本発明の実施形態に係る移動通信端末について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、第1実施形態に係る移動通信端末100に適用される選局システムの全体構成について説明する。図1は、第1及び第2実施形態に係る移動通信端末が移動する様子を示す選局システムを示す概略構成図である。第1実施形態では、図1に示されるように、移動通信端末100が、放送エリアA1内に位置する基地局300Aが形成するセルC1から、放送エリアA2内に位置する基地局300BのセルC2へと移動するような場合を想定している。なお、放送エリアA1,A2は、それぞれ放送アンテナ200A,200Bから送出される放送波の提供範囲となっている。
続いて、図2〜図5を参照して、第1実施形態に係る移動通信端末100の構成について説明する。図2は、第1実施形態に係る移動通信端末のブロック構成と移動通信端末の周辺構成とを示す図である。移動通信端末100は、例えば地上デジタルテレビジョン放送の放送波を受信して映像を再生することのできるテレビ機能が搭載された携帯電話機である。移動通信端末100は、図2に示されるように、放送波受信部101、映像再生部102、移動体通信部103、メモリ部104、操作部105及び制御部106を含んで構成されている。そのため、移動通信端末100を所持しているユーザは、放送アンテナ200からの放送波を受信することで移動しつつテレビ放送を視聴することが可能となっていると共に、基地局300との無線通信により音声通話やデータの送受信等をすることが可能となっている。
放送波受信部101は、受信手段として、放送アンテナ200から送出された放送波を、テレビアンテナ(図示せず)を介して受信する。また、放送波受信部101は、選局手段として、受信した放送波のうち一の放送波を特定することで放送局の選局を行う。映像再生部102は、放送波受信部101により受信された放送波に基づいて、移動通信端末100の表示画面(図示せず)に表示させるテレビ放送等の映像を再生する。移動体通信部103は、基地局300と無線通信を行う部分である。
メモリ部104は、旧放送エリアメモリ104a、新放送エリアメモリ104b、旧物理チャンネルメモリ104c、新物理チャンネルメモリ104d、テーブルメモリ104e及び視聴履歴メモリ104fを有している(図3参照)。図3は、第1実施形態に係る移動通信端末におけるメモリ部が記憶する情報を示す概念図である。
メモリ部104の各メモリ104a〜104dには、旧放送エリア、新放送エリア、旧物理チャンネル及び新物理チャンネルの各情報がそれぞれ記憶されている。ここで、旧放送エリア及び旧物理チャンネルは、移動通信端末100が異なる2つの放送エリアA1,A2(図1参照)間を移動したときの、移動前の放送エリアA1及び移動前の放送エリアA1において移動通信端末100が視聴していた放送局の物理チャンネルをそれぞれ表している。また、新放送エリア及び新物理チャンネルは、移動通信端末100が異なる2つの放送エリアA1,A2間を移動したときの、移動後の放送エリアA2及び移動後の放送エリアA2において移動通信端末100が視聴していた放送局の物理チャンネルをそれぞれ表している。
メモリ部104のテーブルメモリ104eには、放送エリアテーブル及び系列テーブルが記憶されている(図4参照)。図4は、メモリ部のテーブルメモリに記憶されている各種テーブルを示す図である。放送エリアテーブルでは、図4(a)に示されるように、各基地局300の位置情報と、各基地局300が属している放送エリアとが対応付けられている。系列テーブルでは、図4(b)に示されるように、放送エリアと、物理チャンネルと、放送エリア及び物理チャンネルにより特定される放送局と、放送局が属する放送系列の放送系列ナンバとが対応付けられて記憶されている。ここで、放送系列とは、所定の放送局(キー局)を中心として複数の放送局が結ばれた放送網を意味している。具体的には、放送系列ナンバ01で表される放送網は、AAAテレビ、BBBテレビ、CCCテレビ等の各放送局によって形成されている(図4(b)参照)。
メモリ部104の視聴履歴メモリ104fには、視聴履歴テーブルが記憶されている(図5参照)。図5は、メモリ部の履歴メモリに記憶されている視聴履歴の一例を示す図である。視聴履歴テーブルでは、旧放送エリア、旧物理チャンネル及び旧物理チャンネルに対応する放送局が属する放送系列の放送系列ナンバと、新放送エリア、新物理チャンネル及び新物理チャンネルに対応する放送局が属する放送系列の放送系列ナンバとが視聴履歴として対応付けられている。また、視聴履歴テーブルでは、各視聴履歴にそれぞれポイントが付与されて重み付けを示す情報が付与されており、ポイントによる重み付けが大きな順に視聴履歴が並べられている。重み付けについては後述する。
操作部105は、例えばボタン、キー、タッチパネル等であり、ユーザによる入力操作が行われるように構成されている。
制御部106は、制御手段として機能して、放送波受信部101に放送局の選局を行わせるように放送波受信部101を制御する。制御部106は、移動体通信部103を介して、移動通信端末100と通信を行っている基地局300の位置情報を取得し、移動通信端末100が属する放送エリアを特定する。制御部106は、取得手段としてメモリ部104との間で放送エリア情報、物理チャンネル情報、視聴履歴等のデータの送受信を行うと共に、各メモリ104a〜104fに記憶されている情報の更新を行う。制御部106は、操作部105からの操作入力を受け付ける。
次に、図6〜図8を参照して、上述した構成の移動通信端末100の動作について説明する。なお、図6〜図8では、ステップをSと略記している。
図6は、第1実施形態に係る移動通信端末におけるテレビ視聴処理の動作手順を示すフローチャートである。移動通信端末100は、図6に示されるテレビ視聴処理を開始すると、放送波受信部101によって移動体通信端末100が属する放送エリアの放送アンテナ200から放送波の受信を開始すると共に、放送エリア取得処理を行う(S1)。ここで、放送エリア取得処理が行われると、制御部106により、図7に従って処理が実行される。図7は、放送エリア取得処理の動作手順を示すフローチャートである。放送エリア取得処理では、図7に示されるように、制御部106がメモリ部104に指示して、現在視聴している放送局の物理チャンネルを旧物理チャンネルメモリ104cに記憶させる(S11)。続いて、制御部106が移動体通信部103に指示して移動通信端末100と現在通信を行っている基地局300の位置情報を要求し、移動体通信部103がその基地局300の位置情報を受信するまで待機する(S12)。
続いて、放送波受信部101によって位置情報の受信が行われると、制御部106がメモリ部104のテーブルメモリ104eに記憶されている放送エリアテーブルを参照し、受信された位置情報に対応する放送エリアが特定される(S13)。そして、制御部106によってメモリ部104の旧放送エリアメモリ104aに既に放送エリアの情報が記憶されているか否かが判定される(S14)。ステップ14で放送エリアの情報が記憶されていると判定されたときには、制御部106によってステップ13で特定された放送エリアの情報が新放送エリアメモリ104bに記憶され(S15)、放送エリア取得処理が終了する。一方、ステップ14で放送エリアの情報が記憶されていないと判定されたときには、制御部106によってステップ13で特定された放送エリアの情報が旧放送エリアメモリ104aに記憶され(S16)、再びステップ11に戻って処理が行われる。
放送エリア取得処理が終了すると、図6に戻り、制御部106によって、メモリ部104の旧放送エリアメモリ104a及び新放送エリアメモリ104bにそれぞれ記憶されている旧放送エリア及び新放送エリアの各情報が読み出され、両者が異なっているか否かが判定される(S2)。ステップ2で両者が異なっていると判定されると、移動通信端末100が異なる2つの放送エリア間を移動した(放送エリアA1から放送エリアA2へと移動した)と判断され(図1参照)、続くステップ3の処理へと進む。一方、ステップ2で両者が同じであると判定されると、移動通信端末100が所定の放送エリア内から他の放送エリアへ移動していないと判断され、ステップ1に戻って処理を行う。なお、ここでは放送エリア同士を比較しているが、放送波受信部101によって受信された2つの位置情報(旧位置情報及び新位置情報)を比較してもよい。
ステップ3に進むと、制御部106によって、メモリ部104の旧放送エリアメモリ104a、新放送エリアメモリ104b及び旧物理チャンネルメモリ104cにそれぞれ記憶されている旧放送エリア及び新放送エリアを示す各情報並びに旧物理チャンネルが読み出され、これら3つをキーとしてメモリ部104の視聴履歴メモリ104fに記憶されている視聴履歴テーブルが上から順に(ポイントによる重み付けが大きい順に)参照されて、これら3つと合致する視聴履歴があるか否かが判定される(S3)。ステップ3で合致する視聴履歴があったと判定されると、制御部106によって合致した視聴履歴における新物理チャンネルが特定され、その新物理チャンネルの情報が新物理チャンネルメモリ104dに記憶される(S4)。
一方、ステップ3で合致する視聴履歴がなかったと判定されると、視聴履歴に基づいて放送局を選局する代わりに、移動前後の放送エリアにおいて同じ放送系列の放送局による放送をユーザに提供するよう、以下の処理が制御部106によって行われる。すなわち、制御部106によって、メモリ部104の旧放送エリアメモリ104a及び旧物理チャンネル104cに記憶されている旧放送エリアの情報及び旧物理チャンネルがそれぞれ読み出され、これら2つをキーとしてテーブルメモリ104eに記憶されている系列テーブルが参照されて、対応する放送系列ナンバが特定される(S5)。そして、制御部106によって、メモリ部104の新放送エリアメモリ104bから新放送エリアの情報が読み出され、この新放送エリア及びステップ5において特定した放送系列ナンバの2つをキーとして同じく系列テーブルが参照されて、対応する物理チャンネルがメモリ部104の新物理チャンネルメモリ104dに記憶されることで新物理チャンネルとして特定される(S6)。
そして、ステップ4又はステップ6において新物理チャンネルが特定されると、その新物理チャンネルの放送波を受信するように制御部106によって放送波受信部101が制御され、放送波受信部101において放送局の選局が行われる(S7)。なお、上述したようにステップ2において位置同士が比較された場合には、ステップ5の処理を行う前に、制御部106が移動体通信部103に指示することで基地局300を介して旧位置情報及び新位置情報を図示しないサーバに送信し、これらの各位置情報をキーとしてサーバが記憶している図3に示されるような各種テーブルを参照することで、旧位置情報及び新位置情報に対応する放送エリアとその周囲の放送エリアとに限定した系列テーブルを受信してもよい。
続いて、移動通信端末100では、視聴履歴更新処理が行われる(S8)。ここで、視聴履歴更新処理が行われると、制御部106により、図8に従って処理が実行される。図8は、視聴履歴作成処理の動作手順を示すフローチャートである。視聴履歴更新処理では、図8に示されるように、ユーザが操作部105を操作することで、ステップ7で選局された放送局の視聴を決定する入力操作(決定操作)がなされたか否かが制御部106によって判定される(S21)。ステップ21で決定操作が行われたと判定されると、ステップ7での放送局の選局に用いられた視聴履歴(旧放送エリアの情報、旧物理チャンネル及び放送系列ナンバと、新放送エリアの情報、新物理チャンネル及び放送系列ナンバとの対応)にポイントを1加算する重み付け処理が制御部106によって行われる(S22)。そして、制御部106によって、ポイントが大きい順にメモリ部104の視聴履歴メモリ104fに記憶されている視聴履歴テーブルの視聴履歴が更新され(S23)、視聴履歴更新処理が終了した後、再び図6のステップ11に戻って処理を行う。
一方、ステップ21で決定操作が行われなかった(ステップ7で選局された放送局の視聴を取消す入力操作が行われた)と判定されると、その取消された視聴履歴についてポイントを1減算する重み付け処理が制御部106によって行われる(S24)。このとき、制御部106によって、メモリ部104の新放送エリアメモリ104bから新放送エリアの情報が読み出され、この新放送エリアの情報をキーとしてテーブルメモリ104eに記憶されている系列テーブルが参照されて、この新放送エリアに対応する放送局のリストがユーザに提示される(S25)。具体的には、例えば新放送エリアが東京であった場合、図4(b)に示される放送局AAA及び放送局DDD等が視聴可能な放送局のリストとして提示される。
続いて、ユーザが操作部105を操作することで、ステップ25で提示された放送局のリストからいずれかの放送局を選択する選択操作がなされたか否かが判定される(S26)。ステップ26で放送局が選択されたと制御部106によって判定されると、選択された放送局に対応する物理チャンネルが新物理チャンネルとしてメモリ部104の新物理チャンネルメモリ104dに記憶され、その新物理チャンネルの放送波を受信するように制御部106によって放送波受信部101が制御され、放送波受信部101において放送局の選局が行われる(S27)。そして、上述したように、ステップ27での放送局の選局により確定した視聴履歴についてポイントを1加算する重み付け処理が制御部106によって行われた後(S22)、視聴履歴テーブルの視聴履歴が更新される(S23)。
一方、ステップ26で放送局が選択されなかった(放送局の選択を取消す入力操作が行われた)と判定されると、制御部106によって、メモリ部104の旧物理チャンネルメモリ104cから旧物理チャンネルが読み出され、その旧物理チャンネルの放送波を受信するように制御部106によって放送波受信部101が制御されて、放送波受信部101において放送局の選局が行われる(S28)。そして、視聴履歴更新処理が終了すると、図6に戻り、制御部106により新放送エリアメモリ104bに記憶されている新放送エリアの情報が旧放送エリアメモリ104aに複製されることで旧放送エリアメモリ104aが更新された後(S9)、再びステップ1に戻って、上述した処理を繰り返し行う。このように、第1実施形態に係る移動通信端末100では、テレビ視聴処理として、現在の放送エリアと異なる放送エリアに移動したときに履歴に基づいて選局を行うエリア移動履歴選局処理を行っている。
以上のように、第1実施形態では、制御部106が放送波受信部101を制御することにより、移動通信端末100が異なる2つの放送エリアA1,A2間を移動したときの移動後の放送エリアA2における放送局を、視聴履歴メモリ104fから取得した視聴履歴テーブルの視聴履歴に基づいて選局している。そして、視聴履歴は、旧放送エリア、旧物理チャンネル及び放送系列ナンバと、新放送エリア、新物理チャンネル及び放送系列ナンバとが対応付けられたものとなっている。ここで、移動通信端末100の移動先の放送エリアや移動通信端末100の移動の前後で選局されている放送局はユーザ毎に異なるため、ユーザ毎に異なる視聴履歴が作成されるようになる。そのため、この視聴履歴に基づいて選局を行うことで、ユーザの特性に応じた最適な放送局を選局することができる。また、視聴履歴に基づいて選局を行っているため、ユーザが特定の放送エリア間を頻繁に移動するような場合でも迅速に選局が行われ、選局の際にユーザが待たされることがほとんどなくなるので、ユーザのストレスを低減できるようになっている。
また、第1実施形態では、ユーザが操作部105を用いて決定操作等をすることで、対象となる視聴履歴についてポイントを1加算又は減算する重み付け処理を行っている。そして、この重み付けされた視聴履歴に基づいて選局を行っている。そのため、放送局の選局が行われる際に、ユーザがより頻繁に利用する視聴履歴が優先的に用いられるようになり、さらにユーザの特性に応じた放送局の選局を実現できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る移動通信端末110について説明する。第2実施形態に係る移動通信端末110では、以下に述べるように、テレビ視聴処理と平行して、エリア移動履歴選局処理、時刻選局処理及び放送波受信レベル選局処理のうちいずれか1つの選局処理を行っている。以下では、第1実施形態に係る移動通信端末100との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
図4、図5及び図9〜図11を参照して、第2実施形態に係る移動通信端末110の構成について説明する。図9は、第2実施形態に係る移動通信端末のブロック構成と移動通信端末の周辺構成を示す図である。移動通信端末110は、第1実施形態に係る移動通信端末100と同じく、例えば地上デジタルテレビジョン放送の放送波を受信して映像を再生することのできるテレビ機能が搭載された携帯電話機である。移動通信端末110は、図9に示されるように、放送波受信部101、映像再生部102、移動体通信部103、メモリ部104、操作部105、制御部106及び計時部107を含んで構成されている。そのため、移動通信端末100を所持しているユーザは、放送アンテナ200からの放送波を受信することで移動しつつテレビ放送を視聴することが可能となっていると共に、基地局300との無線通信により音声通話やデータの送受信等をすることが可能となっている。なお、第2実施形態おいても、第1実施形態と同じく、移動通信端末110が、放送エリアA1内に位置する基地局300Aが形成するセルC1から、放送エリアA2内に位置する基地局300BのセルC2へと移動するような場合を想定することができる(図1参照)。
放送波受信部101は、受信手段として放送波を受信し、選局手段として放送局の選局を行う。また、放送波受信部101は、受信した放送波の電界強度、CNR(搬送波電力対雑音電力比:Carrier to Noise Ratio)、BER(ビット誤り率:Bit Error Rate)等の放送波受信レベルを計測し、その情報を制御部106に送信する。
メモリ部104は、旧放送エリアメモリ104a、新放送エリアメモリ104b、旧物理チャンネルメモリ104c、新物理チャンネルメモリ104d、テーブルメモリ104e、視聴履歴メモリ104f、視聴時刻リストメモリ104g及び時刻メモリ104hを有している(図10参照)。図10は、第2実施形態に係る移動通信端末におけるメモリ部が記憶する情報を示す概念図である。
メモリ部104の各メモリ104a〜104dには、旧放送エリア、新放送エリア、旧物理チャンネル及び新物理チャンネルの各情報がそれぞれ記憶されている。メモリ部104のテーブルメモリ104eには、放送エリアテーブル及び系列テーブルが記憶されている(図4参照)。メモリ部104の視聴履歴メモリ104fには、視聴履歴テーブルが記憶されている(図5参照)。
メモリ部104の視聴時刻リストメモリ104gには、視聴時刻リストが記憶されている(図11参照)。図11は、メモリ部の視聴時刻リストメモリに記憶されている視聴時刻リストの一例を示す図である。視聴時刻リストでは、例えば図11に示されるように、曜日に応じて視聴開始時刻と放送系列ナンバとを対応付けて登録している。この視聴時刻リストは、例えば、移動通信端末110のユーザが、視聴開始時刻と視聴を希望する放送系列ナンバとを指定することによって生成される。なお、視聴時刻リストでは、視聴開始時刻と放送系列ナンバとの対応付けに加えて、番組名等その他の情報が時刻と対応付けられて登録していてもよい。
メモリ部104の時刻メモリ104hには、時刻が制御部106によって計時部107から受信された時刻データが記憶されている。
制御部106は、取得手段としてメモリ部104との間で放送エリア情報、物理チャンネル情報、視聴履歴等のデータの送受信を行い、計時部107から時刻を受信すると共に、各メモリ104a〜104hに記憶されている情報の更新を行う。制御部106は、計時部107に対して時刻データの受信要求を送信し、計時部107から時刻データを受信する。計時部107は、常時、時刻を計時しており、制御部106からの時刻データの送信要求があったときにその時の時刻データを制御部106に対して送信する。
ここで、上述の移動通信端末110では、エリア移動履歴選局処理、時刻選局処理及び放送波受信レベル選局処理の各選局処理を行うことで自動選局を行うが、各選局処理が競合しないように、事前に各選局処理の優先順位を設定する必要がある。そのため、図12を参照して、各選局処理の優先順位の設定手順について説明する。図12は、優先順位の設定手順の一例を示す図である。
まず、各選局処理の優先順位を設定するために、ユーザが操作部105によって例えば図12(a)に示されるようなTVメニューのうちから「4.各種自動選局設定」を選択する操作を行うと、エリア移動履歴選局処理、時刻選局処理及び放送波受信レベル選局処理の各選局処理のうち有効にする選局処理を選択させる画面が移動通信端末110に表示される(図12(b)参照)。そして、ユーザによって選局処理のチェックボックスがチェックされる(選択操作がされる)とその選局処理が有効になり、テレビ視聴処理と平行してそれらの選局処理が機能するようになる。なお、図12(b),(c)において、「エリア移動履歴による自動選局」がエリア移動履歴選局処理を表わし、「時刻による自動選局」が時刻選局処理を表わし、「放送波受信レベルによる自動選局」が放送波受信レベル選局処理を表わしている。
続いて、チェックボックスにチェックがされている状態で「次へ」のボタンが押されると、選択された選局処理について優先順位を設定させる画面が表示される(図12(c)参照)。チェックボックスにチェックがされた選局処理についてユーザにより優先順位(図12(c)においては、「1」又は「2」)が指定されて、「設定」のボタンが押されると、各選局処理について優先順位の設定が行われることとなる。
次に、図7、図8及び図13〜図16を参照して、上述した構成の移動通信端末110の動作について説明する。第2実施形態に係る移動通信端末110では、いわゆるマルチタスク環境が構築されており、テレビ視聴処理と平行して、エリア移動履歴選局処理、時刻選局処理及び放送波受信レベル選局処理の3つの選局処理のうちいずれか1つの選局処理が優先順位に基づいて実行されている。なお、図13〜図16では、ステップをSと略記している。
図13は、第2実施形態に係る移動通信端末におけるテレビ視聴処理の動作手順を示すフローチャートである。移動通信端末110は、図13に示されるテレビ視聴処理を開始すると、放送波受信部101によって移動体通信端末100が属する放送エリアの放送アンテナ200から放送波の受信を開始すると共に、放送エリア取得処理を行う(S101)。ここで、放送エリア取得処理が行われると、上述の第1実施形態と同様、図7の各ステップの処理が制御部106によって行われ、旧放送エリア及び新放送エリアの各情報が旧放送エリアメモリ104a又は新放送エリアメモリ104bに記憶される。
放送エリア取得処理が終了すると、図13に戻り、制御部106によって、メモリ部104の旧放送エリアメモリ104a及び新放送エリアメモリ104bにそれぞれ記憶されている旧放送エリア及び新放送エリアの各情報が読み出され、両者が同じか否かが判定される(S102)。ステップ102で両者が同じであると判定されると、続くステップ103の処理へと進む。一方、ステップ102で両者が異なっていると判定されると、移動通信端末110が異なる2つの放送エリア間を移動した(放送エリアA1から放送エリアA2へと移動した)と判断され(図1参照)、ステップ104の処理へと進む。
ステップ104に進むと、制御部106により、エリア移動選局処理の優先順位とテレビ視聴処理と平行して実行されている選局処理の優先順位とが比較され、エリア移動選局処理の優先順位が実行中の選局処理の優先順位以上であるか否かが判定される(S104)。ステップ104でエリア移動選局処理の優先順位が実行中の選局処理の優先順位以上であると制御部106によって判定されると、ステップ105に進んで、制御部106がエリア移動選局処理を開始させるコマンドを生成する(S105)。こうしてエリア移動選局処理開始のコマンドが生成されると、ステップ101に戻ってテレビ視聴処理が続行されると共に、テレビ視聴処理と平行してエリア移動選局処理が開始される。
一方、ステップ104でエリア移動選局処理の優先順位が実行中の選局処理の優先順位よりも低いと制御部106によって判定されると、ステップ103に進んで、制御部106が、計時部107に現在時刻の時刻データの送信要求を送信し、取得した時刻データをメモリ部104の時刻メモリ104hに記憶させる(S103)。そして、制御部106により、メモリ部104の視聴時刻リストメモリ104gに記憶されている視聴時刻リストが参照され、ステップ103においてメモリ部104の時刻メモリ104hに記憶された時刻と一致する時刻が視聴時刻リストに登録されているか否かが判定される(S106)。ステップ106で時刻メモリ104hに記憶された時刻と一致する時刻が視聴時刻リストに登録されていないと判定されると、ステップ107の処理へと進む。一方、ステップ106で時刻メモリ104hに記憶された時刻と一致する時刻が視聴時刻リストに登録されていると判定されると、ステップ108の処理へと進む。
ステップ108に進むと、制御部106により、時刻選局処理の優先順位とテレビ視聴処理と平行して実行されている選局処理の優先順位とが比較され、時刻選局処理の優先順位が実行中の選局処理の優先順位以上であるか否かが判定される(S108)。ステップ108で時刻選局処理の優先順位が実行中の選局処理の優先順位以上であると制御部106によって判定されると、ステップ109に進んで、制御部106が時刻選局処理を開始させるコマンドを生成する(S109)。こうして時刻選局処理開始のコマンドが生成されると、ステップ101に戻ってテレビ視聴処理が続行されると共に、テレビ視聴処理と平行して時刻選局処理が開始される。
一方、ステップ108で時刻選局処理の優先順位が実行中の選局処理の優先順位よりも低いと制御部106によって判定されると、ステップ107に進んで、制御部106において、放送波受信部101によって計測された現在視聴中の放送局の放送波受信レベルの情報を取得する。そして、制御部106により、ステップ107において取得した放送波受信レベルが閾値より上か否かが判定される(S110)。ステップ110で放送波受信レベルが閾値より上であると判定されると、ステップ101に戻ってテレビ視聴処理が続行される。一方、ステップ110で放送波受信レベルが閾値以下であると判定されると、ステップ111の処理へと進む。
ステップ110に進むと、制御部106により、放送波受信レベル選局処理の優先順位とテレビ視聴処理と平行して実行されている選局処理の優先順位とが比較され、放送波受信レベル選局処理の優先順位が実行中の選局処理の優先順位以上であるか否かが判定される(S111)。ステップ111で放送波受信レベル選局処理の優先順位が実行中の選局処理の優先順位以上であると制御部106によって判定されると、ステップ112に進んで、制御部106が放送波受信レベル選局処理を開始させるコマンドを生成する(S112)。こうして放送波受信レベル選局処理開始のコマンドが生成されると、ステップ101に戻ってテレビ視聴処理が続行されると共に、テレビ視聴処理と平行して放送波受信レベル選局処理が開始される。
一方、ステップ111で放送波受信レベル選局処理の優先順位が実行中の選局処理の優先順位よりも低いと制御部106によって判定されると、ステップ101に戻ってテレビ視聴処理が続行される。テレビ視聴処理では、以上の処理を繰り返して行う。
続いて、エリア移動履歴選局処理の動作手順について、図14を参照して説明する。図14は、エリア移動履歴選局処理の動作手順を示すフローチャートである。
移動通信端末110では、図13に示されるテレビ視聴処理においてエリア移動履歴選局処理開始のコマンドが生成されると(S105)、エリア移動履歴選局処理を開始する。エリア移動履歴選局処理が開始されると、図14に示されるステップ121に進んで、制御部106によって、メモリ部104の旧放送エリアメモリ104a、新放送エリアメモリ104b及び旧物理チャンネルメモリ104cにそれぞれ記憶されている旧放送エリア及び新放送エリアを示す各情報並びに旧物理チャンネルが読み出され、これら3つをキーとしてメモリ部104の視聴履歴メモリ104fに記憶されている視聴履歴テーブルが上から順に(ポイントによる重み付けが大きい順に)参照されて、これら3つと合致する視聴履歴があるか否かが判定される(S121)。ステップ121で合致する視聴履歴があったと判定されると、制御部106によって合致した視聴履歴における新物理チャンネルが特定され、その新物理チャンネルが新物理チャンネルメモリ104dに記憶される(S122)。
一方、ステップ121で合致する視聴履歴がなかったと判定されると、視聴履歴に基づいて放送局を選局する代わりに、移動前後の放送エリアにおいて同じ放送系列の放送局による放送をユーザに提供するよう、以下の処理が制御部106によって行われる。すなわち、制御部106によって、メモリ部104の旧放送エリアメモリ104a及び旧物理チャンネル104cに記憶されている旧放送エリアの情報及び旧物理チャンネルがそれぞれ読み出され、これら2つをキーとしてテーブルメモリ104eに記憶されている系列テーブルが参照されて、対応する放送系列ナンバが特定される(S123)。そして、制御部106によって、メモリ部104の新放送エリアメモリ104bから新放送エリアの情報が読み出され、この新放送エリア及びステップ5において特定した放送系列ナンバの2つをキーとして同じく系列テーブルが参照されて、対応する物理チャンネルがメモリ部104の新物理チャンネルメモリ104dに記憶されることで新物理チャンネルとして特定される(S124)。
そして、ステップ122又はステップ124において新物理チャンネルが特定されると、その新物理チャンネルの放送波を受信するように制御部106によって放送波受信部101が制御され、放送波受信部101において放送局の選局が行われる(S125)。続いて、移動通信端末100では、視聴履歴更新処理が行われる(S126)。ここで、視聴履歴更新処理が行われると、上述の第1実施形態と同様、図8の各ステップの処理が制御部106によって行われる。視聴履歴更新処理が終了すると、図14に戻り、制御部106により新放送エリアメモリ104bに記憶されている新放送エリアの情報が旧放送エリアメモリ104aに複製されることで旧放送エリアメモリ104aが更新された後(S127)、エリア移動履歴選局処理が終了する。
続いて、時刻選局処理の動作手順について、図15を参照して説明する。図15は、時刻選局処理の動作手順を示すフローチャートである。
移動通信端末110では、図13に示されるテレビ視聴処理において時刻選局処理開始のコマンドが生成されると(S109)、時刻選局処理を開始する。時刻選局処理が開始されると、図15に示されるステップ131に進んで、制御部106によって、メモリ部104の視聴時刻リストメモリ104g及び時刻メモリ104hにそれぞれ記憶されている視聴時刻リスト及び時刻データが読み出され、視聴時刻リストにおいて読み出された時刻データに対応する放送系列ナンバが取得される(S131)。
そうすると、制御部106によって、メモリ部104の新放送エリアメモリ104bに記憶されている新放送エリアを示す情報が読み出され、この新放送エリアを示す情報及びステップ131において取得された放送系列ナンバをキーとしてメモリ部104のテーブルメモリ104eに記憶されている系列テーブルが参照され、合致する物理チャンネルが新物理チャンネルとして特定されて、その新物理チャンネルが新物理チャンネルメモリ104dに記憶される(S132)。ステップ132において新物理チャンネルが特定されると、その新物理チャンネルの放送波を受信するように制御部106によって放送波受信部101が制御され、放送波受信部101において放送局の選局が行われた後(S133)、時刻選局処理が終了する。
続いて、放送波受信レベル選局処理の動作手順について、図16を参照して説明する。図16は、放送波受信レベル選局処理の動作手順を示すフローチャートである。
移動通信端末110では、図13に示されるテレビ視聴処理において放送波受信レベル選局処理開始のコマンドが生成されると(S112)、放送波受信レベル選局処理を開始する。放送波受信レベル選局処理が開始されると、図15に示されるステップ141に進んで、制御部106が放送波受信部101に指示し、受信している放送波の放送波受信レベルを各放送波について測定して、現在視聴している放送局に対応する放送波以外の放送波のうちで放送波受信レベルが所定の閾値を上回るものがあるか否かが制御部106により判定される(S141)。ステップ141で、放送波受信レベルが所定の閾値を上回る他の放送波があると判定されると、ステップ142の処理へと進むが、放送波受信レベルが所定の閾値を上回る他の放送波がないと判定されると、放送波受信レベル選局処理が終了する。
ステップ142に進むと、制御部106によって、所定の閾値を上回る放送波のうち、現在視聴中の放送局と同じ放送系列を示す放送波があるか否かが判定される(S142)。すなわち、まず、制御部106によって、メモリ部104の新物理チャンネルメモリ104dに記憶されている新物理チャンネルが読み出され、メモリ部104のテーブルメモリ104eに記憶されている系列テーブルが参照されることにより、この物理チャンネルに対応する放送系列ナンバが取得される。同じく、制御部106によって、放送波受信部101において受信された所定の閾値を上回る放送波の物理チャンネルが特定され、メモリ部104のテーブルメモリ104eに記憶されている系列テーブルが参照されることにより、特定された物理チャンネルに対応する放送系列ナンバが取得される。そして、現在視聴中の放送局の放送系列ナンバと所定の閾値を上回る他の放送波に対応する放送系列ナンバとを対比して、同じ放送系列ナンバの放送局があると判定された場合には、制御部106により同じ放送系列の放送局が全て抽出される(S143)。一方、ステップ142において、同じ放送系列ナンバの放送局がないと判定された場合には、制御部106により所定の閾値を上回る全ての放送局が抽出される(S144)。
ステップ143又はステップ144で放送局が抽出されると、制御部106により、抽出された放送局のうち最も高い放送波受信レベルを示す放送波に対応する放送局により新物理チャンネルが特定され、その新物理チャンネルが新物理チャンネルメモリ104dに記憶される(S145)。ステップ145において新物理チャンネルが特定されると、その新物理チャンネルの放送波を受信するように制御部106によって放送波受信部101が制御され、放送波受信部101において放送局の選局が行われた後(S146)、放送波受信レベル選局処理が終了する。
以上のように、第2実施形態では、エリア移動履歴選局処理が行われると、第1実施形態と同様に、ユーザが特定の放送エリア間を頻繁に移動するような場合でも迅速に選局が行われ、選局の際にユーザが待たされることがほとんどなくなるので、ユーザのストレスを低減できるようになっている。
また、第2実施形態では、エリア移動履歴選局処理に加え、時刻選局処理及び放送波受信レベル選局処理を行っている。そのため、選局方法の幅をより広げることが可能となっている。
また、第2実施形態では、操作部105により、エリア移動履歴選局処理、時刻選局処理及び放送波受信レベル選局処理のうちいずれの選局処理を行うかの選択操作及び選択された選局処理のうちいずれの選局を優先させるかを示す優先順位を設定可能な優先順位設定操作が行えるようになっている。そのため、ユーザの好みに応じた選局処理が優先してお粉割るようになるから、さらにユーザの特性に応じた放送局の選局を実現できる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではない。例えば、第1及び第2実施形態では移動通信端末100,110のメモリ部104に視聴履歴テーブル等が記憶されていたが、これに限られない、すなわち、視聴履歴テーブル等が記憶されたサーバ等の外部端末及び基地局300をネットワークで接続した選局システムを構成して、移動通信端末100,110から外部端末に旧放送エリアの情報、新放送エリアの情報及び旧物理チャンネルを送信し、外部端末において新物理チャンネルを特定してもよい。その後、外部端末によって特定された新物理チャンネルをネットワーク及び基地局を介して移動通信端末100,110に送信することで、移動通信端末100,110において選局を行うことができる。
また、第1及び第2実施形態では旧放送エリア及び新放送エリアの各情報並びに旧物理チャンネルに基づいて新物理チャンネルを特定したが、視聴履歴テーブルが旧物理チャンネルを含まずに旧放送エリア及び新放送エリアの各情報と新物理チャンネルとが対応付けられた視聴履歴によって構成され、旧放送エリア及び新放送エリアの各情報に基づいて新物理チャンネルを特定するものでもよい。
また、第1及び第2実施形態ではユーザが操作部105を操作することによる入力操作(決定操作)がなされたが否かが制御部106により判定され(S21)、決定操作が行われたと判定されたときにそのときの視聴履歴にポイントを1加算する重み付け処理を行っていたが、これに限られない。すなわち、放送波受信部101において放送局の選局が行われた(S7)後、所定時間内にユーザによる操作部105の入力操作がなかったときに、制御部106がステップ7で選局された放送局の視聴を決定したものとみなしてその視聴履歴にポイントを1加算する重み付け処理を行うようにしてもよい。
また、移動通信端末100,110は、地上デジタルテレビジョン放送の放送波だけでなく、地上デジタルテレビジョン放送及び地上デジタル音声放送を含む地上デジタル放送全般であってもよく、衛星デジタル放送による放送波、有線デジタル放送による放送波を受信するものであってもよい。
また、移動通信端末100,110が再生するコンテンツとしては、映像の他に、音声、データ等であってもよい。
また、移動通信端末100,110が映像、音声、データ等の記録が行える記録部を更に有し、移動通信端末100,110によってコンテンツの記録を行う際に本発明を適用してもよい。
また、第2実施形態ではテレビ視聴処理と平行して、エリア移動履歴選局処理、時刻選局処理及び放送波受信レベル選局処理の3つの選局処理のうちいずれか1つの選局処理を優先順位に基づいて実行させたが、ユーザによる操作部105を用いた選択操作に応じて、上記3つの選局処理のうちから選択された1つの選局処理のみを行ってもよく、上記3つの選局処理のうちから選択された2つの選局処理を優先順位に基づいて行ってもよい。
100…移動通信端末、101…放送波受信部、102…映像再生部、103…移動体通信部、104…メモリ部、104a…旧放送エリアメモリ、104b…新放送エリアメモリ、104c…旧物理チャンネルメモリ、104d…新物理チャンネルメモリ、104e…テーブルメモリ、104f…視聴履歴メモリ、105…操作部、106…制御部、200…放送アンテナ、300…基地局、A1,A2…放送エリア、C1,C2…セル。