JP4239143B2 - 非ウシ起源変性コラーゲンの製造方法 - Google Patents
非ウシ起源変性コラーゲンの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4239143B2 JP4239143B2 JP2002266969A JP2002266969A JP4239143B2 JP 4239143 B2 JP4239143 B2 JP 4239143B2 JP 2002266969 A JP2002266969 A JP 2002266969A JP 2002266969 A JP2002266969 A JP 2002266969A JP 4239143 B2 JP4239143 B2 JP 4239143B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- collagen
- fish
- solution
- supernatant
- hydrochloric acid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A20/00—Water conservation; Efficient water supply; Efficient water use
- Y02A20/124—Water desalination
Landscapes
- Peptides Or Proteins (AREA)
Description
【技術分野】
本発明は、魚類特にゲンゲ科魚類から水溶性変性物の形でコラーゲンを抽出する方法に関する。
【0002】
【背景技術および課題】
コラーゲンは動物の結合組織を構成する細胞外マトリックスの主成分である。動物の全タンパク質中で最も多く、皮膚、腱、軟骨などに多量に含まれ、体内に繊維状で存在する。コラーゲン繊維はそのポリペプチド鎖間に架橋を生じ、不溶性であるが、これを変性処理して水溶性としたものがゼラチンである。
【0003】
ゼラチンは無味無臭で、水溶液は可逆的にゾルからゲルへ変化する性質を持ち、その性質を利用して食品、医療品、化粧品などの原料として多量に使用されている。これまで使用されて来たコラーゲン原料は主にウシおよびブタの皮膚であるが、BSEなどヒトに対する安全性の懸念から非ウシ由来のコラーゲン原料が注目されている。魚類はその候補の一つである。
【0004】
しかしながら魚類をコラーゲン原料として利用するにはいくつかの問題がある。原料魚類は比較的安価で安定して供給し得るものでなければならない。コラーゲンは前述のように皮膚や腱のような組織に含まれているので、例えば皮膚を他の組織や器官から分別して取出すのはウシやブタのような大型動物では容易であるが、魚類ではそれが困難である。そのため魚類からそのような組織を分別することなくコラーゲンを抽出するには水溶化された多糖類、他のタンパク質などの夾雑成分を分離するため複雑な工程を必要とし、手頃な原料魚種を確保する困難と、工程の複雑さとが相挨って魚類からゼラチンの工業的生産の実現を阻んでいる。
【0005】
【課題の解決方法】
本発明者は、原料魚種としてゲンゲ科魚類に着目した。この魚種は富山湾周辺で漁猟の際に外道としてかなりの漁獲量があるものの、一部が地元で食用に供されるほかは流通市場に出荷されることはなく、殆どが廃棄処分されている。また、SDSゲル電気泳動によりゲンゲコラーゲン分子の型を調べたところ、α1(I)およびα2(I)ポリペプチド鎖と、β11およびβ12ポリペプチド鎖を含み、ウシ型コラーゲンに近似していることがわかった。
【0006】
それ故ゲンゲ科魚類は、これまで主流であったウシ型コラーゲンに似た型のコラーゲンを生産するための安価に安定して入手できる原料である。
【0007】
工業的生産を実現するためには、先に述べたように組織の分別を必要とせず、かつ抽出工程が比較的簡単でなくてはならない。そのため本発明者らはこのような要請を満たす抽出法を開発することに成功した。
【0008】
本発明によるゲンゲ科魚類からのコラーゲン抽出方法は、魚体を適当なサイズにカットし、あらかじめ希酢酸溶液で洗浄した後、再び希酢酸溶液を加え、カットした塊を機械的に破砕する工程、破砕物から固形物を除去し上清を回収する工程、コラーゲンを多く含む分画が析出する濃度において上清を塩化ナトリウムで塩析する工程、析出したタンパク分画を水に懸濁し、懸濁液を希塩酸に対し透析する工程、遠心により透析内液から不溶性成分を分離し、上清のpHをコラーゲンの等電点に調節する工程、生成した沈澱を希塩酸に再溶解し、濾過する工程よりなる。これらの工程によってここでは「コラーゲン」と呼ぶコラーゲンの加水分解産物の溶液が得られる。この溶液を乾燥することによってコラーゲンの乾燥粉末が得られる。
【0009】
ゲンゲ科の魚類にはヨコスジクロゲンゲ、サラサガジ、コグチヘビゲンゲ、カンテンゲンゲ、シロゲンゲおよびアシナガゲンゲの6種類が知られ、そのうちカンテンゲンゲが一般に「げんげ」と呼ばれている魚種である。これらの魚類は水深200m以上の大陸棚斜面に生息し、一部は食用に供されることもあるが大部分は漁獲されても廃棄されている。ゲンゲ科の魚類はすべて本発明に使用することができるが、「げんげ」の通称で知られているカンテンゲンゲが入手し易い。
【0010】
本発明においては、骨、筋肉、内臓を含む魚体全体を原料に使用する。魚体を適当なサイズにカットした後、血液等の汚染物を除去するため希酢酸溶液で洗浄する。洗浄したカット片を再び希酢酸水溶液と混合し、機械的に破砕する。使用する希酢酸水溶液の濃度は1〜10%の範囲が適当であり、破砕時の希酢酸溶液は原料の少なくとも同量を用いる必要がある。破砕には回転刃を有するミキサーのような装置を使用することができる。
【0011】
破砕によって生成したスラリーから固形物を除去するため、スラリーから濾過、遠心分離などにより固形物を除去し、乳白色の上清を得る。この上清から塩析によってコラーゲンに富む分画を析出させる。タンパク質は塩析に用いる電解質の種類およびイオン強度によって精製できることが知られているが、本発明の場合は電解質として塩化ナトリウムを上清中5%以上の比較的高い濃度に加えるのが適当である。塩析によりタンパク以外の水溶性物質およびコラーゲン以外の水溶性タンパクの大部分は溶液中に残る。
【0012】
次に塩析によって析出したタンパク分画を水に懸濁し、懸濁液を希塩酸に対して透析する。希塩酸濃度は0.1〜1.0Nで良く、残存食塩の量ができるだけ少なくなるように透析液を少なくとも3回取替えて透析をくり返すのが好ましい。中空繊維型の透析装置を用いて連続的に透析しても良い。
【0013】
透析内液を遠心して不溶物を分離、除去した後、アルカリ好ましくは水酸化ナトリウムを加えて上清のpHをコラーゲンの等電点である約7へ調節し、沈澱物を希塩酸に再溶解し、これを濾過することにより精製されたコラーゲン溶液が得られる。この溶液を必要に応じ減圧濃縮し、凍結乾燥することによって粉末状のコラーゲンが得られる。
【0014】
【実施例】
富山湾で捕獲されたカンテンゲンゲを約2cm大にカットし、カットした塊1kgを1%酢酸水溶液約5Lへ加え、5分間かきまぜた後遠心分離で水切りし、別に用意した1%酢酸水溶液5Lへ加えた。これを回転刃を備えるミキサーへ移し、破砕してスラリーを得た。このスラリーから遠心分離によって骨片等の固形物を除去した後、上清へ飽和食塩水を加えて塩化ナトリウム濃度5%とした。これを室温で1時間静置し、析出した沈澱を遠心分離によって回収した。この沈澱を水500mlに懸濁し、0.1N塩酸2Lに対して3回透析し、透析内液から不溶性成分を遠心分離により除去した後、1N水酸化ナトリウムでpH7.0へ調節し、30分間静置した後遠心した。透明な上清を傾斜して除き、残りを0.1N塩酸200mlに加え、溶液を0.2μmフィルターを通して濾過し、無色透明なコラーゲン溶液を得た。最後にこのコラーゲン溶液を約半分へ減圧濃縮した後凍結乾燥して白色無臭のコラーゲン加水分解物50gを得た。
【0015】
得られたゲンゲコラーゲンのSDSゲル電気泳動パターンをウシI型コラーゲン、ウシV型コラーゲン、サケI型コラーゲンおよびコイI型コラーゲンと比較して図1に示す。
【0016】
ゲンゲコラーゲンをサケコラーゲンおよびコイコラーゲンと比較したアミノ酸組成を表1に示す。
【0017】
表2は、ゲンゲコラーゲンをサケコラーゲンおよびコイコラーゲンと比較した変性温度(ゲルからゾルへの融点)である。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ウシI型、ウシV型、コケI型およびコイI型コラーゲンと比較したゲンゲコラーゲンのSDSゲル電気泳動パターン図。
Claims (1)
- ゲンゲ科魚類から水溶性変性コラーゲンを製造する方法であって、
(a)適当なサイズにカットし、洗浄した魚体を希酢酸水溶液中で破砕し、スラリーとする工程、
(b)スラリーから固形物を除去し、上清を回収する工程、
(c)上清を塩化ナトリウムで塩析し、コラーゲンに富むタンパク分画を採取する工程、
(d)採取したタンパク分画を水に加え、希塩酸に対して透析し、脱塩する工程、
(e)脱塩した溶液から不溶性成分を除去する工程、
(f)溶液のpHをコラーゲンの等電点へ調節し、析出した沈澱を回収する工程、
(g)回収した沈澱を希塩酸へ再溶解し、濾過する工程、
(h)濾液を凍結乾燥する工程、
よりなる前記方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002266969A JP4239143B2 (ja) | 2002-09-12 | 2002-09-12 | 非ウシ起源変性コラーゲンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002266969A JP4239143B2 (ja) | 2002-09-12 | 2002-09-12 | 非ウシ起源変性コラーゲンの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004099569A JP2004099569A (ja) | 2004-04-02 |
JP4239143B2 true JP4239143B2 (ja) | 2009-03-18 |
Family
ID=32265632
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002266969A Expired - Lifetime JP4239143B2 (ja) | 2002-09-12 | 2002-09-12 | 非ウシ起源変性コラーゲンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4239143B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101919034B (zh) * | 2008-06-10 | 2012-05-02 | 新东工业株式会社 | 半导体晶片的保护膜的形成装置 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4741878B2 (ja) * | 2004-06-04 | 2011-08-10 | 株式会社 アンフィニ | コラーゲン加工方法 |
-
2002
- 2002-09-12 JP JP2002266969A patent/JP4239143B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101919034B (zh) * | 2008-06-10 | 2012-05-02 | 新东工业株式会社 | 半导体晶片的保护膜的形成装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004099569A (ja) | 2004-04-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2886164B2 (ja) | コラーゲンの製造法 | |
US7781158B2 (en) | Method of separating collagen from the various animal tissues for producing collagen solution and product using the same | |
US5436135A (en) | New preparation of placenta collagen, their extraction method and their applications | |
CN100347192C (zh) | 胶原蛋白及其制备方法 | |
KR100283035B1 (ko) | 젤라틴의 제조방법 | |
CN110655568A (zh) | 一种酸性酶解法提取胶原蛋白的方法 | |
CN101570772B (zh) | 一种天然骨胶原的制备方法 | |
KR101864816B1 (ko) | 어피로부터 마린콜라겐의 추출방법 | |
KR101871395B1 (ko) | 고수율로 콜라겐을 제조하는 방법 | |
CN108208307A (zh) | 一种具有美容功能的胶原蛋白肽的制备方法 | |
KR101760890B1 (ko) | 콜라겐 제조방법 | |
KR101916759B1 (ko) | 고농도, 고순도의 동종 콜라겐 제조 방법 및 동종 콜라겐 지지체의 제조방법 | |
KR20140122532A (ko) | 축산 부산물로부터의 고순도 콜라겐의 추출방법 | |
CN106032546A (zh) | 从鱼鳞中提取医用材料基胶原蛋白的方法 | |
JP2001178492A (ja) | 水生物の有用物質の抽出方法 | |
KR101105603B1 (ko) | 염침전 압축 농축법을 이용한 콜라겐 용액 제조방법 | |
JP4239143B2 (ja) | 非ウシ起源変性コラーゲンの製造方法 | |
JPH1017310A (ja) | コラーゲン、ヒドロキシアパタイトの製造方法及びその生成物 | |
JP5043215B1 (ja) | チョウザメ類脊索から簡便な抽出方法で得られるii型コラーゲン | |
JP2563232B2 (ja) | 胎盤コラ−ゲンの新規製品、その抽出法およびその応用 | |
EP1557472A1 (en) | Sodium chondroitin sulfate, chondroitin sulfate-containing material and processes for producing the same | |
KR102153079B1 (ko) | 마린 콜라겐의 대량생산을 위한 고순도 정제방법 | |
RU2562581C1 (ru) | Способ получения биологически активного средства из голотурий, обладающего общеукрепляющими и иммуномодулирующими свойствами | |
KR100497666B1 (ko) | 동물의 뼈 또는 뿔로부터 식용 또는 화장품용 콜라겐의 제조방법 | |
JP3155746B1 (ja) | Ii型コラーゲンの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050719 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080715 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20081209 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20081211 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120109 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4239143 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120109 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130109 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140109 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |