JP4232930B2 - 船外機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、4サイクルエンジンを備える船外機に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような船外機の動力源に用いられるエンジンには、安価で小型な2サイクルエンジンが広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら近年、排ガス浄化の見地から4サイクルエンジンの採用が要請されている。ところが、4サイクルエンジンは、2サイクルと同一排気量で高出力を得るためには高回転とする必要があり、負荷の回転数に合わせるための減速装置が不可欠であり、この分エンジンが大型化し重量が嵩む等の問題がある。
【0004】
さらに、エンジン本体内の減速装置を、フライホイールを取り付けるクランク軸に設ける駆動プーリと、出力軸に設ける被駆動プーリと、両プーリを連結するベルトとから構成するか、あるいは、駆動プーリの替わりの駆動スプロケットと、被駆動プーリの替わりの被駆動スプロケットと両スプロケットを連結するチェーンとから構成し、クランク軸と出力軸を同一方向回転させる場合も考えられる。
【0005】
この場合には、クランク軸の回転速度を変化させる加速あいは減速時に、クランク軸から減速装置を介して出力軸に到るまでの各構成部品の慣性モーメントと角加速度を掛け合わせた各構成部品の慣性トルクを積算した慣性トルクは大きなものとなり、この大きな慣性トルクでエンジン本体を加振するので、エンジン振動の原因となる問題があり得る。
【0006】
さらにまた、4サイクルエンジンは2サイクルエンジンと違い、燃焼室のガス交換のため吸気弁及び排気弁をクランク軸角に対して所定のカム軸角で開閉駆動している。このため、上記減速装置を、上記駆動プーリと、被駆動プーリと、両プーリを連結するベルトとから構成するか、あるいは上記駆動スプロケットと、被駆動スプロケットと、両スプロケットを連結するチェーンとから構成するとともに、出力軸をカム軸で構成することも考えられる。この場合には、ベルトあるいはチェーンはクランク角に対してカム軸角を所定の閏係に保つ(基準時にクランク軸、カム軸がそれぞれ基準クランク角、基準カム角あるとする時、所定時間後クランク軸、カム軸がそれぞれ基準クランク角、基準カム角から回転する角度をそれぞれクランク角とカム軸角とする時、カム軸角=1/2クランク角の関係を常時保つ)機能、いわゆる調時する機能を有することになるとともに、動力伝達系の一部をなすことになり、クランク軸から出力軸さらには負荷までの間に発生する捩り振動により、可撓性のベルトあるいはチェーンの張力が0あるいは小さくなってしまい、上記調時機能を失ってしまい、安定した出力を発揮させることができない問題がある。
【0007】
さらにまた、カム軸自身が捩り振動を起こす場合には上記調時機能を失ってしまい、安定した出力を発揮させることができない問題がある。
【0008】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、小型かつ軽量で旦つ、回転速度が変化する加速あるいは減速によっても、エンジン本体に加振力が作用しにくくエンジン振動を低減できる4サイクルエンジンを備える船外機を提供することを第1の目的とする。
【0009】
さらにこの発明は、カム軸の捩り振動を低減して吸気弁及び排気弁の開閉駆動を安定化し、安定したエンジン出力を発揮させることが可能な4サイクルエンジンを備える船外機を提供することを第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0011】
請求項1に記載の発明は、『エンジン本体の燃焼室に開口する吸気口と排気口と、これらの吸気口と排気口を各々開閉する吸気弁と排気弁を有し、前記エンジン本体のシリンダに往復動可能に設けられるピストンと、このピストンとクランク軸の間に介設されピストンの往復動をクランク軸の回転に変えるコンロッドと、前記クランク軸と連動するカム軸と、このカム軸に形成されるカムを含み前記吸気弁及び前記排気弁を駆動しカム軸1回転毎に1回前記吸気弁及び前記排気弁を開閉する弁駆動手段と、前記エンジン本体からの出力軸とを有する4サイクルエンジンを備える船外機において、
前記クランク軸の下端部に駆動歯車、前記カム軸に前記駆動歯車に噛合い歯数が前記駆動歯車の2倍の被駆動歯車、前記カム軸に前記出力軸への回転力出力部をそれぞれ配置し
前記駆動歯車と前記被駆動歯車を収容する歯車室を設け、
オイル供給路が、その途中において前記歯車室を通過するように配置されていることを特徴とする船外機。』である。
【0012】
この請求項1に記載の発明によれば、クランク軸回転を1/2に減速してカム軸に伝達する駆動歯車と、被駆動歯車が、クランク軸から出力軸への動力伝達系における減速装置を兼ねることになるので、この分エンジンの大型化且つ重量増大化を防止することができる。また、クランク軸とカム軸は回転方向が逆となり、その分動力伝達系の慣性トルクを小さくできるので、加速あるいは減速時にエンジン本体が加振されない。また、前記駆動歯車と、被駆動歯車からなる変速装置がクランク軸から出力軸さらには負荷までの動力伝達系の一部となり、捩り振動の影響を受けるが、歯車機構であるからクランク軸角とカム軸角の間の調時機能は失われることがない。また、オイル供給路が、その途中において歯車室を通過することで、被駆動歯車及び駆動歯車の潤滑が容易である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、『前記請求項1に記載した4サイクルエンジンにおいて、
前記カム軸は前記被駆動歯車の配置部位を境として一方の側に前記カムを配置し、他方の側に前記回転力出力部を設けたことを特徴とする船外機。』である。
【0014】
この請求項2に記載の発明によれば、カム軸の内カムが設けられる部分そのものが動力伝達系の一部を構成することはないので、カム軸の内カムが設けられる部分が捩り振動を起こすことがない。このため、より確実にクランク軸角とカム軸角の間の調時機能は失われることがない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明するが、この発明はこの実施の形態の説明及び図面に限定されない。
【0016】
まず、図1乃至図7は船外機に適用した実施の形態を示し、図1は船体に船外機を取り付けた状態を示す側面図、図2は船外機のエンジン部分の縦断面図、図3は図2のIII−III線に沿う断面図、図4はオイルミスト分離部の断面図、図5は図2のV-V線に沿う断面図、図6は図2のVI-VI線に沿う断面図、図7は吸気及び排気タイミングを示す図である。
【0017】
この実施の形態の船舶1には、船体2の船尾板2aにブラケットユニット3が固定され、このブラケットユニット3には水平方向に配置されるチルト軸4が支持されている。このチルト軸4の後方には、船外機5のケーシングユニット6が配置され、このケーシングユニット6は傾動ブラケット3aに回動自在に保持され、傾動ブラケット3aはチルト軸4に保持され且つブラケット本体3bに係合されるとともに、係合が解除されればチルト軸回りにチルト可能である。
【0018】
ケーシングユニット6は、トップカウリング6aとアッパーケース6bとロアーケース6cとにより構成され、さらにトップカウリング6aは、アッパーカウル6a1とボトムカウル6a2とからなる。アッパーケース6bは、その上部がエンジンプレート15によってその下部がロアーケース6cによってそれぞれ覆われていて、ロアーケース6cに対してプロペラ8が装着されている。エンジンプレート15の上側には、4サイクルエンジン7と、4サイクルエンジン7を覆うようにボトムカウル6a2とが載置される。ボトムカウル6a2に取付けられるアッパーカウル6a1は船体側を支点にして開けることが可能、またボトムカウル6a2が左右に開けることが可能とされる。これにより4サイクルエンジンEのメンテナンスが可能となる。
【0019】
船外機5は、4サイクルエンジンEの出力軸59が鉛直方向に配置し、この出力軸59の下方端に連結され鉛直方向に配置されるドライブ軸9を有し、このドライブ軸9の下端部に配置されるピニオン502と、ピニオン502に噛合する前後進用の一対の減大歯車503a、503bからなる傘歯車機構を有する前後進及び中立切換装置500により、ドライブ軸9に連結されるプロペラ軸501が配置され、このプロペラ軸501に保持されるプロペラを有する。
【0020】
クランク軸36の回転を減速してプロペラ8に伝達する場合に際して、従来は傘歯車機構で減速していた。これに対してこの実施の形態の船外機5においては、ドライブ軸9はクランク軸36の回転に対して既に1/2に減速されているので傘歯車機構での減速は不要あるいは減速比(=ドライブ軸回転数/プロペラ軸回転数)を小さくできる分、前後方向に配置されるプロペラ軸501に対して垂直方向に配置される減大歯車503a、503bの外形を小さくでき、減大歯車503a、503bを収容するロワーケース6cの進行方向の投影面積を小さくでき流体抵抗を小さくできる。また、カム軸50を出力軸59とし、傘歯車機構での滅速を加えることにより、全体減速比(=クランク軸回転数/プロペラ回転数)を大きくすることで、クランク軸36における回転トルクを、プロペラ軸501においてより大きな回転トルクとすることができ、大きな推進力を得られるようにすることができるので加速性を向上できる。且つ、この場合でも減大歯車503a、503bの外形を小さくでき、あるいは従来と同等とすることで流体抵抗を小さくできるかあるいは同等のままとすることができる。
【0021】
この4サイクルエンジンEのエンジン本体10には、その一方の側部に吸気マニホールド11が取り付けられ、他方の側部に排気マニホールド12が取り付けられている。吸気マニホールド11には、気化器13、吸気サイレンサ14がこの順に接続され、これらで構成される吸気系により吸気される。排気マニホールド12は冷却フィン12aを有し、この排気マニホールド12は、エンジン本体10が載置されるエンジンプレート15に接続されている。エンジンプレート15には排気通路16が形成され、排気マニホールド12からの排気ガスが排気通路16を介してアッパーケース6b内に形成される膨張室18に導かれ、これらで形成される排気系により排気される。アッパーケース6bはエンジンプレート15に支持され、このアッパーケース6bにはブッシュ19、ダンパーラバー20を介して回動可能に傾動ブラケット3aに支持されている。
【0022】
また、エンジン本体10の上方には燃料タンク21が取付けられ、燃料タンク21の注入部21aがアッパーカウル6a1から上方に突出し、キャップ22を取り外して燃料が供給される。気化器13は、4サイクルエンジンEのクランク室23の圧力脈動を利用して燃料タンク21から燃料を導き、余剰燃料を燃料タンク21に還流させ、どのような姿勢でも吸気通路に燃料を供給することができるようになっている。
【0023】
エンジン本体10は、ヘッドカバー30と、シリンダヘッド31aが一体に形成されるシリンダブロック31のシリンダ本体と、このシリンダブロック31に接合されるクランクケース32とからなっている。シリンダブロック31には、ピストン33を収容する単一のシリンダ34が中心部に備えられ、このシリンダ34内をピストン33が往復動する。シリンダ本体の外周には多数の冷却フィン31bが備えられている。
【0024】
クランクケース32は、一対のケース半体32a、32bを、それらの周縁に並ぶ複数の図示しないボルトにより相互に接合され、ピストン33にコンロッド35を介して連接するクランク軸36は、両ケース半体32a,32b間でボールベアリング37,38により軸支され、シール部材39,40によりシールされ、鉛直方向に配置されるクランク軸36がクランクケース32を貫通する。
【0025】
クランク軸36の上端部には、フライホイールマグネット41、その上側にマニュアルスタータ手段42が配置されている。フライホイールマグネット41はケース43により覆われ、クランク軸36の回転によりフライホイールマグネット41のフライホイール44が連動して回転し、外気がアッパーカウル6a1のルーバ45から下向きに吸入されて水滴が分離され、さらに外気がケース43の吸入孔43aから導入され、さらに外気がケース43の吸入孔43aから導入され、エンジン本体10を覆うシュラウド46によりエンジン本体10の外周との間に形成される空気流路47を流れてエンジン本体10の冷却を行ない、排気マニホールド12が貫通するボトムカウル6a2の開口を通り外部に排出される。このとき排気マニホールド12の冷却を行う。
【0026】
マニュアルスタータ手段42はカバー48に備えられ、スタータブリップ49を引くことによりマニュアルスタータ手段42の回転部材がフライホイール44のプレート44aに係合してクランク軸36を強制的に回転し、これによりエンジンの始動が行なわれる。
【0027】
クランク軸36の下端部の他方には、カム軸50に配置される被駆動歯車51を駆動する駆動歯車52が配置され、クランク軸36の回転を1/2に減速してカム軸50に伝達するカム軸駆動手段Aを構成する。この駆動歯車52はシール部材53によりシールされている。カム軸50の上方端は、シリンダ本体のシリンダブロック31にボールベアリング54を介して支持され、下方端はカバー部材55にボールベアリング56を介して支持され、シール部材57によりシールされている。カバー部材55は、シリンダブロック31に接合され、接合部に被駆動歯車51及び駆動歯車52等を収納する歯車室58が形成される。
【0028】
カム軸50には、ドライブ軸9がスプライン係合により同軸上に連結され、カム軸50によりエンジン本体10からの出力軸59が構成され、この出力軸59が鉛直方向に配置され、出力軸59の下方端にドライブ軸9が連結されて鉛直方向に配置される。このようにクランク軸36から出力軸59への動力伝達の途中にカム軸駆動手段Aが配置される。また、クランク軸方向の投影範囲にカム軸50を配置することで、上方から見てエンジン本体10さらにはアッパーケース6bがコンパクトになり、船尾のスペースが確保でき、機掛け、網打ち、乗り降りが容易になる。
【0029】
吸気通路60と排気通路61は、燃焼室62へ開口し、この燃焼室62への吸気口60b及び排気口61bは、弁駆動手段Bにより開閉される。また、シリンダヘッド31aには、点火プラグ64が燃焼室62に臨むように取り付けられている。
【0030】
弁駆動手段Bは、吸気口60b及び排気口61bを開閉する吸気弁65及び排気弁66と、この吸気弁65及び排気弁66の頭部に設けられるタペット65a,66aと、吸気弁66及び排気弁66を常に閉じ方向に付勢するスプリング67,68と、吸気弁66及び排気弁66を押動するロッカアーム69,70と、このロッカアーム69,70をアジャストスクリュウ69a、70aを介して押動するプッシュロッド91,92と、アジャストスクリュウ69a、70aの緩み止めをするロックナット69b、70bと、プッシュロッド91,92と当接しカムフォロア軸93に支持されるカムフォロア94,95と、このカムフォロア94,95を押動するカム軸50に形成されるカム96とから構成される。すなわち、カム軸50の上部に被駆動歯車51が設けられ、下部が回転力出力部50aとなり、被駆動歯車51と回転力出力部50aとの中間部にカム96が設けられる。
【0031】
カムフォロア軸93の上方端は、シリンダ本体のシリンダブロック31に支持され、下方端はカバー部材55に支持されている。この弁駆動手段Bは、クランク軸36の2回転毎に図7に示す開閉タイミングで吸気弁65及び排気弁66を1回開閉する。
【0032】
このように、カム軸駆動手段Aと、弁駆動手段Bとを配置し、カム軸50を動力伝達系の一部とする構成により、出力軸59の位置をクランク軸36の位置からずらすことが可能であり、しかもクランク軸回転数の1/2に減速できる。また、出力軸59をカム軸50で構成したから、出力軸59の回転数を特別な減速装置がなくてもクランク軸回転数の1/2に減速可能であり、小型化軽量化が可能である。しかも出力軸59はクランク軸36及びフライホイール44と逆回転となるので加速、減速時のトルク反力を軽減できる。
【0033】
すなわち、フライホイール44、クランク軸36、駆動歯車50、被駆動歯車51及びカム軸50がエンジン本体10内の動力伝達系を構成し、それぞれの慣性モーメントと角加速度を掛け合わせたものの積算した慣性トルク(トルク反力)でエンジン本体10を加振する。しかし、フライホイール44、クランク軸36及び駆動歯車50の回転方向に対して、被駆動歯車51及びカム軸50の回転方向が逆となり角加速度のベクトル方向も逆となり、積算した慣性トルクは小さくなる。特に、船外機5においては、エンジン本体10に加えアッパーケース6bやロワーケース6c等からなるケーシングユニット6全体に、出力軸の慣性トルクにドライブ軸9の慣性トルクが加わった大きなトルク反力が作用することになり、このトルク反力はケーシングユニット6をプッシュ19回りに回動させる力となり、ボトムカウル6a2に設けられケーシングユニット6全体を回動させて操舵するステアリングハンドル6aに作用し、操舵荷重を変化増大させ、いわゆるハンドル取られを引き起こす可能性があるが、この実施の形態においては、出力軸59及びドライブ軸9の回転方向と、クランク軸36の回転方向を変更しているので、操舵荷重の変化を小さくし、ハンドル取られを引き起こしにくくしている。
【0034】
さらに、フライホイール44、クランク軸36、駆動歯車50、被駆動歯車51、カム軸50、ドライブ軸9及びプロペラ軸501からなる動力伝達系は、エンジンそのものがレシプロ式であることもあり、大きな捩り振動を起こす場合があるが、クランク軸36とカム軸50は駆動歯車50と被駆動歯車51によって強固に連結されるので、クランク軸角とカム軸角の間にずれが起きにくい(調時が正しく行われる)ので、カム96、カムフォロワ94、95、プッシュロッド91、92、ロッカーアーム69、70は、クランク角に対応して往動し、吸気弁65及び排気弁66は所定のクランク角で正しく開閉する(図7に示すクランク角に対応する排気弁、吸気弁のバルブリフト曲線が、クランク軸36の2回転毎に正しく再現される)ので、常に安定したエンジン出力が発揮される。
【0035】
カバー部材55は排気ガイド15の上面に配置され、エンジンプレート15はケーシングユニット6を構成するアッパーケース6bの上端部に接合するようにされている。アッパーケース6bは上部を上方に開口しており、エンジンプレート15でこの開口を閉栓するようにしている。
【0036】
シリンダヘッド31aには、吸気通路60と排気通路61が設けられ、エンジンプレート15には排気通路16が設けられており、エンジンプレート15をカバー部材55を介してシリンダ本体のシリンダブロック31に接合するとともに、エンジンプレート15をシリンダヘッド31aにも同時に排気マニホールド12を介して接合するようにし、接合によりシリンダヘッド31a内の排気通路61と、エンジンプレート15内の排気通路16を連通させるようにしている。シリンダヘッド31aに形成される排気通路出口61aと、エンジンプレート15のケーシング側壁に設けられる開口との間を排気マニホールド12で連結されている。エンジンプレート15内の排気通路16の下端部は、アッパーケース6bの上部開口内に向け開口する。
【0037】
このようにクランク室23を船体側に、シリンダヘッド31を非船体側に配置し、エンジンの出力軸59に連結されケーシングユニットに収納されるドライブ軸手段Cを有し、このドライブ軸手段Cの端部にプロペラ8を配置し、このドライブ軸手段Cはカム軸50に連結し、ドライブ軸手段Cとチルト軸4の間の前後方向の距離を一定に保ったまま、カム軸50に対して船体側にクランク軸36を配置したから、エンジンがチルト軸4の上側において船体側にずれることになり、船外機5のチルト軸4周りに回動する傾動部の重心がチルト軸側に寄ることになりチルトアップ荷重を軽減できる。
【0038】
なお、通常チルトアップはアッパーカウル6a1の後部の上方角に船体内から手を掛けて実施されるか、油圧あるいは電動のチルトアップ装置により実施される。
【0039】
クランク室23を形成するクランクケース32のケース半体32bには、クランク室23に隣接し弁室72が配置され、この弁室72は逆止弁71を介して連通する。また、クランク室23の船体側にオイル収納する弁室72が配置されることから、オイル重量に対してもチルトアップ荷重が軽減できる。
【0040】
弁室72と、吸気弁65及び排気弁66の端部を押圧する動弁系部品を収容する動弁系収容室73とを連通する第1オイル供給路74と、動弁系収容室73の下部とクランク室23内を連通する第2オイル供給路75とが配置されている。
動弁系収容室73は、歯車室73aとタペット室73bとからなり、この歯車室73aとタペット室73bはプッシュロッド孔73cにより連通されている。第1オイル供給路74は、カバー部材内オイル通路74a、シリンダブロック内オイル通路74b、シリンダヘッド内オイル通路74c及びヘッドカバー内オイル通路74dから構成される。第2オイル供給路75は、ケース半体内オイル通路75aから構成される。
【0041】
第2オイル供給路75の出口をクランク軸36、コンロッド35及びピストン33からなるクランク室内連動部品と対向させている。ここではウェブ36aの側面と対向させている。第2オイル供給路75は、クランクケース32のケース半体32bに形成され、途中において歯車室58を通過するようになっており、被駆動歯車51及び駆動歯車52の潤滑が容易である。
【0042】
また、第1オイル供給路74とクランク室23とを連通するオイル連通路76が、カバー部材内オイル通路76aと、クランク軸36の軸心からウェブ36aを通るクランク軸内オイル通路76bから構成されている。
【0043】
弁室72の上部にはオイル注入口72aが設けられ、このオイル注入口72aにキャップ99が脱着可能に取り付けられ、弁室72の底部には、ドレンプラグ77が設けられており、弁室72をオイルパンとして利用できる。また、弁室72の上部にはオイル注入口72aが設けられることから、キャップ99を取り外すことでオイル注入の作業を容易に行なうことができる。また、オイル注入口72a及びドレンプラグ77が船体側に集中して配置されており、船上からオイルメンテナンスを容易に行なうことができる。
【0044】
逆止弁71を通りオイルミストと共にクランク室内ガスが弁室72に入ると、その分弁室内のオイルが押し出され循環し、ピストン33の1往復毎に逆止弁71を通りクランク室内ガスがオイルミストとともに弁室に入るので、注入時のオイルは順次押し出され、循環路の途中部に滞留して潤滑する。
【0045】
この4サイクルエンジンEには、クランク室23と外部を連通するブローバイガス排出路78が配置されている。このブローバイガス排出路78は、オイルミスト分離器79と、シリンダ本体内空気通路80aと、シリンダヘッド内空気通路80bと、ヘッドカバー内空気通路80cと、ヘッドカバー30と吸気サイレンサ14とを絞り81を介して連通するブローバイガスパイプ82から構成されている。オイルミスト分離器79は、図4に示すように、サイクロン室79aを有し、導入口79bからミスト状のオイルがサイクロン室79aに入ると、このサイクロン室79aでオイル部分が分離されてブローバイガスが排出口79cからシリンダ本体内空気通路80aへ排出される。
【0046】
この4サイクルエンジンEでは、弁室72であるL字形オイルパン室内のオイルは、L宇形オイルパン室内下部に滞留する。弁室72がL字形のオイルパン室であり、その底部の角部にオイル押し込み口74a1が形成されており、縦置きあるいは横置きのエンジンに兼用でき、さらに傾斜しても運転可能である。
【0047】
この4サイクルエンジンEの運転で、ピストン33の上死点から下死点への移動に伴うクランク室23の圧力が変動し、クランク室23からオイルミストが逆止弁71を介して弁室72のL字形オイルパン室に送り込まれ、このクランク室23、さらには逆止弁71を介してのL字形オイルパン室内の昇圧により、滞留するオイルはドレンプラグ77近傍のオイル押し込み口74a1から第1オイル供給路74内に入る。
【0048】
オイルは、第1オイル供給路74から分岐してオイル連通路76を流れ、クランク軸36のクランクウェブ36aの遠心作用によりクランク室23にミスト状となって循環する。
【0049】
一方、分岐しないオイルは、第1オイル供給路74からタペット室73b、ロッド孔73c及び歯車室73aを通り、第2オイル供給路75からクランク室23に循環する。
【0050】
オイル連通路76のクランク軸内オイル通路76bからクランクウェブ36aの出口76b1に到達するオイルに対して、ピストン33の下死点から上死点への移動に伴うクランク室内圧力の低下により負圧が作用する。さらに、クランクウェブ36aの出口76b1のオイルには遠心力も作用し、これにより、クランクウェブ36aの出口76b1からオイルがミスト状となってクランク室23内に入る。
【0051】
また、第1オイル供給路74を経てタペット室73b内に入るオイルは下部に滞留し、タペット室内下部に形成されるプッシュロッド孔73cのタペット室側開口端から、プッシュロッド孔73cを経て歯車室73aに入り、歯車室73aに開口する第2オイル供給路75の入口75a2から第2オイル供給路75内に入り、クランク室内圧力が低下した時、出口75a1からクランク室23内に流出する。出口75a1はクランクウェブ36aに対面しており、流出したオイルはクランクウェブ36aに付着し、且つ遠心力によりクランク室23内にミスト状に飛散し、クランク室23内においてオイルはミスト状に存在することになる。
【0052】
このようにクランク室23内においてオイルは、ミスト状になって存在し、ピストン33の上死点から下死点への移動に伴ってクランク室内圧力は上昇し、オイルミストは逆止弁71を通ってクランク室内空気とともに、弁室72のL字形オイルパン室に入り、このL字型オイルパン室を昇圧する。L字形オイルパン室内のオイルはL宇形オイルパン室内下部に、クランク室内空気を気泡として含んだ形で滞留する。
【0053】
プローバイガスを含むクランク室内空気は、オイルミスト分離器79によりオイルミストが分離されて、シリンダ本体内空気通路80a、シリンダヘッド内空気通路80b、ヘッドカバー内空気通路80c、絞り81、ブローバイガスパイプ82を介して吸気サイレンサ14へ排出され、吸気通路60を通り燃焼室62で燃焼成分が燃焼せられ、排気ガスとなって排気通路61から排出される。ブローバイガスパイプ82は、エアクリーナあるいは気化器に接続し、これらにブローバイガスを排出するようにしてもよい。
【0054】
また、ブローバイガス排出路78には、絞り81があるので、クランク室内空気が多量に流出してクランク室内圧力さらにはL字型オイルパン室内圧力の上昇を阻害することはない。
【0055】
また、第1オイル供給路74、第2オイル供給路75及びオイル連通路76の各オイル通路を流れるオイルには全ブローバイガス量の一部からなる気泡が含まれることになるが、しかし量は少ないので被潤滑部への影響は少ない。さらに、タペット室73bで気泡が一部分離されてタペット室圧力が上昇するが、結局タペット室下部に滞留するオイルとともにガス成分が流出してプッシュロッド孔73cから歯車室73aへと流れ、オイルの循環が可能となる。
【0056】
また、ブローバイガス排出路78の他の実施の形態としてタペット室73bの上部に開口を設け、絞りを介して吸気サイレンサあるいは気化器と連通パイプで連結しても良く、絞りによりタペット室73bの圧力が低下することによる、タペット室73bからのオイル循環不良を防止しつつ、歯車室73aへのブローバイガスを含む気泡の量を減らすことができる。
【0057】
このようにこの実施の形態のオイル潤滑機構では、ピストン33の往復動により弁室72であるオイルパン室内の圧力を高めることにより、オイルポンプが不要となる。しかも、オイルパン室下部の押し出し口74a1からオイル循環を開始しており、オイルパン室内のオイル量が少ない場合でも、オイル循環が可能となる。さらに、空気を循環させるとその分、オイル循環量が不足し被潤滑部を傷め易いし、またブローバイガスは腐食性があり、循環するオイルヘの混入量が多いと長期の運転により被潤滑部を傷め易いが、循環するオイルヘのブローバイガスの混入量を少なくすることにより、被潤滑部の耐久性が向上する。
【0058】
図8乃至図10は参考例の芝刈り機に適用した実施の形態を示し、図8は芝刈り機の側面図、図9は芝刈り機の一部を破断した拡大側面図、図10は芝刈り機のエンジン部分の断面図である。
【0059】
この実施の形態の芝刈り機101には、4サイクルエンジンEが搭載されており、この4サイクルエンジンEは図1乃至図7に示す船外機に搭載されるものと同様に構成され、同様な作用効果を有するから、同じ符号を付して説明を省略する。
【0060】
芝刈り機101は、前後に配置される各々左右一対の車輪102、103に支持されるカッターデッキ104を有している。このカッターデッキ104はアルミ鋳造製、樹脂製、もしくは板金製であり、このカッターデッキ104には後部から後上方に突出するハンドル105が取り付けられている。ハンドル105を前方へ押動すれば、車輪102、103が芝面106上を転動してカッターデッキ104が前方移動する。
【0061】
カッターデッキ104上には4サイクルエンジンEが搭載され、燃料タンク21はステー130,131によりエンジン本体10に支持されている。この4サイクルエンジンEは、クランク軸36が鉛直方向に配置され、カム軸50に接続されたドライブ軸9の下端にはクラッチ112を介して水平方向に延びるカッターブレード113がボルト114により着脱自在にねじ止めされている。この4サイクルエンジンEでは、エンジン回転数を増大させることで小排気量で小型軽量のエンジンでも大きな出力を得ることができ、接続する機器の要求回転数まで減速するに当たり特に減速装置が不要となる分小型軽量化が可能である。
【0062】
カッターブレード113の両端にはそれぞれ刈刃113aが形成されており、4サイクルエンジンEを駆動させて図9の矢印で示す方向にカッターブレード113を回転させ、かつ、カッターデッキ104を前方移動させれば、刈刃113aが芝面106の芝を前方移動に伴って順次刈り取ることとなる。
【0063】
カッターデッキ104の下面側はカッターブレード113の回転軌跡の上面と外周面とを覆う平面視円形状をなし、即ち、このカッターデッキ104はカッターブレード113のハウジング115ともなっている。また、カッターデッキ104には、ハウジング115の両側部下端と芝面106との隙間119を覆うように前後方向に延びる左右一対のカバープレート120が設けられている。
【0064】
ハウジング115の後部には、集草バッグ118が連接され、通気製のある樹脂製鋼材で成形されている。そして、カッターブレード113を回転させれば、これに伴い起風羽根116も回転し、カッターブレード113により刈り取られた刈り草がこの起風羽根116により生じた空気流と共にハウジング115の後部に達すると、集草バッグ118内に投げ込まれる。ここで、空気流は集草バッグ118を通過して外部に放出され、一方、刈り草はこの集草バッグ118内に残されて収容される。この状態で、ハンドル105の押動操作によりカッターデッキ104を前方移動させれば、この前方移動に伴って上記のような芝刈り作業が順次行われる。なお、21aは4サイクルエンジンEの上部を覆うエンジンカバーである。
【0065】
なお、この芝刈り機101においても、トルク反力が大きい場合にはドライブ軸9回りにローリングが起きて走行軌道がずれたり、全体が大きく振動する可能性があるが、出力軸59及びドライブ軸9の回転方向と、クランク軸36の回転方向を変更しているので、トルク反力を小さくすることができ、走行軌道のずれを防止でき、トルク反力に起因する振動を抑えることができる。また、クランク軸36からカッターブレード113に到る動力伝達系は、エンジンそのものがレシプロ式であることもあり、大きな捩り振動を起こす場合があるが、クランク軸角とカム軸角の間にずれが起きにくい(調時が正しく行われる)ので、吸気弁65及び排気弁66は所定のクランク角で正しく開閉するので、常に安定したエンジン出力が発揮される。
【0066】
図11は汎用エンジンに適用した実施の形態を示し、図11は汎用エンジンの断面図である。
【0067】
この実施の形態の汎用エンジン201には、4サイクルエンジンEが搭載されており、この4サイクルエンジンEは図1乃至図7に示す船外機に搭載されるものと同様に構成され、同様な作用効果を有するから、同じ符号を付して説明を省略する。
【0068】
汎用エンジン201は、縦方向に配置された左右一対の環状の支持フレーム202が上下に配置される各々前後一対のフレームパイプ203,204で連結して構成された枠体205を有し、この枠体205内にエンジン本体10が配置されている。枠体205の支持フレーム202の下部はアンカー用ステー206により設置面207に固定される。エンジン本体10の下部は、支持フレーム202の下部に設けられ左右の支持フレーム202に連結固定されたステー208にマウント209を介して支持され、エンジン本体10の上部は支持フレーム202の上部に設けられ左右の支持フレーム202に連結固定されたステー210にマウント211を介して支持され、エンジン本体10の振動を抑えるような支持構造になっている。
【0069】
4サイクルエンジンEはクランク軸36が水平方向になるように搭載され、カム軸50により構成される出力軸59に、各種機器が接続される。燃料タンク21は枠体205の上部に配置され、この燃料タンク21にはエンジンに燃料を供給する燃料供給管220が接続されている。燃料供給管220に配置した燃料コック221は、支持フレーム202に固定したステー222に取り付けられている。この4サイクルエンジンEでは、エンジン回転数を増大させることで小排気量で小型軽量のエンジンでも大きな出力を得ることができ、接続する機器の要求回転数まで減速するに当たり特に減速装置が不要となる分小型軽量化が可能であり、枠体205にコンパクトに搭載される。
【0070】
なお、クランク軸36を出力軸59であるカム軸50より下方とすることで、出力軸59の位置を上方にしつつ、4サイクルエンジンEを下方に配置することができ、汎用エンジン201としての全高を小さくできる。さらにクランク軸36及びカム軸50の上下方向配置を維持したまま、シリンダ34を水平方向とすることにより、汎用エンジン201としての全高をより小さくできる。
【0071】
なお、この汎用エンジン201においても、アンカー用ステー206を介して汎用エンジン201を単に地面に置いている場合においてトルク反力が大きいと、クランク軸36ローリングが起きて、アンカー用ステー206の正しい接地が崩れ出力軸59により負荷を正しく駆動できなくなる可能性があるが、出力軸59の回転方向と、クランク軸36の回転方向を変更しているので、トルク反力を小さくすることができ、アンカー用ステー206の正しい設置の崩れを防止でき、トルク反力に起困する振動を抑えることができる。また、クランク軸36から出力軸59に到る動力伝達系は、エンジンそのものがレシプロ式であることもあり、大きな捩り振動を起こす場合があるが、クランク軸角とカム軸角の間ずれが起きにくい(調時が正しく行われる)ので、吸気弁65及び排気弁66は所定のクランク角で正しく開閉するので、常に安定したエンジン出力が発揮される。
【0072】
図12乃至図14は船外機に適用した他の実施の形態を示し、図12は船舶に搭載した船外機の縦断面図、図13は船外機のエンジン部分の縦断面図、図14は図13のXIV-XIV線に沿う断面図である。
【0073】
この実施の形態の船外機301には、水冷式の4サイクルエンジンEが搭載されており、この4サイクルエンジンEは図1乃至図7に示す船外機に搭載されるものが空冷式である点と、燃料タンク21が船体302に配置される点で異なるが、その他は同様に構成されるものは、同じ符号を付して説明を省略する。
【0074】
船体302の船尾板302aには、クランプブラケット303及びスイベルブラケット304を介して、船外機301がチルト軸360周りにチルト可能であり、かつ転舵可能に支持されている。
【0075】
船外機301の上部には4サイクルエンジンEが搭載され、船体302に配置された燃料タンク21から燃料がプライマリーポンプ340でエア抜けがされた後、不図示の燃料ポンプの駆動で供給される。4サイクルエンジンEの出力軸59には、ドライブ軸9の上端部が接続され、ドライブ軸9の下端部には、シフトロッド309、シフトカム310、ピニオン311、一対の前進用、後進用の減大歯車312a、312b、及び不図示のクラッチドッグからなる前後進及び中立切換装置306を介して、プロペラ軸307、プロペラ308が接続されている。前後進及び中立切換装置306は、シフトロッド309に加えるシフト操作によってシフトカム310を作動し、ドライブ軸9とプロペラ軸307との連結状態を中立、前進、後進の各状態のいずれかに設定可能としている。
【0076】
このように4サイクルエンジンEを搭載した船外機301では、全体減速比(=クランク軸回転数/プロペラ回転数)が従来と同一でも、この実施の形態においては、カム軸50を出力軸59としており、従来のものより傘歯車機構での減速は不要あるいは減速比(=ドライブ軸回転数/プロペラ軸回転数)を小さくできる分、前後方向に配置されるプロペラ軸307に対して垂直方向に配置される減大歯車312a、312bの外形を小さくでき、減大歯車313a、313bを収容するロワーケース6cの進行方向の投影面積を小さくでき流体抵抗を小さくできる。また、全体減速比(=クランク軸回転数/プロペラ回転数)を従来のものより大きくすることで、クランク軸36における回転トルクを、プロペラ軸307においてより大きな回転トルクとすることができ、大きな推進力を得られるようにすることができるので加速性を向上できる。旦つ、この場合でも減大歯車312a、312bの外形を小さくでき、あるいは従来と同等とすることで流体抵抗を小さくできるかあるいは同等のままとすることができる。
【0077】
また、加速あるいは減速する場合でもトルク反力を小さくできるので、アッパーケース6bより船体側となるステアリング軸341回りにケーシングユニット6全体を回動させて、ステアリングハンドル6dの操舵荷重を変化増大させるいわゆるハンドル取られを小さくできる。また、クランク軸36から出力軸59に到る動力伝達系は、エンジンそのものがレシプロ式であることもあり、大きな捩り振動を起こす場合があるが、クランク軸角とカム軸角の間にずれが起きにくい(調時が正しくおこなわれる)ので、吸気弁65及び排気弁66は所定のクランク角で正しく開閉するので、常に安定したエンジン出力が発揮される。
【0078】
ドライブ軸9には水ポンプ330が設けられ、水ポンプ330の駆動によりロアーケース6cに設けられた水吸い込み口331から冷却水が吸い込まれ、冷却水用パイプ332を介してエンジンプレート15に形成された冷却水通路333からエンジン本体10の水ジャケット350に供給され、各部を冷却する。
【0079】
排気マニホールド12には水ジャケット351が形成されており、水ジャケット350から冷却水が水ジャケット351に導かれ、排気マニホールド12を冷却してエンジンプレート15に形成された冷却水通路352を介してアッパーケース6b内の膨張室18へ排出される。ここで17は、エンジンプレート15の下側に取り付けられ出力向上を図るための排気マフラである。
【0080】
さらに、図15は参考例のスクータに適用した実施の形態を示した、スクータ上面視の動力伝達図である。
【0081】
スクータ600は前部にステアリングハンドル601、前輪602、後部に後輪603を有し、中央部不図示の座席の下方に2気筒の4サイクルエンジンEを搭載している。クランク軸36の端部に駆動歯車52が配置され、駆動歯車52はクランク軸36に平行に配置されるカム軸50に保持される被駆動歯車51を回転駆動する。カム軸50の一方の端部にフライホイール44が配置され、他方の端部は無段減速装置611への出力軸59となっている。
【0082】
4サイクルエンジンEに、主に前記無段減速装置611、前方傘歯車機構612、ドライブ軸613、後方傘歯車614からなる動力伝達装置610が接続されいる。クランク軸36の回転力は、1/2に減速されてカム軸50に伝達され、遠心式の無段減速装置611でさらに減速されて、前方傘歯車機構612、ドライブ軸613、後方傘歯車614を経て後輪603に伝達される。
【0083】
この実施の形態においても、全体減速比(=クランク軸回転数/後輪回転数)をより大きくできるので、エンジンは従来のものより小型高速型のものとすることができ、エンジン重量を小さく、且つコンパクトなものとすることができる。また、無段減速装置611は伝達力は大きくなるが、回転速度を小さくできるので、ベルト61laに作用する遠心力を小さくできるので、結果として強度を向上できる。また、フライホイール44をカム軸に配置したので、クランク機構に伴うクランク軸36から後輪603に到る動力伝達系のトルク変動をフライホイール44の重量を小さくしても低減可能となり、重量軽減が可能となる。
【0084】
さらに、この実施の形態においても、捩り振動の加振源となるクランクピン36bからクランク軸36、駆動歯車52、被駆動歯車51、無段変速減速機構611、前方傘歯車機構612、ドライブ軸613、後方傘歯車機構614、後輪603に到る動力伝達系が捩り振動を発生させたとしても、駆動歯車52と被駆動歯車51により、クランク角に対するカム軸角の関係を常時所定の関係に保持する調時機能を確保できるので、燃焼室内のガス交換が捩り振働に拘らず常に安定して行われ、安定したエンジン出力を得ることができる。
【0085】
なおさらに、フライホイール44をカム軸50の端部位置50Bに配置するのを止めて、クランク軸36上(例えば端部位置36A)に配置する場合には、カム軸50は被駆動歯車51の配置部位を境として、一方の側にカム59を配置し、他方の側に回転力出力部50aを設けることになるので、カム軸50自身が単独で捩り振動を発生しにくくなり、技駆動歯車51の配置部位に対してカム59の配置部位が捩れることがなくなるので、クランク角に対するカム59の配置部位におけるカム軸角が常に所定の関係に保たれることになり、安定したエンジン出力を得ることができる。
【0086】
またさらに、フライホイール44をカム軸50の端部位置50Bに配置するのを止めて、カム軸50上の端部位置50Cに配置する場合にも同様、被駆動歯車51の配置部位に対してカム59の配置部位が捩れることがなくなるので、クランク角に対するカム59の配置部位におけるカム軸角が常に所定の関係に保たれることになり、安定したエンジン出力を得ることができる。且つフライホイール44をクランク軸に取り付けた場合に比ベ、フライホイール44の慣性マスを小さくできる。
【0087】
なお、上記いずれの実施の形態においても、駆動歯車52及び駆動歯車52は、弁の開閉タイミングを同期させるためカム軸をクランク軸に対して1/2に減速する機能と、動力伝達系における減速装置としての機能の両方を持たせることになり、部品点数の減少を図ることができ、旦つクランク角に対してカム軸角を所定の関係に常時安定して調時するので、安定したエンジン出力を得ることができる。
【0088】
【発明の効果】
前記したように、請求項1に記載の発明では、クランク軸に駆動歯車と、カム軸に駆動歯車に噛合い歯数が駆動歯車の2倍の被駆動歯車と、カム軸に出力軸への回転力出力部とをそれぞれ設けたから、出力軸の回転数を特別な減速装置がなくてもクランク軸回転数の1/2に減速可能であり、小型且つ軽量のエンジンで高い出力、高い出力トルクを得ることが可能であり、且つ加速、減速時のトルク反力を軽減できるとともに、クランク角に対してカム軸角を所定の関係に常時安定して調時するので、安定したエンジン出力を得ることができる。また、オイル供給路が、その途中において歯車室を通過することで、被駆動歯車及び駆動歯車の潤滑が容易である。
【0089】
請求項2に記載の発明では、カム軸は被駆動歯車の配置部位を境として一方の側にカムを配置し、他方の側に回転力出力部を設けたから、クランク角に対して、カムの配置部位におけるカム軸角が常に所定の関係に保たれることになり、安定したエンジン出力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】船体に船外機を取り付けた状態を示す側面図である。
【図2】船外機のエンジン部分の縦断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】オイルミスト分離部の断面図である。
【図5】図2のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図2のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】吸気及び排気タイミングを示す図である。
【図8】参考例の芝刈り機の側面図である。
【図9】芝刈り機の一部を破断した拡大側面図である。
【図10】芝刈り機のエンジン部分の断面図である。
【図11】汎用エンジンの断面図である。
【図12】船舶に搭載した船外機の縦断面図である。
【図13】船外機のエンジン部分の縦断面図である。
【図14】図13のXIV−XIV線に沿う断面図である。
【図15】参考例のスクータにおける上面視の動力伝達図である。
【符号の説明】
10 エンジン本体
33 ピストン
34 シリンダ
35 コンロッド
36 クランク軸
50 カム軸
59 出力軸
60 吸気通路
62 燃焼室
E 4サイクルエンジン
A カム軸駆動手段
B 弁駆動手段

Claims (2)

  1. エンジン本体の燃焼室に開口する吸気口と排気口と、これらの吸気口と排気口を各々開閉する吸気弁と排気弁を有し、前記エンジン本体のシリンダに往復動可能に設けられるピストンと、このピストンとクランク軸の間に介設されピストンの往復動をクランク軸の回転に変えるコンロッドと、前記クランク軸と連動するカム軸と、このカム軸に形成されるカムを含み前記吸気弁及び前記排気弁を駆動しカム軸1回転毎に1回前記吸気弁及び前記排気弁を開閉する弁駆動手段と、前記エンジン本体からの出力軸とを有する4サイクルエンジンを備える船外機において、
    前記クランク軸の下端部に駆動歯車、前記カム軸に前記駆動歯車に噛合い歯数が前記駆動歯車の2倍の被駆動歯車、前記カム軸に前記出力軸への回転力出力部をそれぞれ配置し
    前記駆動歯車と前記被駆動歯車を収容する歯車室を設け、
    オイル供給路が、その途中において前記歯車室を通過するように配置されていることを特徴とする船外機
  2. 前記請求項1に記載した4サイクルエンジンにおいて、
    前記カム軸は前記被駆動歯車の配置部位を境として一方の側に前記カムを配置し、他方の側に前記回転力出力部を設けたことを特徴とする船外機
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