JP4233068B2 - 移動車運行制御システムと運行管理方法 - Google Patents

移動車運行制御システムと運行管理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動車運行制御装置システムに関し、移動車のコーナー部分の走行管理が可能な移動車運行制御システムと運行管理方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の組み立てラインにおいて、組み立てられる車体を搬送する移動車の運行の制御を行うシステムが用いられている。
【0003】
従来技術における移動車は、通電された所定の軌道に沿って運行されている。移動車への給電は、その軌道へのブラシによる接触によって行われる。
【0004】
ここで、自動車の組み立てラインのうち、塗装が終了した車体に座席やドア、インテリア、エクステリア等の部品を取りつける完成車組み立てラインに用いられている従来技術による移動車運行制御システムを以下に示す。
【0005】
まず、完成車組み立てラインにおいて、移動車の軌道上にある複数のステーションでもって、人手または作業用ロボットによって異なる個別の作業が行われる。人手によって作業の行われるステーションでは、移動車はゆっくりした速度でもって走行する。作業用ロボットによって作業の行われるステーションでは、移動車は位置決めが完全に行われた状態で停止する。作業用ロボットによる作業は、その移動車の停止状態で行われる。ここで、人手でもって行われる作業は、概して小物部品の取り付け作業である。作業用ロボットによって行われる作業は、概してドアのような大物部品の取り付け作業である。また、各ステーションにおいて、移動車に搬送されている車体の床面からの高さは、作業者が作業をしやすい高さ、または作業用ロボットが作業を行う時の高さに自動的に調節される。
【0006】
また、システム全体を管理する管理装置を有する。移動車の運行管理は、その管理装置と移動車との通信を通して行われる。この通信は、移動車に設けられた通信装置と、管理装置と接続された複数の中継器(アクセスポイント:AP)を介して行われる。
【0007】
ここで、移動車とAPとの通信に光通信を用いた定点通信方式が主に用いられていた。近年、移動車とAPとの通信に無線通信方式が用いられるようになってきている。このような無線通信方式を用いた関連発明として、特開平7−95145号公報に、「移動車運行制御設備」という発明が開示されている。この発明は、走行経路上の全ての通信位置における通信状態を、容易にチェックすることを可能にすることを目的としている。その構成は、地上局の地上局側通信装置との間で無線通信を行う移動車側通信装置を備えた移動車に、走行を制御し且つ移動車側通信装置の通信作動を制御する制御手段と、地上局側通信装置との通信を実行する通信位置を検出する通信位置検出手段とが設けられ、制御手段が通信位置検出手段の検出結果に基づいて移動車側通信装置を作動させる移動車運行制御設備において、移動車または地上局に、移動車通信装置と地上局側通信装置との間の通信状態を検出する通信状態検出手段が設けられ、制御手段は、通信テストモードが指令されると、複数のテスト用の通信位置の全てを通過するテスト走行を実行すると共に、複数のテスト用の通信位置夫々において、地上局側通信装置とのテスト通信を実行する。また、この無線通信は、スペクトラム拡散通信方式を用いることが可能である。
【0008】
また、移動車には、直前を走行する移動車との距離を測定するための超音波センサ一が設けられている。移動車は、その超音波センサで測定された、直前を走行する移動車との距離に基づいて運行速度を調整することによって、直前を走行する移動車と一定間隔を保って運行することが可能となる。ここで、移動車が所定の軌道上に設けられたコーナー部分を運行する場合、超音波センサは直前を走行する移動車以外のものにも反応する。このため、直前を走行する移動車との距離を正確に測定することができない。従って、移動車は、コーナー部分を走行する場合、その超音波センサを利用した運行制御が不可能である。特に、コーナー部分で移動車が緊急停止した場合、後方を走行する移動車がその緊急停止した移動車に衝突する。
【0009】
コーナー部分で移動車の動作状態を管理することが可能な移動車運行制御システムが望まれている。
【0010】
また、コーナー部分での衝突の回避が可能な移動車運行制御システムが望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、管理装置と移動車との通信に無線通信方式を用いる場合、移動車が走行する軌道のコーナー部分での移動車の動作状態を管理することが可能な移動車運行制御システムとその移動車管理方法を提供する。
【0012】
本発明の他の目的は、管理装置と移動車との通信に無線通信方式を用いる場合、コーナー部分での衝突の回避が可能な移動車運行制御システムと移動車管理方法を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明によると、予め定められた軌道上を走行する複数の移動車と、軌道のコーナー部分に一定間隔をもって設けられた複数の位置プレートと、複数の移動車と常時交信可能な管理装置とからなり、各移動車は、位置プレートの配置されている位置で、位置プレートを検知する位置プレートセンサと、コーナー部分で位置プレートセンサがある位置プレートを検知した時から一定時間他の位置プレートを検知できない時に、管理装置へ他の移動車の緊急停止を要求する緊急停止要求信号を送信し、管理装置からの緊急停止命令信号を受信する送受信部と、緊急停止命令信号の受信に応答して、各移動車の停止を行う制御部とを具備し、管理装置は、緊急停止要求信号の受信に応答して、軌道上を走行する全ての移動車に緊急停止命令信号を送信する移動車運行管理システムを提供する。
【0014】
上記の移動車運行管理システムにおいて、一定間隔I(m)と一定時間T1(s)は、
I<T1×V
T1<W/V−T2
を満たし、ここで、各移動車がコーナー部分を走行する一定速度をV(m/s)、コーナー部分での移動車間の間隔をW(m)、各移動車が管理装置へ緊急停止要求信号を送信してから、他の全ての移動車へ緊急停止命令信号が伝えられるまでの通信時間をT2(s)とすることが可能である。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明によると、予め定められた軌道上を走行する複数の移動車と、軌道のコーナー部分に一定間隔をもって設けられた複数の位置プレートと、任意の軌道上で複数の移動車と常時交信可能な管理装置とからなる移動車運行管理システムにおいて、各移動車が、各位置プレートの配置されている位置で、各位置プレートを個別に検知するステップと、各移動車が、コーナー部分で一定時間位置プレートを検知できない時に、管理装置へ他の移動車の緊急停止を要求する緊急停止要求信号を送信するステップと、管理装置が、緊急停止要求信号の受信に応答して、軌道上を走行する全ての移動車に緊急停止命令信号を送信するステップと、各移動車が、緊急停止命令信号の受信に応じて停止するステップとからなる運行管理方法を提供する。
【0016】
上記の運行管理方法において、一定間隔I(m)と一定時間T1(s)は、
I<T1×V
T1<W/V−T2
を満たし、ここで、各移動車がコーナー部分を走行する一定速度をV(m/s)、コーナー部分での移動車間の間隔をW(m)、各移動車が管理装置へ緊急停止要求信号を送信してから、他の全ての移動車へ緊急停止命令信号が伝えられるまでの通信時間をT2(s)とすることが可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明における移動車運行制御システムの実施形態を、図面を参照して以下に示す。本実施形態は、本発明における移動車運行制御システムを自動車製造ライン、特に自動車の完成車組み立てラインに適応したものを示す。
【0018】
図1は、本発明における移動車運行管理システムの実施形態の構成図である。
【0019】
図1を参照すると、本発明における移動車運行管理システムは、管理装置100と、複数の中継器(アクセスポイント:AP)200、所定の軌道400上を走行する複数の移動車300、軌道400のコーナー部分401(図1では図示せず)に設けられた複数の位置プレート402(図1には図示せず)、複数のブロックコントローラ410、各ブロックコントローラ410に管理されている複数のステーション412,414を具備する。
【0020】
管理装置100は、複数のAP200と接続されており、そのAP200を介して移動車300との無線通信を行う。ここで行われる無線通信は、スペクトル拡散(SS)通信の周波数ホッピング(FH)法を適用する。この無線通信を用いて、管理装置100は移動車300の運行を管理する。
【0021】
また、管理装置100は、複数のブロックコントローラ410と接続しており、各ブロックコントローラ410に管理されている複数のステーション412,414で行われる動作を管理する。ここで、各ステーション412,414では、人手またはロボットによる完成車組み立て工程が実行されている。
【0022】
さらに、管理装置100は入出力部101を有する。入出力部101からの入力によって、管理装置100に記憶されている移動車300やステーション412,414を管理するための管理データを更新することが可能である。
【0023】
各中継器(アクセスポイント:AP)200は、複数の移動車300と無線通信を行う。この通信は、あるAP200とそのAP200のセル領域に存在する移動車300と行うことが可能となる。複数のAP200は個別に異なるセル領域を有し、各セル領域では、対応するAP200から発せられる信号の強度がある一定強度以上である。
【0024】
また、複数のAP200の配置は、移動車300との通信が常に可能となるように行われる。この時、移動車300の軌道400上の任意の場所が、少なくとも1つのセル領域に含まれる。他に、移動車300の存在する閉空間(自動車組み立てライン全体等)上の任意の場所が、少なくとも1つのセル領域に含まれるように複数のAP200が配置されることも可能である。
【0025】
図2は、本発明の移動車運行管理システムにおける、複数のAPの配置例を示す。本配置例では、6つのAP201,202,203,204,205,206が配置されている。
【0026】
6つのAP201,202,203,204,205,206は、それぞれ対応するセル領域211,212,213,214,215,216を有し、各移動車300が移動する所定の軌道400上での任意の場所が、少なくとも1つのセル領域に含まれている。また、各移動車300は通信装置350を有し、この通信装置350を用いて複数のAP200のうち通信可能な1つと無線通信を行う。
【0027】
各移動車300は、搬送物である組み立て中車両500を搬送する。また、各移動車300は、複数のAP200のうち1つと交信を行う。
【0028】
ここで、移動車300とAP200との無線通信にスペクトル拡散(SS)通信の周波数ホッピング(FH)法が用いられる場合、各AP200は異なるホッピングパタンで発信を行う。この場合、移動車300は、1つのAP200の発信信号を他のAP200の発信信号をノイズとせずに受信する。従って、移動車300は、各AP200からの発信信号を個別に識別して受信することが可能である。このことから、複数のAP200のセル領域が重複する重複領域でも、移動車300は複数のAP200のうち1つと交信を行うことが可能である。
【0029】
移動車300の軌道400のコーナー部分401での位置プレートの配置を図3に示す。
【0030】
図3に示すように、位置プレート402は、移動車300の軌道400のコーナー部分401に沿って、一定間隔毎に設けられている。また、位置プレート402は、移動車300の位置プレート検出センサ362によって、その位置プレート402が設置された位置で検出される。
【0031】
複数のブロックコントローラ410は、管理装置100からの通知に従って、複数のステーション412,414を管理する。
【0032】
複数のステーション412,414では、人手またはロボットによって所定の完成車組立工程が行われている。
【0033】
本実施形態によると、管理装置100は、ホストコンピュータ110、ホストコンピュータ用表示装置111、バックアップコンピュータ120、バックアップコンピュータ用表示装置121、データ入出力用コンピュータ142、データ入出力用コンピュータ用表示装置144、ブロックコントローラ用中継装置152、第1の中継装置132、第2の中継装置134、AP用中継装置136を具備する。
【0034】
ホストコンピュータ110は、システム全体を制御するための制御アルゴリズムと、各ステーション412,414を制御するためのステーション制御データと、移動車300の動作を制御するための移動車制御データとを有する。制御アルゴリズムは、ステーション412,414の動作を制御するステーション制御アルゴリズムと、AP200と移動車300との無線通信を制御するAP制御アルゴリズムとからなる。ステーション制御データは、第2の中継装置134とブロックコントローラ用中継装置152を介して複数のブロックコントローラ410に伝えられる。ステーション制御データが伝えられたブロックコントローラ410によって各ステーション412,414が制御される。移動車制御データは、第2の中継装置134とAP用中継装置136を介してAP200へ伝えられ、AP200から無線通信によって移動車300へと伝えられる。
【0035】
また、ホストコンピュータ110へのデータの入出力は、第1の中継装置132を介して接続されているデータ入出力用コンピュータ142によって行われる。データ入出力用コンピュータ142からの入力によって、上記の制御アルゴリズム、または/かつ制御データを更新することが可能となる。ここで、データ入出力用コンピュータ142は、データ入出力用コンピュータ用表示装置144と接続されており、ホストコンピュータ110へのデータの入出力に関する情報をデータ入出力用コンピュータ用表示装置144に表示させることが可能である。
【0036】
また、ホストコンピュータ110は、ホストコンピュータ用表示装置111と接続されており、ホストコンピュータ110で管理されている各種データをホストコンピュータ用表示装置111に表示させることが可能である。
【0037】
管理装置100は、ホストコンピュータ110の障害対策として少なくとも1台のバックアップコンピュータ120を有する。このバックアップコンピュータ120は、ホストコンピュータ110と同じ機能を有し、ホストコンピュータ110に障害が発生した時に、ホストコンピュータ110に代わってこのシステムを管理する。このため、バックアップコンピュータ120もまたホストコンピュータ110と同様に、第2の中継装置134とブロックコントローラ用中継装置152を介して複数のブロックコントローラ410と接続され、第2の中継装置134とAP用中継装置136を介してAP200と接続され、第1の中継装置132を介してデータ入出力用コンピュータ142と接続されている。
【0038】
また、各バックアップコンピュータ120は、バックアップコンピュータ用表示装置121と接続されており、バックアップコンピュータ120で管理されている各種データをバックアップコンピュータ用表示装置121に表示させることが可能である。
【0039】
また、管理装置100内に設けられた各装置間の接続には、Ethernetを用いたLANが用いられる。本実施形態によると、ホストコンピュータ110、バックアップコンピュータ120、データ入出力用コンピュータ142、ブロックコントローラ用中継装置152、第1の中継装置132、第2の中継装置134、AP用中継装置136,138それぞれの間の接続には100Base-TXを用いている。また、AP用中継装置136と各AP間の接続には10Base-Tを用いている。
【0040】
図4は、中継器200の機能ブロック図を示す。
【0041】
図3を参照すると、各中継器(アクセスポイント:AP)200は、複数の移動車300と無線通信を行うことが可能な送受信部220と、自AP200と異なる少なくとも1つのAP200(隣接APとする)が登録される高速ローミングテーブル221を有する。ここで、高速ローミングテーブル221に登録される隣接APは、自AP200と物理的に近接して設けられたものが選択されており、その登録される隣接APの数は4以下が望ましい。また、各AP200は、移動車300と通信可能なセル領域を有する。
【0042】
図5は、移動車300の構成を示した図である。図5を参照すると、移動車300は、制御部310、駆動装置320、回転位置センサ330、リフタ高調節装置340、通信装置350、位置プレート検出センサ362、距離センサ366、給電装置370、複数の車輪380、バンパ390からなる。
【0043】
制御部310は、移動車の運行や、リフタの高さ、管理装置100との通信を制御する。制御部310には走行距離検出部312と記憶領域であるメモリ314と、時を刻むクロック部315を含む。また、このメモリ314には、移動車300の状態を示すステータステーブル318が格納されている。このステータステーブル318は、位置プレート歩進ポインタを含む。位置プレート歩進ポインタは、後述する位置プレート検出センサ362で位置プレート402を検出する度に格納されている値を更新する。この値の更新は、所定数の加算または所定数の減算などからなる。また、ステータステーブル318は、データの書き換え頻度が大きいため、このメモリ314にはRAMが使用されている。ここで、このメモリ314は、バックアップバッテリ(図示せず)によって給電されており、移動車300への給電停止時が発生した場合でも、このメモリ314内のデータが保持される。また、このメモリ314に不揮発性RAMを用いることも可能である。
【0044】
駆動装置320は、電動モータを有し、その電動モータを用いて移動車300の走行・操舵を行う。
【0045】
回転位置センサ330は、車輪380を駆動させる駆動装置320の電動モータの回転数(または回転角)に比例したパルスを発生して、そのパルスを制御部310の走行距離検出部312へ伝達する。また、回転位置センサ330は、車輪380の回転数(または回転角)に比例した数のパルスを発生して、そのパルスを制御部310の走行距離検出部312へ伝達することも可能である。走行距離検出部312は、回転位置センサ330から伝達されたパルスの数に基づいて、移動車300の走行距離を求める。
【0046】
リフタ高調節装置340は、移動車300が搬送する搬送物(組み立て中自動車500)を積載するリフタ(図示せず)の床面からの高さを調節する。このリフタは床面からの高さを変更することが可能である。
【0047】
通信装置350は、管理装置100と通信を行うために、管理装置100と接続されている複数のAP200のうちの1つと無線通信を行う。
【0048】
位置プレート検出センサ362は、床面に近接して設けられており、床面に設けられ、かつ移動車300の軌道400に沿って設けられた複数の位置プレート402をほぼ直上で検出する。また、この複数の位置プレート402は一定間隔毎にコーナー部分に配置されている。
【0049】
距離センサ366は、直前を走る移動車300との距離を測定するためのセンサであって、超音波センサからなる。この距離センサ366は、移動車300の軌道400のうち直線部分において、直前を走る移動車300とのタクト(移動車間の間隔)を維持するために使用される。
【0050】
給電装置370は、移動車300内にある各装置やセンサへ給電を行うための装置であり、給電されているレールと接触して電力を取得する。
【0051】
車輪380は、複数個設けられており、車輪380が回転することによって、移動車300が移動する。この複数個の車輪380は走行輪381と遊転輪382からなり、走行輪381は駆動装置320によって回転、操舵が行われる。
【0052】
バンパ390は、移動車300の前後に設けられており、他の移動車300との接触または衝突時に、移動車300が受ける衝撃を弱める機能を有する。
【0053】
図6は、移動車300の通信装置350の機能ブロック図を示す。
【0054】
図6を参照すると、各移動車300は、複数のAP200のうち、1つのAP200と交信可能な送受信部351と、交信するAP200を変更するローミング動作を制御するローミング制御部352を有する。ローミング制御部352は、交信中のAP200からの信号の受信強度があるしきい値未満の場合にローミングを実行する。この時、交信中のAPに対応する高速ローミングテーブル221に格納された各APからの信号強度を取得し、その信号強度が最大、かつしきい値以上であるAPに交信先を変更する。ローミング制御部352は、そのしきい値を格納するしきい値格納部353と、交信中のAPに対応する高速ローミングテーブル221のデータが格納された高速ローミングテーブル354を有する。ここで、しきい値格納部353と高速ローミングテーブル354は、通信装置350内ではなく、メモリ314内に確保されてもよい。
【0055】
次に、本発明における移動車300と中継器200との通信におけるローミング方法を示す。
【0056】
図7は、本発明におけるローミング方法の1例を示すフロー図である。
【0057】
図7を参照すると、まず、各AP200に対して、隣接または近接するAP200(隣接APとする)を示すデータが対応する高速ローミングテーブル221に登録される(ステップS1)。その登録される隣接APの数は、本実施例では最大4とする。ここで、各AP200の隣接APとして、物理的距離が近いAP200、または/かつ移動車300の進行方向に設けられているAP200が選択されることが望ましい。
【0058】
移動車300がある1つのAP200(交信中APとする)と交信している場合、その交信中APから対応する隣接APを示すデータを取得する(ステップS2)。
【0059】
移動車300は、交信中APからの信号強度を測定する(ステップS3)。その信号強度が、所定のしきい値未満となった場合(ステップS4)、移動車300は、交信中APから取得したデータに示される隣接APの各々から発せられる各信号の受信強度を測定する(ステップS5)。また、ステップS4で、その信号強度が、所定のしきい値以上の場合は、再びステップS3の実行に戻る。
【0060】
移動車300は、ステップS5で測定した各受信強度に所定のしきい値以上のものが含まれる場合(ステップS6)、接続先を交信中APからその受信強度が最大を示す隣接APへ変更する(高速ローミング)(ステップS7)。
【0061】
また、移動車300は、ステップS5で測定した各受信強度に所定のしきい値以上のものが含まれない場合(ステップS6)、全てのAP200に対する各信号の受信強度を測定し、接続先を交信中APからその受信強度が最大を示すAP200へ変更する(通常ローミング)(ステップS8)。
【0062】
上記のローミング方法を用いることによって、移動車300は高速に交信先AP200を切り替えることが可能となり、移動車300と管理装置100との通信に発生する遅延を減少させることが可能となる。
【0063】
他に、本発明の移動車運行制御システムに上記の通常ローミングのみを用いた通信方法も可能である。移動車300が任意のコーナー部401で管理装置100と通信することが可能となるようにAP200の配置が行われていれば、本発明を適用することは可能である。移動車300と管理装置100の通信に関する遅延に対する許容範囲は、移動車300のタクト間隔や移動車300の進行速度によって変化する。そのため、移動車運行制御システムに設定された移動車300のタクト間隔や移動車300の進行速度に応じて、AP200の配置や移動車300と管理装置100の通信に関する遅延に対する許容範囲が設定される。
【0064】
次に、本発明の移動車運行制御システムにおける、コーナー部での運行管理方法の第1の実施形態を以下に示す。
【0065】
図8は、本発明におけるコーナー部での運行管理方法の第1の実施形態を示すフロー図である。
【0066】
図8を参照して、本発明におけるコーナー部での運行管理方法の第1の実施形態を説明する。
【0067】
まず、移動車300がコーナー部401を認識する(ステップS10)。ここで、移動車300によるコーナー部401の認識動作の例を以下に示す。移動車300が位置プレート検出センサ362によって位置プレート402を検出する。ここで、コーナー部401以外にも位置プレート402が設置されている場合には、位置プレート402の間隔をコーナー部401ではある一定間隔よりも狭くし、逆にコーナー部401以外では位置プレート402の間隔をその一定間隔よりも広く設定することによって、移動車300は、コーナー部401を認識することが可能となる。他には、移動車300が、軌道上に設けられたIDタグに記録されている情報を読取ることによってコーナー部401を認識する。他には、移動車300内に記録された、所定の位置での動作を記録した動作テーブルを、移動車300が測定する現在位置をキーとして検索することによって、移動車300がコーナー部401を認識する。他には、軌道400上に設けられた、位置プレート402とは異なる定位置プレート(図示せず)を移動車300が検知することによって、コーナー部401を認識することが可能となる。
【0068】
次に、認識したコーナー部401を走行中の移動車300が、ステータステーブル318の位置テーブル歩進ポインタの値を一時的に記憶する(ステップS11)。
【0069】
次に、ステップS11の実行時を零時と設定し、クロック部315を参照して時をカウントする(ステップS12)。
【0070】
ステップS12でカウントされている時が、予め設定された時間を満たした時(ステップS13)、その時の位置テーブル歩進ポインタの値と、ステップS11で取得したポインタの値を比較する(ステップS14)。
【0071】
ステップS14の比較結果、両者の値が異なる場合(ステップS15)、移動車300がコーナー部401を抜けていなければ(ステップS16)、再びステップS11の動作へ戻る。ステップS14の比較結果、両者の値が等しい場合(ステップS15)、このコーナー走行中の移動車300自身が停止していると認識し、接続中AP200を介して管理装置100へ他の移動車の停止を要求する停止要求情報を通知する(ステップS17)。
【0072】
管理装置100は、停止要求信号の通知を受けて、AP200を介して、軌道400を走行中の全ての移動車300に対して停止を命令する停止命令信号を通知する(ステップS18)。
【0073】
軌道400を走行中の全ての移動車300は、その停止命令信号の通知に応答して停止する(ステップS19)。
【0074】
ここで、ステップS16で示される、移動車300がコーナー部401を抜けたかを認識する方法の例を以下に示す。移動車300が、軌道上に設けられたIDタグに記録されている情報を読取ることによってコーナー部401を抜けたかを認識する。他には、移動車300内に記録された、所定の位置での動作を記録した動作テーブルを、移動車300が測定する現在位置をキーとして検索することによって、移動車300がコーナー部401を抜けたかを認識する。他には、軌道400上に設けられた、位置プレート402とは異なる定位置プレート(図示せず)を移動車300が検知することによって、コーナー部401を抜けたかを認識することが可能となる。
【0075】
ここで、本発明の移動車運行制御システムにおける、コーナー部での運行管理方法における第1の実施形態で、緊急停止をした移動車300が、後続の移動車300と衝突しないために必要な諸条件を以下に示す。
【0076】
まず、移動車の速度をV(m/s)、コーナー部分401に配置されている複数の位置プレートの間隔をI(m)、移動車300同士の走行間隔をW(m)、ステップS13で示される、予め定められた時間をT1(s)、ステップS17からステップS19を実行するために必要な時間(移動車300と管理装置100との往復通信時間)をT2(s)とすると、以下に示す(式1)、(式2)が成立する時に移動車300はコーナー部分で緊急停止をした場合でも、後続の移動車との衝突を回避可能となる。
【0077】
I<T1×V (式1)
T1<W/V−T2 (式2)
【0078】
次に、本発明の移動車運行制御システムにおける、コーナー部での運行管理方法の第2の実施形態を以下に示す。
【0079】
図9は、本発明におけるコーナー部での運行管理方法の第2の実施形態を示すフロー図である。
【0080】
図9を参照して、本発明におけるコーナー部での運行管理方法の第2の実施形態を説明する。
【0081】
まず、移動車300がコーナー部401を認識する(ステップS10)。この動作は、本発明におけるコーナー部での移動車制御方法の第1の実施形態と同じである。
【0082】
次に、移動車300がタイマを零時と設定し、クロック部315を参照して時をカウントする(ステップS21)。
【0083】
次に、移動車300がコーナー部401を抜けたことを認識すると(ステップS22)、一連の動作を終了する。
【0084】
移動車300がコーナー部401を抜けたことを認識できず(ステップS22)、位置プレート検知センサ362が位置プレート402を検知した時(ステップS23)、再びステップS21を実行する。
【0085】
また、位置プレート検知センサ362が位置プレート402を検知せずにタイマが予め定められた時間を示す時、(ステップS24)このコーナー走行中の移動車300自身が停止していると認識し、接続中AP200を介して管理装置100へ他の移動車の停止を要求する停止要求情報を通知する(ステップS25)。
【0086】
管理装置100は、停止要求信号の通知を受けて、AP200を介して、軌道400を走行中の全ての移動車300に対して停止を命令する停止命令信号を通知する(ステップS26)。
【0087】
軌道400を走行中の全ての移動車300は、その停止命令信号の通知に応答して停止する(ステップS27)。
【0088】
また、ステップS22で示される、移動車300がコーナー部401を抜けたかを認識する動作は、本発明の移動車運行制御システムにおける、コーナー部での運行管理方法における第1の動作例で示される、ステップS16の動作と同じである。
【0089】
ここで、本発明の移動車運行制御システムにおける、コーナー部での運行管理方法における第2の実施形態で、緊急停止をした移動車300が、後続の移動車300と衝突しないために必要な諸条件を以下に示す。
【0090】
まず、移動車の速度をV(m/s)、コーナー部分401に配置されている複数の位置プレートの間隔をI(m)、移動車300同士の走行間隔をW(m)、ステップS23で示される、予め定められた時間をT1(s)、ステップS24からステップS26を実行するために必要な時間(移動車300と管理装置100との往復通信時間)をT2(s)とすると、上記の(式1)、(式2)が成立する時に移動車300はコーナー部分で緊急停止をした場合でも、後続の移動車との衝突を回避可能となる。
【0091】
ここで、発明者が使用する移動車運行管理システムは、移動車の走行速度の最高が1.5m/s、前車との間隔の最小が0.8mで稼動している。ここで、ある移動車が緊急停止をすると、後続の移動車に緊急停止を要求する信号が、ある移動車の緊急停止時からほぼ500ms以内に通知されない場合、緊急停止をした移動車と後続の移動車が衝突する。
【0092】
ここで、発明者が使用する移動車運行管理システムでは、移動車から管理装置への往復通信は400ms以内に行うことが可能である。
【0093】
上記に示される条件から、移動車が位置プレート検出の有無を判断するために必要な時間が100ms以下に設定される場合、コーナー部分で移動車の緊急停止が発生してから後続の移動車に緊急停止を要求する信号がほぼ500ms以内に通知されることが可能となる。
【0094】
また、本発明における移動車運行制御システムでの高速ローミング動作は数十ミリ秒、多くても百ミリ秒未満で行われる。また、この変更先相手として、交信中APと物理的に近接して設けられている、または/かつ移動車の進行方向に設けられているAPを選択しているために、AP切り替え動作にはほぼ高速ローミングが適用される。このことから、本発明における移動車運行制御システムは、管理装置と移動車との通信に無線通信方式を用いる場合、コーナーを走行中の移動車に発生した不具合によって発生する移動車同士の衝突を回避する、または減少させることを可能にする。
【0095】
【発明の効果】
本発明は、移動車のコーナー部分での動作を管理することが可能となる効果を有する。
【0096】
また、本発明は、移動車がコーナー部分で停止した場合に、後続の移動車との衝突を回避することが可能となる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における移動車運行制御システムの実施形態の構成を示す。
【図2】本発明の移動車運行管理システムにおける、複数のAPの配置例を示す。
【図3】軌道のコーナー部での位置プレートの配置を示す。
【図4】中継器の機能ブロック図を示す。
【図5】移動車の構成を示す。
【図6】移動車の通信装置の機能ブロック図を示す。
【図7】本発明におけるローミング方法の1例を示すフロー図である。
【図8】本発明におけるコーナー部での運行管理方法の第1の実施形態を示すフロー図である。
【図9】本発明におけるコーナー部での運行管理方法の第2の実施形態を示すフロー図である。
【符号の説明】
100 管理装置
101 入出力部
110 ホストコンピュータ
111 ホストコンピュータ用表示装置
120 バックアップコンピュータ
121 バックアップコンピュータ用表示装置
132 第1の中継装置
134 第2の中継装置
136 AP用中継装置
142 データ入出力用コンピュータ
144 データ入出力用コンピュータ用表示装置
152 ブロックコントローラ用中継装置
200,201,202,203,204,205,206 中継器(AP)
211,212,213,214,215,216 セル領域
220 送受信部
221 高速ローミングテーブル
300 移動車
310 制御部
312 走行距離検出部
314 メモリ
315 タイマ
320 駆動装置
330 回転位置センサ
340 リフタ高調節装置
350 通信装置
351 送受信部
352 ローミング制御部
353 しきい値格納部
354 高速ローミングテーブル
362 位置プレート検出センサ
366 距離センサ
370 給電装置
380 車輪
381 走行輪
382 遊転輪
390 バンパ
400 軌道
401 コーナー部
402 位置プレート
410 ブロックコントローラ
412,414 ステーション

Claims (4)

  1. 予め定められた軌道上を走行する複数の移動車と、
    前記軌道のコーナー部分に一定間隔をもって設けられた複数の位置プレートと、
    前記複数の移動車と常時交信可能な管理装置とからなり、
    前記各移動車は、
    前記コーナー部分を走行しているかどうかを認識する手段と、
    前記複数の位置プレートの配置されている位置で、前記複数の位置プレートを検知する位置プレートセンサと、
    前記各移動車が前記コーナー部分を走行している場合で前記位置プレートセンサが前記複数の位置プレートのうちのる位置プレートを検知した時から一定時間前記複数の位置プレートのうちのの位置プレートを新規に検知できない時に、前記管理装置へ他の移動車の緊急停止を要求する緊急停止要求信号を送信し、前記管理装置からの緊急停止命令信号を受信する送受信部と、
    前記緊急停止命令信号の受信に応答して、前記各移動車の停止を行う制御部とを具備し、
    前記管理装置は、前記緊急停止要求信号の受信に応答して、前記軌道上を走行する全ての前記移動車に前記緊急停止命令信号を送信し、
    前記一定間隔I(m)と前記一定時間T1(s)は、
    I<T1×V
    T1<W/V−T2
    を満たし、ここで、前記各移動車が前記コーナー部分を走行する一定速度をV(m/s)、前記コーナー部分での前記移動車間の間隔をW(m)、前記各移動車が前記管理装置へ前記緊急停止要求信号を送信してから、他の全ての前記移動車へ前記緊急停止命令信号が伝えられるまでの通信時間をT2(s)とする、
    動車運行管理システム。
  2. 請求項1において、
    前記複数の移動車と無線通信し、前記複数の移動車と前記管理装置との交信を中継する複数の中継器を更に備え、
    前記複数の中継器の各々は、前記複数の中継器のうちの前記各々に隣接する隣接中継器を示す高速ローミングテーブルを有し、
    前記各移動車は、前記複数の中継器のうちの前記各移動車と交信している交信中APから取得される交信中AP高速ローミングテーブルに示される隣接中継器の各々から発せられる各信号の受信強度を測定し、前記複数の中継器のうちの前記受信強度が最大を示す中継器を介して前記管理装置へ前記緊急停止要求信号を送信する
    移動車運行管理システム。
  3. 予め定められた軌道上を走行する複数の移動車と、前記軌道のコーナー部分に一定間隔をもって設けられた複数の位置プレートと、任意の前記軌道上で前記複数の移動車と常時交信可能な管理装置とからなる移動車運行管理システムにおいて、
    前記各移動車が、前記コーナー部分を走行しているかどうかを認識し、前記各位置プレートの配置されている位置で、前記各位置プレートを個別に検知するステップと、
    前記各移動車が、前記各移動車が前記コーナー部分を走行している場合前記複数の位置プレートのうちのある位置プレートを検知した時から一定時間前記複数の位置プレートのうちの他の位置プレートを新規に検知できない時に、前記管理装置へ他の移動車の緊急停止を要求する緊急停止要求信号を送信するステップと、
    前記管理装置が、前記緊急停止要求信号の受信に応答して、前記軌道上を走行する全ての前記移動車に緊急停止命令信号を送信するステップと、
    前記各移動車が、前記緊急停止命令信号の受信に応じて停止するステップと、
    からなり、
    前記一定間隔I(m)と前記一定時間T1(s)は、
    I<T1×V
    T1<W/V−T2
    を満たし、ここで、前記各移動車が前記コーナー部分を走行する一定速度をV(m/s)、前記コーナー部分での前記移動車間の間隔をW(m)、前記各移動車が前記管理装置へ前記緊急停止要求信号を送信してから、他の全ての前記移動車へ前記緊急停止命令信号が伝えられるまでの通信時間をT2(s)とする、
    行管理方法。
  4. 請求項3において、
    前記移動車運行管理システムは、
    前記複数の移動車と無線通信し、前記複数の移動車と前記管理装置との交信を中継する複数の中継器を更に備え、
    前記複数の中継器の各々は、前記複数の中継器のうちの前記各々に隣接する隣接中継器を示す高速ローミングテーブルを有し、
    前記各移動車は、前記複数の中継器のうちの前記各移動車と交信している交信中APから取得される交信中AP高速ローミングテーブルに示される隣接中継器の各々から発せられる各信号の受信強度を測定し、前記複数の中継器のうちの前記受信強度が最大を示す中継器を介して前記管理装置へ前記緊急停止要求信号を送信する
    運行管理方法。
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