JP4237995B2 - 自走式クレーン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自走式クレーンに関し、より詳しくは、可能な限り運転室の配設空間を確保しながら、車幅をより狭くすることを可能ならしめるようにした自走式クレーンの技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のとおり、自走式クレーンの一種であるラフテレーンクレーン(ホイールクレーンとも呼ばれている。)は、小回りがきき、迅速に移動できるという利便性があるために、民家の建設等ような小規模な工事現場においても使用されるようになってきている。住宅地域では路幅が狭く、電柱、街灯、樹木等の障害物を備えた道路が多々ある。従って、上記のような道路を通って狭所に進入する必要があるために、ラフテレーンクレーンの車幅を狭くするための種々の工夫がなされている。
【0003】
車幅を狭くし得るようにした小型のラフテレーンクレーンが知られている。この従来例に係る小型のラフテレーンクレーンは、狭所に進入し得るよう、運転室空間(ラフテレーンクレーンの車体の大小を問わず、運転室の大きさを変えることができない)を確保しながらラフテレーンクレーンの車幅を狭くするために、作業アタッチメントである多段伸縮ブームを車体中心からオフセットさせている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特公平6−39316号公報(第1−2頁、第2−3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ラフテレーンクレーンの多段伸縮ブームは、その車体重量に対して占める重量割合が非常に大きく、一般に、その車体重量の1/3程度の重量になっている。このような大重量の多段伸縮ブームをオフセットすると、ラフテレーンクレーンの車体重心が、その車体の車幅方向の中心から外れる。従って、ラフテレーンクレーンの車体の左右で重量的にアンバランスになるので、場合によっては車両制限令で定められている傾転角度を確保することができず、車検をクリアできなくなるために、車両として一般公道を走行することができなくなるという不具合が生じる。
【0006】
従って、本発明の目的は、可能な限り運転室の配設空間を確保しながら、下部走行車体の車幅をより狭くすることを可能ならしめる自走式クレーンを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、従って上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る自走式作業機械が採用した手段は、上部フレームに、起伏自在な伸縮ブーム、およびクレーン操縦と走行操作とに兼用される運転室が設けられてなる旋回自在な上部旋回体を備え、この上部旋回体を旋回自在に支持する下部走行車体を備えた自走式クレーンにおいて、最大倒伏状態の前記伸縮ブームを前記運転室の下位側位置を前後方向に横切るように位置させると共に、前記運転室を、この運転室の少なくとも一部が前記伸縮ブームの上面に重なるように配設し、起伏に際して前記伸縮ブームが前記運転室に干渉するのを回避する干渉回避手段を設けたことを特徴とするものである。この請求項1に係る自走式クレーンによると、自走式クレーンの走行時に伸縮ブームが運転室の下位側位置を横切るように位置しているので、自走式クレーンの重心が低くなるのに加えて、運転室との重なり分だけ伸縮ブームを車幅の中心方向に近づけることができるので、運転室との重なり分だけ自走式クレーンの機械幅を狭くすることができる。
【0008】
本発明の請求項2に係る自走式クレーンが採用した手段は、請求項1に記載の自走式クレーンにおいて、前記運転室の前記下部走行車体中央側の下位に、前記伸縮ブームの上端形状に沿う逃げ部を形成したことを特徴とするものである。この請求項2に係る自走式クレーンによると、運転室の下部に逃げ部を形成することにより、運転室の必要配設空間を確保することができ、しかも運転者が圧迫感を感じ易い運転室内上部空間を広くすることができる。
【0009】
本発明の請求項3に係る自走式クレーンが採用した手段は、請求項1または2に記載の自走式クレーンにおいて、前記干渉回避手段として、前記上部フレームに前記運転室を、前記下部走行車体の車幅内位置と側方突出位置との間で移動させる運転室移動手段を設けたことを特徴とするものである。この請求項3に係る自走式クレーンによると、運転室移動手段で運転室を下部走行車体の側方突出位置に移動させることにより伸縮ブームを起伏可能な状態にすることが可能になると共に、運転者の視界を変えることができる。そして、下部走行車体の側方位置では、運転者は下部走行車体の側方から作業状況を視認することができ、また前方方向では前方視界が一段と広がるので、走行時の視界性の向上と共に、伸縮ブームによる作業時の作業能率が向上する。
【0010】
本発明の請求項4に係る自走式クレーンが採用した手段は、請求項3に記載の自走式クレーンにおいて、前記運転室が前記下部走行車体の幅内位置に位置しているとき、前記伸縮ブームの起伏動作を制限するように構成したことを特徴とするものである。この請求項4に係る自走式クレーンによると、運転室が下部走行車体の幅内位置に位置しているときには伸縮ブームの起伏動作が制限されるので、作業に際して伸縮ブームが運転室に干渉することを防止することができる。
【0011】
本発明の請求項5に係る自走式クレーンが採用した手段は、請求項3または4に記載の自走式クレーンにおいて、前記運転室が前記下部走行車体の側方突出位置に位置しているとき、この下部走行車体の走行を制限するように構成したことを特徴とするものである。この請求項5に係る自走式クレーンによると、運転室が前記下部走行車体の側方突出位置に位置しているときには下部走行車体の走行が制限されるので、運転室が車幅から突出した状態での公道走行を防止し、走行時の安全性を確保することができる。
【0012】
本発明の請求項6に係る自走式作業機械が採用した手段は、請求項1〜5の何れかに記載の自走式クレーンにおいて、前記伸縮ブームが最大倒伏状態にあるとき、この伸縮ブームが自走式クレーンの前端および後端となるように構成したことを特徴とするものである。この請求項6に係る自走式クレーンによると、より長尺の伸縮ブームの配設が可能になり、長さが同じ伸縮ブームであれば、その前方への突出量を減らすことができ、走行時の前方視界が良くなる。
【0013】
(0016)
本発明の請求項7に係る自走式作業機械が採用した手段は、請求項1〜6の何れかに記載の自走式クレーンにおいて、前記伸縮ブームの起伏支点を前記下部走行車体の前後方向に移動可能に構成したことを特徴とするものである。この請求項7に係る自走式クレーンによると、伸縮ブームを複合操作するまでもなく、水平方向の移動操作が行えるので、作業時の作業能率が向上する。例えば、クレーン仕様時では、起伏動作とロープ巻上げ作業等の複合操作をすることなく、車体の手前で吊上げた吊荷を前方へ移動、また逆に車体の前方で吊上げた吊荷を手前へ移動させるというようなクレーン作業が可能になり、クレーン作業能率が向上する。
【0014】
本発明の請求項8に係る自走式クレーンが採用した手段は、請求項1〜7の何れかに記載の自走式クレーンにおいて、前記上部旋回体に、作業に応じて伸縮ブームを動作させるアクチュエータが設けられ、このアクチュエータの動力を運転室移動手段に伝達して、運転室を移動させる移動力伝達手段を設けたことを特徴とするものである。この請求項8に係る自走式クレーンによると、アクチュエータの動力が移動力伝達手段を介して運転室移動手段に伝達され、これにより運転室が移動されるので、専用のアクチュエータを設ける必要がなく、運転室移動手段の油圧配管等の構成を簡素化することができ、コストも低減することもできる。
【0015】
(0018)
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態1に係る自走式クレーンを、自走式クレーンが自走式のホイールクレーンである場合を例として、走行状態を示すその全体側面図の図1と、その全体平面図の図2と、運転室を前記下部走行車体の車幅内位置と側方突出位置との間で移動させる運転室移動手段を模式的に示す平面図の図3(a)と、図3(a)のA−A線断面図の図(b)と、運転室移動手段の運転室移動シリンダの取付け状態説明図の図3(c)と、多段伸縮ブーム起伏制限説明のためのその模式的側面図の図4(a)と、多段伸縮ブーム起伏制限説明のためのその模式的正面の図4(b)と、多段伸縮ブーム起伏制限フローチャート図の図4(c)とを順次参照しながら説明する。
【0016】
図1および図2に示す符号1は、本発明の実施の形態1に係る自走式のホイールクレーン(以下、自走式クレーンという。)である。この自走式クレーン1は、旋回自在な上部旋回体2を備えている。この上部旋回体2は、旋回自在な上部フレーム2aと、この上部フレーム2aにより前端部が後端部よりも下側になるように前傾状態に支持され、フレーム移動シリンダ2dにより前後方向に移動される移動フレーム2cと、この移動フレーム2cの後端部にブームフットピン2gを介して支持され、ブーム起伏シリンダ2fで起伏される作業アタッチメントである伸縮自在な多段伸縮ブーム2eと、前記上部フレーム2aに搭載され、クレーン操縦と走行操作とに兼用される運転室2hとを備えている。さらに、この上部フレーム2aには、油圧機器類、この油圧機器類に圧油を供給する油圧ポンプを駆動するエンジン2i、作動油タンク2jが配設されている。
【0017】
前記上部フレーム2aは、下部走行車体4の長手方向、および車幅方向のほぼ中心部に旋回ベアリング2bを介して旋回自在に搭載されている。この下部走行車体4の前後には、先端部にタイヤ6aが取付けられてなる車軸6が設けられている。また、この下部走行車体4の車軸6の取付け位置よりも前側と、後側との2個所には、クレーン作業時に車幅方向の外方にアウトリガビーム7aを張出すと共に、アウトリガシリンダ7bの伸長により、この自走式クレーン1を水平に浮上させて支えるアウトリガ装置7が設けられている。なお、自走式クレーン1の走行時には、前記アウトリガシリンダ7bが縮小されると共に、アウトリガビーム7aが縮小されて格納されるものである。
【0018】
前記多段伸縮ブーム2eは、下部走行車体4の車幅方向、つまり自走式クレーン1の車幅のほぼ中央位置になるように、前記上部フレーム2aに配設されてなる移動フレーム2cによって支持されている。従って、自走式クレーン1の走行姿勢、つまり最大倒伏状態の多段伸縮ブーム2eは車幅方向の中心に位置している。また、この多段伸縮ブーム2eの先端は自走式クレーン1の前端となり、そして基端は自走式クレーン1の後端になるように構成されている。さらに、前記上部フレーム2aの前記多段伸縮ブーム2eを挟む一側、つまり図2における自走式クレーン1を前進方向に見たときの左側に運転室2hが、右側の他側にエンジン2i、作動油タンク2jが配設されており、車幅方向の中央位置に車体重心が位置するように構成されている。
【0019】
前記運転室2hの下部走行車体中央側の下位に、前記多段伸縮ブーム2eの上端形状に沿う逃げ部2h′が形成されており、この運転室2hが図2において実線で示す下部走行車体4の車幅内位置にあるときには、最大倒伏された多段伸縮ブーム2eの上面の一部が前記逃げ部2h′に位置するように構成されている。つまり、運転室2hの多段伸縮ブーム2e側の一部と、多段伸縮ブーム2eの運転室2h側の一部とが重なっている。このように、運転室2hの下部に逃げ部2h′を形成することにより、運転室2hの必要配設空間を確保することができ、しかも運転者が圧迫感を感じ易い上部内空間を広くすることができる。
【0020】
前記運転室2hが多段伸縮ブーム2eの上面の一部に重なっていると、この多段伸縮ブーム2eを起立させてクレーン作業を行うができない。そこで、本実施の形態1に係る自走式クレーン1の場合には、多段伸縮ブーム2eが運転室2hと干渉しないようにする干渉回避手段の一例である、後述する運転室移動手段により、運転室2hを移動させ干渉を回避するので、多段伸縮ブーム2eの起伏動作に支障がない、図2において想像線で示す左斜め後方位置、つまり下部走行車体4の車幅内位置4aから左斜め後方の下部走行車体4の側方突出位置4bに移動させ得るように構成されている。
【0021】
前記運転室移動手段5は、図3(a)、(b)に示すように、上部フレーム2aに平行に配設されてなる一対のレール状ガイド5aと、前記運転室2hの底面に配設され、前記レール状ガイド5aのそれぞれに係合して摺動するレール状摺動子5bと、前記一対のレール状ガイド5aの間であって、かつボトム側が上部フレーム2aにブラケットを介して枢着され、ロッド側が運転室2hの底面にブラケットを介して枢着されてなる運転室移動シリンダ5cとから構成されている。
【0022】
なお、前記運転室2hを左斜め後方の、下部走行車体4の側方突出位置4bに移動させるようにしたのは、この運転室2hの多段伸縮ブーム2eを避け得る必要移動量を確保すると共に、下部走行車体4の車幅方向の中心線に直交し、かつ上部旋回体2の旋回中心点を通る直線に近づけることにより、自走式クレーン1の最大後端旋回半径外への運転室2hの突出を防止するためである。
【0023】
ところで、運転室2hが下部走行車体4の幅内位置に位置しているときに、誤操作によって多段伸縮ブーム2eが起立すると、運転室2hが損傷する恐れがある。そこで、本実施の形態1に係る自走式クレーン1の場合には、運転室2hが下部走行車体4の幅内位置に位置しているときには多段伸縮ブーム2eを起立操作することができないように、図示しないコントローラで各センサからの信号を処理し、各種アクチュエータを制御するよう構成されている。以下、多段伸縮ブーム2eを起立操作することができないようにするブーム制御方法を、図4(a),(b),(c)を順次参照しながら説明する。
【0024】
いま、図4(a)に示すように、多段伸縮ブーム2eの最大倒伏角度がθ0であり、最大起立角度がθ1であり、最大倒伏角度θ0と最大起立角度θ1との間の多段伸縮ブーム2eの起立角度がθであるとする。また、図4(b)に示すように、運端室2hが多段伸縮ブーム2eとの干渉を回避し得る下部走行車体4の側方位置に移動しているときの下部走行車体4の車幅中心から運端室2hの外側面までの距離がW、下部走行車体4の車幅中心から運端室2hの外側面までの距離がW1であるとすると、多段伸縮ブーム2eの起伏は図4(c)に示すフローに従って制御される。
【0025】
先ず、図示しない多段伸縮ブーム2eの角度検出センサでブーム起伏角度が検出される。これと併行して、運転室移動シリンダ5cに設けられた図示しない運転室位置検出センサで距離Wが検出される。そして、θとWとが入力されると、ステップ1において、θがθ0とθ1との間にあるか否かが判定される。θがθ0とθ1との間にないNoの場合には、多段伸縮ブーム2eが最大倒伏状態にあることを意味するので制御が基本の他の制御フローに戻る。一方、θがθ0とθ1との間にあるYesの場合には、ステップ2に進む。
【0026】
そして、ステップ2において、WとW1との大小が比較される。W1がWより大きいNoの場合には、多段伸縮ブーム2eが運転室2hに干渉する恐れがないので制御が終了する。一方、W1がWより小さいYesの場合には、多段伸縮ブーム2eが運転室2hに干渉するので、ステップ3において警報が発せられると共に、ブーム起伏シリンダ2fがロックされ、多段伸縮ブーム2eの起伏操作が停止する。
【0027】
ところで、θがθ0とθ1との間にあるYesの場合、またはW1がWより小さいYesの場合の何れか一方で操作レバーをロックするようにすれば、上記制御と同等の効果を得ることができる。上記のように、θとWとの両方を用いるようすることで、例えばブーム起伏角度を検出する角度検出センサ、運転室2hの位置を検出する運転室位置検出センサのうち何れか一方がダウンしても、多段伸縮ブーム2eが運転室2hに干渉するのを防止することができるので、この自走式クレーン1の安全性と信頼性とをより向上させることができる。
【0028】
また、運転室2hが下部走行車体4の側方突出位置4bに位置している状態で公道を走行すると、例えば、電柱等の公共構造物に運転室2hが干渉する恐れがある。一方、工事現場においては、多段伸縮ブーム2eを自在に起伏操作する必要があり、運転室2hが下部走行車体4の側方突出位置4bに位置している状態で走行しなければならない。そこで、運転室2hが下部走行車体4の側方突出位置4bに位置しているときには、図示しない車速センサと前記運転室位置検出センサにより、運転室2hが車幅内に位置しているか否かを判断し、最高速度が所定速度(例えば、10Km/h)以下に制限されるように構成されている。
【0029】
前記エンジン2iで駆動される油圧ポンプから吐出される圧油は、キャブ2h内に配設されてなる各操作用油圧機器、旋回ベアリング2bの中心に設けられてなるスイベルジョイント3を介して、アウトリガビーム7aを張出し、格納するビーム作動シリンダ、アウトリガビーム7aの先端に垂直に取付けられてなるアウトリガシリンダ7b、下部走行体4の下部フレーム5内に配設され、前記車軸6の差動ギヤを駆動する図示しない走行用油圧モータ、および操行用装置に供給されるように構成されている。勿論、ブレーキオイルもスイベルジョイント3を介してブレーキキャリパに供給されるように構成されている。
【0030】
さらに、油圧ポンプから吐出される圧油はスイベルジョイント3を介さずに、前記移動フレーム2cを移動させるフレーム移動シリンダ2d、前記多段伸縮ブーム2eを起伏させるブーム起伏シリンダ2f、前記多段伸縮ブーム2eを伸縮させる図示しないブーム伸縮シリンダ、ワイヤロープを巻き上げ、巻き下げる図示しないウインチに供給されるように構成されている。
【0031】
本実施の形態1に係る自走式クレーン1では、上記のとおり、下部走行車体4の車幅方向の中心位置に最大倒伏状態の大重量の多段伸縮ブーム2eが位置し、この多段伸縮ブーム2eは運転室2hの下部、かつ多段伸縮ブーム2e側に形成された逃げ部2h′を通っている。そして、エンジン2iが上部フレーム2aの多段伸縮ブーム2eを挟む運転室2hの反対側に搭載されていて上部旋回体2の重量バランスが改善されるのに加えて、上部旋回体2の配設位置が低くなるのに伴って多段伸縮ブーム2eがより低い位置に位置している。従って、本実施の形態1に係る自走式クレーン1によれば、車体重心を自走式クレーン1の車幅方向の中心に近づけることができ、より低位置に下げることができるので、傾転角度を確保しながら自走式クレーン1の車幅を狭くすることができる。
【0032】
また、本実施の形態1に係る自走式クレーン1では、運転室2hは下部走行車体4の車幅内位置4aから左斜め後方の、下部走行車体4の側方突出位置4bに移動されるようになっている。従って、本実施の形態1に係る自走式クレーン1によれば、運転室2hの側方突出位置4bへの移動により下部走行車体4の側方からクレーン作業状態を視認することができ、前方方向では前方視界が一段と広がるので、クレーン作業能率が向上する。
【0033】
また、本実施の形態1に係る自走式クレーン1では、運転室2hが多段伸縮ブーム2eを起伏し得る位置に位置していないときには多段伸縮ブーム2eを起伏操作することができないようになっており、そして運転室2hが下部走行車体4の側方突出位置に位置しているときには高速走行することができないようになっている。従って、本実施の形態1に係る自走式クレーン1によれば、多段伸縮ブーム2eが運転室2hに干渉するようなことがないから、多段伸縮ブーム2eの干渉により運転室2hや多段伸縮ブーム2eが損傷するのを防止することができる。さらに、走行時に運転室2hを車幅外へ吐出させたまま高速度で公道走行できないように最高速度を制限する等、走行に自動制限制御を行うことで、走行時の安全性を確保することができる。
【0034】
さらに、本実施の形態1に係る自走式クレーン1では、多段伸縮ブーム2eが自走式クレーン1の前後方向に移動する移動フレーム2cの後端にブームフットピン2gを介して取付けられていて、多段伸縮ブーム2eが最大倒伏状態、つまり自走式クレーン1が走行状態になっているときには、多段伸縮ブーム2eの先端が自走式クレーン1の前端になり、基端が自走式クレーン1の後端になるように構成されている。従って、本実施の形態1に係る自走式クレーン1によれば、多段伸縮ブーム2eの起伏支点(ブームフットピン)を移動させることにより吊荷を水平方向に容易に移動させることができるので、吊荷送り込み等の作業能率が向上し、多段伸縮ブーム2eをより長尺にすることが可能になると共に、長さが同じ多段伸縮ブーム2eであれば、この多段伸縮ブーム2eの下部走行車体4からの前方への突出長さを短くすることができ、走行時の自走式クレーン1の前方視界が向上するという効果がある。
【0035】
本実施の形態1に係る自走式クレーン1では、上記構成になる運転室移動手段5によって、運転室2hを多段伸縮ブーム2eから離れる方向に移動させるようにした。しかしながら、例えば支持軸を介して運転室2hを多段伸縮ブーム2eに揺動可能に取付け、運転室2hと多段伸縮ブーム2eとの間にシリンダを介装して、多段伸縮ブーム2eの起伏角度の如何にかかわらず運転室2hを水平に保持する構成にすることができる。
【0036】
なお、上記実施の形態1では、干渉回避手段として、運転室移動手段5を設けた例を説明したが、これに限らず、このほかの干渉回避手段として、運転室2hの下方から車体内側へ斜めに傾斜した左右一対のアタッチメント支持フレームを用いることができる。このアタッチメント支持フレームには、車幅方向で傾斜したブームフットピンが設けられており、多段伸縮ブームは前記アタッチメント支持フレームの傾斜した内側面に沿って起伏されるように構成されている。このような構成にした場合には、多段伸縮ブーム2eは、最大倒伏状態でほぼ車幅中心に格納され、起立作動に伴い運転室からはなれる斜め上方向に起立することとなる。従って、このように構成すれば、運転室移動手段5のように運転室移動シリンダ5cを用いたり、アタッチメント支持フレームを移動させるフレーム移動手段を用いたりするまでもなく、多段伸縮ブーム2eが運転室2hに干渉するのを回避することができる。
【0037】
また、他の干渉回避手段としては、多段伸縮ブーム2eを自走式クレーン1の前後方向に移動可能に支持する移動フレーム2cを、運転室2hに対して離接し得る横移動台上に配設し、上部フレーム2aに平行に一対のレール状ガイドを配設し、横移動台の底面に前記レール状ガイドのそれぞれに係合して摺動するレール状摺動子を設けると共に、移動台移動シリンダのボトム側を上部フレーム2aにブラケットを介して、ロッド側を横移動台の底面にブラケットを介して枢着した、前記運転室移動手段5と同構成になる移動台移動手段を設ける。これによっても運転室2hと多段伸縮ブーム2eとの干渉を回避することができる。
【0038】
さらに、運転室2hを移動させるために、運転室移動シリンダ5cを採用したが、例えばレール状ガイド5aにラックを設け、運転室2hに設けた可逆モータの出力軸の先端に嵌着されてなるピニオンを前記ラックに噛合させる構成にしてもよい。従って、運転室2hを多段伸縮ブーム2eから離反させる前記運転室移動手段5に限定されるものではない。なお、本実施の形態1に掛かる自走式クレーン1では、多段伸縮ブーム2eをほぼ車幅の中心位置に配設しているが、車体中心に対して多段伸縮ブーム2eの中心が車幅寸法の4%以内程度のオフセット量であることが望ましい。
【0039】
本発明の実施の形態2に係る自走式クレーンを、その全体側面図の図5を参照しながら説明する。但し、本実施の形態2に係る自走式クレーンが上記実施の形態1に係る自走式クレーンと相違するところは、上部フレームの多段伸縮ブームの支持構成にあり、それ以外は全く上記実施の形態1に係る自走式クレーンと同構成であるから、上記実施の形態1と同一のもの並びに同一機能を有するものに同一符号を付して、その相違する点について説明する。
【0040】
図5と図1との比較において良く理解されるように、上記実施の形態1に係る自走式クレーン1では、上部フレーム2aにより移動フレーム2cを前後方向移動自在に支持し、この移動フレーム2cの端部にブームフットピン2gを介して起伏自在に多段伸縮ブーム2eが支持されてなる構成になっているのに対して、本発明の実施の形態2に係る自走式クレーン1では、従来例と同様に、上部フレーム2aの後部、かつ上部に形成したブラケット部にブームフットピン2gを介して多段伸縮ブーム2eが起伏自在に支持されてなる構成になっている。
【0041】
従って、本実施の形態2に係る自走式クレーン1は、上記のとおり、上部フレームの多段伸縮ブームの支持構成が上記実施の形態1と相違するだけであるから、上記実施の形態1に係る自走式クレーン1とほぼ同等の下記効果が得られる。
(1)車体重心を自走式クレーン1の車幅方向の中心に近づけることができ、低位置に下げることができるのに加えて、傾転角度を確保しながら自走式クレーン1の車幅を狭くすることができる。
(2)運転室2hの側方突出位置4bへの移動により下部走行車体4の側方からクレーン作業状態を視認することができ、前方方向では前方視界が一段と広がるので、クレーン作業能率が向上する。
(3)多段伸縮ブーム2eが運転室2hに干渉することがないから、多段伸縮ブーム2eの干渉により運転室2hや多段伸縮ブーム2eの破損を防止できるのに加えて、工事現場における移動に支障が生じるようなこともない。
【0042】
本発明の実施の形態3に係る自走式クレーンを、添付図面を順次参照しながら説明する。図6は自走式クレーンの模式的全体平面図、図7はアタッチメント作動手段、移動力伝達手段の作動状態を示す図、図8(a)は移動力伝達手段の構成説明図、図8(b)は運転室移動手段の一部である二股アームの平面図、図8(c)は図8(b)のA矢視図である。なお、本実施の形態3に係る自走式クレーンが上記実施の形態1に係る自走式クレーンと相違するところは、運転室を移動させる構成の相違にあり、それ以外は全く上記実施の形態1に係る自走式クレーンと同構成であるから、上記実施の形態1と同一のものならびに同一機能を有するものに同一符号を付して、その相違する点について説明する。
【0043】
即ち、作業アタッチメントである多段伸縮ブーム2eを下部走行車体4の前後方向に移動させるアクチュエータは、移動フレーム2cを往復移動させるフレーム移動シリンダである。このフレーム移動シリンダで往復移動される移動フレーム2cの運転室2h側の側面には、後述する構成になる運転室移動手段5に対して、運転室2hを下部走行車体4の車幅方向に移動させる移動力を伝達する後述する構成になる移動力伝達手段8が付設されている。
【0044】
前記移動力伝達手段8は、移動フレーム2cの基端側の側面に図示しない球面ベアリングを介して、移動フレーム2cと直交する軸心を支点として回動、かつ左右方向に回動し得る外筒8aを備えている。そして、この外筒8aに、図示しない貫通穴に連結ピン8dが嵌合されるヨーク8cを先端部に有するプッシュロッド8bが嵌挿されている。
【0045】
ところで、移動力伝達手段8は、上記のとおり、移動フレーム2cと直交する軸心を支点として回動、かつ左右方向に回動し得るように構成されている。
これは、移動フレーム2cの斜め方向の往復移動による上下方向の変位と、後述する運転室移動手段5の後述する二股アームの回動による左右方向の変位を吸収させるためである。また、この運転室移動手段5を、上記とは逆の構成、つまり移動フレーム2cと直交する軸心を支点として回動、かつ左右方向に回動するロッドと、このロッドに外装され、先端にヨークを有するプッシュ筒とからなる構成にすることもできるので、上記構成に限定されるものではない。
【0046】
前記運転室移動手段5は、上部フレーム2aの上に立設された垂直軸5dと、この垂直軸5dにより屈曲部付近が支持され、水平に回動する略「く」の字状に形成されてなる二股アーム5eとを備えている。この二股アーム5eの一方のアームの先端部に設けられた貫通穴に、前記連結ピン8dが嵌合される図示しない球面ブッシュが嵌着され、他方のアームの先端部には係合ピン5fが垂直に植設されている。この場合、この二股アーム5eの回動中心と一方のアームの貫通穴中心間の寸法と、回動中心と他方の連結ピン8d中心間の寸法は同寸法に設定されている。
【0047】
また、前記二股アーム5eは、前記垂直軸5dに外嵌されたコイルばね5gにより、図8(b)において反時計回り方向に付勢されている。そして、上部旋回体2の上に、下部走行車体4の車幅方向に前記運転室2hを案内する、図示しないレール状ガイドが敷設されると共に、この運転室2hの底面に、前記係合ピン5fが係合する図示しない長穴(この長穴の向きは、下部走行車体4の前後方向である)が設けられている。
【0048】
なお、前記二股アーム5eをコイルばね5gにより反時計回り方向に付勢するようにしたのは、自走式クレーン1の走行状態において、運転室2hを、常時下部走行車体4の車幅内に位置させるためである。また、前記二股アーム5eの回動中心と一方のアームの貫通穴中心間の寸法と、回動中心と他方の連結ピン8d中心間の寸法を同寸法に設定したが、同寸法でなくてもよい。
【0049】
以下、運転室2hを下部走行車体4の車幅方向に往復移動させる場合を説明する。この場合、移動フレーム2cの前後方向のストロークSは、図7に示すように、運転室2hの移動距離S1に、プッシュロッド8bの基端から外筒8aの底面までの距離S2を加えた寸法になるように設定されている。
【0050】
従って、移動フレーム2cが最伸長状態から下部走行車体4の前方側にS2縮小移動すると、外筒8aの底面にプッシュロッド8bの基端面が当接する。
そして、当接位置からさらに移動フレーム2cが下部走行車体4の前方側に縮小移動すると、この縮小移動に伴ってプッシュロッド8bも下部走行車体4の前方側に移動し、二股アーム5eが、図7において時計回り方向に回動される。
そして、移動フレーム2cがさらにS1移動して最縮小状態になると、二股アーム5eの回動により、下部走行車体4の車幅内位置にある運転室2hが、長穴に係合している係合ピン5fを介して、多段伸縮ブーム2eに干渉しない下部走行車体4の側方突出位置に移動するので、多段伸縮ブーム2eを起立させ得る状態、つまり自走式クレーン1がクレーン作業し得る状態になる。
【0051】
一方、最縮小状態にある移動フレーム2cがS1伸長移動されると、二股アーム5eがコイルばね5gにより反時計方向周りに付勢されているので、運転室2hが下部走行車体4の車幅内位置に戻されると共に、プッシュロッド8bもS1押し戻される。そして、移動フレーム2cがさらに伸長移動されるが、この場合には外筒8aだけが移動フレーム2cと共に後退し、プッシュロッド8bの基端から外筒8aの底面までの距離がS2になると、移動フレーム2cが最伸長状態となり、自走式クレーン1が走行し得る状態になる。
【0052】
このように本実施の形態3に係る自走式クレーン1によれば、運転室2hを下部走行車体4の車幅方向に移動させる構成が上記実施の形態1と相違するだけである。従って、上記実施の形態2と同様に、クレーン作業姿勢となる移動フレーム2cの最縮小状態では、必ず運転室2hが多段伸縮ブーム2eと干渉しない下部走行車体4の側方突出位置に移動されるので、メカ的なインターロック機構とすることができる。また、移動フレーム2cの移動とコイルばね5gとにより、運転室2hを下部走行車体4の車幅方向に移動させる構成で、専用のアクチュエータを要しないので、上部旋回体2の油圧システムや電気制御システムの構成を簡素化することができる。また、移動フレーム2cの移動から動力を得ることで、運転室2hの移動を自動化することができる。
【0053】
以上では、移動フレーム2cの移動の動力を活用して運転室2hを移動させる場合を説明したが、多段伸縮ブームを起伏させるブーム起伏シリンダの動力を活用して運転室2hを移動させる構成にすることもできる。以下、ブーム起伏シリンダの動力を活用して運転室2hを移動させる実施の形態4に係る自走式クレーンを、その運転室移動手段と移動力伝達手段との模式的構成説明図の図9を参照しながら説明する。なお、本実施の形態4に係る自走式クレーンが上記実施の形態3に係る自走式クレーンと相違するところは、運転室移動手段と移動力伝達手との構成の相違にあり、それ以外は全く上記実施の形態3に係る自走式クレーンと同構成であるから、上記実施の形態3と同一のものならびに同一機能を有するものに同一符号を付して、その相違する点について説明する。
【0054】
即ち、アクチュエータであるブーム起伏シリンダで起伏される多段伸縮ブーム2eの腹面に、後述する構成になる運転室移動手段5に対して、運転室2hを下部走行車体4の車幅方向に移動させる移動力を伝達する後述する構成になる移動力伝達手段8が付設されている。この移動力伝達手段8は、多段伸縮ブーム2eの腹面に下向きに突設されて前記移動フレーム2cの底板を貫通するプッシュロッド8bを備えている。このプッシュロッド8bは、移動フレーム2cの最縮小時に、多段伸縮ブーム2eの倒伏状態において、後述する運転室移動手段5の二股アームの一方のアームの端部を押圧するように構成されている。
【0055】
前記運転室移動手段5は、上部フレーム2aの上に立設されてなる図示しないブラケットにより水平に支持されてなる水平軸5dと、この水平軸5dにより屈曲部付近が支持され、垂直に回動する略「く」の字状に形成されてなる二股アーム5eとを備えている。この二股アーム5eの一方のアームは前記上部フレ−ム2aの側面に設けられ上下方向に長径を有する長穴に挿通されており、そしてこのアームの先端部の上側には、前記プッシュロッド8bの下端が当接するロッド当接座5e′が設けられている。一方、この二股アーム5eの他方のアームの先端部には係合ピン5fが植設されており、運転室2hの下面に突設された下向きのブラケットの上下方向に長径を有する長穴に係合している。なお、前記ブラケットに係合ピン5fを植設し、二股アーム5eに前記係合ピン5fが係合する長穴を設けてもよい。
【0056】
また、前記二股アーム5eは、前記水平軸5dに外嵌された、図示しないコイルばねにより、図9において反時計回り方向に付勢されている。そして、上部旋回体2の上に、下部走行車体の車幅方向に前記運転室2hを案内する、図示しないレール状ガイドが敷設されている。そして、運転室2hの多段伸縮ブーム2eの下部には、多段伸縮ブーム2eの上昇に伴う運転室2hの車体の外方への移動に際して、多段伸縮ブーム2eが運転室2hに干渉するのを回避するために、正面視で下位から上位になるに連れて運転室空間が広くなるように斜めに切欠かれた逃げ部2h′が形成されている。
【0057】
また、前記運転室2hは、下部走行車体4の車幅内位置において、この運転室2h内で操作することにより、この運転室2hを上部旋回体2に自在に固定し、かつ固定を解除し得る運転室ロック装置により下部走行車体4に固定されるように構成されている。このような運転室ロック装置としては、例えば、上部旋回体2に突設されてなるロックプレートと、運転室2h内で操作することにより、前記ロックプレートに設けられてなるロック穴に挿脱自在に嵌挿されるロックピンとからなる構成のものが考えられる。
【0058】
なお、上記のような運転室ロック装置を設けたのは、自走式クレーンを走行姿勢にするために、フレーム移動シリンダにより移動フレーム2cを伸長させて多段伸縮ブーム2eを車体後方側に移動させると、プッシュロッド8bが二股アーム5eの一方のアームの先端部のロッド当接座5e′から外れる。従って、プッシュロッド8bによる二股アーム5eの一方のアームに対する押圧力が失われ、コイルばねにより回動する二股アーム5eにより、運転室2hが下部走行車体4の側方突出位置に移動され、運転室2hを下部走行車体4の車幅内位置に保持し得なくなるからである。
【0059】
以下、運転室2hを下部走行車体4の車幅方向に往復移動させる場合を説明する。即ち、フレーム移動シリンダにより移動フレーム2cを縮小させて倒伏状態の多段伸縮ブーム2eを車体の前方向に移動させると共に、運転室ロック装置による運転室2hの上部旋回体2に対する固定を解除する。そして、ブーム起伏シリンダを伸長させて多段伸縮ブームの起伏角度を増大させると、起伏角度が増大するにつれてプッシュロッド8bが上昇する。そして、このプッシュロッド8bが上昇するにつれて二股アーム5eが、図9における反時計まわり方向回動するため、下部走行車体4の車幅内位置にある運転室2hが、多段伸縮ブームに干渉しない下部走行体4の側方突出位置に移動し、自走式クレーン1がクレーン作業し得る状態になる。
【0060】
この場合、多段伸縮ブーム2eの起伏角度の増大につれて、一部が多段伸縮ブーム2eの上方に位置する運転室2hが下部走行体4の側方へ移動するが、上記のとおり、運転室2hの下部に逃げ部2h′が設けられているため、多段伸縮ブーム2eが運転室2hに干渉するようなことがない。
【0061】
一方、多段伸縮ブーム2eが倒伏され、前記プッシュロッド8bの下端が二股アーム5eの一方のアームの先端のロッド当接座5e′に当接すると、多段伸縮ブーム2eの倒伏に伴って二股アーム5eが、図9における時計回り方向に回動する。従って、下部走行体4の側方突出位置の運転室2hが車幅中心方向に移動し、多段伸縮ブーム2eが最大倒伏されると、運転室2hが下部走行車体4の車幅内位置に移動する。そして、運転室ロック装置により運転室2hを上部旋回体2に固定した後に、移動フレーム2cを伸長させて多段伸縮ブーム2eを車体後方側に移動させると、移動式クレーンは走行姿勢となる。
【0062】
このように本実施の形態4に係る自走式クレーン1によれば、運転室2hを下部走行車体4の車幅方向に移動させる構成が上記実施の形態3と相違するだけである。従って、本実施の形態4に係る自走式クレーンは上記実施の形態3に係る自走式クレーンと同等の効果がある。
【0063】
なお、運転室2hを下部走行車体4の車幅方向に自動的に移動させる他の運転室移動手段としては、リンクの他、ワイヤーロープ、チェーン、ラックとピニオンでも構成することができる。また、駆動源としては、上部旋回体3に配設されている駆動源であれば、活用可能である。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1に係る自走式作業機械によれば、自走式クレーンの走行時には、伸縮ブームがクレーン操縦と走行操作とに兼用される運転室の下位側位置を前後方向に横切るように位置しているので、この自走式クレーンの重心位置を低くすることができるのに加えて、運転室との重なり分だけ伸縮ブームを車幅の中心方向に近づけることができるので、運転室との重なり分だけ自走式クレーンの車幅を狭くすることができる。
【0065】
(0069)
本発明の請求項2に係る自走式クレーンによれば、運転室の下部に逃げ部を形成することにより、運転室の必要配設空間を確保することができ、しかも運転者が圧迫感を感じ易い運転室内上部空間を広くすることができる。
【0066】
本発明の請求項3に係る自走式クレーンによれば、運転室移動手段で運転室を下部走行車体の側方突出位置に移動させることにより、伸縮ブームを起伏可能な状態にすることが可能になると共に、運転者の視界を変えることができる。そして、下部走行車体の側方位置では、下部走行車体の側方からクレーン作業状況を視認することができ、また前方方向では前方視界が一段と広がるので、クレーン作業能率が向上する。
【0067】
本発明の請求項4に係る自走式クレーンによれば、運転室が下部走行車体の幅内位置に位置しているときには伸縮ブームの起伏状態が制限されるので、自走式クレーンの走行に際して伸縮ブームが運転室に干渉するようなことがない。
【0068】
本発明の請求項5に係る自走式クレーンによれば、運転室が前記下部走行車体の側方突出位置に位置しているときには下部走行車体の走行が制限されるので、走行時に運転室が路上の建造物等に衝突するようなことがなく、狭い道路でも走行することができる。
【0069】
本発明の請求項6に係る自走式クレーンによれば、より長尺の伸縮ブームの配設が可能になり、長さが同じ伸縮ブームであれば、その前方への突出量を減らすことができ、走行時の前方視界が良くなる。
【0070】
本発明の請求項7に係る自走式クレーンによれば、起伏支点を移動させてクレーン作業を行うことができるので、例えば吊荷の送り込み作業等の作業時の作業能率が向上する。
【0071】
本発明の請求項8に係る自走式クレーンによれば、アクチュエータの動力が移動力伝達手段を介して運転室移動手段に伝達され、これにより運転室が移動されるので、専用のアクチュエータを設ける必要がなく、運転室移動手段の油圧配管等の構成を簡素化することができ、コストも低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る自走式クレーンの全体側面図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係る自走式クレーンの全体平面図である。
【図3】 本発明の実施の形態1に係り、図3(a)は運転室を前記下部走行車体の車幅内位置と側方突出位置との間で移動させる運転室移動手段を模式的に示す平面図、図3(b)は図3(a)のA−A線断面図、図(c)は運転室移動手段の運転室移動シリンダの取付け状態説明図である。
【図4】 本発明の実施の形態1に係り、図4(a)は多段伸縮ブーム起伏制限説明のための自走式クレーンの模式的側面図、図4(b)は多段伸縮ブーム起伏制限説明のための自走式クレーンの模式的正面、図4(c)は多段伸縮ブーム起伏制限フローチャート図である。
【図5】 本発明の実施の形態2に係る自走式クレーンの全体側面図である。
【図6】 本発明の実施の形態3に係る自走式クレーンの模式的全体平面図である。
【図7】 本発明の実施の形態3に係り、アタッチメント作動手段、移動力伝達手段の作動状態を示す図である。
【図8】 本発明の実施の形態3に係り、図8(a)は移動力伝達手段の構成説明図であり、図8(b)は運転室移動手段の一部である二股アームの平面図であり、図8(c)は図8(b)のA矢視図である。
【図9】 本発明の実施の形態4に係る自走式クレーンの運転室移動手段と移動力伝達手段との模式的構成説明図である。
【符号の説明】
1…自走式クレーン
2…上部旋回体、2a…上部フレーム、2b…旋回ベアリング、2c…移動フレーム、2d…フレーム移動シリンダ、2e…多段伸縮ブーム、2f…ブーム起伏シリンダ、2g…ブームフットピン、2h…運転室、2h′…逃げ部、2i…エンジン、2j…作動油タンク
3…スイベルジョイント
4…下部走行車体、4a…車幅内位置、4b…側方突出位置
5…運転室移動手段、5a…レール状ガイド、5b…レール状摺動子、5c…運転室移動シリンダ、5d…垂直軸または水平軸、5e…二股アーム、5e′…ロッド当接座、5f…係合ピン、5g…コイルばね
6…車軸、6a…タイヤ
7…アウトリガ装置、7a…アウトリガビーム、7b…アウトリガシリンダ
8…移動力伝達手段、8a…外筒、8b…プッシュロッド、8c…ヨーク、8d…連結ピン
Claims (8)
- 上部フレームに、起伏自在な伸縮ブーム、およびクレーン操縦と走行操作とに兼用される運転室が設けられてなる旋回自在な上部旋回体を備え、この上部旋回体を旋回自在に支持する下部走行車体を備えた自走式クレーンにおいて、最大倒伏状態の前記伸縮ブームを前記運転室の下位側位置を前後方向に横切るように位置させると共に、前記運転室を、この運転室の少なくとも一部が前記伸縮ブームの上面に重なるように配設し、起伏に際して前記伸縮ブームが前記運転室に干渉するのを回避する干渉回避手段を設けたことを特徴とする自走式クレーン。
- 前記運転室の前記下部走行車体中央側の下位に、前記伸縮ブームの上端形状に沿う逃げ部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の自走式クレーン。
- 前記干渉回避手段として、前記上部フレームに前記運転室を、前記下部走行車体の車幅内位置と側方突出位置との間で移動させる運転室移動手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の自走式クレーン。
- 前記運転室が前記下部走行車体の幅内位置に位置しているとき、前記伸縮ブームの起伏動作を制限するように構成したことを特徴とする請求項3に記載の自走式クレーン。
- 前記運転室が前記下部走行車体の側方突出位置に位置しているとき、この下部走行車体の走行を制限するように構成したことを特徴とする請求項3または4に記載の自走式クレーン。
- 前記伸縮ブームが最大倒伏状態にあるとき、この伸縮ブームが自走式クレーンの前端および後端となるように構成したことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の自走式クレーン。
- 前記伸縮ブームの起伏支点を前記下部走行車体の前後方向に移動可能に構成したことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の自走式クレーン。
- 前記上部旋回体に、作業に応じて伸縮ブームを動作させるアクチュエータが設けられ、このアクチュエータの動力を運転室移動手段に伝達して、運転室を移動させる移動力伝達手段を設けたことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の自走式クレーン。
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