JP4240740B2 - 焦電型赤外線検知素子およびその製造方法 - Google Patents

焦電型赤外線検知素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱や温度の検知に用いられる焦電型赤外線センサーに使用される焦電型赤外線検知素子およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱や温度の検知器として利用されている焦電型赤外線検知素子は、通常焦電性を持つ強誘電体基板(以下焦電体基板)に赤外線感受部となる対向導電膜(コンデンサ)を形成することによって作製される。その基本構造および回路記号を図8に示す。図8(a)中、1は焦電体基板、1aおよび1bは、焦電体基板1が最も大きい焦電係数を持つ方向(図中Pと表示)の鉛直面で、この面1aおよび1bに、蒸着、スパッタリング、スクリーン印刷等の手法によって表裏対向導電膜2が形成され、かかる領域が赤外線感受部3として機能する。面1a側は、導電膜2の形成面であると同時に、赤外線(図中IRと表示)の入射面ともなっている。赤外線IR入射による感受部3の温度上昇に応じた焦電体基板1の自発分極の変化分が導電膜2上に焦電荷として出現し、引き出し線4などによって取り出される。また、図8(b)は図8(a)の赤外線感受部3を回路記号的に表したもので、矢印は図8(a)の焦電体基板1が最も大きい焦電係数を持つ方向Pに対応している。
【0003】
焦電型赤外線検知素子に用いられる焦電体基板1は、大きく単結晶基板およびセラミック(焼結体)基板に区分され、単結晶基板としてはタンタル酸リチウム(LiTaO3 )やニオブ酸リチウム(LiNbO3 )などが、セラミック基板としてはチタン酸鉛(PbTiO3 )やジルコニウム添加のチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3 )、ランタン添加のチタン酸鉛(Pb(La,Ti)O3 )などが挙げられるが、いずれも強誘電体材料であり、かつ、非常に大きいバルク抵抗率を持つ電気絶縁体である。ゆえに焦電型赤外線検知素子から電気信号を安定に取り出すには、例えば図9に示すような電界効果型トランジスタ5および焦電型赤外線検知素子6と並列に接続された高抵抗7からなるインピーダンス変換回路などによる、インピーダンス変換によって出力インピーダンスを低くする手法がとられる。一般に、焦電型赤外線検知素子および前記インピーダンス変換回路(以下外付け回路という)は、所望の波長の赤外線を透過するフィルター窓および赤外線検知信号が出力される端子および前記インピーダンス変換回路への電力供給用端子等を具備した金属ケース内に納められることで実用的な形態となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した焦電型赤外線検知素子、広くは焦電性を利用した素子には共通の課題がある。それは、スパイクノイズあるいはポップコーンノイズなどと呼ばれる、環境温度等の急激な変化が生じたときなどに突発的に発生するノイズ(以下ポップコーンノイズと言う)が存在することである。ポップコーンノイズの発生機構は諸説提案されているが、共通しているのは、かかる素子上に高電圧が発生し、近傍の導電膜や外付け回路基板、またはこれらを収納する金属ケースなどに放電してノイズとなるという点である。前記高電圧は、主に環境温度変化等によって焦電体基板上に発生する焦電性電荷の蓄積、同じく環境温度変化等によって生ずる素子実装応力の変化による圧電性電荷の蓄積によって発生する。
【0005】
以上を鑑みて為された本発明は、かかる電荷の蓄積を回避してポップコーンノイズを低減し、大幅に検知信頼性を高めた焦電型赤外線検知素子を提供することを主たる目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、Z面を主要対向面に持つ単結晶タンタル酸リチウム基板の表裏両面に導電膜を対向させて赤外線感受部を形成した焦電型赤外線検知素子において、前記単結晶タンタル酸リチウム基板にクロムが添加されており、クロムの添加量は、焦電体基板上に発生した電荷を、クロム添加によりバルク抵抗値が低下した単結晶タンタル酸リチウム基板自身を通じて流すことで、空気の絶縁破壊電界強度を超える高電圧の発生に至る電荷蓄積が生じない程度まで単結晶タンタル酸リチウム基板のバルク抵抗値を低下させる添加量としたことを特徴とするものである。クロムが添加されていることから、クロムの添加量に応じて単結晶タンタル酸リチウム基板のバルク抵抗値が下がり、前述した環境温度変化等によって焦電体基板上に発生した電荷を、抵抗値が低下した単結晶タンタル酸リチウム基板自身を通じて流すことができ、よって高電圧の発生に至る電荷蓄積には至らないため、ポップコーンノイズの発生が抑制される。以上を図10を用いてさらに具体的に説明する。
【0007】
図10(a)は従来のクロムが添加されていない高絶縁性の単結晶タンタル酸リチウム基板1’の例を、図10(b)は本発明のクロムが添加されて低抵抗値化された単結晶タンタル酸リチウム基板1”の例を示す。図10(a)に示す従来例では、蓄積電荷8が単結晶タンタル酸リチウム基板1’内をほとんど流れることができないため、高電圧の発生に至り、周囲の条件によって決まる絶縁破壊電界強度(例えば周囲が空気の場合約3×106 V/m)を超えると、図中の矢印で示すが如く放電によって再結合し、ポップコーンノイズの発生に至る。一方、図10(b)に示す本発明では、クロムが添加されて低抵抗値化された単結晶タンタル酸リチウム基板1”内を、前述した環境温度変化等によって発生した電荷が、図中の矢印で示すが如く流れることによって再結合できるため、高電圧の発生に至らず、故にポップコーンノイズの発生が抑制される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前述したクロムが添加された単結晶タンタル酸リチウム基板の作製に関するもので、単結晶タンタル酸リチウム基板をクロムあるいはクロムを含む材質の平板で挟み込み、前記平板間に高電圧を印加することによって前記単結晶タンタル酸リチウム基板内にクロムを拡散せしめることを特徴とするものである。したがって、単結晶タンタル酸リチウム基板の母材となるタンタル酸リチウム単結晶成長塊(以下インゴットという)が、もともとクロムが添加されて製造されたインゴットである必要がなく、一般に市販されている単結晶タンタル酸リチウム基板が使用でき、さらに単結晶タンタル酸リチウム基板の使用者側でクロムを任意の量で添加することができるので、クロム添加量に応じた、所望の低抵抗値化を達成することができる。
【0009】
なお、前述した焦電体基板のうちセラミック基板は、一旦粉々に粉砕・混合された原材料を焼成することによって製造されるので、バルク抵抗値を変えるための不純物元素の添加は、該不純物元素からなる補材を一緒に混合することによって容易になし得るが、焦電体基板のうちタンタル酸リチウムのような単結晶基板では、単結晶育成時に、溶融した原材料中に、抵抗値を変えるための不純物元素を添加することになり、成長炉の汚染や、クロムの結晶内偏析などの理由により容易でなく、現実には入手不可能である。ゆえに一般に入手可能な単結晶基板に対して、入手後、使用者側で制御性良く不純物添加できることは大きな意味を持つ。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の焦電型赤外線検知素子を製造する方法において、表裏の導電膜のうち少なくとも一方の面側の導電膜がクロムを含有し、前記導電膜に高電圧を印加して導電膜内に存在するクロムを単結晶タンタル酸リチウム基板内に拡散せしめることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の製造方法において、表裏の導電膜のうち、クロムを含有する少なくとも一方の面側の導電膜が、クロムを含有する層および前記クロムを含有する層の上に重畳形成されたクロムを含有しない導電材質からなるクロム非含有層から成ることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の製造方法において、表裏の導電膜のうち、クロムを含有する少なくとも一方の面側の導電膜が、クロムを含有しない導電材質からなる第1のクロム非含有層、および前記第1のクロム非含有層の上に重畳形成されたクロムを含有する層、および前記クロムを含有する層の上に重畳形成されたクロムを含有しない導電材質からなる第2のクロム非含有層から成ることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の製造方法において、クロム非含有層を構成する導電材質にニッケルを用いることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1および図2は本発明の一実施形態を示すもので、図1は請求項2に記載のクロムを拡散させるための方法の概念図を、図2は図1に示す方法でクロム添加を行った単結晶タンタル酸リチウム基板を用いた焦電型赤外線検知素子を示すものである。図1に示すとおり、単結晶タンタル酸リチウム基板1’をクロム等の平板9で挟んで直流電圧源10によって高電圧を印加する。回路を流れる電流値は電流計等11で外部からモニターできる。必要によっては、加熱器12によって単結晶タンタル酸リチウム基板1’を加熱することにより、クロムの拡散速度を速めることができる。電圧の印加極性は、単結晶タンタル酸リチウム基板1’が持つ自発分極Pに対して2通りになるが、図1に示す例は、自発分極をその方向のまま維持するように電圧極性を選んでいる。図1に示す電圧極性を反対にすれば、本処理後の単結晶タンタル酸リチウム基板1’の自発分極は反転するが、クロムの拡散を阻害するものではない。図2に示す焦電型赤外線検知素子は、単結晶タンタル酸リチウム基板1’がクロム拡散されたもので、低抵抗値化されていること以外は、図8に示す従来例と同様である。図2に示すとおり、単結晶タンタル酸リチウム基板1”はその全域において低抵抗値化されているので、前述したとおり、ポップコーンノイズの発生源となる電荷の蓄積が回避されている。
【0015】
図3は請求項3に記載のクロムを拡散させるための方法の概念図を示したもので、単結晶タンタル酸リチウム基板1’の片面に、クロム等の導電膜(ここではクロム単体膜)2aが形成されており、これに直接電圧を印加することによって、導電膜中のクロムを単結晶タンタル酸リチウム基板1’内に拡散させる。回路を流れる電流値は電流計等11で外部からモニターでき、必要によっては加熱器12で単結晶タンタル酸リチウム基板1’を加熱することにより、クロムの拡散速度を速めることができる。本発明者らの得た知見によればクロムは少なくとも負電位が印加される側の導電膜に含まれていれば良く、図3ではクロム膜2aに負電位が印加されている。対向側の正電位が印加される側の導電膜2bには、クロムを含まない、請求項6に記載のニッケル単体を用いている。ただし、本実施例では、クロムの拡散領域は、導電膜が対向している箇所のみ(図3中斜線で示した領域)となってしまうが、厚さや組成などが一様に形成される導電膜より直接拡散させるため、より均一にかつ量を制御して添加することができる。
【0016】
図4は、拡散させる処理中に、電流計等11によってモニターされる、回路を流れる電流の時間変化を示したもので、図3における拡散処理方法では、図4中のaで示したような波形となる。図4に示す波形は、単結晶タンタル酸リチウム基板1’に、多分域(焦電体内の自発分極が全体として打ち消し合うようなランダムな方向を持つ、一つ一つの微小な領域(分域)の集合となっていること)化のための処理(キュリー点(強誘電体から常誘電体へ相転移する温度)以上のアニールなど)を施したものを用いた場合のものである。拡散処理と同時に電圧印加領域が単分域(焦電体内の自発分極が全体として同一方向に揃っていること)化されるため、焦電性は再生される。もちろん単分域の単結晶タンタル酸リチウム基板1’を用いても良いが、図4に示す波形とは異なってくる。時間t1 は、電圧印加を終了した時間である。クロムの拡散量(即ち被拡散焦電体の導電率)はこの電流波形の積分値に比例することが、発明者らの実験検討の結果明らかになった(図5)。よって、この印加時間t1 を制御することで、拡散量をコントロールすることができる。
【0017】
図6は請求項4に記載のクロムを拡散させるための方法の概念図を示したもので、単結晶タンタル酸リチウム基板1’上の一方の面側の導電膜が、クロム単体層2a’−1、および前記クロム単体層の上に重畳形成されたニッケル層2a’−2から成り、これに直接電圧を印加することによって、導電膜中のクロムを単結晶タンタル酸リチウム基板1’内に拡散させる。図3に示す実施例と同じく、回路を流れる電流値は電流計等11で外部からモニターでき、必要によっては加熱器12で単結晶タンタル酸リチウム基板1’を加熱することにより、クロムの拡散速度を速めることができる。前述の通り、少なくとも、負電位が印加される側にクロムを含有する導電膜が形成されていれば良く、図6ではクロムを含む導電膜2a’に負電位が印加されている。対向側の正電位が印加される側の導電膜2bには、ニッケル単体を用いている。回路を流れる電流は、図4bに示すように、一旦極大値を迎えた後、再びゼロに収束していく(t2 )。この収束は、クロムが拡散しつくしたことを意味しており、よって最大拡散量はクロム等の層厚で決まるので、過剰な拡散を防ぐことができる。当然図3に示す実施例と同様、拡散を途中で止めることもでき(t3 )、電圧印加時間で拡散量調節も可能である。また図3に示す実施例と同様に、クロムが拡散される領域は、導電膜が対向している箇所のみ(図6中斜線で示した領域)となってしまうが、クロムの拡散はより制御性良く添加することができる。
【0018】
図7は請求項5に記載のクロムを拡散させるための方法の概念図を示したもので、単結晶タンタル酸リチウム基板1’上の一方の面側の導電膜が、ニッケル層2a”−1、および前記ニッケル層の上に重畳形成されたクロム層2a”−2、および前記クロム層の上に重畳形成されたニッケル層2a”−3から成り、これに直接電圧を印加することによって、導電膜中のクロムを単結晶タンタル酸リチウム基板1’内に拡散させる。図3および図6に示す実施例と同じく、回路を流れる電流値は電流計等11で外部からモニターでき、必要によっては加熱器12で単結晶タンタル酸リチウム基板1’を加熱することにより、クロムの拡散速度を速めることができる。前述の通り、少なくとも、負電位が印加される側にクロムを含有する導電膜が形成されていれば良く、図7ではクロムを含む導電膜2a”に負電位が印加されている。対向側の正電位が印加される側の導電膜2bには、ニッケル単体を用いている。回路を流れる電流は、図4cに示すように、一旦極大値を迎えた後、再びゼロに収束していく(t4 )。
【0019】
しかし、図6に示す実施例とは異なり、クロム層2a”−2と、単結晶タンタル酸リチウム基板1’との間には、クロムの拡散を妨げるニッケル層2a”−1が存在するため、クロムの拡散速度は遅くなり、図4cに示すように、その勾配が小さくなる。ゆえに、より微量な添加を行いたいときには、この手法が非常に有効である。電流の収束(t4 )は、前実施例と同様、クロムが拡散しつくしたことを意味しており、最大拡散量がクロム等の層厚で決まるのは、前実施例と同様である。当然前記二つの実施例と同様、拡散を途中で止めることもでき(t5 )、電圧印加時間で拡散量調節も可能である。また前記二つの実施例と同様に、クロムが拡散される領域は、導電膜が対向している箇所のみ(図7中斜線で示した領域)となってしまうが、クロムの拡散はより制御性良く添加することができ、特に微量な添加には極めて有効である。
以上いずれの実施例においても、焦電体基板の抵抗値の適切な調整(低減)により、ポップコーンノイズの低減に大きな効果が認められている。
【0020】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、Z面を主要対向面に持つ単結晶タンタル酸リチウム基板の表裏両面に導電膜を対向させて赤外線感受部を形成した焦電型赤外線検知素子において、前記単結晶タンタル酸リチウム基板にクロムが添加されており、クロムの添加量は、焦電体基板上に発生した電荷を、クロム添加によりバルク抵抗値が低下した単結晶タンタル酸リチウム基板自身を通じて流すことで、空気の絶縁破壊電界強度を超える高電圧の発生に至る電荷蓄積が生じない程度まで単結晶タンタル酸リチウム基板のバルク抵抗値を低下させる添加量としたことを特徴とする焦電型赤外線検知素子であるから、クロムの添加量に応じて単結晶タンタル酸リチウム基板のバルク抵抗値が下がり、前述した環境温度変化等によって焦電体基板上に発生した電荷を、抵抗値が低下した単結晶タンタル酸リチウム基板自身を通じて流すことができ、よって高電圧の発生に至る電荷蓄積には至らないため、ポップコーンノイズの発生が抑制される。
【0021】
また、請求項2に記載の発明は、前述したクロムが添加された単結晶タンタル酸リチウム基板の作製に関するもので、単結晶タンタル酸リチウム基板をクロムを含有する平板で挟み込み、前記平板間に高電圧を印加することによって前記単結晶タンタル酸リチウム基板内にクロムを拡散せしめることを特徴とするものであるから、単結晶タンタル酸リチウム基板の母材となるタンタル酸リチウム単結晶インゴットが、もともとクロムが添加されて製造されたインゴットである必要がなく、一般に市販されている単結晶タンタル酸リチウム基板が使用でき、さらに単結晶タンタル酸リチウム基板の使用者側でクロムを任意の量で添加することができるので、クロム添加量に応じた、所望の低抵抗値化を達成することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明は、焦電型赤外線検知素子の構成要素である表裏導電膜を利用してクロムを拡散させる処理を行うもので、表裏の導電膜のうち、少なくとも一方の面側の導電膜がクロムを含有し、前記導電膜に高電圧を印加して導電膜内に存在するクロムを単結晶タンタル酸リチウム基板内に拡散せしめることを特徴とするものであるから、前述した請求項1および2の発明と同様の効果があるだけでなく、厚さや組成などが一様に形成される導電膜より直接拡散させるため、より均一にかつ量を制御して添加することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の製造方法において、表裏の導電膜のうち、クロムを含有する少なくとも一方の面側の導電膜が、クロムを含有する層および前記クロムを含有する層の上に重畳形成されたクロムを含有しない導電材質からなるクロム非含有層から成ることを特徴とするものであるから、クロムを含有する層の厚さによってクロムの拡散量を制御することができ、より精確な低抵抗値化を容易に行うことができる。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の製造方法において、表裏の導電膜のうち、クロムを含有する少なくとも一方の面側の導電膜が、クロムを含有しない導電材質からなる第1のクロム非含有層、および前記第1のクロム非含有層の上に重畳形成されたクロムを含有する層、および前記クロムを含有する層の上に重畳形成されたクロムを含有しない導電材質からなる第2のクロム非含有層から成ることを特徴とするものであるから、クロムを含有する層の厚さおよびクロムの拡散を妨げる第1のクロム非含有層の厚さによってクロムの拡散量を制御することができ、クロムの微量添加に非常に有効で、より精確な低抵抗値化を容易に行うことができる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の製造方法において、クロム非含有層を構成する導電材質にニッケルを用いることを特徴とするものであるから、タンタル酸リチウム基板内に拡散し難く、よって導電膜内のクロム成分量の調整や、請求項5に記載の第1のクロム非含有層の働きであるクロム拡散の鈍化を行うことできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項2の製造方法の一実施形態を説明するための説明図である。
【図2】請求項1の焦電型赤外線検知素子の一実施形態を示す断面図である。
【図3】請求項3の製造方法の一実施形態を説明するための説明図である。
【図4】請求項3〜5の製造方法の一実施形態におけるクロム拡散処理時の回路電流の時間変化を示すグラフである。
【図5】クロム拡散処理時の回路電流の積分値が被拡散焦電体の導電率と比例関係にあるという実験結果を示すグラフである。
【図6】請求項4の製造方法の一実施形態を説明するための説明図である。
【図7】請求項5の製造方法の一実施形態を説明するための説明図である。
【図8】焦電型赤外線検出素子の原理的構造を示す図であり、(a)は断面図、(b)は回路記号を示す図である。
【図9】電界効果型トランジスタおよび高抵抗からなるインピーダンス変換回路の一例を示す回路図である。
【図10】本発明と従来例の作用説明のための図であり、(a)は従来の焦電体基板上に蓄積した電荷の放電の様子を、(b)はクロム添加によって低抵抗値化された本発明の焦電体基板内を電荷が流れて再結合する様子をそれぞれ示す説明図である。
【符号の説明】
1’ 単結晶タンタル酸リチウム基板
9 クロム等の平板
10 直流電圧源
11 電流計
12 加熱器

Claims (6)

  1. Z面を主要対向面に持つ単結晶タンタル酸リチウム基板の表裏両面に導電膜を対向させて赤外線感受部を形成した焦電型赤外線検知素子において、前記単結晶タンタル酸リチウム基板にクロムが添加されており、クロムの添加量は、焦電体基板上に発生した電荷を、クロム添加によりバルク抵抗値が低下した単結晶タンタル酸リチウム基板自身を通じて流すことで、空気の絶縁破壊電界強度を超える高電圧の発生に至る電荷蓄積が生じない程度まで単結晶タンタル酸リチウム基板のバルク抵抗値を低下させる添加量としたことを特徴とする焦電型赤外線検知素子。
  2. 請求項1に記載の焦電型赤外線検知素子を製造する方法において、単結晶タンタル酸リチウム基板をクロムを含有する平板で挟み込み、前記平板間に高電圧を印加することによって前記単結晶タンタル酸リチウム基板内にクロムを拡散せしめることを特徴とする焦電型赤外線検知素子の製造方法。
  3. 請求項1に記載の焦電型赤外線検知素子を製造する方法において、表裏の導電膜のうち少なくとも一方の面側の導電膜がクロムを含有し、前記導電膜に高電圧を印加して導電膜内に存在するクロムを単結晶タンタル酸リチウム基板内に拡散せしめることを特徴とする焦電型赤外線検知素子の製造方法。
  4. 請求項3に記載の製造方法において、表裏の導電膜のうち、クロムを含有する少なくとも一方の面側の導電膜が、クロムを含有する層および前記クロムを含有する層の上に重畳形成されたクロムを含有しない導電材質からなるクロム非含有層から成ることを特徴とする焦電型赤外線検知素子の製造方法。
  5. 請求項3に記載の製造方法において、表裏の導電膜のうち、クロムを含有する少なくとも一方の面側の導電膜が、クロムを含有しない導電材質からなる第1のクロム非含有層、および前記第1のクロム非含有層の上に重畳形成されたクロムを含有する層、および前記クロムを含有する層の上に重畳形成されたクロムを含有しない導電材質からなる第2のクロム非含有層から成ることを特徴とする焦電型赤外線検知素子の製造方法。
  6. 請求項4または5に記載の製造方法において、クロム非含有層を構成する導電材質にニッケルを用いることを特徴とする焦電型赤外線検知素子の製造方法。
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