以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るホログラム作成装置の構成を示す斜視図、図2は、図1に示したホログラム作成装置の一部切欠正面図、図3は、図1に示したホログラム作成装置の側面図である。これらの図に示したように、本実施の形態に係るホログラム作成装置は、ホログラフィを利用して情報が記録されるシート状の記録媒体1を、図示しない供給部から図示しない排出部まで搬送するための3対の円柱形状の搬送ローラ2a,2b;3a,3b;4a,4bと、搬送ローラ2a,2bと搬送ローラ3a,3bとの間において、記録媒体1の下側となる位置に、搬送ローラ2a,2b;3a,3bの軸方向に平行に配置された板状のガイド部5と、記録媒体1を介してガイド部5に対向するように配置され、記録媒体1の一部に対して、記録媒体1に記録する干渉パターンの一部を形成する2つの記録用光束を照射して、干渉パターンの一部を記録するためのヘッド10とを備えている。
ホログラム作成装置は、更に、搬送ローラ3a,3bと搬送ローラ4a,4bとの間において、記録媒体1の上側となる位置に配置された円柱形状の紫外線ランプ6と、この紫外線ランプ6の下側に配置され、この紫外線ランプ6とによって記録媒体1を保持するための円柱形状のピンチローラ7と、これら紫外線ランプ6およびピンチローラ7と搬送ローラ4a,4bとの間において、記録媒体1の上側となる位置に配置された円柱形状のヒートローラ8と、このヒートローラ8とによって記録媒体1を保持するための円柱形状のピンチローラ9とを備えている。紫外線ランプ6は、記録媒体1に対して紫外線を照射するものであり、ヒートローラ8は、記録媒体1に対して熱を加えるものであり、これらは、本発明における定着手段に対応する。
ホログラム作成装置は、更に、ヘッド10の上方において、搬送ローラ2a,2b;3a,3bの軸方向に平行に配置された2本のガイドシャフト11a,11bと、このガイドシャフト11a,11bによってガイドされて、ガイドシャフト11a,11bに沿って移動可能な可動部12とを備えている。ヘッド10は、可動部12の下端面に接合され、可動部12と共に移動するようになっている。
ホログラム作成装置は、更に、可動部12を、ガイドシャフト11a,11bに沿って移動させるためのボイスコイルモータ(以下、VCMと記す。)13を備えている。このVCM13は、ガイドシャフト11a,11bの上方において、ガイドシャフト11a,11bに対して平行に配置されたVCMヨーク14と、このVCMヨーク14の上方においてVCMヨーク14に対して平行に所定の間隔を開けて配置され、且つ端部においてVCMヨーク14と連結されたVCMヨーク15と、このVCMヨーク15の下面に固定された板状のVCM用マグネット16と、VCMヨーク14の周囲においてVCMヨーク14の外周面に対して所定の間隔を開けて配置されたボイスコイル17とを有している。ボイスコイル17は、可動部12の上端面に接合されている。なお、図1では、VCMヨーク15およびVCM用マグネット16を省略している。このような構成のVCM13によって、ヘッド10が、ガイドシャフト11a,11bと平行に移動されるようになっている。VCM13は、ヘッド10と記録媒体1との相対的な位置関係を変更するための本発明における位置変更手段を構成する。
ホログラム作成装置は、更に、赤色(以下、Rと記す。)のコヒーレントなレーザ光を出射するR光源装置21Rと、緑色(以下、Gと記す。)のコヒーレントなレーザ光を出射するG光源装置21Gと、青色(以下、Bと記す。)のコヒーレントなレーザ光を出射するB光源装置21Bと、各光源装置21R,21G,21Bから出射されたレーザ光を、それぞれ平行光束にするコリメータレンズ22R,22G,22Bと、コリメータレンズ22Rを通過した光が入射するダイクロイックプリズム23Rと、コリメータレンズ22Gを通過した光が入射するダイクロイックプリズム23Gと、コリメータレンズ22Bを通過した光が入射する反射プリズム23Bとを備えている。
反射プリズム23Bは、コリメータレンズ22Bを通過したBの光を反射するようになっている。反射プリズム23Bで反射されたBの光は、ダイクロイックプリズム23Gに対して側方から入射するようになっている。ダイクロイックプリズム23Gは、コリメータレンズ22Gを通過したGの光を反射すると共に、反射プリズム23B側からのBの光を透過させるようになっている。ダイクロイックプリズム23Gで反射されたGの光とダイクロイックプリズム23Gを透過したBの光は、いずれも、ダイクロイックプリズム23Rに対して側方から入射するようになっている。ダイクロイックプリズム23Rは、コリメータレンズ22Rを通過したRの光を反射すると共に、ダイクロイックプリズム23G側からのBの光およびGの光を透過させるようになっている。ダイクロイックプリズム23Rで反射されたRの光とダイクロイックプリズム23Rを透過したBの光およびGの光は、いずれも、ダイクロイックプリズム23Rから同一方向に出射するようになっている。ホログラム作成装置は、更に、ダイクロイックプリズム23RからのR,G,Bの各光を空間的に変調するための空間光変調器24と、この空間光変調器24を通過した光を反射して、ヘッド10に入射させる反射プリズム25とを備えている。
空間光変調器24は、格子状に配列された多数の画素を有し、各画素毎に出射光の偏光方向を選択することによって、偏光方向の違いによって光を空間的に変調することができるようになっている。空間光変調器24は、具体的には、例えば、液晶の旋光性を利用した液晶表示素子において偏光板を除いたものと同等の構成である。ここでは、空間光変調器24は、各画素毎に、オフにすると偏光方向を+90°回転させ、オンにすると偏光方向を回転させないようになっている。空間光変調器16における液晶としては、例えば、応答速度の速い(μ秒のオーダ)強誘電液晶を用いることができる。これにより、高速な記録が可能となる。
次に、図4を参照して、ヘッド10の構成について説明する。ヘッド10は、記録媒体1に対向するように配置された対物レンズ32と、この対物レンズ32を記録媒体1の厚み方向および搬送方向に移動可能なアクチュエータ33と、対物レンズ32における記録媒体1とは反対側に、対物レンズ32側から順に配設された2分割旋光板34、S偏光ホログラム35、ビームスプリッタ37、凸レンズ38、シリンドリカルレンズ39および4分割フォトディテクタ40を備えている。
ビームスプリッタ37は、対物レンズ32の光軸方向に対して45°傾けられて配置され、入射する光の光量の一部を反射し、光量の一部を透過させる半反射面37aを有している。図1における反射プリズム25側からの光は、ビームスプリッタ37に対して側方より入射し、光量の一部が半反射面37aで反射されて、S偏光ホログラム35に入射するようになっている。
S偏光ホログラム35は、S偏光に対してのみ、光を収束させるレンズ機能を有している。そして、ビームスプリッタ37側より平行光束のP偏光の光がS偏光ホログラム35に入射した場合には、この光は平行光束のままS偏光ホログラム35を通過し、対物レンズ32によって集光されて記録媒体1に照射され、収束しながら記録媒体1を通過して、記録媒体1の奥側で最も小径となるように収束するようになっている。一方、ビームスプリッタ37側より平行光束のS偏光の光がS偏光ホログラム35に入射した場合には、この光はS偏光ホログラム35によって若干収束された後、対物レンズ32によって集光されて記録媒体1に照射され、記録媒体1の手前側で一旦最も小径となるように収束した後、発散しながら記録媒体1を通過するようになっている。
なお、S偏光とは偏光方向が入射面(図4の紙面)に垂直な直線偏光であり、P偏光とは偏光方向が入射面に平行な直線偏光である。
2分割旋光板34は、図4において光軸の左側部分に配置された旋光板34Lと、図4において光軸の右側部分に配置された旋光板34Rとを有している。旋光板34Lは偏光方向を−45°回転させ、旋光板34Rは偏光方向を+45°回転させるようになっている。
ガイド部5の下端部には、ヘッド10の移動方向に沿って配列されたエンボスピット5aによって、トラッキングサーボを行うための情報とアドレス情報とが記録されている。対物レンズ32より、記録媒体1の奥側で最も小径となるように収束するように照射された光は、ガイド部5の下端部で反射され、エンボスピット5aによって変調された戻り光となって、対物レンズ22に入射するようになっている。この戻り光は、2分割旋光板34、S偏光ホログラム35を通過し、ビームスプリッタ37に入射し、光量の一部が半反射面37aを透過して、凸レンズ38およびシリンドリカルレンズ39を通過して、4分割フォトディテクタ40に入射するようになっている。
4分割フォトディテクタ40は、図7に示したように、ヘッド10の移動方向に平行な分割線40Aとこれと直交する方向の分割線40Bとによって分割された4つの受光部40a〜40dを有している。シリンドリカルレンズ39は、その円筒面の中心軸が4分割フォトディテクタ40の分割線40A,40Bに対して45°をなすように配置されている。
次に、図5を参照して、記録媒体1の構成の一例について説明する。図5に示した記録媒体1は、カラーの3次元画像情報を記録、再生可能なものである。この記録媒体1は、透明な基材51の一面に、ボリュームホログラフィを利用して3次元的な干渉パターンによって情報が記録されるホログラム層52B,52G,52Rと、保護層53とを、この順番で積層して構成されている。ホログラム層52B,52G,52Rは、それぞれ、光が照射されたときに光の強度に応じて屈折率,誘電率,反射率等の光学的特性が変化するホログラム材料によって形成されている。ただし、ホログラム層52BはBの光のみによって光学的特性が変化し、ホログラム層52GはGの光のみによって光学的特性が変化し、ホログラム層52RはRの光のみによって光学的特性が変化するようになっている。ホログラム材料としては、例えば、フォトポリマ(photopolymers)等が使用される。
なお、記録媒体1を、単色の3次元画像情報を記録、再生可能なものとする場合には、ホログラム層52B,52G,52Rの代わりに、使用する光によって光学的特性が変化する単層のホログラム層を設ければよい。
図6は、本実施の形態に係るホログラム作成装置の回路構成を示すブロック図である。この図に示したように、ホログラム作成装置は、ヘッド10の出力信号よりフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEおよび再生信号RFを検出するための検出回路61と、この検出回路61によって検出されるフォーカスエラー信号FEに基づいて、ヘッド11内のアクチュエータ33を駆動して対物レンズ32を記録媒体1の厚み方向に移動させてフォーカスサーボを行うフォーカスサーボ回路62と、検出回路61によって検出されるトラッキングエラー信号TEに基づいてヘッド11内のアクチュエータ33を駆動して対物レンズ32を記録媒体1の搬送方向に移動させてトラッキングサーボを行うトラッキングサーボ回路63とを備えている。
ホログラム作成装置は、検出回路61からの再生信号RFより基本クロックを再生したりアドレスを判別したりする信号処理回路64と、ホログラム作成装置の全体を制御するコントローラ65とを備えている。コントローラ65は、信号処理回路64より出力される基本クロックやアドレス情報を入力すると共に、VCM13、R光源装置21R、G光源装置21G、B光源装置21B、空間光変調器24、搬送装置20、紫外線ランプ6およびヒートローラ8を制御するようになっている。なお、搬送装置20は、記録媒体1を、図示しない供給部から図示しない排出部まで搬送するため装置であり、搬送ローラ2a,2b;3a,3b;4a,4bを含む。搬送装置20は、本発明における位置変更手段を構成する。
また、コントローラ65は、外部より3次元画像情報67を入力し、この3次元画像情報67に基づいて、記録時の情報光の変調パターンを計算する機能を有している。
アクチュエータ33、検出回路61、フォーカスサーボ回路62およびトラッキングサーボ回路63は、本発明における位置制御手段に対応する。
ホログラム作成装置は、更に、コントローラ65に対して種々の指示を与える操作部66を備えている。コントローラ65は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)およびRAM(ランダム・アクセス・メモリ)を有し、CPUが、RAMを作業領域として、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、コントローラ65の機能を実現するようになっている。
図7は、4分割フォトディテクタ40の出力に基づいて、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEおよび再生信号RFを検出するための検出回路61の構成を示すブロック図である。この検出回路61は、4分割フォトディテクタ40の対角の受光部40a,40dの各出力を加算する加算器41と、4分割フォトディテクタ40の対角の受光部40b,40cの各出力を加算する加算器42と、加算器41の出力と加算器42の出力との差を演算して、非点収差法によるフォーカスエラー信号FEを生成する減算器43と、4分割フォトディテクタ40においてヘッド10の移動方向に沿って隣り合う受光部40a,40bの各出力を加算する加算器44と、4分割フォトディテクタ49においてヘッド10の移動方向に沿って隣り合う受光部40c,40dの各出力を加算する加算器45と、加算器44の出力と加算器45の出力との差を演算して、プッシュプル法によるトラッキングエラー信号TEを生成する減算器46と、加算器44の出力と加算器45の出力とを加算して再生信号RFを生成する加算器47とを備えている。なお、本実施の形態では、再生信号RFは、ガイド部5のエンボスピット5aによって記録された情報を再生した信号である。
次に、本実施の形態に係るホログラム作成装置の動作について説明する。なお、以下の説明は、本実施の形態に係るホログラム作成方法の説明を兼ねている。始めに、図8および図9を参照して、ホログラム作成装置の動作の概略について説明する。図8は、本実施の形態に係るホログラム作成装置の動作を示す流れ図、図9は、本実施の形態に係るホログラム作成方法と作成されたホログラムより3次元画像を再生する方法を示す説明図である。
本実施の形態に係るホログラム作成装置では、まず、コントローラ65が、記録媒体1に対して再生用参照光が照射されたときに所望の3次元画像に対応した再生光を発生させるための3次元干渉パターンを計算する(ステップS101)。これは、計算機ホログラフィの技術を用いて、図9(a)に示したように、参照光201と、表示しようとする3次元画像202からの物体光203とを想定し、記録媒体1に対してこれらの参照光201と物体光203とが照射された場合に記録媒体1内に形成される3次元干渉パターン204を計算することである。なお、図9(a)では、参照光として平行光を想定しているが、参照光は拡散する光でもよいし、収束する光でもよい。
3次元干渉パターン204の計算は、具体的には、例えば以下のようにして行う。まず、座標が(x,y)で表される所定の平面上において、参照光201の振幅・位相情報をR1(x,y)とし、物体光203の振幅・位相情報をO1(x,y)とし、それぞれ、以下の式で表す。なお、以下の式において、r1,o1は振幅を表し、φR1,φO1は位相を表す。
R1(x,y)=r1(x,y)exp{jφR1(x,y)}
O1(x,y)=o1(x,y)exp{jφO1(x,y)}
参照光201と物体光203が所定の平面上で干渉するとき、所定の平面上における光の強度I1(x,y)は、以下の式(1)で表される。
I1(x,y)={r1(x,y)}2+{o1(x,y)}2
+2r1(x,y)o1(x,y)cos(φR1−φO1)…(1)
記録媒体1内の3次元干渉パターン204を計算するには、記録媒体1内に複数の平面を想定し、各平面毎に、光の強度I1(x,y)を算出すればよい。なお、物体光203の振幅・位相情報O1(x,y)は、再生しようとする3次元画像の情報(例えば、コンピュータで扱う3次元画像データ)に基づいて計算することができる。また、参照光201の振幅・位相情報R1(x,y)は、予め決めておくことができる。
次に、コントローラ65は、図9(b)に示したように、3次元干渉パターン204を部分干渉パターン205に分割する(ステップS102)。本実施の形態において、部分干渉パターン205とは、図9(b)に示したように、3次元干渉パターン204の一部であって、記録媒体1内においてヘッド10より照射される2つの記録用光束が重なり合う領域における3次元の干渉パターンを言う。なお、以下、2つの記録用光束の一方を記録時参照光と言い、他方を記録時情報光と言う。
次に、コントローラ65は、各部分干渉パターン205について、記録時参照光および記録時情報光を計算する(ステップS103)。これは、具体的には、例えば以下のようにして行う。まず、座標が(x,y)で表される所定の平面上において、記録時参照光の振幅・位相情報をR2(x,y)とし、記録時情報光の振幅・位相情報をO2(x,y)とし、それぞれ、以下の式で表す。なお、以下の式において、r2,o2は振幅を表し、φR2,φO2は位相を表す。
R2(x,y)=r2(x,y)exp{jφR2(x,y)}
O2(x,y)=o2(x,y)exp{jφO2(x,y)}
記録時参照光と記録時情報光が所定の平面上で干渉するとき、所定の平面上における光の強度I2(x,y)は、以下の式(2)で表される。
I2(x,y)={r2(x,y)}2+{o2(x,y)}2
+2r2(x,y)o2(x,y)cos(φR2−φO2)…(2)
部分干渉パターン205内に想定される各平面毎の光の強度I1(x,y)は既に式(1)より求められているので、各平面毎にI1(x,y)=I2(x,y)またはI1(x,y)≒I2(x,y)となるように、記録時参照光および記録時情報光を計算する。この場合、記録時参照光を、一様な光とするか、あるいは記録時情報光に対して一定の関係を有する光とすれば、計算が容易になる。
次に、コントローラ65は、記録時参照光および記録時情報光の計算結果に従って、所望の記録時参照光および記録時情報光が得られるような変調パターンを算出し、この変調パターンで、空間光変調器24を制御し、図9(c)に示したように、記録媒体1に対して、記録時参照光206および記録時情報光207を照射して、各部分干渉パターン205を実際に記録媒体1に記録して、各部分干渉パターン205に対応する部分的なホログラム(以下、部分ホログラムと言う。)を、順次形成して(ステップS104)、全体的なホログラムを作成する。
なお、本実施の形態では、記録媒体1に対して、記録時参照光206および記録時情報光207が同一面側より照射されるので、作成されるホログラムは、透過型(フレネル型)のホログラムとなる。
このようにして作成されたホログラム211(記録媒体1)より3次元画像202を再生するには、図9(a)における参照光201と同じ方向からホログラム211に対して再生時参照光を照射してもよいし、図9(d)に示したように、参照光201とは反対方向にホログラム211に対して再生時参照光212を照射してもよい。参照光201と同じ方向からホログラム211に対して再生時参照光を照射した場合には、図9(d)におけるホログラム211の下側より観察すると、ホログラム211の上側に3次元画像202が虚像として見える。図9(d)に示したように、参照光201とは反対方向からホログラム211に対して再生時参照光212を照射した場合には、ホログラム211の上側より観察すると、ホログラム211の上側に3次元画像202が実像として見える。
以下、本実施の形態に係るホログラム作成装置の動作について、更に詳細に説明する。まず、本実施の形態に係るホログラム作成装置では、カラーの3次元画像を再生できるホログラムを作成可能としている。そのため、本実施の形態では、記録媒体1のホログラム層52B,52G,52Rに対して、それぞれ、カラーの3次元画像を構成するR,G,B毎の3次元画像に対応するホログラムを作成する。本実施の形態では、特に、R,G,B毎の部分ホログラムの作成を時分割的に行うことで、R,G,B毎のホログラムを作成するようにしている。
そのため、R,G,B毎の光源装置21R,21G,21Bと、空間光変調器24が、図10に示すように制御される。すなわち、図10(d)に示したように、空間光変調器24は、一定の周期で、R画像の部分ホログラムに対応した変調パターン、G画像の部分ホログラムに対応した変調パターン、B画像の部分ホログラムに対応した変調パターンの繰り返しで駆動される。図10(a)に示したように、R光源装置21Rは、空間光変調器24がR画像の部分ホログラムに対応した変調パターンで駆動されるタイミングでR光を出射する。同様に、図10(b)に示したように、G光源装置21Gは、空間光変調器24がG画像の部分ホログラムに対応した変調パターンで駆動されるタイミングでG光を出射し、図10(c)に示したように、B光源装置21Bは、空間光変調器24がB画像の部分ホログラムに対応した変調パターンで駆動されるタイミングでB光を出射する。
本実施の形態では、各光源装置21R,21G,21Bは、S偏光の光を出射するものとする。R光源装置21Rより出射されたR光は、コリメータレンズ22Rによって平行光束とされ、ダイクロイックプリズム23Rで反射されて空間光変調器24に入射する。G光源装置21Gより出射されたG光は、コリメータレンズ22Gによって平行光束とされ、ダイクロイックプリズム23Gで反射され、ダイクロイックプリズム23Rを透過して、空間光変調器24に入射する。B光源装置21Bより出射されたB光は、コリメータレンズ22Bによって平行光束とされ、反射プリズム23Bで反射され、ダイクロイックプリズム23G,23Rを透過して空間光変調器24に入射する。空間光変調器24によって空間的に変調された光は、反射プリズム25で反射されてヘッド10に入射する。なお、空間光変調器24によって空間的に変調された光は、画素毎にS偏光かP偏光かに設定された光になっている。
ここで、図11を参照して、後の説明で使用するA偏光およびB偏光を以下のように定義する。すなわち、A偏光はS偏光を−45°またはP偏光を+45°偏光方向を回転させた直線偏光とし、B偏光はS偏光を+45°またはP偏光を−45°偏光方向を回転させた直線偏光とする。A偏光とB偏光は、互いに偏光方向が直交している。
ヘッド10に入射した光は、ビームスプリッタ37に対して側方より入射し、光量の一部が半反射面37aで反射されて、S偏光ホログラム35に入射する。S偏光ホログラム35に入射する光のうちP偏光の光は、平行光束のままS偏光ホログラム35を通過する。本実施の形態では、この光を記録時参照光とする。この記録時参照光は、2分割旋光板34に入射し、そのうち、旋光板34Lを通過した光は偏光方向が−45°回転されてB偏光となり、旋光板34Rを通過した光は偏光方向が+45°回転されてA偏光となる。この記録時参照光は、対物レンズ32によって集光されて記録媒体1に照射され、収束しながら記録媒体1を通過して、記録媒体1の奥側で最も小径となるように収束する。
一方、S偏光ホログラム35に入射する光のうちS偏光の光は、S偏光ホログラム35によって若干収束される。本実施の形態では、この光を記録時情報光とする。この記録時情報光は、2分割旋光板34に入射し、そのうち、旋光板34Lを通過した光は偏光方向が−45°回転されてA偏光となり、旋光板34Rを通過した光は偏光方向が+45°回転されてB偏光となる。この記録時情報光は、対物レンズ32によって集光されて記録媒体1に照射され、記録媒体1の手前側で一旦最も小径となるように収束した後、発散しながら記録媒体1を通過する。
このように、本実施の形態では、記録時参照光と記録時情報光は、各光の光軸が同一線上に配置されるように、記録媒体1に対して同一面側より照射される。
図12および図13は、記録媒体1の近傍における光の状態を示す説明図である。なお、これらの図において、符号71で示した記号はP偏光を表し、符号72で示した記号はS偏光を表し、符号73で示した記号はA偏光を表し、符号74で示した記号はB偏光を表している。図12に示したように、旋光板34Rを通過した記録時参照光と、旋光板34Lを通過した記録時情報光は、共にA偏光であるため干渉し、その干渉パターンが記録媒体1に記録される。また、図13に示したように、旋光板34Lを通過した記録時参照光と、旋光板34Rを通過した記録時情報光は、共にB偏光であるため干渉し、その干渉パターンが記録媒体1に記録される。このようにして、記録媒体1に部分ホログラムが形成される。
より詳細に説明すると、記録時参照光および記録時情報光がR光であるときには、図5におけるホログラム層52Rに部分ホログラムが形成され、記録時参照光および記録時情報光がG光であるときには、図5におけるホログラム層52Gに部分ホログラムが形成され、記録時参照光および記録時情報光がB光であるときには、図5におけるホログラム層52Bに部分ホログラムが形成される。
なお、記録時参照光は、ガイド部5の下端部で反射され、エンボスピット5aによって変調された戻り光となる。旋光板34Rを通過した記録時参照光に対応するA偏光の戻り光は、旋光板34Rを通過したB偏光の記録時情報光と交差するため、これらは干渉せず、同様に、旋光板34Lを通過した記録時参照光に対応するB偏光の戻り光は、旋光板34Lを通過したA偏光の記録時情報光と交差するため、これらは干渉しない。
一方、記録媒体1は搬送装置20によって搬送されるが、この搬送装置20は、ヘッド10によって1ライン分の部分ホログラムを形成する間は、記録媒体1を停止させている。その間、ヘッド10は、部分ホログラムを形成する範囲の一方の端部から他方の端部まで移動しながら、順次、部分ホログラムを形成していく。そして、1ライン分の部分ホログラムが形成されたら、搬送装置20は、記録媒体1を所定のライン間距離だけ移動させた後、記録媒体1を停止させる。そして、上述の動作と同様にして、次の1ライン分の部分ホログラムを形成する。このような動作を繰り返すことにより、全体的なホログラムが作成される。
また、ヘッド10が移動する間、記録時参照光は、ガイド部5の下端部で反射され、エンボスピット5aによって変調された戻り光となる。この戻り光は、対物レンズ32によって平行光束とされ、2分割旋光板34を通過してS偏光となり、S偏光ホログラム35を通過して若干収束された後、ビームスプリッタ37に入射し、光量の一部が半反射面37aを透過して、凸レンズ38およびシリンドリカルレンズ39を通過して、4分割フォトディテクタ40に入射する。この4分割フォトディテクタ40の出力に基づいて、検出回路61によって、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEおよび再生信号RFが検出される。そして、フォーカスエラー信号FEに基づいて、フォーカスサーボ回路61によって、記録媒体1の厚み方向についての記録時参照光および記録時情報光と記録媒体1との位置関係が常に一定になるようにフォーカスサーボが行われる。また、トラッキングエラー信号TEに基づいて、トラッキングサーボ回路62によって、記録媒体1の搬送方向についての記録時参照光および記録時情報光と記録媒体1との位置関係が常に一定になるようにトラッキングサーボが行われる。また、再生信号RFに基づいて、信号処理回路64によって、基本クロックの再生およびアドレスの判別が行われる。
図14は、R,G,B毎の部分ホログラムの配列の一例を示したものである。この図において、符号R,G,Bを付した円が、それぞれR,G,B毎の部分ホログラムを表している。
搬送装置20によって記録媒体1が搬送されることによって、記録媒体1において部分ホログラムが形成された部分は、紫外線ランプ6の位置に達し、紫外線ランプ6によって紫外線が照射され、更に、ヒートローラ8の位置に達し、ヒートローラ8によって熱が加えられて、ヘッド10によって記録された部分干渉パターン(部分ホログラム)が定着される。全ての部分ホログラムの形成および定着が完了した記録媒体1は、安定化されたホログラムとなり、搬送装置20によって搬送されて排出部より排出される。
次に、図15を参照して、以上のようにして作成されたホログラムより3次元画像を再生する再生装置の一例について説明する。図15に示した再生装置300は、オーバヘッドプロジェクタ(以下、OHPと記す。)のような形態を有するものである。この再生装置300は、立方体形状の本体部301と、この本体部301の背面部より上方に延設されたアーム部302と、このアーム部302の上端部に連結されたミラー部303とを備えている。本体部301の上面部は、ガラス等の透明な部材で形成され、その上面は、ホログラム211が載置される載置面304になっている。本体部301内には、参照光となる光を出射する光源装置311と、この光源装置311から出射される光を集光する等して、平行光等の所定の参照光313を形成し、載置面304に載置されたホログラム211に対して下側から照射するための光学系312とが設けられている。光源装置311は、カラーの3次元画像を再生する再生装置とする場合には、例えば、R,G,Bの各レーザ光を出射するものや白色光を出射するものとし、単色の3次元画像を再生する再生装置とする場合には、例えば、所定の波長のレーザ光を出射するものとする。
参照光313は、載置面304に載置されたホログラム211に対して下側から照射され、これにより、ホログラム211の上方に進行する再生光315が発生する。ミラー部303は、ホログラム211より発生する再生光315を、再生装置300の前方に向けて反射するミラー305を有している。ホログラム211より発生する再生光315は、このミラー305によって反射されて、再生装置300の前方に向かい、実像の3次元画像202を形成する。従って、観察者は、再生装置300の前方から、この3次元画像202を観察することができる。
次に、図16を参照して、本実施の形態に係るホログラム作成装置で作成可能な他の形態のホログラムについて説明する。図16に示したホログラム320は、映画フィルムのような形態を有するものである。すなわち、このホログラム320は、全体が帯状をなし、両側部に多数のパーフォレイション(送り用の孔)321が形成されている。そして、この両側部のパーフォレイション321間に、長手方向に沿って、複数の矩形のホログラム部322が形成されている。各ホログラム部322は、映画フィルムにおける1コマに相当し、それぞれ、一つの3次元画像に対応した3次元干渉パターンが記録されたものになっている。
図16に示したホログラム320は、本実施の形態に係るホログラム作成装置を用いて、以下のようにして作成される。まず、両側部にパーフォレイション321を有し、少なくともホログラム部322が形成される領域にホログラム層を有するフィルム状の記録媒体を用意し、ホログラム作成装置によって、この記録媒体を長手方向に搬送しながら、部分ホログラムを順次形成して、複数の部分ホログラムによって、各ホログラム部322を形成していく。
次に、図17を参照して、図16に示したホログラム320より3次元画像を再生する再生装置の一例について説明する。図17に示した再生装置330は、映写機のような形態を有するものである。この再生装置330は、ホログラム320を長手方向に間欠的に移動させる図示しない駆動装置と、参照光となる光を出射する光源装置331と、この光源装置331から出射される光を集光する等して、平行光等の所定の参照光333を形成し、ホログラム320のホログラム部322に照射するための光学系332と、参照光333が照射されることによってホログラム部322より発生する再生光335を反射する反射型のスクリーン336とを備えている。なお、光源装置331に関しては、図15に示した再生装置300における光源装置311と同様である。
この再生装置330では、駆動装置によって、ホログラム320が間欠的に駆動され、ホログラム320が停止している期間にのみ、参照光333がホログラム部322に照射される。このような間欠的に参照光333を照射するには、光源装置331を間欠的に発光させてもよいし、シャッタを用いてもよい。参照光333が照射されることによってホログラム部322より再生光335が発生し、この再生光335は、スクリーン336によって反射されて、スクリーン336の前方に向かい、実像の3次元画像337を形成する。従って、観察者は、スクリーン336の前方から、この3次元画像337を観察することができる。ホログラム320が駆動されて、他のホログラム部322に参照光333が照射されると、他の3次元画像が再生されることになる。従って、例えば、ホログラム320の各ホログラム部322に、映画のように、動画の各コマに相当する3次元画像に対応したものとしておけば、動きのある3次元画像を再生することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係るホログラム作成装置および方法によれば、ヘッド10によって、記録媒体1の一部に対して、記録時参照光および記録時情報光を照射して、再生用参照光が照射されたときに所望の3次元画像に対応した再生光を発生させるための干渉パターンの一部を記録すると共に、ヘッド10と記録媒体1との相対的な位置関係を変更しながら、干渉パターンの一部を記録する動作を複数回行うことにより、ホログラムを作成するようにしたので、再生する3次元画像の大きさや、ホログラムの大きさによって制約されずに、3次元画像を再生するためのホログラムを簡便に作成することができる。
更に、本実施の形態によれば、再生用参照光が照射されたときに所望の3次元画像に対応した再生光を発生させるための干渉パターンの一部を形成する複数の記録用光束を計算で求め、この記録用光束が得られるような変調パターンを算出し、この変調パターンで変調された記録用光束を生成し、この記録用光束を、常に同一方向から記録媒体1に照射するようにしたので、再生時の参照光によって制約されずに、3次元画像を再生するためのホログラムを簡便に作成することができる。
また、本実施の形態によれば、干渉パターンを一部ずつ記録するようにしたので、種々の形状のホログラムを作成することが可能である。例えば、円筒形や、球形のホログラムを作成する場合には、最終的な形状のホログラムをいくつか断片を組み合わせて作成するものとして、各断片を、本実施の形態に係るホログラム作成装置を用いて作成するようにすればよい。
また、本実施の形態では、3次元的な干渉パターンを記録可能な記録媒体1を用い、この記録媒体1に3次元的な干渉パターンを記録するようにしたので、ブラッグ回折を有効に用いることができ、回折効率や3次元画像表示の表現力を向上させることができる。
また、本実施の形態では、記録媒体1をシート状に形成されたものとし、記録時参照光および記録時情報を、各光の光軸が同一線上に配置されるように、記録媒体1に対して同一面側より照射するようにしたので、一つのヘッド10で、記録時参照光および記録時情報を記録媒体1に照射することができると共に、ヘッド10の光学系をより小さく構成することができる。
また、本実施の形態では、記録時参照光がガイド部5で反射した光を用いて、記録媒体1に対する記録時参照光および記録時情報の位置を制御するようにしたので、ホログラムを精度よく作成することができる。
また、本実施の形態によれば、通常のプリンタによる印刷のように、簡単に、任意の3次元画像情報を記録したホログラムを作成することが可能となる。そのため、ホログラムの複製が容易であり、同じ3次元画像情報が記録されたホログラムを大量に作成することができる。また、遠隔地に本実施の形態に係るホログラム作成装置とホログラムより3次元画像を再生する再生装置があれば、その遠隔地にインターネット等を使って3次元画像情報を送って、ホログラム作成装置によってホログラムを作成し、更に、作成したホログラムより3次元画像を再生することが可能となり、どこでも、同じ品質の3次元画像情報を有するホログラムの作成および同じ品質の3次元画像の再生が可能となる。
また、本実施の形態によれば、3次元画像情報、例えばコンピュータで扱う3次元画像データに基づいて記録用光束を計算で求めるようにしたので、3次元画像データを修正することで、ホログラムの修正を容易に行うことができる。従って、適宜修正を加えながら最終的なホログラムを作成するような場合には、実在する物体からの物体光と参照光とを干渉させてホログラムを作成する方法に比べて、最終的なホログラムを作成するのが容易で、コストを低くすることができる。また、実在しないものや大きなものでも、3次元画像情報に基づいてホログラムを作成することができると共に、映像中に題名等の文字を入れたり、各種映像効果を追加して画像を作り上げることが容易になり、よりインパクトのある広告や雑誌の表紙を作成することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、薄いシート状のホログラムを作成することができるので、従来のOHP用シートのように可搬性に優れ、紙のようにファイルすることもできるホログラムを作成することができる。また、シート状のホログラムを作成すると共に、図15に示したOHPのような形態を有する簡単な再生装置を用いることにより、従来のOHP用シートとOHPを用いるような手軽さで、3次元画像を用いたプレゼンテーションが可能となる。また、本実施の形態によれば、記録媒体の厚みを厚くして、その中に3次元画像が再生されるようなホログラムを作成することも可能となる。
また、本実施の形態では、3次元的な干渉パターンを記録可能な記録媒体1を用い、この記録媒体1に3次元的な干渉パターンを記録するようにしたので、再生時の参照光として入射方向の異なる複数の参照光を想定し、これらの参照光毎に異なる3次元画像による物体光を想定して、記録媒体1に、各参照光と物体光の組み合わせによる複数の3次元的な干渉パターンを多重記録することが可能である。これにより、再生時の参照光の入射方向に応じて異なる3次元画像を再生可能なホログラムを作成することが可能となり、例えば、再生時の参照光として入射方向の異なる複数の平行光を想定してホログラムを作成し、再生時には太陽光を参照光としてホログラムより3次元画像を再生するようにすれば、1日のうちの時間帯に応じて異なる3次元画像を再生可能なホログラムを作成することができる。
また、本実施の形態によれば、図16に示したように映画フィルムのような形態を有するホログラムを作成すると共に、図17に示したような映写機のような形態を有する再生装置を用いることにより、動きのある3次元画像を再生することが可能となる。
なお、本実施の形態では、空間光変調器24を、図1におけるダイクロイックプリズム23Rと反射プリズム25との間に設けたが、空間光変調器24は、ヘッド10内のビームスプリッタ37とS偏光ホログラム35の間や、ビームスプリッタ37の入射面側に配置してもよい。あるいは、R,G,Bに共通の空間光変調器24を設けずに、コリメータレンズ22Rとダイクロイックプリズム23Rの間、コリメータレンズ22Gとダイクロイックプリズム23Gの間、およびコリメータレンズ22Bと反射プリズム23Bの間に、それぞれ、R,G,B各画像専用の空間光変調器を設けてもよい。
次に、本発明の第2の実施の形態に係るホログラム作成装置および方法について説明する。図18は本実施の形態に係るホログラム作成装置の構成を示す斜視図である。この図に示したように、本実施の形態に係るホログラム作成装置では、第1の実施の形態における空間光変調器24は設けられていない。また、第1の実施の形態におけるヘッド10の代わりにヘッド410が設けられている。
図19は本実施の形態におけるヘッドの構成を示す説明図である。本実施の形態におけるヘッド410は、記録媒体1に対向するように配置された対物レンズ32と、この対物レンズ32を記録媒体1の厚み方向および搬送方向に移動可能な図示しないアクチュエータと、対物レンズ32における記録媒体1とは反対側に、対物レンズ32側から順に配設された空間光変調器411、ビームスプリッタ37、凸レンズ418、シリンドリカルレンズ39および4分割フォトディテクタ40を備えている。
ヘッド410は、更に、図18における反射プリズム25側から入射し、ビームスプリッタ37の半反射面37aを透過する光の進行方向に配設されたミラー412と、このミラー412で反射される光の進行方向に、ミラー412側より順に配設された凸レンズ413、凹レンズ414およびシリンドリカルレンズ415とを備えている。シリンドリカルレンズ415より出射される光は、その中心(光軸)が、記録媒体1の面に対して45°の角度をなすように、記録媒体1に対して照射され、記録媒体1内において、対物レンズ32側からの光と交差するようになっている。また、シリンドリカルレンズ415より出射される光は、記録媒体1内で最も薄くなるようになっている。
本実施の形態における空間光変調器411は、格子状に配列された多数の画素を有し、各画素毎に光の透過状態と遮断状態とを選択することによって、光強度によって光を空間的に変調することができるようになっている。この空間光変調器411は、図6におけるコントローラ65によって駆動されるようになっている。
本実施の形態におけるヘッド410では、ヘッド410に入射した光は、ビームスプリッタ37に対して側方より入射し、光量の一部が半反射面37aで反射され、光量の一部が半反射面37aを透過する。半反射面37aで反射された光は、空間光変調器411に入射し、この空間光変調器411によって空間的に変調される。本実施の形態では、この光を記録時情報光とする。この記録時情報光は、対物レンズ32によって集光されて記録媒体1に照射され、収束しながら記録媒体1を通過して、記録媒体1の奥側で最も小径となるように収束する。
また、ビームスプリッタ37に対して側方より入射し、半反射面37aを透過した光は、ミラー412で反射され、凸レンズ413と凹レンズ414を順に通過して、光束の径が縮小され、シリンドリカルレンズ415によって、対物レンズ32の光軸方向のみについて収束されて扁平な形状の光束とされ、記録媒体1に照射される。本実施の形態では、この光を記録時参照光とする。この記録時参照光は、記録媒体1内において、対物レンズ32側からの記録時情報光と交差する。
記録媒体1内には、記録時情報光と記録時参照光との干渉による3次元的な干渉パターンが記録される。本実施の形態では、この干渉パターンを部分干渉パターンとして、部分ホログラムを作成する。この部分ホログラムの形状は、円形の板状となる。そして、第1の実施の形態と同様に、ヘッド410を移動させながら、部分ホログラムを、順次、形成していく。
図20は、このようにして記録媒体1内に形成される部分ホログラム420の状態を表したものである。この図に示したように、本実施の形態では、記録媒体1内に、層状の複数の部分ホログラム420が積層されるように形成される。
なお、本実施の形態において、コントローラ65による記録時参照光と記録時情報光の計算は、層状の部分ホログラム内の部分干渉パターンを想定して行う。
また、本実施の形態では、記録時情報光は、ガイド部5の下端部で反射され、エンボスピット5aによって変調された戻り光となる。この戻り光は、対物レンズ32によって平行光束とされ、空間光変調器411を通過した後、ビームスプリッタ37に入射し、光量の一部が半反射面37aを透過して、凸レンズ418およびシリンドリカルレンズ39を通過して、4分割フォトディテクタ40に入射する。この4分割フォトディテクタ40の出力に基づいて、検出回路61によって、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEおよび再生信号RFが検出される。
本実施の形態におけるその他の構成、動作および効果は、第1の実施の形態と同様である。
次に、本発明の第3の実施の形態に係るホログラム作成装置および方法について説明する。図21は本実施の形態に係るホログラム作成装置の側面図である。このホログラム作成装置では、第1の実施の形態におけるヘッド10の代わりに上側ヘッド部10Aが設けられている。
ホログラム作成装置は、更に、ガイド部5の下側に配置された下側ヘッド部10Bと、下側ヘッド部10Bの上方において、搬送ローラ2a,2b;3a,3bの軸方向に平行に配置された2本のガイドシャフト511と、このガイドシャフト511によってガイドされて、ガイドシャフト511に沿って移動可能な可動部512とを備えている。下側ヘッド部10Bは、可動部512の上端面に接合され、可動部512と共に移動するようになっている。
ホログラム作成装置は、更に、可動部512を、ガイドシャフト511に沿って移動させるためのVCM513を備えている。このVCM513は、VCM13と同様に構成されている。すなわち、VCM513は、ガイドシャフト511の下方において、ガイドシャフト511に対して平行に配置されたVCMヨーク514と、このVCMヨーク514の下方においてVCMヨーク514に対して平行に所定の間隔を開けて配置され、且つ端部においてVCMヨーク514と連結されたVCMヨーク515と、このVCMヨーク515の上面に固定された板状のVCM用マグネット516と、VCMヨーク514の周囲においてVCMヨーク514の外周面に対して所定の間隔を開けて配置されたボイスコイル517とを有している。ボイスコイル517は、可動部512の下端面に接合されている。このような構成のVCM513によって、下側ヘッド部10Bが、ガイドシャフト511と平行に移動されるようになっている。
本実施の形態では、上側ヘッド部10Aおよび下側ヘッド部10Bが、本発明におけるヘッドに対応し、VCM13およびVCM513が、本発明における位置変更手段を構成する。
ホログラム作成装置は、更に、図1における反射プリズム25からの光が入射され、光量の一部を透過させて上側ヘッド部10Aに入射させると共に、光量の一部を下側に向けて反射するビームスプリッタ501と、このビームスプリッタ501で反射された光を反射して下側ヘッド部10Bに入射させる反射プリズム502とを備えている。
図22は、上側ヘッド部10Aおよび下側ヘッド部10Bの構成を示す説明図である。上側ヘッド部10Aは、図19に示したヘッド410より、ミラー412、凸レンズ413、凹レンズ414およびシリンドリカルレンズ415を除いた構成になっている。下側ヘッド部10Bは、図21における反射プリズム502側からの光を、上方に45°屈曲させて出射するプリズム521と、このプリズム521から出射される光の進行方向に、プリズム521側より順に配設された凸レンズ523、凹レンズ524およびシリンドリカルレンズ525とを備えている。シリンドリカルレンズ525より出射される光は、その中心(光軸)が、記録媒体1の面に対して45°の角度をなすように、記録媒体1に対して下側より照射され、記録媒体1内において、対物レンズ32側からの光と交差するようになっている。また、シリンドリカルレンズ525より出射される光は、記録媒体1内で最も薄くなるようになっている。
本実施の形態では、対物レンズ32側からの光とシリンドリカルレンズ525側からの光の相対的な位置関係が一定となるように、図6におけるコントローラ65によって、VCM13とVCM513とが連動されるようになっている。
本実施の形態では、上側ヘッド部10Aに入射した光は、ビームスプリッタ37に対して側方より入射し、光量の一部が半反射面37aで反射される。半反射面37aで反射された光は、空間光変調器411に入射し、この空間光変調器411によって空間的に変調される。本実施の形態では、この光を記録時情報光とする。この記録時情報光は、対物レンズ32によって集光されて記録媒体1に照射され、収束しながら記録媒体1を通過して、記録媒体1の奥側で最も小径となるように収束する。
一方、下側ヘッド部10Bに入射した光は、プリズム521で屈曲され、凸レンズ523と凹レンズ524を順に通過して、光束の径が縮小され、シリンドリカルレンズ525によって、対物レンズ32の光軸方向のみについて収束されて扁平な形状の光束とされ、記録媒体1に照射される。本実施の形態では、この光を記録時参照光とする。この記録時参照光は、記録媒体1内において、対物レンズ32側からの記録時情報光と交差する。
記録媒体1内には、記録時情報光と記録時参照光との干渉による3次元的な部分干渉パターンが記録され、部分ホログラムが作成される。この部分ホログラムの形状は、第2の実施の形態と同様に、円形の板状となる。ただし、本実施の形態では、この部分ホログラムは、反射型(リップマン型)のホログラムとなる。そして、上側ヘッド部10Aおよび下側ヘッド部10Bを移動させながら、部分ホログラムを、順次、形成していくことにより、全体的なホログラムが作成される。このホログラムは、反射型のホログラムとなる。
このように、本実施の形態によれば、反射型のホログラムを作成することができる。この反射型のホログラムでは、再生時には、参照光をホログラムに照射すると、参照光を照射した面と同じ面側に再生光が発生し、観察者は、この再生光により再生される3次元画像を観察することができる。
本実施の形態におけるその他の構成、動作および効果は、第2の実施の形態と同様である。
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されず、例えば、各実施の形態では、フォーカスサーボとトラッキングサーボを行うようにしたが、ヘッドの移動の際の振れが小さい場合等には、フォーカスサーボのみを行うようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、再生用参照光と記録時参照光とが異なる光となる場合について説明したが、特殊な場合として、再生用参照光と記録時参照光とが同様の光となるようにしてもよい。この場合には、記録時情報光として、表示しようとする3次元画像に対応させて想定した物体光をそのまま用いることができ、記録時参照光および記録時情報光の計算が簡単になる。