JP4240906B2 - データ処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ処理装置、例えば、画像データをフレーム単位で蓄積し、蓄積した画像データを用いて所定の処理を行う画像処理装置などのデータ処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のディジタル画像信号処理において、画像蓄積用外部メモリを使用する場合、汎用のDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory )、あるいはFIFO(First in First out)、VRAM(Video RAM 、またはビデオRAM)と呼ばれるシリアルアクセスに特化したメモリを使用していた。また、画像処理LSI(Large Scale Integrated Circuit)の内部にメモリを組み込んで設計する場合においても、設計用のライブラリ(マクロ)として用意されている汎用のDRAMなどと同様な構造のメモリを使用していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のメモリでは、データの入出力を行う入出力ポート(I/Oポート)は通常1つしかなく、デュアルポートのメモリでも入出力ポートが2つある程度であり、同時に複数のデータをアクセスするには限界があった。
【0004】
こうした従来のメモリを使用して複数のデータを扱うには、必要なデータが格納されているアドレスを順次指定してデータ数に応じた回数だけアクセスする必要があった。これは、リアルタイムの画像処理のように限られた時間で処理を行う場合には非常に不利である。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のデータ記憶セルを直列接続し、同時に複数のデータ記憶セルから保持データを読み出して所定の処理を行うことで、複数のデータを同時に利用して高速な信号処理を実現でき、さらにデータの入力タイミングで順次記憶データをスキャンしつつ所定の処理を実行可能なデータ処理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のデータ処理装置は、入力端子から入力されたデータを第1のクロック信号に応じたタイミングで取り込み、取り込んだデータを保持する第1のデータ保持手段と、上記第1のデータ保持手段によって保持されたデータを第2のクロック信号に応じたタイミングで取り込んで保持し、保持されたデータを出力端子に出力する第2のデータ保持手段と、上記第1のデータ保持手段によって保持されたデータをデータ線を介して外部に出力するデータ出力手段とをそれぞれが含む複数のデータ記憶セルを有し、当該複数のデータ記憶セルが、一のデータ記憶セルの上記出力端子を他のデータ記憶セルの上記入力端子に接続することにより直列接続して構成されるデータ記憶部と、上記直列接続される上記複数のデータ記憶セルにおいて、周期が等しく位相が異なる上記第1のクロック信号と前記第2のクロック信号を上記第1および第2のデータ保持手段に与え、上記データ出力手段を制御することによって複数の上記第1のデータ保持手段に保持中の複数のデータを対応する複数の上記データ線に同時に出力させることが可能な制御手段と、上記データ記憶部にある複数の上記データ記憶セルから上記制御手段の制御によって出力されたデータに応じて所定のデータ処理を行うデータ処理部とを有する。
【0007】
また、本発明では、好適には、上記第1のデータ保持手段は、上記入力端子と第1の記憶ノードとの間に設けられ、上記第1のクロック信号に応じて導通または遮断し、導通時に上記入力端子から入力されたデータを上記第1の記憶ノードに入力する第1の転送ゲートと、上記第1の記憶ノードに接続され、上記第1の転送ゲートを介して入力されたデータを保持する第1のキャパシタと、入力端子が上記第1の記憶ノードに接続されている第1のインバータとを有する。
【0008】
また、本発明では、好適には、上記第2のデータ保持手段は、上記第1のインバータの出力端子と第2の記憶ノードとの間に設けられ、上記第2のクロック信号に応じて導通または遮断し、導通時に上記第1のインバータの出力端子から出力されたデータを上記第2の記憶ノードに入力する第2の転送ゲートと、上記第2の記憶ノードに接続され、上記第2の転送ゲートを介して入力されたデータを保持する第2のキャパシタとを有する。また、上記第2のデータ保持手段において、入力端子が上記第2の記憶ノードに接続されている第2のインバータをさらに有する。
【0009】
また、本発明では、好適には、上記データ出力手段は、上記第1のインバータの出力端子とデータ線との間に設けられ、データ読み出し信号に応じて導通または遮断し、導通時に上記第1のインバータの出力端子からの出力データを上記データ線に出力するデータ出力ゲートを有する。
【0010】
また、本発明では、好適には、上記データ線と上記第2の記憶ノードとの間に設けられ、データ書き込み信号に応じて導通または遮断し、導通時に上記データ線のデータを上記第2の記憶ノードに入力するデータ入力ゲートをさらに有し、好ましくは、上記制御手段は、上記データ入力ゲートが上記データ線から上記第2の記憶ノードにデータを入力するとき、上記第2の転送ゲート遮断状態に保持させる
【0011】
また、本発明では、好適には、上記データ記憶部には、連続して入力される少なくとも第1と第2の2つのフレームの画像信号が記憶され、上記データ処理部は、上記データ記憶部に記憶されている上記2つのフレームの画像信号のうち、上記第2のフレームの所定の位置にある注目ブロックと上記第1のフレームにある所定の探索領域において、ブロックマッチング処理によって上記探索領域における上記注目ブロックに画素成分がもっとも近い領域を探索し、当該探索結果に応じて、上記注目ブロックの動きベクトルを求める。
【0012】
また、本発明では、好適には、上記データ処理部は、上記第2のフレームにおける注目ブロックに対応する各画素のデータを記憶するデータ記憶セルからの読み出しデータを保持する注目ブロックレジスタと、上記第1のフレームにおける探索領域に対応する各画素のデータを記憶するデータ記憶セルからの読み出しデータを上記注目ブロックと同じ大きさのブロック単位に分割して保持する複数の探索領域レジスタと、上記注目ブロックレジスタの各画素データと上記各探索領域レジスタの各画素のデータとに基づき、各画素毎に画素データの差の絶対値の和を求める演算手段と、上記探索領域における各探索位置毎に算出された上記注目ブロックレジスタと上記探索領域レジスタの全画素データの差の絶対値の和がもっとも小さい探索位置の座標に基づき、上記注目ブロックの動きベクトルを算出する手段とを有する。
【0013】
また、本発明では、好適には、上記データ処理部は、上記データ記憶部において新しい画素データが入力される度に上記ブロックブロックマッチング処理を行い、上記注目ブロックの動きベクトルを求める。
【0014】
また、本発明では、好適には、上記データ記憶部には、連続して入力される少なくとも第1、第2と第3の3つのフレームの画像信号が記憶され、上記データ処理部は、上記データ記憶部に記憶されている3つのフレームの画像データに基づき、画像の所定の特性を抽出する第1の演算手段と、上記第1の演算手段によって抽出された上記画像の特性に基づいて設定された最適なフィルタ係数を用いて、上記画像データに対して所定のフィルタ処理を行う第2の演算手段とを有する。好ましくは、上記第1の演算手段は、上記画像データに基づき、クラス分類処理を行う。
【0015】
また、本発明では、好適には、上記データ記憶部には、連続して入力される少なくとも第1と第2の2つのフレームの画像信号が記憶され、上記データ処理部には、上記データ記憶部に記憶されている上記画像信号に応じて、上記画像の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、上記特徴量抽出手段によって抽出した上記特徴量に応じて、上記特徴量に対応する適応アドレスを生成する適応アドレス生成手段と、上記適応アドレス生成手段によって生成された上記適応アドレスに応じて、上記データ記憶部から所定の画素データを読み出し、当該読み出したデータに応じて、上記画像信号を処理する処理手段とを有する。
【0016】
また、本発明では、好適には、上記特徴量抽出手段によって抽出した上記特徴量に応じて、上記データ記憶部から読み出した画素データから所定の画素データを選択する選択手段を有する。
【0017】
さらに、本発明では、好適には、上記処理手段は、上記特徴量抽出手段によって抽出した特徴量及び上記適応アドレスに応じて、第1と第2のフレームから読み出した所定の画素データに応じて、上記画像信号の動きベクトルを求める。
【0018】
本発明によれば、第1のデータ保持手段と第2のデータ保持手段からなる複数のデータ記憶セルが直列接続されてなるデータ記憶部を用いて、入力端子から順次入力されたデータを各データ記憶セルを介して転送しながら保持し、複数のデータ記憶セルに保持されているデータをデータ線を介して同時に外部に出力し、データ処理部において、データ記憶部から同時に読み出した複数のデータに応じて、所定の信号処理が行われる。
【0019】
また、データ記憶部に、例えば、連続した2つの画像フレームにおいて、各画素毎に入力された画像データを保持しながら順次シフトすることで、データ記憶部の所定の位置にあるデータ記憶セルからの読み出しデータに基づき所定の探索処理を行うことによって、画素データの入力に伴って探索領域を順次ずらしながら探索処理を行うことができ、大量の画像データを高速に扱うことができ、画像処理の効率化が実現可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
第1実施形態
図1は本発明に係るデータ処理装置の第1の実施形態を示す構成図である。
本実施形態のデータ処理装置は、例えば、画像データを処理する画像データ処理装置である。図1に示すように、本実施形態のデータ処理装置は、データ記憶部100と、データ処理部120とによって構成されている。
【0021】
データ記憶部100は、外部から入力された各画素の画像データを記憶する複数のデータ記憶セルによって構成されている。各データ記憶セルは、入力された画像データを保持し、保持した画像データをデータ処理部120に出力する。
【0022】
データ処理部120は、データ記憶部100から入力された画像データに応じて所定の信号処理を行う。例えば、データ記憶部100には、連続する2フレームの画像データを記憶されている場合、データ処理部120は、前フレームの画像データにおける所定の探索範囲と現フレームにおける所定の注目ブロックの画像データとを比較することによって、2つのフレーム間における画像の動き推定を行う。
【0023】
次に、本実施形態のデータ記憶部100を構成するデータ記憶セル10の構成について説明する。
図2は、データ記憶セルの一構成例を示している。図2(a)は、データ記憶セル10の回路図であり、図2(b)は、データ記憶セル10の構成を簡略化して表示した模式図である。
【0024】
図2(a)に示すように、データ記憶セル10は、トランスファゲートTG1,TG2、キャパシタC1,C2、インバータINV1,INV2及びワードゲートWGによって構成されている。トランスファゲートTG1とTG2は、例えば、nMOSトランジスタによって構成され、トランスファゲートTG1のゲートにクロック信号CK1が印加され、トランスファゲートTG2のゲートにクロック信号CK2が印加される。このため、クロック信号CK1がハイレベルのとき、トランスファゲートTG1が導通し、それ以外のとき遮断する。同様に、クロック信号CK2がハイレベルのとき、トランスファゲートTG2が導通し、それ以外のとき遮断する。
【0025】
インバータINV1とINV2は、それぞれゲート同士が共通に接続され、電源電圧VCCと共通電位VSS間に直列接続されているpMOSトランジスタとnMOSトランジスタによって構成されている。ワードゲートWGは、nMOSトランジスタによって構成されている。図示のように、ワードゲートWGのゲートがワード線WLに接続されている。このため、ワード線WLがハイレベルに保持されているとき、ワードゲートWGが導通し、第1の記憶ノードND1の保持データの論理反転データがビット線BLに出力される。
【0026】
図2(b)に示す模式図に示すように、トランスファゲートTG1は、入力端子11と第1の記憶ノードND1との間に設けられ、キャパシタC1は記憶ノードND1と基準電位間に接続され、インバータINV1の入力端子が第1の記憶ノードND1に接続され、その出力端子とビット線との間にワードゲートWGが設けられている。
トランスファゲートTG2はインバータINV1の出力端子と第2の記憶ノードND2との間に設けられている。キャパシタC2は、第2の記憶ノードND2と基準電位との間に接続され、インバータINV2の入力端子は第2の記憶ノードND2に接続され、出力端子はデータ記憶セルの出力端子12に接続されている。
【0027】
上述したように、本実施形態のデータ記憶セルは、直列に配置されている2つの記憶段を有する、いわゆるマスタ−スレーブ構成を有する。各記憶段にキャパシタによって記憶ノードのデータが保持されるダイナミック記憶方式を取っている。このため、各記憶ノードのデータ保持時間に限界がある。各記憶ノードの最大保持時間は、主としてトランスファゲートのジャンクションリークとキャパシタ容量で決まる時定数、及び記憶ノードに接続されているインバータのしきい値などによって決定される。設計上、各記憶ノードに必要なデータ保持時間、動作電源電圧VCC、及び他のパラメータに基づき、キャパシタC1及びC2の容量が決定される。
【0028】
また、データ記憶セルの読み出しは、第1の記憶ノードに接続されているインバータINV1の出力側より、ワードゲートWGを介して行われるので、読み出しによって第1の記憶ノードの記憶データの破壊を生じることがない。このため、DRAMで必要なリフレッシュ動作が不要であり、その伴う制御回路も省略でき、回路構成の簡略化ができる。
【0029】
本実施形態のデータ記憶部100は、図2に示すデータ記憶セルを複数直列接続して構成されている。
図3は、データ記憶部100の一部分を示す回路図である。図3において、前後に接続されている2つのデータ記憶セル10−1と10−2からなる部分回路を示している。
【0030】
図3に示すように、データ記憶部100において、前段のデータ記憶セル10−1の出力端子が後段のデータ記憶セル10−2の入力端子に接続されている。なお、図3には示していないが、後段のデータ記憶セル10−2の出力端子がさらに次のデータ記憶セルの入力端子に接続されている。また、データ記憶セル10−1が一段目にある場合、その入力端子がインバータINV0の出力端子に接続されている。なお、インバータINV0の入力端子に、例えば、画像データが入力される。
なお、図3に示すデータ記憶部100において、初段のデータ記憶セルの入力側に接続されているインバータINV0が省略できる。この場合、各データ記憶セルの出力データが入力データに対して論理が反転になる。
【0031】
また、各段データ記憶セルにおいて、トランスファゲートTG1とTG1’のゲートにクロック信号CK1が供給され、トランスファゲートTG2とTG2’のゲートにクロック信号CK2が供給される。
さらに、前段のデータ記憶セル10−1のワードゲートがビット線BL1に接続され、後段のデータ記憶セル10−2のワードゲートがビット線BL2に接続されている。
【0032】
図4は、図3に示すデータ記憶部100の動作を示すタイミングチャートである。以下、図3及び図4を参照しつつ、本実施形態のデータ記憶部100の動作について説明する。
【0033】
図4(a)と(b)は、それぞれクロック信号CK1とCK2のタイミングを示している。図示のように、クロック信号CK1とCK2は周期的に入力される狭いパルス幅を持つパルス信号である。クロック信号CK1とCK2の周期が等しく、位相が異なる。クロック信号CK2のパルスに続いてクロック信号CK1のパルスが入力される。
【0034】
図4(c)はデータ記憶部100の入力データを示している。また、図4(d)、(e)、(f)及び(g)は、それぞれデータ記憶セル10−1のキャパシタC1,C2及びC1’,C2’の保持データを示している。
図4(c)に示すように、データ記憶部100に、クロック信号CK1またはCK2に同期して、データa,b,c,d,eが順次入力される。
【0035】
ここで、初期状態としてデータ記憶部100にデータaが入力され、これに応じてインバータINV1によって反転された入力データ/a(ここで、“/”はデータの論理反転を意味する)がデータ記憶セル10−1に入力され、キャパシタC1によって保持される。また、データ記憶セル10−1のキャパシタC2によって、データzが保持され、これに応じてデータ記憶セル10−2のキャパシタC1’によって、データ/zが保持される。また、キャパシタC2’によって、データyが保持されている。
【0036】
まず、クロック信号CK2の立ち上がりエッジにおいて、データ記憶セル10−1と10−2のトランスファゲートTG2とTG2’が導通する。
このため、データ記憶セル10−1において、キャパシタC1の保持データ/aがインバータINV1によって反転され、キャパシタC2に入力される。
また、データ記憶セル10−2において、キャパシタC1’の保持データ/zがインバータINV1によって反転され、キャパシタC2’に入力される。
【0037】
次に、クロック信号CK2のパルスが終了したのち、クロック信号CK1が立ち上がる。その立ち上がりエッジにおいて、データ記憶セル10−1と10−2のトランスファゲートTG1とTG1’が導通する。
このため、データ記憶セル10−1において、インバータINV0の出力端子のデータ/bがキャパシタC1に入力され、キャパシタC1によって保持される。
また、データ記憶セル10−2において、データ記憶セル10−1のキャパシタC2の保持データaがインバータINV2によって反転され、キャパシタC1’に入力される。即ち、キャパシタC1’によってデータ/aが保持される。
【0038】
上述したように、クロック信号CK2とCK1のパルスが交互に入力されることによって、データ記憶部100に入力されるデータa,b,c,d及びeが順次にデータ記憶セル10−1に取り込まれ、次段のデータ記憶セル10−2に転送される。
【0039】
図4(h)と(i)は、それぞれデータ記憶セル10−1と10−2からビット線BL1とBL2に出力されるデータを示し、図4(j)は、ワード線WLに印加される読み出し信号の波形を示している。
【0040】
ワード線WLに印加される読み出し信号SR がハイレベルのとき、データ記憶セル10−1と10−2のワードゲートWGが導通するので、データ記憶セル10−1において、キャパシタC1の保持データがインバータINV1によって反転され、ビット線BLに出力される。また、データ記憶セル10−2において、キャパシタC1’の保持データがインバータINV1’によって反転され、ビット線BL2に出力される。
【0041】
ワード線WLに印加される読み出し信号SR がクロック信号CK1とCK2に同期するので、図4(h)と(i)に示すように、ワード線WLに印加される読み出し信号SR の立ち上がりエッジにおいて、データ記憶セル10−1のキャパシタC1に保持されているデータの論理反転データb,c,d,eが順次ビット線BL1に出力され、一方、ビット線BL1の出力データよりクロック信号1周期分遅れて、データ記憶セル10−2のキャパシタC1’に保持されているデータの論理反転データa,b,c,dが順次ビット線BL2に出力される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態のデータ記憶部100において、クロック信号に同期して入力されるデータが直列接続されているデータ記憶セルによって順次出力側にシフトされ、そして、所定のタイミングでワード線WLにハイレベルの読み出し信号SR を印加することによって、当該読み出し信号SR の入力タイミングに応じてワードゲートが開き、それぞれのデータ記憶セルのキャパシタによって保持されたデータの論理反転データがワードゲートを介してビット線に出力される。
これによって、データ記憶部100に保持されているデータのうち、複数のデータを同時に外部に出力される、いわゆるマルチアクセスを実現できる。また、図3に示すように、本実施形態のデータ記憶部100において、マルチアクセスを実現するために回路構成を大幅に増加させることなく、簡素な回路で大量の入力データを保持し、さらに保持したデータを順次シフトしながら、複数のデータに対して同時に読み出すことが可能となる。
【0043】
次に、本実施形態のデータ処理装置を画像信号処理に適用した応用例について説明する。
この応用例は、隣接する2フレームの画像信号において、動き推定を行うための探索処理を行う。即ち、前フレームの画像信号に設けられた探索範囲において、現フレームの所定の画像ブロックが探索範囲内どの位置にあるかを調べて、それに応じて動きベクトルを求める処理である。なお、この動き推定は、高効率化画像圧縮処理、例えば、動画像圧縮処理の規格であるMPEG(Moving Picture Experts Group)2,MPEG4で定められた動きベクトル推定などには必要不可欠な処理である。
【0044】
図5は、前フレームにおける探索範囲SAと現フレームにおける注目ブロックBK0との位置関係を示している。図示のように、現フレームにある注目ブロックBK0に対して、前フレームに当該注目ブロックBK0に対応する探索範囲SAが設けられる。本実施形態のデータ処理装置は、当該探索範囲SAにおいて、現フレームの注目ブロックBK0にもっとも近いブロックを探索し、当該探索の結果に応じて注目ブロックBK0の動きベクトルを求める。なお、図5に示すように、注目ブロックBK0と探索範囲SAとの相対的な時空間の位置関係が一定に保たれる。即ち、注目ブロックBK0が移動しても、それに対して探索範囲SAの相対的な位置関係は変化しない。一例として、現フレームにおける注目ブロックBK0の位置が前フレームにおける探索範囲SAの中心に位置するように、探索範囲SAが決められる。
【0045】
ここで、入力される画像信号は、所定の画素数を持つ一フレームの画像信号をライン毎に走査し、走査点に対応する画素の画像データを順番に出力することによって得られたストリームの画像信号である。このストリームの画像信号が順次データ記憶部100に入力される。データ記憶部100において、入力された画像データが直列接続されているデータ記憶セルによって次々と転送される。そして、所定のデータ記憶セルから保持されているデータを読み出すことによって、1フレームの画像上所定の位置にある画素データが外部に読み出される。
上述したように、本実施形態のデータ処理装置において、複数のデータ記憶セルから同時に保持データを読み出すことができるため、ブロック単位でのデータ処理を効率的に実行できる。
【0046】
以下、本実施形態のデータ処理装置における動きベクトルの探索処理について説明する。
図6は、フレーム単位で入力される画像データ及び画像データがデータ記憶部100に格納されているときの様子を示している。ここで、連続する2つのフレームの画像がデータ記憶部100によって格納されていると仮定する。この場合、データ記憶部100は、少なくとも2フレーム分の画像データを記憶できるように、データ記憶セルの数が設定される。
【0047】
図6に示すように、1フレーム画像において、ライン毎に走査される各画素のデータが順次データ記憶部100に格納される。即ち、各フレームの画像信号が、いわゆるラスタースキャン処理によってストリームの画像データに変換され、空間的な位置関係が時間軸上に置き換えられる。
なお、本実施形態のデータ処理装置は、ラスタースキャン方式のみならず、他のスキャン方式、例えば、インタレーススキャンで得られた画像データをも処理できる。ただし、インタレーススキャン方式の場合、一フレームの画像データが奇数フィールドと偶数フィールドに分けて順次入力されるので、一フレーム上の所定の領域の画像データがライン毎に2つのフィールドに分割されて、データ記憶部100に格納される。
【0048】
図6において、スキャンされた各画素のデータがデータ記憶部100に順次入力され、そこで各データ記憶セルによって保持され、転送される。
ここで、一例として現フレームの注目ブロックBK0は、水平方向に3画素、垂直方向3画素、合計9画素分に対応する。これらの9画素分のデータが、3つのラインにわたってデータ記憶部100に保持される。
また、前フレームの探索範囲SAは、例えば、水平方向に9画素、垂直方向に9画素、合計81画素分に対応する。これらの81画素分のデータが、9つのラインにわたってデータ記憶分100に保持される。
【0049】
図7は、注目ブロックBK0の画素及びこれらの画素のデータがデータ記憶部100に記憶された位置を示している。
図7(a)は、3×3の画素を含む注目ブロックBK0の各画素の配置を示し、図7(b)は、これらの画素に対応するデータ記憶部100のデータ格納位置を示している。
【0050】
図7(a)に示すように、注目ブロックBK0は、9つの画素p1〜p9によって構成されている。ラスタースキャンによってこれらの画素が3ライン分に渡ってデータ記憶部100に格納される。
図7(b)に示すように、注目ブロックBK0の1行目の画素p1,p2とp3は、データ記憶部100の所定の位置に保持され、画素p1から1ライン離れた位置に、2行目の画素p4,p5とp6が順次格納されている。さらに、画素p4から1ライン離れた位置に、3行目の画素p7,p8とp9が順次格納されている。
【0051】
各画素に対応する画素データは、画像信号のフォーマットに応じて複数ビットを有するので、データ記憶部100は、各画素データのビット数に応じてデータ記憶セルの列を複数並列に設ければよい。
例えば、画像信号がR,G,Bの3色で表示され、且つ各色に8ビットずつ割り当てられた場合、1つの画素に24ビットのデータが割り当てられる。この場合、データ記憶部100は、直列接続されたデータ記憶セルの列を少なくとも24本並列に用いなければならない。
また、画像信号が輝度信号Yと色信号Cによって表示され、輝度信号Yと色信号Cにそれぞれ8ビットずつ割り当てられた場合、1つの画素に16ビットのデータが割り当てられる。この場合、データ記憶部100は、直列接続されたデータ記憶セルの列を少なくとも16本並列に用いればよい。
【0052】
次に、注目ブロックBK0を用いて、前フレームの指定された探索範囲SAにおける探索処理及び当該探索処理によって求められる動きベクトルの一例を、図8及び図9を参照しつつ説明する。
図8は、注目ブロックBK0及び探索範囲SAを示し、図9は、動き検出処理によって求められる動きベクトルを示している。
【0053】
図8に示すように、注目ブロックBK0は9つの画素p1,p2,…,p9で構成されている。探索範囲SAは、垂直、水平方向にそれぞれ注目ブロックBK0の3倍の幅を持つ画像領域、即ち、9×9の画素からなり、これらの画素は、9つのブロックBK1,BK2,…,BK9に分けられる。
動き検出は、ブロックマッチング処理によって行われる。即ち、注目ブロックBK0を用いて、探索範囲SAの中水平と垂直方向に1画素ずつずらしながら、全画素データの差分値の絶対値の和(以下、便宜上差分値の和と簡略して表記する)を求め、当該差分値の和がもっとも小さい位置を探す。こうして求められた差分値の和がもっとも小さい位置に応じて動きベクトルが計算される。
【0054】
図9は、動きベクトルMVを例示している。図示のように、ここで、探索範囲SAの中心を座標原点として、横軸u、縦軸vからなる座標系が形成される。このu−v座標系において動きベクトルが表示される。なお、図9において、横軸uは通常の座標系と逆に、左方向が正の値、右方向に負の値を示す。
【0055】
動き検出処理において、探索位置を探索範囲SAにおいて左上から右下に1画素ずつずらしながら、各探索位置において注目ブロックBK0と探索範囲SAにある同じ大きさの領域内の全画素の画素データの差分値の和が求められ、差分値の和がもっとも小さい位置に対応するベクトルが動きベクトルMVとして出力される。このため、動き検出処理において、各探索位置における全画素データの差分値の和及びそれに対応するベクトルが記憶され、探索範囲SAのすべての探索位置に対して差分値の和の演算処理を行ったあと、各探索位置における全画素の差分値の和がもっとも小さい値が検出され、この値に対応する位置座標によって動きベクトルMVが検出される。
【0056】
ここで、例えば1番左上の探索位置の座標が(3,3)で表記され、それより右へ1画素分ずらした位置の座標が(2,3)で表記される。同じラインにおいてもっとも右側の探索位置の座標が(−3,3)で表記される。そして、垂直方向に1画素分ずらした探索位置のv座標値が上記より1つ下がって2となるので、この行の探索位置の座標値は、(3,2),(2,2),…,(−3,2)によって表示される。同様に各探索位置の座標値が決まり、探索範囲SAの中一番右下の探索位置の座標値が(−3,−3)によって表記される。
【0057】
探索処理において、上述した各探索位置で計算した差分値の和及びその探索位置を示す座標値が関連づけて記憶されるので、探索範囲SAのすべての探索位置に対して差分値の和の計算が終了したとき、各探索位置における全画素の差分値の和の最小値が求められ、それに対応した座標位置が動きベクトルMVとして出力される。
図9に示すように、探索対象となるベクトルは、(u,v)座標系において全部で7×7、即ち49通りがある。
【0058】
探索処理によって求められた動きベクトルMVの値に応じて、注目ブロックBK0が前フレームと現フレームの間の移動方向、移動距離が分かる。例えば、動きベクトルMV=(0,0)のとき、注目ブロックBK0は前フレームと現フレームにおいて同じ位置にあり、即ち注目ブロックBK0が動いていない。また、動きベクトルMV=(3,1)のとき、前フレームと現フレームの間、注目ブロックBK0が水平方向に3画素分、垂直方向に1画素分移動したことが分かる。
【0059】
次に、本実施形態のデータ処理装置における動きベクトル推定処理の動作について説明する。
図10は、本実施形態のデータ処理装置の動きベクトル推定処理を示すフローチャートである。さらに、図11〜図19は、本実施形態のデータ処理装置における動きベクトル推定処理の各ステップの動作を示す図である。なお、本実施形態の動きベクトル推定処理は、例えば、図1に示すデータ処理部120によって実施される。
以下、これらの図面を参照しつつ、動きベクトル推定処理の各ステップについて順次説明する。
【0060】
図10に示すように、本実施形態のデータ処理装置において、探索範囲SAに対して1ライン毎に1画素ずつ探索開始位置をずらしながら、ブロックマッチング処理が行われる。なお、ブロックマッチング処理は、現フレームの注目ブロックBK0と探索範囲SAにおける探索開始位置を基準点とする同じ大きさのブロックとの画素毎の比較が行われ、比較対象ブロックのすべての画素データの差分値の和が算出される。
【0061】
上述したブロックマッチング処理は、画素データの入力に伴って探索範囲SAにおけるすべての探索位置に対して順次行われる。即ち、画素入力に伴って、探索位置が1画素分ずつ移動するので、同じ探索位置に対してブロックマッチング処理を行った結果、探索範囲SAにおいて1画素ずつ移動しながらブロックマッチングが実施される。
次に、図11〜図19を参照しつつ、動きベクトル推定処理の各ステップについて説明する。
【0062】
まず、図11を参照しつつ、探索範囲SAの1ライン目における1画素目からのブロックマッチング処理について説明する。
図11に示すように、現フレームに注目ブロックBK0に対応して、前フレームに9×9画素の探索範囲SAが指定されたとする。探索範囲SAにおいて、9×9画素は、注目ブロックBK0と同じ大きさを持つ9つのブロックに分割されている。図11において、これらの分割されたブロックは、番号1〜9によって表記されている。
【0063】
図示のように、前フレームにおいて、データ記憶部100の所定の位置に探索範囲SAのブロック1の1行目の各画素のデータが順次格納されている。それに続いてブロック2の1行目及びブロック3の1行目の各画素のデータが順次格納されている。
そして、ブロック1の最初の画素の記憶場所から1ライン離れた場所に、ブロック1の2行目の各画素のデータが順次格納され、それに続いて、ブロック2の2行目の各画素、ブロック3の2行目の各画素のデータが順次格納されている。このように、データ記憶部100における前フレームの画像データの記憶領域において、9ライン分にわたって探索範囲SAのすべての画素のデータが記憶されている。
【0064】
図11に示すように、探索範囲SAの各画像データを記憶するデータ記憶セルにビット線がそれぞれ接続されている。各データ記憶セルの記憶データがワードゲートを介してビット線に読み出すことができる。
図示のように、データ記憶部100の所定の位置から、ブロック1の1行目の各画素のデータが読み出され、また、1行目から画素データの読み出し位置から、1ライン離れたデータ記憶セルから、ブロック1の2行目の各画素のデータが読み出される。そして、さらに1ライン離れたデータ記憶セルから、ブロック1の3行目の各画素のデータが読み出される。
【0065】
このように、探索範囲SAのブロック1の各画素のデータが読み出される。また、同様に、ブロック2〜ブロック9のそれぞれの画素のデータが読み出される。即ち、データ記憶部100のそれぞれのデータ記憶セルに、ワードゲートを介して接続されているビット線がタップとして機能する。これらのタップによって所望のデータ記憶セルからそれに格納されている画素データを外部に読み出すことが可能である。
【0066】
上述したように、探索範囲SAの各ブロックが画素データがデータ記憶部100から外部に読み出すことができる。読み出した各画素のデータがブロックマッチング処理のためにそれぞれ所定のメモリまたはレジスタに格納される。なお、各ブロックの画素データを格納するメモリまたはレジスタのデータ長は、1画素のビット長×9である。ここで、1画素のビット長は、前述したように画像信号のフォーマットによって異なる。図11において番号R1〜R9で示されているブロックは、ブロック1〜9の画素を格納するレジスタを示している。
【0067】
次に、現フレームにおける注目ブロックBK0の画素データの読み出しについて説明する。図11に示すように、現フレームの画素データを格納するデータ記憶部100の所定の位置にあるデータ記憶セルに、注目ブロックBK0の1行目の3画素分のデータが格納されている。この位置から1ライン離れた場所に、注目ブロックBK0の2行目の3画素分のデータが格納されている。さらに、1ライン離れた場所に、注目ブロックBK0の3行目の3画素分のデータが格納されている。
【0068】
図11に示すように、これらのデータ記憶セルに接続されているビット線を介して注目ブロックBK0の各画素のデータが読み出される。なお、注目ブロックBK0の各画素のデータが次の探索処理にも利用されるので、データ処理部120に設けられたメモリまたはレジスタに記憶される。図11において、番号R0で示されているブロックは、例えば、注目ブロックBK0の各画素のデータを格納するレジスタを示している。
【0069】
次に、ステップS1の処理について説明する。ステップS1では、探索範囲SAにおける1行目の1画素目からのブロックマッチング処理が行われる。
このとき、レジスタR1の格納データは、動きベクトル(u,v)=(3,3)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR2の格納データは、動きベクトル(0,3)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR3の格納データは、動きベクトル(0,−3)に対応するブロックマッチング用データ、以下同様、最後にレジスタR9の格納データは、動きベクトル(−3,−3)に対応するブロックマッチング用データである。
【0070】
この状態で、レジスタR0の格納データとレジスタR1〜R9それぞれの格納データとの差分値の絶対値が計算され、9画素分の差分値の絶対値の和が計算され、計算結果において最小となる差分値の和とそれに対応するベクトルがデータ処理部120によって記録される。
【0071】
次に、図12を参照しつつ、ステップS2の処理について説明する。
図12に示すように、データ記憶部100に、新しく1画素分のデータが入力されると、データ記憶部100において、各データ記憶セルのデータが1画素分だけ右にシフトする。
【0072】
この状態において、ステップS1と同様に探索範囲SAの各ブロックに対応するレジスタR1〜R9にそれぞれ画素データが取り込まれる。一方、注目ブロックBK0に対応するレジスタR0のデータは更新せず、前回のデータがそのまま用いられる。
こうしてレジスタR1〜R9に取り込まれたデータは、ステップS1に比べて1画素分ずれたことになる。図12に、1画素シフトしたとき画像上の探索範囲SAの位置関係を示している。図示のように、探索範囲SAは、1画素分左側にずれた。
【0073】
このとき、レジスタR1の格納データは、動きベクトルの(2,3)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR2の格納データは、動きベクトルの(−1,3)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR4の格納データは、動きベクトルの(2,0)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR5の格納データは、動きベクトルの(−1,0)に対応するブロックマッチング用データである。同様に、レジスタR7の格納データは、動きベクトルの(2,−3)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR8の格納データは、動きベクトルの(−1,−3)に対応するブロックマッチング用データである。
【0074】
また、このとき、レジスタR3,R6とR9の格納データは、それぞれ動きベクトルの(−4,3),(−4,0)及び(−4,−3)に対応するブロックマッチング用データである。しかし、本実施形態のデータ処理装置は、−3から3までの範囲で動きベクトルを計算するので、レジスタR3,R6とR9によって算出される動きベクトルは、この範囲から外れたため、ステップS2では、レジスタR3,R6とR9について動きベクトルの計算を行わない。
【0075】
即ち、ステップS2において、本実施形態のデータ処理装置は、レジスタR3,R6とR9を除く他の6つのレジスタについてそれぞれレジスタR0に格納されている注目ブロックBK0の全画素データとの差分値の和が計算され、この差分値の和がステップS1で計算された値より小さければ、この値とそれに対応するベクトルによって、ステップS1の記録が更新される。逆に、ステップS2で算出された差分値の和の最小値がステップS1のの記録値よりも大きい場合、記録値の更新はしない。
【0076】
次に、図13を参照しつつ、ステップS3の処理について説明する。
ステップS3では、さらに1画素のデータが入力され、データ記憶部100において各データ記憶セルのデータが1画素分だけ右にシフトする。そして、図13に示すように、レジスタR1〜R9に格納されているデータは、ステップS1の状態に比べて2画素分ずれたことになる。
【0077】
このとき、レジスタR1の格納データは、動きベクトルの(1,3)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR2の格納データは、動きベクトルの(−2,3)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR4の格納データは、動きベクトルの(1,0)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR5の格納データは、動きベクトルの(−2,0)に対応するブロックマッチング用データである。同様に、レジスタR7の格納データは、動きベクトルの(1,−3)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR8の格納データは、動きベクトルの(−2,−3)に対応するブロックマッチング用データである。
【0078】
また、このとき、レジスタR3,R6とR9の格納データに対応するベクトルは計算の範囲を外れたため、ここで、レジスタR3,R6とR9を除く他の6つのレジスタについてそれぞれレジスタR0に格納されている注目ブロックBK0の全画素データとの差分値の和が計算され、この差分値の和がステップS2で計算された値より小さければ、この値とそれに対応するベクトルによって、ステップS2の計算結果が更新される。逆に、ステップS3で算出された差分値の和の最小値がステップS2の記録値よりも大きい場合、計算結果の更新はしない。
【0079】
上述したステップS1,S2及びS3の処理によって、1つの注目ブロックBK0に対して49通りのベクトルのうち、21通りのベクトルについて評価が行われた。次に、残りのベクトルの評価について説明する。
【0080】
図14、15と16は、ステップS4〜S6の処理、即ち、探索範囲SAにおける2ライン目の各画素より行われるベクトル評価の処理を示している。
まず、図14を参照しつつステップS4の処理について説明する。
なお、図14に示す処理は、上記図11に示すステップS1の処理より、さらに1ライン分の画素データが入力された時点で行われる。
【0081】
図14に示すように、このとき、注目ブロックBK0のデータが現フレームのデータを格納するデータ記憶部100において、最初のステップS1のときより、1ライン分シフトした位置に格納されている。このため、注目ブロックBK0の画素データを格納するレジスタR0には、1ライン分ずらしたタップから読み出された画素データが格納される。即ち、注目ブロックBK0のデータの移動に追いかけてデータの取り込みが行われる。なお、このとき、レジスタR0に取り込まれたデータが事実上変更されないので、上記ステップS1〜S3で使用されていたレジスタR0の格納データをそのまま使用することも可能である。
【0082】
一方、レジスタR1〜R9に、上述したステップS1〜S3の処理と同じタップを用いて画素データの取り込みが行われる。その結果、図14に示すように、レジスタR1〜R9に取り込まれた画素データは、本来の探索範囲SAから垂直方向に1ライン分下にずれている。
【0083】
従って、この状況において、レジスタR1の格納データは、動きベクトルの(3,2)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR2の格納データは、動きベクトルの(0,2)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR3の格納データは、動きベクトルの(−3,2)に対応するブロックマッチング用データである。また、レジスタR4の格納データは、動きベクトルの(3,−1)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR5の格納データは、動きベクトルの(0,−1)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR6の格納データは、動きベクトルの(−3,−1)に対応するブロックマッチング用データである。
【0084】
一方、このとき、レジスタR7,R8とR9の格納データがそれぞれ動きベクトルの(3,−4),(0,−4)及び(−3,−4)に対応し、動きベクトルの探索範囲SAから外れたので、ステップS4において、これらのレジスタの格納データについて動きベクトルの評価を行わない。
【0085】
このように、ステップS4においてレジスタR1〜R6の6つのレジスタの格納データについて、それぞれレジスタR0に格納されている注目ブロックBK0の全画素データとの差分値の和が計算され、この差分値の和がこれまでに計算された最小値よりさらに小さければ、この値とそれに対応するベクトルによって、動きベクトルの推定結果の記録が更新される。
【0086】
次に、図15を参照しつつ、ステップS5の処理について説明する。
ステップS5では、ステップS4に比べて、さらに1画素分のデータが入力され、データ記憶部100において各データ記憶セルのデータが1画素分だけ右にシフトする。
【0087】
このとき、前フレームの画素データが前の各ステップのときと同じように、決められたタップから読み出され、それぞれレジスタR1〜R9に格納される。このため、このときレジスタR1〜R9の格納された画素データがステップS4のときに比べて、1画素分右にシフトした。
なお、このとき、レジスタR0に格納された画素データが更新せず、そのまま使用される。
【0088】
この状態において、レジスタR1の格納データは、動きベクトルの(2,2)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR2の格納データは、動きベクトルの(−1,2)に対応するブロックマッチング用データであり、同様に、レジスタR3の格納データは、動きベクトルの(2,−1)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR4の格納データは、動きベクトルの(−1,−1)に対応するブロックマッチング用データである。それ以外のレジスタの格納データに対応するベクトルがすべて評価の範囲から外れた。
【0089】
このため、ステップS5では、レジスタR1,R2,R4とR5の格納データについてのみ、レジスタR0に格納された注目ブロックBK0の画素データとのブロックマッチング処理によって、ベクトルの評価を行う。当該評価の結果に応じて、動きベクトルの推定結果の記録が更新される。
【0090】
次に、図16を参照しつつ、ステップS6の処理について説明する。
ステップS6では、ステップS5に比べて、さらに1画素分のデータが入力され、データ記憶部100において各データ記憶セルのデータが1画素分だけ右にシフトする。
【0091】
このとき、前回と同じように、決められたタップから読み出された各ブロックの画素データがレジスタR1〜R9に格納される。このため、R1〜R9の格納された画素データがステップS5のときに比べて、さらに1画素分右にシフトした。
なお、このとき、レジスタR0に格納された画素データが更新せず、そのまま使用される。
【0092】
この状態において、レジスタR1の格納データは、動きベクトルの(1,2)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR2の格納データは、動きベクトルの(−2,2)に対応するブロックマッチング用データであり、同様に、レジスタR3の格納データは、動きベクトルの(1,−1)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR4の格納データは、動きベクトルの(−2,−1)に対応するブロックマッチング用データである。それ以外のレジスタの格納データに対応するベクトルがすべて評価の範囲から外れた。
【0093】
このため、ステップS6では、レジスタR1,R2,R4とR5の格納データについてのみ、レジスタR0に格納された注目ブロックBK0の画素データとのブロックマッチング処理によって、ベクトルの評価を行う。当該評価の結果に応じて、動きベクトルの推定結果の記録が更新される。
【0094】
上述したステップS4〜S6の処理によって、14通りのベクトルの評価が行われる。ステップS3までの処理に合わせて、35通りのベクトルの評価が終了した。次に、残り14のベクトルの評価について説明する。
【0095】
図17〜図19は、ステップS7〜S9の処理を示している。即ち、動きベクトルを探索するための評価対象となる49通りのベクトルのうち、残り14通りのベクトルの評価を示している。
【0096】
まず、図17を参照しつつステップS7の処理について説明する。
なお、図17に示す処理は、上記図14に示すステップS4の処理より、さらに1ライン分の画素データが入力された時点で行われる。即ち、図11に示すステップS1の処理より、2ライン分の画素データが入力された時点から実施される。
【0097】
このとき、注目ブロックBK0のデータが現フレームのデータを格納するデータ記憶部100において、最初のステップS1のときより、2ライン分シフトした位置に格納されている。このため、注目ブロックBK0の画素データを格納するレジスタR0には、2ライン分ずらしたタップから読み出された画素データが格納される。即ち、注目ブロックBK0のデータの移動に追いかけてデータの取り込みが行われる。なお、このとき、レジスタR0に取り込まれたデータが事実上変更しないので、上記ステップS1〜S3及びステップS4〜S6で使用されていたレジスタR0の格納データをそのまま使用することも可能である。
【0098】
一方、レジスタR1〜R9に、上述したステップS1〜S3及びステップS4〜S6の処理と同じタップを用いて画素データの取り込みが行われる。その結果、図17に示すように、レジスタR1〜R9に取り込まれた画素データは、本来の探索範囲SAから垂直方向に2ライン分下にずれている。
【0099】
従って、この状況において、レジスタR1の格納データは、動きベクトルの(3,1)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR2の格納データは、動きベクトルの(0,1)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR3の格納データは、動きベクトルの(−3,1)に対応するブロックマッチング用データである。また、レジスタR4の格納データは、動きベクトルの(3,−2)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR5の格納データは、動きベクトルの(0,−2)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR6の格納データは、動きベクトルの(−3,−2)に対応するブロックマッチング用データである。
【0100】
一方、このとき、レジスタR7,R8とR9の格納データがそれぞれ動きベクトルの(3,−5),(0,−5)及び(−3,−5)に対応し、動きベクトルの評価範囲から外れたので、ステップS7において、これらのレジスタの格納データについてベクトルの評価を行わない。
【0101】
このように、ステップS7においてレジスタR1〜R6の6つのレジスタの格納データについて、それぞれレジスタR0に格納されている注目ブロックBK0の全画素データとの差分値の和が計算され、この差分値の和がこれまでに計算された最小値よりもさらに小さければ、この値とそれに対応するベクトルによって、動きベクトルの推定結果の記録が更新される。
【0102】
次に、図18を参照しつつ、ステップS8の処理について説明する。
ステップS8では、ステップS7に比べて、さらに1画素分のデータが入力され、データ記憶部100において各データ記憶セルのデータが1画素分だけ右にシフトする。
【0103】
このとき、前フレームの画素データが前の各ステップのときと同じように、決められたタップから読み出され、それぞれレジスタR1〜R9に格納される。このため、このときレジスタR1〜R9の格納された画素データがステップS4のときに比べて、1画素分右にシフトした。
なお、このとき、レジスタR0に格納された画素データが更新せず、そのまま使用される。
【0104】
この状態において、レジスタR1の格納データは、動きベクトルの(2,1)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR2の格納データは、動きベクトルの(−1,1)に対応するブロックマッチング用データであり、同様に、レジスタR3の格納データは、動きベクトルの(2,−2)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR4の格納データは、動きベクトルの(−1,−2)に対応するブロックマッチング用データである。それ以外のレジスタの格納データに対応するベクトルがすべて評価の範囲から外れた。
【0105】
このため、ステップS8では、レジスタR1,R2,R4とR5の格納データについてのみ、レジスタR0に格納された注目ブロックBK0の画素データとのブロックマッチング処理によって、ベクトルの評価を行う。当該評価の結果に応じて、動きベクトルの推定結果の記録が更新される。
【0106】
次に、図19を参照しつつ、ステップS9の処理について説明する。
ステップS9では、ステップS8に比べて、さらに1画素分のデータが入力され、データ記憶部100において各データ記憶セルのデータが1画素分だけ右にシフトする。
【0107】
このとき、前回と同じように、決められたタップから読み出された各ブロックの画素データがレジスタR1〜R9に格納される。このため、R1〜R9の格納された画素データがステップS8のときに比べて、さらに1画素分右にシフトした。
なお、このとき、レジスタR0に格納された画素データが更新せず、そのまま使用される。
【0108】
この状態において、レジスタR1の格納データは、動きベクトルの(1,1)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR2の格納データは、動きベクトルの(−2,1)に対応するブロックマッチング用データであり、同様に、レジスタR3の格納データは、動きベクトルの(1,−2)に対応するブロックマッチング用データ、レジスタR4の格納データは、動きベクトルの(−2,−2)に対応するブロックマッチング用データである。それ以外のレジスタの格納データに対応するベクトルがすべて評価の範囲から外れた。
【0109】
このため、ステップS9では、レジスタR1,R2,R4とR5の格納データについてのみ、レジスタR0に格納された注目ブロックBK0の画素データとのブロックマッチング処理によってベクトルの評価を行う。当該評価の結果に応じて、動きベクトルの推定結果の記録が更新される。
【0110】
上述したステップS7〜S9の処理によって、さらに14通りのベクトルの評価が行われる。ステップS6までの処理に合わせて、49通りのベクトルの評価がすべて行われた。
【0111】
以上説明したように、ステップS1〜S9の処理によって、評価対象となる49通りのベクトルがすべて評価される。そして、最後に残された動きベクトルの記録は、探索範囲SAにおいて、注目ブロックBK0の各画素に対して差分値のの和がもっとも小さいベクトル、即ち、動きベクトルの推定結果である。推定された動きベクトルに応じて、注目ブロックBK0が探索範囲SAにおける移動方向と移動距離を知ることができる。
こうして検出された動きベクトルは、例えば、動画信号の圧縮処理に適用されることによって、高圧縮率で動画信号の圧縮を実現できる。
【0112】
本発明のデータ処理装置は、上述した動きベクトル推定処理に適用する他の応用例もある。その一例として、一般の画像信号処理において、多数のタップを使用するフィルタ処理が考えられる。また、上述した動きベクトルの推定において、データ記憶部100において、合計2フレーム分程度の画素データを格納する記憶容量があれば十分であるが、データ記憶部100の記憶容量が設計上許される限り大きく取ることができる。この場合、一度に2フレーム以上の画像データを用いて画像信号処理を実施することができる。
【0113】
次に、本発明に係るデータ処理装置の第2の実施形態について説明する。
図20は、本発明のデータ処理装置の第2の実施形態の一構成例を示すブロック図である。図示のように、本実施形態のデータ処理装置は、データ記憶部100と、データ処理部120とによって構成されている。さらに、データ処理部120は、第1段演算器120−1と、第2段演算器120−2とによって構成されている。
【0114】
図20に示すように、本実施形態のデータ処理装置において、データ記憶部100には、現フレームの画像信号と、その前後のフレームの画像信号が格納されている。即ち、本実施形態の画像信号処理において、現フレーム及び現フレームの前後1フレームずつ、合計3フレーム分の画像信号が利用される。
また、データ処理部120は、第1段演算器120−1と第2段演算器120−2から構成されている。
【0115】
以下、図20を参照しつつ、本実施形態のデータ処理装置の動作について説明する。本実施形態において、3フレーム分の画像データを用いて画像信号処理を行う。そして、第1段演算器120−1と第2段演算器120−2によって、それぞれクラス分類処理と、クラス分類の結果に応じた適応型フィルタ処理が施される。
【0116】
図示のように、この処理において少なくとも3フレーム分の画像データがデータ記憶部100に格納されている。データ記憶部100に、1画素ずつ画素データが入力される。新しい画素データが入力するたびに、データ記憶部100において、各データ記憶セルのデータが後段のデータ記憶セルに転送される。これによって、合計3フレーム分の画像データがデータ記憶部100に格納される。
【0117】
データ処理部120において、例えば、現フレームの画素データとそれに続いて入力される後フレームの画素データに基づいて、第1段演算器120−1によって、前フレーム、現フレーム及び後フレームの画像データに基づき、クラス分類処理が行われる。クラス分類処理の結果が第2段演算器120−2に出力される。
第2段演算器120−2においては、第1段演算器120−1によって得られた分類結果に従って最適なフィルタ係数が選択または計算され、分類処理後の画像データに対して、求められた最適なフィルタ係数を用いてフィルタ処理が行われる。
【0118】
本実施形態によれば、データ記憶部100において、本発明のデータ記憶セルを用いて、入力される画素データを保持しながら順次転送する。さらに、データ記憶セルの保持データを出力するためのワードゲート及びワードゲートに接続されているビット線(タップ線)が設けられているため、複数のデータ記憶セルから同時にデータを読み出すことができる。このため、本実施形態のデータ処理装置において、少なくとも2つのフレームにわたって複数の画素データを同時に読み出して、クラス分類処理が行われ、その分類の結果に従って求められた最適なフィルタ係数に基づいてフィルタ処理が行われるので、同時に大量の画素データを用いて高速な画像信号処理を実現できる。
【0119】
第3実施形態
図21は本発明に係るデータ処理装置の第3の実施形態を示す構成図である。図示のように、本例のデータ処理装置は、データ記憶部100とデータ処理部120によって構成されている。データ処理部120は、セレクタ121,122、遅延回路123,124、特徴量抽出回路125、適応アドレス生成回路126、遅延回路127、及び評価値キャッシュ129によって構成されている。本実施形態のデータ処理装置は、例えば、データ記憶部100に保持されている画像データに基づき、その動きベクトルを推定する。
【0120】
以下、本実施形態のデータ処理装置の各部分の構成について説明する。
図21に示すように、データ記憶部100は、少なくとも2フレーム分の画像データを記憶する複数のタップ付きシフトレジスタによって構成されている。データ記憶部100に画素データが順次入力され、保持される。保持されている画素データが出力側に順次シフトし、出力される。
【0121】
データ記憶部100において、記憶されている画素データの特徴量を抽出するための特徴量抽出タップ、動き推定演算用(ME演算用)タップ及び外部出力用タップがそれぞれ設けられている。特徴量抽出タップから読み出されるデータは、特徴量抽出回路125に出力され、ME演算用タップから読み出されるデータは、それぞれセレクタを121、122を介してME評価演算回路に出力される。また、外部出力用タップから読み出されるデータは外部に出力され、例えば、他の画像信号処理装置に供給される。
なお、これらのデータ読み出し用タップが、各画像フレーム毎に設けられている。
【0122】
データ処理部120は、前フレームの画像データと現フレームの画像データに基づき、画像信号の特徴量を抽出し、そして、抽出した特徴量に基づき、画像データに対して所定の処理、例えば、動き推定処理を行い、フレーム間の画像信号の動きベクトルを求める。
【0123】
以下、データ処理部120の各構成部分について説明する。
特徴量抽出回路125は、特注量抽出タップから取得した前フレームの画素データと現フレームの画像データとに基づき、1フレームの画像信号において、所定の領域の画像の特徴を抽出する。抽出された特徴量は、適応アドレス生成回路126に出力されるとともに、遅延回路127を介してME評価演算回路128にも出力される。
【0124】
適応アドレス生成回路126は、特徴量抽出回路125によって抽出した特徴量に応じて、動き推定を行うための読み出しアドレスを生成し、遅延回路123を介してセレクタ121に供給するとともに、遅延回路124を介してセレクタ122にも供給する。
【0125】
セレクタ121は、ME演算用タップから読み出した現フレームにある複数の画素データのうち、適応アドレス生成回路126によって生成されたアドレスで指定された複数の画素データを選択し、ME評価演算回路128に出力する。
同様に、セレクタ122は、ME演算用タップから読み出した前フレームにある複数の画素データのうち、適応アドレス生成回路126によって生成されたアドレスで指定された複数の画素データを選択し、ME評価演算回路128に出力する。
【0126】
ME評価演算回路128は、特徴量抽出回路125によって抽出した画像の特徴量及びセレクタ121と122によって選択された画素データに応じて、1フレームの画像における所定の画像の動き推定を行う。画像の動き推定は、例えば、1フレームにある所定の探索領域において、ブロックマッチングを行い、前フレームの中にある所定の注目画像ブロックに対して、現フレームの探索領域の中にこの注目画像ブロックにもっとも近いブロックの位置を求めて、それに応じて注目画像ブロックの動きベクトルを推定する。
【0127】
評価値キャッシュ129は、ME評価演算回路128によって算出された所定の探索領域のブロックマッチングの推定値を保持し、その中から最小値をを求めて当該最小値が得られたブロックの位置から動きベクトルを求める。
【0128】
なお、遅延回路123、124及び127の遅延量は、特徴量抽出タップとME演算用タップの間に画素データがシフトするための時間に対応して設定される。これによって、特徴量抽出タップから読み出した画素データがME演算用タップにシフトしたときその値が読み出され、セレクタ121及び122によって選択されてME評価演算回路128に出力される。
【0129】
次に、データ処理部120の動作について説明する。
上述した構成を持つデータ処理部120において、データ記憶部100の特徴量抽出タップから読み出した前フレーム及び現フレームの所定の領域の画素データに応じて、特徴量抽出回路125によって画像信号の特徴量が抽出される。そして、ME評価演算回路128において、抽出した特徴量に応じて、画像信号の動き評価が行われる。
【0130】
なお、特徴量抽出回路125によって抽出した特徴量は、例えば、画像信号の特定の領域における輝度レベルの勾配、色分布特性などが含まれる。注出した特徴量に基づき、画像の上記特定領域の動き推定がより効率的に行うことが可能となる。例えば、ブロックマッチング処理によって上記特定の領域における所定のブロックの動きを推定するとき、上記特徴量に合わせてもっとも抽出した特徴量を表せる画素データをセレクタ121及び122を用いて選択して、ME評価演算に用いることで、ME評価の精度を改善しながら、演算の処理量を低減できる。
【0131】
以上説明したように、本実施形態のデータ処理装置において、画像信号の特徴量を推定し、推定した特徴量に応じて、例えば、ブロックマッチング処理によって動き評価演算を行うことにより、画像信号の動き推定を高精度に行うことができる。さらに、特徴量を用いることにより、動き推定の効率化を実現できる。
【0132】
第4実施形態
図22〜25は本発明に係るデータ処理装置の第4の実施形態を示す回路図であり、データ処理装置のデータ記憶部に用いられるデータ記憶セルの他の構成例を示す回路図である。
【0133】
図22は、データ記憶セルの第2の構成例を示している。図示のように、本例のデータ記憶セル10aは、図2に示すデータ記憶セル10とほぼ同じ構成を有するが、本例のデータ記憶セル10aでは、第2の記憶ノードND2に接続されているキャパシタC2が省略されている。
【0134】
キャパシタC2によるデータの保持時間が短い場合、C2の容量が小さくてもよい。例えば、インバータINV2のゲート容量で記憶ノードND2のデータを必要な時間だけ保持することができる場合、キャパシタC2を省略することが可能である。
例えば、図4示すタイミングチャートの例では、キャパシタC2のデータ保持時間は、クロック信号CK2が立ち下がってから、クロック信号CK1が立ち上がるまでの短い時間である。このため、ノードND2のわずかの寄生容量で十分データを保持することができ、キャパシタC2を省略しても動作には支障を与えることはない。
【0135】
この構成例のように、キャパシタC2を省略することによって、データ記憶セル10aを構成する素子の数を低減でき、セル面積の縮小により高密度化、大容量化に貢献できる。
【0136】
図23は、データ記憶セルの第3の構成例を示している。図示のように、本例のデータ記憶セル10bは、第2の記憶ノードND2と出力端子12との間に設けられているインバータINV2が省略されている。即ち、ノードND2が出力端子12と直結され、キャパシタC2の保持データがそのまま出力端子12に出力される。
【0137】
本実施形態において、データ記憶セルを構成するインバータINV2は、pMOSトランジスタとnMOSトランジスタからなるCMOS型インバータであり、2つのトランジスタからなる。本例のデータ記憶セル10bでは、後段のインバータを省略し、その分キャパシタC2の容量を大きくして、次段のデータ記憶セルのキャパシタC1の電荷を抜いてゲート電位を反転させ得る容量に設定される。これによって、インバータINV2がなくても、各データ記憶セルの間にデータを正しく転送することができる。
【0138】
本例のデータ記憶セル10bにおいて、1セル毎にインバータが1つしかないため、データをシフトするとき、1セル毎に格納データの論理が反転するので、読み出しデータに対して、1セル毎に極性を反転して処理を行う必要がある。
なお、本構成例10bのセル面積は、トランジスタ2個分低減されるので、セル面積の縮小により高密度化、大容量化を容易に実現できる。
【0139】
図24は、データ記憶セルの第4の構成例を示している。図示のように、本例のデータ記憶セル10cでは、インバータINV1の出力端子に接続されているワードゲートWGが省略されている。
【0140】
本実施形態のデータ処理装置において、データ記憶部100を構成する複数のデータ記憶セルの中、記憶データを外部に出力せず単に次段のデータ記憶セルに転送するだけのものがある。このようなデータ記憶セルは、本例のデータ記憶セル10cを用いれば、データ転送だけの機能を実現できる。ワードゲートWGを省略することによって、トランジスタ1個分の面積の削減を実現できるほか、ビット線の引回しがなくなり、レイアウトの設計がしやすくなる。
【0141】
図25は、データ記憶セルの第5の構成例を示している。図示のように、本例のデータ記憶セル10dは、ワードゲートWG1の他に、ワードゲートWG2が設けられている。即ち、データ記憶セル毎に2つのワードゲートが設けられている。
【0142】
図示のように、データ記憶セル10dにおいて、インバータINV1の出力端子とビット線BLとの間にワードゲートWG1が接続され、ノードND2とビット線BLとの間にワードゲートWG2が接続されている。ワードゲートWG1のゲートにワード線WL1が接続され、ワードゲートWG2のゲートにワード線WL2が接続されている。
【0143】
ワードゲートWG1は、読み出し用ゲートである。即ち、ワード線WL1をハイレベルに設定することで、ワードゲートWG1が導通する。このとき、インバータINV1をによって反転されたキャパシタC1の保持データがワードゲートWG1を介してビット線BLに出力される。
一方、ビット線BLに書き込みデータを設定したあと、ワード線WL2をハイレベルに設定することで、ワードゲートWG2が導通し、ビット線BLのデータがノードND2に書き込まれる。
【0144】
上述したように、本例のデータ記憶セル10dにおいて、ビット線BLが読み出しと書き込み両方で共用される。読み出しのとき、ノードND1の保持データの論理反転データがワードゲートWG1を介してビット線BLに読み出され、書き込みのとき、ビット線BLに入力したデータがワードゲートWG2を介してノードND2に書き込まれる。このように、本例のデータ記憶セル10dを用いてデータ記憶部100を構成する場合、データ転送の途中で記憶データの書き換えを実現できる。
【0145】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のデータ処理装置によれば、入力データを順次転送するデータ記憶セルを用いて、大容量のデータを記憶することによって、画像データのような一定のタイミングで順次送られてくるデータを逐次入力してシフトさせていくことで、データの時間的な前後関係をデータ記憶部における空間的位置関係に置き換えることができる。各データ記憶セルに保持データを外部に出力するビット線(タップ)を設けることで、データ記憶部の任意の位置からデータを取り出すことができ、アドレスなどを考慮せずに画面上一定の位置関係にある複数の画素データを同時に読み出すことができ、画像信号処理の高速化と効率化を実現できる。
通常のメモリ装置において、複数のデータを読み出す際にアドレスを変えながら必要なデータ数だけ読み出し動作を繰り返す必要があり、タイミングの制約によっては読み出せるデータの数が制限されてしまう。これに対して、本発明によれば、多数のデータを同時に読み出せるので、時間的な制約が少なく、タイミング的に余裕が生まれる。この時間的な余裕は、データ読み出し後の処理に割り当てることができ、特に多数のデータを用いて信号処理を行う場合には有利である。
また、本発明のデータ処理装置によれば、画像信号の特徴を抽出し、抽出した特徴に基づいて画像の動き推定を行うことにより、動き推定の演算量を低減でき、動き推定処理の効率化と高速化を実現できる。
また、本発明のデータ処理装置によれば、複数のデータを同時に扱って、例えば動画像の動きベクトル推定やフィルタ処理などを行う処理回路を用いれば、種々の信号処理を簡単に実現できる。
さらに、本発明によれば、データ記憶部を構成するためのデータ記憶セルとして、ダイナミックにデータを保持するセル構造を導入することで、通常のフリップフロップ構造によるデータ記憶装置に比べて、高密度化、大容量化を容易に実現できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るデータ処理装置の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】データ処理装置におけるデータ記憶部100を構成するためのデータ記憶セルの一構成例を示す回路図及びその模式図である。
【図3】データ記憶部100の一構成例を示す回路図である。
【図4】データ記憶部100の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】前フレームにおける探索範囲と現フレームにおける注目ブロックとの位置関係を示す図である。
【図6】フレーム単位で入力される画像データ及び画像データがデータ記憶部100に格納されているときの様子を示す図である。
【図7】注目ブロックの画素及びこれらの画素のデータがデータ記憶部100に記憶された位置を示す図である。
【図8】注目ブロックを用いて探索範囲における探索処理を示す概念図である。
【図9】探索処理によって求められた動きベクトルの例を示す図である。
【図10】動きベクトル推定処理を示すフローチャートである。
【図11】探索範囲の1ライン目における1画素目からのブロックマッチング処理を示す図である。
【図12】探索範囲の1ライン目における2画素目からのブロックマッチング処理を示す図である。
【図13】探索範囲の1ライン目における3画素目からのブロックマッチング処理を示す図である。
【図14】探索範囲の2ライン目における1画素目からのブロックマッチング処理を示す図である。
【図15】探索範囲の2ライン目における2画素目からのブロックマッチング処理を示す図である。
【図16】探索範囲の2ライン目における3画素目からのブロックマッチング処理を示す図である。
【図17】探索範囲の3ライン目における1画素目からのブロックマッチング処理を示す図である。
【図18】探索範囲の3ライン目における2画素目からのブロックマッチング処理を示す図である。
【図19】探索範囲の3ライン目における3画素目からのブロックマッチング処理を示す図である。
【図20】本発明に係るデータ処理装置の第2の実施形態におけるクラス分類処理を示す図である。
【図21】本発明に係るデータ処理装置の第3の実施形態を示す構成図である。
【図22】本発明のデータ処理装置を構成するデータ記憶セルの第2の構成例を示す回路図である。
【図23】本発明のデータ処理装置を構成するデータ記憶セルの第3の構成例を示す回路図である。
【図24】本発明のデータ処理装置を構成するデータ記憶セルの第4の構成例を示す回路図である。
【図25】本発明のデータ処理装置を構成するデータ記憶セルの第5の構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
10,10a,10b,10c,10d…データ記憶セル、
100…データー記憶部、
120…データ処理部。

Claims (16)

  1. 入力端子から入力されたデータを第1のクロック信号に応じたタイミングで取り込み、取り込んだデータを保持する第1のデータ保持手段と、上記第1のデータ保持手段によって保持されたデータを第2のクロック信号に応じたタイミングで取り込んで保持し、保持されたデータを出力端子に出力する第2のデータ保持手段と、上記第1のデータ保持手段によって保持されたデータをデータ線を介して外部に出力するデータ出力手段とをそれぞれが含む複数のデータ記憶セルを有し、当該複数のデータ記憶セルが、一のデータ記憶セルの上記出力端子を他のデータ記憶セルの上記入力端子に接続することにより直列接続して構成されるデータ記憶部と、
    上記直列接続される上記複数のデータ記憶セルにおいて、周期が等しく位相が異なる上記第1のクロック信号と前記第2のクロック信号を上記第1および第2のデータ保持手段に与え、上記データ出力手段を制御することによって複数の上記第1のデータ保持手段に保持中の複数のデータを対応する複数の上記データ線に同時に出力させる制御手段と、
    上記データ記憶部にある複数の上記データ記憶セルから上記制御手段の制御によって出力されたデータに応じて所定のデータ処理を行うデータ処理部と
    を有するデータ処理装置。
  2. 上記第1のデータ保持手段は、
    上記入力端子と第1の記憶ノードとの間に設けられ、上記第1のクロック信号に応じて導通または遮断し、導通時に上記入力端子から入力されたデータを上記第1の記憶ノードに入力する第1の転送ゲートと、
    上記第1の記憶ノードに接続され、上記第1の転送ゲートを介して入力されたデータを保持する第1のキャパシタと、
    入力端子が上記第1の記憶ノードに接続されている第1のインバータと
    を有する請求項1記載のデータ処理装置。
  3. 上記第2のデータ保持手段は、
    上記第1のインバータの出力端子と第2の記憶ノードとの間に設けられ、上記第2のクロック信号に応じて導通または遮断し、導通時に上記第1のインバータの出力端子から出力されたデータを上記第2の記憶ノードに入力する第2の転送ゲートと、
    上記第2の記憶ノードに接続され、上記第2の転送ゲートを介して入力されたデータを保持する第2のキャパシタと
    を有する請求項2記載のデータ処理装置。
  4. 上記第2のデータ保持手段は、
    上記第1のインバータの出力端子と第2の記憶ノードとの間に設けられ、上記第2のクロック信号に応じて導通または遮断し、導通時に上記第1のインバータの出力端子から出力されたデータを上記第2の記憶ノードに入力する第2の転送ゲートと、
    入力端子が上記第2の記憶ノードに接続されている第2のインバータと
    を有する請求項2記載のデータ処理装置。
  5. 上記第2のデータ保持手段は、
    上記第1のインバータの出力端子と第2の記憶ノードとの間に設けられ、上記第2のクロック信号に応じて導通または遮断し、導通時に上記第1のインバータの出力端子から出力されたデータを上記第2の記憶ノードに入力する第2の転送ゲートと、
    上記第2の記憶ノードに接続され、上記第2の転送ゲートを介して入力されたデータを保持する第2のキャパシタと、入力端子が上記第2の記憶ノードに接続されている第2のインバータと
    を有する請求項2記載のデータ処理装置。
  6. 上記データ出力手段は、上記第1のインバータの出力端子とデータ線との間に設けられ、データ読み出し信号に応じて導通または遮断し、導通時に上記第1のインバータの出力端子からの出力データを上記データ線に出力するデータ出力ゲートを有する
    請求項2記載のデータ処理装置。
  7. 上記データ線と上記第2の記憶ノードとの間に設けられ、データ書き込み信号に応じて導通または遮断し、導通時に上記データ線のデータを上記第2の記憶ノードに入力するデータ入力ゲートをさらに有する
    請求項6記載のデータ処理装置。
  8. 上記制御手段は、上記データ入力ゲートが上記データ線から上記第2の記憶ノードにデータを入力するとき、上記第2の転送ゲート遮断状態に保持させる
    請求項7記載のデータ処理装置。
  9. 上記データ記憶部には、連続して入力される少なくとも第1と第2の2つのフレームの画像信号が記憶され、上記データ処理部は、上記データ記憶部に記憶されている上記2つのフレームの画像信号のうち、上記第2のフレームの所定の位置にある注目ブロックと上記第1のフレームにある所定の探索領域において、ブロックマッチング処理によって上記探索領域における上記注目ブロックに画素成分がもっとも近い領域を探索し、当該探索結果に応じて、上記注目ブロックの動きベクトルを求める
    請求項1記載のデータ処理装置。
  10. 上記データ処理部は、
    上記第2のフレームにおける注目ブロックに対応する各画素のデータを記憶するデータ記憶セルからの読み出しデータを保持する注目ブロックレジスタと、
    上記第1のフレームにおける探索領域に対応する各画素のデータを記憶するデータ記憶セルからの読み出しデータを上記注目ブロックと同じ大きさのブロック単位に分割して保持する複数の探索領域レジスタと、
    上記注目ブロックレジスタの各画素データと上記各探索領域レジスタの各画素データとに基づき、各画素毎に画素データの差の絶対値の和を求める演算手段と、
    上記探索領域における各探索位置毎に算出された上記注目ブロックレジスタと上記探索領域レジスタの全画素データの差の絶対値の和がもっとも小さい探索位置の座標に基づき、上記注目ブロックの動きベクトルを算出する手段と
    を有する請求項1記載のデータ処理装置。
  11. 上記データ処理部は、上記データ記憶部において新しい画素データが入力される度に上記ブロックブロックマッチング処理を行い、上記注目ブロックの動きベクトルを求める
    請求項9記載のデータ処理装置。
  12. 上記データ記憶部には、
    連続して入力される少なくとも第1、第2と第3の3つのフレームの画像信号が記憶され、上記データ処理部は、上記データ記憶部に記憶されている3つのフレームの画像データに基づき、画像の所定の特性を抽出する第1の演算手段と、
    上記第1の演算手段によって抽出された上記画像の特性に基づいて設定された最適なフィルタ係数を用いて、上記画像データに対して所定のフィルタ処理を行う第2の演算手段と
    を有する請求項1記載のデータ処理装置。
  13. 上記第1の演算手段は、上記画像データに基づき、クラス分類処理を行う
    請求項12記載のデータ処理装置。
  14. 上記データ記憶部には、
    連続して入力される少なくとも第1と第2の2つのフレームの画像信号が記憶され、上記データ処理部には、上記データ記憶部に記憶されている上記画像信号に応じて、上記画像の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、上記特徴量抽出手段によって抽出した上記特徴量に応じて、上記特徴量に対応する適応アドレスを生成する適応アドレス生成手段と、
    上記適応アドレス生成手段によって生成された上記適応アドレスに応じて、上記データ記憶部から所定の画素データを読み出し、当該読み出したデータに応じて、上記画像信号を処理する処理手段と
    を有する請求項1記載のデータ処理装置。
  15. 上記特徴量抽出手段によって抽出した上記特徴量に応じて、上記データ記憶部から読み出した画素データから所定の画素データを選択する選択手段を有する
    請求項14記載のデータ処理装置。
  16. 上記処理手段は、上記特徴量抽出手段によって抽出した特徴量及び上記適応アドレスに応じて、第1と第2のフレームから読み出した所定の画素データに応じて、上記画像信号の動きベクトルを求める
    請求項14記載のデータ処理装置。
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