JP4237900B2 - Ｄｎａチップ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は遺伝子情報を迅速に解析できるＤＮＡ（デオキシリボ核酸）チップの改良に関し、ＤＮＡチップの付随情報を迅速に誤りなく取得、保存を可能としたＤＮＡチップに関する。
【０００２】
【従来の技術】
ＤＮＡチップは遺伝子解析を画期的に高速化したものである。すなわち一辺が数十ミリのガラス基板などに例えば10,000種類の異なった遺伝子ＤＮＡを場所を変えて固定し、被検査サンプルのＤＮＡを抽出してこれに反応させ、反応したＤＮＡサンプルの場所を解析装置で検出して、被検査サンプルに含まれていたＤＮＡを特定するものである。このチップはＤＮＡの配置、組み合わせにより無限の種類が可能である。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ＤＮＡチップは塩基配列に無数の組あわせがあり、塩基配列の情報を検査結果と照合する際はＤＮＡチップの同定情報と符合させる。この際、照合すべき配列情報が異なったチップの情報と混合されるようなことを防止しなければならない。
【０００４】
またＤＮＡチップが個人の検体の解析に使用される場合など、被検査体の同定情報、すなわち氏名、性別、番号などが正しく管理されなければならない。この過程で誤りを生じると医療事故に繋がることになる。
【０００５】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的はＤＮＡチップ基板に単一チップとして構成された電子回路を不可分に埋め込み、解析装置側に結合手段を設けて該電子回路と結合し、外部から補助的な情報を該電子回路中の不揮発性メモリに書き込めるようにした情報媒体を提供することである。
【０００６】
またＤＮＡチップの解析装置に上記ICと信号を交換するヘッドを設け、解析装置がIC内の情報を利用して効率よく動作し、また結果をIC内に書き込むなどの便宜を提供する。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するため、既知の塩基配列を有する複数のＤＮＡを配列した基板と、該基板と一体に構成されるＩＣメモリを内蔵した同定デバイスからなるＤＮＡチップを構成した。
【０００８】
上記構成により無数に存在し得るＤＮＡチップの種類を同定し、また検体の情報を誤りなく保持するため、ＤＮＡチップの中に記憶作用を有するICを埋め込み、チップの情報や検体の情報を格納して、ＤＮＡ解析の利便性と信頼性を向上させることを可能とする。
【０００９】
また、前記同定デバイスは１つのＩＣチップからなり、外部装置と信号交換のため前記ＩＣチップと電気的に接続される接触端子を基板表面に有する構成としてもよく、また、ＩＣチップ表面に外部装置と非接触で信号交換するための通信用コイルを有する構成とすることも出来る。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従うＤＮＡチップおよび解析装置の実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態である。10はＤＮＡチップ基板でガラスなどが使用される。１１は基板表面に固定されたＤＮＡ群であり、被検定サンプルがこれに結合する。
【００１１】
12は同定用ICチップであり、内部に情報を記憶するEEPRPOMと外部と信号を交信するための制御回路、また無線交信のための高周波回路を含む。１２の大きさは2.3ミリメートル角、厚みは約０．５ｍｍである。１２の表面にはアンテナコイル13が渦巻き状に形成されている。
【００１２】
１４は解析装置の一部に設置された読み書きヘッド用のアンテナコイルであり、チップ基板から２ｍｍの高さに設けられている。このコイルは解析装置内のリーダライタ回路に接続されチップ内のICと非接触的に交信する。
【００１３】
すなわち解析装置からの指令によりコイル14に高周波電流が流れ、それはIC側コイル１３に高周波電圧を誘起する。この電圧は整流平滑されてIC１２の動作電源になるとともに検波されて信号になりIC内のEEPROMに書き込まれる。またEEPROM内の情報は外部の指令に従い読み出されコイル１3,14を通じて解析装置側に伝送される。
【００１４】
IC１２にはチップの同定情報のほか必要により搭載されたＤＮＡの情報、被検査体の同定情報、すなわち氏名、性別、番号などが記憶され、NDA解析の情報処理を円滑に正確に行なう手段を提供する。
【００１５】
次にIC回路をＤＮＡチップに埋め込む手段について説明する。 ＩＣチップは大きさが例えば２０ｍｍ角と小さなものであり、表面に外部装置と電気的に接触してデータ通信するための端子部を有する。これに同定用の大きな回路を内蔵するのは実用的でない。そのためIC一個で動作するデバイスを用いる。これはICカードなどに用いているICに類似のデバイスを用いて実現される。回路の占有面積は１平方センチメートルくらいである。
【００１６】
ある場合は上記でもIDデバイスの占有する面積が過大である。また外部交信用の電極が基板表面に露出する形態は、チップ基板の化学処理などの障害にもなり得る。これを解決する手段として交信コイルをICの表面に直接実装したコイルオンチップ型のIDデバイスを使用する。
【００１７】
最近の半導体技術の発達は極めて低電力で動作する電子回路の設計を可能にした。また半導体表面に従来のアルミニウム配線に代わり銅配線を用い電磁結合コイルを半導体の表面に形成して、電子回路全体を単一の機構部品に仕上げることが可能になった。
【００１８】
上記のICを基板に実装する際には基板にへこみを設けその中にICを樹脂などで埋設して基板とICを不可分に構成し、チップ外れなどの不具合を防止する。
【００１９】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、無数に存在し得るＤＮＡチップの種類を同定し、また被検体の情報を誤りなく保持するため、ＤＮＡチップの中に埋め込まれた記憶作用を有するICにＤＮＡチップの情報や検体の情報を格納して、ＤＮＡ解析の利便性と信頼性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は本発明に係るＤＮＡチップと解析装置のヘッドの構成を説明する図である。
【符号の説明】
１０：チップ基板 １１：ＤＮＡ配列 １２：ICチップ １３：媒体アンテナコイル １４：外部装置アンテナコイル １５：ICチップを埋め込むための基板のへこみ

Claims (2)

1. 塩基配列を有する複数のＤＮＡを配列した基板と、ＩＣメモリと、通信用コイルとから構成されるDNAチップであって、
   前記通信用コイルは外部装置と非接触で信号交換するためのものであり、かつ
   前記通信用コイルが前記ＩＣメモリの表面に直接実装された、コイルオンチップ型ＩＤデバイスであり、
   前記通信用コイルが直接実装された前記ＩＣメモリが前記基板と一体に構成され、
   前記通信用コイルが直接実装された前記ＩＣメモリが基板に埋設されていることを特徴とする、ＤＮＡチップ。
2. 請求項１に記載のＤＮＡチップにおいて、前記同定デバイスは、外部装置から書込み、読出し可能な不揮発性のメモリを内部に備えたことを特徴とするＤＮＡチップ。

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