JP4231965B2 - エンジンの始動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、アイドリング時等にいったん停止させたエンジンを自動的に始動させるエンジンの始動装置に関するものである。
近年、燃費低減およびCO2排出量抑制等のため、アイドル時に自動的にエンジンをいったん停止させ、その後に発進操作等の再始動条件が成立したときに自動的にエンジンを再始動させるようにしたエンジンの始動装置が開発されてきている。
このようにエンジン停止後に自動的に再始動させる場合の手法としては、例えば特許文献1に示されるように、エンジン停止時の膨張行程気筒に燃料を供給して燃焼を行わせ、その燃焼のエネルギーによりエンジン始動させるようにしたものが知られている。なお、この特許文献1に示された装置では、上記膨張行程気筒での燃焼による始動が不完全な場合には、スタータ(始動用のモータ)を補助的に作動させることにより、始動の確実性を高めるようにしている。
ところで、車両が登り坂にある状態で自動的にエンジンをいったん停止させてから再始動させるようにする場合、発進時のレスポンスが低下し易いという問題がある。つまり、上り坂では始動にもたつきが生じやすく、しかも始動に要する時間が長くかかるとその間に車両がずり下がってしまう可能性がある。
このような問題の対策としては、例えば特許文献2に示されるように、路面勾配が所定値以上の登り坂ではエンジンの自動停止を禁止するようにしたものがある。
なお、エンジンの自動的な停止および再始動を行う装置の他の従来例として、特許文献3に示されるように、エンジン停止後の再始動条件成立時に誘導モータを起動することにより再始動を行うようにしたものがある。そして、この特許文献3に示された装置では、さらに、車両が登り坂にある場合やその他始動迅速性が要求される状況にある場合に、誘導モータを初期励磁することにより始動時のトルクの上昇を速めるようにしている。
特開2002−4985号公報 特開2002−371876号公報 特開2001−234838号公報
上記特許文献1に示されるような装置による場合、登り坂等(登り坂やその他始動迅速性が要求される状況)での自動停止後のエンジン再始動時に、始動が不完全であればそれが判別されてからスタータが起動されるので、始動達成までに時間がかかり、発進時のレスポンス向上の要求を充分に満足することができない。
また、上記特許文献2に示された装置では、登り坂でエンジンの自動停止を行なわないことにより、発進レスポンスの低下は避けられるものの、エンジンの自動停止による燃費改善の効果が削減されてしまうことになる。
また、上記特許文献3に示された装置では、エンジン停止後の再始動時に常にモータが起動され、モータの使用頻度が多くなるため、モータの寿命低下を招き易い。
本発明は、上記の事情に鑑み、登り坂等でもエンジンの自動停止を行って燃費改善を図り、かつ、モータの使用頻度の増大を押えてモータの寿命低下を抑制しつつ、登り坂等でのエンジン再始動時に迅速に始動を行うことができ、発進時のレスポンスを向上することができるエンジンの始動装置を提供するものである。
請求項1に係る発明のエンジンの始動装置は、所定のエンジン停止条件が成立したときに自動的にエンジンを停止させるとともに、エンジン停止後において再始動条件が成立したときに、エンジン停止時の膨張行程気筒に燃料を供給して点火、燃焼を行わせることによりエンジンを始動させる車両搭載のエンジンの始動装置において、エンジン停止時の膨張行程気筒のピストン位置を検出するピストン位置検出手段と、エンジン停止後の再始動時に、上記ピストン位置検出手段により検出された上記ピストン位置が所定の適正範囲から外れている場合にはエンジン再始動の開始時からモータによりエンジン出力軸を回転させて始動のアシストを行うように制御する始動制御手段と、エンジン停止状態にあるときの道路ないし車両の状況に基づいて始動迅速性が要求されるか否かを判別する判別手段と、この判別手段により始動迅速性が要求される状況にあることが判別されたときに上記適正範囲を下死点側に狭めるように変更する適正範囲変更手段とを備えたものである。
この発明によれば、エンジン自動停止後において再始動が行なわれるときに、上記ピストン停止位置が適正範囲にある場合には、エンジン停止時の膨張行程気筒に燃料を供給して点火、燃焼を行わせることによる始動の成功の確率が高いことから、上記モータによるアシストは行われずに、上記膨張行程気筒での燃焼による始動、つまりエンジン自体が発生するトルクによる始動(ダイレクトスタート)が行われる。一方、上記ピストン停止位置が適正範囲から外れた場合には、ダイレクトスタートによる始動成功の確率が低下することから、上記モータによるアシストが行われる。
そして、始動迅速性が要求される状況にない通常の再始動時には、上記モータの使用頻度を少なくすべく、上記適正範囲が比較的広く設定されるが、始動迅速性が要求される状況での再始動時には、上記適正範囲が狭められることにより、始動成功の確率がより高い範囲にピストン停止位置がある場合に限りダイレクトスタートとされ、それ以外ではモータによるアシストが行われて、始動迅速性が満足される。
この発明において、上記ピストン位置の適正範囲は、通常は上死点と下死点の略中間の位置からこれより所定クランク角だけ下死点側に寄った位置までの範囲とされ、始動迅速性が要求される状況にあることが判別されたときには適正範囲変更手段により上記適正範囲の上死点側が削減されるように変更されることが好ましい。
すなわち、エンジン停止時の膨張行程気筒のピストン位置が上死点と下死点の略中間の位置からこれより所定クランク角だけ下死点側に寄った位置までの範囲にあれば、膨張行程気筒での燃焼による始動成功の確率が高いため、通常はこの範囲が適正範囲とされる。ただし、この範囲のうちの上死点側(上死点と下死点の中間に近い位置)は、下死点側と比べ、膨張行程気筒内の空気量が少なくなり、燃焼による発生トルクが少なくなることから、始動成功の確率が多少は低くなる。そこで、始動迅速性が要求される状況にある場合には上記適正範囲の上死点側が削減されることにより、始動のもたつきが確実に防止される。
上記判別手段は、例えば、車両が所定勾配以上の登り坂で停止している場合を始動迅速性が要求される状況として判別するものである。このようにすれば、登り坂でエンジンの自動停止が行われた後の発進時に、始動迅速性が確保されることにより、始動のもたつきによって車両がずり下がるといった事態が確実に防止される。
このような登り坂でのエンジン自動停止後の発進時の制御のほかに、上記始動制御手段は、車両が右折に際して停止している状態からの再始動時には、上記ピストン位置に関わらずモータによる始動のアシストを行うようにしてもよい。このようにすれば、車両が右折に際して停止している状態からの再始動時に、始動迅速性が高められ、右折を速やかに行うことができる。
あるいはまた、上記判別手段は、車両が右折に際して停止している場合を始動迅速性が要求される状況として判別するものであってもよい。
本発明のエンジンの始動装置によれば、エンジン再始動時に常にモータを駆動するようなものと比べ、モータの使用頻度を少なくして、モータの寿命低下を抑制することができ、かつ、登り坂等でもエンジンの自動停止を行って燃費改善を図るようにしつつ、登り坂等の始動迅速性が要求される状況において始動のもたつきが懸念されるような場合に、モータによるアシストで始動迅速性を高め、発進時のレスポンスを向上することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2は本発明の一実施形態によるエンジンの概略構成を示している。これらの図において、エンジン本体はシリンダヘッド1及びシリンダブロック2で構成され、複数の気筒を有し、図示の実施形態では4つの気筒3A〜3Dを有している。各気筒3A〜3Dにはピストン4が嵌挿され、ピストン4の上方に燃焼室5が形成されている。上記ピストン4はコンロッドを介してクランクシャフト6に連結されている。
各気筒3A〜3Dの燃焼室5の頂部には点火プラグ7が装備され、そのプラグ先端が燃焼室5内に臨んでいる。
さらに、燃焼室5の側方部には、燃焼室5内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁8が設けられている。この燃料噴射弁8は、図略のニードル弁及びソレノイドを内蔵し、パルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。そして、点火プラグ7付近に向けて燃料を噴射するように燃料噴射弁8の噴射方向が設定されている。なお、この燃料噴射弁8には図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給され、かつ、圧縮行程での燃焼室内の圧力よりも高い燃料圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
また、各気筒3A〜3Dの燃焼室5に対して吸気ポート9及び排気ポート10が開口し、これらのポート9,10に吸気弁11及び排気弁12が装備されている。これら吸気弁11及び排気弁12は、図外のカムシャフト等からなる動弁機構により駆動される。そして、後に詳述するように各気筒が所定の位相差をもって燃焼サイクルを行うように、各気筒の吸・排気弁の開閉タイミングが設定されている。
上記吸気ポート9及び排気ポート10には吸気通路15及び排気通路16が接続されている。上記吸気ポート9に近い吸気通路15の下流側は、各気筒3A〜3Dに対応して独立した分岐吸気通路15aとされ、この各分岐吸気通路15aの上流端がそれぞれサージタンク15bに連通している。このサージタンク15bの上流側には共通吸気通路15cが設けられるとともに、この共通吸気通路15cにはスロットル弁17が設けられている。このスロットル弁17はアクチュエータ18により駆動され、当該スロットル弁17の上流側及び下流側には、それぞれ吸気流量を検出するエアフローセンサ20と、吸気圧力(負圧)を検出する吸気圧センサ19とが配設されている。
また、エンジンには、タイミングベルト等によりクランクシャフト6に連結されたオルタネータ(発電機)29が付設されている。このオルタネータ29は、図略のフィールドコイルの電流を制御して出力電圧を調節することにより発電量を調整するレギュレータ回路29aを内蔵し、このレギュレータ回路29aに入力される後述するECU30からの制御信号に基づき、車両の電気的負荷及び車載バッテリーの電圧等に対応した発電量の制御が実行されるように構成されている。
さらに、上記エンジンには、上記クランクシャフト6に対し、その回転角を検出するクランク角センサが設けられており、当実施形態では、後に詳述するように、互いに一定量だけ位相のずれたクランク角信号を出力する2つのクランク角センサ21,22が設けられている。さらにカムシャフトに対し、その特定回転位置を検出することで気筒識別信号を与えることのできるカム角センサ23が設けられている。なお、この他にもエンジンの制御に必要な検出要素として、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ24、アクセル開度(アクセル操作量)を検出するアクセル開度センサ25等が装備されている。また、上記エンジンが搭載された車両には、路面の傾斜状態を検出する傾斜センサ26が装備されている。
30は制御手段としてのECU(エンジンコントロールユニット)であり、このECU30には、上記各センサ19〜26からの信号が入力され、さらに、車両に装備されている方向指示器27からの信号も入力されている。そして、ECU30から、上記燃料噴射弁8に対して燃料噴射量及び噴射時期を制御する信号が出力されるとともに、点火装置28に対して点火時期制御信号が出力され、かつ、スロットル弁17のアクチュエータ18に対してスロットル開度を制御する信号が出力され、また、オルタネータ29のレギュレータ回路29aに対して発電量を制御する信号が出力される。さらに、エンジン始動用のモータであるスタータ31に対しても、必要時にこれを駆動する信号が出力されるようになっている。
上記ECU30は、図3に示すように、自動停止制御手段32、ピストン位置検出手段33、始動制御手段34、判別手段35および適正範囲変更手段36を機能的に含んでいる。
上記自動停止制御手段32は、アイドリング時において所定のエンジン停止条件が成立したときに、燃料供給停止等により自動的にエンジンを停止させるようになっている。上記ピストン位置検出手段33は、クランク角センサ21,22からの信号に基づき、エンジン停止時の膨張行程気筒のピストン位置を検出するようになっている。
また、上記始動制御手段34は、自動的エンジン停止が行なわれた後のエンジン再始動条件成立時に、自動的にエンジンの再始動を行わせる。このエンジン再始動時に、ピストンの停止位置が特定範囲(適正範囲)にある場合は、少なくともエンジン停止時の膨張行程気筒に燃料を供給して点火、燃焼を行なわせる。当実施形態では、まずエンジン停止時の圧縮行程気筒に対して初回の燃焼を実行してピストンを押し下げ、膨張行程気筒のピストン上昇によって筒内圧力を高めるようにしてから、当該膨張行程気筒に対して燃料を噴射させて点火、燃焼を行わせるように制御する。すなわち、エンジンの自動再始動時に、ピストンの停止位置が後述する適正範囲にあるときは、始動初期で一旦エンジンを逆転作動させ、その後正転作動に転じるように制御する。
そして、当実施形態では、停止時膨張行程気筒のピストンが適正範囲内にあるときは上述のように圧縮行程気筒での初回燃焼及び膨張行程気筒での燃焼を行わせるダイレクトスタートを実行し、一方、当該ピストンが適正範囲にないときは圧縮行程気筒での初回燃焼を行わずにスタータ31でアシストしつつ膨張行程気筒での燃焼及びその次の圧縮行程気筒での燃焼により始動を行うスタータモータ始動を実行するようになっている。
具体的には、ダイレクトスタートでエンジンを適正に再始動させるためには、上記膨張行程気筒の混合気を燃焼させることにより得られる燃焼エネルギーを充分に確保することにより、これに続いて圧縮上死点を迎える気筒がその圧縮反力に打ち勝って圧縮上死点を超えるようにしなければならない。したがって、エンジンの自動停止時に上記膨張行程気筒内に充分な空気量を確保することを考慮しつつ、当該気筒の圧縮圧力を有効に高めるべく、上記膨張行程気筒のピストンをこの燃焼に適した所定の適正範囲に停止させておく必要がある。
すなわち、図4(a)、(b)に示すように、エンジンの停止時点で膨張行程気筒および圧縮行程気筒になる気筒では、それぞれ位相が180°CAずれているため、各ピストン4が互いに逆方向に作動し、膨張行程気筒のピストン4が行程中央(上死点後90°CA)よりも下死点側に位置していれば、その気筒内の空気量が多くなって充分な燃焼エネルギーが得られる。しかし、上記膨張行程気筒のピストン13が極端に下死点側に位置した状態となると、圧縮行程気筒内の空気量が少なくなり過ぎてクランクシャフト6を逆転させるための燃焼エネルギーが充分に得られなくなる。
そこで、エンジンの自動停止時には、上記自動停止制御手段32により、後述の自動停止制御のフローチャート(図6)に示すようなスロットル弁17の開度を制御およびオルタネータ29の発電量の制御等により、所定の適正範囲(膨張行程気筒の行程中央付近よりも下死点側の所定範囲)内にピストンが停止する確率を充分に高めることができるようにし、その上で、エンジン再始動条件成立時に始動制御手段34によりピストン停止位置に応じたダイレクトスタートまたはスタータモータ始動を行うようにしている。
また、上記判別手段35は、エンジン停止状態にあるときの道路ないし車両の状況に基づいて始動迅速性が要求されるか否かを判別する。当実施形態では、始動迅速性が要求される状況として、傾斜センサ26からの信号に基づき、車両が所定勾配以上の登り坂に停車しているかを判別する。さらに、方向指示器27からの信号に基づき、車両が右折に際して一時的に停車している右折待ちの状況にあるか否かということも判別するようにしている。
上記適正範囲変更手段36は、上記判別手段35により車両が所定勾配以上の登り坂に停車していることが判別された場合に、平地での通常始動時の場合と比べ、上記ピストン停止位置の適正範囲を下死点側に狭めるように変更する。
この適正範囲変更手段36により変更されるピストン停止位置の適正範囲を、図5を参照しつつ説明する。
図5は、エンジン停止時の膨張行程気筒のピストン停止位置を上死点後(ATDC)のクランク角(CA)で表して横軸にとり、ピストン停止位置の頻度分布を棒グラフFで示すとともに、ピストン停止位置とダイレクトスタートによる再始動の確率との関係を折れ線Pで示している。
この図に示すように、上記自動停止制御手段32によりエンジンの自動停止制御が行なわれた場合に、膨張行程気筒のピストン4はATDC90°CA付近からATDC110°CA付近までの範囲に停止することが殆どであり、この範囲内でも特にATDC100°CA付近より下死点側に停止することが多い。また、上記ダイレクトスタートの再始動確率は、膨張行程気筒のピストン停止位置がATDC100°〜120°CAの範囲(図5中の範囲A´)では略100%である。膨張行程気筒のピストン停止位置がATDC120°CAより下死点側になると、圧縮行程気筒ではピストンが上死点に近づいて筒内空気量が少なくなり、圧縮行程気筒での初回燃焼によりエンジンを逆転させて膨張行程気筒のピストンを上昇させるという作用が充分に得られなくなるとともに、膨張行程気筒での燃焼によるピストン押し下げ量(仕事量)が少なくなるため、再始動確率は急激に低下する。
また、膨張行程気筒のピストン停止位置がATDC100°CA付近より上死点側となると、膨張行程気筒内の空気量の減少により燃焼エネルギーが減少するため再始動確率は低下するが、ATDC90°〜100°CAの範囲(図5中の範囲C)では90%よりかなり高い確率が維持され、ATDC90°より上死点側になるとトルク不足により再始動確率が急激に低下する。
そこで、平地での通常始動時の場合は、再始動確率が略100%の範囲A´とそれに近い範囲Cとを含めたATDC90°〜120°CAの範囲Aを適正範囲とし、膨張行程気筒のピストン停止位置がこの範囲Aにある場合にダイレクトスタート、この範囲A以外(図5中の範囲B)にある場合はスタータモータ始動とする。一方、登り坂に停車している場合は、ダイレクトスタートを行う適正範囲を上記範囲A´に狭めるようにしている。なお、当実施形態では、右折待ちの状況にあるときはピストン停止位置に関わらずスタータモータ始動を行うようにしている。
上記各手段32〜36により行なわれる処理を具体的に説明する。
エンジンの自動停止時におけるピストンの停止位置制御の具体的手法は、種々あるが、例えば、スロットル弁17の開度を制御することによってエンジン停止時における膨張行程気筒および圧縮行程気筒の空気による圧縮反力を調整するとともに、エンジンの自動停止過程におけるオルタネータ29の発電量を制御することによってクランクシャフト6の抵抗を通じてエンジンの回転速度を調整し、これによりピストン4の停止位置を制御する。
すなわち、ピストン4の停止位置は、上記圧縮行程気筒および膨張行程気筒における圧縮反力のバランスにより略決定されるとともに、エンジンの摩擦等の影響を受け、エンジン停止直前の圧縮上死点を超えた時点のエンジンの回転速度の高低によっても変化することになる。
したがって、エンジンが自動停止する際に膨張行程にある気筒のピストン4を再始動に適した上記所定の適正範囲内に停止させるためには、まず上記膨張行程気筒および圧縮行程気筒の圧縮反力がそれぞれ充分に大きくなり、かつ膨張行程気筒の圧縮反力が圧縮行程気筒の圧縮反力よりも所定値以上大きくなるように、両気筒に対する吸気流量を調節する必要がある。このために、上記スロットル弁17を制御して吸入空気量を調節するようにしている。
ただし、実際のエンジンでは、スロットル弁17、吸気ポート9および分岐吸気通路15a等の形状に個体差があることにより、それらを流通する空気の挙動が変化するため、エンジンの自動停止期間中に各気筒3A〜3Dに吸入される吸気流量にバラツキが生じ、上記のようにスロットル弁17の開閉制御を行っても、エンジンの停止時点で膨張行程にある気筒および圧縮行程にある気筒のピストン停止位置を適正範囲内に納めることは困難である。
この点につき、当実施形態では、エンジンの自動停止期間中においてエンジンの回転速度が低下する過程で、オルタネータ29の発電量を制御することにより、クランクシャフト6の回転抵抗を調整してエンジン回転速度の落ち込み度合を調節するようにしている。
このようなエンジンの自動停止制御を図6に示すフローチャートに基づいて説明する。図6のフローチャートに示す処理は、エンジンが運転されている状態からスタートし、ECU30は、まずステップS1でアイドルストップ条件が成立したか否かを判定する。この判定は、車速、エンジン温度(エンジン冷却水の温度)等に基づいて行い、例えば車速が0の停車状態ないしは車速が10km/h以下の超低速状態が所定時間以上持続し、かつ、エンジン温度が所定範囲内にあり、さらにエンジンを停止させることに格別の不都合(例えばバッテリー残量が少ないということ)がない状況にある場合等に、アイドルストップ条件成立とする。
アイドルストップ条件が成立したときは(ステップS1でYES)、エンジンの各気筒に対する燃料供給を停止し(ステップS2)、次いで一旦スロットル弁17を所定開度に開き(ステップS3)、これにより排気ガスの掃気性を確保するとともに、オルタネータ29の発電量をアイドルストップ条件の成立時点よりも低下させ(ステップS4)、これより、クランクシャフト6の回転抵抗を低減させる。それから、エンジン回転速度が所定回転速度N(760rpm程度)以下となるまでこの状態を保ち(ステップS5)、所定回転速度N以下となればスロットル弁17を閉じ(ステップS6)、これにより各気筒3A〜3Dに吸入される吸気流量を減少させる。
次いで、オルタネータ28の発電量を予め60A程度に設定された初期値に設定して所定期間(例えば約300ms程度)に亘りオルタネータ28を作動させる発電量の初期制御を実行する(ステップS7)。
続いて、ピストン4が圧縮上死点を通過する際のエンジンの回転速度である上死点回転速度nを検出し(ステップS8)、この上死点回転速度nが所定範囲内にあるかどうかを判定する(ステップS9)。この判定の結果、上死点回転速度nが所定の適正回転速度範囲内にない場合には、上死点回転速度nと上記適正回転速度範囲との間の回転速度の偏差に基づいてオルタネータ29の発電量を算出する(ステップS10)。この発電量は、上記回転速度の偏差および現在の発電量に基づいて予め設定されたマップから読み出され、上死点回転速度nが上記基準適正回転速度範囲よりも高い場合には、オルタネータ29の発電量を増大させ、逆に低い場合にはオルタネータ29の発電量を減少ないし停止して(ステップS11)、ステップS12に移行する。
上記ステップS9で上死点回転速度nが所定の適正回転速度範囲内にある場合には、上記ステップS10およびS11をスキップして、エンジンの上死点回転速度nが所定値以下であるか否かを判定する(ステップS12)。この所定値は、予め設定された基準ラインに沿ってエンジンの回転速度が低下している過程で最後の上死点を超える際のエンジン回転速度に対応した値であり、例えば260rpm程度に設定されている。上記ステップS12でNOと判定された場合には、ステップS8に戻って上記制御動作を繰り返す。上記ステップS12でYESと判定されてエンジンの上死点回転速度nが上記所定値以下になったことが確認されれば、ステップS13でエンジンが停止したか否かを判定し、エンジンが停止すると、後述の図7の停止位置検出ルーチンによるピストンの停止位置の検出に基づき、上記ステップS14で上記停止位置を検出してECU30に含まれる図外の記憶手段に記憶される。
図7は停止位置検出ルーチンを示している。このルーチンがスタートすると、ECU30は、第1クランク角信号CA1(第1クランク角センサからの信号)および第2クランク角信号CA2(第2クランク角センサからの信号)を調べ、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLowまたは第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighであるか否かを判定する。要するに、これらの信号CA1,CA2の位相の関係が図8(a)のようになるか、それとも図8(b)のようになるかを判別することにより、エンジンの正転時か逆転時かを判別する(ステップS15)。
すなわち、エンジンの正転時には、図8(a)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相遅れをもって生じることにより、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLow、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighとなる。一方、エンジンの逆転時には、図8(b)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相の進みをもって生じることにより、エンジンの正転時とは逆に第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がHigh、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がLowとなる。そこで、ステップS15の判定がYESであればエンジンの正転方向のクランク角変化を計測するためのCAカウンタをアップし(ステップS16)、ステップS15の判定がNOの場合は上記CAカウンタをダウンする(ステップS17)。そして、エンジン停止時に上記CAカウンタの値を調べることで停止位置を求めるのである(ステップS18)。
次に、エンジンの再始動制御を図9〜図17に基づいて説明する。
図9のフローチャートに示す制御動作がスタートすると、先ずピストン停止位置を入力し(ステップS21)、さらに、路面の傾斜を入力する(ステップS22)。次いで、エンジン自動停止時の膨張行程気筒のピストン停止位置が図5中の範囲B(範囲A以外)にあるか否かを判定し(ステップS23)、この範囲Bにない場合(範囲Aにある場合)には、上記ピストン停止位置が図5中の範囲Cにあるか否かを判定し(ステップS24)、範囲Cにある場合に、路面の傾斜が基準値以上か否かを判定する(ステップS25)。上記ステップS24の判定がNOの場合(範囲A内にあって範囲Cにない場合、つまり範囲A´にある場合)や、ステップS25の判定がNOの場合(範囲Cにあるが傾斜が基準値より小さい場合)は、さらに右折待ちか否か判定する(ステップS26)。
これらの判定に基づき、ピストン停止位置が範囲A´にある場合(ステップS24の判定がNOの場合)や、ピストン停止位置が範囲C内にあって、路面の傾斜が基準値より小さい場合(ステップS25の判定がNOの場合)は、右折待ちでない限り、ダイレクトスタートとする(ステップS27)。一方、ピストン停止位置が範囲Bにある場合(ステップS23の判定がYESの場合)や、ピストン停止位置が範囲C内にあって、路面の傾斜が基準値以上の場合(ステップS25の判定がYESの場合)や、右折待ちの場合(ステップS26の判定がYESの場合)は、スタータモータ始動とする(ステップS28)。
上記ダイレクトスタートの場合(ステップS27)の処理は、図10および図11のフローチャートに示すようになる。すなわち、停車状態から発進のためのアクセル操作が行なわれた場合や、バッテリー電圧が低下した場合等のエンジン再始動条件が成立したか否かを判定し(ステップS101)、再始動条件成立時には、ステップS102でピストンの停止位置に基づいて圧縮行程気筒及び膨張行程気筒の空気量を算出する。つまり、上記停止位置から圧縮行程気筒及び膨張行程気筒の燃焼室容積が求められ、また、エンジン停止の際には燃料カット後にエンジンが数回転してから停止するので上記膨張行程気筒も新気で満たされた状態にあり、かつ、エンジン停止中に圧縮行程気筒及び膨張行程気筒の筒内圧は略大気圧となっているので、上記燃焼室容積から新気量が求められることとなる。
続いて、ステップS103で、算出された圧縮行程気筒の空気量に対して所定の圧縮行程気筒1回目用空燃比(A/F=11〜14)となるように燃料を噴射するとともに、ステップS104で、当該圧縮行程気筒の燃料噴射後に燃料の気化時間を考慮して設定した時間の経過後に、当該気筒に対して点火を行う。この場合、圧縮行程気筒1回目用空燃比はピストンの停止位置に応じてマップM1から求められる。そして、圧縮行程気筒の1回目用空燃比は略理論空燃比もしくは理論空燃比よりも多少リッチな空燃比となるように、予め上記マップM1が設定されている。
次にステップS105で、点火してから一定時間内にクランク角センサ21,22のエッジ(クランク角信号の立ち上がり又は立ち下がり)が検出されたか否かにより、ピストンが動いたか否かを判定し、失火によりピストンが動かなかった場合は圧縮行程気筒に対して再点火を繰り返し行う(ステップS106)。
クランク角センサ21,22のエッジが検出されたとき(ステップS105の判定がYESのとき)は、ステップS102で算出した膨張行程気筒の空気量に対して所定の膨張行程気筒用空燃比となるように燃料を噴射する(ステップS107)。この場合、膨張行程気筒用空燃比はそのピストンの停止位置に応じてマップM2から求められる。そして、膨張行程気筒用空燃比は圧縮行程用の1回目の空燃比と同様に、略理論空燃比もしくは理論空燃比よりも多少リッチな空燃比となるように、予め上記マップM2が設定されている。そして、エッジ検出後所定ディレイ時間が経過してから膨張行程に対して点火を行う(ステップS108)。上記ディレイ時間はピストンの停止位置に応じてマップM3から求められる。
さらに、ステップS109で、圧縮行程気筒のピストンが上死点の近傍に近づいた所定のタイミングで圧縮行程気筒に対して再度燃料を噴射する。この燃料噴射は、圧縮行程気筒での再燃焼のためのものではなく、気化潜熱によって圧縮行程気筒における圧縮圧力を低減するために噴射するものであり、停止位置に応じてマップM4から圧縮行程気筒2回目用燃料噴射量を求めるとともに、この噴射燃料によって自着火が発生しないように噴射時期を設定する。
ここで、エンジンの停止によって空気の流れが止まり、エンジン停止時における吸気行程気筒内に吸入された新気温度も上昇する。したがって、エンジンを効率的に正転させるためには、エンジンの始動後、当該吸入行程気筒が始めて圧縮行程を迎える際にその自着火を防止しつつ、効率的にエンジンを正転させるように制御することが求められ、当実施形態では次のような制御を実行している。
すなわち、図11に移って、水温センサ24によりエンジンの水温を検出するとともに図示しないタイマや温度センサに基づいてエンジンの停止時間や吸気温度等を検出し、この検出結果から推定される筒内温度と大気圧に基づいて、エンジンの停止時における吸気行程気筒の再始動後初回吸入空気の密度を推定し、この推定値に基づいて当該吸入行程気筒の吸入空気量を算出する(ステップS110)。
続いて、吸気行程気筒での自着火を防止するため、先に推定された吸気行程気筒の筒内温度に基づいて当該吸気行程気筒用空燃比の補正値を算出する(ステップS111)。この補正値は、筒内温度に基づいて予め実験等によって求められたマップM5から算出する。
そして、この空燃比の補正値と、ステップS110で算出された空気量とから当該吸気行程気筒に対して噴射する燃料の噴射量を算出するとともに(ステップS112)、エンジン停止時に温度が上昇した新気を気化潜熱によってその温度上昇を抑制して圧縮圧を低減するように、通常の噴射時期(吸気行程)よりも遅延させて圧縮行程で燃料を噴射する(ステップS113)。この燃料の具体的噴射時期は、エンジンの水温、エンジンの停止時間、および吸気温度等を考慮して設定され、当実施形態では圧縮行程の後半に設定されている。
その後、停止時吸気行程気筒のピストン4が圧縮上死点を超えた直後に点火プラグ7によって点火し(ステップS114)、エンジンの始動初期で充分な慣性力がない時期において逆トルクの発生によって始動の妨げにならないようにしている。
次に、ステップS115に移行して、スロットル弁17よりも下流の分岐吸気通路15aの吸気圧力(吸気管負圧)がエンジンの通常のアイドル運転時における吸気圧力よりも高いか否かを判定し、アイドル運転時の吸気圧力よりも高い場合には、(ステップS115でYES)、各気筒3A〜3Dに吸入される空気量を確保しつつ、過度の吹き上がりを防止する観点から、アイドル運転時のスロットル弁17の開度(例えば全開時の8%の開度)よりも小さい開度(例えば全開時の4〜5%の開度)となるようにスロットル弁17を駆動し(ステップS116)、分岐吸気通路15aの吸気圧力がアイドル運転時の吸気圧力と同程度ないし低くなるまで3A〜3Dに吸入される空気量を絞る。一方、アイドル運転時における吸気圧力と同程度ないし低いと判定した場合(ステップS115でNO)には、通常のエンジン制御(ステップS117)に移行して終了する。
図12は上記ダイレクトスタートによる場合のエンジンの各気筒の行程と始動制御開始時点からの各気筒における燃焼(図中に燃焼の順序に従って(1),(2),(3)……で示す)との関係を示すとともに、各燃焼によるエンジンの動作方向を矢印で示しており、また図13は、上記ダイレクトスタートの制御による場合のエンジン回転速度、1番目気筒のクランク角、所定の気筒の筒内圧の時間的変化を示している。なお、これらの図では4気筒4サイクルエンジンについて例示しており、この4気筒4サイクルエンジンでは、気筒列方向一端側から1番気筒3A、2番気筒3B、3番気筒3C、4番気筒3Dと呼ぶと、吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルが1番気筒3A、3番気筒3C、4番気筒3D、2番気筒3Bの順にクランク角で180°ずつの位相差をもって行われるようになっている。
これらの図によって説明すると、ダイレクトスタートによる場合には、まず圧縮行程気筒(図示の例では3番気筒)において燃焼空燃比は略理論空燃比ないしはこれよりも若干リッチ空燃比とされつつ初回燃焼(図12中の(1))が行われ、この初回燃焼による燃焼圧(図13中のa部分)で圧縮行程気筒のピストンが下死点側に押し下げられてエンジンが逆転方向に駆動され、それに伴い、膨張行程気筒(図示の例では1番気筒)のピストンが上死点に近づくことにより当該気筒内の空気が圧縮されて筒内圧が上昇する(図13中のb部分)。そして、膨張行程気筒のピストンが上死点に充分に近づいた時点で当該気筒に対する点火が行われて、予め当該気筒に噴射されている燃料が燃焼し(図12中の(2))、その燃焼圧(図13中のc部分)でエンジンが正転方向に駆動される。さらに、上記圧縮行程気筒に対してその圧縮行程後半の適当なタイミングで燃料が噴射されることにより、圧縮行程気筒の上死点付近での圧縮圧力が低減される。その後、圧縮行程気筒のピストンがこの低減された圧縮圧力に打ち勝って圧縮上死点を超え(図13中のd部分)、続いて圧縮行程を迎える停止時吸気行程気筒に当該圧縮行程の後半で燃料が噴射されるとともに、当該気筒のピストンが上死点を超えた所定のタイミングで点火して(図13中のe部分)、停止時吸気行程気筒における燃焼が行われる(図12中の(3))。その燃焼圧(図13中のf部分)でエンジンの駆動力が高められ、円滑な始動が実行される。
また、図9のフローチャート中のステップS28でスタータモータ始動が行なわれる場合の処理は、図14のようになる。すなわち、エンジン再始動条件が成立したか否かを判定し(ステップS201)、再始動条件成立時には、ステップS202でスタータの駆動を開始し、ステップS203でピストンの停止位置に基づいて圧縮行程気筒及び膨張行程気筒の空気量を算出し、ステップS204で圧縮行程気筒及び膨張行程気筒の各空燃比が理論空燃比付近となるように燃料を噴射する。そして、ステップS205で、膨張行程気筒の燃料噴射後に燃料の気化時間を考慮して設定された時間が経過してから、当該気筒に対して点火を行う。次に、ステップS206で、所定クランク角となったとき圧縮行程気筒に対して点火を行う。それからスタータの駆動を停止し(ステップS207)、通常の制御(ステップS208)に移行する。
以上のような当実施形態の始動装置によると、エンジン自動停止後において再始動が行なわれるときに、登り坂や右折待ちのような始動迅速性が要求される場合でなければ、ピストン停止位置が通常始動時用の適正範囲(図5中の範囲A)にある場合にダイレクトスタートが行なわれる。このダイレクトスタートの場合、スタータモータ31の駆動によらず、膨張行程気筒での燃焼(当実施形態では圧縮行程気筒での燃焼によるエンジン逆転後の膨張行程気筒での燃焼)により始動が達成される。
この場合に、通常始動時用の適正範囲Aは、ダイレクトスタートによる始動成功の確率が略100%の範囲(図5中の範囲A´)のほかに、高確率ではあるが100%に達しない範囲(図5中の範囲C)も含まれている。このため、稀にはダイレクトスタートによる始動が1回では成功せずに、始動のやり直しが行なわれることにより始動達成までの時間が多少延びる場合があり得るが、平地等での通常始動時には、稀に始動の時間が少し延びるという程度では実害がなく、運転者に大きな違和感を与えることもない。そして、実害のない範囲で極力ダイレクトスタートが多く利用され、スタータモータ31の使用頻度が少なくされる。
一方、登り坂では、稀にでも始動が1回で成功せずに始動達成までに時間を要することがあると、車両のずり下がりが生じる懸念がある。そこで、登り坂では、平地での通常始動時と比べてピストン停止位置の適正範囲が下死点側に狭められて、ダイレクトスタートによる始動成功の確率が略100%となる範囲A´とされ、この範囲外ではスタータモータ始動が行われる。つまり、ダイレクトスタートによる始動が成功しない可能性が多少はあるような範囲Cではスタータモータ始動が行われて、始動迅速性が確保される。
そして、このように登り坂では始動迅速性の確保のためピストン停止位置の適正範囲が狭められるものの、その狭められた範囲A´内にピストン停止位置があればダイレクトスタートが行われるので、スタータモータ31の使用頻度は少なく抑えられる。とくに、図5に示すようにピストン停止位置が範囲A´内となる頻度が高いため、登り坂でも始動時の多くはダイレクトスタートとなる。
また、右折待ちの時には、始動迅速性がより強く要求される。そこで当実施形態では、右折待ちの時にはピストン停止位置に関わらずスタータモータ始動とすることにより、始動迅速性を高めるようにしている。
図15は再始動制御の別の例をフローチャートで示している。このフローチャートでも、ステップS21,S22の処理、ステップS23〜S26の各判定の内容、ステップS27,S28の処理は図9のフローチャートと同様である。ただし、ステップS23でのピストン停止位置が範囲B内か否かの判定がNOで、かつ、ステップS24でのピストン停止位置が範囲C内か否かの判定がNOの場合は、右折待ちか否かの判定(ステップS26)を行わずに、ステップS27に移ってダイレクトスタートを行うようにしている。つまり、本例では、右折待ちの場合でも、登り坂で停車して場合と同様、ピストン停止位置が範囲A´(通常始動時と比べて狭められた適正範囲)内にあればダイレクトスタートとされる。
本例によると、右折待ちの場合でも通常時と比べて始動迅速性は高められ、かつ、図9に示した例と比べて右折待ちの場合のスタータモータ使用頻度が少なくなる。
図16は再始動制御のさらに別の例をフローチャートで示している。このフローチャートにおいて、ステップS31のピストン停止位置入力、およびステップS32の路面の傾斜入力は、図9のフローチャートのステップS21,S22と同じである。次いで、路面の傾斜が基準値以上か否かを判定し(ステップS33)、基準値以上でない場合は右折待ちか否か判定し(ステップS34)、右折待ちでもない場合は、エンジン自動停止時の膨張行程気筒のピストン停止位置が図5中の範囲Aにあるか否かを判定する(ステップS35)。
これらの判定に基づき、路面の傾斜が基準値以上でなく(ステップS33の判定がNO)、右折待ちでもなく(ステップS34の判定がNO)、かつ、ピストン停止位置が範囲A内にある場合(ステップS35の判定がYESの場合)は、ダイレクトスタートとする(ステップS36)。一方、路面の傾斜が基準値以上の場合(ステップS33の判定がYESの場合)や、右折待ちの場合(ステップS34の判定がYESの場合)や、ピストン停止位置が範囲A内にない場合(ステップS25の判定がNOの場合)は、スタータモータ始動とする(ステップS37)。
本例によると、路面の傾斜が基準値以上の登り坂で停車している状態からの発進時や、右折待ちからの発進時には、ピストン停止位置に関わらずスタータモータ駆動とされることにより、確実に始動迅速性が高められる。また、登り坂や右折待ちでない通常始動時には、ピストン停止位置が適正範囲Aにある場合にダイレクトスタートとされ、通常始動時に要求される程度の始動性は確保されつつ、スタータモータの使用頻度が低く抑えられることとなる。
なお、本発明に係る始動装置の具体的な構成等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であり、変形例を以下に説明する。
(1)上記実施形態では、路面の傾斜が基準値以上の登り坂であることの判別を、傾斜センサの出力に基づいて行っているが、具体的な傾斜の検出の手法は本発明で限定せず、路面の傾斜を直接的もしくは間接的に検出し得るものであればよい。
(2)上記実施形態では、右折待ちの判別を方向指示器からの信号に基づいて行っているが、ハンドル舵角センサからの信号や、カーナビゲーションシステムからの情報等に基づいて判別するようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、エンジン再始動時においてダイレクトスタートの場合の制御としては、最初に圧縮行程気筒で燃焼を行わせてエンジンをいったん逆転させてから膨張行程気筒で燃焼を行わせ、その後に上記圧縮行程気筒のピストンが最初に上死点を迎える際の燃焼はなされず、燃料だけが噴射されるものとなされているが、当該気筒でのエンジンの逆転作動のための初回燃焼を理論空燃比よりもリーン空燃比としたリーン燃焼とすることにより、上記最初に上死点を迎える際にも燃焼させることができる。
(4)また、上記圧縮行程気筒でのエンジンの逆転作動のための初回燃焼を行わずに、いきなり膨張行程気筒での燃焼を行わせるようにしてもよい。ただし、上記圧縮行程気筒でのエンジンの逆転作動のための初回燃焼を行わせる方が、膨張行程気筒での燃焼によるトルクが高められ、始動性が向上される。
本発明に係る始動装置を備えたエンジンの概略断面図である。 エンジンの吸気系および排気系の構成を示す説明図である。 エンジンの制御系統を示すブロック図である。 エンジンの停止時に膨張行程および圧縮行程になる気筒のピストン停止位置と空気量との関係を示す説明図である。 エンジン停止時の膨張行程気筒のピストン停止位置の頻度分布を示すとともに、ピストン停止位置とダイレクトスタートによる再始動の確率との関係を示すグラフである。 エンジンの自動停止制御動作を示すフローチャートである。 ピストン停止位置の検出制御動作を示すフローチャートである。 クランク角信号を示す説明図である。 エンジンの再始動時における制御動作を示すフローチャートである。 エンジンの再始動時においてダイレクトスタートとする場合の制御動作の前半部を示すフローチャートである。 ダイレクトスタートとする場合の制御動作の後半部を示すフローチャートである。 エンジンの再始動時における各気筒の行程および燃焼動作等を示す説明図である。 エンジンの再始動時におけるエンジン回転速度の変化状態等を示すタイムチャートである。 エンジンの再始動時においてスタータモータ始動とする場合の制御動作を示すフローチャートである。 エンジン再始動時の制御の別の例を示すフローチャートである。 エンジン再始動時の制御のさらに別の例を示すフローチャートである。
符号の説明
3A〜3D 気筒
4 ピストン
5 燃焼室
7 点火プラグ
8 燃料噴射弁
21,22 クランク角センサ
26 傾斜センサ
27 方向指示器
30 ECU
31 スタータモータ
33 ピストン位置検出手段
34 始動制御手段
35 判別手段
36 適正範囲変更手段

Claims (5)

  1. 所定のエンジン停止条件が成立したときに自動的にエンジンを停止させるとともに、エンジン停止後において再始動条件が成立したときに、エンジン停止時の膨張行程気筒に燃料を供給して点火、燃焼を行わせることによりエンジンを始動させる車両搭載のエンジンの始動装置において、
    エンジン停止時の膨張行程気筒のピストン位置を検出するピストン位置検出手段と、
    エンジン停止後の再始動時に、上記ピストン位置検出手段により検出された上記ピストン位置が所定の適正範囲から外れている場合にはエンジン再始動の開始時からモータによりエンジン出力軸を回転させて始動のアシストを行うように制御する始動制御手段と、
    エンジン停止状態にあるときの道路ないし車両の状況に基づいて始動迅速性が要求されるか否かを判別する判別手段と、
    この判別手段により始動迅速性が要求される状況にあることが判別されたときに上記適正範囲を下死点側に狭めるように変更する適正範囲変更手段とを備えたことを特徴とするエンジンの始動装置。
  2. 上記ピストン位置の適正範囲は、通常は上死点と下死点の略中間の位置からこれより所定クランク角だけ下死点側に寄った位置までの範囲とされ、始動迅速性が要求される状況にあることが判別されたときには適正範囲変更手段により上記適正範囲の上死点側が削減されるように変更されることを特徴とする請求項1記載のエンジンの始動装置。
  3. 上記判別手段は、車両が所定勾配以上の登り坂で停止している場合を始動迅速性が要求される状況として判別するものであることを特徴とする請求項1または2記載のエンジン
    の始動装置。
  4. 上記始動制御手段は、車両が右折に際して停止している状態からの再始動時には、上記ピストン位置に関わらずモータによる始動のアシストを行うことを特徴とする請求項3記載のエンジンの始動装置。
  5. 上記判別手段は、車両が右折に際して停止している場合を始動迅速性が要求される状況として判別するものであることを特徴とする請求項1または2記載のエンジンの始動装置
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