JP4232178B2 - エンジンの点火制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、CDI方式をとるエンジンの点火装置における制御スイッチ素子をオン,オフして点火コイルの一次電流の通電、しゃ断を行わせるエンジンの点火制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、CDI方式をとるエンジンの点火装置としては、図7に示すように、制御スイッチ素子としてのトランジスタQのオフ時にコンデンサCの充電が行われ、そのトランジスタQのオン時にコンデンサCが放電して点火コイルIGCの一次側に電流が流れて、その二次側の点火プラグPにスパークが生ずるようになっている。
【0003】
従来、このようなCDI方式をとるエンジンの点火装置における制御スイッチ素子をオン,オフして点火コイルの一次電流の通電、しゃ断の制御を行わせる場合、エンジンの回転に同期したパルス信号を発生するパルス発生装置を設けて、そのパルス信号に応じて制御スイッチ素子のオン,オフを行わせるようにしている。
【0004】
そのときのエンジンの点火制御としては、エンジンの1回転ごとに、所定の位置で制御スイッチ素子を一時的にオン状態にする点火トリガ信号が得られれば制御が可能となる。
【0005】
その際、エンジンの1回転ごとにパルス発生装置から得られるパルス信号が図8(a)に示すように、パルス幅の狭いものであれば、エンジンの始動時や低回転時にあってもそのパルス信号がハイレベルHになっているあいだ制御スイッチ素子をオン状態にするという簡単な制御ですむ。図中、Tはエンジンの1回転の周期である。図8(b)は点火コイルの一次側の電流特性を示している。
【0006】
しかし、このようなエンジンの回転に応じてパルス幅の狭いパルス信号を所定の位置で的確に発生させるためには、パルス信号発生装置の精度が要求されるものとなっている。
【0007】
また、パルス信号発生の位置精度が問題にならないように、エンジンの1回転当りデューティ50%のパルス信号を発生するパルス発生装置を用いることが考えられる。
【0008】
その場合、図9(a)に示すデューティ50%のパルス信号がハイレベルHになっているあいだ制御スイッチ素子をオン状態にして、図9(b)に示すような一次電流を流すようにするのでは、点火コイルの一次側に電流を流す時間が長くなり、電力損失が大きくなってしまう。また、エンジンの高回転時には、制御スイッチ素子のオフ期間が短くなって、コンデンサの充電電圧が上がらなくなってしまう。
【0009】
そして、特にエンジンの始動に際して、パルス信号がハイレベルHになっているあいだ制御スイッチ素子をオン状態にしてエンジンの点火を行わせようとすると、図10に示すように、そのときのエンジンの回転軸が停止している位置によって初爆位置が変動してしまう。図10(a)は、イグニッションスイッチのオンによってts時点で点火装置に電源が投入されたタイミングを示している。図10(b)は、ts時点でのパルス信号の発生状態を示している。図10(c)はts時点でのパルス信号の発生状態に応じて点火コイルの一次側に流れる電流を示している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、パルス信号発生の位置精度が問題にならないエンジンの1回転当りデューテイ50%のパルス信号を発生するパルス発生装置を用いて、そのパルス信号に応じてCDI方式をとるエンジンの点火装置における制御スイッチ素子をオン,オフして、点火コイルの一次電流の通電、しゃ断の制御を行わせる場合、パルス信号がハイレベルになっているあいだ制御スイッチ素子をオン状態にして一次電流を流すのでは、点火コイルの一次側に電流を流す時間が長くなって電力損失が大きくなってしまうことである。また、エンジンの高回転時に、制御スイッチ素子のオフ期間が短くなって、コンデンサの充電電圧が充分に上がらないことである。そして、エンジンの始動に際して、パルス信号がハイレベルになっているあいだ制御スイッチ素子をオン状態にしてエンジンの点火を行わせようとすると、エンジンの回転軸が停止している位置によって初爆位置が変動してしまうことである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、CDI方式をとるエンジンの点火装置における制御スイッチ素子をオン,オフして点火コイルの一次電流の通電、しゃ断を行わせるエンジンの点火制御装置において、エンジンの1回転当りデューティ50%のパルス信号を発生するパルス発生装置を設けて、そのパルス信号に応じて制御スイッチ素子のオン,オフのスイッチング制御を行わせるに際して、常に所定位置でエンジンの始動を的確に行わせるようにしている。そして、エンジンの始動完了後には、エンジンの回転状態に応じた適切な制御スイッチ素子のオン時間をもって一次電流の通電を最適に行わせるようにしている。
【0012】
具体的には、エンジンの始動に際して、パルス信号がいったんローレベルになったことを検知した後にハイレベルに立ち上がる時点をとらえて、その時点から所定のタイムカウント期間のあいだ制御スイッチ素子をオン状態にする手段をとるようにしている。そして、エンジンの始動完了後は、パルス信号の周期のタイムカウント値から所要の通電時間をわり出して、パルス信号のハイレベルの立上り時点からそのわり出された通電時間のあいだ制御スイッチ素子をオン状態にする手段をとるようにしている。
【0013】
【実施例】
本発明によるエンジンの点火制御装置は、図1に示すように、エンジンの1回転当りデューティ50%のパルス信号を発生するパルス発生装置1と、そのパルス発生装置1から送られてくるパルス信号にもとづいてエンジンの点火タイミングおよび一次通電時間を決定して、点火トリガ信号IGSをCDI方式をとるエンジンの点火装置3に与えるECU2とによって構成されている。
【0014】
そのパルス発生装置1としては、図2および図3に示すように、エンジンの回転軸4に取り付けられたN極とS極とが円周上2等分されたマグネットリング11と、マグネットリング11に所定の空隙を介して対向するように固定側に設置され、マグネットリング11のN極(またはS極)に感応する磁気センサとしてのホールIC(ホール素子による磁気検出信号をパルス状にして出力する回路が組み込まれたもの)12とからなっている。
【0015】
ここでは、マグネットリング11とホールIC12との間に、検出感度を良くするために、空隙磁束を捕捉する磁気鋼板からなるピックアッププレート13が設けられている。
【0016】
このようなパルス発生装置1によれば、図4に示すように、エンジンの回転によてマグネットリング11が1回転(周期T)するごとに、ホールIC12からデューティ50%のパルス信号が出力することになる。
【0017】
CDI方式をとるエンジンの点火装置3としては、それが基本的に図7に示す回路構成と同一のものが用いられる。
【0018】
このように構成された本発明によるエンジンの点火制御装置の動作について、以下説明する。
【0019】
まず、エンジンの始動に際して、ECU2はイグニッションスイッチのオン信号SW−ONを読み込んで、図5(a)に示す点火装置に電源が投入されたts時点を検知する。そして、ECU1は、始動用モータによってエンジンが回転することによって、パルス発生装置1から送られてくる同図(b)に示すパルス信号を読み込んで、パルス信号がいったんローレベルLになったことを検知した後にハイレベルHに立ち上がる時点t1をとらえて、そのt1時点から予め設定したタイムカウント期間Tsのあいだ点火トリガ信号IGSをエンジンの点火装置3に与える。同図(c)は、そのときの点火コイルにおける一次電流の特性を示している。
【0020】
エンジンの点火装置3では、その点火トリガ信号IGSによって制御スイッチ素子をTs期間オン状態にして、その間コンデンサの放電によって点火コイルの一次側に通電を行わせてエンジンの点火を行う。
【0021】
エンジンの始動が完了するまでの低回転(例えば300rpm未満)期間中、パルス信号がハイレベルHに立ち上がる時点ごとに、予め設定されたTs期間のあいだ、点火コイルの一次側に通電が行われることになる。
【0022】
したがって、本発明によれば、エンジンの始動時に、エンジンの回転軸の停止状態によってパルス発生装置1から送られてくるパルス信号の位相が変化しても、その影響を受けることなく、常に所定の位置でエンジンの点火を行わせることができるようになる。
【0023】
また、ECU1は、エンジンの始動完了後の中,高速回転領域(例えば300〜10,000rpm)において、パルス信号の発生周期のタイムカウントを行って、そのカウント値から所要の通電時間をわり出して、図6(a)に示すパルス信号のハイレベルHの立上り時点で、そのわり出された通電時間のあいだ制御スイッチ素子をオン状態にする点火トリガ信号IGSをエンジンの点火装置3に与える。
【0024】
エンジンの点火装置3では、その点火トリガ信号IGSによって制御スイッチ素子を短期間オン状態にして、図6(b)に示すように、その間コンデンサの放電によって点火コイルの一次側に通電を行わせてエンジンの点火を行う。
【0025】
パルス信号の発生周期のタイムカウント値に応じた所要の通電時間のわり出しとしては、予めパルス信号の周期に応じた通電時間の最適値がメモリにテーブル設定されており、パルス信号の発生周期のタイムカウント値に即した所要の通電時間がメモリから読み出されるようになっている。または、パルス信号の周期Tと通電時間TMとを関係付けるモデル式TM=k・T(kは比例定数)を用いて、パルス信号の発生周期のタイムカウント値から通電時間を計算によって求めるようにしてもよい。
【0026】
したがって、本発明によれば、エンジンの通常運転時に、点火コイルにおける一次電流の通電時間が必要以上に長くなって電力を無駄に消費することがないように、そのときのエンジンの回転状態に応じた適正な通電時間をもって一次電流を流すとができるようになる。そして、特に高速回転時にあっても、コンデンサの充電を充分行うのに必要な制御スイッチ素子のオフ時間を確保することができ、プラグに強いスパークを飛ばして、エンジンの点火を確実に行わせることができるようになる。
【0027】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、CDI方式をとるエンジンの点火装置における制御スイッチ素子をオン,オフして点火コイルの一次電流の通電、しゃ断を行わせるエンジンの点火制御装置において、パルス信号発生の位置精度が問題にならないエンジンの1回転当りデューティ50%のパルス信号を発生するパルス発生装置を用いても、そのパルス信号に応じて制御スイッチ素子のオン,オフのスイッチング制御を行わせるに際して、常に所定位置でエンジンの始動を的確に行わせることができるという利点を有している。
【0028】
そして、本発明によれば、エンジンの始動完了後には、エンジンの回転状態に応じた適切な制御スイッチ素子のオン時間をもって一次電流の通電を最適に行わせることができるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエンジンの点火制御装置の一実施例を示すブロック構成図である。
【図2】本発明のエンジンの点火制御装置に用いられるパルス発生装置の一構成例を示す側面図である。
【図3】そのパルス発生装置におけるマグネットリングの正面図である。
【図4】そのパルス発生装置から出力するパルス信号の特性図である。
【図5】本発明の制御によるエンジンの始動時における点火装置の電源投入のタイミングおよびデューティ50%のパルス信号に応じて点火コイルに流れる一次電流を示す特性図である。
【図6】エンジンの始動完了後に、本発明の制御によってパルス信号に応じて点火コイルに流れる一次電流を示す特性図である。
【図7】CDI方式によるエンジンの点火装置の基本的な構成を示す電気回路図である。
【図8】従来のパルス幅の狭いパルス信号に応じて点火コイルに流れる一次電流を示す特性図である。
【図9】従来のデューティ50%のパルス信号に応じて点火コイルに流れる一次電流を示す特性図である。
【図10】従来のエンジンの始動時における点火装置の電源投入のタイミングおよびデューティ50%のパルス信号に応じて点火コイルに流れる一次電流を示す特性図である。
【符号の説明】
1 パルス発生装置
11 マグネットリング
12 ホールIC
13 ピックアッププレート
2 ECU
3 エンジンの点火装置
Claims (1)
- CDI方式をとるエンジンの点火装置における制御スイッチ素子をオン,オフして点火コイルの一次電流の通電、しゃ断を行わせるエンジンの点火制御装置において、エンジンの1回転当りデューティ50%のパルス信号を発生するパルス発生装置を設けて、エンジンの始動に際して、パルス信号がいったんローレベルになったことを検知した後にハイレベルに立ち上がる時点をとらえて、その時点から所定のタイムカウント期間のあいだ制御スイッチ素子をオン状態にする手段と、エンジンの始動後に、パルス信号の周期のタイムカウント値から所要の通電時間をわり出して、パルス信号のハイレベルの立上り時点からそのわり出された通電時間のあいだ制御スイッチ素子をオン状態にする手段とをとるようにしたことを特徴とするエンジンの点火制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2003133777A JP4232178B2 (ja) | 2003-04-04 | 2003-04-04 | エンジンの点火制御装置 |
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2003
- 2003-04-04 JP JP2003133777A patent/JP4232178B2/ja not_active Expired - Fee Related
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