JP4240316B2 - 演算増幅器 - Google Patents
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Description
ここで、レイルトゥレイル動作とは、入出力電圧の動作範囲が正電源から負電源にわたって常に動作することを意味し、「Rail to Rail」はモトローラ社の商標である。
特に、連続な信号を扱うアナログ回路では、深刻な問題となる。アナログ回路の代表は演算増幅器であり、演算増幅器が低電圧で動作できるかどうかが、アナログ回路の低電圧化可否の鍵を握っていると言っても過言でない。
この演算増幅器は、図8に示すように、MOSトランジスタM101〜M103からなる差動入力部110と、MOSトランジスタM104〜M106からなる差動入力部120と、MOSトランジスタM107〜M114からなる加算部130と、MOSトランジスタM115,M116、抵抗R100,およびキャパシタC100からなる出力部150と、を備えている。
また、図8において、MOSトランジスタM104〜M106を省略した、MOSトランジスタM101〜M103とMOSトランジスタM107〜M116とで構成される回路は、従来からよく知られているP型のMOSトランジスタを入力トランジスタとする折り返しカスコード型演算増幅器である。
ここで、図8に示す演算増幅器から、上記のP型のMOSトランジスタを入力トランジスタとする折り返しカスコード型演算増幅器を取り出すと、図9に示すようになる。なお、図9において、140Aはカスコード電流源部であり、140Bはカレントミラー部である。
一般に、N型のMOSトランジスタの入力電圧Vinとドレイン−ソース間に流れる電流Idsとの関係は、次式で表すことができる。
Ids=(W/L)・μ・Cox(Vin−Vs1−Vthn)2 ・・・(1)
ここで、WはMOSトランジスタ(MOSFET)のチャネル幅、Lはチャネル長、μは移動度、Coxは単位面積あたりの容量、Vs1はMOSトランジスタのソース電圧、Vthnはしきい値電圧である。
(1)式によれば、N型のMOSトランジスタでは、入力電圧VinがVs1+Vthnより大きな値でなければ、電流が流れなくなる。すなわち、この場合にはN型のMOSトランジスタがオフ状態となって、正常な動作ができなくなる。
Ids=(W/L)・μ・Cox(Vs2+Vthp−Vin)2 ・・・(2)
ここで、WはMOSトランジスタのチャネル幅、Lはチャネル長、μは移動度、Coxは単位面積あたりの静電容量、Vs2はMOSトランジスタのソース電圧、Vthpはしきい値電圧である。
(2)式によれば、P型のMOSトランジスタでは、入力電圧VinがVs2+Vthpより小さな値でなければ、電流が流れなくなる。ここで、通常よく用いられるエンハンスメント型PMOSの場合、Vthの符号は負である。
図10おいて、Vssは下側(低電位側)の電源電圧、Vddは上側(高電位側)の電源電圧を示している。図10(a)の斜線部分はN型のMOSトランジスタが動作しないところを示し、図10(b)の斜線部分はP型のMOSトランジスタが動作しないところを示す。また、図10(c)はN型のMOSトランジスタとP型のMOSトランジスタとがいずれも動作しない範囲に斜線を入れることにしたが、図10(a)(b)により、必ずN型のMOSトランジスタまたP型のMOSトランジスタのいずれか一方は動作するため、入力信号に関しては、正電源から負電源にわたって常に動作する。
図11(a)の斜線部分はN型のMOSトランジスタが動作しないところを示し、図11(b)の斜線範囲はP型のMOSトランジスタが動作しないところを示す。図10に比べてともに電源電圧が下がったために、斜線部分の幅は同じであるが、逆に動作できる斜線が入っていない部分が減少している。図11(c)に、その両方動作しない範囲を斜線部分で示しているが、この両方動作しない範囲が電源電圧の中央付近に発生する。
これを解消するために、しきい値を下げて例えば、しきい値電圧Vthnを負にしていわゆるデプレション型にするということも考えられる。
しかし、この場合には、(1)式からわかるように、ソース電圧であるVs1が入力電圧Vinよりも高くなる。入力電圧が電源電圧Vddまたは電源電圧Vdd付近の場合、ソース電圧は電源電圧Vddより高くなろうとするため、動作できない。すなわち、図10(a)において、電源電圧Vdd側に斜線部分、すなわち動作しない領域が発生することになり、しきい値電圧Vthnの符号を変えても改善できることにならない。
そこで、非特許文献1には、このような不具合を解決するために、レベルシフタ回路を用いて動作範囲を確保するという方法が提案されている。
J.Francisco Duque-Carrilo, L. Ausin Torelli, Jose M.Valverde, Miguel A.Dominguez著 IEEE Journal of Solid-State Circuits ,Vol. 35, No.1, January 2000 33 頁
そこで、本発明の目的は、低電圧の電源であってもレイルトゥレイル動作し、かつ、入力電流がゼロである演算増幅器を提供することにある。
請求項1に係る発明は、ウエル端子をそれぞれ有し、差動信号を入力する差動対のMOSトランジスタと、この差動対のMOSトランジスタに定電流を供給する電流源とを含む差動入力部と、前記差動対のMOSトランジスタの負荷として動作するMOSトランジスタ対で構成されるロード部と、前記差動対のMOSトランジスタのソース電圧と所定の基準電圧とを比較し、この比較結果に応じて生成される出力信号を前記各ウエル端子に供給し、前記差動対のMOSトランジスタの各ウエル電圧を制御するウエル電圧制御部と、を備え、前記ウエル電圧制御部に供給する正側または負側どちらか一方の電源の全部または一部が、前記ウエル電圧制御部以外に供給している電圧よりも正側の電圧に高い電圧を供給するか、或いは負側の電圧より低い電圧を供給する。
請求項9に係る発明は、請求項1乃至請求項8のうちのいずれかに記載の発明において、前記ウエル電圧制御部、第1ウエル電圧制御部、または第2ウエル電圧制御部の一部または全部に供給する電圧は、昇圧回路或いは降圧回路を用いて生成する。
このため、本発明によれば、低電圧の電源であってもレイルトゥレイル動作し、すなわち入出力電圧の動作範囲が正電源から負電源にわたって常に動作し、かつ、入力電流がゼロである演算増幅器が得られる。
[第1実施形態]
本発明の演算増幅器の第1実施形態の構成について、図12を参照して説明する。
この第1実施形態に係る演算増幅器は、図12に示すように、差動信号を入力しその差動増幅を行う差動増幅部70と、ウエル電圧制御部である差動増幅器50とを備えている。
差動増幅器50は、MOSトランジスタM2,M3のソース電圧と、所定の基準電圧Vrefとを比較し、この比較結果に応じて出力電圧を生成し、この生成した出力電圧を、MOSトランジスタM2,M3のウエル電圧として各ウエル端子に供給するようになっている。
差動対を構成する一方のMOSトランジスタM2のゲートは非反転入力端子2に接続され、そのゲートに非反転入力信号が入力されるようになっている。また、差動対を構成する他方のMOSトランジスタM3のゲートは反転入力端子1に接続され、そのゲートに反転入力信号が入力されるようになっている。
MOSトランジスタM32,M33の各ゲートはバイアス端子34にそれぞれ接続され、その各ゲートに所定のバイアス電圧が印加されるようになっている。また、MOSトランジスタM32,M33の各ソースは共通接続され、この共通接続部には低電位側の電源電圧Vssが供給されるようになっている。
差動増幅部50の具体的な回路構成は、後述の第2実施形態の差動増幅回路50の構成と同様である(図3参照)。
なお、図12では、MOSトランジスタM2,M3の負荷として、ゲートに任意のバイアス電圧を印加する一対のMOSトランジスタM32,M33としたが、これに代えて、図13に示すように、そのMOSトランジスタM32,M33をカレントミラー回路で構成するようにしても良い。
本発明の演算増幅器の第2実施形態の構成について、図1を参照して説明する。
この第2実施形態に係る演算増幅器は、折り返しカスコード型の演算増幅器であって、図1に示すように、差動入力部10と、カスコード電流源部20と、カレントミラー部30と、出力部40と、ウエル電圧制御部である差動増幅器50とを備えている。
ここで、この第2実施形態は、図12に示す第1実施形態を基本とし、これを折り返しカスコード型の演算増幅器に発展させたものである。
差動入力部10は、差動信号を入力する差動対のP型のMOSトランジスタM2,M3と、この差動対のMOSトランジスタM2,M3に定電流を供給する電流源として機能するP型のMOSトランジスタM1と、を備えている。MOSトランジスタM2,M3は、それぞれウエル端子を備え、その各ウエル端子に差動増幅器50からの出力電圧が供給されることにより、MOSトランジスタM2,M3の各ウエル電圧が制御されるようになっている。なお、MOSトランジスタM2,M3の具体的な構造については後述する。
出力部40は、カスコード電流源部20(カレントミラー部30)から出力される信号が、N型のMOSトランジスタM11を能動負荷とするP型のMOSトランジスタM10により増幅され、出力されるようになっている。また、出力部40は、図1に示すように、位相補償を行うための抵抗R10とキャパシタC10とを含んでいる。
差動増幅器50は、MOSトランジスタM2,M3のソース電圧と、所定の基準電圧Vrefとを比較し、この比較結果に応じて出力電圧を生成し、この生成した出力電圧を、MOSトランジスタM2,M3のウエル電圧として各ウエル端子に供給するようになっている。
図1に示すように、差動対を構成する一方のMOSトランジスタM2のゲートは非反転入力端子2に接続され、そのゲートに非反転入力信号が入力されるようになっている。また、差動対を構成する他方のMOSトランジスタM3のゲートは反転入力端子1に接続され、そのゲートに反転入力信号が入力されるようになっている。
MOSトランジスタM2,M3の各ソースは共通接続され、その共通接続部がMOSトランジスタM1のドレインと差動増幅器50の−入力端子とにそれぞれ接続されている。MOSトランジスタM2のドレインは、MOSトランジスタM7のソースと接続されている。MOSトランジスタM3のドレインは、MOSトランジスタM6のソースと接続されている。MOSトランジスタM2,M3のウエル端子は、共通接続されている。
MOSトランジスタM8,M9の各ゲートはバイアス端子5にそれぞれ接続され、その各ゲートに所定のバイアス電圧が印加されるようになっている。また、MOSトランジスタM8,M9の各ソースは共通接続され、この共通接続部には低電位側の電源電圧Vssが供給されるようになっている。さらに、MOSトランジスタM8,M9の各ドレインは、MOSトランジスタM6,M7の対応する各ソースに接続されている。
MOSトランジスタM4,M5は、カレントミラーを構成している。すなわち、MOSトランジスタM4,M5は、その各ゲートが共通接続され、その共通接続部がMOSトランジスタM4のドレインに接続されている。さらに、MOSトランジスタM4,M5の各ソースは共通接続され、その共通接続部には電源電圧Vddが供給されるようになっている。
MOSトランジスタM11のゲートはバイアス端子5に接続され、そのゲートに所定のバイアス電圧が印加されるようになっている。また、MOSトランジスタM11は、そのソースに電源電圧Vssが供給され、そのドレインが出力端子6に接続されている。
さらに、MOSトランジスタM5とMOSトランジスタ7の共通接続部と、出力端子6との間に、抵抗R10とキャパシタC10とが直列接続され、この直列回路が位相補償回路を形成している。
このP型のMOSトランジスタM2,M3は、公知であるP型基板のCMOSプロセスにより製造されるCMOS回路で実現できるので、その構造例について図2を参照して説明する。
このCMOS回路は、図2に示すように、P型基板213に形成されるN型のMOSトランジスタ200とP型のMOSトランジスタ300とからなる。
以下の説明では、基板213はP型とする。P型基板213には、それに対して電圧を供給する電圧供給端子216が接続されている。この電圧供給端子216には、低電位側の電源電圧Vssが供給され、通常は0Vが用いられる。
一方、P型のMOSトランジスタ300のNウエル209の電圧は、ソース207またはドレイン208とNウエル209の間で形成されるダイオードがオンしないことを条件に、低電位側の電源電圧Vssから高電位側の電源電圧Vddまでの範囲で任意の電圧が供給可能である。
従って、図2に示すような構造からなるP型のMOSトランジスタ300を、差動入力部10に使用されるP型のMOSトランジスタM2,M3として使用できる。
演算増幅器は、通常、帰還させて使用するため、イマジナリショートの効果によって入力端子1,2の電圧は同じになる。すなわち、P型のMOSトランジスタM2,M3に流れる電流は同じである。このP型のMOSトランジスタM2,M3のそれぞれの電流電圧特性は、以下のように(2)式と同じ式を用いることができる。
Ids=(W/L)・μ・Cox(Vs2+Vthp−Vin)2 ・・・(2)
ここで、WはMOSトランジスタM2,M3のチャネル幅、Lはチャネル長、μは移動度、Coxは単位面積あたりの静電容量、Vs2はMOSトランジスタM2,M3の共通ソース電圧である。Vthpは、そのしきい値電圧である。
Vs2=Vin−Vthp+Δ ・・・(3)
但し、Δ=√{Ids/(W/L)・μ・Cox}である。
この(3)式により、ソース電圧Vs2は入力電圧Vinからしきい値電圧VthpとΔを差し引いた値になることがわかる。通常、P型のMOSトランジスタはエンハンスメント型のものが用いられるため、Vthpの符号は負であり、ソース電圧Vs2は入力電圧に一定値を加えた値となる。
Vthp=Vthp0+γ・Vbs・・・(4)
ここで、Vthp0はウエルとソースとの間の電圧がゼロの場合のしきい値電圧、Vbsはウエルとソースとの間の電圧差、γは定数であり、P型のMOSトランジスタの場合は正である。
ここで、(4)式は、岸野正剛、小柳光正著 丸善株式会社発行「電子材料シリーズ
VLSIデバイスの物理」の118頁の式(3.87)に基づいている。
差動増幅器50の非反転入力端子には、所定の基準電圧Vrefが供給されている。また、差動増幅器50の反転入力端子には、MOSトランジスタM2,M3のソース電圧Vs2が供給されている。差動増幅器50の出力Vwは、(5)式のように表される。
Vw=A(Vref−Vs2)・・・(5)
ここで、Aは差動増幅器50の利得である。
このような制御の結果、ソース電圧Vs2は、いつも基準電圧Vrefに近づこうとする。
さて、電流源用のMOSトランジスタM1が電流源として正常に機能するためには、ドレイン・ソース間電圧Vds1は、次式を満足すれば良い。
ここで、Vgs1はMOSトランジスタM1のゲート・ソース間電圧、VthpはMOSトランジスタM1のしきい値電圧である。すなわち、基準電圧Vrefの値はMOSトランジスタM1のドレイン電圧が(6)式を満足するような値に設定すれば、電流源用のMOSトランジスタM1は正常動作が確保できる。
図1に示す出力部40は、P型のMOSトランジスタM10とN型のMOSトランジスタM11とで構成される公知の出力増幅回路であり、この構成の回路は出力電圧が広い範囲で動作可能であり、低電圧のもとで良好に動作する。
しかも、電源電圧を下げていってもウエル電圧を制御する差動増幅器50としきい値電圧の変動が有効に働く限り動作可能であり、従来の演算増幅器と比較して格段に低電圧で動作が可能になる。
また、この第2実施形態では、反転入力端子1、非反転入力端子2が、MOSトランジスタM2,M3のゲートのみしか接続していないため、入力電流がゼロである。
この差動増幅器50は、図3に示すように、差動入力部51と、出力部52と、備えている。
差動入力部51は、差動信号を入力する差動対からなるN型のMOSトランジスタM22、23と、カレントミラー回路を構成するP型のMOSトランジスタM20、M21と、電流源として機能するN型のMOSトランジスタM24とを備えている。
出力部52は、差動入力部51から出力される信号が、N型のMOSトランジスタM26を能動負荷とするP型のMOSトランジスタM25により増幅され、出力されるようになっている。また、出力部52は、図3に示すように、位相補償を行うための抵抗R30とキャパシタC31とを含んでいる。
MOSトランジスタM22,M23の各ソースは共通接続され、その共通接続部がMOSトランジスタM24のドレインに接続されている。また、MOSトランジスタM22,M23の各ドレインは、カレントミラーを構成するMOSトランジスタM20,M21の対応するドレインにそれぞれ接続されている。
MOSトランジスタM25のゲートは、MOSトランジスタM23とMOSトランジスタ21との共通接続部と接続されている。また、MOSトランジスタM25は、そのソースに電源電圧Vddが供給され、そのドレインが出力端子35に接続されている。
さらに、MOSトランジスタM23とMOSトランジスタ21の共通接続部と、出力端子との間に、抵抗R30とキャパシタC31とが直列接続され、この直列回路が位相補償回路を形成している。
しかし、差動増幅器50の動作については、入力電圧は常に基準電圧Vrefであるため、入力電圧の動作範囲が正電源から負電源にわたって常に動作させる必要がない。しかも、基準電圧Vrefの値は、図1の電流源として動作するMOSトランジスタM1のドレイン・ソース間電圧が十分確保できるようにすれば良い。
その基準電圧Vrefは、最適に設計すると、(Vdd−0.05)〜(Vdd−0.3)V程度で良い。従って、この範囲の電圧に対してのみ動作すればよく、図3に示すように差動入力部51のMOSトランジスタとして、N型を用いると容易に動作させることができる。
式(4)によって、MOSトランジスタM2,M3のしきい値電圧の制御は可能である。しかし、現実的には、図1のように全ての入力電圧に対して差動入力部10のMOSトランジスタM2,M3のソース電圧を一定値である基準電圧Vrefにすることは簡単ではない。
MOSトランジスタM2,M3のしきい値は、式(4)のようにウエル電圧で制御することになるが、(4)式中の定数γが高い値、例えば3以上の数値であるなら、先ほど述べたような動作が実現できる。
従って、しきい値電圧の制御範囲の一方の制限は、式(4)においてVbsが−0.7Vが下限値である。逆に、しきい値をマイナス側に大きくする場合にはPN接合が逆方向のため、電源電圧の許容範囲で制御は可能である。
一例として、電源電圧Vdd=1V、Vthp=−0.3V、Δ=0.2V,Vref=0.9V、γ=0.3とする。比較のために、図9の従来の演算増幅器を参照しながら説明する。
まず、図1に示す第2実施形態と図9に示す従来の演算増幅器との構成の差異について説明する。
(3)式よりソース電圧Vsとゲート電圧すなわち入力電圧Vinの関係は、次式のようになる。
Vs=Vin+0.5・・・(7)
このため、「a」の領域では(7)式に従うが、出力が電源電圧である1Vに近づくと電流源用のMOSトランジスタM103のソース・ドレイン間電圧が小さくなり、電流の供給量が減る。従って、領域「b」「c」では、図4のように出力は1Vに近いところで飽和する。
この場合には、「a」の領域ではソース電圧はVrefの値である0.9Vよりも低い状態になっている。また、この場合は、しきい値をマイナスに大きくして出力を0.9Vに近づけようとするが、ウエル電圧は電源電圧である1Vを超えることができないため1Vに固定されていて、しきい値電圧は、Vbs=0のときより少しだけマイナスに大きめの値となっている。入力電圧Vinが大きくなるとVbsが減り、その結果としてVthはプラス側に少しずつ変化するため、ウエル電圧の制御が効いていない場合(細い実線C)に比べて傾きは緩やかに変化する。
このように、差動入力部10のMOSトランジスタM2,M3の動作範囲は、ウエル電圧の制御がない場合に比べて「b」の領域に相当する区間だけ広がっていることになる。この「b」の区間は、電流源MOSFETであるM1は正常に機能している。仮に、M1のドレイン電圧が0.9Vを超えた所で正常に動作しないとする。
従って、図1の第2実施形態の回路の使用により、入力動作範囲が0.24〔V〕広がることになる。このように、定数γの値が小さい場合には、図1の第2実施形態で入力動作範囲を広げることができるが、レイルトゥレイル動作をさせることはできない。
次に、本発明の第3実施形態に係る演算増幅器について、図5を参照して説明する。この第3実施形態は、定数γが3よりもはるかに小さい値の場合でも、レイルトゥレイル動作が可能な演算増幅器である。
この第3実施形態は、折り返しカスコード型の演算増幅器であって、図5に示すように、差動入力部10Aと、差動入力部10Bと、加算部80と、出力部40と、ウエル電圧制御部である差動増幅器50と、を備えている。
従って、第3実施形態の差動入力部10A、出力部40、および差動増幅器50は、図1に示す第2実施形態の差動入力部10、出力部40、および差動増幅器50とその構成が同じである。このため、その同一の構成要素には同一符号を付し、その構成の詳細な説明は必要に応じて省略する。
加算部80は、差動入力部10Aの電流と差動入力部10Bの電流とを加算するための回路である。
差動増幅器50は、MOSトランジスタM2,M3とMOSトランジスタM1との共通接続部の電圧と、所定の基準電圧Vrefとを比較し、この比較結果に応じて出力電圧を生成し、この生成した出力電圧を、MOSトランジスタM2,M3のウエル電圧としてウエル端子に供給するようになっている。
まず、差動入力部10Bの詳細について説明する。差動対を構成する一方のMOSトランジスタM15のゲートは反転入力端子1に接続され、そのゲートに反転入力信号が供給されるようになっている。また、差動対を構成する他方のMOSトランジスタM16のゲートは非反転入力端子2に接続され、そのゲートに非反転入力信号が入力されるようになっている。
MOSトランジスタM14のゲートはバイアス端子11に接続され、そのゲートに所定のバイアス電圧が印加されるようになっている。また、MOSトランジスタM14のソースには、電源電圧Vssが供給されるようになっている。
なお、加算部80の他の部分の詳細な構成は、図1の第2実施形態のカスコード電流源部20の構成と同じであるので、その説明は省略する。
この第3実施形態の差動入力部10AのMOSトランジスタM2,M3の入力動作範囲は、第2実施形態の差動入力部10のMOSトランジスタM2,M3の入力動作範囲の場合と同じになる。
次に、この入力動作範囲について、具体的な数値を用いて説明する。図5において、差動入力部10AのMOSトランジスタM2,M3の入力に対する電圧範囲は、図4の説明で使用したパラメータであるVdd=1V、Vthp=−0.3V、Δ=0.2V,γ=0.3の場合を例として考える。
図1の第2実施形態のように、差動入力部10だけでその入力用のMOSトランジスタM2,M3がP型だけの場合には、図4で説明したように、入力電圧範囲は0V〜0.64Vである。また、上述のように、図9に示す従来の演算増幅器の場合には、入力電圧範囲は0V〜0.4Vである。
このMOSトランジスタM15、M16はN型であり、この電流電圧特性は(1)式で説明した場合と同じように、次の式(8)で表すことができる。
Ids=(W/L)・μ・Cox(Vin−Vs−Vthn)2 ・・・(8)
ここで、WはMOSトランジスタM15,M16のチャネル幅、Lはチャネル長、μは移動度、Coxは単位面積あたりの容量、VsはMOSトランジスタM15,M16のソース電圧である。Vthnは、そのしきい値電圧である。
(8)式より、MOSトランジスタM15、M16の各ソース電圧Vsは、次式で与えられる。
Vs=Vin−Vthn−Δ・・・(9)
但し、Δ=√{Ids/(W/L)・μ・Cox}である。
この(9)式により、ソース電圧Vsは、入力電圧Vinからしきい値電圧VthnとΔを差し引いた値になることがわかる。
このように、図5に示す第3実施形態は、電源電圧Vdd=1Vの場合、入力電圧Vinが0V〜1Vの範囲では、差動入力部10BのN型のMOSトランジスタM15,M16または差動入力部10AのP型のMOSトランジスタM2,M3のいずれか一方または両方が常に動作するため、レイルトゥレイル動作する演算増幅器が実現できる。
一方、電源電圧Vdd=1Vの場合、図8のような従来の演算増幅器の場合、N型のMOSトランジスタの動作可能な入力電圧範囲は0.6V〜1Vで、P型のMOSトランジスタの動作範囲は上述のように0V〜0.4Vであるため、0.4V〜0.6Vの区間(範囲)では正常に動作しない。従って、全ての入力電圧に対して動作するためには、電源電圧を1.2Vにする必要がある。
すなわち、図5に示す第3実施形態に係る演算増幅器では、従来から用いられているプロセスを使用し、基板係数が小さい場合であっても、電源電圧を従来よりもさらに下げて使用してもレイルトゥレイル動作が可能である。
次に、本発明の第4実施形態に係る演算増幅器について、図6を参照して説明する。
この第4実施形態は、図5に示す第3実施形態よりもさらに低い電源電圧であっても、レイルトゥレイル動作する演算増幅器であり、図6に示すように、差動入力部10Aと、差動入力部10Cと、加算部80と、出力部40と、第1ウエル電圧制御部である差動増幅器50と、第2ウエル電圧制御部である差動増幅器60と、を備えている。
従って、第4実施形態の差動入力部10A、加算部80、出力部40、および差動増幅器50は、図5に示す第3実施形態の差動入力部10A、加算部80、出力部40、および差動増幅器50とその構成が同じである。このため、その同一の構成要素には同一符号を付し、その構成の詳細な説明は必要に応じて省略する。
加算部80は、差動入力部10Aの電流と差動入力部10Cの電流とを加算するための回路である。
差動増幅器50は、MOSトランジスタM2,M3のソース電圧と、所定の基準電圧Vrefとを比較し、この比較結果に応じて出力電圧を生成し、この生成した出力電圧を、MOSトランジスタM2,M3のウエル電圧としてその各ウエル端子に供給するようになっている。
図6に示すように、差動対を構成する一方のMOSトランジスタM15’のゲートは反転入力端子1に接続され、そのゲートに反転入力信号が供給されるようになっている。また、差動対を構成する他方のMOSトランジスタM16’のゲートは非反転入力端子2に接続され、そのゲートに非反転入力信号が入力されるようになっている。
MOSトランジスタM14のゲートはバイアス端子11に接続され、そのゲートに所定のバイアス電圧が印加されるようになっている。また、MOSトランジスタM14のソースには、電源電圧Vssが供給されるようになっている。
これらのMOSトランジスタは、ディープNウエル(deep Nウエル)を有するCMOSプロセスにより製造されるCMOS回路で実現できるので、その構造例について図7を参照して説明する。ここで、このような構造は、トリプルウエル構造ともいわれている。
このCMOS回路は、図7に示すように、P型基板213に形成されるN型のMOSトランジスタ200’とP型のMOSトランジスタ300とからなり、図2に示すCMOS回路と比較してMOSトランジスタ200’の構造が異なる。
一般に、ウエル端子218には上側(高電位側)の電圧Vddが供給されている。このように、ディープNウエル217を形成することによって、Pウエル203の電圧がソース201またはドレイン202とPウエル203の間で形成されるダイオードがオンしない限り、下側の電源電圧Vssから上側の電源電圧Vddの範囲で任意の電圧を供給することが可能になる。
このような構成からなる第4実施形態によれば、差動増幅器60が、MOSトランジスタM15’,M16’のソース電圧と、基準電圧Vref’とを比較し、この比較結果に応じて出力電圧を生成し、この生成した出力電圧を、MOSトランジスタM15’,M16’のウエル電圧としてウエル端子に供給する。
なお、第3実施形態および第4実施形態は、その入力端子は全てMOSトランジスタのゲート端子のみにしか接続していないので、入力電流がゼロである。
次に、第5実施形態に係る演算増幅器について、図14を用いて説明する。
この第5実施形態の回路は、図1に示す第2実施形態と比較すると、図1におけるウエル電圧制御部である差動増幅器50を、図14に示すように差動増幅器150に置き換えたものであり、それ以外の構成は図1と同じである。
図1に示す第2実施形態では、各部を駆動させる電源電圧について特に説明しなかった。すなわち、全ての回路において、正の電源ならびに負の電源それぞれは共通に接続されている。
しかし、この第5実施形態では、図14に示すように、差動増幅器150に供給されている正の電源電圧が共通に使用されるVddでなく、そのVddの2倍の電圧である2Vddになるようにした。
図14のウエル電圧制御部である差動増幅器150は電源電圧が2Vddであるので、差動増幅器150の出力電圧もVss〜2Vddとなる。通常、Vss=0であるので、電源電圧をVddから2Vddに置き換えることによって出力電圧範囲は2倍になる。
このため、第5実施形態では、MOSトランジスタM2,M3の制御できるウエル電圧範囲を大幅に拡張することができて、第2実施形態の場合に比べてより一層の入力電圧範囲の拡張が期待できる。
図15は図4で説明したように、横軸は入力電圧Vinを示しており、縦軸のAはMOSトランジスタM2、M3のソース端子の電圧を示し、BはMOSトランジスタM2,M3のウエル電圧を示す。また、比較のために、差動増幅器150に供給する電源電圧がVddの場合のM2,M3のソース電圧をC、M2,M3のウエル電圧をDとする。言い換えると、C,Dは図1に示す演算増幅器を用いた時のグラフに相当する。
なお、しきい値を変更するためには、MOSトランジスタの製造工程において、しきい値調整用の不純物の打ち込み量を増減することで容易に達成できる。
ここで、電源電圧Vdd=0.6V、Vthp= 0.3V、Δ=0.2V,γ=0.3の場合を例として考える。
入力電圧Vinが領域fにある場合、ウエル電圧が負の電源に到達しており、しきい値の制御が有効に働かなくなっている。領域eはしきい値制御が有効に働いており、ソース電圧は0.5Vと一定になり、図1の演算増幅器は正常に動作する。
領域dはウエル電圧がVdd、すなわち差動増幅器の正の電源0.6Vに到達しており、しきい値制御は働いていない。しかし、図14の全ての回路が正常に働いており、演算増幅器は正常に動作する。
図の場合は、MOSトランジスタM2,M3のソース電圧が0.4V以下になると正常に動作しない。何故なら、入力MOSトランジスタM2,M3および電流源として働くMOSトランジスタM8、M9が正常に動作するためにはそれぞれソース・ドレイン間にある所定の電圧が必要であり、ソース電圧Vsをある値より下げることができなくなるのである。
入力電圧が領域fにある場合、ウエル電圧が負の電源に到達しておりしきい値の制御が有効に働かなくなっている。領域c、d、eはしきい値制御が有効に働いており、ソース電圧は0.5Vと一定になり、図1の演算増幅器は正常に動作する。
正の電源電圧がVddの場合この領域はeのみであるので、正の電源電圧を2Vddにすることによって格段に広くなっていることがわかる。領域bはウエル電圧が2Vddすなわち差動増幅器の正の電源電圧1.2Vに到達しており、しきい値制御は働いていない。しかし、図14の全ての回路が正常に働いており、演算増幅器は正常に動作する。これは、正の電源電圧がVddの場合の領域dに相当する。
このように、第5実施形態では、ウエル電圧を制御する差動増幅器150に用いる電圧電圧を演算増幅器の本体部分である差動入力部10、カスコード電流源部20、カレントミラー部30、出力部40に用いられている正側の電源Vddとは別のより高い電源を使用することで動作範囲を拡大できる。
すなわち、MOSトランジスタを形成するプロセス毎に耐圧の制限があり、その上限耐圧を越えない範囲で使用しなくてはいけないからである。
また、演算増幅器を低電圧で動作させる目的で差動増幅器150を使用する時は、別に高い電源電圧を用意しないことが多いからである。
ここで、差動入力部10のMOSトランジスタがPMOSの場合は、ウエルに印加する電圧がソース電圧より高い場合はなんら問題がないが、逆に低すぎるとソース・ウエル間の寄生ダイオードがオンしてしきい値電圧制御ができなくなる。従って、負側の電源を下げても効果はない。逆に、NMOSの場合には、ウエル電圧がソース電圧より高いと寄生ダイオードがオンするので、ウエル電圧を制御するウエル制御部の負側の電源電圧をより低い電圧に置き換えることによって同じような効果を得ることができる。
さて、Vddよりも高い正側の電源電圧またはVssよりも低い負側の電源電圧を昇圧回路または降圧回路を用いて生成することは有効な手法である。すなわち、最適な電源電圧をLSIの外の部品に依存することなく生成できるからである。しかし、昇圧回路を新たに設置することで余分な回路、余分な電力が必要になる。
図16には、電源をそれぞれ別にした場合のウエル電圧制御用の差動増幅器の一例を示す。この差動増幅器は、図16に示すように、差動入力部81と、出力部82とを、備えている。
さらに詳述すると、差動対を構成する一方のMOSトランジスタM41のゲートは反転入力端子70に接続され、そのゲートに反転入力信号が入力されるようになっている。また、差動対を構成する他方のMOSトランジスタM42のゲートは非反転入力端子71に接続され、そのゲートに非反転入力信号が入力されるようになっている。
MOSトランジスタM40のゲートはバイアス端子72に接続され、そのゲートに所定のバイアス電圧が印加されるようになっている。また、MOSトランジスタM40のソースには、電源電圧Vssが供給されるよう端子79に接続されている。
MOSトランジスタM49のゲートはバイアス端子75に接続され、そのゲートに所定のバイアス電圧が印加されるようになっている。また、MOSトランジスタM49は、そのソースに電源電圧Vddと別の電圧であるVdd2が供給される端子78に接続されており、そのドレインが出力端子76に接続されている。
なお、図16において、電流源として動作するMOSトランジスタM49のゲート端子に供給するバイアス電圧はM49と対で形成するカレントミラー回路によって生成することで最適なバイアス電圧が容易に生成できる。図17に、その具体的な回路を示す。
また、図16に示す差動増幅器は、出力部82の電源をVddよりも高い電圧であるVdd2を用いることによって、出力電圧をVssからVdd2まで拡大することが容易にできる。
図16のような回路の増幅器で構成すると、Vdd2に必要な電流は出力部のみであるため、差動増幅器150のように全体にVdd2を供給する場合に比べて、Vdd2を生成する電源の負担を小さくすることができる。
なお、図16の例では出力が電源電圧Vddよりも高い電圧を出力する場合について述べたが、逆に出力が電源電圧Vssよりも低い電圧を出力する場合には、図3の出力部のM26のソースをVssと異なるVss2が供給できる別の端子に接続されており、さらにM26のゲートにはバイアス端子34ではなく、M26と対で構成されるカレントミラー回路で形成されるバイアス電圧が供給できる。
第5実施形態は、図1に示す第1実施形態のウエル電圧制御部である差動増幅器50を、図14に示すように差動増幅器150に置き換えたものであり、差動増幅器150の電源電圧を2Vddにしたものである。
このように、ウエル電圧制御部としての差動増幅器における電源電圧を、他の回路部分における電源電圧よりも大きくするという構成は、図5、図6、および図12に示す各実施形態におけるウエル電圧制御部としての差動増幅器についても、同様に実施することができる。
20 カスコード電流源部
30 カレントミラー部
40 出力部
50、60 差動増幅器
70 差動増幅部
80 加算部
Claims (9)
- ウエル端子をそれぞれ有し、差動信号を入力する差動対のMOSトランジスタと、この差動対のMOSトランジスタに定電流を供給する電流源とを含む差動入力部と、
前記差動対のMOSトランジスタの負荷として動作するMOSトランジスタ対で構成されるロード部と、
前記差動対のMOSトランジスタのソース電圧と所定の基準電圧とを比較し、この比較結果に応じて生成される出力信号を前記各ウエル端子に供給し、前記差動対のMOSトランジスタの各ウエル電圧を制御するウエル電圧制御部と、
を備え、
前記ウエル電圧制御部に供給する正側または負側どちらか一方の電源の全部または一部が、前記ウエル電圧制御部以外に供給している電圧よりも正側の電圧に高い電圧を供給するか、或いは負側の電圧より低い電圧を供給することを特徴とする演算増幅器。 - ウエル端子をそれぞれ有し、差動信号を入力する第1差動対のMOSトランジスタと、この第1差動対のMOSトランジスタに定電流を供給する第1電流源とを含む第1差動入力部と、
前記差動信号を入力し、第1差動対のMOSトランジスタとは極性が逆である第2差動対のMOSトランジスタと、この第2差動対のMOSトランジスタに定電流を供給する第2電流源とを含む第2差動入力部と、
前記第1差動入力部からの電流と前記第2差動入力部からの電流を加算するための加算部と、
前記第1差動対のMOSトランジスタのソース電圧と所定の基準電圧とを比較し、この比較結果に応じて生成される出力信号を前記各ウエル端子に供給し、前記第1差動対のMOSトランジスタの各ウエル電圧を制御するウエル電圧制御部と、
を備え、
前記ウエル電圧制御部に供給する正側または負側どちらか一方の電源の全部または一部が、前記ウエル電圧制御部以外に供給している電圧よりも正側の電圧に高い電圧を供給するか、或いは負側の電圧より低い電圧を供給することを特徴とする演算増幅器。 - ウエル端子をそれぞれ有し、差動信号を入力する第1差動対のMOSトランジスタと、この第1差動対のMOSトランジスタに定電流を供給する第1電流源とを含む第1差動入力部と、
ウエル端子をそれぞれ有し、前記差動信号を入力する第1差動対のMOSトランジスタ対とは極性が逆である第2差動対のMOSトランジスタと、この第2差動対のMOSトランジスタに定電流を供給する第2電流源とを含む第2差動入力部と、
前記第1差動入力部からの電流と前記第2差動入力部からの電流を加算するための加算部と、
前記第1差動対のMOSトランジスタのソース電圧と所定の第1基準電圧とを比較し、この比較結果に応じて生成される出力信号を前記第1差動対のMOSトランジスタの各ウエル端子に供給し、その各ウエル電圧を制御する第1ウエル電圧制御部と、
前記第2差動対のMOSトランジスタのソース電圧と所定の第2基準電圧とを比較し、この比較結果に応じて生成される出力信号を前記第2差動対のMOSトランジスタの各ウエル端子に供給し、その各ウエル電圧を制御する第2ウエル電圧制御部と、
を備え、
前記第1ウエル電圧制御部または第2ウエル電圧制御部に供給する正側または負側どちらか一方の電源の全部または一部が、前記第1ウエル電圧制御部または第2ウエル電圧制御部以外に供給している電圧よりも正側の電圧に高い電圧を供給するか、或いは負側の電圧より低い電圧を供給することを特徴とする演算増幅器。 - ウエル端子をそれぞれ有し、差動信号を入力する差動対のMOSトランジスタと、この差動対のMOSトランジスタに定電流を供給する電流源とを含む差動入力部と、
前記差動対のMOSトランジスタとの間で折り返し型のカスコード回路を構成するMOSトランジスタ対と、このMOSトランジスタ対にそれぞれ定電流を供給する第1電流源および第2電流源とを含む第1カスコード電流源部と、
前記第1カスコード電流源部のMOSトランジスタ対にそれぞれ定電流を供給する第3電流源および第4電流源を含む第2カスコード電流源部と、
前記差動対のMOSトランジスタのソース電圧と所定の基準電圧とを比較し、この比較結果に応じて生成される出力信号を前記各ウエル端子に供給し、前記差動対のMOSトランジスタの各ウエル電圧を制御するウエル電圧制御部と、
を備え、
前記ウエル電圧制御部に供給する正側または負側どちらか一方の電源の全部または一部が、前記ウエル電圧制御部以外に供給している電圧よりも正側の電圧に高い電圧を供給するか、或いは負側の電圧より低い電圧を供給することを特徴とする演算増幅器。 - ウエル端子をそれぞれ有し、差動信号を入力する第1差動対のMOSトランジスタと、この第1差動対のMOSトランジスタに定電流を供給する第1電流源とを含む第1差動入力部と、
前記差動信号を入力し、第1差動対のMOSトランジスタとは極性が逆である第2差動対のMOSトランジスタと、この第2差動対のMOSトランジスタに定電流を供給する第2電流源とを含む第2差動入力部と、
前記第1差動対のMOSトランジスタとの間で折り返し型の第1カスコード回路を構成する第1MOSトランジスタ対と、この第1MOSトランジスタ対にそれぞれ定電流を供給する第1電流源および第2電流源と、前記第2差動対のMOSトランジスタとの間で折り返し型の第2カスコード回路を構成する第2MOSトランジスタ対と、この第2MOSトランジスタ対にそれぞれ定電流を供給する第3電流源および第4電流源とを含み、前記第1カスコード回路を構成する第1MOSトランジスタ対と前記第2カスコード回路を構成する第2MOSトランジスタ対とが直列に接続される加算部と、
前記第1差動対のMOSトランジスタのソース電圧と所定の基準電圧とを比較し、この比較結果に応じて生成される出力信号を前記各ウエル端子に供給し、前記第1差動対のMOSトランジスタの各ウエル電圧を制御するウエル電圧制御部と、
を備え、
前記ウエル電圧制御部に供給する正側または負側どちらか一方の電源の全部または一部が、前記ウエル電圧制御部以外に供給している電圧よりも正側の電圧に高い電圧を供給するか、或いは負側の電圧より低い電圧を供給することを特徴とする演算増幅器。 - ウエル端子をそれぞれ有し、差動信号を入力する第1差動対のMOSトランジスタと、この第1差動対のMOSトランジスタに定電流を供給する第1電流源とを含む第1差動入力部と、
ウエル端子をそれぞれ有し、前記差動信号を入力する第1差動対のMOSトランジスタ対とは極性が逆である第2差動対のMOSトランジスタと、この第2差動対のMOSトランジスタに定電流を供給する第2電流源とを含む第2差動入力部と、
前記第1差動対のMOSトランジスタとの間で折り返し型の第1カスコード回路を構成する第1MOSトランジスタ対と、この第1MOSトランジスタ対にそれぞれ定電流を供給する第1電流源および第2電流源と、前記第2差動対のMOSトランジスタとの間で折り返し型の第2カスコード回路を構成する第2MOSトランジスタ対と、この第2MOSトランジスタ対にそれぞれ定電流を供給する第3電流源および第4電流源とを含み、前記第1カスコード回路を構成する第1MOSトランジスタ対と前記第2カスコード回路を構成する第2MOSトランジスタ対とが直列に接続される加算部と、
前記第1差動対のMOSトランジスタのソース電圧と所定の第1基準電圧とを比較し、この比較結果に応じて生成される出力信号を前記第1差動対のMOSトランジスタの各ウエル端子に供給し、その各ウエル電圧を制御する第1ウエル電圧制御部と、
前記第2差動対のMOSトランジスタのソース電圧と所定の第2基準電圧とを比較し、この比較結果に応じて生成される出力信号を前記第2差動対のMOSトランジスタの各ウエル端子に供給し、その各ウエル電圧を制御する第2ウエル電圧制御部と、
を備え、
前記第1ウエル電圧制御部または第2ウエル電圧制御部に供給する正側または負側どちらか一方の電源の全部または一部が、前記第1ウエル電圧制御部または第2ウエル電圧制御部以外に供給している電圧よりも正側の電圧に高い電圧を供給するか、或いは負側の電圧より低い電圧を供給することを特徴とする演算増幅器。 - 前記第1電流源および前記第2電流源と、前記第3電流源および前記第4電流源とのいずれか一方の電流源の組を、カレントミラー構成としたことを特徴とする請求項4乃至請求項6のうちのいずれかに記載の演算増幅器。
- 前記ウエル電圧制御部、第1ウエル電圧制御部、または第2ウエル電圧制御部が少なくとも差動増幅部および出力回路から構成されており、出力回路に供給する正側または負側のいずれか一方の電源電圧は、差動増幅部を含むその他の回路の電源電圧よりも正側の電圧に高い電圧を供給するか、或いは負側の電圧により低い電圧を供給することを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちのいずれかに記載の演算増幅器。
- 前記ウエル電圧制御部、第1ウエル電圧制御部、または第2ウエル電圧制御部の一部または全部に供給する電圧は、昇圧回路或いは降圧回路を用いて生成することを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちのいずれかに記載の演算増幅器。
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