JP4235799B2 - 放電ランプ用封入棒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビ受像器やパソコン等の液晶表示装置(LCD)のバックライトとして使用される冷陰極蛍光ランプ等の放電ランプにおける封入棒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パソコンやワープロ等のOA機器に用いられている液晶表示装置(LCD)には、該LCDを照明するための冷陰極蛍光ランプを光源とするバックライトが組み込まれている。
【0003】
冷陰極蛍光ランプ等の電極部分は、電極部と封入棒(封着線部)と外部リード線とで構成されている。上記封入棒として、従来採用されてきたのはコバールである。このコバール製封入棒が抵抗溶接等で電極に接続されている。
【0004】
近年、液晶テレビにおける画面の大型化、薄型化、高輝度化及び省電力化の要求により、冷陰極傾向ランプよりも長く(長い場合には、1000mm)、より細く(細い場合には、外径2mm)、より明るく、そしてより高効率であることが要求されるようになった。このため、封入用の棒も比抵抗が小さく、熱伝導度の高いものが要求されるようになっている。しかしながら、従来のコバールは、比抵抗が比較的高く、熱伝導度が比較的低いため、電圧損失及び発熱が大きいという問題点があった。
【0005】
そこで、コバールと熱膨張係数が類似し、コバールに比べて比抵抗が小さく、熱伝導度の高いタングステンやモリブデンが使用されるようになった。コバールの熱膨張係数は5.3x10-6/K、タングステンは4.5x10-6/Kで、モリブデンは5.1x10-6/Kである。
【0006】
一方、比抵抗は、コバールが4.9x10-5Ωcmであるのに対し、タングステンは5.4x10-5Ωcm、モリブデンは5.7x10-5Ωcmである。そして、熱伝導度は、コバールの17W/mKに対し、タングステンは167W/mK、モリブデンは159W/mKである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記タングステンやモリブデンは、融点が高いため、鋳造等の方法で成形することはできず、粉末を成形して燒結するいわゆる粉末冶金法で製造される。この燒結体は、転打加工及び線引き加工により棒状に成形して行くが、その加工中に長手方向のクラックや筋が生じやすい。この問題は、高硬度で脆いタングステンにおいてより発生しやすい。
【0008】
封入棒にこの長手方向のクラックや筋が存在すると、ガラスで完全に封止されないため、これらの欠陥を通して放電ランプの管内(内部の圧力は例えば0.1気圧程度である)に大気が流入し、製品不良の一因となっていた。このクラック等の欠陥が大きければ冷陰極管の出荷時の検査で発見できるが、微細なクラックの場合は徐々に空気が侵入するので、ランプがバックライトに組み込まれ、さらに液晶表示装置に組み込まれた段階で不具合が現出するので、損害金額が莫大となる場合もあった。
【0009】
このような問題点により、タングステンやモリブデン封入棒を用いた冷陰極蛍光ランプの信頼性が不足していた。また、タングステンやモリブデン製封入棒は、その製造過程におけるクラックの検査に多大のコストがかかることが、冷陰極蛍光ランプのコストアップの一因となっていた。さらに、タングステン製造工程における高燒結温度や、タングステン及びモリブデン製造における転打や線引き工程もコストアップの一因となっていた。
【0010】
そこで本発明は、コバールと似た熱膨張係数を有し、しかもタングステンやモリブデンに近い比抵抗と熱伝導度を備えた封入棒であって、長手方向のクラック等の欠陥が存在しない封入棒を提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用した。すなわち、本発明にかかる放電ランプ用封入棒は、ガラスバルブの端部に封入されて一方の端部が電極部に接続され他端部に外部リード線が接続される封入棒であって、タングステン及び/又はモリブデンの主成分とし、ニッケル、鉄、銅、コバルトからなる群のうちの1種又は2種以上を重量比で0.01〜10%含有することを特徴としている。
【0012】
この放電ランプ用封入棒は、タングステン及び/又はモリブデンを主成分としながら、製造加工中における転打や線引き工程で導入されるクラック等を排除するもので、転打や線引き工程を経ずに製造することができるものである。
【0013】
この種の封入棒では、封止を確実にするため、相対密度は95%以上、好ましくは98%以上が必要である。そのため、燒結タングステン合金又は燒結モリブデン合金の組成は、比較的低温で高密度の達成しやすい組成、すなわち主成分であるタングステン、モリブデン等と、ニッケル、鉄、銅及びコバルトのうちの1種又は2種以上からなる組成とした。なお、比較的低い燒結温度で高い燒結密度が得られるように、上記ニッケル、鉄、銅、コバルト等の含有量に対し、0.5〜10wt%の燐を含有させておくのが好ましい。実験の結果では、例えばW−3Ni−2Cu合金で、ニッケル、銅の量に対する燐の量を2%とした時、燒結温度を1400℃から1000℃としても、燒結密度が98%となった。なお、燐の量が上記範囲よりも少な過ぎると燒結性の改善効果は得られず、逆に多過ぎると比抵抗が大きくなり、熱伝導度も低下する傾向にあるので、上記範囲が適当である。
【0014】
さらに、タングステン・モリブデン燒結合金の場合は、上記モリブデンと同様に、ニッケル、鉄、銅、コバルト及び燐のうちの1種又は2種以上からなる。なお、モリブデンはタングステンに比べて比較的低温で燒結できるため、場合によっては純モリブデンでも採用可能である。モリブデンの酸化物はガラスに溶け込むので、モリブデンを含む材料はガラスに対する封止性も良好である。
【0015】
これらタングステン合金、モリブデン合金、タングステン・モリブデン合金の選択は、放電ランプに使用するガラスの熱膨張係数に応じて行えばよい。上記ニッケル、鉄、銅、コバルト、燐等の含有量は、総量で0.01〜10wt%とするのが好ましい。なお、この封入棒には電極又はリード線が溶接されるので、この溶接がうまく行われるように、その端部に凸部又は凹部を形成しておくのが好ましい。溶接端部に凸部を形成しておけば、断面積が小さいので溶接が容易であり、バリも生じにくい。また、溶接端部に凹部を形成しておけば、リード線であるジメット線のバリが横に広がることを防止することができ、ガラス巻きが容易になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に表された本発明の実施形態例に基づいて、具体的に説明する。図1は冷陰極蛍光ランプの一部断面図である。この蛍光ランプ1は、例えば外径が約2.6mm、内径が1.6mm、長さが約400mmの直管形である。管形のガラスバルブ2の両端に封入部7が設けられ、この封入部に、先端にカップ状電極3の接合された封入棒4が、熱膨張係数が5〜5.5x10-6/Kのほう珪酸ガラスやアルミノシリケートガラスからなるガラス5で封止されている。
【0017】
封入棒4は、燒結タングステン合金、燒結モリブデン合金(場合によっては燒結モリブデンの使用も可能である)又は燒結タングステン・モリブデン合金からなるもので、以下の説明では、主としてタングステン合金を例にとって説明するが、モリブデン合金等の場合もほぼ同様である。
【0018】
この封入棒4の寸法は、例えば外径が約0.8mmで、長さは約2.4mmである。電極3は、外径1.2mm、内径0.9mmのカップ形で、長さは約3mmであり、封入棒4に抵抗溶接されている。外部リード線6は、ジメット線であり、封入棒4に抵抗溶接されている。
【0019】
この封入棒4は、例えば以下のようにして製造される。まず、タングステン粉末、ニッケル粉末及び銅粉末をVブレンダー中で混合し、その後乾燥する。この混合粉に有機バインダーを加えて混練し、射出成形用のフィードストックを得る。このフィードストックを射出成形機中に投入し、所定の金型中に射出成形する。得られた成形体を水素雰囲気中で700℃まで徐昇温することにより脱脂及び予備燒結する。その後水素雰囲気中で1400℃で燒結することにより、相対密度98%程度の燒結タングステン合金からなる封入棒を得ることができる。
【0020】
【実施例1】
平均粒度1.8ミクロンのタングステン粉末、1.8wt%の平均粒度5ミクロンのカルボニルニッケル粉末及び1.2wt%の平均粒度13ミクロンの電解銅粉末をVブレンダー中で混合した。混合粉末に射出成形用の有機バインダーであるエチレンビニルアセテート・ブチルメタアクリレート・ポリスチレンの共重合体、パラフィンワックス、フタル酸ブチル、ステアリン酸を加えて混練し、金属粉末射出成形用のフィードストックとした。これを射出成形機に投入し、150〜160℃に加熱後、所定の金型中に射出成形した。得られた成形体の寸法は、直径1.04mm、長さ3.12mmであった。
【0021】
得られた成形体を水素雰囲気中1400℃で1時間燒結し、直径0,8mm、長さ2.4mmの燒結体を得た。得られた燒結体の相対密度は98.5%であった。コーナー部を丸めるため、及び成形時のバリや燒結時の付着物を除くため、燒結体をバレル処理する場合もある。
【0022】
得られた燒結タングステン合金の熱膨張係数は、4.8x10-6/Kとコバールと従来製法のタングステンの中間値であり、ガラス封止状支障はなかった。また比抵抗は9x10-5/Ωcmで、熱伝導度は110W/mKであり、コバールに比べるとはるかに優れていた。
【0023】
得られた封入棒4の両端に、外径1.6mm、内径1.4mmで長さ4mmのカップ状のニッケル電極、及び外部リード線であるジメット線6を抵抗溶接した。従来製法のタングステンを使用した場合の抵抗溶接の不良率は0.7%であったが、本合金を使用した場合、0.2%に低下した。本燒結タングステン合金の金属組織は、タングステン相及びタングステンに比べ低融点のニッケル−銅−タングステンからなるマトリックスから構成されているため、抵抗溶接性が純タングステンのそれと比べて優れている。その後、封着部に無酸化雰囲気中でヒータにより加熱してほう珪酸ガラスで溶着した。ガラス巻き部の長さは2mmで、外径は2mm程度であった。
【0024】
【実施例2】
平均粒度1.8ミクロンのタングステン粉末、3wt%の平均粒度5ミクロンのカルボニルニッケル粉末、2wt%の平均粒度13ミクロンの電解銅粉末及び0.1wt%の赤燐粉末をアトライター中でエチルアルコールと共に混合した。混合時にプレス成形用の有機バインダーであるPVP及びステアリン酸を合計1.5wt%添加した。混合後スラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒し造粒粉を得た。造粒粉を所定のプレス金型中でプレス成形した。得られた成形体の寸法は、直径1.2mm、長さ3mmであった。
【0025】
得られた成形体を水素雰囲気中で600℃まで徐昇温し、脱脂及び予備燒結した。その後水素雰囲気中1000℃で1時間燒結し、直径1mm、長さ2.5mmの燒結体を得た。得られた燒結体の相対密度は98%であった。コーナー部を丸めるため、及び成形時のバリや燒結時の付着物を除くため、燒結体をバレル処理する場合もある。
【0026】
得られた燒結タングステン合金の熱膨張係数は、5.5x10-6/Kと従来製法のタングステンのそれとほぼ同一であり、ガラス封止上支障はなかった。また比抵抗は1.5x10-5/Ωcmで、熱伝導度は75W/mKであり、コバールの比抵抗4.9x10-5/Ωcm、及び熱伝導度17W/mKに比べるとはるかに優れていた。
【0027】
得られた封入棒4の両端に、外径1.6mm、内径1.4mmで長さ4mmのカップ状のニッケル電極3、及び外部リード線であるジメット線6を抵抗溶接した。従来製法のタングステンを使用した場合の抵抗溶接の不良率は0.7%であったが、本合金を使用した場合、0.15%に低下した。本燒結タングステン合金の金属組織は、タングステン相とニッケル−銅−燐−タングステンからなるマトリックスから構成されているため、抵抗溶接性が純タングステンのそれと比べて優れている。その後、封着部に無酸化雰囲気中でヒータにより加熱してほう珪酸ガラス5で溶着した。ガラス巻き部の長さは2mmで、外径は2.2mm程度であった。
【0028】
【参考例1】
平均粒度1.2ミクロンのモリブデン粉末にプレス成形用の有機バインダーであるPVP及びステアリン酸を合計1.5wt%をエチルアルコールとともに添加した。添加後、スラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒し造粒粉を得た。造粒粉を所定のプレス金型中でプレス成形した。得られた成形体の寸法は、直径1.2mm、長さ3mmであった。
【0029】
得られた成形体を水素雰囲気中で800℃まで徐昇温し、脱脂及び予備燒結した。その後水素雰囲気中1900℃で1時間燒結し、直径1mm、長さ2.5mmの燒結体を得た。得られた燒結体の相対密度は96%であった。コーナー部を丸めるため、及び成形時のバリや燒結時の付着物を除くため、燒結体をバレル処理する場合もある。
【0030】
得られた燒結モリブデンの熱膨張係数は、5.8x10-6/Kと従来製法のモリブデンのそれとほぼ同一であり、ガラス封止上支障はなかった。また比抵抗は、6x10-5/Ωcmで、熱伝導度は、140W/mKであり、コバールの比抵抗4.9x10-5/Ωcm、及び熱伝導度17W/mKに比べるとはるかに優れていた。
【0031】
得られた封入棒4の両端に、外径1.6mm、内径1.4mmで長さ5mmのカップ状のニッケル電極3、及び外部リード線であるジメット線6を抵抗溶接した。その後、封着部に無酸化雰囲気中でヒータにより加熱してアルミノほう珪酸ガラス5で溶着した。ガラス巻き部の長さは2mmで、外径は2.2mm程度であった。
【0032】
【実施例3】
平均粒度2.2ミクロンのタングステン粉末、5wt%の平均粒度6ミクロンのカルボニルニッケル粉末、2wt%の平均粒度9ミクロンのカルボニル鉄粉末、及び1wt%の平均粒度1.6ミクロンのコバルト粉末をアトライター中で混合した。混合粉末に射出成形用の有機バインダーであるエチレンビニルアセテート・ブチルメタアクリレート・ポリスチレンの共重合体、パラフィンワックス、フタル酸ブチル、ステアリン酸を加えて混練し、金属粉末射出成形用のフィードストックとした。これを射出成形機に投入し、150〜160℃に加熱後、所定の金型中に射出成形した。得られた成形体の寸法は、直径1.04mm、長さ3.77mmであった。
【0033】
得られた成形体を水素雰囲気中で700℃まで徐昇温し、脱脂及び予備燒結した。その後水素雰囲気中1400℃で1時間燒結し、直径0.8mm、長さ2.9mmの燒結体を得た。得られた燒結体の相対密度は98.5%であった。コーナー部を丸めるため、及び成形時のバリや燒結時の付着物を除くため、燒結体をバレル処理する場合もある。
【0034】
得られた燒結タングステン合金の熱膨張係数は、5.7x10-6/Kとコバールのそれと類似しており、ガラス封止上支障はなかった。また比抵抗は1.5x10-5/Ωcm、熱伝導度は、65W/mKであり、コバールの比抵抗4.9x10-5/Ωcm、熱伝導度17W/mKに比べるとはるかに優れていた。
【0035】
得られた封入棒4の両端に、外径1.6mm、内径1.4mmで長さ5mmのカップ状のニッケル電極3、及び外部リード線であるジメット線6を抵抗溶接した。従来製法のタングステンを使用した場合の抵抗溶接の不良率は0.7%であったが、本合金を使用した場合、0.2%に低下した。本燒結タングステン合金の金属組織は、タングステン相とニッケル−鉄−コバルト−タングステンからなるマトリックスから構成されているため、抵抗溶接性が純タングステンのそれと比べて優れている。さらに、従来法と異なり、燒結体をそのまま使用するため、図3に示すように、断面積を減少させて抵抗溶接性を向上させるための凸部4a(又は凹部)を端面に形成することが容易である。また、図4に示すように、封入棒4の端部に凹部4b(凹部の周縁部の肉厚は例えば0.1〜0.2mmで、凹部の深さは0.1〜0.5mm程度である)を形成しておけば、ジメット線6のバリの横方向への広がりを防止でき、ガラス巻きが容易になるという利点がある。燒結体である封入棒4には、その後、封着部に無酸化雰囲気中でヒータにより加熱してほう珪酸ガラスで溶着した。ガラス巻き部の長さは2mmで、外径は2mm程度であった。
【0036】
【実施例4】
平均粒度2.2ミクロンのモリブデン粉末、4wt%のカルボニルニッケル粉末及び2wt%の銅粉末をVブレンダー中で混合した。この混合粉末に押し出し成形用の有機バインダーであるメチルセルロース及び流動パラフィンを加え、水とともにニーダー中で混練した。混練体をプランジャータイプの押し出し成形機中に入れ、直径1.2mmに押し出し成形した。成形体は、ダイス出口で所定の長さに切断した。得られた成形体の寸法は、直径1.2mm、長さ3.7mmであった。
【0037】
得られた成形体を大気中30℃で8時間乾燥させ、その後水素雰囲気中で800℃まで徐昇温し、脱脂及び予備燒結した。その後水素雰囲気中1400℃で1時間燒結し、直径0.9mm、長さ2.8mmの燒結体を得た。得られた燒結体の相対密度は98%であった。コーナー部を丸めるため、及び成形時のバリや燒結時の付着物を除くため、燒結体をバレル処理する場合もある。
【0038】
得られた燒結モリブデン合金の熱膨張係数は、6.1x10-6/Kと従来製法のモリブデンのそれとほぼ同一であり、ガラス封止上支障はなかった。また比抵抗は7x10-5/Ωcm、熱伝導度は95W/mKであり、コバールの比抵抗4.9x10-5/Ωcm、及び熱伝導度17W/mKに比べるとはるかに優れていた。
【0039】
得られた封入棒4の両端に、外径1.6mm、内径1.4mmで長さ5mmのカップ状のニッケル電極3、及び外部リード線であるジメット線6を抵抗溶接した。その後、封着部に無酸化雰囲気中でヒータにより加熱してアルミノほう珪酸ガラス5で溶着した。ガラス巻き部の長さは2mmで、外径は2.2mm程度であった。
【0040】
【実施例5】
平均粒度2.2ミクロンのモリブデン粉末に0.2wt%のニッケル相当の硝酸ニッケルをアルコールに溶解して添加し、混合後アルコール分を乾燥させた。乾燥後、水素雰囲気中650℃で硝酸根を還元除去した。この粉末にプレス成形用の有機バインダーであるPVA及びステアリン酸を合計1.5wt%をエチルアルコールとともに添加した。添加後スラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒し、造粒粉を得た。この造粒粉を所定のプレス金型中でプレス成形した。得られた成形体の寸法は、直径1.2mm、長さ3.36mmであった。
【0041】
得られた成形体を水素雰囲気中で800℃まで徐昇温し、脱脂及び予備燒結した。その後水素雰囲気中1700℃で1時間燒結し、直径1mm、長さ2.8mmの燒結体を得た。得られた燒結体の相対密度は98%であった。コーナー部を丸めるため、及び成形時のバリや燒結時の付着物を除くため、燒結体をバレル処理する場合もある。
【0042】
得られた燒結モリブデン合金の熱膨張係数は、5.9x10-6/Kと従来製法のモリブデンのそれとほぼ同一であり、ガラス封止上支障はなかった。また比抵抗は7x10-5/Ωcm、熱伝導度は120W/mKであり、コバールの比抵抗4.9x10-5/Ωcm、及び熱伝導度17W/mKに比べるとはるかに優れていた。
【0043】
得られた封入棒4の両端に、外径1.6mm、内径1.4mmで長さ4.5mmのカップ状のニッケル電極3、及び外部リード線であるジメット線6を抵抗溶接した。その後、封着部に無酸化雰囲気中でヒータにより加熱してアルミノほう珪酸ガラスで溶着した。ガラス巻き部の長さは2mmで、外径は2.2mm程度であった。
【0044】
【実施例6】
平均粒度1.5ミクロンのタングステン粉末に0.02wt%のニッケル相当の硝酸ニッケルをアルコールに溶解して添加し、混合後アルコール分を乾燥させた。乾燥後、水素雰囲気中650℃で硝酸根を還元除去した。この粉末にプレス成形用の有機バインダーであるPVA及びステアリン酸を合計1.5wt%をエチルアルコールとともに添加した。添加後スラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒し、造粒粉を得た。この造粒粉を所定のプレス金型中でプレス成形した。得られた成形体の寸法は、直径1.0mm、長さ3.37mmであった。
【0045】
得られた成形体を水素雰囲気中で800℃まで徐昇温し、脱脂及び予備燒結した。その後水素雰囲気中1800℃で1時間燒結し、直径0.8mm、長さ2.7mmの燒結体を得た。得られた燒結体の相対密度は98.5%であった。コーナー部を丸めるため、及び成形時のバリや燒結時の付着物を除くため、燒結体をバレル処理する場合もある。
【0046】
得られた燒結体の熱膨張係数は、4.7x10-6/Kと従来製法のタングステンのそれとほぼ同一であり、ガラス封止上支障はなかった。また比抵抗は、5.8x10-6/Ωcm、熱伝導度は、130W/mKであり、コバールの比抵抗4.9x10-5/Ωcm、及び熱伝導度17W/mKに比べるとはるかに優れていた。
【0047】
得られた封入棒4の両端に、外径1.6mm、内径1.4mmで長さ4.5mmのカップ状のニッケル電極3、及び外部リード線であるジメット線6を抵抗溶接した。その後、封着部に無酸化雰囲気中でヒータにより加熱してアルミノほう珪酸ガラスで溶着した。ガラス巻き部の長さは2mmで、外径は2.0mm程度であった。
【0048】
【実施例7】
平均粒度2.2ミクロンのタングステン粉末、5wt%の平均粒度6ミクロンのカルボニルニッケル粉末、3wt%の平均粒度9ミクロンのカルボニル鉄粉末をアトライター中で混合した。混合粉末に射出成形用の有機バインダーであるエチレンビニルアセテート・ブチルメタアクリレート・ポリスチレンの共重合体、パラフィンワックス、フタル酸ブチル、ステアリン酸を加えて混練し、金属粉末射出成形用のフィードストックとした。これを射出成形機に投入し、150〜160℃に加熱後、所定の金型中に射出成形した。得られた成形体の寸法は、直径1.04mm、長さ3.77mmであった。
【0049】
得られた成形体を水素雰囲気中で700℃まで徐昇温し、脱脂及び予備燒結した。その後水素雰囲気中1400℃で1時間燒結し、直径0.8mm、長さ2.9mmの燒結体を得た。得られた燒結体の相対密度は99%であった。コーナー部を丸めるため、及び成形時のバリや燒結時の付着物を除くため、燒結体をバレル処理する場合もある。
【0050】
得られた燒結タングステン合金の熱膨張係数は、5.6x10-6/Kとコバールのそれと類似しており、ガラス封止上支障はなかった。また比抵抗は1.4x10-5/Ωcm、熱伝導度は68W/mKであり、コバールの比抵抗4.9x10-5/Ωcm、熱伝導度17W/mKに比べるとはるかに優れていた。
【0051】
得られた封入棒4の両端に、外径1.6mm、内径1.4mmで長さ5mmのカップ状のニッケル電極3、及び外部リード線であるジメット線6を抵抗溶接した。従来製法のタングステンを使用した場合の抵抗溶接の不良率は0.7%であったが、本合金を使用した場合、0.2%に低下した。本燒結タングステン合金の金属組織は、タングステン相とニッケル−鉄−タングステンからなるマトリックスから構成されているため、抵抗溶接性が純タングステンのそれと比べて優れている。その後、封着部に無酸化雰囲気中でヒータにより加熱してほう珪酸ガラスで溶着した。ガラス巻き部の長さは2mmで、外径は2mm程度であった。
【0052】
【実施例8】
平均粒度1.5ミクロンのタングステン粉末に0.3wt%のニッケル相当の硝酸ニッケルをアルコールに溶解して添加し、混合後アルコール分を乾燥させた。乾燥後、水素雰囲気中650℃で硝酸根を還元除去した。この粉末にプレス成形用の有機バインダーであるPVA及びステアリン酸を合計1.5wt%をエチルアルコールとともに添加した。添加後スラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒し、造粒粉を得た。この造粒粉を所定のプレス金型中でプレス成形した。得られた成形体の寸法は、直径1.0mm、長さ3.37mmであった。
【0053】
得られた成形体を水素雰囲気中で800℃まで徐昇温し、脱脂及び予備燒結した。その後水素雰囲気中1500℃で1時間燒結し、直径0.8mm、長さ2.7mmの燒結体を得た。得られた燒結体の相対密度は99.5%であった。コーナー部を丸めるため、及び成形時のバリや燒結時の付着物を除くため、燒結体をバレル処理する場合もある。
【0054】
得られた燒結体の熱膨張係数は4.7x10-6/Kと従来製法のタングステンのそれとほぼ同一であり、ガラス封止上支障はなかった。また比抵抗は5.9x10-5/Ωcm、熱伝導度は95W/mKであり、コバールの比抵抗4.9x10-5/Ωcm、及び熱伝導度17W/mKに比べるとはるかに優れていた。
【0055】
得られた封入棒4の両端に、外径1.6mm、内径1.4mmで長さ4.5mmのカップ状のニッケル電極3、及び外部リード線であるジメット線6を抵抗溶接した。その後、封着部に無酸化雰囲気中でヒータにより加熱してアルミノほう珪酸ガラスで溶着した。ガラス巻き部の長さは2mmで、外径は2.0mm程度であった。
【0056】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる燒結タングステン合金、燒結モリブデン合金及び燒結タングステン・モリブデン合金は、コバールや従来製法のタングステン、モリブデン等とほぼ同程度の熱膨張係数を有するので、ガラス封止性に問題はない。
【0057】
また、転打及び線引き工程を経ず、燒結上りの状態であることにより、これらの工程で導入される長手方向のクラックや筋が発生しない。このため、クラックチェックのための探傷検査や目視検査のコストが不要であり、低コスト化を図ることができる。
【0058】
さらに、従来のタングステン棒、モリブデン棒の製法に比べて燒結温度が低いので、炉の構造が比較的簡単ですむのみならず、炉の耐久性が向上するので、燒結設備を安価に構成することができる。しかも転打工程や線引き工程が不要であるから、製造コストも低減することができる。また、タングステン及び/又はモリブデンにニッケル、鉄、コバルト、銅のうちの1種又は2種以上を添加した合金は、純タングステン、純モリブデンに比べて低融点の相を含むので、抵抗溶接性に優れるという利点もあるものとなった。
【0059】
なお、封入棒の端部に凸部を形成しておくと、抵抗溶接時に確実な溶融が保証され、抵抗溶接の信頼性が向上する。また、封入棒の端部に凹部を形成しておくと、溶接によって生じるバリの横方向への広がりを防止でき、ガラス巻きが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】放電ランプの一部断面図である。
【図2】封入棒の1例を表す外観図である。
【図3】上記と異なる実施形態を表す外観図である。
【図4】さらに異なる実施形態を表す一部断面図である。
【符号の説明】
1 放電ランプ
2 ガラスバルブ
3 電極
4 封入棒
4a 凸部
4b 凹部
5 ガラス
6 外部リード線
Claims (4)
- ガラスバルブの端部に封入されて一方の端部が電極部に接続され他端部に外部リード線が接続される封入棒であって、タングステン及び/又はモリブデンを主成分とし、ニッケル、鉄、銅、コバルトからなる群のうちの1種又は2種以上を重量比で0.01〜10%含有することを特徴とする放電ランプ用封入棒。
- 端部に(i)溶接時に溶融する凸部又は(ii)凹部が形成されている請求項1に記載の放電ランプ用封入棒。
- ニッケルを重量比で0.01〜7%含有する請求項1又は2に記載の放電ランプ用封入棒。
- ニッケル、鉄、銅、コバルトからなる群のうちの1種又は2種以上の含有量に対し、重量比で0.5〜10%の燐を含有する請求項1乃至3のいずれかに記載の放電ランプ用封入棒。
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