JP4236964B2 - 難燃性芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性、及び、溶融安定性が同時に優れる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、難燃性、透明性、等に優れた樹脂であり、自動車用材料、電気材料、住宅材料、等の多岐の分野で使用されている。
特に難燃化された芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、コンピューター、ノートブック型パソコン、複写機、プリンター、携帯機器等の、各種のOA情報機器の部材として広く使用されているが、近年、軽量化を目的として、その製品肉厚は薄肉化の傾向にある。その為、難燃性、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性に優れ、さらに、高い溶融樹脂温度での成形を可能とする優れた溶融安定性を同時に有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物が要求されている。
【0003】
難燃性の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、従来技術では、臭素系難燃剤やリン系難燃剤を用いる方法が広く用いられてきた。しかしながら、従来方法では、難燃剤使用量が多く、また難燃剤の熱安定性が不充分であることから組成物の耐熱性や溶融安定性が低下するという問題があり、また、環境に対する配慮から、臭素系難燃剤やリン系難燃剤を使用しない難燃性の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物が強く求められている。
【0004】
このような状況下、近年、シリコーン系化合物や無機系化合物を添加することにより、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の難燃性を向上させる試みがなされている。例えば、シリカとポリオルガノシロキサンからなる平均粒子径1〜1,000μmのシリコーンポリマーパウダーを含んだ樹脂組成物(特開平8−113712号公報(米国特許5, 391, 594号公報に対応))、熱可塑性樹脂にシリコーン及び無機物との混合物が添加された難燃性樹脂組成物(特開平11−140329号公報)、等が開示されている。
しかしながら、上記公報に例示される樹脂組成物では、シリコーン系化合物の熱安定性が不充分であることより、高い溶融樹脂温度での成形を可能とする溶融安定性を得ることが困難であり、組成物の溶融流動性を向上させることは容易ではなかった。
【0005】
一方、芳香族ポリカーボネートに有機スルホン酸アルカリ金属塩等の金属塩を添加して難燃化する技術についても、その改良技術が多く報告されており、最近の例では、芳香族ポリカーボネートに有機シロキサン化合物とフッ素含有化合物ならびに有機アルカリ金属塩を含む組成物(特開2001−270983号公報)、芳香族ポリカーボネートにコアシェルタイプグラフトゴムとフッ素含有化合物ならびに有機アルカリ金属塩を含む組成物(特開2001−40202号公報)、等があるが、これら公報に例示される組成物においても、高度な難燃性と溶融安定性を同時に向上させることは自ずと限界があった。
【0006】
また、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物にナノメーターオーダーサイズの無機系化合物微粒子を添加して難燃性を改良する試みがなされている。
例えば、特開2001−152030号公報では、金属、金属塩、無機化合物から選択される添加剤を担持した無機多孔質を粉砕して得た粒径が10〜100nmの粒子を含む樹脂組成物が記載されている。
さらに、WO(00)/50511号公報では熱可塑性樹脂にナノメーターオーダーサイズの無機化合物を配合する技術が開示されている。
しかしながら、これらの公報記載の組成物では、難燃性、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性、及び、溶融安定性が同時に優れる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を得るには未だ不十分であった。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−113712号公報(米国特許5, 391, 594号公報に対応)
【特許文献2】
特開平11−140329号公報
【特許文献3】
特開2001−270983号公報
【特許文献4】
特開2001−40202号公報
【特許文献5】
特開2001−152030号公報
【特許文献6】
WO(00)/50511号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、難燃性、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性、及び、溶融安定性が同時に優れる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、全末端に占めるフェノール性末端基の比率が特定範囲である芳香族ポリカーボネートと、特定範囲使用量の、無機化合物粒子、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩、並びに、フルオロポリマーを構成成分とする芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物により、難燃性、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性、及び、溶融安定性が同時に優れる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を得ることができるという事実を見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち本発明は、下記[1]〜[5]である。
[1]全末端に占めるフェノール性末端基の比率が5〜70モル%である芳香族ポリカーボネート(A)100重量部、芳香族ポリカーボネートを除くその他の熱可塑性樹脂(B)0〜40重量部、珪酸塩化合物、及び、金属酸化物から選ばれる1種または2種以上の無機化合物粒子(C)0.01〜1重量部、有機スルホン酸のアルカリ金属塩、有機スルホン酸のアルカリ土類金属塩、硫酸エステルのアルカリ金属塩及び硫酸エステルのアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(D)0.001〜0.5重量部、フルオロポリマー(E)0.01〜1重量部を含むことを特徴とする芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
【0011】
[2]該珪酸塩化合物が、タルク、マイカ、ワラストナイト、ゾノトライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスフレークから選ばれる1種または2種以上の無機化合物粒子であることを特徴とする前記[1]に記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
【0012】
[3]該金属酸化物が、酸化珪素、酸化チタン、及び酸化アルミニウムから選ばれる1種または2種以上の無機化合物粒子であることを特徴とする前記[1]に記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
[4]該酸化珪素が乾式法で製造された非晶質酸化珪素であることを特徴とする前記[3]に記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
[5]該無機化合物粒子(C)が、珪素含有化合物で表面修飾された無機化合物粒子であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の成分(A)は、フェノール性末端基の比率が全末端基数の5〜70%の範囲である芳香族ポリカーボネートであり、フェノール性末端基の比率は10〜50%が好ましく、15〜45%がより好ましく、20〜40%が更に好ましい。
【0014】
本発明では、成分(A)が、フェノール性末端基の比率が上記範囲である場合において、優れた難燃性と、優れた溶融安定性を同時に兼ね備えた樹脂組成物を得ることができる。
本発明で用いられる芳香族ポリカーボネートのフェノール性末端基量は、ホスゲン法においては例えば米国特許4,736,013号公報等に記載の方法により、一方、溶融法や固相重合法のようなエステル交換法では、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートのモル比調整や、特公平7−98862号公報記載の方法等で調整することが可能である。
【0015】
フェノール性末端基量の測定方法は、一般にNMRを用いて測定する方法(NMR法)や、チタンを用いて測定する方法(チタン法)や、UVもしくはIRを用いて測定する方法(UV法もしくはIR法)で求めることができるが、本発明においては、チタン法で求める。
本発明の成分(A)として好ましく使用することができる芳香族ポリカーボネートは、下記式(1)で表される繰り返し単位からなる主鎖を有する。
【0016】
【化1】
【0017】
(式中、Arは、二価の炭素数5〜200芳香族残基であり、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレンやピリジレンであり、それらは非置換又は置換されていてもよく、あるいはまた、下記式(2)で表されるものが挙げられる。)
【0018】
【化2】
【0019】
(式中、Ar1及びAr2は、それぞれアリーレン基である。例えばフェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレン等の基を表し、それらは非置換又は置換されていてもよく、Yは下記式(3)で表されるアルキレン基、または置換アルキレン基である。)
【0020】
【化3】
【0021】
(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6低級アルキル基、炭素数5〜10シクロアルキル基、炭素数6〜30アリール基、炭素数7〜31アラルキル基であって、場合によりハロゲン原子、炭素数1〜10アルコキシ基で置換されていてもよく、kは3〜11の整数であり、R5及びR6は、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に水素原子、または炭素数1〜6低級アルキル基、炭素数6〜30アリール基であって、場合によりハロゲン原子、炭素数1〜10アルコキシ基で置換されていてもよく、Xは炭素原子を表す。)
また、下記式(4)で示される二価の芳香族基を共重合体成分として含有していても良い。
【0022】
【化4】
【0023】
(式中、Ar1、Ar2は前記式(2)と同じ。Zは単なる結合、または、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−CO2−、−CON(R1)−(R1は前記式(3)と同じ)等の二価の基である。)
これら二価の芳香族基の例としては、下記で表されるもの等が挙げられる。
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】
(式中、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1〜10アルキル基、炭素数1〜10アルコキシ基、炭素数5〜10シクロアルキル基または炭素数6〜30アリール基である。m及びnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合は各R8はそれぞれ同一でも異なるものであっても良い。)
中でも、下記式(5)で表されるものが好ましい一例である。
【0027】
【化7】
【0028】
特に、上記式(5)で表されるものをArとする繰り返しユニットを85モル%以上(芳香族ポリカーボネート中の全モノマー単位を基準として)含む芳香族ポリカーボネートが特に好ましい。
また、本発明に用いることができる芳香族ポリカーボネートは、三価以上の芳香族基を分岐点とする分岐構造を有していても良い。
本発明に用いることができる芳香族ポリカーボネートにおいて、フェノール性末端基以外のポリマー末端基の分子構造は、アリールカーボネート基、アルキルカーボネート基から選ばれた1種以上の末端基を結合することができる。
アリールカーボネート末端基は、下記式(6)で表される。
【0029】
【化8】
【0030】
(式中、Ar3は一価の炭素数6〜30芳香族基であり、芳香環は置換されていても良い。)
アリールカーボネート末端基の具体例としては、例えば、下記式で表されるものが挙げられる。
【0031】
【化9】
【0032】
アルキルカーボネート末端基は下記式(7)で表される。
【0033】
【化10】
【0034】
(式中、R9は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐アルキル基を表す。)
アルキルカーボネート末端基の具体例としては、例えば下記式で表されるものが挙げられる。
【0035】
【化11】
【0036】
これらの中で、フェニルカーボネート基、p−t−ブチルフェニルカーボネート基、p−クミルフェニルカーボネート基、等が好ましく用いられる。
本発明で用いられる芳香族ポリカーボネート(A)の重量平均分子量(Mw)は、通常、5,000〜500,000であり、10,000〜100,000が好ましく、13,000〜50,000がより好ましく、15,000〜30,000が更に好ましく、18,000〜25,000が特に好ましい。
【0037】
また、本発明で使用される芳香族ポリカーボネート(A)は、分子量が異なる2種以上の芳香族ポリカーボネートを組み合わせて使用することも好ましい実施態様である。
本発明において、芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて行い、測定条件は以下の通りである。すなわち、テトラヒドロフランを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算分子量較正曲線を用いて求められる。
MPC=0.3591MPS 1.0388
(MPCは芳香族ポリカーボネートの分子量、MPSはポリスチレンの分子量)
【0038】
本発明で用いられる芳香族ポリカーボネートは、公知の方法で製造したものを使用することができる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体と反応せしめる公知の方法、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(例えばホスゲン)を水酸化ナトリウム水溶液及び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合法(例えばホスゲン法)、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(例えばジフェニルカーボネート)などを反応させるエステル交換法(溶融法)、ホスゲン法または溶融法で得られた結晶化カーボネートプレポリマーを固相重合する方法(特開平1−158033(米国特許第4,948,871号に対応)、特開平1−271426、特開平3−68627(米国特許第5,204,377号に対応))等の方法により製造されたものを用いることができる。
【0039】
本発明で特に好ましく使用することができる芳香族ポリカーボネートとしては、2価フェノール(芳香族ジヒドロキシ化合物)と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造された実質的に塩素原子を含まない芳香族ポリカーボネートをあげることができる。
また、本発明では、芳香族ポリカーボネート(A)が、主鎖に分岐構造を有する芳香族ポリカーボネートであることが、成形加工性を向上させる上で好ましい。このような分岐構造を有する芳香族ポリカーボネートを得る方法として、三価以上の多価ヒドロキシ化合物を共重合成分として添加して製造する方法、例えば、米国特許4,677,162号公報、同4,562,242号公報、ドイツ国特許3,149,812号公報等に示されている方法もあるが、本発明で用いることができる特に好ましい分岐構造を有する芳香族ポリカーボネートは、米国特許5,932,683号公報に記載された方法で製造することができる。
特に本発明では、下記式(8)、
【0040】
【化12】
【0041】
(式中、Ar’は3価の炭素数5〜200の芳香族基を表し、Xは式(1)で表される繰り返し単位を含む。)
に示す分岐構造に相当する単位(以下、「分岐構造」と称す。)を0.01〜0.5モル%の範囲で含む芳香族ポリカーボネートであることが好ましく、0.03〜0.3モル%の範囲であることがより好ましく、0.05〜0.15モル%の範囲であることが更に好ましい。
本発明で使用される芳香族ポリカーボネートとして、好ましい例は、その主鎖構造は下記式(9)であり、
【0042】
【化13】
【0043】
下記式(10)で表される分岐構造を、好ましくは0.01〜0.5モル%の範囲、より好ましくは0.03〜0.3モル%の範囲、さらに好ましくは0.05〜0.15モル%の範囲で含む芳香族ポリカーボネートである。
【0044】
【化14】
【0045】
(式中、Xは式(9)で表される繰り返し構造単位を含む。)
【0046】
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物では、樹脂組成物の溶融流動性、あるいは耐衝撃性等を改良する目的で、芳香族ポリカーボネートを除くその他の熱可塑性樹脂(B)を使用することもできる。
該成分(B)としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ゴム変性重合体、等から選ばれる1種もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0047】
上記成分(B)の中で、本発明において好ましく使用することができるものとして、ポリスチレン系樹脂、および/またはゴム変性重合体を挙げることができ、特に好ましいのはゴム変性重合体である。
該ポリスチレン系樹脂とは、芳香族ビニル化合物を重合させて得られる樹脂、あるいは芳香族ビニル化合物を主成分とし、これに共重合可能な芳香族ビニル化合物以外のビニル化合物を共重合させた共重合体であり、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS)やポリスチレン樹脂(PS)、等を好ましく使用することができる。本発明では、該ポリスチレン系樹脂を1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ、この場合、該ポリスチレン系樹脂の好ましい重量平均分子量は40,000〜200,000、より好ましくは80,000〜150,000、更に好ましくは、90,000〜130,000である。
また、上記ゴム変性重合体とは、ゴム質重合体、および、1種または2種以上のビニル化合物を成分に含むゴム変性重合体全般を表す。
【0048】
上記ゴム変性重合体のゴム質重合体としては、ガラス転移温度が0℃以下のものであれば用いることができる。具体的には、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ブタジエン・アクリル酸ブチル共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム等のジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、シリコーン・アクリル複合ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合ゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合ゴム等のブロック共重合体、およびそれらの水素添加物等を使用することができる。これらの重合体の中で、好ましくは、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、ポリアクリル酸ブチル等が挙げられる。
ゴム変性重合体中のゴム質重合体の割合は成分(B)の1〜95重量%の範囲で用いられるが、必要とする機械的強度、剛性、成形加工性に応じて決められる。好ましくは、10〜85重量%であり、より好ましくは30〜70重量%である。
【0049】
ゴム変性重合体に使用されるビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体があげられるが、好ましくは、芳香族ビニル化合物、アルキル(メタ)アクリレート類、シアン化ビニル単量体、マレイミド系単量体であり、さらに好ましくは、スチレン、アクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、ブチルアクリレートである。これらのビニル化合物は単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは、芳香族ビニル化合物と芳香族以外のビニル化合物の組み合わせである。この場合、芳香族ビニル化合物と芳香族以外のビニル化合物は任意の割合で用いられるが、芳香族以外のビニル化合物の好ましい割合は、全ビニル化合物の合計量に対して、5〜80重量%の範囲である。
【0050】
また、ゴム変性共重合体の製造方法は特に限定されず、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合など通常公知の製造方法を挙げることができる。
本発明で好ましく使用できる成分(B)としてのゴム変性重合体の好ましい例として、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート・ブチルアクリレート共重合体(MBA)、メチルメタクリレート・ブチルアクリレート・スチレン共重合体(MBAS)、アクリロニトリル・ブチルアクリレート・スチレン共重合体(AAS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、等を例示することができる。
【0051】
上記ゴム変性重合体において、市販されている好ましい例として、三菱レーヨン(株)より製造されている「メタブレンC−223A(登録商標)」、「メタブレンC−323A(登録商標)」、「メタブレンS−2001(登録商標)」、鐘淵化学工業(株)より製造されている「カネエースM−511(登録商標)」、「カネエースB−564(登録商標)」、「カネエースB56(登録商標)」、「カネエースM521(登録商標)」、「カネエースB521(登録商標)」、「カネエースFM(登録商標)」、「カネエースFT80(登録商標)」、呉羽化学工業(株)より製造されている「クレハパラロイドBTA751(登録商標)」、「クレハパラロイドEXL2602(登録商標)」、「クレハパラロイEXL2315(登録商標)」、ローム&ハース社より製造されている「KM−330(登録商標)」、台湾国台湾プラスチック社より製造されている「M−51(登録商標)」、等を挙げることができる。
【0052】
本発明において成分(B)を使用する場合、成分(B)の使用量は、芳香族ポリカーボネート(A)100重量部に対し、40重量部以下であり、0.1〜30重量部が好ましく、0.5〜15重量部がより好ましく、1〜10重量部が更に好ましい。
本発明における成分(C)は、無機化合物粒子であり、炭酸塩化合物、硫酸塩化合物、クロム酸塩化合物、チタン酸塩化合物、珪酸塩化合物、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、および金属酸化物からなる無機化合物群から選ばれる1種もしくは2種以上の無機化合物粒子である。
【0053】
前記炭酸塩化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、等を挙げることができる。
前記硫酸塩化合物としては、例えば、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸銅、等を挙げることができる。
前記クロム酸塩化合物としては、例えば、クロム酸鉛、クロム酸亜鉛、クロム酸バリウム、等を挙げることができる。
【0054】
前記チタン酸塩化合物としては、例えば、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、等を挙げることができる。
前記珪酸塩化合物としては、例えば、ガラス繊維、ガラスフレーク、ワラストナイト、ゾノトライト、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、サポナイト、ベントナイト、セピオライト、カオリン、等を挙げることができる。
【0055】
前記金属窒化物としては、例えば、窒化チタン、窒化珪素、窒化ホウ素、等を挙げることができる。
前記金属炭化物としては、例えば、炭化珪素、炭化タングステン、炭化チタン、等を挙げることができる。
前記金属硫化物としては、例えば、硫化亜鉛、硫化チタン、硫化鉄、硫化鉛、硫化タングステン、等を挙げることができる。
【0056】
前記金属酸化物としては、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ホルミウム、等を挙げることができる。
本発明で特に好ましく使用することができる無機化合物粒子は、珪酸塩、及び、金属酸化物から選ばれる1種または2種以上の無機化合物粒子である。
【0057】
本発明で特に好ましく使用できる珪酸塩化合物として、タルク、マイカ、ワラストナイト、ゾノトライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスフレークから選ばれる1種または2種以上の無機化合物粒子を挙げることができる。
本発明で使用される珪酸塩化合物の粒子形状は、板状もしくは針状であることが、組成物の難燃性を高める上で特に好ましい。
また、本発明で特に好ましく使用できる金属酸化物として、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウムを挙げることができ、最も好ましくは酸化珪素である。
【0058】
本発明で使用される成分(C)の平均粒子径は、1nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜8μmがより好ましく、50nm〜5μmが更に好ましい。
本発明では、無機化合物粒子(C)の粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)、あるいは走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて樹脂組成物を観察することにより測定することができる。すなわち、前記TEM観察あるいはSPM観察において、写真撮影を行い、観察写真から樹脂組成物中における50個以上の粒子に対して個々の粒子径を計測する。粒子径は、写真から各粒子の面積Sを求め、Sより、(4S/π)0.5から各粒子の粒子径を求める。
【0059】
本発明において、無機化合物粒子(C)の粒子径は、樹脂組成物中で観察される個々の独立した粒子に対して測定されるが、該独立した粒子が一次粒子である場合は一次粒子の粒子径として、該独立した粒子が凝集粒子(aggregate)や集塊粒子(agglomerate)で有る場合は、該凝集粒子や該集塊粒子を一つの粒子として粒子径を測定する。
本発明では、成分(C)は、その表面が珪素含有化合物で表面被覆されることにより、樹脂組成物中で良好に分散させることが容易となり、さらに、成分(C)と樹脂との間の界面親和性が向上するために樹脂組成物の耐衝撃性や伸び特性等の機械的物性を高レベルに維持することができるので特に好ましい。
【0060】
本発明で好ましく使用できる金属酸化物は、酸化珪素、酸化チタン、及び酸化アルミニウムから選ばれる1種または2種以上の無機化合物粒子であるが、特に、特に好ましいものは、乾式法で得られる一般に「ヒュームドシリカ」と称される非晶質酸化珪素である。
該ヒュームドシリカは、例えば、特開2000−86227号公報に記載の方法により製造する事ができ、四塩化珪素と水素、酸素、水を用いて、高温加水分解する乾式法により製造することができる。
【0061】
また、本発明では、成分(C)は、珪素含有化合物で表面修飾されることが好ましい。本発明でいう「表面修飾」とは、共有結合を介する表面修飾、及び/または、ファンデルワールス力や水素結合による表面修飾が含まれるが、好ましくは前者の共有結合を介する表面修飾である。
該珪素含有化合物は、クロロシラン、アルコキシシラン、ヒドロシラン、シリルアミン、シランカップリング剤、ポリオルガノシロキサンからなる群から選ばれる1種または2種以上の珪素含有化合物である。
【0062】
本発明において、成分(C)に関する表面処理方法は、例えば、特開平9−310027、同9−59533、同6−87609号公報に記載された方法で行うことができる。具体的には、ヘンシェルミキサー等の攪拌装置を備えた容器に、無機化合物粒子を入れ、攪拌しながら前記の各種珪素含有化合物を添加し、望ましくはガス状あるいは噴霧状で接触させて、均一に混合し、高温で反応させることにより行うことができる。
【0063】
本発明で、特に好ましく使用することができる成分(C)は、珪素含有化合物で表面修飾されたヒュームドシリカである。
乾式法によって得られるヒュームドシリカは、一般に、複数の真球状の一次粒子が鎖状に連結した分岐構造を有する凝集粒子あるいは集塊粒子の形態をなす。
このような一次粒子が鎖状に連結した分岐構造を有する凝集粒子あるいは集塊粒子の形態は樹脂組成物中でも維持され、組成物の難燃性を高める上で特に好ましい。
【0064】
また、該ヒュームドシリカの粒子表面は、約3.5個/nm2のシラノール基が存在することにより、珪素含有化合物による表面修飾を粒子表面に対して効率よく行うことが可能である。
さらに乾式法によって得られるヒュームドシリカは、一次粒子が多孔質構造でなく、緻密な球状粒子であるために、吸水性が低く、このために樹脂の加水分解等の悪影響を及ぼすことが少なく、特に溶融混練や成形の過程で樹脂に与える悪影響が極めて少ないので好ましい。
【0065】
該多孔質構造を判断する尺度として、窒素吸着法や水銀圧入法により測定される「細孔容積」があるが、本発明では、該細孔容積が0.3ml/g以下であるヒュームドシリカが特に好ましい。
また、本発明で好ましく使用されるヒュームドシリカは、窒素ガス吸着によるBET法で求められる非表面積が、50〜400m2/gであることが好ましく、100〜350m2/gであることがより好ましく、150〜300m2/gであることが更に好ましい。
【0066】
また、シリカの吸水率は、5%以下が好ましく、より好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
本発明で好ましく使用できる成分(C)として、例えば、日本アエロジル(株)より入手可能な、「アエロジル200(登録商標)」、「アエロジルRX200(登録商標)」、「アエロジルRY200(登録商標)」、「アエロジルR805(登録商標)」、「アエロジルR202(登録商標)」、「アエロジルR974(登録商標)」、「二酸化チタンT805(登録商標)」、等を挙げることができる。
成分(C)の配合量は、成分(A)100重量部に対して、0. 01〜1重量部であり、好ましくは0.05〜0.8重量部、より好ましくは0.1〜0.5重量部である。
成分(C)の使用量が0.01重量部未満である場合は、優れた難燃性を得ることができず、一方、1重量部を超える場合は樹脂組成物の溶融安定性が低下する。
【0067】
本発明において、成分(D)は、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩である。
本発明において、成分(D)としては、従来ポリカーボネート樹脂を難燃化するのに使用される各種の金属塩が挙げられるが、本発明では、特に有機スルホン酸の金属塩、および/または、硫酸エステルの金属塩が好ましく使用できる。また、これらは単独の使用だけでなく2種以上を混合して使用することも可能である。尚、本発明のアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられ、特に好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウムである。
【0068】
本発明で好ましく使用することができる上記有機スルホン酸の金属塩としては、 脂肪族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、等が挙げられる。尚、本明細書中で「アルカリ(土類)金属塩」の表記は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のいずれも含む意味で使用する。脂肪族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、炭素数1〜8のアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、またはかかるアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩のアルキル基の一部がフッ素原子で置換したスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、さらには炭素数1〜8のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩を好ましく使用することができ、特に好ましい具体例として、パーフルオロエタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩、を例示することができる。
【0069】
また、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、芳香族スルホン酸として、モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸、芳香族カルボン酸およびエステルのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸、芳香族スルホネートのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸、芳香族ケトンのスルホン酸、複素環式スルホン酸、芳香族スルホキサイドのスルホン酸、芳香族スルホン酸のメチレン型結合による縮合体、からなる群から選ばれる少なくとも1種を芳香族スルホン酸とする芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩を挙げることができる。
【0070】
上記、モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジカリウムを挙げることができる。
また、上記芳香族カルボン酸およびエステルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、5−スルホイソフタル酸カリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウムを挙げることができる。
【0071】
また、上記モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6−ジフェニルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2−フルオロ−6−ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウムを挙げることができる。
【0072】
また、上記芳香族スルホネートのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、ベンゼンスルホネートのスルホン酸カリウムを挙げることができる。
また、上記モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸カルシウムを挙げることができる。
【0073】
また、上記モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3,4’−ジスルホン酸ジカリウムを挙げることができる。
上記芳香族ケトンのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、α,α,α−トリフルオロアセトフェノン−4−スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノ ン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムを挙げることができる。
【0074】
上記複素環式スルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウムを挙げることができる。
上記芳香族スルホキサイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、ジフェニルスルホキサイド−4−スルホン酸カリウムを挙げることができる。
上記芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩のメチレン型結合による縮合体は、その好ましい例として、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物を挙げることができる。
【0075】
一方、硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩としては、本発明では一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を好ましく使用することができ、かかる一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルとしては、メチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ヘキサデシル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリ、テトラ硫酸エステル、ラウリン酸モノグリセライドの硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセライドの硫酸エステル、ステアリン酸モノグリセライドの硫酸エステルなどを挙げることができる。これらの硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩として、特に好ましいものとして、ラウリル硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができる。
【0076】
また、その他のアルカリ(土類)金属塩としては、芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、例えばサッカリン、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミド、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、およびN−(フェニルカルボキシル)スルファニルイミドのアルカリ(土類)金属塩などが挙げられる。
上記に挙げた成分(D)の中で、より好ましいアルカリ(土類)金属塩として、芳香族スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩およびパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩を挙げることができる。
【0077】
本発明において、成分(D)の使用量は、成分(A)100重量部に対して、0.001〜0.5重量部の範囲であり、好ましくは0.01〜0.4重量部、更に好ましくは0.05〜0.3重量部、特に好ましくは、0.08〜0.2重量部である。成分(D)の使用量が0.001重量部未満の場合は難燃性に劣り、一方、0.5重量部を超えると、樹脂組成物の溶融安定性が低下する傾向にある。
【0078】
本発明で用いられる成分(E)はフルオロポリマーであり、燃焼物の滴下を防止する目的で使用される。本発明では、フィブリル形成能力を有するフルオロポリマーとして、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・プロピレン共重合体等のテトラフルオロエチレンポリマー、を好ましく使用することができ、特に好ましくはポリテトラフルオロエチレンである。
成分(E)は、ファインパウダー状のフルオロポリマー、フルオロポリマーの水性ディスパージョン、ASやPMMA等の第2の樹脂との粉体状混合物等、様々な形態のフルオロポリマーを使用することができる。
【0079】
本発明で好ましく使用できるフルオロポリマーの水性ディスパージョンとして、三井デュポンフロロケミカル(株)製「テフロン(登録商標)30J」、ダイキン工業(株)製「ポリフロンD−1(登録商標)」、「ポリフロンD−2(登録商標)」、「ポリフロンD−2C(登録商標)」、「ポリフロンD−2CE(登録商標)」を例示することができる。
【0080】
また、本発明では成分(E)として、ASやPMMA等の第2の樹脂との粉体状混合物としたフルオロポリマーも好適に使用することができるが、これら第2の樹脂との粉体状混合物としたフルオロポリマーに関する技術は、特開平9−95583号公報、特開平11−49912号公報、特開2000−143966号公報、特開2000−297189号公報等に開示されている。本発明において好ましく使用できる、これら第2の樹脂との粉体状混合物としたフルオロポリマーとして、GEスペシャリティケミカルズ社製「Blendex 449(登録商標)」、三菱レーヨン(株)製「メタブレンA−3800(登録商標)」を例示することができる。
【0081】
本発明における成分(E)の配合量は、成分(A)100重量部に対して0.01〜1重量部であり、0.05〜0.8重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜0.6重量部、さらに好ましくは0.2〜0.4重量部である。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物では、さらに、着色剤、離型剤、熱安定剤、光安定剤、発泡剤、滑剤、等の各種の添加剤を含むことができる。
次に、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法について説明する。
【0082】
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の製造は、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、およびその他の成分を、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機、等の一般的な溶融混練装置を用いて溶融混練を行うことにより製造することができるが、成分(C)を組成物中で均一かつ微細に分散させ、本発明の組成物を連続的に製造するのに二軸押出機が特に適している。
【0083】
特に好ましい製造法は、押出方向の長さ(L)と押出機スクリュー直径(D)の比、L/Dが5〜100、好ましくは10〜70、更に好ましくは20〜50である二軸押出機を用いる方法である。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法は、例えば、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、およびその他の成分を、予め各成分をタンブラーやリボンブレンダー等の予備混合装置を使用して混合した後に、押出機に供給して溶融混練することにより、樹脂組成物を得ることが可能である。
【0084】
別の製造例としては、原材料をペレット状の原材料成分と粉体状の原材料成分に分け、ペレット状成分からなる原材料混合物と、パウダー状成分からなる原材料混合物をそれぞれ別途に予備混合したものを調製し、それぞれの原料混合物を別々に押出機に供給して溶融混練する方法がある。
さらに別の製造例としては、それぞれの原料成分を独立して押出機に供給し、溶融混練を行う方法がある。
【0085】
溶融混練では、押出機は押出機のシリンダー設定温度を200〜400℃、好ましくは220〜350℃、更に好ましくは230〜300℃とし、また、押出機スクリュー回転数を50〜700rpm、好ましくは80〜500rpmとし、更に好ましくは、100〜300rpmとし、さらに、押出機内の平均滞留時間を10〜150秒、好ましくは20〜100秒、更に好ましくは30〜60秒として溶融混練を行い、溶融樹脂温度を好ましくは250〜300℃の範囲とし、混練中に樹脂に過剰の発熱を与えないように配慮しながら溶融混練を行う。溶融混練された樹脂組成物は、押出機先端部に取り付けられたダイよりストランドとして押し出され、ペレタイズされて樹脂組成物のペレットが得られる。
【0086】
また本発明の樹脂組成物の製造において、溶融混練と同時に脱揮を行うことが好ましい。ここで、「脱揮」とは押出機に設けられたベント口を通じて、溶融混練工程で発生する揮発成分を、大気圧開放あるいは減圧により除去することを表す。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、例えば、射出成形、ガスアシスト成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形、等により各種の多彩な製品に成形することができる。
【0087】
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を、射出成形により成形する場は、シリンダー設定温度は、好ましくは250〜350℃、より好ましくは270〜330℃、特に好ましくは290〜320℃である。
また、その際の金型設定温度は、好ましくは10〜130℃、より好ましくは50〜120℃、特に好ましくは60〜110℃である。
本発明の材料を用いた成形品の例としては、ノート型パソコン、コピー機、プリンター、パソコン用モニター、複写機、FAX、電話機、等のOA機器や情報機器の筐体、OA機器シャーシ、等が挙げられる。
【0088】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例あるいは比較例においては、以下の成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、および、その他の成分を用いて芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を製造した。
尚、各成分の記載の中には本発明の成分の要件を欠くものがあるが、便宜上あわせて記載した。
【0089】
1.成分(A):芳香族ポリカーボネート
(PC−1)
溶融エステル交換法で製造されたビスフェノールA系ポリカーボネート
Mw=21,800
フェノール性末端基比率=36%
分岐構造含有量=0.09モル%
フェノール性末端基比率は下記のチタン法で測定した。すなわち、芳香族ポリカーボネート0.4gを塩化メチレン50mlに溶解し、該溶液10mlを50mlサンプル瓶に分取し、塩化メチレン12mlを加え良く混合した後、四塩化チタン2ml、酢酸1mlを加え、サンプル瓶を振り攪拌した。該溶液の546nmの吸収強度を分光光度計(島津社製スペクトロフォトメーターMPS−2000)を用いて測定した。測定は、吸湿を避けるために測定は全て窒素下で行った。
【0090】
分岐構造含有量は以下の方法で測定した。すなわち、芳香族ポリカーボネート55mgをテトラヒドロフラン2mlに溶解した後、5規定の水酸化カリウムメタノール溶液を0.5ml添加し、室温で2時間攪拌して完全に加水分解した。その後、濃塩酸0.3mlを加え、逆相液体クロマトグラフィーで測定した。逆相液体クロマトグラフィーは、UV検知器として991L型機(米国ウォーターズ社製)、Inertsil ODS−3カラム(ジーエルサイエンス社製)、溶解液としてメタノールと0.1%リン酸水溶液からなる混合溶解液を用い、カラム温度25℃、メタノール/0.1%リン酸水溶液比率を20/80からスタートし、100/0までグラジェントする条件下で測定し、検出は波長300nmのUV検出器を用いて行い、標準物質の吸光係数から定量した。標準物質としては、前記式(10)の構造単位を加水分解した構造に相当するヒドロキシ化合物を用いた。分岐構造含有量は、繰り返し単位式(9)のモル量に対する、式(10)の構造単位のモル%とした。
【0091】
(PC−2)
ホスゲン法で製造されたビスフェノールA系ポリカーボネート
Mw=21,500
フェノール性末端基比率=10%
分岐構造含有量=検出されず。
(PC−3) 本発明の範囲外の芳香族ポリカーボネート
ホスゲン法で製造されたビスフェノールA系ポリカーボネート
Mw=22,000
フェノール性末端基比率=2%
分岐構造含有量=検出されず。
【0092】
2.成分(B):芳香族ポリカーボネートを除くその他の熱可塑性樹脂
(ABS)
乳化重合法により重合し、硫酸塩析法にて凝固させ、さらに洗浄、乾燥して得た、ブタジエンゴム含有量が60重量%、平均粒径が0.26μm、グラフト成分のスチレン/アクリロニトリル比が73/27(重量比)である粉体状のアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)共重合体
(AS)
アクリロニトリル単位27wt%、スチレン単位73wt%からなり、重量平均分子量(Mw)が100,000であるスチレン・アクリロニトリル樹脂(AS樹脂)
【0093】
3.成分(C):無機化合物粒子
(C−1)
乾式法で得られ、トリメチルシリル基で表面処理された酸化珪素(日本アエロジル(株)製 「アエロジルRX200(登録商標)」)
(C−2)
乾式法で得られた、親水性酸化珪素(日本アエロジル(株)製 「アエロジル200(登録商標)」)
(C−3)
オクチルシリル基で表面修飾された酸化チタン(日本アエロジル(株)製 「アエロジルT805(登録商標)」)
(C−4)
レーザー回折法で測定した平均粒子径が5.1μmのタルク(日本タルク(株)製 「ミクロエースP−3(登録商標)」)
【0094】
4.成分(D):アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩
(D−1)
パーフルオロブタンスルホン酸カリウム(大日本インキ工業(株)製 「メガファックF114(登録商標)」)
【0095】
5.成分(E):フルオロポリマー
(E−1)
ポリテトラフルオロエチレンとアクリロニトリル・スチレン共重合体の50/50(重量比)粉体状混合物(GEスペシャリティケミカルズ社製 「Blendex449(登録商標)」)
【0096】
6.その他の成分
(RDP)
レゾルシノールビス(ジフェニルフォスフェート)型のオリゴマー状のリン酸エステル化合物(大八化学工業(株)製 「CR733S(登録商標)」)
酸価=0.01mgKOH/g
Mg含有量=4.5ppm
(I−1076)
オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤 「IRGANOX1076(登録商標)」)
(P−168)
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製ホスファイト系熱安定剤 「IRGAFOS168(登録商標)」)
【0097】
【実施例1】
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を表1の実施例1に示す組成で製造した。
【0098】
【表1】
【0099】
組成物の製造に当たり、溶融混練装置は2軸押出機(ZSK−25、L/D=37、Werner&Pfleiderer社製)を使用して、シリンダー設定温度250℃、スクリュー回転数150rpm、混練樹脂の吐出速度15kg/Hrとなる条件で溶融混練を行った。溶融混練中に、押出機ダイ部で熱電対により測定した溶融樹脂の温度は268℃であった。
二軸押出機への原材料の投入は、全ての成分を予めタンブラーにより予備ブレンドを20分行い、重量フィーダーを用いて押出機に投入した。また、押出機にはその後段部分にベント口を設け、該ベント口を介して2×104Paで減圧脱揮を行った。溶融混練された樹脂組成物はダイよりストランドとして押出しを行い、ペレタイズを行うことにより、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を得た。
【0100】
上記方法で得た樹脂組成物のペレットを120℃で5時間乾燥した後、以下の各測定を実施した。
(1)無機化合物粒子の平均粒子径測定
樹脂組成物のペレットから、ペレット円柱軸に対して垂直方向に超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、写真撮影を行い、観察写真から樹脂組成物中における50個の粒子に対して個々の粒子径を計測し、数平均粒子径を求めた。各粒子の粒子径は、粒子の面積Sを求め、Sを用いて、(4S/ π)0.5を各粒子の粒子径とした。(単位:nm)
【0101】
(2)難燃性試験
射出成形機(ファナック社製 オートショット50D)により、シリンダー設定温度300℃、金型温度60℃で燃焼試験用の短冊形状成形体(厚さ1.2mmおよび1.0mm)を成形し、温度23℃、湿度50%の環境下に2日保持した後、UL94規格に準じて20mm垂直燃焼試験を行いV−0、V−1またはV−2に分類した。(難燃性の程度:V−0>V−1>V−2)
また、5本の試験片に対する合計残炎時間を測定した。
【0102】
(3)アイゾット衝撃強度測定
射出成形機(ファナック社製 オートショット50D)により、シリンダー設定温度250℃、金型温度60℃で、1/8インチ厚短冊状成形体を成形し、ASTM D256に準じて測定した。(単位:J/m)
(4)熱変形温度(HDT)測定
射出成形機(ファナック社製 オートショット50D)により、シリンダー設定温度250℃、金型温度60℃で、1/8インチ厚短冊状成形体を成形し、ASTM D648に準じて、荷重1.82MPaで測定した。(単位:℃)
【0103】
(5)耐湿熱性測定
射出成形機(ファナック社製 オートショット50D)により、シリンダー設定温度250℃、金型温度60℃で1/8インチ厚ダンベル形状成形体成形し、温度80℃、湿度95%雰囲気中に1,000時間保存した後、5本の試験片に対してASTM D638試験法に準じて引張り測定を実施し、下記の基準で評価した。
○:サンプルが5本とも全て、引張強度が降伏した後に破断する。
△:サンプルの1〜4本が、引張強度が降伏した後に破断する。
×:サンプルが5本とも全て、引張強度が降伏せずに破断する。
【0104】
(6)滞留安定性測定
射出成形機(オートショット50D ファナック社製)を用いて、シリンダー温度を300℃に設定し、樹脂組成物を20分間成形機シリンダー中に滞留させ、その後金型温度60℃にて、1/8インチ厚短冊状成形体を成形した。該短冊片を小片に切り出し、ASTM D1238に準じて、設定温度250℃、5kg荷重でメルトフローレート(MFR2)を測定した。(単位:g/10min)
別途、樹脂組成物のペレットを使用して、溶融滞留を行なわずにシリンダー温度を300℃に設定し、金型温度60℃にて、1/8インチ厚短冊状成形体を成形した。該短冊片を小片に切り出し、設定温度250℃、5kg荷重でメルトフローレート(MFR1)を測定した。
【0105】
上記、MFR2とMFR1を用いて、下記式により、MFR増大率を求め、樹脂組成物の耐熱性を評価した。
MFR増大率(%)=(MFR2−MFR1)/(MFR1)×100
◎:MFR増大率が10%未満
○:MFR増大率が10%以上30%未満
×:MFR増大率が30%以上
結果を表1に示す。
【0106】
【比較例1】
成分(C)を除いた以外は実施例1と同じ条件で、表1の比較例1に示す組成で樹脂組成物を製造した。
各種評価結果を表1の比較例1示す。
【0107】
【比較例2】
成分(C)の配合量を変更した以外は実施例1と同じ条件で、表1の比較例1に示す組成で樹脂組成物を製造した。
各種評価結果を表1の比較例2示す。
【0108】
【比較例3】
表1の比較例3に示す組成でリン系難燃剤(RDP)を用いた樹脂組成物を製造した。
溶融混練装置は実施例1と同様に2軸押出機(ZSK−25、L/D=37、Werner&Pfleiderer社製)を使用して、シリンダー設定温度250℃、スクリュー回転数150rpm、混練樹脂の吐出速度15kg/Hrとなる条件で溶融混練を行った。
【0109】
二軸押出機への原材料の投入は、リン系難燃剤(RDP)を除く全ての成分を予めタンブラーにより予備ブレンドを20分行い、重量フィーダーを用いて押出機に投入した。リン系難燃剤は押出機途中からギアポンプにより圧入して配合した。また、押出機の後段部分に開放ベント口を設けて、開放脱揮を行った。
溶融混練された樹脂組成物はダイよりストランドとして押出しを行い、ペレタイズを行うことにより、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を得た。
上記方法で得た樹脂組成物のペレットを80℃で5時間乾燥した後、実施例1と同様に各種評価を実施した。
結果を表1の比較例4に示す。
【0110】
【実施例2〜6】
実施例1と同様に、表2の実施例2〜6に示す組成で樹脂組成物を製造した。
各種評価結果を表2の実施例2〜6に示す。
【0111】
【表2】
【0112】
【実施例7、8及び比較例4、5】
実施例1と同様に、表3の実施例7、8及び比較例4、5に示す組成で樹脂組成物を製造した。
各種評価結果を表3に示す。
【0113】
【表3】
【0114】
【発明の効果】
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、難燃性、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性、及び、溶融安定性が同時に優れる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物であり、工業的に極めて有用である。
Claims (5)
- 全末端に占めるフェノール性末端基の比率が5〜70モル%である芳香族ポリカーボネート(A)100重量部、芳香族ポリカーボネートを除くその他の熱可塑性樹脂(B)0〜40重量部、珪酸塩化合物、及び、金属酸化物から選ばれる1種または2種以上の無機化合物粒子(C)0.01〜1重量部、有機スルホン酸のアルカリ金属塩、有機スルホン酸のアルカリ土類金属塩、硫酸エステルのアルカリ金属塩及び硫酸エステルのアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(D)0.001〜0.5重量部、フルオロポリマー(E)0.01〜1重量部を含むことを特徴とする芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
- 該珪酸塩化合物が、タルク、マイカ、ワラストナイト、ゾノトライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスフレークから選ばれる1種または2種以上の無機化合物粒子であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
- 該金属酸化物が、酸化珪素、酸化チタン、及び酸化アルミニウムから選ばれる1種または2種以上の無機化合物粒子であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
- 該酸化珪素が乾式法で製造された非晶質酸化珪素であることを特徴とする請求項3に記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
- 該無機化合物粒子(C)が、珪素含有化合物で表面修飾された無機化合物粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
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