JP4234823B2 - Optical compensation sheet and liquid crystal display device - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロースの低級脂肪酸エステルフイルム用レターデーション上昇剤を用いた光学補償シートと液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
セルロースの低級脂肪酸エステルフイルム、特にセルロースアセテートフイルムは、その強靭性と難燃性から各種の写真材料や光学材料に用いられている。セルロースエステルフイルムは、代表的な写真感光材料の支持体である。また、セルロースエステルフイルムは、液晶表示装置にも用いられている。セルロースエステルフイルムには、他のポリマーフイルムと比較して、光学的等方性が高い(レターデーション値が低い)との特徴がある。従って、光学的等方性が要求される液晶表示装置の素子、例えば偏光素子の保護フイルムやカラーフィルターには、セルロースエステルフイルムを用いることが普通である。
逆に、別の液晶表示装置の素子である光学補償シート(位相差フイルム)は、高いレターデーション値が要求される。従って、光学補償シートとしては、ポリカーボネートフイルムやポリスルホンフイルムのようなレターデーション値が高い合成ポリマーフイルムを用いることが普通である。合成ポリマーフイルムからなる光学補償シートとは別に、透明支持体上にディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層を設けた光学補償シートも提案されている(特開平3−9325号、同6−148429号、同8−50206号、同9−26572号の各公報記載)。光学補償シートに要求される高いレターデーション値は、ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層により達成する。これに対して、透明支持体には、高い光学的等方性(低いレターデーション値)が要求されるため、セルロースエステルフイルムが普通に用いられている。
【0003】
従来のディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートは、主にTFT用のTN(Twisted Nematic )モードの液晶セルを光学補償するように設計されている。そのような光学補償シートを、VA(Vertically Aligned)モード、OCB(Optically Compensatory Bend )モードあるいはHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードの液晶セルに用いても対応できない(光学補償できない)問題が生じる。
そこで、光学補償シートの支持体も光学的異方性にして、ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層の光学的異方性と協調して、VAモード、OCBモードあるいはHANモードの液晶セルに対応する(光学補償する)ことが考えられる。ポリカーボネートフイルムやポリスルホンフイルムのようなレターデーション値が高い合成ポリマーフイルムは、光学的異方性支持体として用いることができる。しかし、そのような合成ポリマーフイルムは、支持体としての機能(物性や塗布層との親和性)が貧弱である。そのため、支持体としての機能が優れている(ただし、レターデーション値が低い)セルロースエステルフイルムとレターデーション値が高い合成ポリマーフイルムとを貼り合わせた積層体を、光学的異方性支持体として用いることが望ましいとされる。
以上のように光学補償シートのような、光学材料の技術分野では、光学的異方性(高いレターデーション値)が要求される場合には合成ポリマーフイルムを使用し、光学的等方性(低いレターデーション値)が要求される場合にはセルロースエステルフイルムを使用することが一般的な原則である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、従来の一般的な原則を覆して、光学的異方性(高いレターデーション値)が要求される用途に、セルロースエステルフイルムを使用することを検討した。セルロースエステルフイルムは、合成ポリマーフイルムと比較して、支持体としての機能が優れている。光学的異方性が高い(高いレターデーション値を有する)セルロースエステルフイルムが得られれば、光学的異方性が要求される光学補償シートの用途においても、セルロースエステルフイルムを使用することができる。
ただし、従来の技術では、レターデーション値が低いセルロースエステルフイルムが優れたセルロースエステルフイルムであるとされていた。そのため、セルロースエステルフイルムのレターデーション値を低くする手段については詳細に検討されていても、レターデーション値を高くする手段についてはほとんど検討されていていなかった。
【0005】
そこで、本発明者は、セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムのレターデーションを上昇させる機能を有する化合物(レターデーション上昇剤)について、研究および調査を行った。
発明の目的は、レターデーション値が高いセルロースの低級脂肪酸エステルフイルムを用いた光学補償シートを提供することである。
さらに、本発明の目的は、支持体としての性質が優れたセルロースエステルフイルムを光学補償シートとして使用した液晶表示装置を提供することでもある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(5)、(9)〜(12)の光学補償シートおよび下記(6)〜(8)、(13)〜(15)の液晶表示装置により達成された
【0007】
(1)セルロースの低級脂肪酸エステル100重量部に対して、芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環が−CO−を介して結合している分子構造を有する化合物を0.3乃至20重量部含み、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth550)が70乃至400nmであるセルロースの低級脂肪酸エステルフイルムの上にディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層が設けられている光学補償シート。
(2)VAモードの液晶セル用である(1)に記載の光学補償シート。
(3)二つの芳香族環がいずれも芳香族炭化水素環である(1)に記載の光学補償シート。
(4)セルロースの低級脂肪酸エステルがセルロースアセテートである(1)に記載の光学補償シート。
(5)セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムが、40乃至120μmの厚さを有する(1)に記載の光学補償シート。
【0008】
(6)二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した液晶表示装置であって、光学補償シートがセルロースの低級脂肪酸エステル100重量部に対して、芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環が−CO−を介して結合している分子構造を有する化合物を0.3乃至20重量部含み、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth550)が70乃至400nmであるセルロースの低級脂肪酸エステルフイルムからなり、セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムの液晶セル側に、ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層が設けられていることを特徴とする液晶表示装置。
(7)光学補償シートと液晶セルがそれぞれ配向膜を有し、光学補償シートの配向膜のラビング方向と液晶セルの配向膜のラビング方向とが、実質的に平行または逆平行になるように配置する(6)に記載の液晶表示装置。
(8)液晶セルが、VAモードの液晶セルである(6)に記載の液晶表示装置。
(9)セルロースの低級脂肪酸エステル100重量部に対して、ベンゾトリアゾール環を含む分子構造を有する化合物を0.3乃至20重量部含み、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth550)が70乃至400nmであるセルロースの低級脂肪酸エステルフイルムの上にディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層が設けられている光学補償シート。
(10)VAモードの液晶セル用である(9)に記載の光学補償シート。
(11)セルロースの低級脂肪酸エステルがセルロースアセテートである(9)に記載の光学補償シート。
(12)セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムが、40乃至120μmの厚さを有する(9)に記載の光学補償シート。
(13)二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した液晶表示装置であって、光学補償シートがセルロースの低級脂肪酸エステル100重量部に対して、ベンゾトリアゾール環を含む分子構造を有する化合物を0.3乃至20重量部含み、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth550)が70乃至400nmであるセルロースの低級脂肪酸エステルフイルムからなり、セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムの液晶セル側に、ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層が設けられていることを特徴とする液晶表示装置。
(14)光学補償シートと液晶セルがそれぞれ配向膜を有し、光学補償シートの配向膜のラビング方向と液晶セルの配向膜のラビング方向とが、実質的に平行または逆平行になるように配置する(13)に記載の液晶表示装置。
(15)液晶セルが、VAモードの液晶セルである(13)に記載の液晶表示装置。
さらに、本発明は、下記(16)の光学補償シートと(17)の液晶表示装置を提供する。
(16)波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth 550 )が70乃至400nmであるセルロースの低級脂肪酸エステルフイルムからなり、ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層が設けられているVAモードの液晶セルの光学補償シート。
(17)二枚の電極基板の間に液晶を担持してなるVAモードの液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した液晶表示装置であって、光学補償シートが波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth 550 )が70乃至400nmであるセルロースの低級脂肪酸エステルフイルムからなり、セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムの液晶セル側に、ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層が設けられていることを特徴とする液晶表示装置。
【0009】
【発明の効果】
本発明者の研究により、芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環が−CO−を介して結合している分子構造を有する化合物またはベンゾトリアゾール環を含む分子構造を有する化合物は、セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムのレターデーションを上昇させる機能を有することが判明した。セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムの紫外線吸収剤や可塑剤の例には、上記のような芳香族性化合物が含まれている。しかし、それらの化合物は、紫外線吸収剤や可塑剤としての機能を満足する量(フイルムのレターデーションが顕著に上昇しない範囲の量)で使用されており、フイルムのレターデーションを上昇させる目的で使用することはなかった。
セルロースの低級脂肪酸エステル100重量部に対して、上記の芳香族性化合物を0.3乃至20重量部添加すると、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth550)が70乃至400nmであるセルロースの低級脂肪酸エステルフイルムが得られる。支持体上にディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層が設けられている光学補償シートにおいて、高いレターデーション値を有するセルロースエステルフイルムを支持体として用いることもできる。
高いレターデーション値を有するセルロースエステルフイルムを支持体とし、その上にディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層を設けた光学補償シートは、VA(Vertically Aligned)型の液晶表示装置に、特に有利に用いることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
[レターデーション上昇剤]
本発明では、芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環が−CO−を介して結合している分子構造を有する化合物またはベンゾトリアゾール環を含む分子構造を有する化合物を、セルロースの低級脂肪酸エステルフイルム用レターデーション上昇剤として使用する。
本明細書において、「セルロースの低級脂肪酸エステルフイルム用レターデーション上昇剤」とは、ブリードアウトのような多量添加による問題を生じない範囲の量で使用した場合に、セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムのレターデーション(具体的には、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値=Rth550)を、無添加の場合の2倍以上(通常は、2倍乃至10倍)に上昇させる機能を有する化合物を意味する。レターデーションが充分に上昇し、多量添加による問題を生じない範囲の量は、一般に、セルロースの低級脂肪酸エステル100重量部に対して、0.3乃至20重量部である。レターデーション上昇剤の使用により得られる、セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムの波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値は、一般に70乃至400nmである。
【0011】
明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましい。
【0012】
レターデーション上昇剤が有する芳香族環の数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至12であることがより好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至6であることが最も好ましい
【0013】
二つの芳香族環の結合関係は、ベンゾトリアゾール環を形成する場合および−CO−を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。レターデーション上昇機能の観点では、いずれでもよい。
【0014】
−CO−は、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい
【0015】
芳香族環(ベンゾトリアゾール環を含む)は、置換基を有していてもよい
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
【0016】
アルキル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセニルが含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
【0017】
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノおよびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0018】
アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドおよびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチルカルバモイルが含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノおよびモルホリノが含まれる。
【0019】
レターデーション上昇剤の分子量は、300乃至800であることが好ましい。レターデーション上昇剤の沸点は、260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定できる。
以下に、レターデーション上昇剤の具体例を示す。なお、各具体例において、芳香族環の芳香族性は、○印で示す。
【0020】
【化1】

Figure 0004234823
【0021】
【化2】
Figure 0004234823
【0022】
【化3】
Figure 0004234823
【0023】
【化4】
Figure 0004234823
【0024】
【化5】
Figure 0004234823
【0025】
【化6】
Figure 0004234823
【0026】
【化7】
Figure 0004234823
【0027】
【化8】
Figure 0004234823
【0028】
【化9】
Figure 0004234823
【0029】
【化10】
Figure 0004234823
【0030】
【化11】
Figure 0004234823
【0031】
【化12】
Figure 0004234823
【0032】
【化13】
Figure 0004234823
【0033】
【化14】
Figure 0004234823
【0034】
【化15】
Figure 0004234823
【0035】
【化16】
Figure 0004234823
【0036】
【化17】
Figure 0004234823
【0037】
【化18】
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【0038】
【化19】
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【0039】
【化20】
Figure 0004234823
【0040】
【化21】
Figure 0004234823
【0041】
【化22】
Figure 0004234823
【0042】
【化23】
Figure 0004234823
【0043】
【化24】
Figure 0004234823
【0044】
【化25】
Figure 0004234823
【0045】
【化26】
Figure 0004234823
【0046】
【化27】
Figure 0004234823
【0047】
【化28】
Figure 0004234823
【0048】
【化29】
Figure 0004234823
【0049】
【化30】
Figure 0004234823
【0050】
【化31】
Figure 0004234823
【0051】
【化32】
Figure 0004234823
【0052】
【化33】
Figure 0004234823
【0053】
【化34】
Figure 0004234823
【0054】
【化35】
Figure 0004234823
【0055】
【化36】
Figure 0004234823
【0056】
[セルロースの低級脂肪酸エステル]
低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
【0057】
セルロースアセテートの平均酢化度(アセチル化度)は、55.0%以上62.5%未満であることが好ましい。フイルムの物性の観点では、平均酢化度は、58.0%以上62.5%未満であることがさらに好ましい。ただし、平均酢化度が55.0%以上58.0%未満(好ましくは57.0%以上58.0%未満)であるセルロースアセテートを用いると、非常に高いレターデーション値のフイルムを製造することができる。
【0058】
酢化度とは、セルロース単位重量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
【0059】
セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
【0060】
また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが好ましく、1.3乃至1.65であることがさらに好ましく、1.4乃至1.6であることが最も好ましい。
【0061】
[フイルムのレターデーション値]
セルロースエステルフイルムの厚み方向のレターデーション値は、厚み方向の複屈折率にフイルムの厚みを乗じた値である。具体的には、測定光の入射方向をフイルム膜面に対して鉛直方向として、遅相軸を基準とする面内レターデーションの測定結果と、入射方向をフイルム膜面に対する鉛直方向に対して傾斜させた測定結果から外挿して求める。測定は、エリプソメーター(例えば、M−150:日本分光(株)製)を用いて実施できる。
【0062】
厚み方向のレターデーション値(Rth)と面内レターデーション値(Re)とは、それぞれ下記式(1)および(2)に従って算出する。
【0063】
式(1)
厚み方向のレターデーション値(Rth)={(nx+ny)/2−nz}×d
式(2)
面内レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d
【0064】
式中、nxはフイルム平面内のx方向の屈折率であり、nyはフイルム平面内のy方向の屈折率であり、nzはフイルム面に垂直な方向の屈折率であり、そしてdはフイルムの厚み(nm)である。
【0065】
本発明では、フイルムの波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth 550 )を、70乃至400nmに調整する。厚み方向のレターデーション値は、100乃至400nmであることが好ましく、150乃至400nmであることがより好ましく、200乃至400nmであることがさらに好ましく、200乃至300nmであることがさらにより好ましく、200乃至250nmであることが最も好ましい。
【0066】
また、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth 550 )を基準値(=1)とするRthの分布の傾き(a)の絶対値は、0.0012未満であることが好ましい。Rthの分布の傾き(a)は、波長400nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth 400 )、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth 550 )および波長700nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth 700 )の三点の測定データから、下記式(3)に従って算出する。
【0067】
式(3)
Rthの分布の傾き(a)=|Rth 700 −Rth 400 |/300Rth 550
【0068】
従って、Rth 400 、Rth 550 およびRth 700 は、下記式(11)を満足することが好ましい。
【0069】
式(11)
|Rth 700 −Rth 400 |/300Rth 550 <0.0012
【0070】
Rth 400 、Rth 550 およびRth 700 は、下記式(13)を満足することがより好ましい。
【0071】
式(13)
−0.0012<(Rth 700 −Rth 400 )/300Rth 550 <0.0006
【0072】
さらに、波長550nmにおける面内レターデーション値(Re 550 )を基準値(=1)とするReの分布の傾き(b)の絶対値は、0.002未満であることが好ましい。Reの分布の傾き(b)は、波長400nmにおける面内レターデーション値(Re 400 )、波長550nmにおける面内レターデーション値(Re 550 )および波長700nmにおける面内レターデーション値(Re 700 )の三点の測定データから、下記式(4)に従って算出する。
【0073】
式(4)
Reの分布の傾き(b)=|Re 700 −Re 400 |/300Re 550
【0074】
従って、Re 400 、Re 550 およびRe 700 は、下記式(12)を満足することが好ましい。
【0075】
式(12)
|Re 700 −Re 400 |/300Re 550 <0.002
【0076】
Re 400 、Re 550 およびRe 700 は、下記式(14)を満足することがより好ましい。
【0077】
式(14)
−0.002<(Rth 700 −Rth 400 )/300Rth 550 <0.001
【0078】
[有機溶媒]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースエステルフイルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロースエステルを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。
【0079】
有機溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
【0080】
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0081】
炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
【0082】
炭素原子数が3乃至12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
【0083】
炭素原子数が3乃至12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる
【0084】
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
【0085】
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、30乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
【0086】
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0087】
特に好ましい有機溶媒は、互いに異なる三種類の溶媒の混合溶媒であって、第1の溶媒が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれ、第2の溶媒が炭素原子数が1乃至5の直鎖状一価アルコールから選ばれ、そして第3の溶媒が沸点が30乃至170℃のアルコールおよび沸点が30乃至170℃の炭化水素から選ばれる。
【0088】
第1の溶媒のエーテル、ケトン、エステルおよびハロゲン化炭化水素については、前述した通りである。
【0089】
第2の溶媒は、炭素原子数が1乃至5の直鎖状一価アルコールから選ばれる。アルコールの水酸基は、炭化水素直鎖の末端に結合してもよいし(第一級アルコール)、中間に結合してもよい(第二級アルコール)。第2の溶媒は、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノールおよび3−ペンタノールから選ばれる。直鎖状一価アルコールの炭素原子数は、1乃至4であることが好ましく、1乃至3であることがさらに好ましく、1または2であることが最も好ましい。エタノールが特に好ましく用いられる。
【0090】
第3の溶媒は、沸点が30乃至170℃のアルコールおよび沸点が30乃至170℃の炭化水素から選ばれる。
【0091】
アルコールは一価であることが好ましい。アルコールの炭化水素部分は、直鎖であっても、分岐を有していても、環状であってもよい。炭化水素部分は、飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。
【0092】
アルコールの例には、メタノール(沸点:64.65℃)、エタノール(78.325℃)、1−プロパノール(97.15℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−ブタノール(117.9℃)、2−ブタノール(99.5℃)、t−ブタノール(82.45℃)、1−ペンタノール(137.5℃)、2−メチル−2−ブタノール(101.9℃)およびシクロヘキサノール(161℃)が含まれる。
【0093】
アルコールについては、前記第2の溶媒の定義と重複するが、第2の溶媒として使用するアルコールとは異なる種類のアルコールであれば、第3の溶媒として使用できる。例えば、第2の溶媒として、エタノールを使用する場合は、第2の溶媒の定義に含まれる他のアルコール(メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノールまたは3−ペンタノール)を第3の溶媒として使用してもよい。
【0094】
炭化水素は、直鎖であっても、分岐を有していても、環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい
炭化水素の例には、シクロヘキサン(沸点:80.7℃)、ヘキサン(69℃)、ベンゼン(80.1℃)、トルエン(110.6℃)およびキシレン(138.4〜144.4℃)が含まれる。
【0095】
三種混合溶媒中には、第1の溶媒が50乃至95重量%含まれることが好ましく、60乃至92重量%含まれることがより好ましく、65乃至90重量%含まれることが更に好ましく、70乃至88重量%含まれることが最も好ましい。第2の溶媒は、1乃至30重量%含まれることが好ましく、2乃至27重量%含まれることがより好ましく、3乃至24重量%含まれることがさらに好ましく、4乃至22重量%含まれることが最も好ましい。第3の溶媒は、1乃至30重量%含まれることが好ましく、2乃至27重量%含まれることがより好ましく、3乃至24重量%含まれることがさらに好ましく、4乃至22重量%含まれることが最も好ましい。
さらに他の有機溶媒を併用して、四種以上の混合溶媒としてもよい。四種以上の混合溶媒を用いる場合の4番目以降の溶媒も、前述した三種類の溶媒から選択することが好ましい。前述した三種類の溶媒以外の溶媒して、炭素原子数が3乃至12のエーテル類(例、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール)やニトロメタンを併用してもよい。
【0096】
[溶液の調製(一般的な方法)]
本発明では、冷却溶解法を採用せずに、一般的な方法で溶液を調製することができる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースエステルの量は、得られる溶液中に10乃至40重量%含まれるように調整する。セルロースエステルの量は、10乃至30重量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0乃至40℃)でセルロースエステルと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースエステルと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃である。
【0097】
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0098】
[溶液の調製(冷却溶解法)]
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒(ハロゲン化炭化水素以外の有機溶媒)中にも、セルロースエステルを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースエステルを溶解できる溶媒(例えば、ハロゲン化炭化水素)であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースエステルを撹拌しながら徐々に添加する。
セルロースエステルの量は、この混合物中に10乃至40重量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースエステルの量は、10乃至30重量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0099】
次に、混合物を−100乃至−10℃(好ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースエステルと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
【0100】
さらに、これを0乃至200℃(好ましくは0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースエステルが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0101】
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20重量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの平均酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
【0102】
[フイルムの製造]
調製したセルロースエステル溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースエステルフイルムを製造する。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延した2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。本発明に従い調製した溶液(ドープ)は、この条件を満足する。
製造するフイルムの厚さは、40乃至120μmであることが好ましく、70乃至100μmであることがさらに好ましい。
【0103】
[フイルムの添加剤]
セルロースエステルフイルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25重量%であることが好ましく、1乃至20重量%であることがさらに好ましく、3乃至15重量%であることが最も好ましい。
【0104】
セルロースエステルフイルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1重量%であることが好ましく、0.01乃至0.2重量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01重量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1重量%を越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
なお、平均酢化度が55.0乃至58.0%であるセルロースアセテートは、平均酢化度が58.0%以上であるセルローストリアセテートと比較して、調製した溶液の安定性や製造したフイルムの物性が劣るとの欠点がある。しかし、上記のような劣化防止剤、特にブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)のような酸化防止剤を用いることで、この欠点を実質的に解消することが可能である。
【0105】
[一般的な液晶表示装置の構成]
セルロースエステルフイルムは、様々な用途で用いることができる。本発明のセルロースエステルフイルムは、液晶表示装置の光学補償シートとして用いると特に効果がある。本発明のセルロースエステルフイルムには、厚み方向のレターデーション値が高いとの特徴があるため、フイルムそのものを光学補償シートとして用いることができる。
液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成を有している。
一般的な液晶表示装置の構成について、図1を参照しながら説明する。
【0106】
図1は、一般的な液晶表示装置の断面模式図である。
液晶層(7)は、樹脂基板(5a、5b)の間に設ける。樹脂基板(5a、5b)の液晶側には、透明電極層(6a、6b)が設けられる。以上の液晶層、樹脂基板および透明電極(5〜7)が液晶セルを構成する。
液晶セルの上下に、光学補償シート(4a、4b)が接着されている。本発明のセルロースエステルフイルムは、この光学補償シート(4a、4b)として用いることができる。なお、光学補償シート(4a、4b)は、偏光膜(3a、3b)の保護膜(2a、2b)が設けられていない側を保護する機能も有している。
光学補償シート(4aと4b)の上下には、偏光素子(2a、2b、3a、3b)が設けられている。偏光素子は、保護膜(2a、2b)および偏光膜(3a、3b)からなる。
図1に示す液晶表示装置では、さらに片側の偏光素子の上に表面処理膜(1)が設けられている。表面処理膜(1)が設けられるのは、外から人が見る側である。液晶表示装置のバックライトは、反対側(2bの側)に設けられる。
以下、液晶セル、光学補償シートおよび偏光素子について、さらに説明する。
【0107】
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。
液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。
液晶セルの基板は、一般に80乃至500μmの厚さを有する。
【0108】
光学補償シートは、液晶画面の着色を取り除くための複屈折率フイルムである。本発明のセルロースエステルフイルムそのものを、光学補償シートとして用いることができる。また、液晶表示装置の視野角を改良するため、本発明のセルロースエステルフイルムと、それとは(正/負の関係が)逆の複屈折を示すフイルムを重ねて光学補償シートとして用いてもよい。光学補償シートの厚さの範囲は、前述した本発明のフイルムの好ましい厚さと同じである。
【0109】
偏光素子の偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。いずれの偏光膜も、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。
偏光板の保護膜は、25乃至350μmの厚さを有することが好ましく、50乃至200μmの厚さを有することがさらに好ましい。
図1に示す液晶表示装置のように、表面処理膜を設けてもよい。表面処理膜の機能には、ハードコート、防曇処理、防眩処理および反射防止処理が含まれる。
【0110】
前述したように、支持体の上に液晶(特にディスコティック液晶性分子)を含む光学的異方性層を設けた光学補償シートも提案されている(特開平3−9325号、同6−148429号、同8−50206号、同9−26572号の各公報記載)。本発明のセルロースエステルフイルムは、そのような光学補償シートの支持体としても用いることができる。
【0111】
[ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層]
光学的異方性層は、負の一軸性を有し傾斜配向したディスコティック液晶性分子を含む層であることが好ましい。ディスコティック液晶性分子の円盤面と支持体面とのなす角は、光学的異方性層の深さ方向において変化している(ハイブリッド配向している)ことが好ましい。ディスコティック液晶性分子の光軸は、円盤面の法線方向に存在する。ディスコティック液晶性分子は、光軸方向の屈折率よりも円盤面方向の屈折率が大きな複屈折性を有する。
光学的異方性層は、後述する配向膜によってディスコティック液晶性分子を配向させ、その配向状態のディスコティック液晶性分子を固定することによって形成することが好ましい。ディスコティック液晶性分子は、重合反応により固定することが好ましい。
なお、光学的異方性層には、レターデーション値が0となる方向が存在しない。言い換えると、光学的異方性層のレターデーションの最小値は、0を越える値である。
【0112】
ディスコティック液晶性分子は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性分子は、下記式(I)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0113】
(I)
D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり;Pは重合性基であり;そして、nは4乃至12の整数である。
式(I)の円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LP(またはPL)は、二価の連結基(L)と重合性基(P)との組み合わせを意味する。
【0114】
【化37】
Figure 0004234823
【0115】
【化38】
Figure 0004234823
【0116】
【化39】
Figure 0004234823
【0117】
【化40】
Figure 0004234823
【0118】
【化41】
Figure 0004234823
【0119】
【化42】
Figure 0004234823
【0120】
【化43】
Figure 0004234823
【0121】
式(I)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
【0122】
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(P)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
【0123】
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
【0124】
式(I)の重合性基(P)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(P)の例を以下に示す。
【0125】
【化44】
Figure 0004234823
【0126】
【化45】
Figure 0004234823
【0127】
【化46】
Figure 0004234823
【0128】
【化47】
Figure 0004234823
【0129】
【化48】
Figure 0004234823
【0130】
【化49】
Figure 0004234823
【0131】
重合性基(P)は、不飽和重合性基(P1、P2、P3、P7、P8、P14、P15、P16)またはエポキシ基(P6)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P14、P15、P16)であることが最も好ましい。
式(I)において、nは4乃至12の整数である。具体的な数字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとPの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
二種類以上のディスコティック液晶性分子(例えば、二価の連結基に不斉炭素原子を有する分子と有していない分子)を併用してもよい。
【0132】
光学的異方性層は、ディスコティック液晶性分子、下記の重合性開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成する。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
【0133】
塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
配向させたディスコティック液晶性分子は、配向状態を維持して固定する。固定化は、ディスコティック液晶性分子に導入した重合性基(P)の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
【0134】
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20重量%であることが好ましく、0.5乃至5重量%であることがさらに好ましい。
ディスコティック液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2 乃至50J/cm2 であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
光学的異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましく、1乃至5μmであることが最も好ましい。
【0135】
[配向膜]
配向膜は、光学的異方性層のディスコティック液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。ポリビニルアルコールが、好ましいポリマーである。疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。疎水性基は光学的異方性層のディスコティック液晶性分子と親和性があるため、疎水性基をポリビニルアルコールに導入することで、ディスコティック液晶性分子を均一に配向させることができる。疎水性基は、ポリビニルアルコールの主鎖末端または側鎖に結合させる。
疎水性基は、炭素原子数が6以上の脂肪族基(好ましくはアルキル基またはアルケニル基)または芳香族基が好ましい。
【0136】
ポリビニルアルコールの主鎖末端に疎水性基を結合させる場合は、疎水性基と主鎖末端との間に連結基を導入することが好ましい。連結基の例には、−S−、−C(CN)R1 −、−NR2 −、−CS−およびそれらの組み合わせが含まれる。上記R1 およびR2 は、それぞれ、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基(好ましくは、炭素原子数が1乃至6のアルキル基)である。
ポリビニルアルコールの側鎖に疎水性基を導入する場合は、ポリビニルアルコールの酢酸ビニル単位のアセチル基(−CO−CH3 )の一部を、炭素原子数が7以上のアシル基(−CO−R3 )に置き換えればよい。R3 は、炭素原子数が6以上の脂肪族基または芳香族基である。
市販の変性ポリビニルアルコール(例、MP103、MP203、R1130、クラレ(株)製)を用いてもよい。
配向膜に用いる(変性)ポリビニルアルコールのケン化度は、80%以上であることが好ましい。(変性)ポリビニルアルコールの重合度は、200以上であることが好ましい。
ラビング処理は、配向膜の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。長さおよび太さが均一な繊維を均一に植毛した布を用いることが好ましい。
なお、配向膜を用いてディスコティック液晶性分子を配向させてから、その配向状態のままディスコティック液晶性分子を固定して光学的異方性層を形成し、光学的異方性層のみを支持体上に転写してもよい。配向状態で固定されたディスコティック液晶性分子は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。そのため、光学補償シートでは、配向膜は(ディスコティック液晶性分子を含む光学補償シートの製造において必須ではあるが)必須の要素ではない。
【0137】
[VA型液晶表示装置]
本発明のセルロースエステルフイルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。
VA型液晶表示装置について、図2〜図9を引用して説明する。
図2は、電圧無印加時のVAモードの液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、液晶セルは、上基板(11)と下基板(13)の間に液晶性化合物(12)を封入した構造を有する。VAモードの液晶セルに使用する液晶性化合物(12)は、一般に負の誘電率異方性を有する。VAモードの液晶セルの印加電圧が0の時(電圧無印加時)、図2に示すように、液晶性化合物(12)の分子が垂直に配向している。上下の基板(11、13)の両側に、一対の偏光素子(図示せず)をクロスニコルに配置すると、基板面の法線方向(14)には、レターデーションは生じない。その結果、基板面の法線方向(14)には光が透過できず、黒表示となる。
視線を基板の法線方向(14)から傾いた方向(15)に移すと、レターデーションが生じるために光が透過して、コントラストが低下する。この斜め方向のレターデーションは、光学補償シートの光学的異方性により補償することができる。詳細については、後述(図5を引用して説明)する。
なお、図2では、液晶性化合物(12)は、全てが完全に垂直方向に配向しているが、実際には、一定の方向にわずかに傾斜(プレチルト)させている。これは、電圧印加時(下記図3で説明)に、液晶性化合物を全て一定の方向(プレチルト方向)に傾けるためである。
【0138】
図3は、電圧印加時のVAモードの液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。
上基板(21)と下基板(23)は、それぞれ、電極層(図示せず)を有し、液晶性化合物(22)に電圧を印加することができる。図3に示すように、電圧を印加すると、液晶セル中央部の液晶性化合物の分子は水平配向をとる。その結果、基板面の法線方向(24)にレターデーションが生じ光が透過する。
このように液晶セル中央部の液晶分子は水平配向状態となるが、配向膜近傍の液晶分子は水平配向状態をとらず、プレチルト方向に傾斜配向する。視線を基板面の法線方向(24)から傾けた方向(25)に移すと、レターデーションの角度変化が小さいのに対して、視線を別の方向(26)に移すとレターデーションの角度変化が大きい。従って、液晶性化合物のプレチルト方向(26と同じ方向)を画像の下方向とすると、左右方向の視野角は対称で広く、下方向の視野角も広いが、上方向の視野角が狭い上下非対称な視角特性になる。この視角特性を改善するためには、電圧印加時に水平配向せず傾斜した液晶分子により生じるレターデーションを補償する必要がある。
光学補償シートは、上記のレターデーションを補償し、視覚特性を改善(電圧印加時の透過率の視覚方向における非対称性を解消)する機能を有する。
【0139】
図4は、偏光素子をクロスニコルに配置したVAモードの液晶セルを、セル基板の法線方向から見て得られる屈折率楕円の模式図である。図4の(a)は、電圧無印加時の屈折率楕円であり、(b)は電圧印加時の屈折率楕円である。
クロスニコル配置では、入射側の偏光素子の透過軸(31a、31b)と出射側の偏光素子の透過軸(32a、32b)とを垂直に配置する。
電圧無印加時では、セル内の液晶分子はセル基板面に対して垂直に配向している。従って、セル基板の法線方向から見て得られる屈折率楕円(33a)は、円形となる。この場合、液晶セルのレターデーションは0となるため光が透過しない。
これに対して、電圧印加時ではセル内の液晶分子はセル基板面に対して実質的に水平に配向している。従って、セル基板の法線方向から見て得られる屈折率楕円(33b)は楕円形となる。この場合、液晶セルのレターデーションは0でない値となるため光が透過する。なお、図4の(b)には、セル内の液晶分子の光軸の液晶セル基板面への正射影(34)も示す。
【0140】
図5は、正の一軸性の液晶セルの屈折率楕円と負の一軸性の光学補償シートの屈折率楕円を示す模式図である。
液晶セル(43)に正の一軸性の光学的異方性が生じた場合は、液晶セル基板に平行な面内の屈折率(44x、44y)と液晶セルの厚み方向の屈折率(44x)により形成される屈折率楕円(44)は、図5に示すようなラグビーボールを立てた形状になる。このような(球状ではない)ラグビーボール状の屈折率楕円を有する液晶セルを、図2で説明したように斜め方向(図2の15)から見ると、レターデーションが生じる。このレターデションは、負の一軸性の光学補償シート(42)によりキャンセルされ、光漏れを抑えることができる。
負の一軸性を有する光学補償シート(42)では、光学補償シート面内の主屈折率(41x、41y)と光学補償シートの厚み方向の主屈折率(41z)により形成される光学補償シートの屈折率楕円(41)は、図4に示すようなアンパン状になる。そのため、41xと44xの和、41yと44yの和および41zと44zの和が、ほぼ同じ値となる。その結果として、液晶セルに生じたレターデションがキャンセルされる。
本発明の光学補償シートには、前述した視覚特性の改善機能に加えて、上記の電圧無印加時の斜方入射における光漏れを防ぐ機能もある。
【0141】
図6は、VAモードの液晶セルと二枚の光学補償シートとの組み合わせを示す断面模式図である。
図6に示すように、二枚の光学補償シート(53、54)は、(a)〜(d)の4種類のバリエーションのいずれかで、VAモードの液晶セル(50)と組み合わせることができる。
(a)および(c)のバリエーションでは、光学補償シート(53、54)のディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層(51)の側を、VAモードの液晶セル(50)に張り合せて使用する。(a)のバリエーションでは、光学的異方性層(51)の透明支持体(52)側に配向膜を設けて、ディスコティック液晶性分子を配向させている。(c)のバリエーションでは、光学的異方性層(51)のVAモードの液晶セル(50)側に配向膜を設けて、ディスコティック液晶性分子を配向させている。
(b)および(d)のバリエーションでは、光学補償シート(53、54)の透明支持体(52)の側を、VAモードの液晶セル(50)に張り合せて使用する。(b)のバリエーションでは、光学的異方性層(51)の透明支持体(52)側に配向膜を設けて、ディスコティック液晶性分子を配向させている。(d)のバリエーションでは、光学的異方性層(51)の外側に配向膜を設けて、ディスコティック液晶性分子を配向させている。
【0142】
図7は、VAモードの液晶セルと一枚の光学補償シートとの組み合わせを示す断面模式図である。
図7に示すように、一枚の光学補償シート(63)は、(e)〜(h)の4種類のバリエーションのいずれかで、VAモードの液晶セル(60)と組み合わせることができる。
(e)および(g)のバリエーションでは、光学補償シート(63)のディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層(61)の側を、VAモードの液晶セル(60)に張り合せて使用する。(e)のバリエーションでは、光学的異方性層(61)の透明支持体(62)側に配向膜を設けて、ディスコティック液晶性分子を配向させている。(g)のバリエーションでは、光学的異方性層(61)のVAモードの液晶セル(60)側に配向膜を設けて、ディスコティック液晶性分子を配向させている。
(f)および(h)のバリエーションでは、光学補償シート(63)の透明支持体(62)の側を、VAモードの液晶セル(60)に張り合せて使用する。(f)のバリエーションでは、光学的異方性層(61)の透明支持体(62)側に配向膜を設けて、ディスコティック液晶性分子を配向させている。(h)のバリエーションでは、光学的異方性層(61)の外側に配向膜を設けて、ディスコティック液晶性分子を配向させている。
【0143】
図8は、VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートの断面模式図である。
図8に示す光学補償シートは、支持体(71)、配向膜(72)、光学的異方性層(73)の順序の層構成を有する。この層構成は、図6の(a)、(b)または図7の(e)、(f)の光学補償シートに対応する。配向膜(72)は、一定の方向(75)にラビングすることで、配向機能が付与されている。
光学的異方性層(73)に含まれるディスコティック液晶性分子(73a、73b、73c)は、平面分子である。ディスコティック液晶性分子(73a、73b、73c)は、分子中にはただ一個の平面、すなわち円盤面(Pa、Pb、Pc)を持つ。円盤面(Pa、Pb、Pc)は、支持体(71)の面に平行な面(71a、71b、71c)から傾斜している。円盤面(Pa、Pb、Pc)と支持体面に平行な面(71a、71b、71c)との間の角度が、傾斜角(θa、θb、θc)である。支持体の法線(74)に沿って、配向膜(62)からの距離が増加するに伴い、傾斜角も増加する(θa<θb<θc)。
傾斜角(θa、θb、θc)は、0乃至60°の範囲で変化していることが好ましい。傾斜角の最小値は、0乃至55°の範囲であることが好ましく、5乃至40°の範囲であることがさらに好ましい。傾斜角の最大値は、5乃至60°の範囲であることが好ましく、20乃至60°の範囲であることがさらに好ましい。傾斜角の最小値と最大値との差は、5乃至55°の範囲であることが好ましく、10乃至40°の範囲であることがさらに好ましい。
図8に示すように傾斜角を変化させると、光学補償シートの視野角拡大機能が著しく向上する。また、傾斜角を変化させた光学補償シートには、表示画像の反転、階調変化あるいは着色の発生を防止する機能もある。
【0144】
図9は、代表的なVA型液晶表示装置の断面模式図である。
図9に示す液晶表示装置は、VAモードの液晶セル(VAC)、液晶セルの両側に設けられた一対の偏光素子(A、B)、液晶セルと偏光素子との間に配置された一対の光学補償シート(OC1、OC2)およびバックライト(BL)からなる。光学補償シート(OC1、OC2)は、一方のみ配置してもよい。
光学補償シート(OC1、OC2)の矢印(R1、R2)は、光学補償シートに設けた配向膜のラビング方向(図8における矢印75に相当)である。図9に示す液晶表示装置では、光学補償シート(OC1、OC2)の光学的異方性層が液晶セル側に配置されている。光学補償シート(OC1、OC2)の光学的異方性層を偏光素子(A、B)側に配置してもよい。光学的異方性層を偏光素子(A、B)側に配置する場合は、配向膜のラビング方向(R1、R2)は、図9とは逆の向きになる。
液晶セル(VAC)の矢印(RP1、RP2)は、液晶セル基板に設けた配向膜のラビング方向である。
偏光素子(A、B)の矢印(PA、PB)は、それぞれ偏光素子の偏光の透過軸である。
【0145】
光学補償シートに設けた配向膜のラビング方向(R1、R2)と、液晶セル基板に設けた配向膜のラビング方向(RP1、RP2)は、それぞれ実質的に平行または逆平行であることが好ましい。偏光素子の偏光の透過軸(PA、PB)は、実質的に直交または平行になるように配置することが好ましい。実質的に直交、平行あるいは逆平行であるとは、角度のずれが、20°未満(好ましくは15°未満、さらに好ましくは10°未満、最も好ましくは5°未満)であることを意味する。
液晶セル基板に設けた配向膜のラビング方向(RP1、RP2)と、偏光素子の偏光の透過軸(PA、PB)との角度は、それぞれ、10乃至80゜であることが好ましく、20乃至70゜であることがさらに好ましく、35乃至55゜であることが最も好ましい。
【0146】
VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。
VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質は、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。それらの光学的性質の詳細を、以下に述べる。
光学的性質としては、(1)光学的異方性層、(2)支持体および(3)光学補償シート全体のそれぞれについて、面内レターデーション(Re)、厚み方向のレターデーション(Rth) およびレターデーションの絶対値が最小となる方向とシートの法線との角度(β)が重要である。
面内レターデーションと厚み方向のレターデーションは、前述したセルロースエステルフイルムの定義と同様である。ただし、光学的異方性層および光学補償シート全体では、前述した定義におけるnx、ny、nzは、nx≧ny≧nzを満足する面内主屈折率を意味する。
【0147】
VA型液晶表示装置に光学補償シートを二枚使用する場合は、光学補償シートの面内レターデーションを、−5nm乃至5nmの範囲内にすることが好ましい。従って、二枚の光学補償シートのそれぞれの面内レターデーション(Re31)の絶対値は、0≦|Re31|≦5とすることが好ましい。
Re31を上記の範囲に調整するため、光学的異方性層の面内レターデーション(Re1 )の絶対値と支持体の面内レターデーション(Re2 )の絶対値との差(||Re1 |−|Re2 ||)を5nm以下として、さらに、光学的異方性層と支持体とが、それぞれの面内の遅相軸が実質的に垂直になるように配置することが好ましい。
VA型液晶表示装置に光学補償シートを一枚使用する場合は、光学補償シートの面内レターデーションを、−10nm乃至10nmの範囲内にすることが好ましい。従って、一枚の光学補償シートの面内レターデーション(R32)の絶対値は、0≦|Re32|≦10とすることが好ましい。
Re32を上記の範囲に調整するため、光学的異方性層の面内レターデーションの絶対値(Re1 )の絶対値と支持体の面内レターデーション(Re2 )の絶対値との差(||Re1 |−|Re2 ||)を10nm以下として、さらに、光学的異方性層と支持体とが、それぞれの面内の遅相軸が実質的に垂直になるように配置することが好ましい。
【0148】
VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートについて、(1)光学的異方性層、(2)支持体および(3)光学補償シート全体の光学的性質の好ましい範囲を以下にまとめて示す。なお、ReとRthの単位はnmである。上付の数字1は光学的異方性層の値、上付の数字2は支持体の値、そして上付の数字3は光学補償シートの値をそれぞれ意味する。Re31およびRe32の意味は、上記の通りである。なお、支持体の厚み方向のレターデーション(Rth2 )の好ましい範囲は、前述したセルロースエステルフイルムの光学的性質として定義した通りである。また、二以上の支持体を設ける場合、支持体全体の面内レターデーション(Re2 )は、それぞれの支持体の面内レターデーションの合計値に相当する。
【0149】
Figure 0004234823
【0150】
[OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示装置]
本発明のセルロースエステルフイルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。
OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示装置について、図10〜図15を引用して説明する。
図10は、OCBモードの液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。図10は、黒表示の状態であって、ノーマリーホワイトモードにおける電圧印加時またはノーマリーブラックモードにおける電圧無印加時に相当する。
図10に示すように、OCBモードの液晶セルは、上基板(11)と下基板(13)の間に液晶性化合物(12)を封入した構造を有する。OCBモードの液晶セルでは、ある光の進む方向(16a)に関して、下基板(13)付近で液晶性化合物(12)の複屈折が小さく、上基板(11)付近での液晶性化合物(12)の複屈折が大きい。この方向(16a)に対して、基板の法線を中心に線対称となる方向(16b)では、下基板(13)付近で液晶性化合物(12)の複屈折が大きく、上基板(11)付近での液晶性化合物(12)の複屈折が小さい。このように、OCBモードの液晶セルでは、レターデーションが基板の法線を中心に対称になるため、光学的な自己補償機能を有している。そのため、OCBモードの液晶セルは、原理的に広い視野角を有している。
【0151】
図11は、HANモードの液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。図11は、黒表示の状態であって、ノーマリーホワイトモードにおける電圧印加時またはノーマリーブラックモードにおける電圧無印加時に相当する。
図11に示すように、HANモードの液晶セルも、上基板(21)と下基板(23)の間に液晶性化合物(22)を封入した構造を有する。HANモードは、OCBモードの(透過型)液晶セルの考え方を、反射型液晶セルに応用した液晶セルである。HANモードの液晶セルでは、入射光(27)に関して、上基板(21)付近での液晶性化合物(22)の複屈折が大きく。下基板(23)付近で液晶性化合物(22)の複屈折が小さい。一方、出射光(28)に関しては、下基板(23)付近で液晶性化合物(22)の複屈折が大きく、上基板(21)付近での液晶性化合物(22)の複屈折が小さい。このように、HANモードの液晶セルでは、入射光と反射光のレターデーションが対称になるため、光学的な自己補償機能を有している。そのため、HANモードの液晶セルも、原理的に広い視野角を有している。
【0152】
OCBモードやHANモードの液晶セルでも、視野角を大きくすると、黒表示部からの光の透過率が著しく増大し、コントラストが低下する。光学補償シートは、斜め方向の光の入射におけるコントラストの低下を防ぎ、視野角特性を改善し、さらに正面のコントラストを改善するために用いる。
液晶セルが黒表示において正の一軸性を有する場合、図5で説明したように、負の一軸性の光学補償シートを用いて光学的に補償する。
【0153】
図12は、OCBモードの液晶セルと二枚の光学補償シートの光学的異方性層との組み合わせを示す断面模式図である。
図12に示すように、二枚の光学補償シートは、光学的異方性層(51、52)がOCBモードの液晶セル(50)を挟むように組み合わせて用いることが好ましい。光学的異方性層(51、52)のディスコティック液晶性分子は、OCBモードの液晶セル(50)の液晶分子の配向状態と対応する(光学補償する)配向状態を有する。
【0154】
図13は、HANモードの液晶セルと一枚の光学補償シートの光学的異方性層との組み合わせを示す断面模式図である。
図13に示すように、一枚の光学補償シートは、光学的異方性層(61)がHANモードの液晶セル(60)の表示面側となるように組み合わせて用いることが好ましい。光学的異方性層(61)のディスコティック液晶性分子は、HANモードの液晶セル(60)の液晶分子の配向状態と対応する(光学補償する)配向状態を有する。
【0155】
図12および図13に示すように、OCBモードおよびHANモードの液晶セルの配向状態に対して、ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層により光学的に補償することができる。しかし、光学的異方性層のみでは、液晶セルのレターデーションの補正および光学的異方性層そのものに発生するレターデーションの補正が不充分である。そこで、前述したように支持体を光学的異方性として、これらのレターデーションを補正する。
光学的異方性層と光学的異方性支持体との組み合わせ、すなわち、光学補償シートの基本的な構成(断面模式図)は、図8で説明したVA型液晶表示装置に用いる光学補償シートと同様である。
【0156】
図14は、代表的なOCB型液晶表示装置の断面模式図である。
図14に示す液晶表示装置は、OCBモードの液晶セル(OCBC)、液晶セルの両側に設けられた一対の偏光素子(A、B)、液晶セルと偏光素子との間に配置された一対の光学補償シート(OC1、OC2)およびバックライト(BL)からなる。光学補償シート(OC1、OC2)は、一方のみ配置してもよい。光学補償シート(OC1、OC2)の矢印(R1、R2)は、光学補償シートに設けた配向膜のラビング方向である。図14に示す液晶表示装置では、光学補償シート(OC1、OC2)の光学的異方性層が液晶セル側に配置されている。光学補償シート(OC1、OC2)の光学的異方性層を偏光素子(A、B)側に配置してもよい。光学的異方性層を偏光素子(A、B)側に配置する場合は、配向膜のラビング方向(R1、R2)は、図14とは逆の向きになる。
液晶セル(OCBC)の矢印(RP1、RP2)は、液晶セル基板に設けた配向膜のラビング方向である。
偏光素子(A、B)の矢印(PA、PB)は、それぞれ偏光素子の偏光の透過軸である。
【0157】
光学補償シートに設けた配向膜のラビング方向(R1、R2)と、液晶セル基板に設けた配向膜のラビング方向(RP1、RP2)は、それぞれ実質的に平行または逆平行であることが好ましい。偏光素子の偏光の透過軸(PA、PB)は、実質的に直交または平行になるように配置することが好ましい。実質的に直交、平行あるいは逆平行であるとは、角度のずれが、20°未満(好ましくは15°未満、さらに好ましくは10°未満、最も好ましくは5°未満)であることを意味する。
液晶セル基板に設けた配向膜のラビング方向(RP1、RP2)と、偏光素子の偏光の透過軸(PA、PB)との角度は、それぞれ、10乃至80゜であることが好ましく、20乃至70゜であることがさらに好ましく、35乃至55゜であることが最も好ましい。
【0158】
図15は、代表的なHAN型液晶表示装置の断面模式図である。
図15に示す液晶表示装置は、HANモードの液晶セル(HANC)、液晶セルの表示面側に設けられた偏光素子(A)、液晶セルと偏光素子との間に配置された光学補償シート(OC)および反射板(RB)からなる。
光学補償シート(OC)の矢印(R)は、光学補償シートに設けた配向膜のラビング方向である。
液晶セル(HANC)の矢印(RP)は、液晶セル基板に設けた配向膜のラビング方向である。
偏光素子(A)の矢印(PA)は、偏光素子の偏光の透過軸である。
光学補償シートに設けた配向膜のラビング方向(R)と、液晶セル基板に設けた配向膜のラビング方向(RP)は、それぞれ実質的に平行または逆平行であることが好ましい。実質的に平行あるいは逆平行であるとは、角度のずれが、20°未満(好ましくは15°未満、さらに好ましくは10°未満、最も好ましくは5°未満)であることを意味する。
液晶セル基板に設けた配向膜のラビング方向(RP)と、偏光素子の偏光の透過軸(PA)との角度は、10乃至80゜であることが好ましく、20乃至70゜であることがさらに好ましく、35乃至55゜であることが最も好ましい。
【0159】
OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。
OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。それらの光学的性質の詳細を、以下に述べる。
光学的性質としては、(1)光学的異方性層、(2)支持体および(3)光学補償シート全体のそれぞれについて、面内レターデーション(Re)および厚み方向のレターデーション(Rth) が重要である。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置では、さらに(4)液晶セルの光学的性質(面内レターデーションおよび厚み方向のレターデーション)との相対的な関係も重要である。面内レターデーションと厚み方向のレターデーションは、前述したセルロースエステルフイルムの定義と同様である。ただし、光学的異方性層および光学補償シート全体では、前述した定義におけるnx、ny、nzは、nx≧ny≧nzを満足する面内主屈折率を意味する。
【0160】
光学補償シートを二枚使用する態様では、光学補償シートの面内レターデーション(Re3 )と液晶セルの面内レターデーション(Re4 )との関係を、下記式を満足するように調節することが好ましい。
Re4 −20≦|Re3 |×2≦Re4 +20
光学補償シートを一枚使用する態様では、光学補償シートの面内レターデーション(Re3 )と液晶セルの面内レターデーション(Re4 )との関係を、下記式を満足するように調節することが好ましい。
Re4 −20≦|Re3 |≦Re4 +20
【0161】
(1)光学的異方性層、(2)支持体および(3)光学補償シートの光学的性質の好ましい範囲を以下にまとめて示す。なお、ReとRthの単位はnmである。上付の数字1は光学的異方性層の値、上付の数字2は支持体の値、そして上付の数字3は光学補償シートの値をそれぞれ意味する。なお、支持体の厚み方向のレターデーション(Rth2 )の好ましい範囲は、前述したセルロースエステルフイルムの光学的性質として定義した通りである。また、二以上の支持体を設ける場合、支持体全体の面内レターデーション(Re2 )は、それぞれの支持体の面内レターデーションの合計値に相当する。さらに、光学補償シートの面内レターデーション(Re3 )は、前述した液晶セルの面内レターデーション(Re4 )との関係で調節する。
【0162】
Figure 0004234823
【0163】
【実施例】
[実施例1]
室温において、平均酢化度60.9%のセルロースアセテート45重量部、レターデーション上昇剤(5)0.90重量部、メチレンクロリド232.72重量部、メタノール42.57重量部およびn−ブタノール8.50重量部を混合して溶液(ドープ)を調製した。
得られた溶液(ドープ)を、有効長6mのバンド流延機を用いて、乾燥膜厚が100μmになるように流延して、乾燥した。
製造したセルロースアセテートフイルムについて、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth550 )を測定した。結果は第1表に示す。
【0164】
[比較例1]
レターデーション上昇剤(5)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にフイルムを製造して、評価した。結果は第1表に示す。
【0165】
[実施例2〜
レターデーション上昇剤(5)に代えて、レターデーション上昇剤(6)、(7)、(31)、(36)、(37)および(38)をそれぞれ同量用いた以外は、実施例1と同様にフイルムを製造して、評価した。結果は第1表に示す。
【0166】
[比較例2〜5]
レターデーション上昇剤(5)に代えて、下記の比較化合物(x1)、(x2)、(x3)および(x4)をそれぞれ同量用いた以外は、実施例1と同様にフイルムを製造して、評価した。結果は第1表に示す。
【0167】
【化50】
Figure 0004234823
【0168】
【化51】
Figure 0004234823
【0169】
第1表
─────────────────────────────────────
フイルム レターデーション上昇剤 レターデーション値(Rth550
─────────────────────────────────────
比較例1 なし 20nm
実施例1 (5) 181nm
実施例2 (6) 200nm
実施例3 (7) 222nm
実施例4 (31) 99nm
実施例5 (36) 158nm
実施例6 (37) 158nm
実施例7 (38) 166nm
比較例2 (x1) 30nm
比較例3 (x2) 30nm
比較例4 (x3) 30nm
比較例5 (x4) 30nm
─────────────────────────────────────
【0170】
[実施例
室温において、平均酢化度60.9%のセルロースアセテート45重量部、レターデーション上昇剤(3)0.90重量部、リン酸トリフェニル(可塑剤)2.75重量部、リン酸ビフェニルジフェニル2.20重量部、メチレンクロリド232.72重量部、メタノール42.57重量部およびn−ブタノール8.50重量部を混合して溶液(ドープ)を調製した。
得られた溶液(ドープ)を、有効長6mのバンド流延機を用いて、乾燥膜厚が100μmになるように流延して、乾燥した。
製造したセルロースアセテートフイルムについて、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth550)を測定した。さらに、フイルム表面を観察して、ブリードアウトの有無を評価した。結果は第2表に示す。
【0171】
[比較例6]
レターデーション上昇剤(3)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にフイルムを製造して、評価した。結果は第2表に示す。
【0172】
[実施例9、10
レターデーション上昇剤(3)に代えて、レターデーション上昇剤(8)および(31)をそれぞれ同量用いた以外は、実施例1と同様にフイルムを製造して、評価した。結果は第2表に示す。
【0173】
第2表
─────────────────────────────────────
フイルム レターデーション上昇剤 Rth550 ブリードアウト
─────────────────────────────────────
比較例6 なし 50nm なし
実施例 (3) 120nm なし
実施例 (8) 120nm なし
実施例10 (31) 180nm なし
─────────────────────────────────────
【0174】
[実施例11〜13
レターデーション上昇剤の使用量を0.90重量部から0.20重量部に変更した以外は、実施例8〜10と同様にフイルムを製造して、評価した。結果は第3表に示す。
【0175】
第3表
─────────────────────────────────────
フイルム レターデーション上昇剤 Rth550 ブリードアウト
─────────────────────────────────────
比較例6 なし 50nm なし
実施例11 (3) 240nm なし
実施例12 (8) 240nm わずかにあり
実施例13 (31) 300nm あり
─────────────────────────────────────
【0176】
[実施例14
(液晶セルの作成)
電極(ITO)付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。得られた二枚のガラス基板を対面する配置で向き合わせ、セルギャップを10μmに設定して、液晶(ZLI1132、メルク社製)を注入し、OCBモードの液晶セルを作成した。
【0177】
(液晶表示装置の作成)
液晶セルを挟むように、実施例で作成したセルロースアセテートフイルム二枚を光学補償シートとして配置した。その外側に全体を挟むように、偏光素子を配置した。
作成した液晶表示装置に、55Hz矩形波で電圧を印加したところ、着色のない鮮明な画像が得られた。
【0178】
[実施例15
(光学補償シートの支持体)
実施例で作成したセルロースアセテートフイルムを光学補償シートの支持体として用いた。
【0179】
(配向膜の形成)
支持体の上に、下記の組成の塗布液をスライドコーターで25ml/m2 塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、支持体の遅相軸方向と平行の方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
【0180】
Figure 0004234823
【0181】
【化52】
Figure 0004234823
【0182】
(光学的異方性層の形成)
配向膜上に、下記のディスコティック液晶性化合物1.8g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)0.2g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.04g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02gを、8.43gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#2.5のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、130℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し、ディスコティック液晶性化合物を架橋した。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学補償シート(1)を作製した。
【0183】
【化53】
Figure 0004234823
【0184】
(光学補償シートの評価)
光学的異方性層の厚さは、約1.0μmであった。光学的異方性層のみのレターデーション値をラビング軸に沿って測定したところ、レターデーションが0となる方向は存在しなかった。
光学的異方性層の光学軸の平均傾斜角、すなわちレターデーションが最小となる方向とシートの法線との角度(β1 )は、28°であった。また、面内レターデーションは15nm(Re1 =15)、厚み方向のレターデーションは35nm(Rth1 =35)であった。
光学補償シート(1)を、ミクロトームを用いて、ラビング方向に添って垂直に切断し、極めて薄い垂直断片(サンプル)を得た。サンプルをOsO4 の雰囲気中に48時間放置して、染色した。染色サンプルを、透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し、その顕微鏡写真を得た。染色サンプルでは、前記ディスコティック液晶性化合物のアクリロイル基が染色され、写真の像として認められた。
この写真を検討した結果、ディスコティック液晶性化合物の円盤状構造単位は、支持体の表面から傾いていることが認められた。さらに、傾斜角は、支持体表面からの距離が増加するに伴い、連続的に増加していた。
【0185】
(VAモード液晶セルの作成)
ポリビニルアルコール3重量%水溶液に、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(カップリング剤)を1重量%添加した。これを、ITO電極付きのガラス基板上にスピンコートし、160℃で熱処理した後、ラビング処理を施して、垂直配向膜を形成した。ラビング処理は、2枚のガラス基板において反対方向となるように実施した。セルギャップ(d)が5.5μmとなるように2枚のガラス基板を向かい合わせた。セルギャップに、エステル系とエタン系を主成分とする液晶性化合物(Δn:0.05)を注入し、VAモード液晶セルを作成した。Δnとdとの積は275nmであった。
【0186】
(VA型液晶表示装置の作成)
VAモード液晶セルに、光学補償シート(1)をセルを挟むように2枚、光学補償シートの光学的異方性層と液晶セルのガラス基板とが対面するように配置した。VAモード液晶セルの配向膜のラビング方向と光学補償シートの配向膜のラビング方向は、逆平行になるように配置した。これらの両側に、偏光素子をクロスニコルに配置した。
VAモード液晶セルに対して、55Hz矩形波で電圧を印加した。黒表示2V、白表示6VのNBモードとし、透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比とした。上下、左右からのコントラスト比を、計器(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)で測定した。その結果、正面コントラスト比が300、視野角(コントラスト比10が得られる視野の角度)が上下左右いずれも70度との良好な結果が得られた。
【0187】
[実施例16
(光学補償シートの支持体)
実施例で作成したセルロースアセテートフイルムを光学補償シートの支持体として用いた。
【0188】
(配向膜の形成)
支持体の上に、下記の組成の塗布液をスライドコーターで25ml/m2 塗布した。60℃で2分間乾燥した。
次に、支持体の面内の主屈折率の大きい方向と平行の方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。ラビング条件は、ラビングロール径が150mm、搬送速度が10m/分、ラッピング角度が6゜、ラビングロール回転数が1200rpmであった。
【0189】
─────────────────────────────────────
配向膜塗布液組成
─────────────────────────────────────
実施例15で用いた変性ポリビニルアルコールの10重量%水溶液
24g
水 73g
メタノール 23g
グルタルアルデヒド(架橋剤)の50重量%水溶液 0.2g
─────────────────────────────────────
【0190】
(光学的異方性層の形成)
配向膜上に、実施例15で用いたディスコティック液晶性化合物1.8g、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)0.2g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.04g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1.0、イーストマンケミカル社製)0.01g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02gを、3.4gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#6のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、140℃の恒温槽中で3分間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、140℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し、ディスコティック液晶性化合物を架橋した。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学補償シート(2)を作製した。
【0191】
(光学補償シートの評価)
光学的異方性層の厚さは、2.0μmであった。光学的異方性層のみのレターデーション値をラビング軸に沿って測定したところ、レターデーションが0となる方向は存在しなかった。レターデーション値をシュミレーションによりフィッティングしたところ、負の一軸性が厚み方向に4゜から68゜まで連続に変化しているハイブリッド配向状態を確認できた。
光学的異方性層の面内レターデーションは43nm(Re1 =43)、厚み方向のレターデーションは135nm(Rth1 =135)であった。
光学補償シート(2)を、ミクロトームを用いて、ラビング方向に添って垂直に切断し、極めて薄い垂直断片(サンプル)を得た。サンプルをOsO4 の雰囲気中に48時間放置して、染色した。染色サンプルを、透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し、その顕微鏡写真を得た。染色サンプルでは、前記ディスコティック液晶性化合物のアクリロイル基が染色され、写真の像として認められた。
この写真を検討した結果、ディスコティック液晶性化合物の円盤状構造単位は、支持体の表面から傾いていることが認められた。さらに、傾斜角は、支持体表面からの距離が増加するに伴い、連続的に増加していた。
【0192】
(OCBモード液晶セルの作成)
ITO電極付きのガラス基板上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行った。ラビング処理は、2枚のガラス基板において反対方向となるように実施した。セルギャップ(d)が8μmとなるように2枚のガラス基板を向かい合わせた。セルギャップに、Δnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、OCBモード液晶セルを作成した。Δnとdとの積は1117nm、面内レターデーションは92nm(Re4 =92)であった。
【0193】
(OCB型液晶表示装置の作成)
OCBモード液晶セルに、光学補償シート(2)をセルを挟むように2枚、光学補償シートの光学的異方性層と液晶セルのガラス基板とが対面するように配置した。OCBモード液晶セルの配向膜のラビング方向と光学補償シートの配向膜のラビング方向は、逆平行になるように配置した。これらの両側に、偏光素子をクロスニコルに配置した。
OCBモード液晶セルに対して、55Hz矩形波で電圧を印加した。白表示2V、黒表示6VのNWモードとし、透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比とした。上下、左右からのコントラスト比を、計器(LCD−5000、大塚電子(株)製)で測定した。その結果、上側の視野角(コントラスト比10が得られる視野の角度)が80度以上、下側の視野角が58度、左右の視野角がいずれも66度との良好な結果が得られた。
【0194】
[実施例17
(HANモード液晶セルの作成)
ITO電極付きのガラス基板上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行った。ITO電極付きのガラス基板をもう一枚用意し、酸化ケイ素を蒸着させて配向膜を形成した。セルギャップ(d)が4μmとなるように2枚のガラス基板を向かい合わせた。セルギャップに、Δnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、HANモード液晶セルを作成した。Δnとdとの積は558nm、面内レターデーションは46nm(Re=46)であった。
【0195】
(HAN型液晶表示装置の作成)
HANモード液晶セルの表示面側に実施例16で作成した光学補償シート(2)を一枚、光学的異方性層がセル側となるように配置した。HANモード液晶セルの配向膜のラビング方向と光学補償シートの配向膜のラビング方向は、逆平行になるように配置した。光学補償シートの上に偏光素子を、偏光素子の透過軸と液晶セルのラビング方向との角度が45゜となるように配置した。偏光素子の上に、拡散板を配置した。HANモード液晶セルの反対側には、鏡(反射板)を配置した。
作成したHAN型液晶表示装置の表示面の法線方向から、20゜傾けた方向に光源を置き、光を照射した。HANモード液晶セルに対しては、55Hz矩形波で電圧を印加した。白表示2V、黒表示6VのNWモードとし、透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比とした。上下、左右からのコントラスト比を、計器(bm−7、TOPCON社製)で測定した。その結果、上側の視野角(コントラスト比10が得られる視野の角度)が44度、下側の視野角が26度、左右の視野角がいずれも39度との良好な結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な液晶表示装置の断面模式図である。
【図2】電圧無印加時のVAモードの液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。
【図3】電圧印加時のVAモードの液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。
【図4】偏光素子をクロスニコルに配置にしたVAモードの液晶セルを、セル基板の法線方向から見て得られる屈折率楕円体の模式図である。
【図5】正の一軸性の液晶セルの屈折率楕円と負の一軸性の光学補償シートの屈折率楕円を示す模式図である。
【図6】VAモードの液晶セルと二枚の光学補償シートとの組み合わせを示す断面模式図である。
【図7】VAモードの液晶セルと一枚の光学補償シートとの組み合わせを示す断面模式図である。
【図8】VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートの断面模式図である。
【図9】代表的なVA型液晶表示装置の断面模式図である。
【図10】OCBモードの液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。
【図11】HANモードの液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。
【図12】OCBモードの液晶セルと二枚の光学補償シートの光学的異方性層との組み合わせを示す断面模式図である。
【図13】HANモードの液晶セルと一枚の光学補償シートの光学的異方性層との組み合わせを示す断面模式図である。
【図14】代表的なOCB型液晶表示装置の断面模式図である。
【図15】代表的なHAN型液晶表示装置の断面模式図である。
【符号の説明】
1 表面処理膜
2a、2b 偏光素子の保護膜
3a、3b 偏光膜
4a、4b 光学補償シート
5a、5b 液晶セルの樹脂基板
6a、6b 透明電極層
7 液晶層
11、21 液晶セルの上基板
12、22 液晶性化合物
13、23 液晶セルの下基板
14、24 基板の法線方向
15、25、26 基板の法線から傾けた方向
16a、16b 光の進む方向
27 入射光
28 出射光
31a、31b 入射側の偏光素子の透過軸
32a、32b 出射側の偏光素子の透過軸
33a 電圧無印加時のVAモードの液晶セルの屈折率楕円
33b 電圧印加時のVAモードの液晶セルの屈折率楕円
34 VAモードの液晶セル内の液晶分子の光軸の液晶セル基板面への正射影
41 負の一軸性の光学補償シートの屈折率楕円体
41x、41y 光学補償シート内の面内の主屈折率
41z 光学補償シートの厚み方向の主屈折率
42 負の一軸性の光学補償シート
43 正の一軸性の液晶セル
44 正の一軸性の液晶セルの屈折率楕円体
44x、44y 液晶セル基板に平行な面内の屈折率
44z 液晶セルの厚み方向の屈折率
50、60 液晶セル
51、61、73 光学的異方性層
52、62、71 支持体
53、54、63、OC1、OC2、OC 光学補償シート
72 配向膜
73a、73b、73c ディスコティック液晶性分子
Pa、Pb、Pc ディスコティック液晶性分子の円盤面
71a、71b、71c 支持体の面に平行な面
θa、θb、θc 傾斜角
74 支持体の法線
75、R1、R2、R 光学補償シートの配向膜のラビング方向
VAC VAモードの液晶セル
OCBC OCBモードの液晶セル
HANC HANモードの液晶セル
A、B 偏光素子
BL バックライト
RP1、RP2、RP 液晶セルの配向膜のラビング方向
PA 偏光素子Aの偏光の透過軸
PB 偏光素子Bの偏光の透過軸
RB 反射板[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
  The present invention increases the retardation of cellulose for lower fatty acid ester films.AgentThe present invention relates to an optical compensation sheet and a liquid crystal display device used.
[0002]
[Prior art]
Lower fatty acid ester films of cellulose, especially cellulose acetate films, are used in various photographic materials and optical materials because of their toughness and flame retardancy. The cellulose ester film is a typical support for photographic light-sensitive materials. Cellulose ester films are also used in liquid crystal display devices. The cellulose ester film is characterized by high optical isotropy (low retardation value) compared to other polymer films. Therefore, it is common to use a cellulose ester film for a protective film or a color filter of a liquid crystal display device that requires optical isotropy, for example, a polarizing element.
On the contrary, an optical compensation sheet (phase difference film) which is an element of another liquid crystal display device is required to have a high retardation value. Therefore, it is common to use a synthetic polymer film having a high retardation value such as a polycarbonate film or a polysulfone film as the optical compensation sheet. In addition to the optical compensation sheet made of a synthetic polymer film, an optical compensation sheet in which an optically anisotropic layer containing a discotic liquid crystalline molecule is provided on a transparent support has also been proposed (Japanese Patent Laid-Open No. 3-9325, the same). 6-148429, 8-50206, and 9-26572). The high retardation value required for the optical compensation sheet is achieved by an optically anisotropic layer containing discotic liquid crystalline molecules. On the other hand, since the transparent support is required to have high optical isotropy (low retardation value), a cellulose ester film is usually used.
[0003]
Conventional optical compensation sheets using discotic liquid crystalline molecules are mainly designed to optically compensate TN (Twisted Nematic) mode liquid crystal cells for TFTs. Even if such an optical compensation sheet is used for a liquid crystal cell in a VA (Vertically Aligned) mode, an OCB (Optically Compensatory Bend) mode, or a HAN (Hybrid Aligned Nematic) mode, there arises a problem that the optical compensation sheet cannot be handled (cannot be optically compensated).
Therefore, the support of the optical compensation sheet is also made optically anisotropic, and in cooperation with the optical anisotropy of the optically anisotropic layer containing discotic liquid crystalline molecules, the VA mode, OCB mode or HAN mode is used. It can be considered to correspond to the liquid crystal cell (optical compensation). A synthetic polymer film having a high retardation value such as a polycarbonate film or a polysulfone film can be used as an optically anisotropic support. However, such a synthetic polymer film has poor functions as a support (physical properties and affinity with a coating layer). Therefore, a laminate in which a cellulose ester film having excellent function as a support (however, a low retardation value) and a synthetic polymer film having a high retardation value are bonded together is used as an optically anisotropic support. It is considered desirable.
As described above, in the technical field of optical materials such as optical compensation sheets, when optical anisotropy (high retardation value) is required, a synthetic polymer film is used, and optical isotropy (low) When a retardation value is required, it is a general principle to use a cellulose ester film.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
The present inventor overturned the conventional general principle and examined the use of a cellulose ester film for applications requiring optical anisotropy (high retardation value). The cellulose ester film has an excellent function as a support as compared with a synthetic polymer film. If a cellulose ester film having a high optical anisotropy (having a high retardation value) is obtained, the cellulose ester film can be used also in the application of an optical compensation sheet requiring optical anisotropy.
However, in the prior art, a cellulose ester film having a low retardation value is considered to be an excellent cellulose ester film. Therefore, even though the means for lowering the retardation value of the cellulose ester film has been studied in detail, the means for raising the retardation value has hardly been studied.
[0005]
  Therefore, the present inventor has studied and investigated a compound (retardation increasing agent) having a function of increasing the retardation of cellulose lower fatty acid ester film.
BookAn object of the invention is to provide an optical compensation sheet using a cellulose lower fatty acid ester film having a high retardation value.InThe
  Furthermore, an object of the present invention is to provide a liquid crystal display device using a cellulose ester film having excellent properties as a support as an optical compensation sheet.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
  The purpose of the present invention is to,under(1) to (5), (9)-(12)Optical compensation sheet and the following (6) to (8)), (13)-(15)Achieved by the liquid crystal display device.
[0007]
  (1) A compound having a molecular structure having at least two aromatic rings and having two aromatic rings bonded through —CO— with respect to 100 parts by weight of a lower fatty acid ester of cellulose is 0.3. Retardation value in the thickness direction at a wavelength of 550 nm (Rth)550) Is a lower fatty acid ester film of cellulose having a thickness of 70 to 400 nm.An optically anisotropic layer containing discotic liquid crystalline molecules is provided onOptical compensation sheet.
  (2)The optical compensation sheet according to (1), which is for a VA mode liquid crystal cell.
  (3) Both of the two aromatic rings are aromatic hydrocarbon rings (1)The optical compensation sheet as described.
  (4) The lower fatty acid ester of cellulose is cellulose acetate (1)The optical compensation sheet as described.
  (5) The lower fatty acid ester film of cellulose has a thickness of 40 to 120 μm (1)The optical compensation sheet as described.
[0008]
  (6) A liquid crystal cell having a liquid crystal supported between two electrode substrates, two polarizing elements disposed on both sides thereof, and at least one optical compensation between the liquid crystal cell and the polarizing element A liquid crystal display device in which a sheet is arranged, wherein the optical compensation sheet has at least two aromatic rings with respect to 100 parts by weight of a lower fatty acid ester of cellulose, and the two aromatic rings are bonded via —CO—. The retardation value in the thickness direction (Rth) at a wavelength of 550 nm, containing 0.3 to 20 parts by weight of the compound having a molecular structure.550) From 70 to 400 nm cellulose lower fatty acid ester filmAn optically anisotropic layer containing discotic liquid crystalline molecules is provided on the liquid crystal cell side of the lower fatty acid ester film of cellulose.A liquid crystal display device.
  (7)The optical compensation sheet and the liquid crystal cell each have an alignment film, and the rubbing direction of the alignment film of the optical compensation sheet and the rubbing direction of the alignment film of the liquid crystal cell are arranged substantially parallel or antiparallel.The liquid crystal display device according to (6).
  (8) The liquid crystal cell is in VA mode.DeThe liquid crystal display device according to (6), which is a liquid crystal cell.
  (9) 0.3 to 20 parts by weight of a compound having a molecular structure containing a benzotriazole ring with respect to 100 parts by weight of a lower fatty acid ester of cellulose, and a retardation value in the thickness direction (Rth) at a wavelength of 550 nm550) Is a lower fatty acid ester film of cellulose having a thickness of 70 to 400 nm.An optically anisotropic layer containing discotic liquid crystalline molecules is provided onOptical compensation sheet.
  (10)The optical compensation sheet according to (9), which is for a VA mode liquid crystal cell.
  (11) The lower fatty acid ester of cellulose is cellulose acetate (9)The optical compensation sheet as described.
  (12) The lower fatty acid ester film of cellulose has a thickness of 40 to 120 μm (9)The optical compensation sheet as described.
  (13) A liquid crystal cell in which liquid crystal is supported between two electrode substrates, two polarizing elements disposed on both sides thereof, and at least one optical compensation between the liquid crystal cell and the polarizing element A liquid crystal display device comprising a sheet, wherein the optical compensation sheet contains 0.3 to 20 parts by weight of a compound having a molecular structure containing a benzotriazole ring with respect to 100 parts by weight of a lower fatty acid ester of cellulose at a wavelength of 550 nm. Retardation value in the thickness direction (Rth550) From 70 to 400 nm cellulose lower fatty acid ester filmAn optically anisotropic layer containing discotic liquid crystalline molecules is provided on the liquid crystal cell side of the lower fatty acid ester film of cellulose.A liquid crystal display device.
  (14)The optical compensation sheet and the liquid crystal cell each have an alignment film, and the rubbing direction of the alignment film of the optical compensation sheet and the rubbing direction of the alignment film of the liquid crystal cell are arranged substantially parallel or antiparallel.The liquid crystal display device according to (13).
  (15) The liquid crystal cell is in VA mode.DeThe liquid crystal display device according to (13), which is a liquid crystal cell.
Furthermore, the present invention provides the following optical compensation sheet (16) and liquid crystal display device (17).
(16) Retardation value in the thickness direction at a wavelength of 550 nm (Rth 550 VA mode liquid crystal cell optical compensation sheet comprising a lower fatty acid ester film of cellulose having a thickness of 70 to 400 nm and provided with an optically anisotropic layer containing discotic liquid crystalline molecules.
(17) VA mode liquid crystal cell having liquid crystal supported between two electrode substrates, two polarizing elements disposed on both sides thereof, and at least one sheet between the liquid crystal cell and the polarizing element A liquid crystal display device in which the optical compensation sheet is disposed, wherein the optical compensation sheet has a retardation value (Rth) in the thickness direction at a wavelength of 550 nm. 550 ) Is a cellulose lower fatty acid ester film having a thickness of 70 to 400 nm, and an optically anisotropic layer containing a discotic liquid crystalline molecule is provided on the liquid crystal cell side of the lower fatty acid ester film of cellulose. Liquid crystal display device.
[0009]
【The invention's effect】
  According to the study of the present inventors, a compound having a molecular structure having at least two aromatic rings and having two aromatic rings bonded via —CO— or a molecular structure including a benzotriazole ring is It has been found that it has a function of increasing the retardation of the lower fatty acid ester film of cellulose. Examples of ultraviolet absorbers and plasticizers for the lower fatty acid ester film of cellulose include the aromatic compounds as described above. However, these compounds are used in amounts that satisfy the functions of UV absorbers and plasticizers (in a range that does not significantly increase the retardation of the film) and are used to increase the retardation of the film. I never did.
  When 0.3 to 20 parts by weight of the aromatic compound is added to 100 parts by weight of the lower fatty acid ester of cellulose, the retardation value (Rth in the thickness direction at a wavelength of 550 nm)550) Of 70 to 400 nm is obtained.. BranchIn an optical compensation sheet in which an optically anisotropic layer containing discotic liquid crystalline molecules is provided on a support, a cellulose ester film having a high retardation value can also be used as a support.
  An optical compensation sheet having a cellulose ester film having a high retardation value as a support and an optically anisotropic layer containing a discotic liquid crystalline molecule provided thereon is a VA (Vertically Aligned)MoldThe liquid crystal display device can be used particularly advantageously.
[0010]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
[Retardation raising agent]
  In the present invention, there are at least two aromatic rings, and two aromatic ringsAre linked via -CO-A compound having a molecular structure orCompound having molecular structure containing benzotriazole ringIs used as a retardation increasing agent for cellulose lower fatty acid ester film.
  In this specification, “a retardation increasing agent for lower fatty acid ester film of cellulose” means a letter of lower fatty acid ester film of cellulose when used in an amount that does not cause a problem due to a large amount of addition such as bleed out. Retardation (specifically, retardation value in the thickness direction at a wavelength of 550 nm = Rth)550) Is increased by a factor of 2 or more (usually 2 to 10 times) when no additive is added. The amount in a range where the retardation sufficiently increases and does not cause a problem due to addition of a large amount is generally 0.3 to 20 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the lower fatty acid ester of cellulose. The retardation value in the thickness direction of a lower fatty acid ester film of cellulose obtained by using a retardation increasing agent at a wavelength of 550 nm is generally 70 to 400 nm.
[0011]
BookIn the specification, the “aromatic ring” includes an aromatic heterocycle in addition to an aromatic hydrocarbon ring. The aromatic hydrocarbon ring is particularly preferably a 6-membered ring (that is, a benzene ring).
  The aromatic heterocycle is generally an unsaturated heterocycle. The aromatic heterocycle is preferably a 5-membered ring, 6-membered ring or 7-membered ring, more preferably a 5-membered ring or 6-membered ring. Aromatic heterocycles generally have the most double bonds. As the hetero atom, a nitrogen atom, an oxygen atom and a sulfur atom are preferable, and a nitrogen atom is particularly preferable. Examples of aromatic heterocycles include furan ring, thiophene ring, pyrrole ring, oxazole ring, isoxazole ring, thiazole ring, isothiazole ring, imidazole ring, pyrazole ring, furazane ring, triazole ring, pyran ring, pyridine ring , Pyridazine ring, pyrimidine ring, pyrazine ring and 1,3,5-triazine ring.
  As the aromatic ring, benzene ring, furan ring, thiophene ring, pyrrole ring, oxazole ring, thiazole ring, imidazole ring, triazole ring, pyridine ring, pyrimidine ring, pyrazine ring and 1,3,5-triazine ring are preferable.
[0012]
  The number of aromatic rings contained in the retardation increasing agent is preferably 2 to 20, more preferably 2 to 12, still more preferably 2 to 8, and most preferably 2 to 6. preferable.
[0013]
  The bonding relationship between two aromatic rings can be classified into the case of forming a benzotriazole ring and the case of bonding via —CO— (the spiro bond cannot be formed because of the aromatic ring). Any may be used from the viewpoint of the retardation increasing function.
[0014]
  -CO-Is preferably bonded to carbon atoms of two aromatic rings.
[0015]
  AromaticRings (including benzotriazole rings), May have a substituent.
  Examples of the substituent include halogen atom (F, Cl, Br, I), hydroxyl, carboxyl, cyano, amino, nitro, sulfo, carbamoyl, sulfamoyl, ureido, alkyl group, alkenyl group, alkynyl group, aliphatic acyl group , Aliphatic acyloxy group, alkoxy group, alkoxycarbonyl group, alkoxycarbonylamino group, alkylthio group, alkylsulfonyl group, aliphatic amide group, aliphatic sulfonamido group, aliphatic substituted amino group, aliphatic substituted carbamoyl group, aliphatic Substituted sulfamoyl groups, aliphatic substituted ureido groups and non-aromatic heterocyclic groups are included.
[0016]
The alkyl group preferably has 1 to 8 carbon atoms. A chain alkyl group is preferable to a cyclic alkyl group, and a linear alkyl group is particularly preferable. The alkyl group may further have a substituent (eg, hydroxy, carboxy, alkoxy group, alkyl-substituted amino group). Examples of alkyl groups (including substituted alkyl groups) include methyl, ethyl, n-butyl, n-hexyl, 2-hydroxyethyl, 4-carboxybutyl, 2-methoxyethyl and 2-diethylaminoethyl.
The alkenyl group preferably has 2 to 8 carbon atoms. A chain alkenyl group is preferable to a cyclic alkenyl group, and a linear alkenyl group is particularly preferable. The alkenyl group may further have a substituent. Examples of alkenyl groups include vinyl, allyl and 1-hexenyl.
The alkynyl group preferably has 2 to 8 carbon atoms. A chain alkynyl group is preferable to a cyclic alkynyl group, and a linear alkynyl group is particularly preferable. The alkynyl group may further have a substituent. Examples of alkynyl groups include ethynyl, 1-butynyl and 1-hexynyl.
[0017]
The aliphatic acyl group preferably has 1 to 10 carbon atoms. Examples of the aliphatic acyl group include acetyl, propanoyl and butanoyl.
The aliphatic acyloxy group preferably has 1 to 10 carbon atoms. Examples of the aliphatic acyloxy group include acetoxy.
The number of carbon atoms of the alkoxy group is preferably 1 to 8. The alkoxy group may further have a substituent (eg, alkoxy group). Examples of alkoxy groups (including substituted alkoxy groups) include methoxy, ethoxy, butoxy and methoxyethoxy.
The alkoxycarbonyl group preferably has 2 to 10 carbon atoms. Examples of the alkoxycarbonyl group include methoxycarbonyl and ethoxycarbonyl.
The number of carbon atoms of the alkoxycarbonylamino group is preferably 2 to 10. Examples of the alkoxycarbonylamino group include methoxycarbonylamino and ethoxycarbonylamino.
[0018]
  The alkylthio group preferably has 1 to 12 carbon atoms. Examples of the alkylthio group include methylthio, ethylthio and octylthio.
  The alkylsulfonyl group preferably has 1 to 8 carbon atoms. Examples of the alkylsulfonyl group include methanesulfonyl and ethanesulfonyl.
The aliphatic amide group preferably has 1 to 10 carbon atoms. Examples of the aliphatic amide group include acetamide.
  The aliphatic sulfonamide group preferably has 1 to 8 carbon atoms. Examples of the aliphatic sulfonamido group include methanesulfonamido, butanesulfonamido and n-octanesulfonamido.
  The number of carbon atoms of the aliphatic substituted amino group is preferably 1 to 10. Examples of the aliphatic substituted amino group include dimethylamino, diethylamino and 2-carboxyethylamino.
  The aliphatic substituted carbamoyl group preferably has 2 to 10 carbon atoms. Examples of the aliphatic substituted carbamoyl group include methylcarbamoyl and diethylcarbamoyl.
  The aliphatic substituted sulfamoyl group preferably has 1 to 8 carbon atoms. Examples of the aliphatic substituted sulfamoyl group include methylsulfamoyl and diethylsulfamoyl.
  The number of carbon atoms in the aliphatic substituted ureido group is preferably 2 to 10. Examples of the aliphatic substituted ureido group include methylureido.
  Examples of non-aromatic heterocyclic groups include piperidino and morpholino.
[0019]
The molecular weight of the retardation increasing agent is preferably 300 to 800. The boiling point of the retardation increasing agent is preferably 260 ° C. or higher. The boiling point can be measured using a commercially available measuring device (for example, TG / DTA100, manufactured by Seiko Electronics Industry Co., Ltd.).
Specific examples of the retardation increasing agent are shown below. In each specific example, the aromaticity of the aromatic ring is indicated by a circle.
[0020]
[Chemical 1]
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[0021]
[Chemical formula 2]
Figure 0004234823
[0022]
[Chemical 3]
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[0023]
[Formula 4]
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[0024]
[Chemical formula 5]
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[0025]
[Chemical 6]
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[0026]
[Chemical 7]
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[0027]
[Chemical 8]
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[0028]
[Chemical 9]
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[0029]
[Chemical Formula 10]
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[0030]
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[0031]
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[0032]
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[0033]
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[0034]
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[0035]
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[0036]
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[0037]
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[0038]
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[0039]
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[0040]
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[0048]
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[0049]
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[0050]
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[0055]
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[0056]
[Lower fatty acid ester of cellulose]
Lower fatty acid means a fatty acid having 6 or less carbon atoms. The number of carbon atoms is preferably 2 (cellulose acetate), 3 (cellulose propionate) or 4 (cellulose butyrate). Cellulose acetate is particularly preferred. Mixed fatty acid esters such as cellulose acetate propionate and cellulose acetate butyrate may be used.
[0057]
  The average acetylation degree (acetylation degree) of cellulose acetate is preferably 55.0% or more and less than 62.5%. From the viewpoint of the physical properties of the film, the average degree of acetylation is more preferably 58.0% or more and less than 62.5%. However, when cellulose acetate having an average degree of acetylation of 55.0% or more and less than 58.0% (preferably 57.0% or more and less than 58.0%) is used, a film having a very high retardation value is produced. be able to.
[0058]
  The degree of acetylation means the amount of bound acetic acid per unit weight of cellulose. The degree of acetylation follows the measurement and calculation of the degree of acetylation in ASTM: D-817-91 (test method for cellulose acetate and the like).
[0059]
  The viscosity average polymerization degree (DP) of the cellulose ester is preferably 250 or more, and more preferably 290 or more.
[0060]
  The cellulose ester used in the present invention preferably has a narrow molecular weight distribution of Mw / Mn (Mw is a weight average molecular weight, Mn is a number average molecular weight) by gel permeation chromatography. The specific value of Mw / Mn is preferably 1.0 to 1.7, more preferably 1.3 to 1.65, and most preferably 1.4 to 1.6. preferable.
[0061]
[Film retardation value]
The retardation value in the thickness direction of the cellulose ester film is a value obtained by multiplying the birefringence in the thickness direction by the thickness of the film. Specifically, the incident direction of the measurement light is perpendicular to the film film surface, the measurement result of in-plane retardation with respect to the slow axis, and the incident direction is inclined with respect to the vertical direction with respect to the film film surface. Obtained by extrapolation from the measured results. The measurement can be performed using an ellipsometer (for example, M-150: manufactured by JASCO Corporation).
[0062]
  The retardation value (Rth) in the thickness direction and the in-plane retardation value (Re) are calculated according to the following formulas (1) and (2), respectively.
[0063]
Formula (1)
  Retardation value in the thickness direction (Rth) = {(nx + ny) / 2−nz} × d
Formula (2)
  In-plane retardation value (Re) = (nx−ny) × d
[0064]
  Where nx is the refractive index in the x direction in the film plane, ny is the refractive index in the y direction in the film plane, nz is the refractive index in the direction perpendicular to the film plane, and d is the film refractive index. Thickness (nm).
[0065]
  In the present invention, the retardation value in the thickness direction (Rth) at a wavelength of 550 nm of the film is used. 550 ) Is adjusted to 70 to 400 nm. The retardation value in the thickness direction is preferably 100 to 400 nm, more preferably 150 to 400 nm, still more preferably 200 to 400 nm, still more preferably 200 to 300 nm, and even more preferably 200 to 400 nm. Most preferably, it is 250 nm.
[0066]
  Further, the retardation value in the thickness direction at a wavelength of 550 nm (Rth 550 ) As a reference value (= 1), the absolute value of the slope (a) of the Rth distribution is preferably less than 0.0012. The slope (a) of the Rth distribution is the retardation value (Rth in the thickness direction at a wavelength of 400 nm). 400 ), Retardation value in the thickness direction at a wavelength of 550 nm (Rth) 550 ) And retardation value in the thickness direction at a wavelength of 700 nm (Rth) 700 ) Is calculated according to the following formula (3).
[0067]
Formula (3)
  Rth distribution slope (a) = | Rth 700 -Rth 400 | / 300Rth 550
[0068]
  Therefore, Rth 400 , Rth 550 And Rth 700 Preferably satisfies the following formula (11).
[0069]
Formula (11)
  | Rth 700 -Rth 400 | / 300Rth 550 <0.0012
[0070]
  Rth 400 , Rth 550 And Rth 700 More preferably, the following expression (13) is satisfied.
[0071]
Formula (13)
  −0.0012 <(Rth 700 -Rth 400 ) / 300Rth 550 <0.0006
[0072]
  Furthermore, the in-plane retardation value (Re 550 ) As a reference value (= 1), the absolute value of the slope (b) of the Re distribution is preferably less than 0.002. The slope (b) of the Re distribution is the in-plane retardation value (Re 400 ), In-plane retardation value at wavelength 550 nm (Re 550 ) And in-plane retardation value at wavelength 700 nm (Re 700 ) Is calculated according to the following formula (4).
[0073]
Formula (4)
  Re distribution slope (b) = | Re 700 -Re 400 | / 300Re 550
[0074]
  Therefore, Re 400 , Re 550 And Re 700 Preferably satisfies the following formula (12).
[0075]
Formula (12)
  | Re 700 -Re 400 | / 300Re 550 <0.002
[0076]
  Re 400 , Re 550 And Re 700 More preferably satisfies the following formula (14).
[0077]
Formula (14)
  −0.002 <(Rth 700 -Rth 400 ) / 300Rth 550 <0.001
[0078]
[Organic solvent]
  In the present invention, it is preferable to produce a cellulose ester film by a solvent cast method. In the solvent cast method, a film is produced using a solution (dope) in which cellulose ester is dissolved in an organic solvent.
[0079]
  The organic solvent is a solvent selected from ethers having 3 to 12 carbon atoms, ketones having 3 to 12 carbon atoms, esters having 3 to 12 carbon atoms, and halogenated hydrocarbons having 1 to 6 carbon atoms. It is preferable to contain.
[0080]
  The ether, ketone and ester may have a cyclic structure. A compound having two or more functional groups of ether, ketone and ester (that is, —O—, —CO— and —COO—) can also be used as the organic solvent. The organic solvent may have another functional group such as an alcoholic hydroxyl group. In the case of an organic solvent having two or more types of functional groups, the number of carbon atoms may be within the specified range of the compound having any functional group.
[0081]
  Examples of the ether having 3 to 12 carbon atoms include diisopropyl ether, dimethoxymethane, dimethoxyethane, 1,4-dioxane, 1,3-dioxolane, tetrahydrofuran, anisole and phenetole.
[0082]
  Examples of ketones having 3 to 12 carbon atoms include acetone, methyl ethyl ketone, diethyl ketone, diisobutyl ketone, cyclohexanone and methylcyclohexanone.
[0083]
  Examples of esters having 3 to 12 carbon atoms include ethyl formate, propyl formate, pentyl formate, methyl acetate, ethyl acetate and pentyl acetate..
[0084]
  Examples of the organic solvent having two or more kinds of functional groups include 2-ethoxyethyl acetate, 2-methoxyethanol and 2-butoxyethanol.
[0085]
  The number of carbon atoms of the halogenated hydrocarbon is preferably 1 or 2, and most preferably 1. The halogen of the halogenated hydrocarbon is preferably chlorine. The proportion of halogenated hydrocarbon hydrogen atoms substituted with halogen is preferably 25 to 75 mol%, more preferably 30 to 70 mol%, and more preferably 35 to 65 mol%. More preferably, it is 40 to 60 mol%, and most preferably. Methylene chloride is a representative halogenated hydrocarbon.
[0086]
  Two or more organic solvents may be mixed and used.
[0087]
  Particularly preferred organic solvents are mixed solvents of three different types of solvents, wherein the first solvent is an ether having 3 to 12 carbon atoms, a ketone having 3 to 12 carbon atoms, an ester having 3 to 12 carbon atoms, and The halogenated hydrocarbon having 1 to 6 carbon atoms is selected, the second solvent is selected from linear monohydric alcohol having 1 to 5 carbon atoms, and the third solvent has a boiling point of 30 to 170. It is selected from alcohols at 0 ° C. and hydrocarbons having a boiling point of 30 to 170 ° C.
[0088]
  The ether, ketone, ester and halogenated hydrocarbon as the first solvent are as described above.
[0089]
  The second solvent is selected from linear monohydric alcohols having 1 to 5 carbon atoms. The hydroxyl group of the alcohol may be bonded to the end of the hydrocarbon straight chain (primary alcohol) or may be bonded to the middle (secondary alcohol). Specifically, the second solvent is selected from methanol, ethanol, 1-propanol, 2-propanol, 1-butanol, 2-butanol, 1-pentanol, 2-pentanol and 3-pentanol. The number of carbon atoms of the linear monohydric alcohol is preferably 1 to 4, more preferably 1 to 3, and most preferably 1 or 2. Ethanol is particularly preferably used.
[0090]
  The third solvent is selected from alcohol having a boiling point of 30 to 170 ° C. and hydrocarbon having a boiling point of 30 to 170 ° C.
[0091]
  The alcohol is preferably monovalent. The hydrocarbon portion of the alcohol may be linear, branched or cyclic. The hydrocarbon moiety is preferably a saturated aliphatic hydrocarbon. The hydroxyl group of the alcohol may be any of primary to tertiary.
[0092]
  Examples of alcohols include methanol (boiling point: 64.65 ° C.), ethanol (78.325 ° C.), 1-propanol (97.15 ° C.), 2-propanol (82.4 ° C.), 1-butanol (117. 9 ° C), 2-butanol (99.5 ° C), t-butanol (82.45 ° C), 1-pentanol (137.5 ° C), 2-methyl-2-butanol (101.9 ° C) and cyclo Hexanol (161 ° C.) is included.
[0093]
  As for the alcohol, it overlaps with the definition of the second solvent, but any alcohol different from the alcohol used as the second solvent can be used as the third solvent. For example, when ethanol is used as the second solvent, other alcohols included in the definition of the second solvent (methanol, 1-propanol, 2-propanol, 1-butanol, 2-butanol, 1-pentanol) , 2-pentanol or 3-pentanol) may be used as the third solvent.
[0094]
The hydrocarbon may be linear, branched or cyclic. Either aromatic hydrocarbons or aliphatic hydrocarbons can be used. Aliphatic hydrocarbons may be saturated or unsaturated.
  Examples of hydrocarbons include cyclohexane (boiling point: 80.7 ° C), hexane (69 ° C), benzene (80.1 ° C), toluene (110.6 ° C) and xylene (138.4-144.4 ° C). Is included.
[0095]
The three kinds of mixed solvents preferably contain 50 to 95% by weight of the first solvent, more preferably 60 to 92% by weight, still more preferably 65 to 90% by weight, and 70 to 88%. Most preferably, it is contained by weight. The second solvent is preferably contained in an amount of 1 to 30% by weight, more preferably 2 to 27% by weight, further preferably 3 to 24% by weight, and more preferably 4 to 22% by weight. Most preferred. The third solvent is preferably contained in an amount of 1 to 30% by weight, more preferably 2 to 27% by weight, further preferably 3 to 24% by weight, and more preferably 4 to 22% by weight. Most preferred.
Furthermore, another organic solvent may be used in combination to form a mixed solvent of four or more types. In the case of using four or more kinds of mixed solvents, the fourth and subsequent solvents are also preferably selected from the three kinds of solvents described above. Solvents other than the above-mentioned three solvents include ethers having 3 to 12 carbon atoms (eg, diisopropyl ether, dimethoxyethane, diethoxyethane, 1,4-dioxane, 1,3-dioxolane, tetrahydrofuran, anisole) , Phenetole) or nitromethane may be used in combination.
[0096]
[Preparation of solution (general method)]
In the present invention, the solution can be prepared by a general method without employing the cooling dissolution method. The general method means that the treatment is performed at a temperature of 0 ° C. or higher (room temperature or high temperature). The solution can be prepared using a dope preparation method and apparatus in a normal solvent cast method. In the case of a general method, it is preferable to use a halogenated hydrocarbon (particularly methylene chloride) as the organic solvent.
The amount of the cellulose ester is adjusted so as to be contained in the obtained solution by 10 to 40% by weight. The amount of cellulose ester is more preferably 10 to 30% by weight. Arbitrary additives described later may be added to the organic solvent (main solvent).
The solution can be prepared by stirring the cellulose ester and the organic solvent at room temperature (0 to 40 ° C.). High concentration solutions may be stirred under pressure and heating conditions. Specifically, the cellulose ester and the organic solvent are placed in a pressure vessel and sealed, and stirred while heating to a temperature not lower than the boiling point of the solvent at normal temperature and in a range where the solvent does not boil. The heating temperature is usually 40 ° C. or higher, preferably 60 to 200 ° C., more preferably 80 to 110 ° C.
[0097]
Each component may be coarsely mixed in advance and then placed in a container. Moreover, you may put into a container sequentially. The container needs to be configured so that it can be stirred. The container can be pressurized by injecting an inert gas such as nitrogen gas. Moreover, you may utilize the raise of the vapor pressure of the solvent by heating. Or after sealing a container, you may add each component under pressure.
When heating, it is preferable to heat from the outside of the container. For example, a jacket type heating device can be used. The entire container can also be heated by providing a plate heater outside the container and piping to circulate the liquid.
It is preferable to provide a stirring blade inside the container and stir using this. The stirring blade preferably has a length that reaches the vicinity of the wall of the container. A scraping blade is preferably provided at the end of the stirring blade in order to renew the liquid film on the vessel wall.
Instruments such as a pressure gauge and a thermometer may be installed in the container. Each component is dissolved in a solvent in the container. The prepared dope is taken out of the container after cooling, or taken out and then cooled using a heat exchanger or the like.
[0098]
[Preparation of solution (cooling dissolution method)]
A solution can also be prepared by a cooling dissolution method. In the cooling dissolution method, the cellulose ester can be dissolved in an organic solvent (an organic solvent other than the halogenated hydrocarbon) that is difficult to dissolve by a normal dissolution method. In addition, even if it is a solvent (for example, halogenated hydrocarbon) which can melt | dissolve a cellulose ester with a normal melt | dissolution method, there exists an effect that a uniform solution can be obtained rapidly according to a cooling melt | dissolution method.
In the cooling dissolution method, first, a cellulose ester is gradually added to an organic solvent with stirring at room temperature.
The amount of the cellulose ester is preferably adjusted so as to be contained in the mixture by 10 to 40% by weight. The amount of cellulose ester is more preferably 10 to 30% by weight. Furthermore, you may add the arbitrary additive mentioned later in a mixture.
[0099]
The mixture is then cooled to -100 to -10 ° C (preferably -80 to -10 ° C, more preferably -50 to -20 ° C, most preferably -50 to -30 ° C). The cooling can be performed, for example, in a dry ice / methanol bath (−75 ° C.) or a cooled diethylene glycol solution (−30 to −20 ° C.). When cooled in this manner, the mixture of cellulose ester and organic solvent solidifies.
The cooling rate is preferably 4 ° C./min or more, more preferably 8 ° C./min or more, and most preferably 12 ° C./min or more. The faster the cooling rate, the better. However, 10,000 ° C./second is the theoretical upper limit, 1000 ° C./second is the technical upper limit, and 100 ° C./second is the practical upper limit. The cooling rate is a value obtained by dividing the difference between the temperature at the start of cooling and the final cooling temperature by the time from the start of cooling until the final cooling temperature is reached.
[0100]
Further, when this is heated to 0 to 200 ° C. (preferably 0 to 150 ° C., more preferably 0 to 120 ° C., most preferably 0 to 50 ° C.), the cellulose ester is dissolved in the organic solvent. The temperature can be raised by simply leaving it at room temperature or in a warm bath.
The heating rate is preferably 4 ° C./min or more, more preferably 8 ° C./min or more, and most preferably 12 ° C./min or more. The higher the heating rate, the better. However, 10,000 ° C./second is the theoretical upper limit, 1000 ° C./second is the technical upper limit, and 100 ° C./second is the practical upper limit. The heating rate is a value obtained by dividing the difference between the temperature at the start of heating and the final heating temperature by the time from the start of heating until the final heating temperature is reached. .
A uniform solution is obtained as described above. If the dissolution is insufficient, the cooling and heating operations may be repeated. Whether or not the dissolution is sufficient can be determined by merely observing the appearance of the solution with the naked eye.
[0101]
  In the cooling dissolution method, it is desirable to use a sealed container in order to avoid moisture mixing due to condensation during cooling. In the cooling / heating operation, pressurization is applied during cooling,InWhen the pressure is reduced, the dissolution time can be shortened. In order to perform pressurization and decompression, it is desirable to use a pressure-resistant container.
  In addition, according to differential scanning calorimetry (DSC), a 20 wt% solution obtained by dissolving cellulose acetate (acetylation degree: 60.9%, viscosity average polymerization degree: 299) in methyl acetate by the cooling dissolution method was 33. There exists a quasi-phase transition point between a sol state and a gel state in the vicinity of ° C., and a uniform gel state is obtained below this temperature. Therefore, this solution needs to be stored at a temperature equal to or higher than the pseudo phase transition temperature, preferably about the gel phase transition temperature plus about 10 ° C. However, this pseudo phase transition temperature varies depending on the average degree of acetylation, the degree of viscosity average polymerization, the concentration of the solution, and the organic solvent used.
[0102]
[Production of film]
From the prepared cellulose ester solution (dope), a cellulose ester film is produced by a solvent cast method.
The dope is cast on a drum or band, and the solvent is evaporated to form a film. The concentration of the dope before casting is preferably adjusted so that the solid content is 18 to 35%. The surface of the drum or band is preferably finished in a mirror state. Regarding casting and drying methods in the solvent cast method, U.S. Pat. Nos. 2,336,310, 2,367,603, 2,429,078, 2,429,297, 2,429,978, 2,607,704, 2,739,69, U.S. 2,739,070, British Patent 6,407,331, No. 736892, JP-B Nos. 45-4554, 49-5614, JP-A-60-176834, No. 60-203430, and No. 62-1115035.
The dope is preferably cast on a drum or band having a surface temperature of 10 ° C. or less. It is preferable that the cast is dried for 2 seconds or longer after being cast. The obtained film can be peeled off from the drum or band, and further dried by high-temperature air whose temperature is successively changed from 100 to 160 ° C. to evaporate the residual solvent. The above method is described in Japanese Patent Publication No. 5-17844. According to this method, it is possible to shorten the time from casting to stripping. In order to carry out this method, it is necessary for the dope to gel at the surface temperature of the drum or band during casting. The solution (dope) prepared according to the present invention satisfies this condition.
The thickness of the film to be produced is preferably 40 to 120 μm, more preferably 70 to 100 μm.
[0103]
[Film additives]
A plasticizer can be added to the cellulose ester film in order to improve mechanical properties or increase the drying rate. As the plasticizer, phosphoric acid ester or carboxylic acid ester is used. Examples of phosphate esters include triphenyl phosphate (TPP) and tricresyl phosphate (TCP). Representative examples of the carboxylic acid ester include phthalic acid esters and citric acid esters. Examples of phthalic acid esters include dimethyl phthalate (DMP), diethyl phthalate (DEP), dibutyl phthalate (DBP), dioctyl phthalate (DOP), diphenyl phthalate (DPP) and diethylhexyl phthalate (DEHP). Examples of citrate esters include triethyl O-acetylcitrate (OACTE) and tributyl O-acetylcitrate (OACTB). Examples of other carboxylic acid esters include butyl oleate, methylacetyl ricinoleate, dibutyl sebacate, and various trimellitic acid esters. Phthalate plasticizers (DMP, DEP, DBP, DOP, DPP, DEHP) are preferably used. DEP and DPP are particularly preferred.
The addition amount of the plasticizer is preferably 0.1 to 25% by weight, more preferably 1 to 20% by weight, and most preferably 3 to 15% by weight of the amount of the cellulose ester.
[0104]
Degradation inhibitors (eg, antioxidants, peroxide decomposers, radical inhibitors, metal deactivators, acid scavengers, amines) and UV inhibitors may be added to the cellulose ester film. The deterioration preventing agents are described in JP-A-3-199201, JP-A-51907073, JP-A-5-194789, JP-A-5-271471, and JP-A-6-107854. The addition amount of the deterioration preventing agent is preferably 0.01 to 1% by weight of the solution (dope) to be prepared, and more preferably 0.01 to 0.2% by weight. When the addition amount is less than 0.01% by weight, the effect of the deterioration preventing agent is hardly recognized. When the added amount exceeds 1% by weight, bleed-out (bleeding out) of the deterioration preventing agent to the film surface may be observed. As a particularly preferred example of the deterioration preventing agent, butylated hydroxytoluene (BHT) can be mentioned. The ultraviolet ray preventing agent is described in JP-A-7-11056.
The cellulose acetate having an average degree of acetylation of 55.0 to 58.0% is more stable than the cellulose triacetate having an average degree of acetylation of 58.0% or more, and the produced film. There is a disadvantage that the physical properties are inferior. However, this drawback can be substantially eliminated by using the above-described deterioration preventing agent, particularly an antioxidant such as butylated hydroxytoluene (BHT).
[0105]
[Configuration of general liquid crystal display device]
The cellulose ester film can be used in various applications. The cellulose ester film of the present invention is particularly effective when used as an optical compensation sheet for liquid crystal display devices. Since the cellulose ester film of the present invention is characterized by a high retardation value in the thickness direction, the film itself can be used as an optical compensation sheet.
The liquid crystal display device includes a liquid crystal cell having a liquid crystal supported between two electrode substrates, two polarizing elements disposed on both sides thereof, and at least one sheet between the liquid crystal cell and the polarizing element. An optical compensation sheet is arranged.
A configuration of a general liquid crystal display device will be described with reference to FIG.
[0106]
FIG. 1 is a schematic cross-sectional view of a general liquid crystal display device.
The liquid crystal layer (7) is provided between the resin substrates (5a, 5b). Transparent electrode layers (6a, 6b) are provided on the liquid crystal side of the resin substrates (5a, 5b). The above liquid crystal layer, resin substrate and transparent electrodes (5 to 7) constitute a liquid crystal cell.
Optical compensation sheets (4a, 4b) are bonded to the top and bottom of the liquid crystal cell. The cellulose ester film of the present invention can be used as this optical compensation sheet (4a, 4b). The optical compensation sheet (4a, 4b) also has a function of protecting the side of the polarizing film (3a, 3b) where the protective film (2a, 2b) is not provided.
Polarizing elements (2a, 2b, 3a, 3b) are provided above and below the optical compensation sheets (4a and 4b). The polarizing element includes a protective film (2a, 2b) and a polarizing film (3a, 3b).
In the liquid crystal display device shown in FIG. 1, a surface treatment film (1) is further provided on the polarizing element on one side. The surface treated film (1) is provided on the side viewed by a person from the outside. The backlight of the liquid crystal display device is provided on the opposite side (2b side).
Hereinafter, the liquid crystal cell, the optical compensation sheet, and the polarizing element will be further described.
[0107]
The liquid crystal layer of the liquid crystal cell is usually formed by sealing liquid crystal in a space formed by sandwiching a spacer between two substrates. The transparent electrode layer is formed on the substrate as a transparent film containing a conductive substance.
The liquid crystal cell may further be provided with a gas barrier layer, a hard coat layer, or an undercoat layer (used for adhesion of the transparent electrode layer). These layers are usually provided on the substrate.
The substrate of the liquid crystal cell generally has a thickness of 80 to 500 μm.
[0108]
The optical compensation sheet is a birefringence film for removing the coloration of the liquid crystal screen. The cellulose ester film itself of the present invention can be used as an optical compensation sheet. In order to improve the viewing angle of the liquid crystal display device, the cellulose ester film of the present invention may be used as an optical compensation sheet by superimposing a film showing birefringence (positive / negative relationship) opposite thereto. The thickness range of the optical compensation sheet is the same as the preferable thickness of the above-described film of the present invention.
[0109]
Examples of the polarizing film of the polarizing element include an iodine polarizing film, a dye polarizing film using a dichroic dye, and a polyene polarizing film. Any polarizing film is generally produced using a polyvinyl alcohol film.
The protective film of the polarizing plate preferably has a thickness of 25 to 350 μm, more preferably 50 to 200 μm.
A surface treatment film may be provided as in the liquid crystal display device shown in FIG. The functions of the surface treatment film include hard coat, anti-fogging treatment, anti-glare treatment and antireflection treatment.
[0110]
As described above, there has also been proposed an optical compensation sheet in which an optically anisotropic layer containing a liquid crystal (particularly a discotic liquid crystalline molecule) is provided on a support (Japanese Patent Application Laid-Open Nos. 3-9325 and 6-148429). Nos. 8-50206 and 9-26572). The cellulose ester film of the present invention can also be used as a support for such an optical compensation sheet.
[0111]
[Optically anisotropic layer containing discotic liquid crystalline molecules]
The optically anisotropic layer is preferably a layer containing discotic liquid crystalline molecules having negative uniaxiality and tilting orientation. The angle formed by the disc surface of the discotic liquid crystal molecule and the support surface is preferably changed (hybrid alignment) in the depth direction of the optically anisotropic layer. The optical axis of the discotic liquid crystalline molecule exists in the normal direction of the disk surface. The discotic liquid crystalline molecule has birefringence in which the refractive index in the disc surface direction is larger than the refractive index in the optical axis direction.
The optically anisotropic layer is preferably formed by aligning the discotic liquid crystalline molecules with an alignment film described later and fixing the discotic liquid crystalline molecules in the aligned state. The discotic liquid crystalline molecules are preferably fixed by a polymerization reaction.
In the optically anisotropic layer, there is no direction in which the retardation value becomes 0. In other words, the minimum retardation value of the optically anisotropic layer is a value exceeding 0.
[0112]
Discotic liquid crystalline molecules are described in various documents (C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., Vol. 71, page 111 (1981); edited by the Chemical Society of Japan, Quarterly Chemical Review, No. 22, Liquid Crystal Chemistry, Chapter 5, Chapter 10, Section 2 (1994); B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., Page 1794 (1985); J. Zhang et al., J Am. Chem. Soc., Vol. 116, page 2655 (1994)). The polymerization of discotic liquid crystalline molecules is described in JP-A-8-27284.
In order to fix the discotic liquid crystalline molecules by polymerization, it is necessary to bond a polymerizable group as a substituent to the discotic core of the discotic liquid crystalline molecules. However, when the polymerizable group is directly connected to the disc-shaped core, it becomes difficult to maintain the orientation state in the polymerization reaction. Therefore, a linking group is introduced between the discotic core and the polymerizable group. Accordingly, the discotic liquid crystalline molecule having a polymerizable group is preferably a compound represented by the following formula (I).
[0113]
(I)
D (-LP)n
Where D is a discotic core; L is a divalent linking group; P is a polymerizable group; and n is an integer from 4 to 12.
Examples of the disk-shaped core (D) of the formula (I) are shown below. In each of the following examples, LP (or PL) means a combination of a divalent linking group (L) and a polymerizable group (P).
[0114]
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Figure 0004234823
[0115]
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[0116]
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[0117]
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[0118]
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[0119]
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[0120]
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Figure 0004234823
[0121]
In the formula (I), the divalent linking group (L) is selected from the group consisting of an alkylene group, an alkenylene group, an arylene group, —CO—, —NH—, —O—, —S—, and combinations thereof. A divalent linking group is preferred. The divalent linking group (L) is a combination of at least two divalent groups selected from the group consisting of an alkylene group, an alkenylene group, an arylene group, -CO-, -NH-, -O-, and -S-. More preferably, it is a group. The divalent linking group (L) is most preferably a group obtained by combining at least two divalent groups selected from the group consisting of an alkylene group, an alkenylene group, an arylene group, -CO- and -O-. The alkylene group preferably has 1 to 12 carbon atoms. The alkenylene group preferably has 2 to 12 carbon atoms. The number of carbon atoms in the arylene group is preferably 6 to 10. The alkylene group, alkenylene group and arylene group may have a substituent (eg, alkyl group, halogen atom, cyano, alkoxy group, acyloxy group).
[0122]
Examples of the divalent linking group (L) are shown below. The left side is bonded to the discotic core (D), and the right side is bonded to the polymerizable group (P). AL represents an alkylene group or an alkenylene group, and AR represents an arylene group.
L1: -AL-CO-O-AL-
L2: -AL-CO-O-AL-O-
L3: -AL-CO-O-AL-O-AL-
L4: -AL-CO-O-AL-O-CO-
L5: -CO-AR-O-AL-
L6: -CO-AR-O-AL-O-
L7: -CO-AR-O-AL-O-CO-
L8: -CO-NH-AL-
L9: -NH-AL-O-
L10: -NH-AL-O-CO-
[0123]
L11: -O-AL-
L12: -O-AL-O-
L13: -O-AL-O-CO-
L14: -O-AL-O-CO-NH-AL-
L15: -O-AL-S-AL-
L16: -O-CO-AR-O-AL-CO-
L17: -O-CO-AR-O-AL-O-CO-
L18: -O-CO-AR-O-AL-O-AL-O-CO-
L19: -O-CO-AR-O-AL-O-AL-O-AL-O-CO-
L20: -S-AL-
L21: -S-AL-O-
L22: -S-AL-O-CO-
L23: -S-AL-S-AL-
L24: -S-AR-AL-
[0124]
The polymerizable group (P) of the formula (I) is determined according to the type of polymerization reaction. Examples of the polymerizable group (P) are shown below.
[0125]
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Figure 0004234823
[0126]
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Figure 0004234823
[0127]
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[0128]
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[0129]
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Figure 0004234823
[0130]
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Figure 0004234823
[0131]
The polymerizable group (P) is preferably an unsaturated polymerizable group (P1, P2, P3, P7, P8, P14, P15, P16) or an epoxy group (P6), and is an unsaturated polymerizable group. Is more preferable, and an ethylenically unsaturated polymerizable group (P1, P7, P8, P14, P15, P16) is most preferable.
In the formula (I), n is an integer of 4 to 12. A specific number is determined according to the type of discotic core (D). In addition, although the combination of several L and P may differ, it is preferable that it is the same.
Two or more kinds of discotic liquid crystalline molecules (for example, a molecule having an asymmetric carbon atom in a divalent linking group and a molecule not having it) may be used in combination.
[0132]
The optically anisotropic layer is formed by applying a coating liquid containing discotic liquid crystalline molecules, the following polymerizable initiator and other additives on the alignment film.
As the solvent used for preparing the coating solution, an organic solvent is preferably used. Examples of organic solvents include amides (eg, N, N-dimethylformamide), sulfoxides (eg, dimethyl sulfoxide), heterocyclic compounds (eg, pyridine), hydrocarbons (eg, benzene, hexane), alkyl halides (eg, , Chloroform, dichloromethane), esters (eg, methyl acetate, butyl acetate), ketones (eg, acetone, methyl ethyl ketone), ethers (eg, tetrahydrofuran, 1,2-dimethoxyethane). Alkyl halides and ketones are preferred. Two or more organic solvents may be used in combination.
[0133]
The coating liquid can be applied by a known method (eg, extrusion coating method, direct gravure coating method, reverse gravure coating method, die coating method).
The aligned discotic liquid crystalline molecules are fixed while maintaining the alignment state. The immobilization is preferably carried out by a polymerization reaction of a polymerizable group (P) introduced into a discotic liquid crystalline molecule. The polymerization reaction includes a thermal polymerization reaction using a thermal polymerization initiator and a photopolymerization reaction using a photopolymerization initiator. A photopolymerization reaction is preferred.
Examples of the photopolymerization initiator include α-carbonyl compounds (described in US Pat. Nos. 2,367,661 and 2,367,670), acyloin ether (described in US Pat. No. 2,448,828), α-hydrocarbon substituted aromatic acyloin. Compound (described in US Pat. No. 2,722,512), polynuclear quinone compound (described in US Pat. Nos. 3,046,127 and 2,951,758), a combination of triarylimidazole dimer and p-aminophenyl ketone (US Pat. No. 3,549,367) Acridine and phenazine compounds (JP-A-60-105667, U.S. Pat. No. 4,239,850) and oxadiazole compounds (U.S. Pat. No. 4,212,970).
[0134]
The amount of the photopolymerization initiator used is preferably 0.01 to 20% by weight, more preferably 0.5 to 5% by weight, based on the solid content of the coating solution.
Light irradiation for polymerization of discotic liquid crystalline molecules is preferably performed using ultraviolet rays.
Irradiation energy is 20mJ / cm2 ~ 50J / cm2 Preferably, 100 to 800 mJ / cm2 More preferably. In order to accelerate the photopolymerization reaction, light irradiation may be performed under heating conditions.
The thickness of the optically anisotropic layer is preferably 0.1 to 10 μm, more preferably 0.5 to 5 μm, and most preferably 1 to 5 μm.
[0135]
[Alignment film]
The alignment film has a function of defining the alignment direction of the discotic liquid crystalline molecules of the optically anisotropic layer.
The alignment film is an organic compound (eg, ω-tricosanoic acid) formed by rubbing treatment of an organic compound (preferably polymer), oblique deposition of an inorganic compound, formation of a layer having a microgroove, or Langmuir-Blodgett method (LB film). , Dioctadecylmethylammonium chloride, methyl stearylate). Furthermore, an alignment film in which an alignment function is generated by application of an electric field, application of a magnetic field, or light irradiation is also known.
The alignment film is preferably formed by polymer rubbing treatment. Polyvinyl alcohol is a preferred polymer. Particularly preferred is a modified polyvinyl alcohol to which a hydrophobic group is bonded. Since the hydrophobic group has an affinity with the discotic liquid crystalline molecules in the optically anisotropic layer, the discotic liquid crystalline molecules can be uniformly aligned by introducing the hydrophobic group into polyvinyl alcohol. The hydrophobic group is bonded to the main chain terminal or side chain of polyvinyl alcohol.
The hydrophobic group is preferably an aliphatic group having 6 or more carbon atoms (preferably an alkyl group or an alkenyl group) or an aromatic group.
[0136]
When a hydrophobic group is bonded to the main chain terminal of polyvinyl alcohol, it is preferable to introduce a linking group between the hydrophobic group and the main chain terminal. Examples of linking groups include -S-, -C (CN) R1 -, -NR2 -, -CS- and combinations thereof are included. R above1 And R2 Are each a hydrogen atom or an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms (preferably an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms).
When a hydrophobic group is introduced into the side chain of polyvinyl alcohol, the acetyl group (—CO—CH) of the vinyl acetate unit of polyvinyl alcohol is used.Three A part of acyl group having 7 or more carbon atoms (—CO—R).Three ). RThree Is an aliphatic or aromatic group having 6 or more carbon atoms.
Commercially available modified polyvinyl alcohol (eg, MP103, MP203, R1130, manufactured by Kuraray Co., Ltd.) may be used.
The saponification degree of the (modified) polyvinyl alcohol used for the alignment film is preferably 80% or more. The degree of polymerization of (modified) polyvinyl alcohol is preferably 200 or more.
The rubbing treatment is performed by rubbing the surface of the alignment film several times in a certain direction with paper or cloth. It is preferable to use a cloth in which fibers having uniform length and thickness are uniformly planted.
After aligning the discotic liquid crystalline molecules using the alignment film, the discotic liquid crystalline molecules are fixed in the aligned state to form an optically anisotropic layer, and only the optically anisotropic layer is formed. It may be transferred onto a support. The discotic liquid crystalline molecules fixed in the alignment state can maintain the alignment state even without the alignment film. Therefore, in the optical compensation sheet, the alignment film is not an essential element (although it is essential in the production of the optical compensation sheet containing discotic liquid crystalline molecules).
[0137]
[VA type liquid crystal display]
The cellulose ester film of the present invention is particularly advantageously used as a support for an optical compensation sheet of a VA liquid crystal display device having a VA mode liquid crystal cell.
A VA liquid crystal display device will be described with reference to FIGS.
FIG. 2 is a cross-sectional view schematically showing the orientation of the liquid crystal compound in the VA mode liquid crystal cell when no voltage is applied.
As shown in FIG. 2, the liquid crystal cell has a structure in which a liquid crystal compound (12) is sealed between an upper substrate (11) and a lower substrate (13). The liquid crystalline compound (12) used in the VA mode liquid crystal cell generally has a negative dielectric anisotropy. When the applied voltage of the VA mode liquid crystal cell is 0 (when no voltage is applied), the molecules of the liquid crystal compound (12) are vertically aligned as shown in FIG. When a pair of polarizing elements (not shown) are arranged in crossed Nicols on both sides of the upper and lower substrates (11, 13), no retardation occurs in the normal direction (14) of the substrate surface. As a result, light cannot be transmitted in the normal direction (14) of the substrate surface, resulting in black display.
If the line of sight is shifted in the direction (15) inclined from the normal direction (14) of the substrate, retardation is generated and light is transmitted, resulting in a decrease in contrast. This oblique retardation can be compensated by the optical anisotropy of the optical compensation sheet. Details will be described later (explained with reference to FIG. 5).
In FIG. 2, all of the liquid crystalline compound (12) is perfectly aligned in the vertical direction, but in actuality, it is slightly inclined (pretilt) in a certain direction. This is because all the liquid crystalline compounds are tilted in a certain direction (pretilt direction) when a voltage is applied (described in FIG. 3 below).
[0138]
FIG. 3 is a cross-sectional view schematically showing the orientation of the liquid crystal compound in the VA mode liquid crystal cell when a voltage is applied.
Each of the upper substrate (21) and the lower substrate (23) has an electrode layer (not shown), and a voltage can be applied to the liquid crystalline compound (22). As shown in FIG. 3, when a voltage is applied, the molecules of the liquid crystal compound at the center of the liquid crystal cell are horizontally aligned. As a result, retardation occurs in the normal direction (24) of the substrate surface and light is transmitted.
As described above, the liquid crystal molecules in the central portion of the liquid crystal cell are in the horizontal alignment state, but the liquid crystal molecules in the vicinity of the alignment film are not in the horizontal alignment state and are tilted in the pretilt direction. When the line of sight is shifted from the normal direction (24) of the substrate surface to the inclined direction (25), the change in retardation angle is small, whereas when the line of sight is moved in another direction (26), the change in angle of retardation. Is big. Therefore, if the pretilt direction of the liquid crystal compound (the same direction as 26) is the downward direction of the image, the horizontal viewing angle is symmetric and wide, the downward viewing angle is wide, but the upward viewing angle is narrow. Viewing angle characteristics. In order to improve this viewing angle characteristic, it is necessary to compensate for retardation caused by tilted liquid crystal molecules that are not horizontally aligned when a voltage is applied.
The optical compensation sheet has a function of compensating for the retardation and improving visual characteristics (removing asymmetry in the visual direction of the transmittance when a voltage is applied).
[0139]
FIG. 4 is a schematic diagram of a refractive index ellipse obtained by viewing a VA mode liquid crystal cell in which polarizing elements are arranged in crossed Nicols from the normal direction of the cell substrate. 4A shows a refractive index ellipse when no voltage is applied, and FIG. 4B shows a refractive index ellipse when a voltage is applied.
In the crossed Nicol arrangement, the transmission axes (31a, 31b) of the polarization element on the incident side and the transmission axes (32a, 32b) of the polarization element on the output side are arranged vertically.
When no voltage is applied, the liquid crystal molecules in the cell are aligned perpendicular to the cell substrate surface. Therefore, the refractive index ellipse (33a) obtained from the normal direction of the cell substrate is circular. In this case, since the retardation of the liquid crystal cell is 0, no light is transmitted.
On the other hand, when a voltage is applied, the liquid crystal molecules in the cell are aligned substantially horizontally with respect to the cell substrate surface. Therefore, the refractive index ellipse (33b) obtained from the normal direction of the cell substrate is an ellipse. In this case, since the retardation of the liquid crystal cell has a non-zero value, light is transmitted. FIG. 4B also shows an orthogonal projection (34) of the optical axis of the liquid crystal molecules in the cell onto the liquid crystal cell substrate surface.
[0140]
FIG. 5 is a schematic diagram showing a refractive index ellipse of a positive uniaxial liquid crystal cell and a negative uniaxial optical compensation sheet.
When positive uniaxial optical anisotropy occurs in the liquid crystal cell (43), the refractive index (44x, 44y) in the plane parallel to the liquid crystal cell substrate and the refractive index in the thickness direction of the liquid crystal cell (44x) The refractive index ellipse (44) formed by the above has a shape of standing rugby balls as shown in FIG. When such a liquid crystal cell having a rugby ball-like refractive index ellipse (not spherical) is viewed from an oblique direction (15 in FIG. 2) as described in FIG. 2, retardation occurs. This letter cancellation is canceled by the negative uniaxial optical compensation sheet (42), and light leakage can be suppressed.
In the optical compensation sheet (42) having negative uniaxiality, the optical compensation sheet formed by the main refractive index (41x, 41y) in the optical compensation sheet surface and the main refractive index (41z) in the thickness direction of the optical compensation sheet. The refractive index ellipse (41) has an ampere shape as shown in FIG. Therefore, the sum of 41x and 44x, the sum of 41y and 44y, and the sum of 41z and 44z are almost the same value. As a result, the letter generation generated in the liquid crystal cell is canceled.
The optical compensation sheet of the present invention has a function of preventing light leakage at oblique incidence when no voltage is applied, in addition to the above-described function of improving visual characteristics.
[0141]
FIG. 6 is a schematic cross-sectional view showing a combination of a VA mode liquid crystal cell and two optical compensation sheets.
As shown in FIG. 6, the two optical compensation sheets (53, 54) can be combined with the VA mode liquid crystal cell (50) in any of the four types of variations (a) to (d). .
In the variations of (a) and (c), the optically anisotropic layer (51) side including the discotic liquid crystalline molecules of the optical compensation sheet (53, 54) is stretched over the VA mode liquid crystal cell (50). Use together. In the variation (a), an orientation film is provided on the transparent support (52) side of the optically anisotropic layer (51) to align the discotic liquid crystalline molecules. In the variation (c), an alignment film is provided on the VA mode liquid crystal cell (50) side of the optically anisotropic layer (51) to align the discotic liquid crystalline molecules.
In the variations (b) and (d), the transparent support (52) side of the optical compensation sheet (53, 54) is attached to the VA mode liquid crystal cell (50). In the variation (b), an alignment film is provided on the transparent support (52) side of the optically anisotropic layer (51) to align the discotic liquid crystalline molecules. In the variation (d), an alignment film is provided outside the optically anisotropic layer (51) to align the discotic liquid crystalline molecules.
[0142]
FIG. 7 is a schematic cross-sectional view showing a combination of a VA mode liquid crystal cell and one optical compensation sheet.
As shown in FIG. 7, the single optical compensation sheet (63) can be combined with the VA mode liquid crystal cell (60) in any of the four types of variations (e) to (h).
In the variations of (e) and (g), the side of the optically anisotropic layer (61) containing the discotic liquid crystalline molecules of the optical compensation sheet (63) is bonded to the VA mode liquid crystal cell (60). use. In the variation of (e), an alignment film is provided on the transparent support (62) side of the optically anisotropic layer (61) to align the discotic liquid crystalline molecules. In the variation (g), an orientation film is provided on the VA mode liquid crystal cell (60) side of the optically anisotropic layer (61) to align the discotic liquid crystalline molecules.
In the variations of (f) and (h), the transparent support (62) side of the optical compensation sheet (63) is attached to the VA mode liquid crystal cell (60). In the variation (f), an alignment film is provided on the transparent support (62) side of the optically anisotropic layer (61) to align the discotic liquid crystalline molecules. In the variation (h), an alignment film is provided outside the optically anisotropic layer (61) to align the discotic liquid crystalline molecules.
[0143]
FIG. 8 is a schematic cross-sectional view of an optical compensation sheet used in a VA liquid crystal display device.
The optical compensation sheet shown in FIG. 8 has a layer structure in the order of a support (71), an alignment film (72), and an optically anisotropic layer (73). This layer structure corresponds to the optical compensation sheet shown in FIGS. 6A and 6B or FIGS. 7E and 7F. The alignment film (72) is given an alignment function by rubbing in a certain direction (75).
The discotic liquid crystalline molecules (73a, 73b, 73c) contained in the optically anisotropic layer (73) are planar molecules. The discotic liquid crystal molecules (73a, 73b, 73c) have only one plane, that is, a disc surface (Pa, Pb, Pc). The disk surfaces (Pa, Pb, Pc) are inclined from the surfaces (71a, 71b, 71c) parallel to the surface of the support (71). The angles between the disk surfaces (Pa, Pb, Pc) and the surfaces (71a, 71b, 71c) parallel to the support surface are inclination angles (θa, θb, θc). As the distance from the alignment film (62) increases along the normal (74) of the support, the tilt angle also increases (θa <θb <θc).
The inclination angles (θa, θb, θc) are preferably changed in the range of 0 to 60 °. The minimum value of the tilt angle is preferably in the range of 0 to 55 °, more preferably in the range of 5 to 40 °. The maximum value of the inclination angle is preferably in the range of 5 to 60 °, and more preferably in the range of 20 to 60 °. The difference between the minimum value and the maximum value of the inclination angle is preferably in the range of 5 to 55 °, and more preferably in the range of 10 to 40 °.
When the tilt angle is changed as shown in FIG. 8, the viewing angle expansion function of the optical compensation sheet is significantly improved. Further, the optical compensation sheet with the tilt angle changed has a function of preventing the reversal of the display image, the gradation change, or the occurrence of coloring.
[0144]
FIG. 9 is a schematic cross-sectional view of a typical VA liquid crystal display device.
The liquid crystal display device illustrated in FIG. 9 includes a VA mode liquid crystal cell (VAC), a pair of polarizing elements (A, B) provided on both sides of the liquid crystal cell, and a pair of liquid crystal cells disposed between the liquid crystal cell and the polarizing element. It consists of an optical compensation sheet (OC1, OC2) and a backlight (BL). Only one of the optical compensation sheets (OC1, OC2) may be disposed.
The arrows (R1, R2) of the optical compensation sheet (OC1, OC2) are the rubbing directions (corresponding to the arrow 75 in FIG. 8) of the alignment film provided on the optical compensation sheet. In the liquid crystal display device shown in FIG. 9, the optically anisotropic layer of the optical compensation sheet (OC1, OC2) is disposed on the liquid crystal cell side. The optically anisotropic layer of the optical compensation sheet (OC1, OC2) may be disposed on the polarizing element (A, B) side. When the optically anisotropic layer is disposed on the polarizing element (A, B) side, the rubbing directions (R1, R2) of the alignment film are opposite to those in FIG.
The arrows (RP1, RP2) of the liquid crystal cell (VAC) indicate the rubbing direction of the alignment film provided on the liquid crystal cell substrate.
The arrows (PA, PB) of the polarizing elements (A, B) are the polarization transmission axes of the polarizing elements, respectively.
[0145]
The rubbing direction (R1, R2) of the alignment film provided on the optical compensation sheet and the rubbing direction (RP1, RP2) of the alignment film provided on the liquid crystal cell substrate are preferably substantially parallel or antiparallel. The polarization transmission axes (PA, PB) of the polarizing element are preferably arranged so as to be substantially orthogonal or parallel. Substantially orthogonal, parallel or anti-parallel means that the angular deviation is less than 20 ° (preferably less than 15 °, more preferably less than 10 °, most preferably less than 5 °).
The angle between the rubbing direction (RP1, RP2) of the alignment film provided on the liquid crystal cell substrate and the transmission axis (PA, PB) of the polarization of the polarizing element is preferably 10 to 80 °, and 20 to 70, respectively. More preferably, the angle is 35 ° to 55 °.
[0146]
In the optical compensation sheet used for the VA liquid crystal display device, it is preferable that the direction in which the absolute value of retardation is minimum does not exist in the plane of the optical compensation sheet or in the normal direction.
The optical properties of the optical compensation sheet used in the VA liquid crystal display device are determined by the optical properties of the optically anisotropic layer, the optical properties of the support, and the arrangement of the optically anisotropic layer and the support. . Details of their optical properties are described below.
Optical properties include (1) optically anisotropic layer, (2) support and (3) in-plane retardation (Re), retardation in thickness direction (Rth) and (3) optical compensation sheet as a whole. The angle (β) between the direction in which the absolute value of retardation is minimum and the normal line of the sheet is important.
The in-plane retardation and the retardation in the thickness direction are the same as the definition of the cellulose ester film described above. However, in the optically anisotropic layer and the entire optical compensation sheet, nx, ny, and nz in the above-described definitions mean in-plane main refractive indexes that satisfy nx ≧ ny ≧ nz.
[0147]
When two optical compensation sheets are used in the VA liquid crystal display device, the in-plane retardation of the optical compensation sheet is preferably in the range of −5 nm to 5 nm. Therefore, the in-plane retardation (Re) of each of the two optical compensation sheets31) Is 0 ≦ | Re31It is preferable that | ≦ 5.
Re31Is adjusted to the above range, the in-plane retardation of the optically anisotropic layer (Re1 ) Absolute value and in-plane retardation of the support (Re2 ) Difference from absolute value (|| Re1 | − | Re2 ||) is set to 5 nm or less, and the optically anisotropic layer and the support are preferably arranged so that the slow axes in the respective planes are substantially perpendicular.
When one optical compensation sheet is used in the VA liquid crystal display device, the in-plane retardation of the optical compensation sheet is preferably in the range of −10 nm to 10 nm. Therefore, the in-plane retardation (R) of one optical compensation sheet32) Is 0 ≦ | Re32It is preferable that | ≦ 10.
Re32Is adjusted to the above range, the absolute value of the in-plane retardation of the optically anisotropic layer (Re1 ) Absolute value and in-plane retardation of the support (Re2 ) Difference from absolute value (|| Re1 | − | Re2 ||) is set to 10 nm or less, and the optically anisotropic layer and the support are preferably arranged so that the slow axes in the respective planes are substantially perpendicular.
[0148]
Regarding the optical compensation sheet used in the VA liquid crystal display device, preferred ranges of the optical properties of (1) the optically anisotropic layer, (2) the support, and (3) the entire optical compensation sheet are summarized below. The unit of Re and Rth is nm. The superscript number 1 means the value of the optically anisotropic layer, the superscript number 2 means the value of the support, and the superscript number 3 means the value of the optical compensation sheet. Re31And Re32The meaning of is as described above. The retardation in the thickness direction of the support (Rth2 The preferred range is as defined as the optical properties of the cellulose ester film described above. When two or more supports are provided, in-plane retardation (Re2 ) Corresponds to the total value of the in-plane retardation of each support.
[0149]
Figure 0004234823
[0150]
[OCB type liquid crystal display device and HAN type liquid crystal display device]
The cellulose ester film of the present invention is also advantageously used as a support for an optical compensation sheet of an OCB type liquid crystal display device having an OCB mode liquid crystal cell or a HAN type liquid crystal display device having a HAN mode liquid crystal cell.
The OCB type liquid crystal display device and the HAN type liquid crystal display device will be described with reference to FIGS.
FIG. 10 is a cross-sectional view schematically showing the orientation of the liquid crystal compound in the OCB mode liquid crystal cell. FIG. 10 shows a black display state, corresponding to a voltage application in the normally white mode or no voltage application in the normally black mode.
As shown in FIG. 10, the OCB mode liquid crystal cell has a structure in which a liquid crystal compound (12) is sealed between an upper substrate (11) and a lower substrate (13). In the OCB mode liquid crystal cell, the birefringence of the liquid crystalline compound (12) is small in the vicinity of the lower substrate (13) and the liquid crystalline compound (12) in the vicinity of the upper substrate (11) in the light traveling direction (16a). The birefringence of is large. With respect to this direction (16a), the birefringence of the liquid crystalline compound (12) is large in the vicinity of the lower substrate (13) in the direction (16b) that is line symmetric about the normal line of the substrate. The birefringence of the liquid crystal compound (12) in the vicinity is small. As described above, the OCB mode liquid crystal cell has an optical self-compensation function because the retardation is symmetric about the normal line of the substrate. Therefore, the OCB mode liquid crystal cell has a wide viewing angle in principle.
[0151]
FIG. 11 is a cross-sectional view schematically showing the orientation of the liquid crystal compound in the HAN mode liquid crystal cell. FIG. 11 shows a black display state, which corresponds to a voltage application in the normally white mode or no voltage application in the normally black mode.
As shown in FIG. 11, the HAN mode liquid crystal cell also has a structure in which a liquid crystal compound (22) is sealed between an upper substrate (21) and a lower substrate (23). The HAN mode is a liquid crystal cell in which the concept of an OCB mode (transmission type) liquid crystal cell is applied to a reflection type liquid crystal cell. In the HAN mode liquid crystal cell, the birefringence of the liquid crystalline compound (22) in the vicinity of the upper substrate (21) is large with respect to the incident light (27). The birefringence of the liquid crystalline compound (22) is small near the lower substrate (23). On the other hand, regarding the outgoing light (28), the birefringence of the liquid crystalline compound (22) is large near the lower substrate (23), and the birefringence of the liquid crystalline compound (22) near the upper substrate (21) is small. Thus, the HAN mode liquid crystal cell has an optical self-compensation function because the retardation of incident light and reflected light is symmetric. Therefore, the HAN mode liquid crystal cell also has a wide viewing angle in principle.
[0152]
Even in the OCB mode or HAN mode liquid crystal cell, if the viewing angle is increased, the transmittance of light from the black display portion is remarkably increased and the contrast is lowered. The optical compensation sheet is used to prevent a decrease in contrast upon incidence of light in an oblique direction, to improve viewing angle characteristics, and to further improve the front contrast.
When the liquid crystal cell has positive uniaxiality in black display, as described with reference to FIG. 5, optical compensation is performed using a negative uniaxial optical compensation sheet.
[0153]
  FIG. 12 is a schematic cross-sectional view showing a combination of an OCB mode liquid crystal cell and an optically anisotropic layer of two optical compensation sheets.
  As shown in FIG. 12, the two optical compensation sheets are combined so that the optically anisotropic layers (51, 52) sandwich the OCB mode liquid crystal cell (50).LetIt is preferable to use it. The discotic liquid crystalline molecules of the optically anisotropic layer (51, 52) have an alignment state corresponding to (optically compensated for) the alignment state of the liquid crystal molecules of the OCB mode liquid crystal cell (50).
[0154]
  FIG. 13 is a schematic cross-sectional view showing a combination of a HAN mode liquid crystal cell and an optically anisotropic layer of one optical compensation sheet.
  As shown in FIG. 13, one optical compensation sheet is combined so that the optically anisotropic layer (61) is on the display surface side of the HAN mode liquid crystal cell (60).LetIt is preferable to use it. The discotic liquid crystal molecules of the optically anisotropic layer (61) have an alignment state corresponding to (optically compensated for) the alignment state of the liquid crystal molecules of the HAN mode liquid crystal cell (60).
[0155]
As shown in FIGS. 12 and 13, the alignment state of the OCB mode and HAN mode liquid crystal cells can be optically compensated by an optical anisotropic layer containing discotic liquid crystal molecules. However, the optically anisotropic layer alone is insufficient to correct the retardation of the liquid crystal cell and the retardation generated in the optically anisotropic layer itself. Therefore, as described above, the retardation is corrected by using the support as optical anisotropy.
The combination of the optically anisotropic layer and the optically anisotropic support, that is, the basic configuration (cross-sectional schematic diagram) of the optical compensation sheet is the optical compensation sheet used in the VA liquid crystal display device described in FIG. It is the same.
[0156]
FIG. 14 is a schematic cross-sectional view of a typical OCB type liquid crystal display device.
The liquid crystal display device illustrated in FIG. 14 includes an OCB mode liquid crystal cell (OCBC), a pair of polarizing elements (A, B) provided on both sides of the liquid crystal cell, and a pair of liquid crystal cells disposed between the liquid crystal cell and the polarizing element. It consists of an optical compensation sheet (OC1, OC2) and a backlight (BL). Only one of the optical compensation sheets (OC1, OC2) may be disposed. The arrows (R1, R2) of the optical compensation sheet (OC1, OC2) indicate the rubbing direction of the alignment film provided on the optical compensation sheet. In the liquid crystal display device shown in FIG. 14, the optically anisotropic layer of the optical compensation sheet (OC1, OC2) is arranged on the liquid crystal cell side. The optically anisotropic layer of the optical compensation sheet (OC1, OC2) may be disposed on the polarizing element (A, B) side. When the optically anisotropic layer is disposed on the polarizing element (A, B) side, the rubbing directions (R1, R2) of the alignment film are opposite to those in FIG.
The arrows (RP1, RP2) of the liquid crystal cell (OCBC) are the rubbing directions of the alignment film provided on the liquid crystal cell substrate.
The arrows (PA, PB) of the polarizing elements (A, B) are the polarization transmission axes of the polarizing elements, respectively.
[0157]
The rubbing direction (R1, R2) of the alignment film provided on the optical compensation sheet and the rubbing direction (RP1, RP2) of the alignment film provided on the liquid crystal cell substrate are preferably substantially parallel or antiparallel. The polarization transmission axes (PA, PB) of the polarizing element are preferably arranged so as to be substantially orthogonal or parallel. Substantially orthogonal, parallel or anti-parallel means that the angular deviation is less than 20 ° (preferably less than 15 °, more preferably less than 10 °, most preferably less than 5 °).
The angle between the rubbing direction (RP1, RP2) of the alignment film provided on the liquid crystal cell substrate and the transmission axis (PA, PB) of the polarization of the polarizing element is preferably 10 to 80 °, and 20 to 70, respectively. More preferably, the angle is 35 ° to 55 °.
[0158]
FIG. 15 is a schematic cross-sectional view of a typical HAN type liquid crystal display device.
A liquid crystal display device shown in FIG. 15 includes a HAN mode liquid crystal cell (HANC), a polarizing element (A) provided on the display surface side of the liquid crystal cell, and an optical compensation sheet (A) disposed between the liquid crystal cell and the polarizing element ( OC) and a reflector (RB).
The arrow (R) of the optical compensation sheet (OC) is the rubbing direction of the alignment film provided on the optical compensation sheet.
The arrow (RP) of the liquid crystal cell (HANC) is the rubbing direction of the alignment film provided on the liquid crystal cell substrate.
An arrow (PA) of the polarizing element (A) is a transmission axis of polarized light of the polarizing element.
It is preferable that the rubbing direction (R) of the alignment film provided on the optical compensation sheet and the rubbing direction (RP) of the alignment film provided on the liquid crystal cell substrate are substantially parallel or antiparallel, respectively. Substantially parallel or anti-parallel means that the angular deviation is less than 20 ° (preferably less than 15 °, more preferably less than 10 °, most preferably less than 5 °).
The angle between the rubbing direction (RP) of the alignment film provided on the liquid crystal cell substrate and the polarization transmission axis (PA) of the polarizing element is preferably 10 to 80 °, and more preferably 20 to 70 °. Preferably, it is 35 to 55 °.
[0159]
In the optical compensation sheet used for the OCB type liquid crystal display device or the HAN type liquid crystal display device, it is preferable that the direction in which the absolute value of retardation is minimum does not exist in the plane of the optical compensation sheet or in the normal direction.
The optical properties of the optical compensation sheet used in the OCB type liquid crystal display device or the HAN type liquid crystal display device are also the optical properties of the optical anisotropic layer, the optical properties of the support, and the optical anisotropic layer and the support. It is determined by the arrangement of Details of their optical properties are described below.
The optical properties include (1) optically anisotropic layer, (2) support and (3) in-plane retardation (Re) and thickness direction retardation (Rth) for the entire optical compensation sheet. is important. In the OCB type liquid crystal display device or HAN type liquid crystal display device, (4) the relative relationship with the optical properties (in-plane retardation and retardation in the thickness direction) of the liquid crystal cell is also important. The in-plane retardation and the retardation in the thickness direction are the same as the definition of the cellulose ester film described above. However, in the optically anisotropic layer and the entire optical compensation sheet, nx, ny, and nz in the above-described definitions mean in-plane main refractive indexes that satisfy nx ≧ ny ≧ nz.
[0160]
In an embodiment in which two optical compensation sheets are used, in-plane retardation (ReThree ) And in-plane retardation (ReFour) Is preferably adjusted so as to satisfy the following formula.
ReFour−20 ≦ | ReThree | × 2 ≦ ReFour+20
In an embodiment in which one optical compensation sheet is used, in-plane retardation (ReThree ) And in-plane retardation (ReFour) Is preferably adjusted so as to satisfy the following formula.
ReFour−20 ≦ | ReThree | ≦ ReFour+20
[0161]
The preferred ranges of the optical properties of the (1) optically anisotropic layer, (2) support and (3) optical compensation sheet are summarized below. The unit of Re and Rth is nm. The superscript number 1 means the value of the optically anisotropic layer, the superscript number 2 means the value of the support, and the superscript number 3 means the value of the optical compensation sheet. The retardation in the thickness direction of the support (Rth2 The preferred range is as defined as the optical properties of the cellulose ester film described above. When two or more supports are provided, in-plane retardation (Re2 ) Corresponds to the total value of the in-plane retardation of each support. Further, in-plane retardation (ReThree ) Is the in-plane retardation (Re) of the liquid crystal cell described above.Four) To adjust.
[0162]
Figure 0004234823
[0163]
【Example】
[Example 1]
At room temperature, 45 parts by weight of cellulose acetate having an average degree of acetylation of 60.9%, 0.90 part by weight of the retardation increasing agent (5), 232.72 parts by weight of methylene chloride, 42.57 parts by weight of methanol and n-butanol 8 A solution (dope) was prepared by mixing 50 parts by weight.
The obtained solution (dope) was cast using a band casting machine having an effective length of 6 m so that the dry film thickness was 100 μm and dried.
About the manufactured cellulose acetate film, using an ellipsometer (M-150, manufactured by JASCO Corporation), a retardation value (Rth in the thickness direction at a wavelength of 550 nm)550 ) Was measured. The results are shown in Table 1.
[0164]
[Comparative Example 1]
A film was produced and evaluated in the same manner as in Example 1 except that the retardation increasing agent (5) was not added. The results are shown in Table 1.
[0165]
[Example 27]
  Instead of the retardation increasing agent (5), the retardation increasing agent (6), (7), (31), (36), (37)and(38)A film was produced and evaluated in the same manner as in Example 1 except that the same amount was used. The results are shown in Table 1.
[0166]
[Comparative Examples 2 to 5]
A film was produced in the same manner as in Example 1 except that the same amounts of the following comparative compounds (x1), (x2), (x3) and (x4) were used instead of the retardation increasing agent (5). ,evaluated. The results are shown in Table 1.
[0167]
Embedded image
Figure 0004234823
[0168]
Embedded image
Figure 0004234823
[0169]
                                Table 1
─────────────────────────────────────
  Film Retardation raising agent Retardation value (Rth550)
─────────────────────────────────────
  Comparative Example 1 None 20 nm
  Example 1 (5) 181 nm
  Example 2 (6) 200 nm
  Example 3 (7) 222 nm
  Example 4 (31) 99 nm
  Example 5 (36) 158 nm
  Example 6 (37) 158 nm
  Example 7 (38) 166 nm
Comparative Example 2 (x1) 30 nm
  Comparative Example 3 (x2) 30 nm
  Comparative Example 4 (x3) 30 nm
  Comparative Example 5 (x4) 30 nm
─────────────────────────────────────
[0170]
[Example8]
  At room temperature, cellulose acetate having an average degree of acetylation of 60.9% 45 parts by weight, retardation increasing agent (3) 0.90 part by weight, triphenyl phosphate (plasticizer) 2.75 parts by weight, biphenyl diphenyl phosphate 2 A solution (dope) was prepared by mixing 20 parts by weight, 232.72 parts by weight of methylene chloride, 42.57 parts by weight of methanol, and 8.50 parts by weight of n-butanol.
  The obtained solution (dope) was cast using a band casting machine having an effective length of 6 m so that the dry film thickness was 100 μm and dried.
  About the manufactured cellulose acetate film, using an ellipsometer (M-150, manufactured by JASCO Corporation), the retardation value (Rth) in the thickness direction at a wavelength of 550 nm.550) Was measured. Furthermore, the film surface was observed and the presence or absence of bleed-out was evaluated. The results are shown in Table 2.
[0171]
[Comparative Example 6]
A film was produced and evaluated in the same manner as in Example 1 except that the retardation increasing agent (3) was not added. The results are shown in Table 2.
[0172]
[Example9, 10]
  Retardation increasing agent (8) instead of retardation increasing agent (3)and(31)A film was produced and evaluated in the same manner as in Example 1 except that the same amount was used. The results are shown in Table 2.
[0173]
                                Table 2
─────────────────────────────────────
  Film Retardation Raising Agent Rth550      Bleed out
─────────────────────────────────────
  Comparative Example 6 None 50 nm None
  Example8            (3) No 120nm
  Example9            (8) No 120nm
  Example10        (31) 180nm None
─────────────────────────────────────
[0174]
[Example11-13]
  Example except that the amount of the retardation increasing agent was changed from 0.90 parts by weight to 0.20 parts by weight8-10Films were produced and evaluated in the same manner. The results are shown in Table 3.
[0175]
                                Table 3
─────────────────────────────────────
  Film Retardation Raising Agent Rth550        Bleed out
─────────────────────────────────────
  Comparative Example 6 None 50 nm None
  Example11          (3) 240nm None
  Example12          (8) Slightly 240nm
  Example13        (31) 300nm available
─────────────────────────────────────
[0176]
[Example14]
(Creation of liquid crystal cell)
  A polyimide film was provided as an alignment film on a glass substrate with an electrode (ITO), and a rubbing treatment was performed. The obtained two glass substrates were faced to face each other, the cell gap was set to 10 μm, and liquid crystal (ZLI1132, manufactured by Merck) was injected to produce an OCB mode liquid crystal cell.
[0177]
(Creation of liquid crystal display device)
  Example to sandwich the liquid crystal cell8Two cellulose acetate films prepared in the above were arranged as optical compensation sheets. A polarizing element was arranged so as to sandwich the whole outside.
  When a voltage was applied to the prepared liquid crystal display device with a 55 Hz rectangular wave, a clear image without coloring was obtained.
[0178]
[Example15]
(Optical compensation sheet support)
  Example8The cellulose acetate film prepared in 1 was used as a support for the optical compensation sheet.
[0179]
(Formation of alignment film)
On the support, a coating solution having the following composition is applied at 25 ml / m by a slide coater.2 Applied. Drying was performed with warm air of 60 ° C. for 60 seconds, and further with warm air of 90 ° C. for 150 seconds.
Next, the formed film was rubbed in a direction parallel to the slow axis direction of the support.
[0180]
Figure 0004234823
[0181]
Embedded image
Figure 0004234823
[0182]
(Formation of optically anisotropic layer)
On the alignment layer, 1.8 g of the following discotic liquid crystalline compound, 0.2 g of ethylene oxide modified trimethylolpropane triacrylate (V # 360, manufactured by Osaka Organic Chemical Co., Ltd.), cellulose acetate butyrate (CAB551-0. 2, Eastman Chemical Co., Ltd.) 0.04 g, photopolymerization initiator (Irgacure 907, Ciba Geigy Co., Ltd.) 0.06 g, sensitizer (Kayacure DETX, Nippon Kayaku Co., Ltd.) 0.02 g, A coating solution dissolved in .43 g of methyl ethyl ketone was applied with a # 2.5 wire bar. This was attached to a metal frame and heated in a thermostatic chamber at 130 ° C. for 2 minutes to align the discotic liquid crystalline compound. Next, UV irradiation was performed for 1 minute using a 120 W / cm high-pressure mercury lamp at 130 ° C. to crosslink the discotic liquid crystalline compound. Then, it stood to cool to room temperature. Thus, an optical compensation sheet (1) was produced.
[0183]
Embedded image
Figure 0004234823
[0184]
(Evaluation of optical compensation sheet)
The thickness of the optically anisotropic layer was about 1.0 μm. When the retardation value of only the optically anisotropic layer was measured along the rubbing axis, there was no direction in which the retardation was zero.
The average inclination angle of the optical axis of the optically anisotropic layer, that is, the angle between the direction in which the retardation is minimized and the normal line of the sheet (β1 ) Was 28 °. The in-plane retardation is 15 nm (Re1 = 15), retardation in the thickness direction is 35 nm (Rth1 = 35).
The optical compensation sheet (1) was cut vertically along the rubbing direction using a microtome to obtain a very thin vertical piece (sample). Sample OsOFour The sample was left in the atmosphere for 48 hours for staining. The stained sample was observed with a transmission electron microscope (TEM) to obtain a micrograph thereof. In the stained sample, the acryloyl group of the discotic liquid crystalline compound was stained and recognized as a photographic image.
As a result of examining this photograph, it was confirmed that the discotic structural unit of the discotic liquid crystalline compound was tilted from the surface of the support. Furthermore, the inclination angle continuously increased as the distance from the support surface increased.
[0185]
(Creation of VA mode liquid crystal cell)
1% by weight of octadecyldimethylammonium chloride (coupling agent) was added to a 3% by weight aqueous solution of polyvinyl alcohol. This was spin-coated on a glass substrate with an ITO electrode, heat-treated at 160 ° C., and then rubbed to form a vertical alignment film. The rubbing treatment was performed so that the two glass substrates were in opposite directions. Two glass substrates were faced to each other so that the cell gap (d) was 5.5 μm. A liquid crystal compound (Δn: 0.05) mainly composed of ester and ethane was injected into the cell gap to produce a VA mode liquid crystal cell. The product of Δn and d was 275 nm.
[0186]
(Creation of VA liquid crystal display device)
In the VA mode liquid crystal cell, two optical compensation sheets (1) were disposed so as to sandwich the cell, and the optically anisotropic layer of the optical compensation sheet and the glass substrate of the liquid crystal cell faced each other. The rubbing direction of the alignment film of the VA mode liquid crystal cell and the rubbing direction of the alignment film of the optical compensation sheet were arranged to be antiparallel. Polarizing elements were arranged in crossed Nicols on both sides.
A voltage was applied to the VA mode liquid crystal cell with a 55 Hz rectangular wave. The NB mode of black display 2V and white display 6V was used, and the transmittance ratio (white display / black display) was the contrast ratio. The contrast ratio from the top and bottom and the left and right was measured with an instrument (EZ-Contrast 160D, manufactured by ELDIM). As a result, a favorable result was obtained in which the front contrast ratio was 300 and the viewing angle (the viewing angle at which a contrast ratio of 10 was obtained) was 70 degrees in all directions.
[0187]
[Example16]
(Optical compensation sheet support)
  Example8The cellulose acetate film prepared in 1 was used as a support for the optical compensation sheet.
[0188]
(Formation of alignment film)
On the support, a coating solution having the following composition is applied at 25 ml / m by a slide coater.2 Applied. Dried at 60 ° C. for 2 minutes.
Next, rubbing treatment was performed on the formed film in a direction parallel to the direction of the main refractive index in the plane of the support. The rubbing conditions were a rubbing roll diameter of 150 mm, a conveyance speed of 10 m / min, a lapping angle of 6 °, and a rubbing roll rotational speed of 1200 rpm.
[0189]
─────────────────────────────────────
  Alignment film coating solution composition
─────────────────────────────────────
  Example1510 wt% aqueous solution of modified polyvinyl alcohol used in
                                                              24g
  73g of water
  23g of methanol
  0.2 g of 50% by weight aqueous solution of glutaraldehyde (crosslinking agent)
─────────────────────────────────────
[0190]
(Formation of optically anisotropic layer)
  Example on alignment film151.8 g of the discotic liquid crystalline compound used in Example 2, 0.2 g of ethylene oxide-modified trimethylolpropane triacrylate (V # 360, manufactured by Osaka Organic Chemical Co., Ltd.), cellulose acetate butyrate (CAB551-0.2, Eastman) Chemical Co., Ltd.) 0.04 g, cellulose acetate butyrate (CAB531-1.0, Eastman Chemical Co., Ltd.) 0.01 g, photopolymerization initiator (Irgacure 907, Ciba Geigy Co.) 0.06 g, sensitizer ( A coating solution prepared by dissolving 0.02 g of Kayacure DETX, manufactured by Nippon Kayaku Co., Ltd. in 3.4 g of methyl ethyl ketone was applied with a # 6 wire bar. This was affixed to a metal frame and heated in a constant temperature bath at 140 ° C. for 3 minutes to align the discotic liquid crystalline compound. Next, UV irradiation was performed for 1 minute using a 120 W / cm high-pressure mercury lamp at 140 ° C. to crosslink the discotic liquid crystalline compound. Then, it stood to cool to room temperature. Thus, an optical compensation sheet (2) was produced.
[0191]
(Evaluation of optical compensation sheet)
The thickness of the optically anisotropic layer was 2.0 μm. When the retardation value of only the optically anisotropic layer was measured along the rubbing axis, there was no direction in which the retardation was zero. When the retardation value was fitted by simulation, a hybrid alignment state in which the negative uniaxiality continuously changed from 4 ° to 68 ° in the thickness direction could be confirmed.
The in-plane retardation of the optically anisotropic layer is 43 nm (Re1 = 43), retardation in the thickness direction is 135 nm (Rth1 = 135).
The optical compensation sheet (2) was cut vertically along the rubbing direction using a microtome to obtain a very thin vertical piece (sample). Sample OsOFour The sample was left in the atmosphere for 48 hours for staining. The stained sample was observed with a transmission electron microscope (TEM) to obtain a micrograph thereof. In the stained sample, the acryloyl group of the discotic liquid crystalline compound was stained and recognized as a photographic image.
As a result of examining this photograph, it was confirmed that the discotic structural unit of the discotic liquid crystalline compound was tilted from the surface of the support. Furthermore, the inclination angle continuously increased as the distance from the support surface increased.
[0192]
(Creation of OCB mode liquid crystal cell)
A polyimide film was provided as an alignment film on a glass substrate with an ITO electrode, and a rubbing treatment was performed. The rubbing treatment was performed so that the two glass substrates were in opposite directions. Two glass substrates were opposed to each other so that the cell gap (d) was 8 μm. A liquid crystal compound (ZLI1132, manufactured by Merck & Co., Inc.) having Δn of 0.1396 was injected into the cell gap to produce an OCB mode liquid crystal cell. The product of Δn and d is 1117 nm, and the in-plane retardation is 92 nm (ReFour= 92).
[0193]
(Creation of OCB type liquid crystal display device)
In the OCB mode liquid crystal cell, two optical compensation sheets (2) were disposed so as to sandwich the cell, and the optically anisotropic layer of the optical compensation sheet and the glass substrate of the liquid crystal cell faced each other. The rubbing direction of the alignment film of the OCB mode liquid crystal cell and the rubbing direction of the alignment film of the optical compensation sheet were arranged to be antiparallel. Polarizing elements were arranged in crossed Nicols on both sides.
A voltage was applied to the OCB mode liquid crystal cell with a 55 Hz rectangular wave. The NW mode of white display 2V and black display 6V was used, and the transmittance ratio (white display / black display) was set as the contrast ratio. The contrast ratio from the top, bottom, left and right was measured with a meter (LCD-5000, manufactured by Otsuka Electronics Co., Ltd.). As a result, good results were obtained in which the upper viewing angle (the viewing angle at which a contrast ratio of 10 was obtained) was 80 degrees or more, the lower viewing angle was 58 degrees, and the left and right viewing angles were both 66 degrees. .
[0194]
[Example17]
(Creation of HAN mode liquid crystal cell)
  A polyimide film was provided as an alignment film on a glass substrate with an ITO electrode, and a rubbing treatment was performed. Another glass substrate with an ITO electrode was prepared, and silicon oxide was deposited to form an alignment film. Two glass substrates were opposed to each other so that the cell gap (d) was 4 μm. A liquid crystal compound having a Δn of 0.1396 (ZLI1132, manufactured by Merck & Co., Inc.) was injected into the cell gap to prepare a HAN mode liquid crystal cell. The product of Δn and d is 558 nm, the in-plane retardation is 46 nm (Re4= 46).
[0195]
(Creation of HAN type liquid crystal display device)
  Example on display side of HAN mode liquid crystal cell16One optical compensation sheet (2) prepared in the above was placed so that the optically anisotropic layer was on the cell side. The rubbing direction of the alignment film of the HAN mode liquid crystal cell and the rubbing direction of the alignment film of the optical compensation sheet were arranged to be antiparallel. A polarizing element was placed on the optical compensation sheet so that the angle between the transmission axis of the polarizing element and the rubbing direction of the liquid crystal cell was 45 °. A diffusion plate was disposed on the polarizing element. A mirror (reflector) was disposed on the opposite side of the HAN mode liquid crystal cell.
  A light source was placed in a direction inclined 20 ° from the normal direction of the display surface of the created HAN type liquid crystal display device, and light was irradiated. A voltage was applied to the HAN mode liquid crystal cell with a 55 Hz rectangular wave. The NW mode of white display 2V and black display 6V was used, and the transmittance ratio (white display / black display) was set as the contrast ratio. The contrast ratio from the top and bottom and the left and right was measured with a meter (bm-7, manufactured by TOPCON). As a result, a favorable result was obtained that the upper viewing angle (the viewing angle at which a contrast ratio of 10 was obtained) was 44 degrees, the lower viewing angle was 26 degrees, and the left and right viewing angles were both 39 degrees.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic cross-sectional view of a general liquid crystal display device.
FIG. 2 is a cross-sectional view schematically showing the orientation of a liquid crystal compound in a VA mode liquid crystal cell when no voltage is applied.
FIG. 3 is a cross-sectional view schematically showing the orientation of a liquid crystal compound in a VA mode liquid crystal cell when a voltage is applied.
FIG. 4 is a schematic diagram of a refractive index ellipsoid obtained by viewing a VA mode liquid crystal cell in which polarizing elements are arranged in crossed Nicols from the normal direction of the cell substrate.
FIG. 5 is a schematic diagram showing a refractive index ellipse of a positive uniaxial liquid crystal cell and a negative uniaxial optical compensation sheet.
FIG. 6 is a schematic cross-sectional view showing a combination of a VA mode liquid crystal cell and two optical compensation sheets.
FIG. 7 is a schematic cross-sectional view showing a combination of a VA mode liquid crystal cell and one optical compensation sheet.
FIG. 8 is a schematic cross-sectional view of an optical compensation sheet used in a VA liquid crystal display device.
FIG. 9 is a schematic cross-sectional view of a typical VA liquid crystal display device.
FIG. 10 is a cross-sectional view schematically showing the orientation of a liquid crystal compound in an OCB mode liquid crystal cell.
FIG. 11 is a cross-sectional view schematically showing the orientation of a liquid crystal compound in a HAN mode liquid crystal cell.
FIG. 12 is a schematic cross-sectional view showing a combination of an OCB mode liquid crystal cell and an optically anisotropic layer of two optical compensation sheets.
FIG. 13 is a schematic cross-sectional view showing a combination of a HAN mode liquid crystal cell and an optically anisotropic layer of one optical compensation sheet.
FIG. 14 is a schematic cross-sectional view of a typical OCB type liquid crystal display device.
FIG. 15 is a schematic cross-sectional view of a typical HAN type liquid crystal display device.
[Explanation of symbols]
1 Surface treatment film
2a, 2b Polarizer protective film
3a, 3b Polarizing film
4a, 4b Optical compensation sheet
5a, 5b Resin substrate of liquid crystal cell
6a, 6b Transparent electrode layer
7 Liquid crystal layer
11, 21 Upper substrate of liquid crystal cell
12, 22 Liquid crystalline compounds
13, 23 Lower substrate of liquid crystal cell
14, 24 Normal direction of substrate
15, 25, 26 Inclined from the normal of the substrate
16a, 16b Light traveling direction
27 Incident light
28 Outgoing light
31a, 31b The transmission axis of the polarizing element on the incident side
32a, 32b The transmission axis of the output side polarization element
33a Refractive index ellipse of VA mode liquid crystal cell when no voltage is applied
33b Refractive index ellipse of VA mode liquid crystal cell when voltage is applied
34 Orthographic projection of the optical axis of the liquid crystal molecules in the VA mode liquid crystal cell onto the surface of the liquid crystal cell substrate
41 Negative Ellipsoidal Refractive Index Ellipsoid
41x, 41y In-plane main refractive index in optical compensation sheet
41z Main refractive index in the thickness direction of the optical compensation sheet
42 Negative uniaxial optical compensation sheet
43 Positive uniaxial liquid crystal cell
44 Ellipsoid of refractive index of positive uniaxial liquid crystal cell
44x, 44y In-plane refractive index parallel to liquid crystal cell substrate
44z Refractive index of liquid crystal cell in thickness
50, 60 liquid crystal cell
51, 61, 73 Optically anisotropic layer
52, 62, 71 Support
53, 54, 63, OC1, OC2, OC Optical compensation sheet
72 Alignment film
73a, 73b, 73c Discotic liquid crystal molecules
Pa, Pb, Pc Disc surface of discotic liquid crystalline molecules
71a, 71b, 71c A surface parallel to the surface of the support
θa, θb, θc Inclination angle
74 Normal of support
75, R1, R2, R Rubbing direction of alignment film of optical compensation sheet
VAC VA mode liquid crystal cell
OCBC OCB mode liquid crystal cell
HANC HAN mode liquid crystal cell
A, B Polarizing element
BL backlight
RP1, RP2, RP The rubbing direction of the alignment film of the liquid crystal cell
PA Polarization transmission axis of polarization element A
PB Polarization transmission axis of polarizing element B
RB reflector

Claims (17)

セルロースの低級脂肪酸エステル100重量部に対して、芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環が−CO−を介して結合している分子構造を有する化合物を0.3乃至20重量部含み、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth550)が70乃至400nmであるセルロースの低級脂肪酸エステルフイルムの上にディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層が設けられている光学補償シート。0.3 to 20% by weight of a compound having a molecular structure in which at least two aromatic rings and two aromatic rings are bonded via —CO— with respect to 100 parts by weight of the lower fatty acid ester of cellulose An optically anisotropic layer containing discotic liquid crystalline molecules on a lower fatty acid ester film of cellulose having a retardation value (Rth 550 ) in the thickness direction at a wavelength of 550 nm of 70 to 400 nm . Compensation sheet. VAモードの液晶セル用である請求項1に記載の光学補償シート。The optical compensation sheet according to claim 1, which is for a VA mode liquid crystal cell. 二つの芳香族環がいずれも芳香族炭化水素環である請求項1に記載の光学補償シート。The optical compensation sheet according to claim 1, wherein each of the two aromatic rings is an aromatic hydrocarbon ring. セルロースの低級脂肪酸エステルがセルロースアセテートである請求項1に記載の光学補償シート。The optical compensation sheet according to claim 1, wherein the lower fatty acid ester of cellulose is cellulose acetate. セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムが、40乃至120μmの厚さを有する請求項1に記載の光学補償シート。The optical compensation sheet according to claim 1, wherein the lower fatty acid ester film of cellulose has a thickness of 40 to 120 µm. 二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した液晶表示装置であって、光学補償シートがセルロースの低級脂肪酸エステル100重量部に対して、芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環が−CO−を介して結合している分子構造を有する化合物を0.3乃至20重量部含み、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth550)が70乃至400nmであるセルロースの低級脂肪酸エステルフイルムからなり、セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムの液晶セル側に、ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層が設けられていることを特徴とする液晶表示装置。A liquid crystal cell having a liquid crystal supported between two electrode substrates, two polarizing elements disposed on both sides thereof, and at least one optical compensation sheet disposed between the liquid crystal cell and the polarizing element In the liquid crystal display device, the optical compensation sheet has at least two aromatic rings with respect to 100 parts by weight of the lower fatty acid ester of cellulose, and the two aromatic rings are bonded via —CO—. wherein 0.3 to 20 parts by weight of a compound having a molecular structure, the retardation value in the thickness direction at a wavelength of 550 nm (Rth 550) Ri is Do cellulose lower fatty acid ester film is 70 to 400 nm, a lower fatty acid ester film of cellulose the liquid crystal display device on the liquid crystal cell side, characterized that you have optically anisotropic layer containing discotic liquid crystal molecules is provided for. 光学補償シートと液晶セルがそれぞれ配向膜を有し、光学補償シートの配向膜のラビング方向と液晶セルの配向膜のラビング方向とが、実質的に平行または逆平行になるように配置する請求項6に記載の液晶表示装置。 The optical compensation sheet and the liquid crystal cell each have an alignment film, and the rubbing direction of the alignment film of the optical compensation sheet and the rubbing direction of the alignment film of the liquid crystal cell are arranged so as to be substantially parallel or antiparallel. 7. A liquid crystal display device according to 6. 液晶セルが、VAモードの液晶セルである請求項6に記載の液晶表示装置。Liquid crystal cell, the liquid crystal display device according to claim 6, wherein the liquid crystal cell of VA mode. セルロースの低級脂肪酸エステル100重量部に対して、ベンゾトリアゾール環を含む分子構造を有する化合物を0.3乃至20重量部含み、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth550)が70乃至400nmであるセルロースの低級脂肪酸エステルフイルムの上にディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層が設けられている光学補償シート。0.3 to 20 parts by weight of a compound having a molecular structure containing a benzotriazole ring is included with respect to 100 parts by weight of a lower fatty acid ester of cellulose, and the retardation value (Rth 550 ) in the thickness direction at a wavelength of 550 nm is 70 to 400 nm. An optical compensation sheet in which an optically anisotropic layer containing a discotic liquid crystalline molecule is provided on a cellulose lower fatty acid ester film. VAモードの液晶セル用である請求項9に記載の光学補償シート。The optical compensation sheet according to claim 9, which is used for a VA mode liquid crystal cell. セルロースの低級脂肪酸エステルがセルロースアセテートである請求項9に記載の光学補償シート。The optical compensation sheet according to claim 9, wherein the lower fatty acid ester of cellulose is cellulose acetate. セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムが、40乃至120μmの厚さを有する請求項9に記載の光学補償シート。The optical compensation sheet according to claim 9, wherein the lower fatty acid ester film of cellulose has a thickness of 40 to 120 μm. 二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した液晶表示装置であって、光学補償シートがセルロースの低級脂肪酸エステル100重量部に対して、ベンゾトリアゾール環を含む分子構造を有する化合物を0.3乃至20重量部含み、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth550)が70乃至400nmであるセルロースの低級脂肪酸エステルフイルムからなり、セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムの液晶セル側に、ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層が設けられていることを特徴とする液晶表示装置。A liquid crystal cell having a liquid crystal supported between two electrode substrates, two polarizing elements disposed on both sides thereof, and at least one optical compensation sheet disposed between the liquid crystal cell and the polarizing element In the liquid crystal display device, the optical compensation sheet contains 0.3 to 20 parts by weight of a compound having a molecular structure containing a benzotriazole ring with respect to 100 parts by weight of a lower fatty acid ester of cellulose, and has a thickness direction at a wavelength of 550 nm. retardation value (Rth 550) Ri is Do cellulose lower fatty acid ester film is 70 to 400 nm, the liquid crystal cell side of the lower fatty acid ester film of cellulose, optically anisotropic layer containing discotic liquid crystal molecules is provided a liquid crystal display device comprising that you have been. 光学補償シートと液晶セルがそれぞれ配向膜を有し、光学補償シートの配向膜のラビング方向と液晶セルの配向膜のラビング方向とが、実質的に平行または逆平行になるように配置する請求項13に記載の液晶表示装置。 The optical compensation sheet and the liquid crystal cell each have an alignment film, and the rubbing direction of the alignment film of the optical compensation sheet and the rubbing direction of the alignment film of the liquid crystal cell are arranged so as to be substantially parallel or antiparallel. 14. A liquid crystal display device according to item 13. 液晶セルが、VAモードの液晶セルである請求項13に記載の液晶表示装置。Liquid crystal cell, the liquid crystal display device according to claim 13 is a liquid crystal cell of VA mode. 波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(RthRetardation value in the thickness direction at a wavelength of 550 nm (Rth 550550 )が70乃至400nmであるセルロースの低級脂肪酸エステルフイルムからなり、ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層が設けられているVAモードの液晶セルの光学補償シート。VA mode liquid crystal cell optical compensation sheet comprising a lower fatty acid ester film of cellulose having a thickness of 70 to 400 nm and provided with an optically anisotropic layer containing discotic liquid crystalline molecules. 二枚の電極基板の間に液晶を担持してなるVAモードの液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した液晶表示装置であって、光学補償シートが波長550nmにおける厚み方向のレターデーション値(RthVA mode liquid crystal cell in which liquid crystal is supported between two electrode substrates, two polarizing elements arranged on both sides thereof, and at least one optical compensation between the liquid crystal cell and the polarizing element A liquid crystal display device in which a sheet is disposed, wherein an optical compensation sheet has a retardation value (Rth) in a thickness direction at a wavelength of 550 nm. 550550 )が70乃至400nmであるセルロースの低級脂肪酸エステルフイルムからなり、セルロースの低級脂肪酸エステルフイルムの液晶セル側に、ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層が設けられていることを特徴とする液晶表示装置。) Is a lower fatty acid ester film of cellulose having a thickness of 70 to 400 nm, and an optically anisotropic layer containing a discotic liquid crystalline molecule is provided on the liquid crystal cell side of the lower fatty acid ester film of cellulose. Liquid crystal display device.
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