JP4237868B2 - 画像形成システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成システムに係り、特に、写真等の中心投影画像から正射投影(オルソ)画像を作成して、画像自体に地図の意味を持たせたり(寸法を表すこと等)、地図に画像を重ねあわせたりした、現地状況のわかる画像地図を作成・修正するようにした画像形成システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術によれば、計測現場で測量することにより得られる図面は、平板測量に代表されるような紙と鉛筆等により作成されていた。また、近年では、電子平板に代表されるような測量機とポータブルコンピュータとの組み合わせにより、計測現場の線画図面が作成されていた。このような従来の電子平板では、オルソ画像作成を行なうために必要な画像と、基準点等の三次元データとを取得するために、該当する地域における計測と撮影の概略計画をたてるか、あるいは計画を立てずにいきなり現地にいって計測及び撮影等の作業を行なっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来では、実際の計測及び撮影の計画をして現場にてそれらを行なっても、これらの計画は机上のものであるため、実際と異なり失敗やミスがさけられない場合があり、時間や手間がかかっていた。さらに、従来では、計測データや撮影データをオフィス等に持ち帰って解析する場合には、そのデータが不足だったり使用出来なかったりして、再び現地で計測及び撮影をやり直す等の効率の良くない作業をやらなければならない場合が、少なからずあった。
【0004】
本発明は、以上の点に鑑み、これらオルソ画像作成・修正にあたって、計測及び撮影現場での失敗や不足等がないようにし、また、再び現地にて撮影及び計測等の時間がかからないようにすることを目的とする。また、本発明は、現地での作業と実際に整合がとれるような撮影計画をその必要精度やオルソ画像作成範囲等からシミュレーションし、さらにそれらにあわせ最適の機材を選択できるようにし、現地にて間違いのない計測及び撮影の支援を行うようにした画像形成システムを提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、従来は机上での計測及び撮影計画であったものを、実際に撮影範囲、撮影位置、使用機材、撮影枚数等の撮影条件について、計算及び選択を行い、且つ、現地にて実際にそれら指示及び確認を行いながら、画像取得及び計測を可能とし、失敗やミス、撮り直し等がなくなり、効率的なオルソ画像作成ができるようにした画像形成システムを提供することを目的とする。
【0006】
さらに、本発明は、GPSを使用すれば、だれでも簡単に計測とオルソ画像取得とを同時に実施できるようにした画像形成システムを提供することを目的とする。また、本発明は、計測データや画像データを蓄積していくことで、詳細なオルソ画像図面が順次作成され、さらに所望の縮尺でオルソ画像を作成することを可能とするようにした画像形成システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の解決手段によれば、
オルソ画像を作成すべきオルソ画像作成範囲を設定するオルソ画像作成範囲設定部と、
オルソ画像の作成対象となる画像を撮影するカメラに関する撮影カメラ情報を設定する撮影情報設定部と、
上記撮影情報設定部に設定された撮影カメラ情報に基づき、撮影可能な撮影可能範囲を求める撮影可能範囲演算部と、
上記撮影可能範囲演算部で求められた撮影可能範囲に基づいて、上記オルソ画像作成範囲設定部に設定されたオルソ画像作成範囲で、オルソ画像が適切に形成できる撮影画像を得るための撮影条件を演算する撮影条件演算部と
を備えた画像形成システムを提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像形成システムの実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0009】
(1)全体構成
まず、画像形成システムの全体構成及び動作の概要について説明する。
図1は、本発明に係る画像形成システムの全体構成図である。この画像形成システムは、画像形成装置2000、フィールド画像処理装置1000、GPS受信機3000を備える。画像形成装置2000は、主に、オルソ画像を形成する。フィールド画像処理装置1000は、現地にてオルソ画像修正・作成・確認等を行う。GPS受信機3000は、現在位置や修正個所の確認等を行うものである。ここでは、画像形成装置2000とフィールド画像処理装置1000とは、別々の構成になっているが、これらの装置を一つのものとしても良い。さらに、GPS受信機3000も同一装置として構成しても良い。
【0010】
つぎに、動作の概要を説明する。
図2に、オルソ画像作成の概略フローチャートを示す。なお、オルソ画像の作成と、その修正とは、作成又は修正の大本となる素材が異なるだけであり、後の処理は同じものとなる。
最初に、オルソ画像を作成したい場合は、オルソ画像を作成したい地域の地図、数値地図又は電子地図等を入手する(ステップS500)。地図の場合は、スキャナ等で読み込み、ベクトル化した電子地図としても良いし、ただ参考にするだけでも良い。あるいは、撮影された画像からオルソ画像を作成する場合は、画像形成装置2000で行う(ステップS500)。オルソ画像を作成するための画像は、航空機やプラットホームで撮影した画像や、衛星画像等が含まれる。あるいは、それら画像は、販売されているものを利用してもよい。また、調査したい個所のデジタルオルソ画像データとその画像上の基準点データが入手できれば、それらを入手して使用しても良い。一方、オルソ画像を修正する場合は、作成されたオルソ画像を利用する。
【0011】
つぎに、地図や数値地図、電子地図、又は、作成あるいは入手したオルソ画像から、作成したい個所や不足個所、さらに詳細に調査、補測したい個所をチェックし、オルソ画像取得計画を策定する(ステップS600)。そして、作成したい場所、あるいは不足・修正個所に、GPS等でナビゲーションしながら行き、現地にて計測及び撮影を行なう(ステップS700)。そして、現地にて得られた計測データ及び画像、先に作成あるいは入手した画像、基準点データがある場合はそれら基準点データ、を統合して、最終的なオルソ画像を得る(ステップS800)。
【0012】
(2)画像形成システムの各装置の構成
以下に、画像形成システムに含まれる各装置について、概略を説明する。
はじめに、画像形成装置2000について説明する。
【0013】
図3に、画像形成装置2000の構成図を示す。画像形成装置2000は、基準点データ記憶部50、画像データ記憶部60、補測基準点データ記憶部55、補測画像データ記憶部65、オルソ画像形成部70、オルソ画像取得計画策定部80を備える。また、画像形成装置2000は、内部又は外部に、表示部72及び入出力部74を有する。このような各手段(機能)は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などにより実現することができる。
【0014】
基準点データ記憶部50は、大元にあたるオルソ画像作成に要する基準点データを記憶する部分である。画像データ記憶部60は、そのオルソ画像作成の元となる撮影画像で、デジタル化されたものを記憶する部分である。補測基準点データ記憶部55は、現地にて補測した基準点計測データを記憶する部分である。補測画像データ記憶部65は、現地にて補測・撮影したデジタル画像データを記憶する部分である。オルソ画像形成部70は、それら基準点データと画像データを統合し、最終的なオルソ画像を作成・合成する部分である。また、オルソ画像取得計画策定部80は、修正したい個所のオルソ画像取得計画を策定する部分である。
【0015】
さらに、表示部72は、CRT、液晶ディスプレイ又はプラズマディスプレイ等の2次元又は3次元表示を行うものである。表示部72は、オルソ画像形成部70で形成されたオルソ画像や各種データ等を表示する。入出力部74は、各種画像データや測量機等の3次元座標データ等を入出力するものである。入出力部74としては、例えば、光ディスク装置やカード型の記憶媒体(HDD、メモリ等)、フロッピーディスク、キーボード、ペン、マウス、ターミナル、CD−ROMディスクドライブなどの各種入力装置・出力装置を備えることができる。
【0016】
つぎに、オルソ画像取得計画策定部80について詳述する。
図4は、オルソ画像取得計画策定部80の構成図である。オルソ画像取得計画策定部80は、オルソ画像作成範囲設定部82、撮影情報設定部85、撮影可能範囲演算部87、撮影条件演算部89を備える。このような各手段(機能)は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などにより実現することができる。
【0017】
オルソ画像作成範囲設定部82は、オルソ画像を作成したいオルソ画像作成範囲を設定する。撮影情報設定部85は、オルソ画像の作成対象となる画像を撮影する撮影カメラ情報を設定する。ここで、撮影カメラ情報とは、使用するカメラの情報や各種撮影情報等であり、例えば、撮影レンズの画角、撮像面の大きさ、撮影レンズの焦点距離、オルソ画像作成範囲と位置とが関係付けられた撮影位置、CCDの画素サイズ又はフィルム面の読みとり精度等のいずれかひとつ又は複数である。また、撮影情報設定部85には、静止画用カメラ又は動画用カメラの情報、地上撮影又は空撮の情報、必要精度の情報等の情報が設定されることもできる。
【0018】
撮影可能範囲演算部87は、撮影カメラ情報等の設定された情報に基づき、撮影可能な撮影可能範囲等を演算する。撮影条件演算部89は、撮影可能範囲に基づいて、オルソ画像作成範囲でオルソ画像が適切に形成できる撮影画像を得るための撮影条件を演算する。ここで、撮影条件とは、例えば、静止画用カメラ(スチールカメラ)の場合は、撮影回数、撮影方向又は角度、撮影位置等のいずれかひとつ又は複数であり、動画用カメラ(ビデオカメラ)の場合は、撮影方向又は角度、移動方向、移動速度、撮影位置等のいずれかひとつ又は複数である。また、撮影条件演算部89は、空撮の場合には、撮影高さを含む撮影条件を演算し、一方、地上撮影の場合には、撮影角度及び画角を含む撮影条件を演算する。
【0019】
つぎに、フィールド画像処理装置1000について説明する。
図5に、フィールド画像処理装置1000の構成図を示す。フィールド画像処理装置1000は、各種データ記憶部1、オルソ画像形成部2、ナビゲーション部8を備える。また、フィールド画像処理装置1000は、内部又は外部に、表示部6及び入出力部7を有する。このような各手段(機能)は、例えばポータブルパーソナルコンピュータ(PC)により実現することができる。
【0020】
各種データ記憶部1は、測量機等で計測した三次元データや画像データ、地図データ等をあらかじめ記憶する。オルソ画像形成部2は、画像形成装置2000内のオルソ画像形成部70と同様のものである。ナビゲーション部8は、GPSデータ受信部16及びナビゲーション画像表示部17を有する。ナビゲーション部8は、GPSデータ受信部16によりGPSから受信した現在位置の情報を、ナビゲーション画像表示部17に表示し、自分の現在位置を知ると同時に、作成、補測・修正したい場所へ移動するために利用する。また、このナビゲーション画像表示部17で修正されたオルソ画像を確認することもできる。なお、ナビゲーション画像表示部17は、表示部6と兼ねてもよい。
【0021】
表示部6は、CRT、液晶ディスプレイ又はプラズマディスプレイ等の2次元又は3次元表示を行うものである。表示部6は、オルソ画像形成部2で形成されたオルソ画像や各種データ記憶部1のデータ等を表示する。入出力部7は、各種画像データや測量機等の3次元座標入力装置から3次元座標データ等を他の装置と入出力するものである。入出力部7としては、例えば、光ディスク装置やカード型の記憶媒体(HDD、メモリ等)、フロッピーディスク、キーボード、ペン、マウス、ターミナル、CD−ROMディスクドライブなどの各種入力装置・出力装置を備えることができる。これら、フィールド画像処理装置1000の表示部6及び入出力部7と、画像形成装置2000の表示部72及び入出力部74は、兼用することができる。
【0022】
(3)詳細な処理動作
以下に、図2で示したオルソ画像作成の概略フローチャートについて、詳細なフローチャートに従って説明する。
【0023】
(3−1)オルソ画像作成・修正必要個所チェック・計測計画策定処理(ステップS600)
図6に、オルソ画像作成・修正必要個所チェック・計測計画策定処理についてのフローチャートを示す。オルソ画像作成・修正必要個所チェック・計測計画策定処理(ステップS600)では、ステップS500により作成又は入手した地図又は画像から、オルソ画像を作成したい場所、不足部分や詳細に計測したい場所等を確認する(ステップS610)。そして、オルソ画像作成・修正にあたって、画像形成装置2000のオルソ画像取得計画策定部80によって計測計画を策定する(ステップS620)。
【0024】
図7に、計測計画策定についてのフローチャートを示す。以下に、オルソ画像取得計画策定部80によるステップS620での計測計画策定について、さらに詳細に説明する。
まず、ステップS500で作成または入手された地図又は画像から作成・修正したいエリアを、表示部72上で、ペン・マウス等の入出力デバイスを備えた入出力部74により指定する(ステップS625)。指定されたデータは、オルソ画像作成範囲設定部82に設定される。オルソ画像がある場合は、オルソ画像を表示させ、その上でエリア指定をする。数値地図や電子地図等の場合は、それらを読み込み、その地図の表示画面上で表示されたエリアを指定する。また、地図しか入手されていない場合は、そのエリアを数値入力すればよい。あるいは、取得したい画像の縮尺を合せ、オルソ画像表示画面にして(但し、表示に画像はない)、同等の大きさをカーソル、ペン等の入力デバイスによって指定しても良い。
【0025】
つぎに、そのエリアの面積を計算する(ステップS630)。この場合、ステップS500による入力データが実際の値に対応しているので、そのままx座標、y座標を計算すれば、エリア面積を求めることができる。そして、使用するカメラでの撮影に必要な各種パラメータである撮影条件等を、撮影条件演算部89によって計算し、1枚撮影したときの撮影範囲を撮影可能範囲演算部87によって計算する(ステップS640)。また、撮影に必要な撮影条件等の各種情報の設定は、撮影情報設定部85に設定される。なお、1枚撮影範囲計算処理の詳細手順については、後述する。
【0026】
つぎに、計算された1枚の撮影範囲から、概略のオーバーラップ率を設定する(ステップS660)。オーバーラップ率は、例えば、通常10%、ステレオ撮影なら60%等とすることができる。つぎに、先に計算されたエリア面積とオーバーラップ率から、撮影位置、枚数を計算する(ステップS665)。撮影位置は、プラットホームからの空撮では、通常鉛直撮影となるので、1枚撮影範囲の中心とされる。一方、地上撮影の場合、撮影位置は、撮影角度、画角、撮影距離、撮影範囲等の関係により算出される。そして、オルソ画像上に撮影位置、枚数等を表示する(ステップS665)。以上のように求められた撮影位置及び枚数等から、最適のカメラを選択し、撮影位置及び撮影枚数等の撮影条件に従って、現地の計測及び撮影を行うことができる。
【0027】
図8に、オルソ画像の撮影位置についての説明図を示す。
ここでは、例えば、複数カメラやカメラレンズを設定している場合、その中で一番撮影エリア枚数の少ないものを表示する。もちろん、設定しているものすべてを表示することも可能であるし、優先順位をつけて表示させることも可能である。なお、空中撮影の場合は、最適なプラットホームと撮影高さ又は撮影距離も表示することができる。また、車等にビデオカメラを搭載して撮影する場合は、その撮影範囲と撮影位置に応じた撮影速度を計算し、表示する。例えば、撮影位置1から撮影位置2に移動する距離がP(m)の場合で、1秒間に最低でも1枚撮影したいときは、次式で最低移動速度が計算される。
最低移動速度(m/hour)=P×60×60
【0028】
そして、計測したい場所を含むオルソ画像あるいは数値地図や電子地図、各種撮影条件(撮影位置、撮影範囲、他)を、例えばポータブルコンピュータ等から構成されるフィールド画像処理装置1000の各種データ記憶部1に、それぞれ転送し、取込みを行なう(ステップS680)。但し、これらが同一装置上に構成されている場合は、転送、取込みは必要ない。以上のように計測計画が策定されたので、つぎに、現地での計測・撮影、あるいは補測修正作業の処理へと移る。
【0029】
ここで、ステップS640の1枚撮影範囲計算の詳細について説明する。
図9に、1枚撮影範囲計算についてのフローチャートを示す。まず、必要な計測精度あるいは縮尺を設定する(ステップS642)。ここでは、例えば、最低どれだけの精度(例えば、何cm又は何十cm等)で計測したいか、あるいはどの程度の画像縮尺を希望するか等を定めて設定する。つぎに、撮影情報設定部85に、使用可能なカメラの撮影カメラ情報、例えば、レンズの画角又は撮像面の大きさ、焦点距離等を設定する(ステップS644)。これらの設定条件又はカメラ自体が複数ある場合は、複数の撮影カメラ情報を設定する。なお、撮像面の大きさdがわかれば、以下の数式により画角θiがわかるので、画角ではなく撮像面の大きさdを入力しても良い。
θi=2tan−1((d/2)/f)
(ここで、θi:画角、d:撮像面の大きさ、f:焦点距離)
【0030】
つぎに、空中撮影か、地上撮影かを判断し、以降の処理を分ける(ステップS646)。
まず、空中撮影の場合について説明する。空中撮影する場合は、撮影高さが問題となる。撮影プラットホーム(バルーン、セスナ、ラジコンヘリ、他)によって撮影高度が異なるために、使用する撮影プラットホームを設定する(ステップS648)。撮影プラットホームを複数所有している場合は、複数設定しても良い。そして、以下の数式により、撮影高度Hを算出する(ステップS650)。なお、次式のδsは、先にステップS642で必要精度として設定したものである。また縮尺の場合は、該当値に変換され、設定される。また、δpは、デジタルカメラ使用の場合は画素サイズ、フィルムカメラ使用の場合はスキャナの読み取り精度となる。
H=(δs・f)/δp
(ここで、H:撮影高さ、δs:必要精度、δp:CCDの画素サイズ又はフィルム面の読み取り精度)
【0031】
つぎに、撮影可能範囲演算部87は、以下の数式により、1枚分の撮影範囲Rを計算する。なお、カメラやレンズを複数選択した場合は、その数だけ計算を行なう。
R=H・tan(θi)
(ここで、θi:画角)
【0032】
そして、図7に戻り、次のオーバーラップ率設定(ステップS660)の処理へ移行する。このようにして、レンズの画角θi等の撮影カメラ情報と、必要精度δs、計算された撮影高さH、撮影範囲R等のいずれかひとつ又は複数の値から、それぞれ適切なプラットホームが選択できるようになる。
【0033】
つぎに、地上撮影の場合について説明する。
図10に、撮影範囲と角度の関係についての説明図を示す。ここでは、撮影高さh、撮影角度θaにおいて、画角θiのカメラで撮影する場合を示している。この場合は、画像形成システムに設置されたカメラによる撮影又は手持ち撮影となるため、撮影高さhは、ある程度決まっている。撮影情報設定部85に、この撮影高さhを設定し、撮影角度θaも決まっている場合はそれも設定する(ステップS652)。撮影高さhが決まると、撮影条件検算部89は、以下の数式によって、レンズによる画角と撮影角度が決定する(ステップS654)。すなわち、画素分解能δxy(=(h/f)・δp) (ここで、h:撮影高さ、f:レンズ焦点距離、δp:CCD画素サイズ)とすると、
θa+θi=cos−1((h・δp)/(δxy・f))
【0034】
つぎに、撮影可能範囲演算部87は、以下の数式により撮影範囲Rを決定する(ステップS656)。なお、レンズが複数選択されている場合、必要精度により、手持ちの焦点距離及び画角で一番範囲の広いものが選択されることになる。
R=h(tan(θi+θa)−tanθa)
なお、以上の処理は、画像1枚1枚につき計測及び撮影する場合であったが、ステレオ撮影する場合は、次の処理によって、最適基線長Bも計算して出力する。
B=(H・δp)/(f・δs)
【0035】
(3−2)現地にて計測・撮影処理(ステップS700)
つぎに、現地にて計測・撮影処理(ステップS700)について詳細に説明する。
図11に、現地にて計測・撮影処理についてのフローチャートを示す。
【0036】
まず、計測したい現場に行き、ポータブルコンピュータ等で構成されたフィールド画像処理装置1000上に計測範囲及び計測位置を表示する(ステップS710)。ここで、オルソ画像が既にある場合は、オルソ画像上に計測範囲及び計測位置を表示する。数値地図や電子地図がある場合は、表示画面上に地図と計測範囲及び計測位置を重ね合わせ表示する。これら画像や地図が無い場合は、ただ撮影範囲及び撮影位置を表示する。但し、これらの表示の座標系、縮尺等は所望のものに合わせて表示させておく。そして、GPSと連動させ、現在位置をその上に表示させる。(ステップS720)。
【0037】
測定者は、表示を見ながら計測したい範囲を確認し、撮影範囲のなかでオルソ画像を作成するのに必要な点や、詳細に計測したい個所、補測したい位置等を、GPSやトータルステーション等の測量機を使用して計測(ステップS730)する。通常、ひとつの撮影範囲に6点以上の計測点が最初からあれば計測しなくても良いが、それらが無かったりさらに詳細に計測したいときや修正したいときは、その個所の計測を行なっておく。つぎに、撮影位置とGPSによる現在位置の表示を見ながら正確な撮影位置に行き、オルソ画像取得計画策定部80により求められた所定の撮影方向に向けて所定の焦点距離、画角等の条件で、デジタルカメラ等によりその場所の画像を撮影する(ステップS740)。あるいは、車等にカメラを搭載して撮影する場合は、GPSでナビゲーションしながら、ポータブルコンピュータ上の表示部6又はナビゲーション画像表示部17を観測し、撮影位置において撮影する。また、ビデオカメラにて撮影する場合は、求められた移動速度によって撮影位置を走行し、ビデオ撮影して画像を得ても良い。ここで、空中撮影が必要な場合は、バルーンやヘリコプター等、各種プラットホームを利用してその画像と撮影位置を整合させながら撮影を行なう。
【0038】
撮影が終了したら、フィールド画像処理装置1000に撮影した画像を読み込む(ステップS750)。つぎに、オルソ画像作成・修正(ステップS760)を行う。オルソ画像作成、修正は、画像形成装置2000のオルソ画像形成部70又はフィールド画像処理装置1000のオルソ画像形成部2を利用して行なうことができる。もし満足のいくオルソ画像がここで得られなければ、ステップS700の処理を満足いくまで繰り返せばよい。また、最初にオルソ画像も数値地図等もなかった場合は、ここで作成したオルソ画像をベースにして、撮影範囲や撮影位置等を表示し、必要あればステップS700を繰り返すこともできる。なお、オルソ画像作成の詳細手順については後述する。
【0039】
なお、以上の説明において、撮影カメラ情報等の各種情報は、撮影情報設定部85に設定されたが、これに限らず、フィールド画像処理装置1000の各種データ記憶部1等の適宜の記録装置に設定し、記憶することができる。
【0040】
(3−3)オルソ画像統合作成処理(ステップS800)
つぎに、オルソ画像統合作成処理(ステップS800)について説明する。
図12に、オルソ画像統合作成処理についてのフローチャートを示す。ここでの処理は、現場で計測したデータならびに画像データを画像形成装置2000に読み込ませて実行する(ステップS810)。以下の説明は、最初にオルソ画像が取得又は入手されている場合について説明しているが、それがない場合もそれらに該当するデータを無しとして以下の処理を行なうことができる。
【0041】
まず、画像形成処置2000において、現地にて計測した基準点データは、補測基準点データ記憶部55に入力され、また、画像データは補測画像データ記憶部65に入力される。また、大元となるオルソ画像の画像データは画像データ記憶部60に入力され、その基準点データは基準点データ記憶部50に入力されている。最初にオルソ画像が無かった場合は、現地にて計測した基準点データは基準点データ記憶部50に入力され、画像データは画像データ記憶部50に入力される。
【0042】
基準点データ記憶部50及び補測基準点データ記憶部55に記憶された基準点データは、混在され、両方が用いられる。そして、作成したいオルソ画像の縮尺を決定したら(ステップS820)、後述するようなオルソ画像形成処理によってオルソ画像形成を行なう(ステップS830)。なお、オルソ画像統合・作成800は、デジタル画像形成装置2000によらず、フィールドオルソ画像作成システム1000にても行なうことが可能である。
【0043】
以下、オルソ画像形成部70又は2によるオルソ画像作成処理(ステップS830)の詳細を説明する。
図13に、オルソ画像作成処理のフローチャートを示す。
【0044】
まず、オルソ画像を作成する際に、撮影された画像を読み込む(ステップS201)。つぎに、撮影画像上に写し込まれた基準点(6点以上)の画像座標を計測する(ステップS203)。この写し込まれた基準点は測量機等で地上座標をあらかじめ計測してあるものである。つぎに、この画像座標と地上座標の対応づけを行ない、座標変換パラメータを求める(ステップS205)。これは以下に示す3次の射影変換式により行なう。
【数1】
Figure 0004237868
ここで、 (x、y):画像座標、
(X、Y、Z):地上座標、
〜L11 :座標変換パラメータ。
【0045】
これらのような数式を、基準点のデータに基づき最小二乗法を用いて解くと、画像座標(x、y)と3次元座標(X、Y、Z)との関係を決定するL〜L11の変換パラメータを取得することができる。
【0046】
つぎに、オルソ画像上の各画素(ピクセル)の地上座標を計算する(ステップS207)。この処理では、オルソ画像作成のために、オルソ画像の画像座標(x、y)を地上座標(X、Y、Z)に変換するものである。地上座標(X、Y、Z)は、先に座標変換パラメータ算出処理のステップS205で求められた変換パラメータを用いて計算される。即ち、オルソ画像の画像座標(x、y)に対応する地上座標(X、Y、Z)は、以下の式で与えられる。このようにして、オルソ画像上の各ピクセルの取得位置を求めることができる。
【数2】
Figure 0004237868
ここで、
(X、Y) :地上座標系でのオルソ画像の左上の位置、
(ΔX、ΔY):地上座標系での1画素の大きさ(例:m/pixel)、
(x、y) :オルソ画像の画像座標、
(X、Y、Z):地上画像(三次元座標)、
a、b、c、d:ある画像座標(x、y)を内挿する複数の基準点により形成される平面方程式の係数である。
【0047】
今度は、ステップS205で求めた変換パラメータを使用して、数式1により、ステップS207で求められた地上座標(X、Y、Z)に対応する画像座標(x、y)を計算する(ステップS209)。このように求められた画像座標(x、y)から、該当する画像の地上座標(X、Y、Z)上の濃度値を取得する。この濃度値が、オルソ画像上における2次元の位置(X、Y)のピクセルの濃度である。このように、地上座標上の位置(X、Y)に貼り付ける画像濃度を取得する。以上のような処理を、オルソ画像のすべてのピクセルに対して行うことにより、画像貼付が行なわれる(ステップS211)。また、画像貼付けの際は、選択された画像を所望の縮尺に対応する解像度に画像を変換しながら貼り合わせる。なお、ここでは、画像濃度について画像貼付を説明したが、これに限らず、色、柄等適宜の情報を取得して、画像貼付けを行うことができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によると、以上のように、これらオルソ画像作成・修正にあたって、計測及び撮影現場での失敗や不足等がないように、また、再び現地にて撮影及び計測等の時間がかからないようにすることができる。また、本発明によると、現地での作業と実際に整合がとれるような撮影計画をその必要精度やオルソ画像作成範囲等からシミュレーションができ、さらにそれらにあわせ最適の機材を選択でき、現地にて間違いのない計測及び撮影の支援を行えるようにした画像形成システムを提供することができる。
【0049】
本発明によれば、従来、机上での計測及び撮影計画であったものが、実際に撮影範囲、撮影位置、使用機材、撮影枚数等の撮影条件について、計算及び選択を行い、且つ、現地にて実際にそれら指示及び確認を行いながら、画像取得及び計測が可能となり、失敗やミス、撮り直し等がなくなり、効率的なオルソ画像作成ができるという卓越した効果がある。
【0050】
さらに、本発明によれば、GPSが利用できれば、だれでも簡単に計測とオルソ画像取得とを同時に実施することができるという卓越した効果がある。また、本発明によれば、計測データや画像データを蓄積していくことで、詳細なオルソ画像図面が順次作成され、さらに所望の縮尺でオルソ画像を作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成システムの全体構成図。
【図2】オルソ画像作成の概略フローチャート。
【図3】画像形成装置2000の構成図。
【図4】オルソ画像取得計画策定部80の構成図。
【図5】フィールド画像処理装置1000の構成図。
【図6】オルソ画像作成・修正必要個所チェック・計測計画策定処理についてのフローチャート。
【図7】計測計画策定についてのフローチャート。
【図8】オルソ画像の撮影位置についての説明図。
【図9】1枚撮影範囲計算についてのフローチャート。
【図10】撮影範囲と角度の関係についての説明図。
【図11】現地にて計測・撮影処理についてのフローチャート。
【図12】オルソ画像統合作成処理についてのフローチャート。
【図13】オルソ画像作成処理のフローチャート。
【符号の説明】
1000 フィールド画像処理装置
2000 画像形成装置
3000 GPS受信機
50 基準点データ記憶部
60 画像データ記憶部
55 補測基準点データ記憶部
65 補測画像データ記憶部
70 オルソ画像形成部
80 オルソ画像取得計画策定部
82 オルソ画像作成範囲設定部
85 撮影情報設定部
87 撮影可能範囲演算部
89 撮影条件演算部

Claims (8)

  1. オルソ画像を作成すべきオルソ画像作成範囲を設定するオルソ画像作成範囲設定部と、
    オルソ画像の作成対象となる画像を撮影するカメラに関する撮影カメラ情報を設定する撮影情報設定部と、
    上記撮影情報設定部に設定された撮影カメラ情報に基づき、撮影可能な撮影可能範囲を求める撮影可能範囲演算部と、
    上記撮影可能範囲演算部で求められた撮影可能範囲に基づいて、上記オルソ画像作成範囲設定部に設定されたオルソ画像作成範囲で、オルソ画像形成る撮影画像を得るための、撮影位置及び枚数及び上記撮影カメラに関する撮影条件を演算する撮影条件演算部と
    を備えた画像形成システム。
  2. 請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
    カメラにより撮影された撮影画像から、そのオルソ画像を形成するオルソ画像形成部をさらに備え、
    上記オルソ画像作成範囲設定部は、上記オルソ画像形成部が形成したオルソ画像中で、さらに新たな画像に基づくオルソ画像を作成すべき新たなオルソ画像作成範囲を設定し、
    上記撮影可能範囲演算部は、上記撮影情報設定部に設定された撮影カメラ情報に基づき、新たな撮影可能範囲を求め、
    上記撮影条件演算部は、上記撮影可能範囲演算部で求められた新たな撮影可能範囲に基づいて、上記オルソ画像作成範囲設定部に設定された新たなオルソ画像作成範囲で、オルソ画像形成る撮影画像を得るための、撮影位置及び枚数及び上記撮影カメラに関する撮影条件を演算すること
    を特徴とする画像形成システム。
  3. 請求項1又は2に記載の画像形成システムにおいて、
    GPSを含むナビゲーション部をさらに備え、位置情報を表示することを特徴とする画像形成システム。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成システムにおいて、
    上記カメラは、静止画用カメラで形成されており、
    上記撮影条件演算部により演算される撮影条件は、撮影回数、撮影方向又は角度、撮影位置のいずれかひとつ又は複数であり、
    上記撮影条件は、上記オルソ画像作成範囲の面積及び上記撮影可能範囲から設定されたオーバーラップ率から計算されることを特徴とする画像形成システム。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成システムにおいて、
    上記カメラは、動画用カメラで形成されており、
    上記撮影条件演算部により演算される撮影条件は、撮影方向又は角度、移動方向、移動速度、撮影位置のいずれかひとつ又は複数であり、
    上記撮影条件は、上記オルソ画像作成範囲の面積及び上記撮影可能範囲から設定されたオーバーラップ率から計算されることを特徴とする画像形成システム。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成システムにおいて、
    上記撮影条件演算部は、空撮の場合には、撮影高さを含む撮影条件を演算し、一方、地上撮影の場合には、撮影角度及び画角を含む撮影条件を演算することを特徴とする画像形成システム。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成システムにおいて、
    上記撮影情報設定部に設定される撮影カメラ情報は、撮影レンズの画角、撮像面の大きさ、撮影レンズの焦点距離、オルソ画像作成範囲と位置とが関係付けられた撮影位置のいずれかひとつ又は複数であることを特徴とする画像形成システム。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成システムにおいて、
    上記撮影情報設定部には、静止画用カメラ又は動画用カメラの情報、地上撮影又は空撮の情報、必要精度の情報のいずれかひとつ又は複数が設定されることを特徴とする画像形成システム。
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