実施の形態
図1は、本実施例に係る現像剤担持体を備える画像形成装置(プリンタ装置)を示すものである。また図2はその現像装置14を示す拡大図である。
この画像形成装置は、画像情報に基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色成分のトナー像を4つの作像ユニット10Y,10M,10C,10Kにおいて個別に形成し、中間転写体としての中間転写ベルト20に順次重ねるように一次転写した後、給紙装置30から供給される記録媒体としての記録用紙Pに一括して二次転写し、最後に定着装置40において記録用紙P上のトナー像の定着処理をすることにより、記録用紙P上にフルカラー画像を形成し得るカラープリンタである。図中における矢付き実線は各回転部品の回転方向、一点鎖線は記録用紙Pの搬送経路をそれぞれ示す。
上記作像ユニット10Y、10M、10C、10Kはいずれも、外部接続機器や原稿読取装置等から入力される画像情報を画像信号処理装置(図示せず)にて画像処理して上記各色成分に色分解したトナー像を電子写真プロセスにより個別に形成するものである。そして、この各作像ユニット10はいずれも、像担持体としての感光ドラム11と、この感光ドラム11の表面を接触して帯電させる帯電装置12と、感光ドラム11の帯電された表面に各色成分の画像信号に応じたビーム光(点線矢印)を露光して静電潜像を形成する潜像形成装置としての露光装置13と、感光ドラム11上の静電潜像を現像ロール14bにより供給する所定色の現像剤(トナー)にて現像してトナー像とする現像装置14と、感光ドラム11上のトナー像を中間転写ベルト20に転写する転写ロール式の一次転写装置15と、一点転写後の感光ドラム11の表面を除電する除電コロトロン16、一次転写後に感光ドラム11上に残留するトナー等の付着物をクリーニングブレード17a等で除去するドラム用クリーニング装置17とを同様に備えたものである。
感光ドラム11は、接地されたドラム状の導電性支持体の表面に有機感光層が形成されたドラム形態からなるものであり、矢印A方向に回転駆動するようになっている。帯電装置12は、コロナ放電器からなるものであり、感光ドラム11の表面を所定の帯電電位(トナーの帯電極性と同極性の帯電電位)に帯電させるようになっている。この帯電装置12としては、感光ドラム11に帯電ロール等を接触させる接触式の帯電装置を使用してもよい。露光装置13は、帯電した感光ドラム11の表面に、画像信号処理装置(図示せず)から送信される画像信号に基づいて半導体レーザ等の光源13aから発せられるビーム光(矢付点線)を回転多面鏡(ポリゴンミラー)13bと所定の光学系(反射ミラー、レンズなど)を介して感光ドラム11の表面に走査露光し、これにより所定の潜像電位からなる静電潜像を形成するようになっている。
現像装置14は、図2に示すように、現像剤が収容され感光体ドラム11に対向して開口するユニットケース14aを有し、このユニットケース14aの開口に面した箇所に現像ロール14bを配設するとともに、ユニットケース14a内には現像剤撹拌搬送のための搬送オーガー14c、dを配設し、さらに搬送オーガー14c、dと現像ロール14bとの間には必要に応じて搬送パドル14eを配設している。また、ユニットケース14aの開口部分近傍には、現像ロール14bに対向してトリミング部材14fが設けられている。ここで、現像ロール14bは、内部に固定的に直径30mmの円柱状磁石(マグロール)を備えており、その周囲に(図中矢印B方向に)回転可能にステンレスで構成される現像スリーブ(現像剤担持体)1を備えている。そして、現像スリーブ1と感光体ドラム11との間隔Gは、0.30〜0.375mmに設定され、現像スリーブ1とトリミング部材14fとの間隔gは、0.2〜1.0mmに設定されている。
また、この現像装置14はトナーとキャリアからなる二成分現像剤を使用する二成分現像装置であり、その現像ロール14aの現像スリーブ1に所定の現像バイアス電圧を印加して、感光体ドラム11との間で磁気ブラシ現像を行うようになっている。なお、現像スリーブの表面には所定の表面パターンがエッジング処理により形成されているが、その詳細は実施例、変形例として後述する。
ここで、本実施形態で使用されるトナーは小径の略球形トナーである。すなわち、トナーの形状係数SFは140未満、好ましくは135以下、より好ましくは120以下である球形状の粒子である。この球状係数SFが140以上になると、トナー粒子が球形状でない不定形になってしまい、良好な転写性等が得られにくくなり、得られる画像の高画質化が困難となる。一方、このトナー粒子は、高画質化を企画する観点からすれば、その体積平均粒子径は好ましくは2〜8μmである。
トナー粒子は、必須成分として結着樹脂及び着色剤を含有し、所望により離型剤樹脂を含有したものである。その結着樹脂は、従来よりトナーに用いられる決着樹脂を用いることができ、特に制限されない。具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α―メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ウラリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルフォン酸ナトリウム等のエチレン性不飽和酸単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソプチルエーテル等のピニルエーテル類;ピニルメチルケトン、ピニルエチルケトン、ピニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン類などの単量体からなる単独重合体、それらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、又はそれらの混合物が挙げられる。さらには、これら単独重合体、共重合体又は混合物に、エボキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ボリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ボリエーテル樹脂等、非ピニル縮合系樹脂、又は、それらと前記ピニル系樹脂との混合物、これらの共存下でピニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等を挙げることができる。
上記着色剤は、従来より公知の着色剤を用いることができ、特に制限されない。例えば、カーボンプラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ペンジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、パルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、プリリアンカーミン3B、プリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズペンガル、アニリンプルー、ウルトラマリンプルー、カルコオイルプルー、メチレンプルークロライド、フタロシアニンプルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどの極々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ペンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンプラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフエニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料などを1種又は2種以上を併せて使用することができる。
上記トナー粒子に所望により含有させる離型剤又は離型剤樹脂は、上記の結着樹脂成分の一部として添加してもよい。ここで用いる離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリブテン等の低分予量ポリオレフイン類;シリコーン類、オレイン酸アミド、工ルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類;カルナウパワツクス、ライスワツクス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホパ油等のような植物系ワックス;ミツロウのごとき動物系ワックス:モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィツシヤートロプシユワックス等のような鉱物系又は石油系のワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。これらのうちの少なくとも1種をトナー粒子内に含有させるのがよい。
また、上記トナー粒子は、上記成分の他に、さまざまな特性を制御するために、種々の成分を含有させることができる。例えば、磁性トナーとして用いる場合、磁性粉(例えばフェライトやマグネタイト)、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金又はこれら金属を含む化合物などを含有させることもできる。さらに必要に応じて、4級アンモニウム塩、ニグロシン系化合物やトリフェニルメタン系顔料等の通常使用される帯電制御剤を適宜選択して含有させてもよい。
上記の条件を満たすトナー粒子を得る方法は、特に制約されるものではないが、例えば、通常の粉砕法で選られた不定形状のトナー粒子を機械的な衝撃カにより上記条件を満たすように球形化して作製する乾式の高速機械衝撃法や、分散媒中で不定形状トナーを球形化して作成する湿式溶融球形化法や、懸濁重合、分散重合、乳化重合凝集法等の既知の重合法により製造する球形トナー製造法などを用いることができる。また、トナーとしてより好ましい態様としては、略球状トナー粒子に、特定の不定形微粒子、単分散球形シリカ及び小径の有機化合物を外添したトナー、あるいは、略球形トナー粒予に、特定の研磨剤の微粒子、単分散球形シリカ及び小径の有機化合物を外添したトナーが挙げられる。
ここで、トナー粒子に外添される不定形微粒予は、その形状係数が130以上、好ましくは135〜150、より好ましくは140〜145である不定形状のものである。この形状係数は、前記したトナー粒子における形状係数SFと同様のものである。
また、この不定形微粒子は、トナーの帯電極性とは逆極性の微粒子である。しかも、この不定形微粒子は、その粒径がトナー粒子の体積平均粒予径に対して0.1〜1.0倍のものである。具体的には、体積平均粒予径として0.5〜10.0μm、好ましくは0.7〜5.0μm、より好ましくは1〜3μmの範囲である。この微粒子の体積平均粒子径がトナー粒子の体積平均粒子径に対して0.1倍未満の値(0.5μm未満)になると、クリーニング装置におけるブレードエッジ部へのシール剤としての不定形微粒子の供給が十分に行われないため、良好なクリーニング特性が得られない傾向がある。反対に、体積平均粒子径がトナー粒予の体積平均粒千径に対してl.0倍の値(10μm)を超えると、現像装置内等で粒子が飛散しやすく、画像形成装置内の汚染を引き起こし易くなる傾向がある。
この不走形微粒子の材料は、特に制約されるものではなく、例えば、前記したトナー粒子の結着樹脂として示した種々の樹脂成分を用いることができる。そして、この不定形微粒子を得る方法としては、その樹脂成分を用いて機械的な既存の樹脂粉砕法、又は水、有機溶剤等の液状媒体中における・既存の乳化法もしくは分散法により樹脂微粒子を製造する方法を用いることができる。
また、トナー粒子に外添される研磨剤微粒子は、トナーの帯電極性とは逆極性の微粒子である。しかも、この微粒子は、その体積平均粒径が0.3〜2μm、好ましくは0.5〜1.5μmの範囲の粒子である。この研磨剤微粒子は、その体積平均粒径が0.3μm未満になると、クリー二ング装置のブレードエッジ部においてすり抜けが発生し、ブレードエッジ部に研磨剤微粒子が溜められなくなるため、良好な研磨効果が得られなくなり、良好なクリーニング特性が得られない傾向がある。反対に、その体積平均粒径が2μmを超えると、トナー粒子との外添強度が弱くなり、現像装置内等で粒子が飛散しやすく、画像形成装置内の汚染を引き起こし易くなる傾向がある。
更に、トナー粒子に外添される単分散球形シリカは、比重がl.3〜l.9、平均粒径が80〜300nmのものである。この比重を1.9以下に制御することにより球形シリカのトナー粒子からの剥がれを抑制することができ、反対に1.3以上に制御することにより凝集分散を抑制することができる。また、その平均粒径が80nmよりも小さいときには、転写助剤としての効果が低下し、反対に300nmよりも大きいときにはトナー粒子に外添しにくい等の不具合がある。このシリカは、単分散かつ球形であることからトナー粒子の表面に均一に分散し、安定したスペーサー効果が得られる。
ここで、単分散の定義としては凝葉体を含め平均粒径に対する標準偏差で議論することができ、標準偏差としてD50*0.22以下であることが望ましい。球形の定義としてはWade11の球形度で議論ができ球形化度が0.6以上、好ましくは0.8以上であることが望ましい。また、シリカに限定する理由としては、その屈折率がl.5前後であり、粒径を大きくしても光散乱による透明度の低下、特にOHPシートに画像を形成してOHP(オーパーヘッドプロジエクター)上への画像採敢時のPE値等に影響を及ぼさないことが挙げられる。一般的な球形シリカは比重が2.2、粒径が最大で50nmのものが製造上から限界である。この場合にはトナー粒千に対する均一分散や安定したスペーサー効果が得られない。このような単分散球形シリカは、湿式法であるゾルゲル法により得ることができる。このときのシリカの比重については、湿式法且つ焼成することなしに作成するため、蒸気相酸化法に比べ低く制御することができる。また、疎水化処理工程での疎水化処理剤種、あるいは処理量を制御することにより更に調整することが可能である。その粒径については、ゾルゲル法の加水分解、縮重合工程のアルコキシシラン、アンモニア、アルコール、水の重量比、反応温度、撹拌速度、供給速度により自由に制御できる。単分散、球形形状も本手法にて作成することにより達成可能となる。
具体的には、テトラメトキシシランを水、アルコールの存在下、アンモニア水を触媒として温度をかけながら滴下、掩枠を行う。次に、反応により作成されたシリカゾル懸濁液を遠心分離し、湿潤シリカゲルとアルコール、アンモニア水とに分離する。次に、湿潤シリカゲルに溶剤を加えて再度シリカゾルの状態にした後、疎水化処理剤を加えてシリカ表面の疎水化を行う6疎水化剤としては一般的なシラン化合物を用いることができる。次に、この疎水化処理シリカゾルから溶媒を除去、乾燥、シープすることにより狙いの単分散シリカを得ることができる。また、このように得られたシリ力を再度疎水化処理しても構わない。上記シラン化含物は、水溶性であるものが使用できる。このようなシラン化合物としては、化学構造式RaSiX4−a(式中、aは0〜3の整数であり、Rは水素原子、アルキル基及びアルケニル基等の有機基を表し、Xは塩素原子、メトキシ基及びエトキシ基等の加水分解性基を表す。)で表される化合物を使用することができ、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれのタイプを使用することも可能である。このシラン化合物からなる疎水化剤のうち特に好ましいものは、ジメチルジメトキシシラン、へキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、イソプチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等である。
更に、トナー粒子に外添される小径の有機化合物は、単分散球形シリカの粒径よりも小径のものであり、具体的には80nm以下、より好ましくは50nm以下のものである。このような小径の有機化合物を使用する理由は、トナーの流動性、及び帯電を制御するためにトナー粒子の表面を充分に被覆する必要があるが、上記球形シリカだけでは充分な被覆ができないことから、それを補足するためである。この小径の有機化合物と上記単分散球形シリカは、初めに単分散球形シリカをトナーと混合し、しかる後、小径の有機化合物を添加して混合するという手順によりトナー粒子に被覆される。これは、小径の有機化合物と単分散球形シリカを同時にトナー粒子に対して添加混合する手順であると、小径の有機化合物がトナ一表面に選択的に付若するため有機化合物よりも大径の単分散球形シリカがトナ一粒子から遊離しやくなってしまうからであり、また、小径の有機化合物を添加混合した後に単分散球形シリカを添加混合する手順であると、トナー流動性がきわめて高くなり、後から添加混合する球形シリカがトナー粒子にかからず均一に分散させることが困難となるからである。
以上の不定形又は研磨剤の微粒子、単分散球形シリカ及び小径の有機化合物(以下、これらをまとめて単に「凝集微粒予」とも称す)は、着色剤を含有しないものがよい。それらのいずれかの微粒子の一部がトナー粒子と共にトナー像中に含まれて転写定着された場合に、それによって生じる画像欠陥を防止するためである。そして、以上のように得られる凝集微粒子を上述のトナー粒子に、一定の比率で外添混合することにより、本実施の形態で使用する現像用トナーを調製することができる。この場合、その外添比率は、トナー粒子と凝集微粒子との合計をl00重量部とした場合、凝集微粒子が0.3〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくはl〜3重量部である。その擬集粒子の外添量が0.3重量部未満の場合には、球形状トナーに対する良好なクリー二ング効果が十分に得られない傾向にあり、反対に10重量部を超えるとトナーとしての帯電特性や流勤特性を著しく損なう傾向にある。
一次転写装置15は、導電性のロール芯材に、カーボンブラックを分散した発泡ウレタンゴム等の弾性層(体積抵抗率:107〜109Ω)を形成した転写ロール15a(外径28mm程度、アスカC硬度35°程度)に、トナーの帯電極性とは逆極性の転写用電圧を転写用電源15bから印加するように構成されている。
中間転写ベルト20は、駆動ロール21、テンションロール22、二次転写装置の一部を構成するバックアップロール23、従動ロール24a〜24b等に張架されて各作像ユニット10における感光ドラム11の一次転写位置を通過するような状態で配設されており、駆動ロール21によって矢印B方向に周回移動するようになっている。上記中間転写ベルと20としては、ポリイミド、ポリアミド等の合成樹脂にカーボンブラック等の導電化剤を適用含有させたものを用いて、体積抵抗率が1010〜1014Ω・cmで、厚みが0.1mm程度のベルト形状に成形したものが使用される。また、バックアップロール23としては、導電性のロール芯材に、EPDMゴム等からなる弾性層と、カーボンブラック等を分散させたブレンドゴム(EPDMとNBR)のチューブ層とを形成してなるロール(外径28mm程度、表面抵抗率107〜1010Ω/□、アスカC硬度70°程度)が使用される。
また、中間転写ベルト20の周囲には、中間転写ベルト20をバックアップロール23に押し付けながら回転する二次転写装置の一部を構成する二次転写ロール25が配設されている。この二次転写装置は、バックアップロール23に給電ロール26を介して転写用電源(図示省略)からトナーの帯電極性と同極性の二次転写電圧が印加されるようになっている。二次転写ロール25は、導電性のロール芯材に、カーボンブラック等を分散させた発泡ウレタンゴム等からなる弾性層と、カーボンブラック等を分散させたウレタンゴムのチューブ層と、フッ素系樹脂をコーティングした表面層を形成してなるロール(外径28mm程度、体積抵抗率103〜1010Ω・cm、アスカC硬度30°程度)であり、接地されている。また、中間転写ベルト20の周囲には、二次転写後の中間転写ベルト20上に残留付着するトナー等の付着物をクリーニングブレード28a等で除去するベルト用クリーニング装置28や、中間転写ベルト20に形成される基準位置マークや制御用マークを検知するマーク検知センサ29が配設されている。
給紙装置30は、多数枚の記録用紙Pを積み重ねて収容する給紙トレイ31と、この給紙トレイ31から記録用紙Pを1枚ずつ送り出す送出装置32と、この送出装置32により送り出される記録用紙Pを二次転写位置にむけて搬送する複数の用紙搬送ロール対33と用紙搬送ガイドからなる給紙路と、記録用紙Pを一旦止めて所定のタイミングで二次転写位置の二次転写ロール25と中間転写ベルト20の間に送り込むレジストロール34等にて構成されている。また、定着装置40は、加熱源を有する加熱ロール41と、この加熱ロール41に圧接して回転する加圧ロール42とを備えたものであり、この加熱ロール41及び加圧ロール43の圧接部(ニップ部)に転写後の記録用紙Pを導入して通過させることにより定着処理を行うようになっている。図1中の符号35、36は二次転写後の記録用紙Pを定着装置40まで搬送して導入する2連の用紙搬送ベルト装置である。
次に、このカラープリンタの動作について説明する。
はじめに、フルカラー画像のプリント開始信号が発せられると、以下のようなプリント動作が実行される。
まず、作像ユニット10Y、10M、10C、10Kにおいて、矢印方向Aに回転する感光ドラム11の表面が帯電装置12により所定の帯電電位(この実施の形態では負極性の電位)に帯電された後、各露光装置13から各色成分のビーム光が照射されて所定の潜像電位からなる静電潜像が形成される。続いて、その各感光ドラム11上の静電潜像が各現像装置14により所定の色の現像剤(トナー)により現像され、これにより各感光ドラム11上に前記4色のトナー像が個別に形成される。
この各作像ユニット10の感光ドラム11上に形成された4色のトナー像は、一次転写装置15と対向する一次転写位置で矢印B方向に周回移動する中間転写ベルト20に順次重ねられるような状態で一次転写される。この一次転写は、転写用電源15bから一次転写ロール15aに印加される一次転写電圧にて転写ロール15aと感光ドラム11との間に形成される転写電界により、トナー像が静電的に中間転写ベルト20側に移行されることにより行われる。この一次転写後の感光ドラム11は、除電コロトロン16により除電された後、ドラム用クリーナ17により未転写トナー等が除去されて清掃される。
一方、このトナー像の形成動作に合わせて記録用紙Pが給紙装置30の給紙トレイ31から給紙路を通して送り出された後、レジストロール34により二次転写タイミングに合わせて中間転写ベルト20と二次転写ロール25の間となる二次転写位置に送り込まれる。これにより、中間転写ベルト20に一次転写された4色の多重トナー像が記録用紙Pに一括して二次転写される。この二次転写は、給電ロール24を介してバックアップロール23に印加される二次転写電圧にて二次転写ロール26と間に形成される転写電界により、トナー像が静電的に記録用紙P側に移行されることにより行われる。この二次転写後の中間転写ベルト20は、ベルト用クリーナ28により未転写トナー等が除去されて清掃される。
次いで、二次転写後の記録用紙Pは、中間転写ベルト20から剥離した後、用紙搬送ベルト装置35、36により搬送されて定着装置30に送り込まれ、その加熱ロール41と加圧ロール43のニップ部を通過して加熱加圧されてトナー像が記録用紙Pに定着される。以上のようにして、記録用紙Pの片面にフルカラー画像が形成される。なお、この画像形成装置のプロセススピードは、250mm/sec以上(264〜451mm/sec)である。
また、このカラープリンタでは、4つの作像ユニット10(Y,M,C,K)のいずれか1つの作像ユニットのみで作像動作を実施することにより、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの単色トナー像からなるプリント(画像形成)を行うことが可能である。また、4つの作像ユニット10(Y,M,C,K)のいずれか2つの作像ユニットで作像動作を実施することにより、レッド(Y+M)、グリーン(Y+C)及びブルー(M+C)の混合単色トナー像からなるプリントを行うことも可能である。さらに、3つの作像ユニット10(Y,M,C)で作像動作を実施することにより、ブラック(Y+M+C)色のトナー像からなるプリントを行うことも可能である。
ところで、本実施態様に係る画像形成装置では、現像装置14の現像スリーブ1の表面にフォトレジスト方式のエッチングにより凹凸の表面パターンを形成している。この表面パターンを、以下、実施例及び変形例として説明する。
実施例1
図3は、実施例1に係る現像スリーブ1を説明するものである。この現像スリーブ1の(少なくとも)現像領域内の表面には、次のような表面パターンがフォトレジスト方式のエッチングにより現像スリーブの回転方向(図中矢印Y方向、以下単に「Y方向」という)及び回転軸方向(図中矢印X方向、以下単に「X方向」という)に連続的に形成されている。
すなわち、この表面パターンの一部は、現像スリーブ1の回転方向(図中矢印Yで示す)の上流側から下流側にかけて、主搬送溝DM(u)、DM(m)、DM(l)…が互いに隣接して形成されている。各主搬送溝DM(u)〜(l)…は、いずれも現像スリーブ1の回転軸に対し実質的に平行に形成されている。
また、隣接する主搬送溝DM(u)と主搬送溝DM(m)との間にはX方向に副搬送溝DS(u:i)、DS(u:i+1)…が形成され、隣接する主搬送溝DM(m)と主搬送溝DM(l)との間にはX方向に隣接する副搬送溝DS(l:i)、DS(l:i+1)…が形成されている。各副搬送溝DSは、主搬送溝DMに対し約60°の角度を持ち、その両端部はいずれも主搬送溝DMに連結されている。そして、副搬送溝DSの端部とX方向に隣接する副搬送溝DSの端部との位置は一致するが、副搬送溝DSの端部とY方向に隣接する副搬送溝DSの端部との位置は一致しない(副搬送溝DSがY方向に不連続である)。また、副搬送溝DSと主搬送溝DMとに囲まれる前記表面パターンの陸部は正三角形である。
例えば、副搬送溝DS(u:i)の上流側端部は副搬送溝DS(u:i−1)の上流側端部及び主搬送溝DM(u)と一致し、副搬送溝DS(u:i)の下流側端部は副搬送溝DS(u:i+1)の下流側端部及び主搬送溝DM(m)と一致するが、副搬送溝DS(u:i)の下流側端部は副搬送溝DS(l:i)や副搬送溝DS(l:i+1)の上流側端部とは一致しない。そして、副搬送溝DS(u:i)、DS(u:i+1)と主搬送溝DM(u)、DM(m)に囲まれた方面パターンの陸部Lは正三角形である。
図4は、溝部(主搬送溝DM、副搬送溝DS)Dと陸部Lとの断面を示すものである。主搬送溝DMの溝幅wは、240μmであり、その溝深さhは60μmである。副搬送溝DSの溝幅wは、240μmであり、その溝深さhは60μmである。また、平行に隣接する二つの主搬送溝の間隔は1000μmである。
なお、このような表面パターンは、周知のフォトレジスト方式のエッチングにより形成される。すなわち、まず平面状ステンレス鋼製の基材上にフォトレジストとして液体又はシート状の光硬化型のレジスト層を設け、そのレジスト層上に前記形状の遮光マスクを施す。そして、遮光マスクが施されたレジスト層に対して露光し、硬化していない部分のレジスト層を除去する。その後、塩酸などの酸により基材を一定量侵食する。この際、露光により硬化していたレジスト層部分の基材は侵食を免れる。このようにして、ステンレス鋼製の基材上に、遮光マスクに応じた凹凸が形成される。その後、凹凸が形成された基材を円筒形に成型し、本実施例に係る現像スリーブ1を得る。
実施例2
図5は、実施例2に係る現像スリーブ1を説明するものである。この現像スリーブ1の(少なくとも)現像領域内の表面には、次のような表面パターンがフォトレジスト方式のエッチングにより現像スリーブ1の回転方向(図中矢印Y方向、以下単に「Y方向」という)及び回転軸方向(図中矢印X方向、以下単に「X方向」という)に連続的に形成されている。
この表面パターンにおいては、副搬送溝DSの端部とY方向に隣接する副搬送溝DSの端部との位置は一致する(副搬送溝DSがY方向に連続である)。例えば、副搬送溝DS(u:i)の下流側端部は副搬送溝DS(l:i)や副搬送溝DS(l:i+1)の上流側端部と一致する。なお、他の表面パターンの構成は実施例1に係る現像スリーブ1のものと同一であるため、その説明は省略する。
実験例
次に、本発明に係る現像スリーブ(現像剤担持体)の現像剤搬送能力を確認するために行った実験について説明する。まず、四種類の現像スリーブ1(A1)、(A2)、(B1)、(B2)を用意した。現像スリーブ1(A1)、(A2)はいずれも本発明に係る現像スリーブであり、上述の実施例1に示したものと同様の主搬送溝と副搬送溝とを備えた表面パターンが形成されている。ただし、現像スリーブ1(A1)の溝深さhは80μm、溝幅wは320μmであるのに対し、現像スリーブ1(A2)の溝深さhは60μm、溝幅wは240μmである。一方、現像スリーブ1(B1)、(B2)はいずれも従来の現像スリーブであり、上述の実施例1に示したものと同様の表面パターンから副搬送溝を除いた表面パターン、つまり主搬送溝のみの表面パターンが形成されている。ただし、現像スリーブ1(B1)の溝深さhは80μm、溝幅wは320μmであるのに対し、現像スリーブ1(B2)の溝深さhは60μm、溝幅wは240μmである。
そして、各現像スリーブ1(A1)〜(B2)について、現像スリーブ1とトリミング部材14fとの間隔gを0.2〜0.9mmの範囲で複数設定し(図2参照)、その際の各現像スリーブ1による現像剤搬送量〔g/m2〕を測定した。
図6は、この実験の結果をまとめたグラフであり、横軸は現像スリーブ1とトリミング部材14fとの間隔gを、縦軸は各現像スリーブ1による現像剤搬送量をそれぞれ示している。そして、現像スリーブ1(A1)を現像装置14に適用した場合の現像剤搬送量を●として、現像スリーブ1(A2)を適用した場合の現像剤搬送量を▲として、現像スリーブ1(B1)を適用した場合の現像剤搬送量を○として、現像スリーブ1(B2)を適用した場合の現像剤搬送量を△としてグラフ中にプロットしている。このグラフから明らかなように、本発明を適用した現像スリーブ1の現像剤搬送量(グラフ中●▲で示す)は、従来の現像スリーブ1の現像剤搬送量(グラフ中○△で示す)よりも多く、現像スリーブ1の表面パターンとして主搬送溝に加え副搬送溝を形成することで、良好な現像剤搬送性能を発現することが確認された。
変形例(主搬送溝)
図7は、現像スリーブ1の表面パターンにおける主搬送溝の態様を説明するものである。実施例に係る現像スリーブ1の主搬送溝DMは、現像スリーブ1の回転軸方向に平行かつ連続な直線状のものであったが(図7(a)参照)、これに限らず、折れ線状のもの(図7(b)(c)参照)でもよく、断続的なものでもよく(図7(d)(e)(f)参照)、曲線的なものでもよい(図7(g)参照)。また、折れ線状の場合には、その折れ線の上り下りの傾きは一定のものでもよいし(図7(b)参照)、異なるものでもよい(図7(c)参照)。さらに、断続的な場合には、その断続的な各主搬送溝DM(i−1)、(i)、(i+1)が直線状に並んでいるものでもよく(図7(d)参照)、非直線状に並んでいるものでもよい(図7(e)(f)参照)。
変形例(副搬送溝)
図8〜9は、現像スリーブ1の表面パターンにおける主搬送溝の態様を説明するものである。実施例に係る現像スリーブ1の副搬送溝DSの両端部はいずれも主搬送溝DMに連結されており、副搬送溝DSと主搬送溝DMとに囲まれる前記表面パターンの陸部は正三角形であったが、これに限らず、副搬送溝DSの両端部は主搬送溝DMに連結されないものでもよく、副搬送溝DSの一端部は上流側又は下流側の主搬送溝DMに連結されるものでもよく(図8(a)(b)(c)、図9(a)参照)、副搬送溝DSの両端部は上流側及び下流側の主搬送溝DMに連結され、副搬送溝DSと主搬送溝DMとに囲まれる前記表面パターンの陸部は平行四辺形(図9(b)参照)でもよいし、台形でもよい(図9(c)参照)。
また、副搬送溝DSの一端部が上流側又は下流側の主搬送溝DMに連結される場合には、隣接する主搬送溝DMの間に存在する複数の副搬送溝DSがすべて一方の主搬送溝DMに連結されるものでもよく(図8(a)、図9(a)参照)、互い違いの主搬送溝DMに連結されるものでもよい(図8(b)(c)参照)。また、各副搬送溝DSが主搬送溝DMに対して成す角度は、一定でもよいし(図8(a)(b)、図9(b)参照)、異なっても良い(図8(c)、図9(a)(c)参照)。
1…現像スリーブ(現像剤担持体)、14…現像装置、14a…ユニットケース、14b…現像ロール、14c、d…搬送オーガー、14e…搬送パドル14e、14f…トリミング部材、DM…主搬送溝、DS…副搬送溝。