JP4233719B2 - 位相調整方法、音声再生装置及び記録媒体 - Google Patents

位相調整方法、音声再生装置及び記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は位相調整方法、音声再生装置及び記録媒体に係り、特に、複数のスピーカユニットから発せられる音声の位相の偏差を小さくするための位相調整方法、該位相調整方法が適用された音声再生装置、該音声再生装置としての機能を備えたコンピュータによって前記位相調整方法を実現するためのプログラムが記録された記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、DVD(Digital Versatile Disk/Digital Video Disk)に記録されている映像データや音声データを読み出して再生する機能(以下、単にDVD機能という)備えたコンピュータが出回ってきている。DVDの音声トラックに記録されている音声データは、臨場感のある音響効果(サラウンド効果)が生ずるように信号処理が施された5チャンネル分の音声データが、AC−3と称される符号化方式によってエンコードされることで圧縮されたデータであり、音声再生時にサラウンド効果を実現するためには、特開平4−318799号公報や特開平3−18200号公報にも記載されているように、4〜5個、又はそれ以上の数のスピーカを聴取位置の周囲に配置し、各スピーカで各々音声を再生させる必要がある。
【0003】
コンピュータ利用の高度化及び多様化に伴い、音声データを実音声としてスピーカによって再生する等のオーディオ機能は、コンピュータ(特にパーソナルコンピュータ)にとって必要不可欠な機能となってきており、DVD機能を備えたコンピュータでは、DVDの再生時にサラウンド効果を実現するために、DVDの音声トラックから読み出された音声データをデコードすることで得られる複数チャンネルの音声データを、複数個(例えば4個)のスピーカによって高音質の音声として再生できる、より高機能なオーディオ機能が搭載されるようになってきている。
【0004】
これに対し、通常のコンピュータはステレオ音声を再生可能なようにスピーカユニットが2個付属している構成で販売されることが一般的であるので、DVD機能を備えたコンピュータを所持し、DVDの再生に際してサラウンド効果を期待するユーザは、少なくとも2個のスピーカユニット(例えば聴取位置の後側に配置するためのスピーカユニット)を追加購入してコンピュータに接続し、コンピュータに付属していたスピーカユニットと併用することで、DVD再生時のサラウンド効果を実現していた。
【0005】
なお、スピーカユニットを追加購入してコンピュータに接続することは、DVD再生時のサラウンド効果の実現を所望している場合に限られるものではない。例えば現在市場に多数出回っているゲームソフト等のアプリケーションの中には4チャンネルの音声データを出力するものがあり、このようなアプリケーションの実行に際し、より迫力のある音声再生を実現したい等の場合にも、追加購入したスピーカユニットがコンピュータに接続されることがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コンピュータに接続可能なスピーカユニットとして市販されているものの中には、スピーカユニットに入力された音声信号に対して位相が180°異なる音声(逆位相の音声)を発する構成のスピーカユニット(JISの規格に準拠していないスピーカユニット)も含まれている。スピーカユニットに入力される音声信号とスピーカユニットが発する音声の位相の関係は、例として図9にも示すように、スピーカユニットに内蔵されている増幅器が非反転増幅器か反転増幅器か等の種々の要因によって変化するため、入力された音声信号に対して逆位相の音声を発するスピーカユニットは市場に多数出回っている。
【0007】
従って、ユーザが追加購入したスピーカユニットが上記のように逆位相の音声を発する構成のスピーカユニットであることも頻繁に生じ得るが、この場合、例えば聴取位置の前側に配置したスピーカユニットから発せられる音声と、聴取位置の後側に配置したスピーカユニットから発せられる音声の位相が逆となることで互いに打ち消し合うので、再生音声の音質の著しい低下を招く、という問題があった。
【0008】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、音声の再生に用いるスピーカユニットの構成に拘わらず、再生音声の音質の著しい低下を回避することができる位相調整方法、音声再生装置及び記録媒体を得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る位相調整方法は、複数のスピーカユニット(2個でもよいし、4個以上でもよい)が、音声を再生するための互いに異なる位置に各々配置されている状態で、単一のスピーカユニットに所定の基準音声信号を入力し、単一のスピーカユニットから発せられた音声を所定の聴取位置(例えば聴取時に聴取者が位置する位置)に配置された音声検出手段によって検出し、前記音声に応じて音声検出手段から出力される音声信号と、前記所定の基準音声信号の位相差を検出することを、前記複数のスピーカユニットについて各々行う。
【0010】
なお、複数のスピーカユニットの配置位置は、例えばスピーカユニットの数が2個であれば、例えば聴取位置の前方右側及び前方左側の2箇所でかつ聴取位置からの距離が略等しい位置とすることができ、例えばスピーカユニットの数が4個であれば、例えば上記2箇所に後方右側と後方左側を加えた4箇所でかつ聴取位置からの距離が略等しい位置とすることができ、例えばスピーカユニットの数が5個であれば、例えば上記4箇所に前方中央を加えた4箇所でかつ聴取位置からの距離が略等しい位置とすることができる。
【0011】
上記の位相差の検出により、スピーカユニットに入力される音声信号と、スピーカユニットから発せられて聴取位置で聴取される音声との位相差を、複数のスピーカユニットの各々について検出することができ、例えば複数のスピーカユニットの中に、入力された音声信号に対して逆位相の音声を発する構成のスピーカユニットが混在していた場合にも、該スピーカユニットについての位相差の検出値が他のスピーカユニットと大きく相違することで、上記構成のスピーカユニットが混在していることを検知することができる。
【0012】
そして本発明に係る位相調整方法は、複数のスピーカユニットについて各々検出した位相差の偏差が小さくなるように、音声再生時に各スピーカユニットに入力される音声信号の位相を相対的に変更する。音声信号の位相を相対的に変更することは、例えば音声再生時に特定のスピーカユニットに入力される音声信号の位相を反転したり、或いは位相を所定量(例えば位相差の偏差に相当する量)変化させることで実現できる。
【0013】
これにより、複数のスピーカユニットの中に、入力された音声信号に対して逆位相の音声を発する構成のスピーカユニットが混在している場合にも、音声再生時に複数のスピーカユニットから各々発せられた音声が、聴取位置で互いに打ち消し合う位相となることを防止することができるので、音声の再生に用いるスピーカユニットの構成に拘わらず、再生音声の音質の著しい低下を回避することができる。
【0014】
また、本発明に係る音声再生装置は、複数のスピーカユニットに各々入力するための複数チャンネルの音声信号を生成する音声信号生成手段を備えている。なお、本発明に係る音声再生装置は、複数のスピーカユニットによって音声を再生する機能を備えた装置であればよく、後述するようにコンピュータであってもよいし、オーディオ機器であってもよい。本発明に係る音声再生装置がコンピュータである場合、本発明に係る複数のスピーカユニットの一部又は全部を、コンピュータの音声信号出力端子に接続された外部スピーカユニットで構成することができる。
【0015】
また、上記の音声信号生成手段としては、例えばDVDの音声トラックに記録されているデータを読み取り、読み取ったデータをデコードすることで複数チャンネルの音声信号を生成する構成を採用することができる。なお、CD等のようにデジタルの音声データが記録されたDVD以外の他の媒体から音声データを読み取ったり、通信回線を介して他の情報処理装置から音声データを受信することで音声データを取得し、取得した音声データを音声信号に変換することで複数チャンネルの音声信号を生成する構成や、オーディオテープ等のようにアナログの音声信号が記録された媒体から音声信号を読み取ることで複数チャンネルの音声信号を生成する構成を採用することも可能である。
【0016】
そして本発明に係る音声再生装置は、複数のスピーカユニットのうちの単一のスピーカユニットに所定の基準音声信号を入力し、前記単一のスピーカユニットから発せられた音声が所定の聴取位置に配置された音声検出手段によって検出されることで音声検出手段から出力される音声信号と、所定の基準音声信号の位相差を検出することを、複数のスピーカユニットについて各々行う位相差検出手段を備え、位相調整手段は、複数のスピーカユニットについて各々検出した位相差の偏差が小さくなるように、音声信号生成手段から各スピーカユニットに入力される音声信号の位相を相対的に変更するので、本発明に係る位相調整方法と同様に、音声の再生に用いるスピーカユニットの構成に拘わらず、再生音声の音質の著しい低下を回避することができる。
【0017】
なお、位相調整手段としては、例えば各スピーカユニットに入力される音声信号のうちの一部の音声信号の位相を反転することで、音声信号の位相を相対的に変更する構成を採用することができる。本発明に係る音声信号生成手段が、例えばデジタルの音声データをアナログの音声信号に変換してスピーカユニットに入力することで音声を再生する構成である場合、上記のように音声信号の位相を反転することは音声データの正負の符号を反転することによって極めて容易に実現できる。また、音声信号生成手段が、音声データからの変換等を行うことなく、音声信号を直接生成する構成である場合にも、音声信号の位相を反転することは反転増幅器等を用いることで極めて容易に実現できる。従って、位相調整手段として、音声信号の位相を反転することで音声信号の位相を相対的に変更する構成を採用することにより、位相調整手段の構成(位相差の偏差を小さくするための構成)を簡単にすることができる。
【0018】
また、本発明において、音声信号の位相を相対的に変更する際には、入力される音声信号の位相を変更するスピーカユニットを、複数のスピーカユニットの中から任意に選択可能であるが、例えば複数のスピーカユニットが、聴取位置の前方に配置される2個以上のスピーカユニットと、聴取位置の後方に配置されるサラウンド機能を実現するための2個のスピーカユニットと、から成る場合、例えば位相調整手段は、聴取位置の後方に配置されるスピーカユニットについて検出した位相差と、聴取位置の前方に配置されるスピーカユニットについて検出した位相差と、の偏差が小さくなるように、聴取位置の後方に配置されるスピーカユニット及び聴取位置の前方に配置されるスピーカユニットの何れか一方に入力される音声信号の位相を変更するように構成することができる。
【0019】
本発明に係る音声再生装置がコンピュータである等の場合、スピーカユニットが追加購入される等の理由により、上記のように聴取位置の前方に配置されるスピーカユニットと、聴取位置の後方に配置されるスピーカユニットとで、メーカや構成が相違していることが多く、聴取位置の前方に配置されるスピーカユニットが発する音声と、聴取位置の後方に配置されるスピーカユニットが発する音声とが逆相の関係となることが多い。
【0020】
これに対し、上記のように聴取位置の後方に配置されるスピーカユニット及び聴取位置の前方に配置されるスピーカユニットの何れか一方に入力される音声信号の位相を変更するように位相調整手段を構成すれば、簡易な構成の位相調整手段により、聴取位置の前方に配置されるスピーカユニットが発する音声と、聴取位置の後方に配置されるスピーカユニットが発する音声と、が逆相の関係となっていることによる再生音声の音質の著しい低下を回避することができる。
【0021】
本発明に係る記録媒体には、複数のスピーカユニットのうちの単一のスピーカユニットに所定の基準音声信号を入力し、所定の聴取位置に配置された音声検出手段が前記単一のスピーカユニットから発せられた音声を検出することで得られる音声信号と、所定の基準音声信号の位相差を検出することを、複数のスピーカユニットについて各々行う第1のステップ、複数のスピーカユニットについて各々検出した位相差の偏差が小さくなるように、各スピーカユニットに入力される音声信号の位相を相対的に変更する第2のステップを含む処理、すなわち本発明に係る位相調整方法をコンピュータによって実現するためのプログラムが記録されているので、コンピュータが前記記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することにより、本発明に係る位相調整方法と同様に、音声の再生に用いるスピーカユニットの構成に拘わらず、再生音声の音質の著しい低下を回避することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には、本発明を実現するのに適した典型的なパーソナル・コンピュータ(PC)から成るコンピュータ・システム10のハードウェア構成がサブシステム毎に模式的に示されている。本発明を実現するPCの一例は、OADG(PC Open Architecture Developer's Group)仕様に準拠し、オペレーティング・システム(OS)として米マイクロソフト社の”Windows98又はNT”又は米IBM社の”OS/2”を搭載したデスクトップ型のPC12(図2参照)である。以下、コンピュータ・システム10の各部について説明する。
【0023】
コンピュータ・システム10全体の頭脳であるCPU14は、OSの制御下で各種プログラムを実行する。CPU14は、例えば米インテル社製のCPUチップ”Pentium”、”MMXテクノロジPentium”、”Pentium Pro”や、AMD社等の他社製のCPUでも良いし、IBM社製の”PowerPC”でも良い。CPU14は、頻繁にアクセスするごく限られたコードやデータを一時格納することで、メイン・メモリ16への総アクセス時間を短縮するための高速動作メモリであるL2(レベル2)−キャッシュを含んで構成されている。L2−キャッシュは、一般にSRAM(スタティックRAM)チップで構成され、その記憶容量は例えば512kB又はそれ以上である。
【0024】
CPU14は、自身の外部ピンに直結されたプロセッサ直結バスとしてのFSB18、高速のI/O装置用バスとしてのPCI(Peripheral Component Interconnect)バス20、及び低速のI/O装置用バスとしてのISA(Industry Standard Architecture)バス等から成るI/Oバス22という3階層のバスを介して、後述の各ハードウェア構成要素と相互接続されている。
【0025】
FSB18とPCIバス20は、一般にメモリ/PCI制御チップ24と呼ばれるブリッジ回路(ホスト−PCIブリッジ)によって連絡されている。本実施形態のメモリ/PCI制御チップ24は、メイン・メモリ16へのアクセス動作を制御するためのメモリ・コントローラ機能や、FSB18とPCIバス20の間のデータ転送速度の差を吸収するためのデータ・バッファ等を含んだ構成となっており、例えばインテル社製の440EXや440GX等を用いることができる。
【0026】
メイン・メモリ16は、CPU14の実行プログラムの読み込み領域として、或いは実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メイン・メモリ16は、一般には複数個のDRAM(ダイナミックRAM)チップで構成され、例えば32MBを標準装備し256MBまで増設可能である。近年では、更に高速化の要求に応えるべく、DRAMは高速ページDRAM、EDO DRAM、シンクロナスDRAM(SDRAM)、バーストEDO DRAM、RDRAM等へと変遷している。
【0027】
なお、ここでいう実行プログラムには、Windows98等のOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイス・ドライバ、特定業務に向けられたアプリケーション・プログラムや、フラッシュROM56(詳細は後述)に格納されたBIOS(Basic Input/Output System:キーボード60(図2参照)やフロッピーディスク・ドライブ等の各ハードウェアの入出力操作を制御するためのプログラム)等のファームウェアが含まれる。
【0028】
PCIバス20は、比較的高速なデータ伝送が可能なタイプのバス(例えばバス幅32/64ビット、最大動作周波数33/66/100MHZ、最大データ転送速度132/264MBps)であり、カードバス・コントローラ30のような比較的高速で駆動するPCIデバイス類がこれに接続される。なお、PCIアーキテクチャは、米インテル社の提唱に端を発したものであり、いわゆるPnP(プラグ・アンド・プレイ)機能を実現している。
【0029】
ビデオ・サブシステム26は、ビデオに関連する機能を実現するためのサブシステムであり、CPU14からの描画命令を実際に処理し、処理した描画情報をビデオメモリ(VRAM)に一旦書き込むと共に、VRAMから描画情報を読み出して液晶ディスプレイ(LCD)28(図2参照)に描画データとして出力するビデオ・コントローラを含む。また、ビデオ・コントローラは、付設されたデジタル−アナログ変換器(DAC)によってデジタルのビデオ信号をアナログのビデオ信号へ変換することができる。アナログのビデオ信号は、信号線を介してCRTポート(図示省略)へ出力される。
【0030】
また、PCIバス20にはカードバス・コントローラ30、モデム・サブシステム32及びオーディオ・コントローラ34が各々接続されている。カードバス・コントローラ30は、PCIバス20のバス・シグナルをPCIカードバス・スロット36のインタフェース・コネクタ(カードバス)に直結させるための専用コントローラである。カードバス・スロット36には、例えばPC12本体の壁面に配設され、PCMCIA(Personal Computer Memory Association)/JEIDA(Japan Electronic Industry Development Association)が策定した仕様(例えば”PC Card standard 95”)に準拠したPCカード(図示せず)が装填される。
【0031】
また、モデム・サブシステム32にはLANや電話回線等の通信回線が接続される。コンピュータ・システム10はこれらの通信回線を介してインターネットに接続可能とされている。
【0032】
また、オーディオ・コントローラ34にはオーディオ・ハードウェア回路62(以下、オーディオH/W62という)が接続されており、オーディオH/W62には、PC12の本体背面等に設けられたオーディオ信号入出力用の各種端子(詳しくはライン出力端子A、ライン出力端子B、ライン入力端子、マイク入力端子)が各々接続されている。本実施形態に係るPC12には、図2に示すようにLCD28の左右(DVD再生時のユーザの位置(以下、聴取位置という)の前方左側及び右側)に配置するための一対のスピーカユニット(増幅器を内蔵したフロントスピーカユニット64L,64R)が付属しており、このフロントスピーカユニット64L,64Rはライン出力端子Aに接続される。
【0033】
また、ユーザがDVDの再生時のサラウンド効果を期待して、図2に示すように聴取位置の後方左側及び右側に配置するための一対のスピーカユニット(増幅器を内蔵したリアスピーカユニット66L,66R)を追加購入した場合、このリアスピーカユニット66L,66Rはライン出力端子Bに接続される。オーディオH/W62はD/A変換器及び増幅器(何れも図示省略)を内蔵しており、オーディオ・コントローラ34から音声データが入力されると、入力された音声データをアナログの音声信号に変換して増幅し、ライン出力端子に接続されているスピーカユニットへ出力する。
【0034】
また、マイク入力端子にはマイクロフォン68が接続され、ライン入力端子にはアナログの音声信号を出力する各種機器が接続される。オーディオH/W62はA/D変換器及び増幅器(何れも図示省略)を内蔵しており、マイク入力端子又はライン入力端子からアナログの音声信号が入力されると、入力された音声信号を一定レベルまで増幅してデジタルの音声データに変換し、オーディオ・コントローラ34へ出力する。オーディオ・コントローラ34はアナログの音声信号のミキシング等の機能をサポートしている。
【0035】
PCIバス20とI/Oバス22は多機能PCIデバイス38によって相互に接続されている。多機能PCIデバイス38は、PCIバス20とI/Oバス22とのブリッジ機能、DMAコントローラ機能、プログラマブル割り込みコントローラ(PIC)機能、及びプログラマブル・インターバル・タイマ(PIT)機能、IDE(Integrated Drive Electronics)インタフェース機能、USB(Universal Serial Bus)機能、SMB(System Management Bus)インタフェース機能を備えており、例えばインテル社製のPIIX4というデバイスを用いることができる。
【0036】
なお、DMAコントローラ機能は、周辺機器(たとえばFDD)とメイン・メモリ16との間のデータ転送をCPU14の介在なしに実行するための機能である。またPIC機能は、周辺機器からの割り込み要求(IRQ)に応答して所定のプログラム(割り込みハンドラ)を実行させる機能である。また、PIT機能はタイマ信号を所定周期で発生させる機能であり、その発生周期はプログラマブルである。
【0037】
また、IDEインタフェース機能によって実現されるIDEインタフェースには、IDEハードディスク・ドライブ(HDD)40が接続される他、本実施形態ではDVD(Digital Video Disc又はDigital Versatile Disc)ドライブ42がATAPI(AT Attachment Packet Interface)接続されている。また、DVDドライブ42の代わりに、IDE CD−ROMドライブのような他のタイプのIDE装置を接続することも可能である。HDD40やDVDドライブ42等の外部記憶装置は、例えばPC12本体内の「メディア・ベイ」又は「デバイス・ベイ」と呼ばれる収納場所に格納される。これら標準装備された外部記憶装置は、FDDやバッテリ・パックのような他の機器類と交換可能かつ排他的に取り付けられる場合もある。
【0038】
また、多機能PCIデバイス38にはUSBポートが設けられており、このUSBポートは、例えばPC12本体の壁面等に設けられたUSBコネクタ44と接続されている。USBは、電源投入のまま新しい周辺機器(USBデバイス)を抜き差しする機能(ホット・プラギング機能)や、新たに接続された周辺機器を自動認識しシステム・コンフィギュレーションを再設定する機能(プラグ・アンド・プレイ)機能)をサポートしている。1つのUSBポートに対して、最大63個のUSBデバイスをディジーチェーン接続することができる。USBデバイスの例は、キーボード、マウス、ジョイスティック、スキャナ、プリンタ、モデム、ディスプレイモニタ、タブレットなど様々である。
【0039】
更に、多機能PCIデバイス38にはSMバスを介してEEPROM50が接続されている。EEPROM50はユーザによって登録されたパスワードやスーパーバイザー・パスワード、製品シリアル番号等の情報を保持するためのメモリであり、不揮発性で記憶内容を電気的に書き替え可能とされている。
【0040】
I/Oバス22は、PCIバス20よりもデータ転送速度が低いバスであり(例えばバス幅16ビット、最大データ転送速度4MBps)、Super I/Oコントローラ46、電源コントローラ48、EEPROM等から成るフラッシュROM56、CMOS58に加え、リアルタイム・クロック(RTC)や、キーボード/マウス・コントローラのような比較的低速で動作する周辺機器類(何れも図示省略)を接続するのに用いられる。
【0041】
Super I/Oコントローラ46にはI/Oポート52が接続されており、フロッピーディスク・ドライブ(FDD)の駆動、パラレル・ポートを介したパラレル・データの入出力(PIO)、シリアル・ポートを介したシリアル・データの入出力(SIO)を制御するための周辺コントローラである。
【0042】
電源コントローラ48は主にコンピュータ・システム10のパワー・マネージメントやサーマル・マネージメントを行うものであり、MPU,RAM,ROM及びタイマ等を備えたシングルチップ・マイコンで構成することができる。ROMにはパワー・マネージメントやサーマル・マネージメントを実行するのに必要なプログラム及び参照テーブルが格納されている。電源コントローラ48にはパワー・サプライ・コントローラ54が接続されている。パワー・サプライ・コントローラ54には、AC/DCコンバータ、コンピュータ・システム10で使用される5V,3.3V等の直流定電圧を生成するためのDC/DCコンバータが含まれ、電源コントローラ48の下で電力制御を行う。
【0043】
フラッシュROM56は、BIOSやブート・ストラップ・コード等のファームウェアのプログラムを保持するためのメモリであり、不揮発性で記憶内容を電気的に書き替え可能とされている。また、CMOS58は揮発性の半導体メモリがバックアップ電源に接続されて構成されており、不揮発性でかつ高速の記憶手段として機能する。
【0044】
なお、コンピュータ・システム10を構成するためには、図1に示した以外にも多くの電気回路が必要である。但し、これらは当業者には周知であり、また、本発明の要旨を構成するものではないので、本明細書中では説明を省略する。また、図面の錯綜を回避するため、図中の各ハードウェアブロック間の接続も一部しか図示していないことを付記しておく。
【0045】
次に本実施形態の作用を説明する。本実施形態では、本発明に係る位相調整方法を実現するための位相調整プログラム及び位相反転プログラムが、DVD(に記録されている映像データや音声データ)を再生する際に実行されるDVD再生プログラム群に含まれている。DVD再生プログラム群は、その他のアプリケーションプログラムと共に、当初は、フロッピーディスクやCD−ROM等の情報記憶媒体(本発明に係る記録媒体に相当)に記憶されている。
【0046】
前記情報記憶媒体が対応するドライブ(フロッピーディスク・ドライブやCD−ROMドライブ)に装填されている状態で、情報記憶媒体からのインストールが指示されると、情報記憶媒体が装填されているドライブによって情報記憶媒体からDVD再生プログラム群等が読み出され、HDD40に記憶される。
【0047】
そして、映像データや音声データが記録されたDVDがDVDドライブ42に装填され、DVDの再生が指示されると、HDD40からDVD再生プログラム群が読み出され、該プログラム群がCPU14によって実行される。これにより、PC12が本発明に係る音声再生装置として機能する。このように、DVD再生プログラム群等を記憶している情報記憶媒体は本発明に係る記録媒体に対応している。
【0048】
続いてDVDの再生について説明する。図3に示すように、DVD再生プログラムはDVDプレーヤ80、AC3サウンド・デコーダ82、及び位相反転部84の各モジュールから構成されており、これらのモジュールに対応するプログラムをCPU14が実行することでDVDの再生が行われる。なお、前述の位相調整プログラムはDVDプレーヤ80に含まれ、位相反転部84は前述の位相反転プログラムによって実現される。
【0049】
DVDプレーヤ80はDVD再生時にユーザ・インタフェースやDVDドライブ42の制御を司るモジュールであり、例えばDVDドライブ42にDVDが装填され、装填されたDVDが映像データや音声データが記録されたDVDであることが検知されると、例として図4(A)に示すように、ユーザがDVDの再生を指示するためのウインドウをLCD28に表示する。
【0050】
そして、LCD28に表示している前記ウインドウ内の再生ボタンがユーザによってクリックされる等によってDVDの再生が指示されると、OS及びDVDデバイスドライバを介してDVDドライブ42に対し、DVDに記録されている映像データ及び音声データの読み取りを指示し、DVDドライブ42によってDVDの映像トラックから読み出された映像データをビデオサブシステム26へ転送する(これにより、LCD28に映像が表示される)と共に、DVDの音声トラックから読み出された音声データを、OS(API)を介してAC3サウンド・デコーダ82へ転送する。
【0051】
DVDの音声トラックに記録されている音声データは、臨場感のある音響効果(サラウンド効果)が生ずるように信号処理が施された5チャンネル分の音声データが、AC−3と称される符号化方式によってエンコードされることで圧縮されたデータであり、AC3サウンド・デコーダ82は、DVDプレーヤ80から転送された音声データをデコードし、5チャンネル分の音声データを生成する。
【0052】
サラウンド効果を実現するための標準的なスピーカ配置は、前左方(FL)、前中央(FC)、前右方(FR)、後左方(RL)、後右方(RR)に各々スピーカが設置され、更にサブウーハが設けられた配置であり、上記のようなスピーカ配置が実装されているのであれば、生成した5チャンネル分の音声データから更にサブウーハ用の音声データを生成することで、それぞれのスピーカが発するべき音声を表す音声データ(5.1チャンネル分の音声データ)を得ることができる。
【0053】
これに対してPC12は、2チャンネルのスピーカ(フロントスピーカユニット64L,64R)のみが付属している状態で市販され、場合によって更に2チャンネルのスピーカ(リアスピーカユニット66L,66R)が追加(この場合のチャンネル数は4)される構成であるので、スピーカの数(チャンネル数)は、標準的なスピーカ配置と比較して少なくかつ一定していない。このため、例として図4(B)に示すように、DVD再生時に使用するチャンネル数はユーザが設定可能とされており、ユーザによって設定されたチャンネル数は、DVDプレーヤ80からOS(API)を介してAC3サウンド・デコーダ82へ通知される。
【0054】
AC3サウンド・デコーダ82は、通知されたチャンネル数が「4」である場合には、生成した5チャンネル分の音声データのうち、FCチャンネルの音声データをFLチャンネルとFRチャンネルに振り分けることによって4チャンネル(FL,FR,RL,RR)の音声データを生成・出力する。また、通知されたチャンネル数が「2」である場合には、上記のようにして4チャンネルの音声データを生成した後に、RLチャンネルの音声データをFLチャンネルに合成すると共に、RRチャンネルの音声データをFRチャンネルの音声データに合成することによって2チャンネル(FL,FR)の音声データを生成・出力する。
【0055】
AC3サウンド・デコーダ82から出力された音声データは、OS(API)及びオーディオ・デバイス・ドライバ86を介してオーディオH/W62へ転送される。なお、図3では、後チャンネル(RL,RRチャンネル)の音声データが、AC3サウンド・デコーダ82から位相反転部84を経由して出力される場合が示されているが、通常はAC3サウンド・デコーダ82から位相反転部84をバイパスして出力される(位相反転部84を経由する場合については後述)。オーディオH/W62は入力された複数チャンネル分の音声データをアナログの音声信号に各々変換し(D/A変換)、対応するスピーカユニットへ各々出力する。
【0056】
これにより、DVDの音声トラックに記録されている音声データが、サラウンド効果が実現された実音声として再生され、聴取位置に位置しているユーザ(聴取者)により、サラウンド効果が実現された音声が聴取されることになる。
【0057】
このように、DVDプレーヤ80、AC3サウンド・デコーダ82及びオーディオH/W62は、本発明に係る音声信号生成手段としての機能を備えている。
【0058】
次に、DVDプレーヤ80の位相調整プログラムがCPU14によって実行されることによって実現される位相調整処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。なお、この位相調整処理は、例えばリアスピーカユニット66L,66Rが追加されることで4個のスピーカユニットが揃った場合や、スピーカユニットの一部又は全てを交換した場合に実行することが推奨されている処理であり、例として図4(C)に示すように、位相調整の実行をユーザが指示することによって実行される。
【0059】
ステップ150では、フロントスピーカユニット64L,64R及びリアスピーカユニット66L,66Rが音声聴取時の望ましい位置(例えば聴取位置から各スピーカユニット迄の距離が略等しい位置)に配置されているか否かを確認すると共に、音声聴取時のユーザの聴取位置にマイクロフォン68を設置し、該マイクロフォン68をPC12のマイク入力端子に接続することを要請するメッセージをLCD28に表示し、上記の各スピーカユニットの配置位置の確認、マイクロフォン68の設置及び接続の各作業をユーザに行わせる。
【0060】
次のステップ152では、上記の作業が完了したか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。ユーザがキーボード60又はマウスを操作することで上記の作業が完了したことを表す情報が入力されると、ステップ152の判定が肯定されてステップ154へ移行し、予め記憶されている基準音声データを特定の単一のスピーカユニットへ出力する。
【0061】
本実施形態では、基準音声データの一例として周波数1kHZの正弦波形の音波を表す音声データを用いており、該基準音声データがオーディオH/W62によってアナログの音声信号に変換されて前記特定の単一のスピーカユニットに入力されることで、特定の単一のスピーカユニットからは周波数1kHZの正弦波形の音波が発せられる。また、特定の単一のスピーカユニットから発せられた音波はマイクロフォン68によって検出され、マイクロフォン68から出力されるアナログの音声信号は、オーディオH/W62によってデジタルの検出音声データへ変換(A/D変換)され、オーディオ・デバイス・ドライバ86、OS(API)を介してDVDプレーヤ80に入力される。
【0062】
ステップ156では、マイクロフォン68からオーディオH/W62及びOSを介して入力された検出音声データを取り込み、次のステップ158では、前記特定の単一のスピーカユニットへ出力した基準音声データ、及び取り込んだ検出音声データの各々について、各データが表す音声の波形においてピークが生じているタイミングを各々検出し、検出したタイミングの差を演算し、演算結果を基準音声データが表す波形と検出音声データが表す波形の位相差θ(図6(B)乃至(D)参照)として記憶する。
【0063】
次のステップ160では、PC12に接続されている全てのスピーカユニットに対してステップ154〜158の処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ154に戻り、ステップ154〜160を繰り返す。これにより、PC12に接続されている全てのスピーカユニットに対して位相差θが各々演算・記憶される。なお、上記のステップ154〜160は、音声を検出するマイクロフォン68、マイクロフォン68から出力された音声信号をデジタルの音声データに変換するオーディオH/W62と共に、本発明に係る位相差検出手段に対応している。
【0064】
ステップ160の判定が肯定されるとステップ162へ移行し、フロントスピーカユニット64L,64Rについて各々演算した位相差の平均値θF、及びリアスピーカユニット66L,66Rについて各々演算した位相差の平均値θRを各々演算する。そして次のステップ164では、フロントスピーカユニットの位相差θFとリアスピーカユニットの位相差θRとの差の絶対値|θF−θR|(本発明に係る位相差の偏差に相当)が90°以上か否か判定する。
【0065】
上記判定が否定された場合(例えば図6(C)に示すような場合)には、何ら処理を行うことなく位相調整処理を終了するが、判定が肯定された場合(例えば図6(D)に示すような場合)にはステップ166へ移行し、後チャンネル用の音声データの位相が反転されるように位相反転部84のパラメータを設定した後に位相調整処理を終了する。なお、上記のステップ162〜166は本発明に係る位相調整手段に対応している。
【0066】
上記のように、ステップ166で位相反転部84のパラメータが設定された場合には、DVD再生時に位相反転部84が起動され、AC3サウンド・デコーダ82から出力された後チャンネル(RL,RRチャンネル)の音声データは位相反転部84に入力され、位相反転部84によって位相が反転された後にオーディオH/W62へ出力される(図3参照)。これにより、リアスピーカユニット66L,66Rから発せられる音声の位相が反転されることになる。なお、AC3サウンド・デコーダ82から出力される音声データは符号付きのデータであるので、音声データの位相を反転することは音声データの符号の正負を反転する、という極めて簡易な処理によって実現できる。
【0067】
一例として、フロントスピーカユニット64L,64Rが入力された音声信号に対して同位相の音声を発する構成であるのに対し、リアスピーカユニット66L,66Rが入力された音声信号に対して逆位相の音声を発する構成である場合、|θF−θR|が180°又は180°に近い値となり(例として図6(D)参照)、フロントスピーカユニットから発せられた音声とリアスピーカユニットから発せられた音声が聴取位置で略逆相になることが多い(スピーカユニットに入力される音声信号の位相と、スピーカユニットから発せられた音声の聴取位置における位相と、の差は、スピーカユニットと聴取位置との距離によっても変化する)。
【0068】
この場合、ユーザによって聴取される再生音声に著しい音質の低下が生じることになるが、本実施形態では、上記の場合にリアスピーカユニットに入力する音声信号の位相を位相反転部84によって反転させるので、フロントスピーカユニットから発せられた音声とリアスピーカユニットから発せられた音声が聴取位置で略同位相となり、ユーザによって聴取される再生音声の音質が改善される。
【0069】
また、本実施形態では|θF−θR|が180°又は180°に近い値である場合に限らず、|θF−θR|≧90°の条件を満足すれば音声信号の位相を反転するので、フロントスピーカユニットから発せられた音声とリアスピーカユニットから発せられた音声の聴取位置における位相差を小さくすることができ、ユーザによって聴取される再生音声の音質を改善することができる。
【0070】
なお、上記では所定の基準信号として一定周波数(1kHz)の正弦波形の信号を用いていたが、所定の基準信号の周波数及び波形は上記に限定されるものではなく、任意の周波数・波形の信号を用いることができる。但し、位相差を検出することを考慮すると、正弦波のように波形のピークの位置が明瞭な波形を用いることが好ましい。
【0071】
また、上記ではスピーカユニットに入力される音声信号の位相を反転することを、前記音声信号に変換する前のデジタルの音声データの符号の正負を反転することで実現していたが、これに限定されるものではなく、例として図7に示すように、アナログの音声信号の位相を反転増幅器等から成る位相反転回路90によって反転するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0072】
また、上記では本発明をデスクトップ型のPC12に適用した場合を説明したが、これに限定されるものではなく、ノートブック型のPCに適用することも可能である。ノートブック型のPCは本体が小型であり、端子を設けるためのスペースにも限りがあるので、フロント及びリアの各スピーカユニットを接続するための端子を新設することが困難な場合も考えられる。
【0073】
このような場合には、例として図8に示すように、フロントスピーカユニット64L,64Rを接続するための端子としてヘッドフォン端子を用いると共に、ライン入力端子と接続される信号線の途中にマルチプレクサ(MUX)92を設け、ライン入力端子にリアスピーカユニット66L,66Rが接続されているときには、D/A変換器から出力された音声データがライン入力端子を介してリアスピーカユニット66L,66Rへ出力されるようにマルチプレクサ92を切替えるようにすれば、PCに端子を新設することなく4個のスピーカユニットをPCに接続することができる。
【0074】
更に、上記ではフロントスピーカユニットの位相差θFとリアスピーカユニットの位相差θRとの差の絶対値|θF−θR|が90°以上の場合に、リアスピーカユニットに入力される音声信号の位相を反転する態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フロントスピーカユニットに入力される音声信号の位相を反転するようにしてもよい。
【0075】
また、位相を反転することに代えて、|θF−θR|が0となるようにフロントとリアの音声信号の位相を相対的に変化させてもよい。これは、例えばフロントとリアの音声信号のうち、聴取位置において位相が進んでいる音声に対応する音声信号を位相変更対象とし、アナログの音声信号に変換する前のデジタルの音声データを、一旦バッファに記憶させ|θF−θR|に相当する時間経過後に出力することを繰り返すことで、音声データの出力タイミングを|θF−θR|に相当する時間だけ遅らせることによって実現できる。なお、スピーカユニットが2個設けられている構成に上記の処理を適用し、左側のスピーカから発せられて聴取位置で検出される音声の位相と、右側のスピーカから発せられて聴取位置で検出される音声の位相を揃えるようにしてもよい。
【0076】
また、上記では本発明に係る音声再生装置としてPC12を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、記録媒体にデジタル又はアナログの形態で記録された音声信号、或いは無線通信又は有線通信によって受信した音声信号を再生する機能を備えた各種装置(例えばオーディオ装置やテレビ等)に適用可能である。
【0077】
また、上記では本発明に係る位相調整方法を実現するための位相調整プログラム及び位相反転プログラムが、当初は、本発明に係る記録媒体としての情報記憶媒体に記憶されており、情報記憶媒体から本実施形態に係るPC12へ前記プログラムがインストールされて実行されることにより、PC12が本発明に係る音声再生装置として機能する態様について説明したが、前記プログラムを、当初は公衆電話回線やコンピュータネットワーク(例えばLAN、インターネット、無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体(光ファイバや無線回線)を介してPC12と接続される他の情報処理機器(例えばネットワークサーバ)の記憶装置に記憶しておき、PC12が前記情報処理機器と通信することで、前記情報処理機器から前記通信媒体(伝送媒体)によって前記プログラムがPC12へ伝送され、伝送されたプログラムをPC12がHDD40等の記憶手段にインストールして実行することにより、PC12が本発明に係る音声再生装置として機能するようにしてもよい。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、単一のスピーカユニットに所定の基準音声信号を入力し、前記スピーカユニットから発せられた音声を所定の聴取位置に配置された音声検出手段によって検出し、音声検出手段から出力される音声信号と、所定の基準音声信号の位相差を検出することを、複数のスピーカユニットについて各々行い、複数のスピーカユニットについて各々検出した位相差の偏差が小さくなるように、音声再生時に各スピーカユニットに入力される音声信号の位相を相対的に変更するので、音声の再生に用いるスピーカユニットの構成に拘わらず、再生音声の音質の著しい低下を回避することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係るコンピュータ・システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】 デスクトップ型PCの外観、位相調整処理実行時のスピーカユニット及びマイクロフォンの配置等を示す斜視図である。
【図3】 DVDの再生及び位相調整に係るソフトウェア及びハードウェアを示す概念図である。
【図4】 (A)乃至(C)はDVDプレーヤによってLCDに表示されるウインドウの一例を示す概念図である。
【図5】 位相調整処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】 (A)は基準音声データが表す波形の一例、(B)はフロントスピーカユニットから音声を発することで検出された音波の波形の一例、(C)及び(D)はリアスピーカユニットから音声を発することで検出された音波の波形の一例を各々示す線図である。
【図7】 音声信号の位相の反転をハードウェアによって行う場合の構成の一例を示す概略図である。
【図8】 本発明をノートブック型のPCに適用した場合のスピーカユニットの接続の一例を示す概略図である。
【図9】 スピーカユニットに入力される音声信号に対してスピーカユニットが発する音声の位相が逆となる原因の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
10 コンピュータ・システム
12 PC
14 CPU
62 オーディオ・ハードウェア回路
64L,64R フロントスピーカユニット
66L,66R リアスピーカユニット
68 マイクロフォン

Claims (6)

  1. 聴取位置に相対して異なる複数の位置に配置されたコンピュータ用のスピーカユニットのフロント・セットおよびリア・セットに入力する音声信号の位相を調整する位相調整方法であって、
    前記スピーカユニットの前記フロント・セットおよび前記リア・セットを構成するスピーカユニットの1つに対して正弦基準音声信号を入力するステップと、
    単一の前記スピーカユニットから発せられた音声を前記聴取位置に配置された音声検出手段によって検出するステップと、
    前記単一のスピーカユニットから発せられた前記音声に応答する前記音声検出手段からの音声信号と、前記正弦基準音声信号との間の位相差を検出するステップと、
    前記各ステップを前記複数のスピーカユニットについて各々行うステップと、
    前記スピーカユニットの単一のセットを構成するスピーカユニットの各々について検出された位相差を平均して得られた平均値と、他のセットを構成するスピーカユニットの各々について検出された位相差を平均して得られた平均値との差の絶対値が、設定した位相差を超える場合、前記単一のセットへの前記信号を反転させてそれぞれが再生するように、前記スピーカユニットの各セットへの音声信号の位相を調整するステップと
    を含む、位相調整方法。
  2. コンピュータ用の複数のスピーカユニットに対する音声再生装置であって、
    前記スピーカユニットのフロント・セットおよびリア・セットを構成するスピーカユニットの1つに対して入力するための正弦基準音声信号を生成する音声信号生成手段と、
    複数の前記スピーカユニットの単一のスピーカユニットに対して前記正弦基準音声信号を入力し、前記正弦基準音声信号と、聴取位置で音声検出手段が前記単一のスピーカユニットから生成された音声を検出した結果として前記音声検出手段が出力する音声信号との間の位相差を検出する位相差検出手段と、
    前記スピーカユニットの単一のセットを構成するスピーカユニットの各々について検出された位相差を平均して得られた平均値と、他のセットを構成するスピーカユニットの各々について検出された位相差を平均して得られた平均値との差の絶対値が、設定した角度を超える場合、前記単一のセットへの前記信号を反転させてそれぞれが再生するように、前記スピーカユニットの各セットへの音声信号の位相を調整する位相調整手段と
    を含む、音声再生装置。
  3. 前記音声再生装置はコンピュータであり、前記複数のスピーカユニットは、前記コンピュータの音声信号出力端子に接続された外部スピーカユニットであることを特徴とする請求項2記載の音声再生装置。
  4. 前記音声信号生成手段は、DVDの音声トラックに記録されているデータを読み取り、読み取ったデータをデコードすることで複数チャンネルの音声信号を生成し、前記設定した角度は、90°であることを特徴とする請求項2記載の音声再生装置。
  5. 前記複数のスピーカユニットは、前記聴取位置の前方に配置される2個以上のスピーカユニットと、前記聴取位置の後方に配置されるサラウンド機能を実現するための2個のスピーカユニットとから成り、前記位相調整手段は、聴取位置の後方に配置されるスピーカユニットについて検出された位相差を平均して得られた平均値と、聴取位置の前方に配置されるスピーカユニットについて検出された位相差を平均して得られた平均値との差の絶対値が小さくなるように、聴取位置の後方に配置されるスピーカユニット及び聴取位置の前方に配置されるスピーカユニットの何れか一方に入力される音声信号の位相を反転することを特徴とする請求項2記載の音声再生装置。
  6. 請求項1に記載の各ステップをコンピュータが実行するためのプログラムが記録された記録媒体。
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