/L、水酸化第二銅1.5g/L、20℃)中で、60秒間、亜鉛置換めっきを行い十分に水洗した。
その後、被めっき材を陰極、円柱状電極を陽極として通電した状態で、クロムストライク液(無水クロム酸100g/L、硫酸1.0g/L、25℃)に浸漬し、5Vで1分間クロムストライクめっきを行った後、さらにクロムめっき液(無水クロム酸230g/L、硫酸2.3g/L、54℃、6〜7.5V)中でクロムめっき厚が100μmになるように所定時間めっきを行い、水洗後乾燥し、比較例3に示す内面シリンダーボア部にクロムめっきを施したアルミ合金性クロムめっきシリンダーを作成した。得られたクロムめっき品のネジ山寸法精度、めっき密着性を実施例1と同様の方法で評価した結果も合わせて表3に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、非めっき部の過剰エッチングを抑制しつつ、めっき部に適度な粗さを付与しながら十分にエッチングが施されるため、寸法精度、めっき密着性に優れためっき被覆アルミニウム合金を得ることができる。
Claims (12)
- Siを7%以上含むアルミニウム合金からなる被めっき材の表面にクロムめっき、ニッケル系めっき、または鉄系めっきを行うための前処理であって、アルカリ金属の水酸化物および錯化性を有する有機酸またはそのアルカリ金属塩を含有する水溶液中で電解エッチングを行った後に、さらにアルカリ金属の水酸化物およびアルミン酸塩を含有するアルカリ水溶液中で浸漬エッチングを行い、電解エッチング溶液中のアルカリ金属の水酸化物濃度(A)と錯化性を有する有機酸またはそのアルカリ金属塩濃度(B)の濃度比が、下記式
0.6 ≦B/A ≦ 1.0
を満足し、前記浸漬エッチング溶液中のアルカリ金属の水酸化物濃度(C)とアルミン酸塩濃度(D)との濃度比が、下記式
0.25 ≦ D/C ≦ 1.0
を満足するアルミニウム合金のめっき前処理方法。 - 浸漬エッチングに使用するアルカリ水溶液中のアルカリ金属の水酸化物の濃度(C)が10g/L〜150g/L、アルミン酸塩の濃度(D)が3g/L〜80g/Lである請求項1に記載のアルミニウム合金のめっき前処理方法。
- 電解エッチングに使用する水溶液中のアルカリ金属の水酸化物の濃度(A)が20g/L〜200g/L、錯化性を有する有機酸またはそのアルカリ金属塩の濃度(B)が15g/L〜170g/Lである請求項1に記載のアルミニウム合金のめっき前処理方法。
- 浸漬エッチングに使用するアルカリ金属の水酸化物が水酸化ナトリウムであり、アルミン酸塩がアルミン酸ナトリウムである請求項1乃至3のいずれかに記載のアルミニウム合金のめっき前処理方法。
- 電解エッチングに使用するアルカリ金属の水酸化物が水酸化ナトリウムであり、錯化性を有する有機酸がグルコン酸ナトリウムである請求項1乃至4のいずれかに記載のアルミニウム合金のめっき前処理方法。
- 浸漬エッチングを、10℃〜80℃の温度で10秒〜300秒間行う請求項1に記載のアルミニウム合金のめっき前処理方法。
- 電解エッチングが、被めっき材のめっきを施そうとする部位の近傍に電極を設置し、被めっき材を陽極、電極を陰極として5V〜20Vの電圧を印加することにより、当該部位のみを電解エッチングする請求項1に記載のアルミニウム合金のめっき前処理方法。
- 被めっき材が内燃機関のシリンダーであり、円柱状電極を挿入して電圧を印加することによりシリンダーの内面のみを電解エッチングする請求項7に記載のアルミニウム合金のめっき前処理方法。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の前処理後、さらに混酸による活性化処理、亜鉛置換処理および/または陽極酸化処理を行った後、クロムめっき、ニッケル系めっき、または鉄系めっきを施すことを特徴とするSiを7%以上含むアルミニウム合金からなる被めっき材のめっき方法。
- Siを7%以上含むアルミニウム合金からなる被めっき材を請求項9に記載のめっき方法でめっきして得られためっき品。
- 被めっき材が、Siを7%以上含むSiを含有するアルミニウム合金の鋳造品、ダイカスト品、または粉末合金製品である請求項10に記載のめっき品。
- 被めっき材が内燃機関のシリンダーである請求項11に記載のめっき品。
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