JP4237363B2 - 赤外分光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は赤外分光装置、特に時系列変換テラヘルツ・パルス分光法を用いた赤外分光装置の試料部の改良に関する。
【0003】
【従来の技術】
物質に赤外線を照射すると、ある波長の光が選択的に吸収を受ける。物質を透過した赤外線の強さを縦軸に、波長を横軸にとって記録すると、赤外線吸収スペクトルが得られる。
この赤外線吸収スペクトルは、人間の指紋と同じように、その物質固有のものであるので、その物質が何であるのかを知るために非常に有効に利用することができる。
【0004】
また、物質を形作っている各部の部分構造に関する赤外線吸収はどの波数領域で起こるかがあらかじめ知られているので、赤外線吸収スペクトルから未知の物質の化学構造を知る上での情報を得ることができる。
また、吸光度と試料の間にはランバート・ベールの法則が適用されるので、濃度既知の標準試料によって作成した検量線を用いて定量分析を行うことができる。
このような赤外領域での各種化学分析に、赤外分光装置が用いられている。
赤外分光装置としては、たとえば、光源からの光を各波数ごとにわける分散子(たとえばプリズム、グレーティング等)を用いる分散型分光計に始まり、光の干渉を用いるフーリエ変換赤外分光装置が開発されてきた。
【0005】
一般に、フーリエ変換分光光度計は干渉計の走査鏡を機械的に動かして作成した干渉光を試料に照射し、その時に発生するインターフェログラムを測定し、さらにフーリエ変換し各波長のスペクトルを得ている。
このようにして得られたスペクトルより物質固有の情報を得ることができる。
ところで、たとえば、金属半導体触媒(特に自動車エンジン用触媒)の開発は、21世紀大気汚染環境問題における最も重要な化学技術・産業対策課題の一つである。その開発においては、エンジン燃焼気体成分の実時間モニタ(計測)技術の開発が切望されている。
【0006】
また、生体細胞間情報伝達、血中ラジカルイオン反応等ミクロ生理基礎機能の動的挙動を生体状態で即時観測し得る計測技術開発として、21世紀生命化学の探求が切望されている。
その最も直接的で解析的有効性の高い手法は赤外領域における実時間分光分析である。
【0007】
しかしながら、前記干渉計を用いた赤外分光装置を用いていたのでは、走査鏡のスキャンに少なくとも2〜3秒近く必要であるため、測定に時間がかかり、時間分解解析の点において不向きであった。
そこで、最近のパルスレーザの発展によりフェムト(10−15)秒レーザ光の発振が可能となり、このフェムト秒レーザ光源を用いてテラ(10−12)ヘルツパルス電磁波の発生が可能になり、新しい原理の分光法であるパルス分光計が開発されつつある。
【0008】
前記テラヘルツ放射は、分光応用にとどまらず、画像化や医療への応用などさまざまな点で非常に注目を集めている。
このテラへルツ放射を用いた光学系としては、例えば米国特許5,789,750等に示すものがある。
【0009】
前記米国特許5,789,750等に代表される、一般的なテラへルツ放射を用いた光学系では、図1に示すように、フェムト秒レーザ10からのフェムト秒レーザ光L1をパルス励起光L11として、ミリ波・赤外放射素子12のガリウム砒素(GaAs)等の基板に照射することによって発生するテラヘルツ放射(パルス電磁波)L2を測定試料14に照射し、その透過ないし反射テラヘルツ放射(パルス電磁波)L3の強度の時系列データをフーリエ逆変換することにより分光スペクトルを得ている。
【0010】
すなわち、パルス励起光L11をミリ波・赤外放射素子12に照射することによって発生するテラヘルツ放射L2は、測定試料14の中を伝播してその光物性情報を獲得した後に検出器16で電気信号に変換される。
この試料透過ないし反射テラヘルツ放射L3の強度は、パルス励起光L11に同期して、光学的遅延部20により遅延されたサンプリング・パルス光L12によって、光学的に極めて短時間でサンプリングされる。
【0011】
すなわち、この透過ないし反射テラヘルツ放射L3の強度の時間変化データは、検出器16に、テラヘルツ放射L3とサンプリング・パルス光L12を同時に照射すると、サンプリング・パルス光L12が照射された瞬間の試料透過ないし反射テラヘルツ放射L3の強度を測定できる。
そこで、テラヘルツ放射L2を発生させるのに用いたフェムト秒レーザ光L1の一部、あるいはそれに同期しているフェムト秒のレーザ光L1をビームスプリッタ18により分割し、一方をパルス励起光L11、他方をサンプリング・パルス光L12として用いる。
【0012】
このサンプリング・パルス光L12が検出器16に到着する時間を、光学的遅延部20により制御しながら測定することにより、試料14の透過ないし反射テラヘルツ放射L3の強度の時間変化データを測定できる。
この時間変化データは、増幅器22、AD変換器24等を介してコンピュータ26に伝送され、逆フーリエ変換で波数空間に変換され、試料14の透過ないし反射分光スペクトルとして得られる。これをコンピュータ26はディスプレイ28等に出力する。
【0013】
また、前記ミリ波・赤外放射素子12には、図2に示すように、ガリウム砒素(GaAs)の薄膜等よりなる基板30、該基板30に形成され、バイアス電圧印加のダイポールアンテナ構造の光伝導スイッチ素子31が用いられる。
そして、テラヘルツ放射L2の発生には、このようなミリ波・赤外放射素子12に、パルス励起光L11を照射し、電子・正孔の自由キャリアを誘起させ、超高速電流変調することによって、そのテラヘルツ放射L2を得ている。
【0014】
すなわち、バイアス電流印加のミリ波・赤外放射素子12に、パルス励起光L1が照射されると、電場が揺り動かされる。電場が揺り動かされると、カレント(電流)が揺り動かされることにより、ミリ波・赤外放射素子12に照射されたパルス励起光L11の時間幅Δtにより規定される波数範囲に渡り、連続スペクトル分布を持ったテラヘルツ放射L2が得られる。
【0015】
つぎに、図3には、一般的な検出器16の概略構成が示されている。
同図に示す検出器16は、例えばガリウム砒素(GaAs)等の薄膜等よりなる基板32、該基板32に形成されたダイポールアンテナ構造の光伝導スイッチ素子33等を含む。
このような検出器16に、テラヘルツ放射L3とサンプリング・パルス光L12を同時に照射すると、サンプリング・パルス光L12が照射された瞬間のテラヘルツ放射L3の強度を測定できる。
【0016】
このサンプリング・パルス光L12が検出器16に到着する時間を制御しながら測定することにより、試料透過ないし反射テラヘルツ放射L3の強度の各時間分解データを測定できる。
したがって、このようなパルス分光計を用いることにより、高速時間分解スペクトル分析できる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、赤外分光装置で測定したい試料の種類、状態(固体、液体、気体等)、大きさ(量)などが増えており、また、測定モードについても、透過や反射等、様々なものがあり、多くの試料や測定モードをカバーしようとすると、試料やその測定モードに応じて異なる光学系が必要となる。
たとえば、試料がセル内の液体や気体である場合には、測定光としては、平行光を用い、また、試料が固体、半ゼリー状等や、試料の大きさ(量)が微小(量)の場合には、収束光を用いる必要がある。
【0018】
しかしなから、従来のパルス分光計では、一台の装置で、種々の試料やその測定モードをカバーできる装置が得られていなかった。
このため、多くの試料やその測定モードをカバーしようとすると、従来は、試料やその測定モードに応じて、使用者が光学系を交換しながら測定を行う必要があった。
しかしながら、光学系の光学的最適調整状態を保持するため、あるいは装置構成の簡易化を図る面からも、光学系の交換は、できる限り避ける必要がある。
【0019】
したがって、高速時間分解スペクトル分析に優れたパルス分光計に関しても、応用範囲の広い技術の開発が強く望まれていたものの、これを解決するための適切な技術がいまだ存在しなかった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、超高速時間分解スペクトル分析が可能で、汎用性にも優れた赤外分光装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明にかかる赤外分光装置は、励起源と、ミリ波・赤外放射素子と、検出手段と、信号処理手段と、遅延手段と、を備えた赤外分光装置において、前記ミリ波・赤外放射素子からのパルス電磁波の伝播路中に、測定試料を設置するための試料部を直列ないし並列に複数設ける。
【0021】
そして、前記試料部に前記ミリ波・赤外放射素子からのパルス電磁波を各試料部に対応する平行光又は収束光を照射し、該試料部からのパルス電磁波を集光できるように、前記各試料部の前後に、各対応試料部照射光学系を設けることを特徴とする。
ここで、前記励起源は、所定の時間幅のパルス励起光を所定の繰り返し周波数で発生する。
【0022】
また、前記ミリ波・赤外放射素子は、前記励起源からのパルス励起光が照射されると、光と物質の電磁気学的電場・電気双極子間相互作用により、ミリ波から赤外域における所定の波数領域に渡り、連続スペクトル分布を持ったパルス電磁波を発生し、測定試料に照射する。
前記検出手段は、前記測定試料からの各時間分解データを得る。
前記信号処理手段は、前記検出手段の各時間分解データより時系列データを得、該時系列データをフーリエ逆変換の数理的演算処理することによって、分光スペクトルデータを得る。
【0023】
前記遅延手段は、前記パルス励起光が前記ミリ波・赤外放射素子に1回入射するごとに、前記検出手段からの所定の時間分解データの取り込みを指示するサンプリングパルスを、該パルス励起光に対し所定の時間間隔づつ遅延させて前記検出手段に供給する。
なお、前記赤外分光装置において、前記複数の試料部を並列に配置する場合には、導光手段と、検出手段と、を設けることが好適である。
【0024】
ここで、前記導光手段は、前記ミリ波・赤外放射素子と前記試料部との間の、前記パルス電磁波の伝播路中に、該ミリ波・赤外放射素子からのパルス電磁波を、該各試料部に同時に、あるいは選択的に導光可能とする。
また、前記検出手段は、前記各試料部からの試料透過ないし反射波を受光可能な各対応検出手段である。
【0025】
また、前記赤外分光装置において、前記試料部は、平行光照射試料部と、収束光照射試料部と、を含む。
そして、前記平行光照射試料部側の試料部照射光学系は、前記ミリ波・赤外放射素子からのパルス電磁波を平行光として該平行光照射試料部に照射し、該平行光照射試料部からのパルス電磁波を集光可能である。
【0026】
また、前記収束光照射試料部側の試料部照射光学系は、前記パルス電磁波を収束光として該収束光照射試料部に照射し、該収束光照射試料部からのパルス電磁波を集光可能であることも好適である。
また、前記赤外分光装置において、前記試料部照射光学系は、対向配置する各鏡面の向きを工夫するのみで平行光か、又は収束光を容易に得られる複数の放物面鏡であることも好適である。
【0027】
すなわち、前記赤外分光装置において、前記平行光照射試料部側の試料部照射光学系は、前記平行光照射試料部の前段に設けられた放物面鏡と、該平行光照射試料部の後段に設けられた放物面鏡と、を含む。
そして、前記平行光照射試料部前段の放物面鏡は、前記パルス電磁波を平行光として該平行光照射試料部に照射し、該平行光照射試料部後段の放物面鏡は、該平行光照射試料部からのパルス電磁波を集光することができるように、該平行光照射試料部を間に挟んで、該各放物面鏡の鏡面が対向配置される。
【0028】
また、前記収束光照射試料部側の試料部照射光学系は、前記収束光照射試料部の前段に設けられた放物面鏡と、該収束光照射試料部の後段に設けられ放物面鏡と、を含む。
そして、前記収束光照射試料部前段の放物面鏡は、前記パルス電磁波を収束光として該収束光照射試料部に照射し、該収束光照射試料部後段の放物面鏡は、該収束光照射試料部からのパルス電磁波を集光することができるように、該収束光照射試料部を間に挟んで、該各放物面鏡の鏡面が対向配置されることも好適である。
【0029】
また、前記赤外分光装置において、前記遅延手段は、分割手段と、遅延ステージと、移動手段と、制御手段と、を備えることも好適である。
ここで、前記分割手段は、前記励起源からのパルスを、前記パルス励起光と、前記検出手段に対し時間分解データの取り込みを指示するサンプリングパルスに分割する。
【0030】
また、前記遅延ステージは、前記分割手段で得たサンプリングパルスを受光し、前記パルス励起光が前記ミリ波・赤外放射素子に1回入射するごとに、該サンプリングパルスに該パルス励起光に対する遅延時間差を所定の時間間隔づつ変化させるための反射器を含む。
前記移動手段は、前記遅延ステージを移動する。
【0031】
前記制御手段は、前記パルス励起光が前記ミリ波・赤外放射素子に1回入射するごとに、前記パルス励起光に対するサンプリングパルスの遅延時間差が所定の時間間隔づつ変化するように、前記遅延ステージの走査速度を制御する。
また、前記赤外分光装置において、前記遅延手段は、時間原点調整用の遅延手段と、試料測定用の遅延手段と、を含む。
【0032】
そして、前記制御手段は、前記時間原点調整用遅延手段の動作を、指示した遅延時間差と実際の遅延時間差との偏差を補正可能となるように制御したうえで、前記試料測定用遅延手段の動作を制御することも好適である。
また、前記赤外分光装置において、前記励起源は、フェムト秒レーザ、あるいは電子ビーム型発振器であることも好適である。
本発明の電子ビーム型発振器としては、たとえば軌道放射光源(SOR)、光蓄積リング放射光(PhSR)等を用いることができる。
【0033】
また、前記赤外分光装置において、前記ミリ波・赤外放射素子で、前記ミリ波から赤外域における所定の波数範囲に渡り、連続スペクトル分布を持ったパルス電磁波が得られるように、前記励起源から発生するパルス励起光の時間幅を、6フェムト秒以上、170フェムト秒以下に設定する設定手段を備えることも好適である。
また、前記赤外分光装置において、前記ミリ波・赤外放射素子から発生するパルス電磁波の繰り返し周波数を下げる周波数調節手段を設けることも好適である。
【0034】
また、前記赤外分光装置において、前記周波数調節手段は、前記励起源と前記ミリ波・赤外放射素子の間の、前記パルス励起光の伝播路中に設けられ、該パルス励起光の繰り返し周波数を下げることも好適である。
さらに、前記赤外分光装置において、前記周波数調節手段は、変調器、あるいはレーザ等の再生増幅器であることも好適である。
【0035】
本発明の変調器としては、例えば音響光学的光変調器(AOM)、電気光学変調器(EOM)等が一例として挙げられる。
ここで、前記音響光学的光変調器(AOM)は、印加する超音波の強度を変えて、回折された光の強度を変調するものであり、これを前記パルス励起光の伝播路中に設けることにより、該パルス励起光の繰り返し周波数を下げることができる。
【0036】
また、前記電気光学変調器(EOM)はカーセル、その他の信号制御電気光学装置を用いて、偏光ビームの振幅、位相、周波数、方向などを変える光変調器の一種である。これを前記パルス励起光の伝播路中に設けることにより、該パルス励起光の繰り返し周波数を下げることができる。
このようにしてミリ波・赤外放射素子に照射されるパルス励起光の繰り返し周波数を下げることにより、該ミリ波・赤外放射素子から放射されるパルス電磁波の繰り返し周波数を下げることが可能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施形態を説明する。
なお、前記従来技術と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
図4には、本発明の一実施形態にかかる赤外分光装置の概略構成が示されている。
【0038】
同図に示す赤外分光装置は、複数の試料部134、136と、試料部照射光学系138a〜138cと、複数の光学的遅延手段140、142と、周波数調節手段160を含む。
【0039】
複数の試料部
まず、本発明の特徴事項は、一台の装置に試料部を直列ないし並列に複数設け、テラヘルツミリ波・赤外放射素子からのテラヘルツ放射(パルス電磁波)を、試料に応じて異なる形状で照射できるように、各試料部の前後に、各対応試料部照射光学系を設けたことである。
このために、本実施形態では、前記試料部照射光学系は、対向配置する鏡面の向きを工夫するのみで平行光か、又は収束光を容易に得られる複数の放物面鏡138a〜138cを含む。
【0040】
そして、各試料部134、136の前後で、各放物面鏡138a〜138cの鏡面の向きを同図に示すように試料部を間に挟んで配置することにより、平行光照射試料部134と、収束光照射試料部136を構成している。
すなわち、本実施形態では、ミリ波・赤外放射素子112からのテラヘルツ放射(パルス電磁波)L2は、平行光照射試料部134に、放物面鏡138aにより平行光L2aとして照射される。
【0041】
この平行光試料照射部134からのテラヘルツ放射L3aは、放物面鏡138bにより、集光された後、収束光L2bとして収束光照射試料部136に照射される。
この収束光照射試料部136からのテラヘルツ放射L3bは、放物面鏡138cに集光され、検出器116に導光される。
したがって、使用者は、測定試料に応じて平行光照射試料部134を用いるか、又は収束光照射試料部136を用いるかを選択可能である。
【0042】
すなわち、本実施形態では、例えばガス試料143等を測定する場合には、該ガス試料143等を入れたガス試料セルを、平行光照射試料部134に設置する。
これに対し、固体試料145等を測定する場合には、該固体試料145等を収束光照射試料部136に設置する。
【0043】
複数の光学的遅延手段
また、本発明の特徴事項は、光学的遅延手段として、試料測定用の光学的遅延手段140に加えて、時間原点調整用の光学的遅延手段142を設けたことでもある。
このために、本実施形態では、試料測定用の反射器144を含む遅延ステージ146と、ステッピングモータ等の駆動源148と、駆動回路150に加えて、時間原点調整用の反射器152を含む遅延ステージ154と、ステッピングモータ等の駆動源156と、駆動回路158を設けている。
【0044】
なお、これらの光学的遅延手段140、142の動作は、コンピュータ126等の制御手段により制御している。
周波数調節手段
試料の状態の時間変化を測定するためには、テラヘルツ放射L2を試料に照射することにより励起し、その時点からの時間変化を測定する。
この試料が励起される時間と試料をテラヘルツ放射L2が透過する時間の時間間隔を変えながら、試料の透過ないし反射テラヘルツ放射L3を分光することにより、時間分解分光計測を行うことができる。
【0045】
しかしながら、パルス励起光L11の繰り返し周波数が、例えば約50MHzであると、テラヘルツ放射L2は、20ns毎に試料に照射されることとなる。試料がテラヘルツ放射L2で基底状態から励起された後の緩和現象を測定する場合には、励起状態が20nsよりも長い現象では、テラヘルツ放射L2で励起するときに試料が基底状態ではないという問題が生じる。
このため、励起状態の寿命が比較的長い試料を測定する場合には、テラヘルツ放射L2の繰り返し時間を、その試料の緩和時間に合わせて調整する必要のある場合がある。
【0046】
そこで、本発明の特徴事項は、テラヘルツ放射L2の繰り返し周波数を下げるための周波数調節手段を設けたことでもある。
このために、本実施形態では、たとえばフェムト秒レーザとミリ波・赤外放射素子の間の、パルス励起光L11の伝播路中に、周波数調節手段160として、音響光学的光変調器(AOM)等を設けている。
【0047】
このAOMは、印加する超音波の強度を変えて、回折された光の強度を変調するものであり、これをパルス励起光L11の伝播路中に設けることにより、該パルス励起光L11の繰り返し周波数を下げることができる。
このようにミリ波・赤外放射素子112に照射されるパルス励起光L11の繰り返し周波数を下げることにより、該ミリ波・赤外放射素子112より放射されるテラヘルツ放射L2の繰り返し周波数を下げることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、テラヘルツ放射L2が、赤外域の所望の波数範囲0〜5556cm−1に渡り、連続スペクトル分布を持つように、例えばパルス励起光L11の時間幅と、繰り返し周波数等を設定するため、コンピュータ126等よりなる時間幅設定手段や、繰り返し周波数設定手段を設けている。
本実施形態では、コンピュータ126によりパルス励起光L11の時間幅を例えば6フェムト秒等に設定し、繰り返し周波数を例えば50MHz、あるいは20MHz等に設定している。
【0049】
本実施形態にかかる赤外分光装置は、概略以上のように構成され、以下にその作用について説明する。
すなわち、フェムト秒という超短のパルス励起光L11をテラヘルツミリ波・赤外放射素子112に照射すると、該ミリ波・赤外放射素子112では、光と物質の電磁気学的電場・電気双極子間相互作用により、狭い時間幅t秒の白色パルス光が得られる。これが前記テラヘルツ放射(電磁波パルス)L2である。
【0050】
物理学の不確定性原理に基づいて、この狭い時間幅t秒の白色パルス光A(Δt)の逆フーリエ変換出力I(σ);
【数1】
は、例えば波数範囲0〜5556cm−1に渡り、連続スペクトル分布を出力する。
【0051】
したがって、白色パルス光の伝播光路に試料物質を挿入して、その透過、もしくは反射したパルス強度の各時間分解データから時系列データを得る。そして、時系列データをフーリエ逆変換すると、試料の赤外透過ないし反射分光スペクトルが得られる。
より具体的には、まず、測定試料を赤外分光装置の試料室にセットする。
【0052】
ここで、通常は、多くの試料や測定モードをカバーしようとすると、試料やその測定モードに応じて異なる光学系が必要となる。
このため、通常は、試料やその測定モードに応じて、使用者が光学系を交換しながら測定を行う必要があった。
【0053】
しかしながら、光学系の光学的最適調整状態を保持するため、あるいは装置構成の簡易化を図る面からも、前記光学系の交換はできる限り避ける必要がある。そこで、本発明では、一台の装置に、あらかじめ試料を設置するための試料部を直列ないし並列に複数設け、テラヘルツミリ波・赤外放射素子からのテラヘルツ放射を各試料に応じて異なる形状で照射できるように、各試料部の前後に各対応試料部照射光学系を設けている。
【0054】
このために、本実施形態では、複数の放物面鏡138a〜138cを同図に示すように各鏡面の向きを工夫して配置することにより、各試料に応じてミリ波・赤外放射素子12からのテラヘルツ放射L2を平行光L2a、あるいは収束光L2bとして照射可能としている。
より具体的には、一台の装置に、あらかじめガス試料セル内のガス試料143等に平行光L2aを照射するための平行光照射試料部134と、固体試料145等に収束光L2bを照射するために収束光照射試料部136を設け、試料に応じてどちらかの試料部を選択的に用いることにより、試料やその測定モードに応じて異なる光学系を交換する手間を省いているのである。
【0055】
これにより、光学的最適調整状態を、長時間保持できるので、測定を常に適正に行うことができる。また、装置構成の簡易化を図ることもできる。
しかも、試料部照射光学系として、複数の放物面鏡138a〜138cを用いることにより、対向する各鏡面の向きを工夫するのみで、平行光か、又は収束光を容易に得られる。
【0056】
つぎに、前記試料143(145)のいずれかをセットした後、コンピュータ126を介して、パルス励起光L11の時間幅や、繰り返し周波数、サンプリング・パルス光L12の遅延時間等を指示する。
そして、コンピュータ126からの指示に基づき測定を開始する。
ここで、通常は、試料の赤外線吸収の測定に、干渉計を用いた赤外分光装置を用いるが、前記干渉計を用いた赤外分光装置では、走査鏡のスキャンに少なくとも2〜3秒近く必要であるため、測定に時間がかかる。
【0057】
そこで、本実施形態では、前記赤外線吸収の測定に、従来の干渉計を用いたものに代えて、高速時間分解測光可能なパルス分光システムを応用しているのである。
すなわち、本実施形態では、パルス励起光L11をテラヘルツミリ波・赤外放射素子112に照射することによって発生するテラヘルツ放射L2を測定試料143(145)に照射して、その透過または反射テラヘルツ放射L3の時系列検出信号を得、時系列検出信号をフーリエ逆変換することにより、分光スペクトルデータを得ている。
【0058】
ここで、テラヘルツ放射L2の発生には、シリコンレンズ/TL−GaAs基板ボウタイアンテナ構造の光スイッチ素子に、図5(a)に示されるようなフェムト秒のパルス励起光L11の照射で、電子・正孔の自由キャリアーを誘起させ超高速電流変調することによって、同図(b)に示されるようなテラヘルツ放射L2を得ている。
【0059】
このテラヘルツ放射L2は、試料143(145)中を伝播してその光物性情報を獲得した後に、検出器116、162で電気信号に変換される。
その試料透過(反射)テラヘルツ放射L3の強度Er(t)(同図(c)参照)の検出は、ミリ波・赤外放射素子112と同様の光伝導スイッチ素子を含む検出器を116を用いて、サンプリング・パルス光L12により光伝導ギャップに励起されたキャリア(数:N(t))の流れ(電流)として検出される。
【0060】
その電流密度I(t)は、Er(t)と励起キャリア数N(t)とのコンボリューション、すなわち、
【数2】
となる。
【0061】
ここで、前記τはサンプリング・パルス光L12の遅延時間差であり、該遅延時間差τを、コンピュータ126、光学的遅延手段140、142等により走査することによって試料透過(反射)光強度の時間依存性Er(t)を電流強度の時間軸信号I(τ)として検出する。
また、本実施形態では、電流強度の時間軸信号I(τ)は、非線形結晶(TeO2)を用いたEO素子162によっても検出される。
【0062】
すなわち、EO素子162による検出が、上記の光スイッチ素子等の検出器116による検出と比較して、高速で高感度検出が期待されることから、むしろEO素子162による検出が好ましいからである。
このために、本実施形態では、試料の透過ないし反射テラヘルツ放射L3の検出には、検出器116及びEO素子162の両者並列の検出手法を用いることにより、高精度測定を可能にしている。
【0063】
そして、試料の透過テラヘルツ放射L3の強度は、パルス励起光L11に同期して、所定の時間Δτづつ遅延されたサンプリング・パルス光L12(同図(d)参照)によって、光学的に極めて短時間隔でサンプリングされる。
このサンプリング幅Δt(sec)は、測定に望まれる(要求される)測光スペクトルの波数分解能Δσ(cm−1)に対してΔt=1/2πΔσで定められる。
【0064】
この検出されたパルス光強度信号(同図(e)参照)は、コンピュータ126に伝送され、逆フーリエ変換処理で波数空間に変換されることにより、同図(f)に示されるような分光スペクトルとして出力される。
ここで、前記遅延手段としては、通常、試料測定用の遅延手段140のみが設けられるが、この場合には、コンピュータ126により指示したサンプリング・パルス光L12の遅延時間差に誤差が生じると、試料測定用の遅延手段140の制御だけでは、誤差を補正できないおそれがある。
【0065】
そこで、本実施形態では、試料測定用の遅延手段140に加えて、時間原点調整用の遅延手段142を設け、該時間原点用遅延手段142の制御により誤差を容易に校正できるようにしている。
たとえば、コンピュータ126により指示したサンプリング・パルス光L12の遅延時間差に、誤差がある場合には、該誤差を相殺できる位置に、時間原点用遅延ステージ154の反射器152を位置させた状態で、試料測定用ステージ140の反射器144を走査することにより、遅延時間差を、より適正に設けることができる。
【0066】
これにより、コンピュータ126により指示した時間通りにデータのサンプリングを行うことができるので、同図(f)に示す試料透過吸収スペクトルは、そのような工夫のないものに比較し、非常に信頼性の高いものとなる。
以上のように本実施形態にかかる赤外分光装置によれば、一台の装置に、あらかじめ平行光照射試料部134と収束光照射部136とを直列に設け、テラヘルツミリ波・赤外放射素子112からのテラヘルツ放射L2を、各試料に応じて異なる形状で照射できるように、各試料部134、136の前後に、各対応放物面鏡138a〜138cを設けることとしたので、一台の装置で、種々の試料や測定モードをカバーできるので、汎用性が向上される。
【0067】
ここで、試料部照射光学系として、複数の放物面鏡138a〜138cを用いることにより、各鏡面の向きを工夫するのみで平行光か、あるいは収束光を容易に得られる。
また、本実施形態では、遅延手段として、試料測定用の遅延手段140に加えて、時間原点調整用の遅延手段142を設けることにより、遅延時間差の誤差を容易に、及び確実に校正可能である。
【0068】
さらに、本実施形態では、テラヘルツ放射L2の繰り返し周波数を下げるための周波数調節手段として、例えばテラヘルツミリ波・赤外放射素子112に照射されるパルス励起光L11の繰り返し周波数を下げるAOM等を設けることにより、該テラヘルツ放射L2の繰り返し時間を、測定試料の緩和時間に合わせて調整することができる。
これにより、励起状態の寿命が短いものから長いものまで、さまざまな試料の測定を適正に行うことができる。
【0069】
しかも、本実施形態にかかる赤外分光装置によれば、試料の赤外線吸収の測定に、従来の干渉計等を用いたものに代えて、テラヘルツパルス分光法を応用することとしたので、以下の効果を奏する。
(1)実時間(超高速時間分解)スペクトル分析が可能である。
(2)サブミリ波から中赤外(波長1cm〜3μm)に渡る広帯域分散のスペクトルが同時に測定できる。
(3)スペクトルの振幅と位相が同時に独立に得られる。したがって、誘導率(屈折率)の実部と虚部が独立に決定できる。
【0070】
(4)非破壊測定である。従来のラマン散乱分光やフェムト秒レーザ分光法と異なり直接強い光を試料に照射しないため、生体物質や熱に弱い化学生成物などのソフトなサンプルの分析に適する。
(5)従来の赤外分光装置のように、干渉計等の可動部がないため、コストが非常に安い。
なお、本発明の赤外分光装置は、前記各構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0071】
パルス選択システム、光路選択システム
本実施形態では、ミリ波・赤外放射素子112で、より高輝度のテラヘルツ放射L2を得るためには、よりハイパワーのレーザ光L1等のパルス励起光L11を照射する必要がある。
しかしながら、あまりハイパワーのレーザ光L1を、検出器116、162に対しサンプリング・パルス光L12として照射すると、これらの検出器を破損してしまう場合がある。
【0072】
そこで、本実施形態では、まず、パルス選択システム166を設け、該パルス選択システム166により、高輝度電磁波が得られる比較的ハイパワーの780nmのレーザ光と、検出器116,162を破損しない程度の比較的ローパワーの1550nmのレーザ光を選択可能にしている。
また、本実施形態では、パルス選択システム166の上段に、光路選択システム168を設けている。
【0073】
そして、これらのパルス選択システム166と光路選択システム168により、例えば1550nmのレーザ光をミリ波・赤外放射素子112と検出器116,162に導光することができる。
また、より高輝度の電磁波を得るために780nmのレーザ光をパルス励起光L11としてミリ波・赤外放射素子112に導光し、1550nmのレーザ光をサンプリング・パルス光L12として検出器116,162に導光することにより、高輝度のパルス電磁波が得られると共に、検出器の破損等を確実に防止することができる。
【0074】
光チョッパ
本実施形態では、光路選択システム168とミリ波・赤外放射素子112との間に、光チョッパ170を設け、該光チョッパ170により、レーザ光L1を所定の時間間隔で断続光、すなわちパルス励起光L11としている。
【0075】
励起光遅延ステージ
また、本実施形態では、パルス励起光L11とサンプリング・パルス光L12の光路のどちらが長くなるかわからない場合であっても、該パルス励起光L11とサンプリング・パルス光L12との間に、適正に光路差を設け、該光路差による所定の遅延遅延時間差を設けられるように、励起光遅延ステージ172を設けてもよい。
【0076】
周波数調節手段の変形例
前記構成では、テラヘルツ放射L2の繰り返し周波数を下げるための周波数調節手段160として、音響光学的光変調器(AOM)を設けた例について説明したが、これに代えて、電気光学変調器(EOM)等の変調器、あるいはレーザの再生増幅システム等を用いてもよい。
【0077】
この電気光学変調器(EOM)は、カーセル、その他の信号制御電気光学装置を用いて、偏光ビームの振幅、位相、周波数、方向などを変える光変調器の一種である。これをパルス励起光L11の伝播路中に設けることにより、該パルス励起光L11の繰り返し周波数を下げることができる。
このような電気光学変調器(EOM)等の変調器、あるいはレーザの再生増幅システム等によっても、ミリ波・赤外放射素子112に照射されるパルス励起光L11の繰り返し周波数を下げることができる。これにより、テラヘルツ放射L2の繰り返し周波数を下げることができる。
【0078】
励起源の変形例
励起源は、フェムト秒レーザ110に限定されるものではなく、テラヘルツミリ波・赤外放射素子112で、ミリ波から赤外領域における所望の波数範囲に渡り、連続スペクトル分布を持ったテラヘルツ放射L2を励起可能な刺激であれば、任意のものを用いることができる。
例えば光蓄積リング(PhSR)や軌道放射光リング(SOR)等の電子ビーム型発振器等を設けてもよい。
【0079】
そして、このPhSRやSORからの超短のパルス放射光をテラヘルツミリ波・赤外放射素子112に印加することにより、テラヘルツ放射L2を励起することも大変有効である。
また、光ではなく、エネルギであってもよい。
【0080】
測定波数範囲の変形例
前記構成では、パルス励起光L11の時間幅Δtを、6フェムト秒に設定し、赤外域の波数範囲0〜5556cm−1でのテラヘルツ放射L2を得た例について説明したが、前記コンピュータ126による設定時等で、パルス励起光L11等のパルス励起光の時間幅Δtを考慮することにより、他の測定波数域を設定可能である。
【0081】
すなわち、図6(a)に示されるような時間幅Δtのパルス励起光L11をミリ波・赤外放射素子112に照射すると、光と物質の電磁気学的電場・電気双極子間相互作用により、該ミリ波・赤外放射素子121より、図6(b)に示されるような、テラヘルツ放射L2の時系列検出信号が得られる。
ここで、前記図6(b)に示すようなテラヘルツ放射L2の時系列検出信号は、図6(c)に示されるような波数範囲0〜σmaxで全波数を含んでいる。
そして、該テラヘルツ放射L2の最大波数σmaxは、(1/パルス励起光の時間幅Δt)と比例の関係にある。
【0082】
したがって、コンピュータ等126によりパルス励起光光L11の時間幅Δtを、たとえば170フェムト秒の間に設定すれば、波数範囲0〜196cm−1に渡り、連続スペクトル分布を持ったテラヘルツ放射L2を得ることができる。また、前記時間幅Δtを考慮すれば、前記赤外領域以外の所望の測定波数領域が設定可能となる。
【0083】
データのサンプリングの変形例
前記構成では、0〜σmaxに規定される全波数についてサンプリングした例について説明したが、これに限られるものではなく、1又は2以上の特定の波数だけでもよい。
【0084】
XYZステージの付加
前記テラヘルツミリ波・赤外放射素子112と検出器116等を、XYZステージ(図示省略)の上に設けてもよい。
そして、コンピュータ126は、インターフェース(図示省略)を介してステージコントローラ(図示省略)を制御し、ステージコントローラは、各測定モード、各試料に応じて、これらのステージの位置制御を行い、光軸を良好に調整可能にしてもよい。
【0085】
測定試料
試料例としては、たとえば生体細胞、排気ガス、化学反応物質、セラミックス、半導体誘電体等の種々のものが一例として挙げられる。
また、固体、液体、気体等の試料の形態も問わない。
【0086】
用途
本発明の赤外分光装置の用途としては、たとえば以下のものが一例として挙げられる。
(1)生体物質等における生化学反応中間生成物過渡現象の超高速時間分解分光分析
(2)内燃機関排気ガス処理(無公害化)触媒開発における化学吸着種物性量の分光分析
(3)超高速通信、移動体通信などTHz領域における通信素子(発振器、検出器等)の開発
【0087】
(4)生体物質や金属・半導体表面吸着種の物理化学量の実時間マッピング赤外分光解析
(5)セラミックス自動車エンジン等機能材料設計に不可欠な格子振動の決定
(6)半導体ナノ構造や微小共振器等、新しい光エレクトロニクス材料素子の分光分析
(7)次期半導体リソグラフ技術に不可欠な小型軌道放射光光源による赤外分光分析
【0088】
性能仕様
本発明の赤外分光装置の性能仕様としては、たとえば以下のものが一例として挙げられる。
【0090】
経済的な効果
本発明の赤外分光装置の経済的効果としては、たとえば以下のものが一例として挙げられる。
金属半導体触媒(特に、自動車エンジン用触媒)の開発は、21世紀大気汚染環境問題における最も重要な化学技術・産業対策課題の一つである。
【0091】
その開発においては、エンジン燃焼気体成分の実時間モニタ(計測)技術の開発が切望されている。その最も直接的で解析的有効性の高い手法は赤外領域における実時間分光分析である。したがって、時系列変換テラヘルツ・パルス分光計測システムの開発は、大気環境問題に対する最も基礎的な化学技術の進展として重要な貢献を果たす。
【0092】
また、生体細胞間情報伝達、血中ラジカルイオン反応等ミクロ生理基礎機能の動的挙動を生体状態で即時観測し得る計測技術開発として、21世紀生命化学の探求に少なからず重要な貢献を果たす。
【0093】
試料部の変形例
前記構成では、試料にテラヘルツ放射L2を、平行光L2aとして照射可能な平行光照射試料部134と、収束光L2bとして照射可能な収束光照射試料部136を、直列に設けた例について説明したが、これに限られるものではなく、図7に示すような、並列配置でもよい。
【0094】
この場合には、例えば並列に配置の試料部234,236の前段に、ビームスプリッタ等の分割手段274を設け、該分割手段274によりミリ波・赤外放射素子212からのテラヘルツ放射L2を二分割し、一方を平行光照射試料部234へ、他方を収束光試料部236へ導光する。
そして、平行光照射試料部234からの電磁波L31を平行光用の検出器216aへ導光し、収束光照射試料部236からの電磁波L32を収束光用の検出器216bへ導光することにより、多試料の同時測定を容易に行うことができる。
【0095】
なお、前記ビームスプリッタ274に代えて、反射鏡を設け、該反射鏡によりミリ波・赤外放射素子212からのテラヘルツ放射L2を平行光照射試料部234へ導光するか、又は収束光試料部236へ導光するかを選択してもよい。
また、前記構成では、試料の透過光を測定した例について説明したが、これに限られるものではなく、反射光を得るものでもよい。
さらに、前記構成では、試料部照射光学系として、複数の放物面鏡を用いた例について説明したが、これに限られるものではなく、たとえばレンズ等でもよい。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる赤外分光装置によれば、SN比の向上と同時に測定波数領域の拡大を引き出すことができ、また超高速時間分解測光が可能なテラヘルツパルス分光法を応用し、かつ一台の装置に試料部を直列ないし並列に複数設ける。そして、ミリ波・赤外放射素子からのパルス電磁波を、各試料に応じて異なる形状で照射できるように、各試料部の前後に、各対応試料部を配置することとした。
この結果、本発明においては、1台の装置で光学系の調整なしにテラヘルツ域での多試料測定を容易に行うことができるので、汎用性が向上される。
しかも、本発明においては、テラヘルツパルス分光法を用いることにより、繰り返し時間が極めて早いため、大気中の水蒸気などの影響をほとんど受けることなく測定でき、大がかりな真空用筐体や真空排気装置も不要であるのみならず、超高速時間分解測光が可能である。
また、本発明においては、屈折率の振幅と位相を独立に同時に得られる。また、広いスペクトル領域を1台の分光計で光学系を調整することなく測定可能である。 さらに、本発明においては、従来の赤外分光装置に比較し、走査鏡等の可動部がないため、コストが非常に安いものとなる。
また、本発明にかかる赤外分光装置では、試料部照射光学系として、複数の放物面鏡を用いることにより、その各鏡面の向きを工夫するのみで平行光か、あるいは収束光を容易に得られる。
また、本発明にかかる赤外分光装置では、遅延手段として、試料測定用の光学的遅延手段に加えて時間原点調整用の光学的遅延手段を設けることにより、遅延時間差の誤差を容易に校正可能である。
さらに、本発明にかかる赤外分光装置では、周波数調節手段として、例えば音響光学的光変調器、電気光学変調器等の変調器、あるいは再生増幅器等を設け、ミリ波・赤外放射素子に照射されるパルス励起光の繰り返し周波数を下げることにより、該ミリ波・赤外放射素子より放射されるパルス電磁波の繰り返し周波数を下げることができる。
したがって、前記パルス電磁波の繰り返し時間を、測定試料の緩和時間に合わせて調整することができる。これにより、励起状態の寿命が短いものから長いものまで、さまざまな試料の測定を適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なパルス分光計の概略構成の説明図である。
【図2】図1に示したパルス分光計のミリ波・赤外放射素子の説明図である。
【図3】図1に示したパルス分光計の検出器の説明図である。
【図4】本発明の第一実施形態にかかる赤外分光装置の概略構成の説明図である。
【図5】 図4に示した赤外分光装置の信号処理の流れの説明図である。
【図6】パルス励起光とテラヘルツ放射の持つ最大波数の関係の説明図である。
【図7】図4に示した各試料部の並列配置の例である。
【符号の説明】
110…フェムト秒レーザ(励起源)
112…ミリ波・赤外放射素子
126…コンピュータ(信号処理手段、時間幅設定手段等)
116、162…検出器(検出手段)
140…試料測定用の光学的遅延手段(遅延手段)
142…時間原点用の光学的遅延手段(遅延手段)
134,234…平行光照射試料部
136,236…収束光照射試料部
138a〜138c…放物面鏡(試料部照射光学系)
L11…パルス励起光
L2…テラヘルツ放射(パルス電磁波)
L3…試料透過ないし反射テラヘルツ放射(試料透過ないし反射パルス電磁波)
L12…サンプリング・パルス光(サンプリングパルス)
Claims (8)
- 所定の時間幅のパルス励起光を所定の繰り返し周波数で発生する励起源と、
前記励起源からのパルス励起光が照射されると、光と物質の電磁気学的電場・電気双極子間の相互作用により、ミリ波から赤外域における所定の波数範囲に渡り、連続スペクトル分布を持ったパルス電磁波を放射し、測定試料に照射するミリ波・赤外放射素子と、
前記測定試料の透過ないし反射波強度の各時間分解データを得る検出手段と、
前記検出手段の各時間分解データから時系列データを得、該時系列データをフーリエ逆変換処理することによって、分光スペクトルデータを得る信号処理手段と、
前記パルス励起光が前記ミリ波・赤外放射素子に1回入射するごとに、前記検出手段からの所定の時間分解データの取り込みを指示するためのサンプリングパルスを、該パルス励起光に対し所定の時間間隔づつ遅延させて前記検出手段に供給する遅延手段と、
を備えた赤外分光装置において、
前記ミリ波・赤外放射素子からのパルス電磁波の伝播路中に前記測定試料を設置するための試料部を直列ないし並列に複数設け、
前記試料部は、平行光照射試料部と、収束光照射試料部と、を含み、
前記試料部に前記ミリ波・赤外放射素子からのパルス電磁波を各試料部に対応する平行光又は収束光を照射し、該試料部からのパルス電磁波を集光することができるように、該各試料部の前後に各対応試料部照射光学系を設け、
前記各対応試料部照射光学系は、平行光照射試料部側と、収束光照射試料部側と、に設け、
前記平行光照射試料部側の試料部照射光学系は、前記パルス電磁波を平行光として該平行光照射試料部に照射し、該平行光照射試料部からのパルス電磁波を集光可能であり、
前記収束光照射試料部側の試料部照射光学系は、前記パルス電磁波を収束光として該収束光照射試料部に照射し、該収束光照射試料部からのパルス電磁波を集光可能であり、
前記測定試料に応じて前記複数の試料部のいずれかを選択可能なことを特徴とする赤外分光装置。 - 請求項1記載の赤外分光装置において、
前記平行光照射試料部側の試料部照射光学系は、前記平行光照射試料部の前段に設けられた放物面鏡と、平行光照射試料部の後段に設けられた放物面鏡と、を含み、
前記平行光照射試料部前段の放物面鏡は、前記パルス電磁波を平行光として該平行光照射試料部に照射し、該平行光照射試料部後段の放物面鏡は、該平行光照射試料部からのパルス電磁波を集光できるように、該平行光照射試料部を間に挟んで、該各放物面鏡の鏡面が対向配置され、
また、前記収束光照射試料部側の試料部照射光学系は、該収束光照射試料部の前段に設けられた放物面鏡と、該収束光照射試料部の後段に設けられ放物面鏡と、を含み、
前記収束光照射試料部前段の放物面鏡は、前記パルス電磁波を収束光として該収束光照射試料部に照射し、該収束光照射試料部後段の放物面鏡は、該収束光照射試料部からのパルス電磁波を集光することができるように、該収束光照射試料部を間に挟んで、該各放物面鏡の鏡面が対向配置されたことを特徴とする赤外分光装置。 - 所定の時間幅のパルス励起光を所定の繰り返し周波数で発生する励起源と、
前記励起源からのパルス励起光が照射されると、光と物質の電磁気学的電場・電気双極子間の相互作用により、ミリ波から赤外域における所定の波数範囲に渡り、連続スペクトル分布を持ったパルス電磁波を放射し、測定試料に照射するミリ波・赤外放射素子と、
前記測定試料の透過ないし反射波強度の各時間分解データを得る検出手段と、
前記検出手段の各時間分解データから時系列データを得、該時系列データをフーリエ逆変換の数理的演算処理することによって、分光スペクトルデータを得る信号処理手段と、
前記パルス励起光が前記ミリ波・赤外放射素子に1回入射するごとに、前記検出手段からの所定の時間分解データの取り込みを指示するためのサンプリングパルスを、該パルス 励起光に対し所定の時間間隔づつ遅延させて前記検出手段に供給する遅延手段と、
を備えた赤外分光装置において、
前記ミリ波・赤外放射素子からのパルス電磁波の伝播路中に前記測定試料を設置するための試料部を直列ないし並列に複数設け、
前記試料部に前記ミリ波・赤外放射素子からのパルス電磁波を各試料部に対応する平行光又は収束光を照射し、該試料部からのパルス電磁波を集光することができるように、該各試料部の前後に各対応試料部照射光学系を設け、
前記測定試料に応じて前記複数の試料部のいずれかを選択可能であり、
前記遅延手段は、前記励起源からのパルスを、前記パルス励起光と、前記検出手段に対し時間分解データの取り込みを指示するサンプリングパルスに分割する分割手段と、
前記分割手段で得たサンプリングパルスを受光し、前記パルス励起光が前記ミリ波・赤外放射素子に1回入射するごとに、該サンプリングパルスに該パルス励起光に対する遅延時間差を所定の時間間隔づつ変化させるための反射器を含む遅延ステージと、
前記遅延ステージを移動する移動手段と、
前記パルス励起光が前記ミリ波・赤外放射素子に1回入射するごとに、前記パルス励起光に対するサンプリングパルスの遅延時間差が所定の時間間隔づつ変化するように、前記遅延ステージの走査速度を制御する制御手段と、を備え、
前記遅延手段は、時間原点調整用遅延手段と、試料測定用遅延手段と、を含み、
前記制御手段は、前記時間原点調整用遅延手段の動作を、指示した遅延時間差と実際の遅延時間差との偏差が補正可能となるように前記遅延ステージの走査速度を制御したうえで、前記試料測定用遅延手段の動作を前記遅延ステージの走査速度を制御することにより制御することを特徴とする赤外分光装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の赤外分光装置において、
前記励起源は、フェムト秒レーザ、あるいは電子ビーム型発振器であることを特徴とする赤外分光装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の赤外分光装置において、
前記ミリ波・赤外放射素子で、ミリ波から赤外域における所定の波数範囲に渡り、連続スペクトル分布を持ったパルス電磁波が得られるように、前記励起源から発生するパルス励起光の時間幅を、6フェムト秒以上、170フェムト秒以下に設定する時間幅設定手段を備えたことを特徴とする赤外分光装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の赤外分光装置において、
前記ミリ波・赤外放射素子から発生するパルス電磁波の繰り返し周波数を下げる周波数調節手段を設けたことを特徴とする赤外分光装置。 - 請求項6記載の赤外分光装置において、
前記周波数調節手段は、前記励起源と前記ミリ波・赤外放射素子の間の、前記パルス励起光の伝播路中に設けられ、該パルス励起光の繰り返し周波数を下げることを特徴とする赤外分光装置。 - 請求項7記載の赤外分光装置において、
前記周波数調節手段は、変調器、あるいは再生増幅器であることを特徴とする赤外分光装置。
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