JP4238713B2 - エンジンのアイドル回転速度制御装置 - Google Patents
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また、特許文献2には、オルタネータの出力電流が所定値以下であるときに、オルタネータの発電をカットし、負荷電流が所定値以上になると前記発電カットを解除する構成が開示されている。
また、電気負荷がONになったときに一定の回転速度だけアイドル回転速度を上昇させる構成では、電気負荷が多くオルタネータの発電能力を超える場合でも、アイドル回転速度を更に増大させることがないため、バッテリへの充電電流が不足するようになって、バッテリ電圧が大きく低下する可能性があるという問題があった。
図1は、実施形態における車両用エンジンのシステム構成図である。
図1において、エンジン1には、スロットルモータ2で駆動されるスロットルバルブ3を介して空気が吸引される一方、各気筒別に設けられる燃料噴射弁4によって燃料が噴射されることで、燃焼室内に混合気が形成される。
マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントロールユニット(ECU)11は、各種センサからの検出信号を入力し、前記検出信号を演算処理することで、前記スロットルモータ2,燃料噴射弁4などに制御信号を出力する。
前記エンジンコントロールユニット11は、アイドル回転速度の制御機能が備えられており、エンジン1のアイドル運転時に、実際のエンジン回転速度を目標アイドル回転速度に一致させるべく、前記スロットルモータ2(スロットルバルブ3の開度)をフィードバック制御する。
尚、前記図2のフローチャートに示すルーチンは、所定微小時間毎に実行されるものとする。
図2のフローチャートにおいて、ステップS1では、アイドルスイッチ,水温などの各種検出信号を読み込む。
ステップS3では、アイドル回転速度のフィードバック制御条件が成立しているか否かを判別する。
エンジン1のアイドル運転時であって前記フィードバック制御条件が成立していると判断されると、ステップS4へ進む。
ステップS5では、そのときのアイドル回転速度に基づいて、前記発電電流と比較するための目標増加判定閾値(A)及び目標低下判定閾値(A)を設定する。
前記目標増加判定閾値,目標低下判定閾値は、図3に示すように、アイドル回転速度の増大に応じて二次的に増加するオルタネータ5の発電能力と同様に、アイドル回転速度の増大に応じて二次的に増加する特性を有する一方、共に発電能力の上限よりも低く、かつ、目標増加判定閾値>目標低下判定閾値となるように、予め設定されている。
そして、前記オルタネータ5の発電電流が前記目標増加判定閾値以上であるときには、ステップS7へ進み、発電電流≧目標増加判定閾値の状態が所定時間以上継続しているか否かを判定することで、発電電流の一次的な変動ではなく、安定して発電電流≧目標増加判定閾値になっているか否かを判別する。
ステップS8では、目標アイドル回転速度Nsetを前回値Nsetoldに対して所定速度Nealtだけ増大させる設定を行なう。
また、前記前回値Nsetoldに対して増大補正する所定速度Nealtは、一定値(例えば25rpm)であっても良いし、低回転域でより大きく高回転域でより小さく変更しても良い。更に、オルタネータ5の発電電流と目標増加判定閾値,目標低下判定閾値との偏差に応じて、前記所定速度Nealtを変化させることもできる。
従って、目標アイドル回転速度Nsetの増大補正は、前記オルタネータ5の発電電流が前記目標増加判定閾値を下回るようになる方向に目標アイドル回転速度Nsetを変更することになる。
ここで、次回の本ルーチン実行時にも、ステップS6でオルタネータ5の発電電流が前記目標増加判定閾値以上であると判断されると、再度ステップS8へ進んで更に目標アイドル回転速度Nsetを増大補正することで、オルタネータ5の発電能力をより高くし、オルタネータ5の発電電流が目標増加判定閾値よりも小さくなるまで、目標アイドル回転速度Nsetの増大補正を繰り返す。
従って、過剰に高い目標に設定されて、アイドル燃費が低下することが回避される。
ステップS6で発電電流が目標増加判定閾値よりも小さいと判断されると、ステップS9へ進み、今度は、オルタネータ5の発電電流が目標低下判定閾値以下であるか否かを判別する。
オルタネータ5の発電電流が目標低下判定閾値以下である状態に安定しているときには、ステップS11へ進む。
目標アイドル回転速度Nsetを減少変更してアイドル回転速度が低くなれば、オルタネータ5の発電能力が低下し、目標低下判定閾値もより低くなる。
従って、目標アイドル回転速度Nsetの減少補正は、前記オルタネータ5の発電電流が前記目標低下判定閾値を上回るようになる方向に目標アイドル回転速度Nsetを変更することになる。
そこで、オルタネータ5の発電電流が目標低下判定閾値を超えるようになるまで、目標アイドル回転速度Nsetの減少変更を繰り返して、目標アイドル回転速度Nsetを最小限に抑制する。
上記制御によって、オルタネータ5の発電電流が、目標増加判定閾値と目標低下判定閾値とで挟まれる範囲内になるように、目標アイドル回転速度Nsetが修正されることになる。
図5は、上記実施形態における各種電気負荷のON・OFFの組み合わせに対する目標アイドル回転速度,オルタネータ発電電流の変化特性を示すものであり、ONされる電気負荷の数が多くなり、オルタネータ5の発電電流が増えるに従って、目標アイドル回転速度が増大修正され、ON状態であった電気負荷がOFFされオルタネータ5の発電電流が低下すると、目標アイドル回転速度が減少修正される。
前記目標アイドル回転速度の修正においては、図6に示すように、そのときのアイドル回転速度に応じて設定される目標増加判定閾値,目標低下判定閾値で挟まれる領域内に、オルタネータ5の発電電流が含まれるように、目標アイドル回転速度Nsetが設定されるから、アイドル回転速度が過大に設定されることがなく、かつ、オルタネータ5の発電能力の上限で運転されることが回避される。
尚、上記実施形態では、オルタネータ5の発電電流が、前記目標増加判定閾値と目標低下判定閾値とで挟まれる範囲外であるときに、目標アイドル回転速度Nsetを所定値Nealtずつ徐々に変化させ、次回も前記範囲外であるときには、目標アイドル回転速度Nsetの増減を繰り返すようにしたが、前記オルタネータ5の発電電流が前記目標増加判定閾値よりも小さい値になるアイドル回転速度にまで、又は、前記オルタネータ5の発電電流が前記目標低下判定閾値よりも大きい値になるアイドル回転速度にまで、一度に目標アイドル回転速度Nsetをステップ変化させる構成とすることができる。
上記図2のフローチャートに示す実施形態では、電流センサ14によって検出されるオルタネータ5の発電電流に基づいて、オルタネータ5の発電状態を検出する構成としたが、各種電気負荷の状態からオルタネータ5の発電状態を判断することができ、係る構成とした第2の実施形態を、図7のフローチャートに従って説明する。
そして、アイドル回転速度のフィードバック制御条件が成立している場合には、ステップS24へ進む。
ステップS25では、ONされている電気負荷に見合うアイドル吸入空気量の補正空気量Qldalt(L/min)を算出する。
前記補正空気量Qldaltは、電気負荷毎に予め設定されている補正空気量を、ONされている電気負荷について積算して求めるものであり、例えば、ヘッドランプ,リアデフォッガがONされている場合には、ヘッドランプに対応する補正空気量Aと、リアデフォッガに対応する補正空気量Bとを加算した結果を、前記補正空気量Qldalt(Qldalt=A+B)とする。
ステップS26では、そのときのアイドル回転速度に基づいて、前記補正空気量Qldaltと比較するための目標増加判定閾値(L/min)及び目標低下判定閾値(L/min)を設定する。
そして、Qldalt≧前記目標増加判定閾値の状態で安定しているときには、そのときのアイドル回転速度でのオルタネータ5の発電能力に対して、電気負荷が大きすぎると判断されるので、ステップS29へ進んで、目標アイドル回転速度Nsetを前回値Nsetoldに対して所定速度Nealtだけ増大させる設定を行なう。
そして、前記補正空気量Qldaltが前記目標低下判定閾値以下であるときには、更に、ステップS28へ進んで、その状態が所定時間以上継続しているか否かを判別する。
前記補正空気量Qldaltが、前記目標増加判定閾値と目標低下判定閾値とで挟まれる範囲外であるときには、前記目標アイドル回転速度Nsetの修正処理を繰り返し、前記補正空気量Qldaltが、前記目標増加判定閾値と目標低下判定閾値とで挟まれる範囲内になるようにする。
図9は、各種電気負荷のON・OFFの組み合わせに対する目標アイドル回転速度Nset,補正空気量Qldaltの変化を示すものであり、ONされる電気負荷の数が多くなり、電気負荷の総和に相当する前記補正空気量Qldaltが大きくなるに従って、目標アイドル回転速度Nsetが増大修正され、ON状態であった電気負荷がOFFされて前記補正空気量Qldaltが低下すると、目標アイドル回転速度Nsetが減少修正される。
前記目標アイドル回転速度Nsetの修正においては、図10に示すように、そのときのアイドル回転速度に応じて設定される目標増加判定閾値,目標低下判定閾値で挟まれる領域内に、電気負荷の総和に相当する補正空気量Qldaltが含まれるようにするから、アイドル回転速度が過大に設定されることがなく、かつ、オルタネータ5の発電能力の上限で運転されることが回避される。
ところで、オルタネータ5の発電能力は、図11に示すように、温度(内部のコイル温度)によって変化するため、前記発電電流(A),補正量Qldalt(L/min)と比較させる前記目標増加判定閾値,目標低下判定閾値を、図12及び図13に示すように、オルタネータ温度センサ15で検出されるオルタネータ5の温度(コイル温度)に応じて変更することが好ましい。
低温時には、図11に示すように、発電能力が高くなるから、目標増加判定閾値,目標低下判定閾値を高温時に比べて高く設定することで、より低い目標アイドル回転速度Nsetが設定される。
オルタネータ5の温度によって目標増加判定閾値,目標低下判定閾値を変更しない場合には、外気温度やオルタネータ5の使用環境による温度ばらつきがあっても、バッテリへの充電電流が不足することがないように、発電能力が低下する高温時に適合した目標増加判定閾値,目標低下判定閾値を設定し、目標アイドル回転速度Nsetを高めに設定させる必要が生じる。
尚、オルタネータ5の温度を温度センサ15で検出させる代わりに、環境温度を検出し、該環境温度に応じて前記目標増加判定閾値,目標低下判定閾値を変更させる構成としても良い。
Claims (7)
- エンジンのアイドル回転速度を目標アイドル回転速度に制御するエンジンのアイドル回転速度制御装置であって、
前記エンジンで駆動されるオルタネータの発電状態を示すパラメータを検出する一方、そのときのアイドル回転速度に基づいて前記パラメータの閾値を設定し、前記検出したパラメータと前記閾値との比較に基づいて前記目標アイドル回転速度を変更することを特徴とするエンジンのアイドル回転速度制御装置。 - 前記オルタネータの発電状態を示すパラメータとして、前記オルタネータの発電電流を検出することを特徴とする請求項1記載のエンジンのアイドル回転速度制御装置。
- 前記オルタネータの発電状態を示すパラメータとして、電気負荷に相当する空気量を演算することを特徴とする請求項1記載のエンジンのアイドル回転速度制御装置。
- 前記オルタネータの温度に応じて前記閾値を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンのアイドル回転速度制御装置。
- 前記閾値として、目標増加判定閾値と、該目標増加判定閾値よりも小さい目標低下判定閾値とを設定し、
前記パラメータが目標増加判定閾値以上であるときに、前記目標アイドル回転速度を所定値だけ増大させ、
前記パラメータが目標低下判定閾値以下であるときに、前記目標アイドル回転速度を所定値だけ低下させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のエンジンのアイドル回転速度制御装置。 - 前記パラメータが目標増加判定閾値以上である状態が所定時間以上継続したときに、前記目標アイドル回転速度を所定値だけ増大させ、
前記パラメータが目標低下判定閾値以下である状態が所定時間以上継続したときに、前記目標アイドル回転速度を所定値だけ低下させることを特徴とする請求項5記載のエンジンのアイドル回転速度制御装置。 - 前記目標アイドル回転速度を増減させる所定値を、機関の低回転域でより大きく高回転域でより小さく変更することを特徴とする請求項5又は6記載のエンジンのアイドル回転速度制御装置。
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