JP4239155B2 - ローパスフィルタ及びそれを用いた高周波スイッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体通信機器等に組み込まれて用いられるローパスフィルタおよびそれを用いた高周波スイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高周波スイッチは、一般にデジタル携帯電話等において送信回路と受信回路とを切り換えるために用いられる。図15は特許文献1に開示された従来の高周波スイッチ回路である。この高周波スイッチは、送受信用スイッチ回路2と、この送受信スイッチ回路2の送信側に電気的に接続された3次ローパスフィルタ回路5とを備えている。送受信スイッチ回路2の送信用端子Tx側には、ダイオードD1のカソードが接続されている。ダイオードD1のカソードはローパスフィルタ5を構成する伝送線路L1に接続している。ダイオードD1のアノードは、アンテナ用端子ANTに接続している。
【0003】
アンテナ用端子ANTには伝送線路L3を介して受信用端子Rxが接続している。さらに、受信用端子には、ダイオードD2のカソードが接続されている。ダイオードD2のアノードは容量C5を介してグランドに接地している。ダイオードD2とコンデンサC5の接続点には抵抗Rcを介して電圧制御用端子Vcが接続している。
【0004】
一方。3次ローパスフィルタ5は、伝送線路L1と、伝送線路L1の両端とグランドとの間にそれぞれ接続された容量C2、C3及び伝送線路L1に対して並列に接続された容量C1により構成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−261398号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高周波スイッチの送信用端子Tx側にはパワーアンプが接続される。そして、このパワーアンプからは、送信周波数の信号波(基本波)だけでなく、その2倍波、3倍波なども漏れてくる。この2倍波や3倍波を減衰させるためにローパスフィルタを用いる。図8に従来の3次ローパスフィルタ5を用いた場合の減衰量特性を示す。基本波の周波数が1.8GHzを想定した場合、2倍波、3倍波は20〜25dB程度の減衰量しか得られないため、パワーアンプからの2倍波、3倍波を十分に低減することが出来なかった。
【0007】
また、ローパスフィルタの減衰量は、図16に示した5次のローパスフィルタ6などを用いることで改善できる。ところが5次のローパスフィルタ回路は構成素子数が多く、更に高周波スイッチの挿入損失が大きくなるという問題があった。
【0008】
小型化の要求されるデジタル携帯電話等においては、その内部で使用される部品においての小型化が要求されている。このため、ローパスフィルタおよびそれを用いた高周波スイッチの小型化が要求されている。
【0009】
本発明の目的は、以上の問題点に鑑み、小型で性能の優れたローパスフィルタ、およびそれを用いた高周波スイッチを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するため、本発明は、下記の構成を主旨とする。
本発明は、入力端子および出力端子を有し、前記入力端子と前記出力端子の間に、第1の並列共振回路および第2の並列共振回路が直列に接続され、前記第1の並列共振回路の両端に第1の接地容量および第2の接地容量が接続され、前記第1の並列共振回路の共振周波数を通過帯域の2倍波と略等しい周波数に設定し、前記第2の並列共振回路の共振周波数を通過帯域のn倍波(n=2,3,4、…)と略等しい周波数に設定したことを特徴とするローパスフィルタである。
【0011】
本発明は、少なくとも2つのスイッチング素子を有した送受信用スイッチ回路と、前記送受信用スイッチ回路の送信側経路に電気的に接続されたローパスフィルタを備え、前記ローパスフィルタは、直列に接続された第3の並列共振回路および第4の並列共振回路と、前記第3の並列共振回路の両端に接続された、第3の接地容量および第4の接地容量から構成され、前記第3の並列共振回路の共振周波数を通過帯域の2倍波と略等しい周波数に設定し、前記第4の並列共振回路の共振周波数を通過帯域のn倍波(n=2,3,4、…)と略等しい周波数に設定したことを特徴とする高周波スイッチである。即ち、この高周波スイッチは送信側経路には上記したローパスフィルタが挿入されているもので、第3の並列共振回路は第1の並列共振回路と、第4の並列共振回路は第2の並列共振回路と、第3の接地容量および第4の接地容量は第1の接地容量および第2の接地容量とローパスフィルタの構成に読み代えることが出来る。
【0012】
本発明の高周波スイッチにおいて、前記送受信用スイッチ回路が、送信側に第1のダイオードと第1の伝送線路を有するとともに、受信側に第2のダイオードと第2の伝送線路を設けて構成するものである。ここで、前記第1の伝送線路は、前記第3の並列共振回路と第4の並列共振回路の接続点と、接地導体との間に接続することが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るローパスフィルタおよびこれを用いた高周波スイッチの実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
(実施例1)
図2は本発明にかかるローパスフィルタの一実施例である。図2において伝送線路L1と容量C1は並列共振回路を形成し、基本波の周波数の略2倍波で減衰極を持つように伝送線路L1の長さやインピーダンスおよび容量C1の大きさが調整されている。伝送線路L2と容量C4も並列共振回路を形成し、基本波の周波数の略n倍波(n=2,3,4、…)で減衰極を持つように伝送線路L2の長さやインピーダンスおよび容量C4の大きさが調整されている。接地容量C2、C3は伝送線路L1の両端に接続されている。
【0015】
図7は本発明に係るローパスフィルタの減衰量特性を示した図である。この場合、基本波の周波数はDCS帯(Digital Cellular System)およびPCS帯(Personal Communication Service)の送信帯域である1710MHz〜1910MHzを前提とした。伝送線路L2と容量C4からなる並列共振回路の減衰極を基本波の周波数の略3倍波で減衰極を持つように設定した。図7より2倍波、3倍波減衰量ともに30dB以上を達成している。これは図8で示した従来の3次ローパスフィルタ5の減衰量特性と比較すると、2倍波において10dB、3倍波減衰量において20dBの改善である。また、基本周波数における挿入損失も従来の3次ローパスフィルタと比較して同等の特性が得られている。
【0016】
本実施例では、伝送線路L2と容量C4からなる並列共振回路の共振周波数を基本波の周波数の略3倍波に設定したが、実際の携帯電話端末に組み込んだ場合には、2倍波、3倍波、…など、どの周波数が一番問題となるかは、パワーアンプのデザイン、周辺回路により状況が異なる。従って、伝送線路L2と容量C4からなる並列共振回路の共振周波数を、状況に応じて変更することにより、携帯端末から発生する高調波発生量を効率良く抑制する事が可能である。
【0017】
次に、図2に示したローパスフィルタ1の電気回路を具現化した、積層型ローパスフィルタについて、図11、図12を参照して説明する。図11は図2に示した電気回路を有した積層型ローパスフィルタの積層図である。7jが最下層のシートであり順に7aまで積層したものである。
図11のローパスフィルタは、伝送線路L1、L2の電極パターンを設けた誘電体シート7c、7d、7eと、広面積のグランド電極を設けた誘電体シート7b、7f、7jと、容量C1、C2、C3、C4の電極パターンを設けた誘電体シート7g、7h、7iと、上面電極を設けた誘電体シート7aなどにて構成されている。図11において各誘電体シート上に示す電極パターンL1、L2は、それぞれビアホールにて電気的に接続され、ローパスフィルタ1の電気回路を構成する。
【0018】
以上の構成からなる各シート7a〜7jは積み重ねられ、一体的に焼成される。その後、積層体側面に側面電極10を印刷し、更に電極焼成を行えば、図12に示すような積層部品11となる。図12において長手中央の端子がローバスフィルタの入出力端子であり、残りの端子はグランド端子に相当する。
【0019】
(実施例2)
図1は本実施例にかかる高周波スイッチの一実施例である。この高周波スイッチは、送受信用スイッチ2と、この送受信スイッチ2の送信側に電気的に接続されたローパスフィルタ1とを備えている。送受信スイッチ回路2の送信用端子Tx側には、ダイオードD1のカソードが接続されている。ダイオードD1のカソードはローパスフィルタ1を構成する伝送線路L1に接続している。ダイオードD1のアノードは、アンテナ用端子ANTに接続している。
【0020】
アンテナ用端子ANTには伝送線路L3を介して受信用端子Rxが接続している。さらに、受信用端子には、ダイオードD2のカソードが接続されている。ダイオードD2のアノードは容量C5を介してグランドに接地している。ダイオードD2とコンデンサC5の接続点には抵抗Rcを介して電圧制御用端子Vcが接続している。
【0021】
ここに、伝送線路L3、L4として特性インピーダンス25Ω以上の分布定数線路、あるいは、高周波インダクタが使用される。分布定数線路の場合、伝送線路L3、L4の線路長は、λ/10以上λ/3以下(λ:所望周波数の波長)の範囲に設定される。
【0022】
次に、この高周波スイッチを用いての送受信について説明する。電圧制御用端子Vcに正電圧を印加した場合、伝送線路L1、L4によりバイアス電流が流れるため、ダイオードD1、D2がON状態となる。この結果、送信用端子Txに入った送信信号は、ローパスフィルタ1、ダイオードD1を経由してアンテナ用端子ANTに伝送される。この時、送信信号は受信端子Rxに殆ど伝送されない。なぜならばダイオードD2がON状態の時のD2自身が有するインダクタンス成分と容量C5が送信信号の周波数で直列共振するように設定されており、インピーダンスがショートになるからである。つまり、伝送線路L3、L4はλ/4ショートスタブとして動作するため、送信用端子Txとアンテナ用端子ANTが接続され、受信用端子Rxはグランドへ接地される。
【0023】
電圧制御端子Vcを接地電位にした場合、ダイオードD1、D2はOFF状態になる。したがって、送信用端子Txとアンテナ用端子ANTとの間が遮断されるとともに、受信用端子Rxとの間も遮断される。この結果、アンテナ用端子ANTに入力された受信信号は、伝送線路L3を介して受信用端子Rxに伝送され、送信用端子Txにはほとんど伝送されない。このように、図1の高周波スイッチは電圧制御用端子Vcに印加するバイアス電圧をコントロールする事により、送受の信号の伝送経路を切り換えることが可能である。
【0024】
さて、ローパスフィルタ1において、伝送線路L1と容量C1は並列共振回路を形成し、基本波の周波数の略2倍波で減衰極を持つように伝送線路L1の長さやインピーダンスおよび容量C1の大きさが調整されている。伝送線路L2と容量C4も並列共振回路を形成し、基本波の周波数の略n倍波(n=2,3,4、…)で減衰極を持つように伝送線路L2の長さやインピーダンスおよび容量C4の大きさが調整されている。接地容量C2、C3は伝送線路L1の両端に接続されている。
【0025】
図9は本発明に係る高周波スイッチの減衰量特性を示した図である。この場合、基本波の周波数はDCS帯およびPCS帯の送信帯域である1710MHz〜1910MHzを前提とした。伝送線路L2と容量C4からなる並列共振回路の減衰極を基本波の周波数の略3倍波で減衰極を持つように設定した。図9より2倍波、3倍波減衰量ともに40dB以上を実現できている。ここで従来の高周波スイッチ(図15の回路)の減衰量特性を図10に示した。従来の高周波スイッチと比較すると、本実施例の高周波スイッチにおける2倍波、3倍波減衰量はそれぞれ、10dB、20dB改善していることがわかる。また、基本波の周波数における挿入損失も従来の3次ローパスフィルタと比較して同等の特性が得られている。
【0026】
図9の実施例では、伝送線路L2と容量C4からなる並列共振回路の共振周波数を基本波の周波数の略3倍波に設定したが、実際の携帯電話端末に組み込んだ場合には、2倍波、3倍波、…など、どの周波数が一番問題となるかは、パワーアンプのデザイン、周辺回路により状況が異なる。伝送線路L2と容量C4からなる並列共振回路の共振周波数を、状況に応じて変更することにより、携帯端末から発生する高調波発生量を効率良く抑制する事が可能である。
【0027】
次に、図1に示した高周波スイッチの電気回路を具現化した、積層型高周波スイッチについて、図13、図14を参照して説明する。図13は図1に示した電気回路を有した積層型高周波スイッチの積層図である。8hが最下層のシートであり順に8aまで積層したものである。
図13の高周波スイッチは、伝送線路L1、L2、L3、L4の電極パターンを設けた誘電体シート8c、8d、8eと、広面積のグランド電極を設けた誘電体シート8f、8hと、容量C1、C2、C3、C4、C5の電極パターンを設けた誘電体シート8f、8gと、上面電極を設けた誘電体シート8aなどにて構成されている。図13において各誘電体シート上に示す電極パターンL1、L2、L3、L4は、それぞれビアホールにて電気的に接続され、図1の高周波スイッチの電気回路を構成する。
【0028】
以上の構成からなる各シート8a〜8hは積み重ねられ、一体的に焼成される。その後、積層体側面に側面電極10を印刷し、更に電極焼成を行えば、図14に示すような積層部品となる。図14において長手奥の中央の端子がアンテナ用端子ANT、長手奥の左側の端子が電圧制御用端子Vc、長手手前の左側の端子が送信用端子Tx、長手手前の右側が受信用端子Rxであり、残りの端子はグランド端子に相当する。さらに積層体11の上面の電極には、それぞれダイオードD1、D2、抵抗Rcが半田付けされる。
【0029】
こうして、図1に示した電気回路を具現化した表面実装タイプの積層型高周波スイッチが得られる。この積層型高周波スイッチは、一つの部品内に必要な回路が内蔵されており、小型化を図る事ができる。
【0030】
(実施例3)
図5(b)、図5(c)は本実施例にかかる高周波スイッチの一実施例である。これらの高周波スイッチは、送受信回路2の回路構成が、実施例2で示した高周波スイッチと異なる。図5(b)の送受信用スイッチ2bは、伝送線路L4が送信用端子とローパスフィルタ1の接続点に接続され、グランドに接地されている。また図5(c)の送受信用スイッチ2cは、伝送線路L4がダイオードD1のカソードとローパスフィルタ1の接続点に接続され、グランドに接地されている。
【0031】
図5(b)において、電圧制御用端子Vcに正電圧を印加した場合、伝送線路L1、L2、L4を経由してバイアス電流が流れ、ダイオードD1、D2がON状態となる。図5(c)においても同様に、電圧制御用端子Vcに正電圧を印加した場合、伝送線路L4を経由してバイアス電流が流れ、ダイオードD1、D2がON状態となる。したがって、図5(b)、図5(c)ともに図5(a)と同様に問題なく送受信の切り換え動作が可能である。
【0032】
しかしながら、伝送線路L4の接続を変更すると、通過帯域の反射ズレが起きるため、伝送線路L4の長さ、接地容量C2、C3の大きさなどを変更する事により、通過帯域におけるインピーダンスを50Ωへ整合させる必要がある。
例えば、基本波の周波数をDCS帯およびPCS帯の送信帯域である1710MHz〜1910MHzを前提とした場合、実施例2で示した回路における伝送線路L4の長さ、接地容量C2、C3は図5(a)に示す様に、それぞれ、8mm、2pF、3pFであった。これに対して図5(b)の回路に関しては、伝送線路L4の長さ、接地容量C2、C3はそれぞれ、20mm、1.5pF、1.8pFであった。また図5(c)の回路に関しては、伝送線路L4の長さ、接地容量C2、C3はそれぞれ、15mm、2.0pF、1.2pFであった。なお、図5(a)〜(c)において、伝送線路L1、L2、L3および容量C1、C4、C5は変更していない。
【0033】
図5(a)〜(c)のいずれの回路においても、挿入損失特性、減衰量特性はほぼ同等であり実使用上問題ないレベルである。しかしながら、伝送線路L4の長さに関しては、図5(a)が8mmと一番短くでき、他の図5(b)、図5(c)と比較して40%〜53%も小型化が可能であることがわかる。
【0034】
図5(b)、図5(c)では入出力端子を50Ωに整合させる必要があるため、伝送線路L4の電気長を通過帯域の信号のλ/4に設定し、接続点からみたグランドのインピーダンスをオープンに設定する必要がある。これに対し、図5(a)では必ずしもλ/4の電気長である必要はなく、伝送線路L4がλ/4以下の長さでグランドに対するインピーダンスが有限の値になった(オープンではない)場合でも、容量C3の値を調整することにより、ローパスフィルタ1の入出力インピーダンスを50Ωに調整可能である。以上の理由により、伝送線路L4が最も小型化可能であることがわかる。
【0035】
以上本実施例により、スイッチ回路を構成する伝送線路L4を、ローパスフィルタを構成する伝送線路L1、L2の接続点の間に接続する事により、伝送線路L4の長さが短縮可能となり、高周波スイッチの更なる小型化を図る事ができる。
【0036】
(その他の実施例)
本発明にかかるローパスフィルタおよびこれを用いた高周波スイッチは、以上の実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更する事ができる。例えば、以下の様な事例が挙げられる。
【0037】
図3に示すように送信側のダイオードD1に並列に伝送線路L5、容量C6を接続した回路を採用する事により、ダイオードD1のOFF時のアイソレーションを向上できる。この回路によれば、受信モード時の送信用端子Txからアンテナ用端子ANTのアイソレーションを向上できる。
【0038】
図4に示すようにダイオードD1、D2のカソードとアノードを逆にするとともに、電圧制御用端子Vc1、Vc2に印加する電位を変更する。送信モードの時にはVc1を正電圧、Vc2を接地電位に設定し、受信モードの時にはVc1を接地電位、Vc2を正電圧に設定する事により、送受信切り換えを行う。
【0039】
図6(a)に示すように高周波スイッチに関して、アンテナ用端子ANT、ローパスフィルタ1が接続される送信用端子Txのほかに複数の信号入出力用端子P1、P2、…を有する高周波スイッチ(図6(a))も考えられる。この場合スイッチング素子として、PINダイオードスイッチを用いる事も可能であるが、GaAs電界効果トランジスタSP3T(Single Pole 3 Throw)、SP4T(Single Pole 4 Throw)などを利用する事により、更なる小型化が可能である。
【0040】
高周波スイッチ前後の整合条件によっては、図6(b)に示すようにローパスフィルタ1の接続方向が逆である高周波スイッチも有効である。ローパスフィルタ1の伝送線路L1および容量C1からなる第1の並列共振回路は、接地容量C2、C3が接続されるため、低インピーダンス側への調整が可能である。一方、伝送線路L2および容量C4からなる第2の並列共振回路は接地容量が接続されていないため、高インピーダンス側への調整が可能である。これにより、アンテナ用端子ANT側が高インピーダンス、送信用端子Txが低インピーダンスの場合は、ローパスフィルタ1の図6(b)の方向が望ましく、逆にアンテナ用端子ANT側が低インピーダンス、送信用端子Txが高インピーダンスの場合は、ローパスフィルタ1の図6(a)の方向が望ましい。
【0041】
また、本発明のローパスフィルタおよびこれを用いた高周波スイッチを構成する伝送線路および容量の一部を高周波チップインダクタ、高周波チップコンデンサなどを使用してもよいことは言うまでもない。さらに高周波スイッチを構成する送受信用切り換え回路のスイッチング素子としてダイオード以外にも、可変容量ダイオード、バイポーラトランジスタ、電解効果トランジスタなどを用いてもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、ローパスフィルタを構成する第1の並列共振回路の共振周波数を、通過帯域の2倍波と略等しい周波数に設定し、第2の並列共振回路の共振周波数を通過帯域のn倍波(n=2,3,4、…)と略等しい周波数に設定する事により、パワーアンプより発生する高調波発生量を効率良く抑制する事が可能であり、さらに本発明のローパスフィルタを内蔵することにより、挿入損失特性および減衰量特性が良好で小型化が可能な高周波スイッチを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明である高周波スイッチの1例を示す図である。
【図2】 本発明であるローパスフィルタの1例を示す図である。
【図3】 本発明である高周波スイッチの1例を示す図である。
【図4】 本発明である高周波スイッチの1例を示す図である。
【図5】 本発明である高周波スイッチの1例を示す図である。
【図6】 本発明である高周波スイッチの1例を示す図である。
【図7】 本発明であるローパスフィルタの減衰量特性の1例を示す図である。
【図8】 従来技術によるローパスフィルタの減衰量特性を示す図である。
【図9】 本発明である高周波スイッチの減衰量特性の1例を示す図である。
【図10】 従来技術による高周波スイッチの減衰量特性を示す図である。
【図11】 本発明であるローパスフィルタの電気回路を有した積層型ローパスフィルタの積層図である。
【図12】 本発明であるローパスフィルタの電気回路を有した積層型ローパスフィルタの積層部品斜視図である。
【図13】 本発明である高周波スイッチの電気回路を有した積層型高周波スイッチの積層図である。
【図14】 本発明である高周波スイッチの電気回路を有した積層型高周波スイッチの積層部品斜視図である。
【図15】 従来技術による高周波スイッチを示す図である。
【図16】 従来技術による5次ローパスフィルタを示す図である。
【符号の説明】
ANT:アンテナ用端子
Tx:送信用端子
Rx:受信用端子
P1、P2:信号入出力端子
Vc、Vc1、Vc2:電圧制御用端子
D1、D2:ダイオード
Rc:抵抗
L1〜L5:伝送線路、インダクタまたはチョークコイル
C1〜C6:容量
1、5、6:ローパスフィルタ
2、2a、2b、2c、3、4、9:送受信用切り換えスイッチ
7a〜7j、8a〜8h:誘電体シート
10:側面端子
11:積層体
Claims (1)
- 少なくとも2つのスイッチング素子を有した送受信用スイッチ回路と、前記送受信用スイッチ回路の送信側経路に電気的に接続されたローパスフィルタを備え、前記ローパスフィルタは、直列に接続された第3の並列共振回路および第4の並列共振回路と、前記第3の並列共振回路の両端に接続された、第3の接地容量および第4の接地容量から構成され、前記第3の並列共振回路の共振周波数を通過帯域の2倍波と略等しい周波数に設定し、前記第4の並列共振回路の共振周波数を通過帯域のn倍波(n=2,3,4、…)と略等しい周波数に設定し、前記送受信用スイッチ回路が、送信側に第1のダイオードと第1の伝送線路を有するとともに、受信側に第2のダイオードと第2の伝送線路を有し、前記第1の伝送線路は、前記第3の並列共振回路と第4の並列共振回路の接続点と、接地導体との間に接続されたことを特徴とする高周波スイッチ。
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