JP4234234B2 - 薄膜の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置に用いられる強誘電体膜を成膜する薄膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)は、電荷蓄積メモリとして登場して以来、年々その集積度を増しつつ、半導体記憶装置として広く用いられている。集積化が進み素子寸法が小さくなっても、キャパシタの電気容量は約30fF以上に保つ必要があり、素子の微細化に対して、キャパシタの有効面積を大きくする、誘電体膜を薄膜化するなどの検討がなされてきた。しかしながら、ギガビット世代に向けて求められる技術として、リソグラフィ技術によるものだけでなく、微細化時の性能を確保するために、キャパシタや配線などに新材料を導入する必要性が高まってきており、実用化に向けた開発が始まっている。
【0003】
一方、情報記憶用キャパシタの電極間絶縁膜として、チタン酸塩ペロブスカイト化合物あるいはビスマス層状化合物などからなる強誘電体薄膜を用いた不揮発性強誘電体メモリ(FRAM:Ferroelectric RAM)セルおよびそのアレイを有するFRAMが注目を集めている。FRAMは、大容量メモリの代表であるDRAMと比較すると、不揮発性であるためにデータ保持にリフレッシュ動作が不要であって、待機時の消費電力が不要であるという特徴を持つ。また、同じ不揮発性メモリであるフラッシュメモリと比較しても、データ書き換え回数が多く、かつデータ書き換え速度が著しく速いという特徴を併せ持っている。加えて、フラッシュメモリ,EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory) には、その動作上、少なくとも3種類の電源電圧が必要で消費電力も増大すること、情報の記憶は、トンネル酸化膜と呼ばれる絶縁膜を介したフローティングゲートへの電子の注入・引き出しで行うが、その絶縁膜の破壊(疲労)により電気的特性の劣化が生じることなどの難点もある。さらに、メモリカードなどに使用される電源バックアップ可能なSRAM(Static RAM)と比べても、消費電力が小さく、集積度においても大幅にセル面積を小さくすることができる特徴を持つ。
【0004】
上記のような特徴を持つFRAMは、既存のフラッシュメモリ,SRAM,DRAMとの置き換え、ロジック混載デバイスへの適用など、次世代メモリとしての期待は極めて大きい。また、FRAMは、バッテリーレスで高速動作が可能という利点から、非接触カード(RF-ID:Radio Frequency-Identification)への展開が始まっている。
【0005】
上記したFRAMなどの不揮発性メモリに用いられる誘電体膜としては、ペロブスカイト構造を持つBST(Ba0.5 Sr0.5 TiO3 ) ,SrTiO3 誘電体膜やPZT(Pb(Zrx Ti1-x )O3 ) ,PLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O3 ) などのPb含有の強誘電体膜、あるいは、SBT(SrBi2 Ta2 O9 ) といったBiを含有する層状構造の強誘電体膜が知られており、その実用化が進んでいる。
【0006】
しかし、これら強誘電体における製造上の大きな問題点は、PbやBiの電極およびシリコンへの拡散や熱工程における蒸発である。これらの元素は融点が低く蒸気圧が高いのでスパッタリングやCVDの膜形成プロセスにおいて、他の元素成分との組成比を制御することが極めて難しい。組成が化学両論比からずれることによって、格子欠陥や酸素空孔を生じ、PZTペロブスカイト構造の形成が阻害され、その結果、強誘電体膜のヒステリシス特性や疲労特性が大幅に劣化する原因になっている。
【0007】
例えば、スパッタリング法の場合では、基板温度やプラズマ分布による基板へのイオンボンバートメントなどによって容易にPbが蒸発し、ターゲット組成より極めて少ない膜組成となり、膜厚方向の元素分布も不均一になりやすい。
【0008】
PZT膜の結晶化は、温度の安定性や再現性を考慮して、低温でアモルファス膜を堆積した後の熱処理により成されているが、上記のようにPbや酸素の欠損があるとエピタキシャルな膜になりづらく、このため、(111)優先配向やペロブスカイト構造そのものが得られず強誘電特性が現れない要因とも成り得る。また、Qswなどの初期特性が得られても疲労、インプリント、リテンション特性等が著しく悪化する。
【0009】
以下、従来の強誘電体膜の製造方法の一例を図9を用いて説明する。まず、トランジスタを形成するプロセスを経たSi基板1上にSiO2 膜2を形成する。次いで、このSiO2 膜2上に、接着層となるTi接合層3と下部電極となるPt電極4を形成した下地基板(Pt/Ti/SiO2 )を形成し、この下地基板上に、RFスパッタリング法を用いて、結晶性のPZT膜5となるアモルファスPZT膜を270nm形成する。ターゲットは(Pb1.07,La0.03)(Zr0. 3 ,Ti0.7 )O3 組成で焼結したもので、Arガス雰囲気下で0.5Paに減圧し、スパッタ時の投入電力を1.5kWとして成膜する。スパッタ開始時の基板温度は室温である。成膜中の基板温度を一定とし、アモルファスPZT膜中の組成分布を均一化することができたとしても、酸素雰囲気下で850℃、5secの結晶化アニールを施すと、アモルファスPZT膜の表面と、アモルファスPZT膜とPt電極4との界面付近でPbの脱離・拡散が起こる。このようにPbの欠損したPZT膜5のPb濃度の膜厚方向の分布を図2の実線に示す。横軸は下部電極(Pt電極4)からの高さ、縦軸はPbモル比率を示す。図2の実線(細線)に示すように、両界面付近だけPb量の低い濃度プロファイルとなってPbのモル比が10%低下した。これは、結晶化時におけるPZTペロブスカイト構造の形成を阻害する。
【0010】
このアモルファスPZT膜を結晶化させ、結晶化したPZT膜5上に上部電極となるPt電極91を形成することにより得られる強誘電体キャパシタのヒステリシス曲線を図10に示す。横軸は印加電圧(V)、縦軸は分極量(μC/cm2 )である。書き換え回数0の初期特性では±20μC/cm2 程度の分極量を示していたのが、書き換えを繰り返し行ったところ±5μC/cm2 程度まで減少し、良好な強誘電特性が得られないことが分かる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように従来のスパッタリング法などによるPZT膜の成膜方法では、蒸気圧の高いPb、酸素が欠損しやすく、ターゲット組成とは異なる膜組成となり、膜厚方向の元素分布も不均一になりやすい。このようなターゲット組成とは異なる膜組成となる場合、良好なペロブスカイト構造の膜になりづらく、強誘電特性が現れない要因となる。
【0012】
あるいは、組成ずれ起因によって現れる格子欠陥や酸素空孔は、分極疲労特性、リテンション、インプリントなどの強誘電体キャパシタの信頼性を著しく劣化させ得る。
【0013】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、膜厚方向に均一な組成であって、かつ酸素空孔など結晶欠陥の少ない誘電体膜を形成することのできる薄膜の形成方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る薄膜の形成方法は、結晶化した膜の化学式がABO3 で表されるアモルファス膜であって、AはPb,Ba,Srから選択される少なくとも一種類の元素を含み、BはZr,Ti,Ta,Nb,Mg,W,Fe,Coから選択される少なくとも一種類の元素を含む前記アモルファス膜を下地基板上に成膜する工程と、前記Aを前記アモルファス膜の前記下地基板との界面又は前記アモルファス膜表面の少なくとも一方に導入する工程と、前記Aの導入後、ランタンを前記アモルファス膜の前記下地基板との界面又は前記アモルファス膜表面の少なくとも一方に導入する工程と、前記ランタンの導入後、前記アモルファス膜を熱処理により結晶化させて薄膜を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の望ましい形態を以下に示す。
(1)A、酸素、La又はNbの導入は、アモルファス膜を熱処理した後の薄膜の膜厚方向の組成分布が均一になるように調整して導入する。
(2)A、酸素、La又はNbの導入にイオン注入法を用いる。
(3)イオン注入によりアモルファス膜に与えた損傷を回復するための熱処理と、結晶化のための熱処理とを併せて一度に行う。
(4)Pbを含むAを導入する場合、結晶化アニール前のAとBの組成比A/Bが膜全体の平均で1.0〜1.5の範囲内とする。
(5)結晶化前のアモルファス膜の膜厚方向のA濃度分布に対して、熱処理を行うことによりA/Bの値が膜厚方向に均一に1.0となるような拡散距離の位置にピークを持つようにAのイオン注入を行う。
(6)基板温度を300〜400℃に保ってAのイオン注入を行う。
(7)成膜後のアモルファス膜の表面及び下地基板との界面への酸素の導入を、結晶化アニール前の工程で行う。
(8)酸素、A双方のイオン注入を行い、酸素のイオン注入をAのイオン注入より先に行う。
(9)酸素のイオン注入は、ドーズ量が結晶化アニール時の拡散およびAのイオン注入時のノックオンで欠損する酸素の量分に相当するように、界面付近にピーク位置をもたせる。
(10)アモルファス膜へA、酸素双方の導入を行い、アモルファス膜の表面に5nm以下のAのメタル層あるいはAの酸化物層を形成し、このAのメタル層あるいはAの酸化物層に向けて酸素あるいはAのイオン注入を行う。
(11)アモルファス膜の成膜をスパッタリング法により行い、ABO3 組成のターゲット以外にAまたはAの酸化物からなるターゲットを同一チャンバ内に設置し、アモルファス膜の成膜前に下地基板表面に、あるいはアモルファス膜成膜後にアモルファス膜の表面にのみAの酸化物をスパッタする。具体的には、例えばPZT組成のアモルファス膜を形成する場合、PZT組成のターゲットと、PbまたはPbOからなるターゲットを設置する。
(12)(11)のアモルファス膜の成膜をCVD法により行い、Aの酸化物の形成にCVD法を用い、Aの酸化物の分圧を平衡蒸気圧以上にあげた状態で熱処理する。
【0016】
(作用)
本発明では、結晶化すると化学式がABO3 で表されるアモルファス膜において、結晶化した薄膜の膜厚方向の組成分布の不均一性を低減するために行うA、酸素の導入を、アモルファス膜を成膜した後に、アモルファス膜の下部界面および表面に対して選択的に行う。これにより、アモルファス膜の組成分布を測定した後にそのばらつきに応じて所望の元素を導入できるため、結晶化した後の薄膜の膜厚方向の組成分布をより均一化することができ、強誘電特性を向上させる。また、同様の条件でLa又はNbをアモルファス膜に導入することにより、このアモルファス膜を結晶化して得られる強誘電体キャパシタの疲労特性を改善することができる。
【0017】
また、A、酸素、La又はNbの導入をイオン注入により行うことで、膜厚方向の組成制御をより正確に行うことができる。さらに、このイオン注入後のアモルファス膜に対する熱処理を結晶化アニールと併せて一度に行うことにより、工程を短縮することができる。
【0018】
さらに、上記の酸素のイオン注入により、結晶化した際に現れる格子欠陥や酸素欠陥を補償するための酸素を効率よく導入することが可能である。あるいは、Zrの下地界面へのイオン注入により、結晶化温度を低温化することが可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る薄膜の形成方法を説明するための図であり、本発明をPZT膜の形成に適用する場合を示す。
【0020】
まず、トランジスタを形成するプロセスを経たSi基板1にSiO2 膜2を形成する。次いで、このSiO2 膜2上に、下地電極となる150nm厚のPt電極4をDCマグネトロンスパッタにより形成する。PtはSiO2 膜2と密着性が良好ではないため、接合層3としてTi(20nm)をPt成膜前に連続スパッタにて形成する。
【0021】
次に、Pt電極4上にアモルファスのPZT膜をRFマグネトロンスパッタにより形成する。このスパッタは、Pbの蒸発、再スパッタの影響を低減するため、スパッタ開始時の基板温度を室温にして成膜する。
【0022】
スパッタ条件は次の通りである。スパッタ時の投入電力は1.5kW、ターゲットとして(Pb1.07,La0.03)(Zr0.3 ,Ti0.7 )O3 組成で焼結したものを用い、スパッタリング中の雰囲気にはArガスを用いる。チャンバ内を真空排気した後、Arガスを供給しつつチャンバ内の圧力を0.5Paに設定する。この条件の下、アモルファスPZT膜を270nm形成する。
【0023】
次いで、結晶化前のアモルファスPZT膜に対して、ドーズ量と加速電圧を5×1014cm2 と20kVおよび5×1015cm2 と2MVの2種類に設定してPb6のイオン注入を行う。膜厚方向の注入イオン濃度分布を図2に示す。横軸は下部電極(Pt電極4)からの高さ、縦軸はPbドープ量である。Pbイオン注入によってドーピングされたPb濃度分布は、図2の破線に示すアモルファスPZT膜表面付近、Pt電極4とアモルファスPZT膜の界面付近にピークをもつ濃度プロファイルとなり、両界面付近に選択的に行われていることが分かる。
【0024】
このイオン注入後に酸素雰囲気下で850℃、5sec以上の熱処理(RTA)を施すことにより、アモルファスPZT膜は結晶化してペロブスカイト構造が形成されたPZT膜5となる。なお、この結晶化の際、イオン注入によりアモルファスPZT膜に与えた損傷を回復するための熱処理も同時に行えば、アニール工程を一つに短縮することができる。
【0025】
このアモルファスPZT膜の結晶化により、膜厚方向にPbモル比率が約1.0の均一なPZT膜5が得られる。このPbモル比率の膜厚方向の分布を図2に示す。横軸は下部電極(Pt電極4)からの高さ、縦軸はPbモル比率を示す。本実施形態によりPbイオン注入を行った場合を太線で、比較のためにPbイオン注入を行わない従来例を実線で示す。従来のPZT膜5の両界面において低下したPbモル比率が、イオン注入により約1.0の均一なプロファイルとなっていることが分かる。さらにPZT膜5上にPtからなる上部電極(図示せず)を形成し、熱処理を施すと強誘電体キャパシタが完成する。
【0026】
このPbイオン注入を施したPZT膜5を持つ強誘電体キャパシタのヒステリシス特性を図3に示す。横軸は印加電圧(V)、縦軸は分極量(μC/cm2 )であり、図3(a)は初期特性を、図3(b)は分極反転を繰り返し行った後の特性を示す。図3(b)に示すように分極反転の疲労により分極量は初期特性と比較するとわずかに劣化しているが、図10の従来のPbイオン注入を施さない場合の分極量の劣化と比較すると、格段に向上していることが分かる。また、飽和分極値の低下も少ない。
【0027】
このように本実施形態によれば、アモルファスPZT膜の成膜後にPbを補償することができるので、膜厚方向のPb濃度分布のばらつきを高精度に低減することができる。従って、アモルファスPZT膜の結晶化時にエピタキシャルな膜になりやすく、(111)面が優先配向したペロブスカイト構造を容易に得ることができる。また、Pb欠損により生ずる酸素空孔の発生を低減することができるため、酸素空孔による空間電荷の発生に起因した強誘電体キャパシタとしてのスイッチング電荷の減少を防止することができる。
【0028】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記イオン注入において、基板温度を結晶化の起らない300〜400℃としてPbのイオン注入を行うと、注入分布が広がり、Pbの濃度は更に膜厚方向にフラットなプロファイルとなり易くなる。このようにして作製したPZT膜5も同等以上の良好な強誘電特性を得られる。また、アモルファスPZT膜表面にPbまたはPbO膜を1〜10nm堆積し、このPbまたはPbO膜に対して酸素をイオン注入することでPbをノックオンすることにより、PZT膜5のPb濃度の膜厚方向の均一性を向上させることもできる。
【0029】
また、Pbのモル比1.0を膜厚方向で実現するため、ZrやTiなどをイオン注入法などで導入してもよい。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、第1実施形態に係る強誘電体膜の製造工程に加えて、酸素イオン注入工程を追加した形態に関する。第1実施形態と共通する部分は詳細な説明を省略する。
【0030】
図1において、アモルファスPZT膜にPbのイオン注入を行った後、ドーズ量と加速電圧を5×1014cm2 と10kVおよび5×1015cm2 と200kVの2種類に設定して酸素をイオン注入する。これにより、Pbイオン注入と同様に、アモルファスPZT膜の両界面付近にピークを持つ濃度プロファイルとなり、アモルファスPZT膜の両界面付近に選択にイオン注入が行われる。
【0031】
次いで、酸素雰囲気下で850℃、5sec以上の熱処理(RTA)を施す。熱処理後のPZT膜5上に上部電極形成して熱処理を行うと強誘電体キャパシタが完成する。
【0032】
図5は本実施形態により形成された強誘電体キャパシタのヒステリシス曲線である。横軸は印加電圧(V)、縦軸は分極量(μC/cm2 )である。初期特性を示す図3(a)と比較してヒステリシス特性がほとんど劣化しておらず、従来技術により形成されたキャパシタのヒステリシス特性を示す図10と比較しても、ヒステリシス特性が改善されているのが分かる。また、図3(b)に示したPbのみのイオン注入を行った場合のヒステリシス特性に比較しても、分極量の減少がさらに抑えられることが分かる。これは、アモルファスPZT膜とPt電極4、アモルファスPZT膜表面の両界面における酸素欠損を酸素のイオン注入により補償できるため、膜厚方向に組成分布の均一なPZT膜5を持つ強誘電体キャパシタが形成されるからである。
【0033】
図6は本実施形態により形成された強誘電体キャパシタの疲労特性を示す図である。横軸は分極反転回数(logN)、縦軸は残留分極量(μC/cm2 )であり、実線は酸素イオン注入を行った場合、破線は酸素イオン注入を行わない場合の疲労特性を示す。図6に示すように、酸素イオン注入を行わない場合、書き換え回数が105 回を越えた付近から分極量が急激に減少しているが、同じ反転回数でも酸素イオン注入を行うことにより分極量の減少を防ぐことができ、疲労特性を改善できることが分かる。これにより、キャパシタとしての信頼性を向上させることが分かる。
【0034】
このように、アモルファス膜成膜後にPbのみならず酸素を補償することにより、酸素欠陥の少ない高品質なペロブスカイト構造の形成が容易になる。
なお、上記第1,2実施形態は、イオン注入法によりPb又はO2 を導入する場合を示したが、イオン注入法に限定されるものではない。PZT膜5表面と、PZT膜5とPt電極4との界面付近にあらかじめ、PbOが過剰になるような成膜スパッタを行ってPbやOを導入してもよい。例えば、PZT組成のターゲット以外にPbまたはPbOターゲットを同一チャンバ内に設置してPbO/PZT/PbOと成膜する。また、この積層膜の形成にCVD法を用い、アニールの際に、PbO分圧を平衡蒸気圧以上に上げた状態でアニールして導入してもよい。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態は、第1実施形態に係る薄膜の形成工程に、LaあるいはNbを導入する工程を追加した形態に関する。第1実施形態と共通する部分は詳細な説明を省略する。
【0035】
まず、第1実施形態と同様にアモルファスPZT膜5にPbのイオン注入を行う。次いで、膜厚方向に対して、アモルファス膜表面、および下部電極(Pt電極4)とアモルファスPZT膜との界面付近に濃度ピークをもつようにLaのイオン注入を行う。このイオン注入の膜厚方向のドーズ量分布を図7に示す。横軸は下部電極(Pt電極4)からの高さ、縦軸はLaドープ量を示す。
【0036】
次いで、これらPb及びLaのイオン注入に対する熱処理を行ってアモルファスPZT膜をペロブスカイト構造に結晶化させる。このようにして得られたPZT膜5上にPtからなる上部電極を形成し、強誘電体キャパシタが完成する。
【0037】
この強誘電体キャパシタの疲労特性を図8に示す。横軸は分極反転回数(logN)、縦軸は残留分極量(μC/cm2 )であり、実線は酸素及びLaをイオン注入しない場合、破線はLaをイオン注入した場合を示す。初期特性である疲労サイクル0から書き換え回数の増加と共に分極量が減少する。この分極量の減少はイオン注入の有無にかかわらず減少しているが、イオン注入を行うことで分極量の減少を低減できる。これにより、分極量の減少が始まる反転回数を大きくすることができ、疲労特性を飛躍的に向上することができる。
【0038】
なお、本実施形態ではLa又はNbをアモルファスPZT膜の表面および下部界面に導入する場合を示したが、いずれかの界面付近のみに導入する場合でも同様の効果を奏する。
【0039】
また、上記第1〜第3実施形態では薄膜としてPZT膜を用いたが、BST膜、SBT膜等、結晶化した膜の化学式がABO3 で表され、AはPb,Ba,Srから選択される少なくとも一種類の元素を含み、BはZr,Ti,Ta,Nb,Mg,W,Fe,Coから選択される少なくとも一種類の元素を含む膜であれば何でもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、結晶化した膜の化学式がABO3 で表されるアモルファス膜に対して、A、酸素、La又はNbの導入をアモルファス膜の両界面に対して選択的に行う。これにより、アモルファス膜の組成分布を測定した後にそのばらつきに応じてA、酸素、La又はNbを導入できるため、結晶化した後の薄膜の膜厚方向の組成分布をより均一化し、格子欠陥や酸素欠陥の発生を抑えることができ、薄膜の強誘電体性あるいは信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る薄膜の形成方法により形成される薄膜を含む強誘電体キャパシタの横断面図。
【図2】同実施形態に係るPbモル比率の膜厚方向の分布を示す図。
【図3】同実施形態における薄膜の形成方法を用いて作成された強誘電体キャパシタのヒステリシス曲線を示す図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る酸素モル比率の膜厚方向の分布を示す図。
【図5】同実施形態における薄膜の形成方法を用いて作成された強誘電体キャパシタのヒステリシス曲線を示す図。
【図6】同実施形態における薄膜の形成方法を用いて作成された強誘電体キャパシタの疲労特性を示す図。
【図7】本発明の第3実施形態に係るイオン注入におけるLaドープ量の膜厚方向の分布を示す図。
【図8】同実施形態における薄膜の形成方法を用いて作成された強誘電体キャパシタの分極疲労特性を示す図。
【図9】従来の強誘電体キャパシタの横断面図。
【図10】従来の強誘電体キャパシタのヒステリシス曲線を示す図。
【符号の説明】
1…Si基板
2…SiO2
3…接合層
4…Pt電極
5…PZT膜
6…Pb

Claims (3)

  1. 結晶化した膜の化学式がABO3 で表されるアモルファス膜であって、AはPb,Ba,Srから選択される少なくとも一種類の元素を含み、BはZr,Ti,Ta,Nb,Mg,W,Fe,Coから選択される少なくとも一種類の元素を含む前記アモルファス膜を下地基板上に成膜する工程と、
    前記Aを前記アモルファス膜の前記下地基板との界面又は前記アモルファス膜表面の少なくとも一方に導入する工程と、
    前記Aの導入後、ランタンを前記アモルファス膜の前記下地基板との界面又は前記アモルファス膜表面の少なくとも一方に導入する工程と、
    前記ランタンの導入後、前記アモルファス膜を熱処理により結晶化させて薄膜を形成する工程とを含むことを特徴とする薄膜の形成方法。
  2. 前記A、ランタンの導入にイオン注入法を用いることを特徴とする請求項1に記載の薄膜の形成方法。
  3. 前記A、ランタンの導入後に行う熱処理であって、前記イオン注入法により前記アモルファス膜に与えた損傷を回復するための前記熱処理と、結晶化のための前記熱処理とを併せて一度に行うことを特徴とする請求項1に記載の薄膜の形成方法。
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