JP4231181B2 - ウエビング巻取装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両乗員を拘束するウエビングベルトを巻き取るウエビング巻取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の運転席や助手席に対応して設けられたウエビングベルトは、その基端部がウエビング巻取装置の巻取軸へ固定されている。巻取軸は渦巻きコイルスプリング等の付勢手段によってウエビングベルトを巻取軸に巻き取る方向へ付勢されており、ウエビングベルトはこの付勢手段の付勢力によって乗員の身体を拘束すると共に付勢手段の付勢力によって巻取軸へ巻き取られるようになっている。
【0003】
また、この種のウエビング巻取装置では、巻取軸からのウエビングベルトの引き出し量に応じて巻取軸へ作用する付勢手段の付勢力を変化させる変速機構、所謂テンションリデューサを備えたウエビング巻取装置もある。
【0004】
このようなテンションリデューサとしては、例えば、略円錐形状の一対のコーンスプールを有し、これらのコーンスプールの外周部の大径側に紐状の連結部材の端部が固定され、連結部材を介してコーンスプールが連結された構成がある。
【0005】
以上の構成のテンションリデューサは、一方のコーンスプールの大径部側から小径部側へ向けて連結部材が漸次変位しつつ外周部に巻き付けられており、他方のコーンスプールを回転させると他方のコーンスプールが一方のコーンスプールに巻き掛けられた連結部材をその小径部側から引き出して自らの大径部側から小径部側へと連結部材を漸次変位させつつ巻き付けると共に、一方のコーンスプールは連結部材が引き出される際に回転させられる。
【0006】
すなわち、一対のコーンスプールのうちの一方から他方へ連結部材を巻き換える際に他方が連結部材を介して一方を回転させるわけであるが、上記の如く各コーンスプールは円錐状とされているため、その外周長さが軸線方向に沿って漸次変化する。したがって、コーンスプールへの連結部材の巻き取り量及びコーンスプールからの連結部材の引き出し量は、各コーンスプールの小径部側で少なく大径部側で大きい。このため、一対のコーンスプールの一方の小径部側から連結部材を引き出しつつ他方の大径部側で連結部材を巻き取っている場合には、他方のコーンスプールの回転量に対して一方の回転量は多く、これとは反対に、一対のコーンスプールの一方の大径部側から連結部材を引き出しつつ他方の小径部側で連結部材を巻き取っている場合には、他方のコーンスプールの回転量に対して一方の回転量は少ない。
【0007】
以上のような一方のコーンスプールに対する他方のコーンスプールの回転量の変化を利用し、一方に巻取軸を連結させると共に他方を付勢手段で付勢することで、巻取軸に作用する付勢手段の付勢力を変化させることができるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記構成のテンションリデューサを利用したウエビング巻取装置では、連結部材が断線すると付勢手段の付勢力を巻取軸へ作用させることができなくなり、巻取軸から引き出したウエビングベルトを巻取軸へ巻き取らせることができなくなる。
【0009】
本発明は、上記事実を考慮して、テンションリデューサのような変速手段に不具合が生じても確実にウエビングベルトに付勢力を付与するウエビング巻取装置を得ることが目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のウエビング巻取装置は、長尺紐状の連結部材を介して互いに連結されると共に、少なくとも何れか一方の外周長さが軸方向に沿って変化し、一方が自らの軸線周りに回転して前記連結部材をその外周部に巻き取ることで他方が自らの軸線周りに回転して他方に巻き取られた前記連結部材を引き出すと共に、前記外周長さの変化により一方の回転量に対する他方の回転量を変速させる一対の軸部材を有する変速手段と、乗員の身体を拘束する長尺帯状のウエビングベルトの長手方向の一端が係止されると共に、前記一対の軸部材の一方の回転に連動して自らの軸線周りに回転する巻取軸と、前記一対の軸部材の他方を当該軸部材の軸線周りのうち前記連結部材及び前記一対の軸部材の一方を介して前記巻取軸に前記ウエビングベルトを巻き取らせる方向へ付勢する付勢手段と、前記一対の軸部材のうちの何れか一方の軸部材へ接続されると共に、前記一対の軸部材のうちの何れかのみの回転状態において前記付勢手段側の軸部材の所定角度の回転により前記何れか他方の軸部材へ接続され、前記何れか他方との接続状態では前記付勢手段側の軸部材の回転力を前記巻取軸側の軸部材へ伝えるクラッチ手段と、を備えている。
【0011】
上記構成のウエビング巻取装置によれば、巻取軸に巻き取られたウエビングベルトを巻取軸から引き出すと、巻取軸が自らの軸線周りに回転し、この回転が一対の軸部材のうち相対的に巻取軸側に位置する巻取軸側の軸部材に伝達され、巻取軸の回転が伝達された巻取軸側の軸部材は自らの軸線周りに回転して相対的に付勢手段側に位置する付勢手段側の軸部材に巻き取られた連結部材を引き出しつつ巻き取る。付勢手段側の軸部材は巻取軸側の軸部材の回転によって連結部材が引き出されることで連結部材の引き出し量に応じ、付勢手段の付勢力に抗して回転する。ここで、軸部材の少なくとも何れか一方は、その外周長が軸線方向に沿って変化しているため、外周長の変化に伴い1回転当たり連結部材の巻き取り量及び引き出し量が変化する。このように、連結部材の巻き取り量及び引き出し量が変化することで、他方の軸部材及び連結部材を介して一方の軸部材に作用する付勢手段の付勢力が変化するため、ウエビングベルトによる乗員の拘束力が変化する。
【0012】
このとき、一対の軸部材のうちの何れか一方の軸部材には、直接或いは間接的にクラッチ手段が接続されているが、連結部材により一対の軸部材が連結されている限りにおいては、軸部材の一方が回転すれば他方が連動して回転する(換言すれば、軸部材の一方のみが回転して他方が停止することはない)ため、クラッチ手段が一対の軸部材のうちの何れか他方の軸部材へ接続されることはない。
【0013】
また、例えば、ウエビングベルトによる乗員の拘束状態を解除してウエビングベルトの先端を自由にすると付勢手段の付勢力に対する抗力が解除されるため、付勢手段がその付勢力で付勢手段側の軸部材を回転させて巻取軸側の軸部材に巻き取られた連結部材を引き出させ、付勢手段側の軸部材の外周部に巻き取らせる。巻取軸側の軸部材は連結部材が引き出されることで自らの軸線周りに回転してウエビングベルトを巻き取る方向へ巻取軸を回転させる。このようにして先端が自由となったウエビングベルトは巻取軸へ巻き取られる。
【0014】
ところで、連結部材の切断等により連結部材を介しての一対の軸部材の連結が解除されると、当然、軸部材の連結部材の巻き取り及び軸部材からの連結部材の引き出しによる巻取軸への付勢手段の付勢力の伝達ができなくなる。しかしながら、ウエビングベルトが巻取軸から引き出されていれば、連結部材を介しての一対の軸部材の連結が解除されることで付勢手段の付勢力に抗した力が作用しなくなるため、付勢手段の付勢力で付勢手段側の軸部材だけが回転させられる。巻取軸側の軸部材が停止した状態で付勢手段側の軸部材が所定量以上回転させられると、何れか一方の軸部材へ直接或いは間接的に接続されたクラッチ手段が何れか他方の軸部材へ直接或いは間接的に接続される。これによって、付勢手段側の軸部材の回転が巻取軸側の軸部材へ伝えられて、付勢手段の付勢力で巻取軸側の軸部材が回転させられ、巻取軸へウエビングベルトが巻き取られ、或いは、付勢手段の付勢力を受けたウエビングベルトが乗員を拘束する。
【0015】
請求項2記載のウエビング巻取装置は、請求項1記載の本発明において、前記クラッチ手段は、前記一対の軸部材のうちの前記何れか一方の軸部材の回転に連動して前記一対の軸部材のうちの何れか他方の軸部材の回転中心の周囲を回転する回転体と、前記何れか他方の軸部材及び前記回転体の少なくとも何れかに設けられ、前記何れか他方の軸部材に対する前記回転体の所定の回転位置で前記何れか他方と係合する係合部と、を備え、前記係合部と前記何れか他方の軸部材との係合状態では前記係合部及び当該係合が係合した被係合側の何れか一方が他方を前記何れか他方の軸部材の回転中心周りに押圧する、ことを特徴としている。
【0016】
上記構成のウエビング巻取装置によれば、クラッチ手段の回転体は一対の軸部材のうちの何れか他方の軸部材の回転中心の周囲を回転する。したがって、何れか他方の軸部材が巻取軸側の軸部材であるならば、連結部材による一対の軸部材の連結が解除された状態で付勢手段が付勢手段側の軸部材を回転させると、付勢手段側の軸部材の回転に連動して回転体が巻取軸側の軸部材の回転中心の周囲を回転する。一方何れか他方の軸部材が付勢手段側の軸部材であるならば、連結部材による一対の軸部材の連結が解除された状態で付勢手段が付勢手段側の軸部材を回転させても、何れか一方の軸部材である巻取軸側の軸部材が回転することはないため、回転体が回転をすることはない。しかしながら、上記の如く、付勢手段側の軸部材は回転するため、相対的に付勢手段側の軸部材の回転中心の周囲を回転体が回転する。
【0017】
このようにして、何れか他方の軸部材に対して回転体が所定角度相対回転すると、何れか他方の軸部材及び回転体の少なくとも何れか一方に設けられた係合部が他方へ係合し、この係合状態で更に付勢手段の付勢力で付勢手段側の軸部材が回転すると、係合部とこの係合部が係合した側(すなわち、被係合側)の何れか一方が他方を、何れか他方の軸部材の回転中心周りに押圧してウエビングベルトを巻取軸に巻き取らせる方向に対応した方向へ巻取軸側の軸部材を回転させる。これにより、巻取軸へウエビングベルトが巻き取られ、或いは、付勢手段の付勢力を受けたウエビングベルトが乗員を拘束する。
【0018】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態の構成>
図3には本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置10の側面図が示されており、図1にはウエビング巻取装置10の要部の構成が分解斜視図によって示されている。
【0019】
図3に示されるように、ウエビング巻取装置10は各々の厚さ方向に沿って互いに対向した3枚の側壁12、14、16を有するフレーム18を備えている。フレーム18の幅方向中央の側壁12と、幅方向一方の側の側壁16との間には側壁12〜16の厚さ方向に沿って軸方向とされた巻取軸20が配置されている。巻取軸20は側壁12及び側壁16により自らの軸心線周りに回転自在に両端が軸支されている。巻取軸20の軸方向中間部には長尺帯状のウエビングベルト24の長手方向一端が係止されている。ウエビングベルト24は巻取軸20に巻き取られた状態で収容されており、引き出してその先端に設けられたタングプレートを車両に取り付けられたバックルへ係合させることで乗員の身体を拘束できる。
【0020】
また、巻取軸20の軸方向一端部は側壁12を貫通して側壁14側へ突出しており、図1に示されるように、その先端部には外歯を有するギヤ26が同軸的に固定されている。このギヤ26の回転半径方向側方には、軸部材(巻取軸側の軸部材、何れか一方の軸部材)として後述するコーンスプール44やケーブル38と共に変速手段としての変速機30を構成するコーンスプール32が配置されている。
【0021】
コーンスプール32は、軸方向一端側から他端側へ向けて漸次外径寸法が小さくなる略円錐形状とされており、その軸方向一端部(すなわち、大径側の端部)には外歯を有するギヤ部34が同軸的に形成されている。ギヤ部34を含めたコーンスプール32は、その軸線方向がギヤ26の軸線方向(すなわち、巻取軸20の軸線方向)に対して平行とされており、コーンスプール32のギヤ部34はギヤ26へ噛み合っている。
【0022】
さらに、コーンスプール32の外周部にはコーンスプール32の軸線を中心とした螺旋状の螺旋溝36が形成されており、コーンスプール32の軸方向一端側(すなわち大径側)の螺旋溝36の端部若しくはその近傍には連結部材としてのケーブル38の長手方向一端部が係止されている。ケーブル38は、その外径寸法が螺旋溝36の幅寸法よりも小さく、コーンスプール32をその軸線周りに回転させることで螺旋溝36の内側にケーブル38を収容しつつ螺旋状にケーブル38を巻き取ることができるようになっている。
【0023】
また、コーンスプール32の軸方向一端部からは軸部(図示省略)が同軸的に突出形成されており側壁12に回転自在に軸支されていると共に、コーンスプール32の軸方向他端部からは軸部42が同軸的に突出形成されており側壁14に回転自在に軸支されている。
【0024】
さらに、コーンスプール32の回転半径方向側方には軸部材(付勢手段側の軸部材、何れか他方の軸部材)としてのコーンスプール44が配置されている。コーンスプール44は、軸線方向がコーンスプール32の軸線方向に対して平行な円錐形状とされており、コーンスプール32の小径部側から大径部側への方向へ向けて漸次外径寸法が小さくなっている(すなわち、コーンスプール32とコーンスプール44とは、軸線が平行になるように配置されているものの、大径部から小径部への向きが反対である)。また、コーンスプール44の外周部にはコーンスプール44の軸線を中心とした螺旋状の螺旋溝46が形成されており、コーンスプール44の軸方向一端側(すなわち、大径側)の螺旋溝46の端部若しくはその近傍にケーブル38の長手方向他端部が係止されている。螺旋溝46の幅寸法はケーブル38の外径寸法よりも大きく、コーンスプール44をその軸線周りに回転させることで螺旋溝46の内側にケーブル38を収容しつつ螺旋状にケーブル38を巻き取ることができるようになっている。
【0025】
ここで、ケーブル38は、コーンスプール32及びコーンスプール44の何れか一方から完全に引き出された状態ではコーンスプール32及びコーンスプール44の何れか他方へ略全てが巻き取られている。したがって、コーンスプール32及びコーンスプール44のうちケーブル38が引き出されている側を自らの軸線周りに回転させれば、コーンスプール32及びコーンスプール44のうちケーブル38が引き出されている側は、ケーブル38が巻き取られている側よりケーブル38を引き出しつつ自らの外周部に巻き取る。このとき、ケーブル38が引き出される側はケーブル38が引き出されることで自らの軸線周りに回転する。すなわち、コーンスプール32とコーンスプール44とはケーブル38で連結されていることで一方から他方へ回転を伝達できるようになっている。
【0026】
さらに、コーンスプール44の軸方向一端部(すなわち大径側の端部)からは、軸部48が同軸的に突出形成されており側壁14へ回転自在に軸支されている。また、軸部48の周囲には付勢手段としての渦巻きコイルスプリング50が配置されている。渦巻きコイルスプリング50は長手方向両端部のうち自らが描く渦巻きの中心側の端部が軸部48の外周部へ固定されていると共に、自らが描く渦巻きの外側の端部が側壁14へ固定されている。渦巻きコイルスプリング50はその中心周りに長手方向一方の端部が他方の端部に対して相対変位した場合に、元に戻す付勢力を有している。したがって、軸部48が回転して渦巻きコイルスプリング50の外側の端部に対して中心側の端部を回転変位させた際には、渦巻きコイルスプリング50は軸部48を反対方向へ回転させるように付勢する。なお、軸部48は自らの軸線周りの渦巻きコイルスプリング50を絞る方向(すなわち、巻き数を増やす方向)への回転方向が、上述した巻取軸20からウエビングベルト24が引き出される方向への回転方向に対応している。
【0027】
また、コーンスプール44の軸方向他端部からは軸部52が突出形成されており、側壁12へ回転自在に軸支されている。
【0028】
さらに、コーンスプール44の軸方向一端側(大径側)の側方には外歯を有するクラッチ手段としてのギヤ54がコーンスプール44に対して同軸的に配置されている。ギヤ54の中心には透孔56が形成されている。透孔56はその外径寸法が軸部48の外径寸法よりも極僅かに大きい程度とされ、透孔56を軸部48が貫通した状態では、ギヤ54はコーンスプール44に対して軸部48周りに相対回転自在となる。図2に示されるように、透孔56に軸部48が貫通したギヤ54のコーンスプール44に対するセット状態で、コーンスプール44の軸方向一方の端面と対向する側のギヤ54の端面からは係合ピン58が突出形成されている。係合ピン58はギヤ54の中心に対してその半径外側に変位して設けられており、このため、ギヤ54がコーンスプール44に対して相対回転するとコーンスプール44の軸心線周りに係合ピン58がコーンスプール44に対して相対回転する。
【0029】
これに対して、図1に示されるように、コーンスプール44の軸方向一方の端面には円弧状の係合溝60が形成されている。係合溝60は、軸部48を中心にしてギヤ54がコーンスプール44に対して相対回転した際の係合ピン58のコーンスプール44に対する回転軌跡に対応して形成されており、ギヤ54のコーンスプール44に対するセット状態では係合ピン58が係合溝60内へ入り込み、軸部48を中心にしてギヤ54がコーンスプール44に対して相対回転した際には係合ピン58が係合溝60の内側で回転する。
【0030】
また、係合溝60はコーンスプール44の軸心線周りに一様に形成されてはおらず、全体的に略C字形状とされ、係合溝60の長手方向両端部62、64へ係合ピン58が当接した状態では係合ピン58はコーンスプール44に対して相対回転できない。
【0031】
さらに、コーンスプール44の回転半径方向側方には軸線方向がコーンスプール44の軸線方向と平行なギヤ66が配置されており、コーンスプール44の外歯とギヤ66の外歯とが噛み合っている。一方、上述したギヤ部34の回転半径方向側方には軸線方向がコーンスプール32の軸線方向と平行なギヤ68が配置されており、コーンスプール32のギヤ部34とギヤ68とが噛み合っている。ギヤ66とギヤ68とは互いに同軸的に配置されており、各々がシャフト70により一体的に連結されている。シャフト70の軸方向両端部は、ギヤ66及びギヤ68を突出しており、特に図示はしないが側壁12及び側壁14へ回転自在に軸支されている。
【0032】
シャフト70により一体とされたギヤ66とギヤ68とを介してコーンスプール32のギヤ部34とギヤ54とが連結されているわけであるが、コーンスプール32のギヤ部34、ギヤ68、ギヤ66、及びギヤ54により構成される歯車列の変速比(ギヤ比)は、コーンスプール32及びコーンスプール44の何れか一方にケーブル38が略全てが巻き取られた状態から何れか他方が引き出してケーブル38の略全てを巻き取るに要するコーンスプール44の回転数と、このときのコーンスプール32の回転数に応じたギヤ54の回転数が僅かに少なくなるように設定されている。
【0033】
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0034】
本ウエビング巻取装置10では、ウエビングベルト24が巻取軸20に巻き取られている状態では、ケーブル38の略全てがコーンスプール44の外周部、すなわち、螺旋溝46に巻き取られていると共に、係合ピン58が係合溝60内の端部62の近傍に位置している。また、この状態では、渦巻きコイルスプリング50に対する外力は基本的に作用しておらず軸部48(すなわち、コーンスプール44)を付勢していない。
【0035】
この状態でウエビングベルト24を引き出すと、巻取軸20が回転して巻取軸20と一体とされたギヤ26が噛み合うコーンスプール32のギヤ部34を回転させる。ギヤ部34が回転すると、ギヤ部34はその軸方向一端側(大径部側)から螺旋溝36の内側でケーブル38を巻き取っていく。ギヤ部34がケーブル38を巻き取りはじめることで、コーンスプール44の螺旋溝46内に収容された状態でコーンスプール44の外周部へ巻き取られていたケーブル38はコーンスプール44の軸方向他端側(小径部側)から漸次引き出され、引き出されたケーブル38の長さに応じてコーンスプール44が回転する。
【0036】
このとき、コーンスプール32が1回転するとコーンスプール44の大径部側での外周長さに略等しい長さだけケーブル38がコーンスプール44から引き出されてコーンスプール32へ巻き取られるが、概ねコーンスプール32の大径部側での外周長とコーンスプール44の小径部側での外周長との差だけコーンスプール32に対するコーンスプール44の回転数が異なる。
【0037】
さらに、コーンスプール32が回転するにつれてケーブル38は螺旋溝36に案内されてコーンスプール32の軸方向一方の端部よりも小径の軸方向中間部で外周部に巻き付けられる。このとき、コーンスプール44からは更にケーブル38が引き出されてコーンスプール44の軸方向他端部より大径の軸方向中間部からケーブル38が引き出されることになる。この状態では、コーンスプール32が回転を始めた当初と比べてケーブル38を巻き取っている部分でのコーンスプール32の外周長とケーブル38が引き出されている部分でのコーンスプール44の外周長との差が異なるため、コーンスプール32に対するコーンスプール44の回転数がコーンスプール32の回転開始当初とは異なる。
【0038】
この状態から更にコーンスプール32が回転してコーンスプール32の外周部へケーブル38の巻き取りが終了する直前の状態となると、コーンスプール32の軸方向他端部、すなわち、コーンスプール32の小径部でケーブル38を巻き取ることになる。一方、このとき、ケーブル38はその殆どがコーンスプール44から引き出されているため、ケーブル38の引き出し位置はコーンスプール44の軸方向一端部、すなわち、コーンスプール44の大径部からケーブル38が引き出されることになる。このときはコーンスプール32が回転を始めた当初と比べてケーブル38を巻き取っている部分でのコーンスプール32の外周長とケーブル38が引き出されている部分でのコーンスプール44の外周長との差がより一層異なるため、コーンスプール32に対するコーンスプール44の回転数がコーンスプール32の回転開始当初に比べて更に異なる。このように、コーンスプール32が1回転した際でのコーンスプール44の回転数は漸次変化する。
【0039】
ケーブル38が引き出されることでコーンスプール32の回転方向と同方向へ回転するコーンスプール44は、コーンスプール44と一体の軸部48を回転させる。軸部48が回転することで中心側の端部が軸部48に係止された渦巻きコイルスプリング50は絞られ(すなわち、巻き数を増やされ)るため、軸部48をその回転方向とは反対方向へ付勢する。
【0040】
巻取軸20からのウエビングベルト24の引き出しに伴い軸部48の回転が開始されるため、渦巻きコイルスプリング50の付勢力は巻取軸20からのウエビングベルト24の引き出し開始から終了までの間に漸次増大するが、ウエビングベルト24の回転を軸部48へ伝達する際に、コーンスプール32に対するコーンスプール44の回転数が漸次変化するため、この回転数の変化に応じて渦巻きコイルスプリング50が巻取軸20に付与すうウエビングベルト24を巻き取る方向への付勢力の大きさが変化する。これにより、巻取軸20が乗員に与える拘束力が巻取軸20の引き出し量に応じて変化する。
【0041】
一方、巻取軸20からウエビングベルト24が引き出されて巻取軸20が回転することで、ギヤ26を介して巻取軸20へ連結されたギヤ68が回転する。ギヤ68が回転してこれと共に一体的にギヤ66が回転することで、ギヤ66へ噛み合ったギヤ54が回転する。但し、ギヤ54は基本的にコーンスプール44に対して相対回転可能である。しかも、ギヤ68、66を介したコーンスプール32のギヤ部34からギヤ54への回転の変速比(ギヤ比)は、コーンスプール32及びコーンスプール44の何れか一方にケーブル38が略全てが巻き取られた状態から何れか他方が引き出してケーブル38の略全てを巻き取るに要するコーンスプール44の回転数と、このときのコーンスプール32の回転数に応じたギヤ54の回転数が僅かに少なくなるように設定されているため、係合ピン58が係合溝60の端部64へ当接することはない。すなわち、この場合、ギヤ54は単にコーンスプール44に対して相対回転しているだけで、コーンスプール44や渦巻きコイルスプリング50に対してなんら外力を付与するものではなく、ましてや、コーンスプール44の回転を阻害するものではない。
【0042】
引き出したウエビングベルト24を巻取軸20に巻き取らせる際には、ウエビングベルト24の先端部を自由にして渦巻きコイルスプリング50の付勢力に抗した力を解除すればよい。渦巻きコイルスプリング50の付勢力に抗した力を解除すると、渦巻きコイルスプリング50はその付勢力で軸部48を介してコーンスプール44を回転させ、コーンスプール32に巻き取られていたケーブル38をコーンスプール32から引き出して係合溝60に沿って自らの外周部へ巻き取る。コーンスプール32はケーブル38が引き出されることで自らの軸線周りに回転してギヤ26を回転させ、ウエビングベルト24を巻き取る方向へ向けてギヤ26と一体の巻取軸20を回転させる。これによって、ウエビングベルト24が巻取軸20に巻き取られて収納される。
【0043】
ここで、仮に、ウエビングベルト24を巻取軸20から引き出した状態でケーブル38が切断されてケーブル38を介したコーンスプール32とコーンスプール44との連結が解除されると、ケーブル38を介した渦巻きコイルスプリング50の付勢力の巻取軸20への伝達ができなくなる。
【0044】
この状態は、軸部48が回転した状態であり渦巻きコイルスプリング50は軸部48を付勢しているため、渦巻きコイルスプリング50は軸部48を回転させようとすることには変わりない。ケーブル38を介したコーンスプール32との連結が解除されたコーンスプール44は、ケーブル38の張力による拘束状態から開放されるため渦巻きコイルスプリング50の付勢力により回転を開始する。上述したように、軸部52はコーンスプール44に対して相対回転可能であるため、軸部52の係合ピン58はコーンスプール44のギヤ66に沿って移動する。
【0045】
但し、ケーブル38によるコーンスプール32とコーンスプール44との連結が解除された状態では、コーンスプール44が回転しても基本的にコーンスプール32が回転することはないため、コーンスプール32がギヤ26、ギヤ68、及びギヤ66を介してギヤ54を回転させることはない。したがって、コーンスプール44が1回転するよりも先に係合ピン58が係合溝60の端部62へ到達して渦巻きコイルスプリング50の付勢力によるコーンスプール44の回転方向へ係合ピン58が係合溝60の端部62を押圧し、コーンスプール44と一体的にギヤ54が回転し始める。コーンスプール44と共にギヤ54が回転することでギヤ54に噛み合うギヤ66が回転を開始し、ギヤ66と一体のギヤ68を介してギヤ68に噛み合うギヤ26が回転する。これにより、ウエビングベルト24を巻き取る方向へ巻取軸20が回転しようとし、このとき、ウエビングベルト24の先端が自由であれば巻取軸20が回転することで巻取軸20へウエビングベルト24が巻き取られ、ウエビングベルト24の先端が自由でなければ渦巻きコイルスプリング50の付勢力がコーンスプール44、ギヤ54、ギヤ66、ギヤ68、ギヤ26、及び巻取軸20を介してウエビングベルト24に付与され、この付勢力で例えば乗員の身体を拘束する。
【0046】
一方、仮に、ウエビングベルト24が巻取軸20へ巻き取られた状態でケーブル38によるコーンスプール32とコーンスプール44との連結が解除された場合には、ウエビングベルト24を引き出して巻取軸20を回転させ、ギヤ26を介して巻取軸20の回転をコーンスプール32へ伝えてコーンスプール32を回転させてもコーンスプール44は回転しない。
【0047】
しかしながら、ギヤ26が回転することで、ギヤ26に噛み合うギヤ68が回転してギヤ68と一体のギヤ66がギヤ66に噛み合うギヤ54を回転させる。このとき、ギヤ54はコーンスプール44に対して相対回転可能であり、しかも、コーンスプール32が回転してもケーブル38による連結が解除されているためコーンスプール44は停止したままの状態であるため、ギヤ54が1回転するよりも先に係合ピン58が係合溝60の端部64へ到達し、ギヤ54の回転方向へ向けて係合ピン58が係合溝60の端部64を押圧する。これにより、コーンスプール44はギヤ54と共に一体的に回転し、コーンスプール44と一体の軸部48が渦巻きコイルスプリング50を絞る方向(すなわち、巻き数を増やす方向)へ回転する。このため、渦巻きコイルスプリング50はこのときの軸部48の回転方向とは反対方向へ軸部48を付勢する。したがって、ケーブル38によりコーンスプール32とコーンスプール44との連結が解除されたとしても、ウエビングベルト24を巻取軸20から引き出すことで渦巻きコイルスプリング50の付勢力をウエビングベルト24に付与することができる。
【0048】
以上、説明したように、本ウエビング巻取装置10では、仮にケーブル38の切断等でケーブル38を介したコーンスプール32とコーンスプール44との連結が解除されたとしても、渦巻きコイルスプリング50の付勢力を巻取軸20から引き出されたウエビングベルト24に付与することができる。
【0049】
<第1の実施の形態の変形例>
なお、本実施の形態では、コーンスプール32を請求項1記載の本発明でいうところの何れか一方の軸部材とし、コーンスプール44を請求項1記載の本発明でいうところの何れか他方の軸部材とした構成であったが、コーンスプール32を何れか他方の軸部材とし、コーンスプール44を何れか一方の軸部材とした構成とすることも可能である。
【0050】
すなわち、コーンスプール44にではなくコーンスプール32に係合溝60を形成し、コーンスプール44の軸部48にではなく例えばコーンスプール32の軸部40にギヤ54の透孔56を貫通させる構成とすると共に、コーンスプール44の軸方向一端部(大径部側の端部)に同軸的に外歯のギヤを形成してギヤ66及びギヤ68を介してコーンスプール44のギヤとギヤ54とを連結する構成とすることもできる。この場合には、クラッチ手段であるところのギヤ54は常にコーンスプール44に連動して回転し(すなわち、ギヤ54は常時コーンスプール44へ接続され)、係合ピン58が係合溝60の端部62或いは端部64へ当接することでコーンスプール32へ接続されることになる点で作用が異なるが、これに伴う効果は上述した効果と基本的に同様である。
【0051】
<第2の実施の形態の構成>
次に、本発明のその他の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において前記第1の実施の形態或いは説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位については、同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0052】
図4には、本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻取装置90の構成が分解斜視図によって示されている。
【0053】
この図に示されるように、本ウエビング巻取装置90はギヤ54に代わって後述する遊星ギヤ94、太陽ギヤ98と共にクラッチ手段を構成するギヤ92を備えている。ギヤ92はその外周部に外歯が形成されギヤ66と噛み合っているという点においてはギヤ54と同じである。しかしながら、図5に示されるように、ギヤ92のコーンスプール44と対向する側の面は、その外周部よりも内側がコーンスプール44側へ向けて略円形に開口した凹形状の凹部93とされ、その内周部には軸部48の外径寸法よりも充分に大きな内歯ギヤが形成されている。
【0054】
このギヤ92の内側にはギヤ92の内歯へ噛み合う回転体としての遊星ギヤ94が配置されており、遊星ギヤ94は自転しつつ、この自転速度に応じてギヤ92の内側をギヤ92の中心周りに公転するようになっている。また、遊星ギヤ94の複数の外歯の間の複数の歯溝のうちの1つの間には係合部としてのストッパ96が設けられており、ストッパ96が設けられた部分ではその歯溝の少なくとも一部(本実施の形態では、遊星ギヤ94の軸方向中間部よりも一端側)がストッパ96により埋められている。したがって、ストッパ96が設けられた部分ではギヤ92の内歯が入り込むことはできず、遊星ギヤ94はそれ以上自転及び公転がができない。
【0055】
また、図4に示されるように、本ウエビング巻取装置90では軸部48の軸方向基端側(すなわち、コーンスプール44の本体部分側)は太陽ギヤ98とされており歯数が遊星ギヤ94よりも歯数以下の外歯が形成されている。太陽ギヤ98には上述した遊星ギヤ94が噛み合っている。さらに、太陽ギヤ98の複数の外歯の間の複数の歯溝のうちの1つの歯溝には、係合部としてのストッパ100が形成されており、この部分では歯溝の少なくとも一部(本実施の形態では、軸部48の軸方向に沿った方向の中間部よりも先端側)で歯溝がストッパ100により埋められている。したがって、ストッパ100が設けられた部分では遊星ギヤ94の外歯が入り込むことはできず、遊星ギヤ94はそれ以上自転及び公転がができない。また、太陽ギヤ98の外歯、遊星ギヤ94の外歯、及びギヤ92の内歯の各歯数、或いは、太陽ギヤ98及びギヤ92に対する遊星ギヤ94の配置位置は、ストッパ100が形成された歯溝へ遊星ギヤ94の外歯が入り込もうとした際に、ストッパ96が形成された遊星ギヤ94の歯溝へギヤ92の内歯が入り込もうとするように設定されている。
【0056】
ところで、本ウエビング巻取装置90では、各ギヤの数の関係上、ギヤ26が回転した際にギヤ68及びギヤ68を介して伝えられたギヤ26の回転力によるギヤ92の回転方向と、コーンスプール32及びケーブル38を介して伝えられたギヤ26の回転力によるコーンスプール44の回転方向と、が同じである。したがって、ギヤ26が回転した際にはギヤ92の回転数とコーンスプール44の回転数との差に応じた分しか遊星ギヤ94は自転及び公転しない(すなわち、実際のコーンスプール44及びギヤ92の回転数に比べてコーンスプール44に対するギヤ92の相対回転数は少なく、遊星ギヤ94の回転数はこの相対回転数によって決まる)。
【0057】
ここで、本ウエビング巻取装置90におけるギヤ26、ギヤ68、ギヤ66、ギヤ92の外歯、ギヤ92の内歯、遊星ギヤ94、及び太陽ギヤ98から成る歯車列の変速比(ギヤ比)は、コーンスプール32及びコーンスプール44の何れか一方にケーブル38が略全てが巻き取られた状態から何れか他方が引き出してケーブル38の略全てを巻き取るに要するコーンスプール44の回転数と、このときのコーンスプール32の回転数に応じたギヤ92の回転数と、の差に応じた遊星ギヤ94の回転で、ギヤ92の内歯がストッパ96が設けられた遊星ギヤ94の歯溝へ入り込もうとせず、且つ、遊星ギヤ94の外歯がストッパ100が設けられた太陽ギヤ98の歯溝へ入り込もうとしない程度に遊星ギヤ94を回転させる程度に設定されている。したがって、ケーブル38を介してコーンスプール32とコーンスプール44とが連結されている状態では、遊星ギヤ94が単に太陽ギヤ98の周囲を公転しつつ自転し、ギヤ92が太陽ギヤ98を中心にして回転しているだけである。
【0058】
<第2の実施の形態の作用並びに効果>
本ウエビング巻取装置90において、仮に、ウエビングベルト24が巻取軸20から引き出された状態でケーブル38が切断されてケーブル38を介したコーンスプール32とコーンスプール44との連結状態が解除された場合には、先ず、前記第1の実施の形態と同様に渦巻きコイルスプリング50の付勢力によりコーンスプール44が回転する。コーンスプール44が回転すると、軸部48に形成された太陽ギヤ98の外歯が遊星ギヤ94の外歯を押圧する。太陽ギヤ98の外歯からの押圧力を遊星ギヤ94の外歯が受けても遊星ギヤ94が自転しなければ、遊星ギヤ94の外歯はギヤ92の内歯を押圧してギヤ92をコーンスプール44と一体的に回転させる。また、太陽ギヤ98の外歯からの押圧力を遊星ギヤ94の外歯が受けたときに、ギヤ92の内歯からの押圧反力を遊星ギヤ94の外歯が受ける等に起因して遊星ギヤ94が自転することがある。この場合には、ギヤ92が回転を開始してギヤ68、ギヤ66、ギヤ26を介してウエビングベルト24を引き出す方向へ巻取軸20を一旦回転させる。しかしながら、遊星ギヤ94が太陽ギヤ98の周りを相対的に1回転するよりも先にストッパ100が設けられた歯溝に遊星ギヤ94の外歯が入り込もうとし、更に、このときにはストッパ96が設けられた遊星ギヤ94の歯溝にギヤ92の内歯が入り込もうとする。遊星ギヤ94の外歯がストッパ100へ当接してギヤ92の内歯がストッパ96へ当接することで、遊星ギヤ94は自転及び公転ができなくなり、この状態では、太陽ギヤ98の外歯からコーンスプール44の回転力を受けた遊星ギヤ94はそのままギヤ92の内歯へ伝えてギヤ92をコーンスプール44の回転方向と同じ方向へ向けて回転させる。
【0059】
すなわち、多少の時間差が生じるものの、コーンスプール44が回転した際に遊星ギヤ94が自転しようとしまいと、ギヤ92はコーンスプール44と一体的に回転させられる。
【0060】
上述したように、遊星ギヤ94が自転しない状態でコーンスプール44、遊星ギヤ94、ギヤ92、ギヤ68、ギヤ66、及びギヤ26を介して渦巻きコイルスプリング50の付勢力を受けた巻取軸20がウエビングベルト24を巻き取る方向へ回転しようとする。したがって、このときに、ウエビングベルト24の先端が自由であればウエビングベルト24は巻取軸20に巻き取られ、自由でなければ、例えば、乗員の身体を拘束する。
【0061】
一方、仮に、ウエビングベルト24が巻取軸20に巻き取られた状態でケーブル38が切断されてケーブル38を介したコーンスプール32とコーンスプール44との連結状態が解除された場合に、巻取軸20からウエビングベルト24を引き出すと、ギヤ26が回転してギヤ26に噛み合うギヤ68及びギヤ66を介してギヤ66に噛み合うギヤ92が回転させられる。このとき、ケーブル38によるコーンスプール32とコーンスプール44との連結は解除されているため、ギヤ26を介してコーンスプール32が回転したとしえもコーンスプール44は回転しない。
【0062】
但し、ギヤ92が回転した際にギヤ92の内歯からの押圧力を外歯で受けた遊星ギヤ94が自転しなければ、遊星ギヤ94はギヤ92と共に一体的に回転し、遊星ギヤ94の外歯が太陽ギヤ98の外歯を押圧して太陽ギヤ98、すなわち、軸部48を一体的に回転させる。
【0063】
また、ギヤ92が回転した際にギヤ92の内歯からの押圧力や太陽ギヤ98の外歯からの押圧反力を外歯で受けた遊星ギヤ94が自転した場合には、遊星ギヤ94はギヤ92の中心の周囲を公転する。上述したように、ケーブル38によるコーンスプール32とコーンスプール44との連結が解除されていることで、ギヤ26を介してコーンスプール32が回転してもコーンスプール44は回転していないため、太陽ギヤ98もまた停止している。したがって、この状態では、遊星ギヤ94は単に太陽ギヤ98の周囲を公転するか、或いは、遊星ギヤ94と噛み合う太陽ギヤ98を渦巻きコイルスプリング50の巻数を減らす方向へ遊星ギヤ94が回転させる。単に遊星ギヤ94が太陽ギヤ98の周囲を公転した場合及び遊星ギヤ94が太陽ギヤ98を回転させた場合の何れであっても、太陽ギヤ98の周囲を遊星ギヤ94が1回転するよりも先に、ストッパ100が設けられた歯溝に遊星ギヤ94の外歯が入り込もうとし、更に、このときにはストッパ96が設けられた遊星ギヤ94の歯溝にギヤ92の内歯が入り込もうとする。遊星ギヤ94の外歯がストッパ100へ当接してギヤ92の内歯がストッパ96へ当接することで遊星ギヤ94は自転及び公転ができなくなり、この状態では、太陽ギヤ98の外歯からコーンスプール44の回転力を受けた遊星ギヤ94はそのままギヤ92の内歯へ伝えてギヤ92をコーンスプール44の回転方向と同じ方向へ向けて回転させる。
【0064】
すなわち、ケーブル38によるコーンスプール32とケーブル38との連結が解除された状態であっても多少の時間差が生じるものの、ギヤ92が回転した際に遊星ギヤ94が自転しようとしまいと、また、太陽ギヤ98が遊星ギヤ94によって回転させられ、或いは、太陽ギヤ98が回転しなくても、軸部48(すなわち、コーンスプール44)はギヤ92と一体的に回転させられる。したがって、ギヤ92と共に回転する軸部48(すなわち、コーンスプール44)は、渦巻きコイルスプリング50を絞る方向(すなわち、渦巻きコイルスプリング50の巻数を増やす方向)へ回転し、渦巻きコイルスプリング50はその付勢力を増大させ、軸部48を反対方向へ回転させようとする。
【0065】
以上、説明したように、本ウエビング巻取装置90では、仮にケーブル38の切断等でケーブル38を介したコーンスプール32とコーンスプール44との連結が解除されたとしても、渦巻きコイルスプリング50の付勢力を巻取軸20から引き出されたウエビングベルト24に付与することができる。
【0066】
<第2の実施の形態の変形例>
なお、本実施の形態では、コーンスプール32を請求項1記載の本発明でいうところの何れか一方の軸部材とし、コーンスプール44を請求項1記載の本発明でいうところの何れか他方の軸部材とした構成であったが、コーンスプール32を何れか他方の軸部材とし、コーンスプール44を何れか一方の軸部材とした構成とすることも可能である。
【0067】
すなわち、軸部48に代えて軸部40にストッパ100が設けられた太陽ギヤ98を形成すると共に、ギヤ92を軸部40が中心となるように配置してギヤ92と太陽ギヤ98の間に遊星ギヤ94を配置する。コーンスプール44の軸方向一端(すなわち、大径部側の端部)には外歯を有するギヤを同軸的且つ一体的に形成し、ギヤ66及びギヤ68を介してギヤ92と接続させることもできる。この場合には、クラッチ手段であるところのギヤ92、遊星ギヤ94は常にコーンスプール44に連動して回転し(すなわち、ギヤ92、遊星ギヤ94は常時コーンスプール44へ接続され)、ストッパ100が設けられた太陽ギヤ98の歯溝に遊星ギヤ94の外歯が当接し、ストッパ96が設けられた遊星ギヤ94の歯溝にギヤ92の内歯が当接することでコーンスプール32へ接続されることになるという点で作用が異なるが、これに伴う効果は上述した効果と基本的に同様である。
【0068】
<第3の実施の形態の構成>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0069】
図6には、本発明の第3の実施の形態に係るウエビング巻取装置120の要部の構成が分解斜視図によって示されている。この図に示されるように、本ウエビング巻取装置120はギヤ26を備えておらず、しかも、コーンスプール32の軸方向一端部(すなわち、大径部側の端部)にギヤ部34が形成されておらず、巻取軸20へコーンスプール32が直接接続されている。また、コーンスプール32の軸方向他端部(すなわち、小径部側の端部)に外歯を有するギヤ122が同軸的に形成されており、このギヤ122を介して軸部42がコーンスプール32に形成されている。このギヤ122の回転半径方向側方には外歯を有するギヤ126が設けられている。ギヤ126はその軸線方向がギヤ122の軸線方向(すなわち、コーンスプール32の軸線方向)に対して平行とされ外歯がギヤ122の外歯へ噛み合っている。ギヤ126の中心には内径寸法が軸部48の外径寸法よりも極僅かに大きな透孔128がギヤ126の外歯の歯先円(全ての歯先を通る仮想円)に対して同軸的に形成されており、軸部48が貫通することでギヤ126がコーンスプール44に対して同軸的で且つ軸部48周りにコーンスプール44に対して相対回転可能にセットされる。
【0070】
図7に示されるように、コーンスプール44に対するセット状態においてコーンスプール44の軸方向方向に沿ってコーンスプール44の一端部(すなわち、大径側の端部)と対向する側のギヤ126の面には係止ピン130が形成されており、クラッチ手段としての接続帯132の一端が係止されている。金属薄帯若しくは比較的剛性が高い合成樹脂材により帯状に形成された部材で、接続帯132は自らの厚さ方向に沿った可撓性を有するものの、弾性、特に自ら長手方向に沿った方向の弾性は殆どなく、長手方向に沿った引っ張り力が作用してもその長さが変化することはない。接続帯132は、その長手方向一端(すなわち、係止ピン130に係止された側)が半径方向外側に、他端が中心側に位置するようには渦巻き状に巻かれている。
【0071】
一方、本ウエビング巻取装置120では、軸部48に切欠部134が形成されている。切欠部134を軸部48の軸線方向に沿ってみた場合その形状は略円形とされており、内径寸法は軸部48の外径寸法に比べて充分に小さい。また、切欠部134は、その軸心線が概ね軸部48の軸心線に対して平行になるように形成されていると共に、軸部48の軸心線に対して変位し、且つその内周一部は軸部48の外周部にて開口している。この切欠部134には略円柱形状の係止ピン136が挿入配置される。係止ピン136の外径寸法は、外周部に1周だけ接続帯132を巻きつけた状態における接続帯132を含めた外径寸法が係止ピン136の内径寸法よりも極僅かに小さく、且つ、外径寸法が切欠部134の開口幅よりも大きくなる程度に設定されており、幅方向に沿ってみた場合にリング状とされた接続帯132の長手方向他端部(すなわち、渦巻きの中心側の端部)のリング部138の内側へ挿入された状態で切欠部134へ挿入される。係止ピン136と共に切欠部134へ挿入された接続帯132は切欠部134の開口部分から切欠部134の外側へ延出されると共に、切欠部134の開口幅よりも外径寸法が大きな係止ピン136がリング部138の内側へ挿入されていることで、リング部138の切欠部134からの抜け出しが防止されている。
【0072】
ここで、本ウエビング巻取装置120では、係止ピン136と共にリング部138が切欠部134へ挿入されることで接続帯132は見かけ上軸部48と接続されるが、請求項1記載の本発明でいうところの何れか他方の軸部材とクラッチ手段との接続は、クラッチ手段から何れか他方の軸部材へ、及び何れか他方の軸部材からクラッチ手段への運動の伝達が可能な状態を接続としている。このため、この観点からすれば、軸部48の周囲の切欠部134が巻き方が緩ければ、切欠部134が軸部48を締め付けるまでは運動を伝達できないことから、係止ピン136と共にリング部138が切欠部134へ挿入されただけでは本発明でいうところの接続にはあたらない。
【0073】
さらに、本ウエビング巻取装置120ではコーンスプール44に螺旋溝46が形成されておらず、代わりに螺旋溝140が形成されている。螺旋溝140もまた螺旋溝46と同様に幅寸法がケーブル38の外径寸法よりも僅かに大きな螺旋状の溝であるが、その螺旋の回転方向が螺旋溝46とは反対方向である。したがって、本ウエビング巻取装置120においても、螺旋溝140に沿ってコーンスプール44に巻き取られたケーブル38をコーンスプール32が回転することで引き出しつつコーンスプール44を回転させると、コーンスプール44はコーンスプール32の回転方向(すなわち、上述した第1及び第2の実施の形態におけるコーンスプール44の回転方向)とは反対方向に回転することになり、コーンスプール32の回転に連動したコーンスプール44の回転方向は、コーンスプール32の回転をギヤ122を介して受けたギヤ126の回転と同一方向となる。ここで、コーンスプール32に連動したコーンスプール44の回転数に対するギヤ126の回転数は、コーンスプール44に巻き取られたケーブル38を引き出してその殆ど全てを螺旋溝36に沿ってコーンスプール32が外周部に巻き付けた場合のコーンスプール32の回転数に対するコーンスプール44の回転数よりもギヤ126の回転数の方が僅かに少なくなるように設定されている。
【0074】
また、本ウエビング巻取装置120は渦巻きコイルスプリング50に代わり渦巻きコイルスプリング142を備えている。渦巻きコイルスプリング142もまた渦巻きコイルスプリング50と同様に渦巻きの中心側の端部が軸部48へ固定され、渦巻きの外側の端部が側壁14へ固定されているが、その渦の巻き方が渦巻きコイルスプリング50とは反対である。すなわち、上述したように、本ウエビング巻取装置120ではコーンスプール44に巻き取られたケーブル38をコーンスプール32が回転することで引き出した際のコーンスプール44の回転方向が前記第1及び第2の実施の形態のコーンスプール44の回転方向とは反対方向であるため、渦巻きコイルスプリング142の渦の巻き方を渦巻きコイルスプリング50とは反対にすることで本ウエビング巻取装置120における渦巻きコイルスプリング142の作用が前記第1及び第2の実施の形態における渦巻きコイルスプリング50と同じになる。
【0075】
さらに、上述した接続帯132の巻き方向は、同一方向に沿って接続帯132と渦巻きコイルスプリング142とをみた場合、渦巻きコイルスプリング142と同じ方向となるように設定されている。また、接続帯132はコーンスプール44に対して接続帯132の外側から中心側への巻き方向へコーンスプール44に対して相対的に1回転するよりも先に(すなわち、1回転未満で)接続帯132の長手方向中間部よりも他端側が軸部48を締め付け且つ軸部48を締め付けた部分と一端側との間が張力で直線状となる程度の長さ及び巻き数が設定されている。
【0076】
<第3の実施の形態の作用、効果>
本ウエビング巻取装置120では、ケーブル38を介してコーンスプール32の回転に連動したコーンスプール44の回転方向が前記第1及び第2の実施の形態とは異なるものの、コーンスプール44が回転した際に軸部48を付勢する渦巻きコイルスプリング142の巻き方向が渦巻きコイルスプリング50とは反対方向であるため、ケーブル38の連結が解除されていない状態においては巻取軸20からウエビングベルト24を引き出すことで渦巻きコイルスプリング142を絞る方向(すなわち、渦巻きコイルスプリング142の巻き数を増やす方向)へ軸部48が回転し、渦巻きコイルスプリング142がウエビングベルト24を巻き取る方向へ巻取軸20を回転させるように付勢する。
【0077】
また、巻取軸20からウエビングベルト24を引き出してコーンスプール32を回転させることで、ギヤ122が回転してギヤ122に噛み合うギヤ126が回転するが、ギヤ126はコーンスプール44に対して軸部48周りに相対回転可能であり、しかも、その回転方向はコーンスプール32の回転に連動したコーンスプール44の回転と同じ方向である。さらに、コーンスプール44に巻き取られたケーブル38を引き出してその殆ど全てを螺旋溝36に沿ってコーンスプール32が外周部に巻き付けた場合のコーンスプール32の回転数に対するコーンスプール44の回転数よりもギヤ126の回転数の方が僅かに少ない。このため、巻き取られたケーブル38が全て引き出されるまでコーンスプール44が回転したとしても、ギヤ126はコーンスプール44に対して相対的にコーンスプール44の回転方向とは反対方向へ僅かに回転し、結果として僅かに接続帯132の巻きが緩む(すなわち、接続帯132の巻き数が減る)だけである。したがって、接続帯132を介してコーンスプール44へ接続されたギヤ126がコーンスプール44の回転を阻害するようなことはない。
【0078】
ところで、本ウエビング巻取装置120において、仮に、ウエビングベルト24が巻取軸20から引き出された状態でケーブル38が切断されてケーブル38を介したコーンスプール32とコーンスプール44との連結状態が解除された場合には、先ず、渦巻きコイルスプリング142の付勢力によりコーンスプール44が回転する。このとき、ケーブル38を介したコーンスプール32とコーンスプール44との連結状態は解除されているため、コーンスプール32が回転することはなく、したがって、コーンスプール32に設けられたギヤ122に噛み合うギヤ126が回転することはないが、コーンスプール44が回転することでコーンスプール44の回転方向とは反対方向へ向けてコーンスプール44に対して相対的にギヤ126が回転する。
【0079】
このときの、コーンスプール44に対する相対的なギヤ126の回転方向は、外側から中心側への接続帯132の巻き方向と略同方向であるため、相対的にコーンスプール44に対してギヤ126が1回転するよりも先に軸部48が接続帯132の長手方向中間部よりも他端側の部分に締め付けられると共に、軸部48を締め付けた部分と一端側との間が直線状に張る程度の張力が接続帯132に付与される。接続帯132は特にその長手方向に沿った弾性を有していないため、上記の状態から更に軸部48(すなわち、コーンスプール44)が回転することで軸部48の外周部に対する接線方向に沿って係止ピン130を引っ張り、ギヤ126をコーンスプール44の回転方向と同じ方向へ回転させる。ギヤ126が回転することでギヤ126に噛み合うギヤ122と一体のコーンスプール32が回転し、ギヤ26がコーンスプール32の回転に連動して回転する。このため、このとき、引き出されたウエビングベルト24の先端が自由であれば巻取軸20へ巻き取られ、自由でなければ乗員を拘束する。
【0080】
一方、本ウエビング巻取装置120において、仮に、ウエビングベルト24が巻取軸20に巻き取られた状態でケーブル38が切断されてケーブル38を介したコーンスプール32とコーンスプール44との連結状態が解除された場合に、巻取軸20からウエビングベルト24を引き出すと、コーンスプール32が回転してコーンスプール32と一体のギヤ122へ噛み合うギヤ126が回転するが、ケーブル38による連結が解除されているため、コーンスプール44は回転しない。このときのコーンスプール44に対するギヤ126の回転方向は接続帯132の中心側から外側への巻き方向と略同方向であるため、ギヤ126が1回転するよりも先に軸部48が接続帯132の長手方向中間部よりも他端側の部分に締め付けられると共に、軸部48を締め付けた部分と一端側との間が直線状に張る程度の張力が接続帯132に付与される。この状態から更にギヤ126が回転することで軸部48は渦巻きコイルスプリング142を絞る方向(すなわち、渦巻きコイルスプリング142の巻き数を増やす方向)へ回転する。これにより、渦巻きコイルスプリング142はこのときの軸部48の回転方向とは反対方向へ付勢し、接続帯132、ギヤ126、ギヤ122、ギヤ26を介してウエビングベルト24を巻き取る方向へ巻取軸20を付勢する。
【0081】
以上、説明したように、本ウエビング巻取装置120では、仮にケーブル38の切断等でケーブル38を介したコーンスプール32とコーンスプール44との連結が解除されたとしても、渦巻きコイルスプリング142の付勢力を巻取軸20から引き出されたウエビングベルト24に付与することができる。
【0082】
<第3の実施の形態の変形例>
なお、本実施の形態では、コーンスプール32を請求項1記載の本発明でいうところの何れか一方の軸部材とし、コーンスプール44を請求項1記載の本発明でいうところの何れか他方の軸部材とした構成であったが、コーンスプール32を何れか他方の軸部材とし、コーンスプール44を何れか一方の軸部材とした構成とすることも可能である。
【0083】
すなわち、コーンスプール32に代えてコーンスプール44の軸方向他端(すなわち、小径部側の端部)に同軸的且つ一体的にギヤ122を設けると共に、コーンスプール32の軸部40にギヤ126の透孔128を貫通させ、さら、軸部40に切欠部134を形成して接続帯132によって軸部40とギヤ126を接続する構成としてもよい。この場合、クラッチ手段であるところの接続帯132は、常時ギヤ126を介してコーンスプール44に連動し、軸部40が接続帯132に締め付けられるまで接続帯132がコーンスプール32を回転させることはない(すなわち、見かけ状接続帯132は常時軸部40に接続されるが、運動の伝達が可能な状態を接続として見た場合、軸部40が接続帯132に締め付けられるまでは接続帯132は軸部40に接続されない)。
【0084】
また、本実施の形態では、コーンスプール44に螺旋溝140を形成した構成であったが、ギヤ126とギヤ122との間に1乃至奇数個の外歯のギヤを配置した場合には螺旋溝46が形成されたコーンスプール44を適用でき、渦巻きコイルスプリング142に代えて渦巻きコイルスプリング50を適用できる。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、連結部材による連結が不用意に解除されるような変速手段の不具合が生じても、確実にウエビングベルトに付勢力を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置の要部の構成を示す分解斜視図である。
【図2】ギヤ54の裏面の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置の正面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻取装置の要部の構成を示す分解斜視図である。
【図5】ギヤ92の裏面の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るウエビング巻取装置の要部の構成を示す分解斜視図である。
【図7】ギヤ126の裏面の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 ウエビング巻取装置
20 巻取軸
30 変速機(変速手段)
32 コーンスプール(軸部材、巻取軸側の軸部材、何れか一方の軸部材)
44 コーンスプール(軸部材、付勢手段側の軸部材、何れか他方の軸部材)
50 渦巻きコイルスプリング(付勢手段)
54 ギヤ(クラッチ手段)
90 ウエビング巻取装置
92 ギヤ(クラッチ手段)
94 遊星ギヤ(クラッチ手段、回転体)
96 ストッパ(クラッチ手段、係合部)
98 太陽ギヤ(クラッチ手段、回転体)
100 ストッパ(クラッチ手段、係合部)
120 ウエビング巻取装置
132 接続帯(クラッチ手段)
142 渦巻きコイルスプリング(付勢手段)

Claims (2)

  1. 長尺紐状の連結部材を介して互いに連結されると共に、少なくとも何れか一方の外周長さが軸方向に沿って変化し、一方が自らの軸線周りに回転して前記連結部材をその外周部に巻き取ることで他方が自らの軸線周りに回転して他方に巻き取られた前記連結部材を引き出すと共に、前記外周長さの変化により一方の回転量に対する他方の回転量を変速させる一対の軸部材を有する変速手段と、
    乗員の身体を拘束する長尺帯状のウエビングベルトの長手方向の一端が係止されると共に、前記一対の軸部材の一方の回転に連動して自らの軸線周りに回転する巻取軸と、
    前記一対の軸部材の他方を当該軸部材の軸線周りのうち前記連結部材及び前記一対の軸部材の一方を介して前記巻取軸に前記ウエビングベルトを巻き取らせる方向へ付勢する付勢手段と、
    前記一対の軸部材のうちの何れか一方の軸部材へ接続されると共に、前記一対の軸部材のうちの何れかのみの回転状態において前記付勢手段側の軸部材の所定角度の回転により前記何れか他方の軸部材へ接続され、前記何れか他方との接続状態では前記付勢手段側の軸部材の回転力を前記巻取軸側の軸部材へ伝えるクラッチ手段と、
    を備えるウエビング巻取装置。
  2. 前記クラッチ手段は、
    前記一対の軸部材のうちの前記何れか一方の軸部材の回転に連動して前記一対の軸部材のうちの何れか他方の軸部材の回転中心の周囲を回転する回転体と、
    前記何れか他方の軸部材及び前記回転体の少なくとも何れかに設けられ、前記何れか他方の軸部材に対する前記回転体の所定の回転位置で前記何れか他方と係合する係合部と、
    を備え、前記係合部と前記何れか他方の軸部材との係合状態では前記係合部及び当該係合が係合した被係合側の何れか一方が他方を前記何れか他方の軸部材の回転中心周りに押圧する、
    ことを特徴とする請求項1記載のウエビング巻取装置。
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