LSIやLCDなどの半導体装置の製造や検査において使用される装置は、無人で自動運転されることが多く、かつ一般的に基板搬送装置が並設されている。基板搬送装置は、製造工程や検査工程などの工程で処理される基板を所定の位置に搬送するために使用される。
基板搬送装置には、基板保持装置が装備されている。基板保持装置は、所定の位置で基板に対しチャック動作、リリース動作、および基板搬送中において基板(ウェハ)の保持を行なう。
一般的に、基板は、処理前後はマガジンに格納されており、処理中はステージ上に載置されている。そのため、基板保持装置は、マガジン、ステージにおいて基板をチャック、リリースする。
図16に、従来の基板保持装置の側面図を示す。図中、101はベースを示しており、このベース101は位置決め機構102に固定されている。図中、矢印103間は機構部、矢印104間は基板保持部を示している。
第1、第2のアーム109,110の移動機構105,106はベース101に固定されており、移動機構105,106の可動部105a,106aは各々図16の左右方向へ移動可能である。モータあるいはロータリーソレノイド等の回転機構を有する回転駆動機構108は、移動機構106の可動部106aに固定されている。
第1のアーム109の一端は移動機構105の可動部105aに、軸径dの円断面を持つ第2のアーム110の一端は回転駆動機構108の出力軸108aに固定されている。第1のアーム109の他端には爪111、第2のアーム110の他端には長さHの爪112が固定されている。
図中、破線で示す基板113は、爪111,112の台座部111a,112aで下面より支持もしくは爪111,112の側面部111b,112bとの摩擦力、またはこれら両方により支持される。また、破線で示す基板113は、マガジン100内に他の破線で示す基板114とともに爪112の長さHよりも小さい基板間隔Lで格納されている。
図17に、図16の基板保持装置を矢視A−A´断面図を示す。爪112は第2のアーム110の軸径d以下の幅hを持つ。二点鎖線で示す爪112′は爪112を回転したときの位置を示している。
また、図18に、図16の基板保持装置とステージとの位置関係を示す。ステージ115の上面から深さWの位置に台座116が固定されている。基板113はステージ115に固定された台座116に支持される。
このような構成の基板保持装置において、回転駆動機構108を動作させると、第2のアーム110に固定された爪112をアーム110を中心に回転させることができる。また、爪111,112が図16の位置にあるとき、移動機構105,3を動作させて爪111,112を基板113に接触させることでチャック、逆に移動機構105,106を動作させて爪111,112を基板113に接触しない位置まで移動させることでリリースすることができる。
また、マガジン100内の基板113に対して、図16で示す位置に基板保持装置を位置決めするためには以下の手順で行なう。
すなわち、基板保持部104がマガジン100の外にある状態において、爪111,112をリリース位置まで移動し、次に二点鎖線で示す爪112′の位置に回転し、次に基板113とベース101が図16の位置関係になるようにベース101を移動し、次に二点鎖線で示す爪112′を爪112の位置に回転し、最後に爪111,112をチャック位置に移動する。これにより、爪112の長さHよりも小さい基板間隔Lでマガジン100に格納されている基板113を保持することができる。
しかしながら、この種の従来の基板保持装置には以下のような問題がある。
この基板保持装置においては、回転駆動機構108が機構部103内に配置されており、かつ爪112の回転軸と回転駆動機構108の回転軸が同軸上に配置されている。
このため、ステージ115の深さWを変更すると、爪112の長さHを変更しなければならない。すなわち、ステージ115の深さWが深くなったら、爪112の長さHを長くしなければならない。
したがって、ステージ115の深さWが深くなると、マガジン100の基板間隔Lは爪112の長さの増加分だけ大きくなるので、基板の格納枚数を変えないためには、マガジン100を大型化する必要が生じ、また、マガジン100を大型化しないと、格納枚数を削減する必要が生じる。
図19に、従来の他の基板保持装置の側面図を示す。また、図20に図19の基板保持装置を矢視A−A´断面図、図21に図19の基板保持装置とステージとの位置関係を示す。図16〜図18の従来の基板保持装置と対応する部分には図16〜図18と同一符号を付してあり、詳細な説明は省略する。
図16の従来の基板保持装置との相違点は、第2のアーム110が回転軸変換機構117を介して回転駆動機構108に接続され、爪112から回転駆動機構108までの間に屈曲部が形成されていることにある。
すなわち、回転駆動機構108の出力軸108aは回転軸変換機構117の入力軸117aに接続され、入力軸117aよりも下に位置する回転軸変換機構117の出力軸117bにはアーム110が固定されている。出力軸108aと出力軸117bとの間で屈曲部が形成されている。回転軸変換機構117は例えば回転駆動機構108に固定されている。
このような構成の基板保持装置においても、図16で示した基板保持装置と同様な手順で、爪112の長さHよりも小さい基板間隔Lでマガジン100に格納されている基板113をチャック、リリースすることができる。
さらに、ステージ115の深さWが変わった場合には、それに対応して、回転軸変換機構117の入力軸117aと出力軸117bとの軸間距離(屈曲部の深さ)が変わったものを用いれば良いので、図16の基板保持装置の場合とは異なり、爪112の長さを変更しなくて済む。これにより、爪112の長さは基板の厚さによってのみ決定される最小寸法に設定することができる。したがって、ステージ115の深さWが深くなっても、マガジンを大きくしたり、格納枚数を削減する必要ない。
しかしながら、この種の従来の基板保持装置には以下のような問題がある。
すなわち、回転軸変換機構117は、一般に、歯車、カム、ユニバーサルジョイント、フレキシブルワイヤ等の組み合わせで構成されているので、回転軸変換機構117のサイズ(特に横方向のサイズ)が大きくなり、装置が(特に横方向に関して)大型化するという問題がある。
LSIやLCDなどの半導体装置の基板保持装置は、クリーンルーム内で生産ラインに組み込まれて使用されるため、小型化が要求されている。
小型化は、クリーンルーム内での占有面積を縮小化できるため、より多くの製造装置および検査装置を設置できる。これにより、生産コスト当たりのクリーンルームの維持費を低減でき、コストの削減を図ることが可能になる。
特に、高精度の加工、検査が要求される装置では基板の恒温化も重要になり、高価な恒温チャンバに入れて使用することが多い。このため、装置全体の小型化もさることながら、コスト低減の観点から小型化も重要な課題になっている。
ところで、最近の半導体製造においては、基板の多種多様化が進んでいる。基板の多種多様化により、自動搬送を行なう基板搬送装置に対して基板に対する適合性の向上が強く求められている。特に、基板外形寸法の多様化に対する適合性の向上は大きな課題となっている。
オペレータの介在を極力低減することは、クリーンネスの向上のみならず、スループットの向上、生産コストの低減に効果が高い。外形寸法の異なる基板を、長時間、無人で処理することが求められる半導体製造装置には、任意の外形寸法の基板に適合できる基板搬送装置が不可欠となっている。このために、任意の外形寸法の基板に適合できる基板保持装置が提案されている。
図22に、従来の外形寸法の異なる基板の保持が可能な基板保持装置の平面図を示す。また、図23に、図22の基板保持装置の矢視A−A´断面図を示す。図中、121はフィンガを示しており、このフィンガ121はガイドフィンガ122に案内されて伸縮動作可能となっている。このフィンガ121とガイドフィンガ122からなる伸縮機構を駆動するための駆動機構は、モータ123、ネジ124、ナット125、駆動部フレーム126および連結部材127により構成されている。これらのうちネジ124、ナット125およびモータ123は基板(マスク)面内に位置する。
フィンガ121は連結部材127に固定されており、モータ123を駆動することによって任意の位置に位置決め可能となっている。なお、ガイドフィンガ122と駆動部フレーム126はベース128に固定されており、また、ベース128は位置決め機構129に固定されている。基板130は基板受け131に支持される。
一般的に、この種の装置で扱う基板は数mm程度の厚さであり、わずかな間隔を置いて複数枚設置された場所から搬送することが多く、フィンガ121およびガイドフィンガ122の厚さは薄くなる。しかし、これらより薄いモータ123を選定することは困難であることが多い。
すなわち、必要以上に大きなモータ123を使用せざる得ないことが多く、モータ123を基板面内に位置するよう構成した基板保持装置の小型化は困難である。したがって、この種の基板保持装置を用いた基板搬送装置の小型化も困難となる。
また、基板を複数格納するためのマガジンやキャリア内などにおける基板間隔は、モータ123により決まる厚さより大きくならざるを得ない。したがって、モータ123が基板面内に位置する基板保持装置を用いると、マガジンやキャリアを小型化できない、あるいは格納できる基板枚数を増やせないなどの問題が生じる。
図24に、従来の他の外形寸法の異なる基板の保持が可能な基板保持装置の平面図を示す。また、図25に、図24の基板保持装置の矢視A−A´断面図を示す。図22、図23の従来の基板保持装置と対応する部分には図22、図23と同一符号を付してあり、詳細な説明は省略する。
フィンガ121はガイド131に固定されている。モータ123、ネジ124、ナット125、軸受132、軸受133、連結部材127により駆動機構が構成されている。モータ123は軸受133に、軸受133,132はベース128に固定されている。フィンガ46およびガイドレール135もベース128に固定されている。フィンガ121は連結部材127に固定されて、任意の位置に位置決め可能となっている。また、ベース128は位置決め機構129に固定されている。
この基板保持装置では、フィンガ121を駆動するネジ124、ナット125、モータ123は、基板面内ではなく、ベース128上に備えられている。すなわち、図22の基板保持装置とは異なり、基板面内にネジ124、ナット125、モータ123が無いので、マガジン内などにおける基板間隔を縮小できる。
しかしながら、この基板保持装置において、フィンガ121のストロークを図22の基板保持装置のそれと同じにすると、基板面内の外側にあるネジ124、ガイドレール135の分だけ、図22の基板保持装に比べて、装置の全長は長くなる。
図26に、外形寸法の異なる基板を保持可能な基板搬送装置の搬送装置(搬送ロボット)の平面図を示す。
搬送装置136は、第1アーム136a、第2アーム136b、本体136cから構成されており、第2アーム136bの先端に基板保持装置137が固定されている。基板保持装置137は基板130を保持している。
ここで、基板保持装置137の全長が長くなると、図に示すように、旋回半径Rが大きくなるので、搬送装置136の動作面積は増大する。このため、図24に示したような全長が長い基板保持装置は、基板搬送装置の小型化を妨げるという問題がある。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態(以下、実施形態という)を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板保持装置を示す側面図、図2は同基板保持装置の矢視A−A´断面図、図3は同基板保持装置のアーム部分を示す斜視図、図4は図1の基板保持装置とステージとの位置関係を示す図である。
図中、1はベースを示しており、このベース1は位置決め機構16に固定されている。矢印17間は機構部、矢印18間は基板保持部を示している。移動機構2,3(アーム移動手段)はベース1に固定されており、移動機構2,3の可動部は各々図の左右方向へ移動可能である。
2本の第1のアーム5の一端は移動機構2の可動部2aに、2本の厚さtの屈曲部を有する第2のアーム6の一端は移動機構3の可動部3aに固定されている。第2のアーム6の先端部内にはモータあるいはロータリーソレノイド等の回転機構を有する回転駆動機構4(位置変位手段本体)が設けられている。
一方、第1のアーム5の他端には爪7(第1の支持部)、第2のアーム6の他端には長さHの可動爪8(第2の支持部)が設けられている。この可動爪8は回転駆動機構4の出力軸4aに固定されている。可動爪8は出力軸4aが回転することにより、第2のアームを中心にして回転運動する。
なお、回転駆動機構4は第2のアーム6の屈曲部に対して可動爪8側に設けられているが、回転駆動機構4の駆動源等は必ずしもそうである必要はない。すなわち、第2のアーム6に対する可動爪8の相対位置を変える位置変位手段の全体が、第2のアーム6の屈曲部に対して可動爪8側に設けられている必要はない。また、第1、第2のアーム5,6の数は2本に限定されるものではない。
破線で示すウェハ等の基板9は、爪7,8の台座部7a,8aで下面より支持もしくは爪7,8の側面部7b,8bとの摩擦力により、またはこれら両方により支持される。また、破線で示す基板9は、マガジン10内に他の破線で示す基板11とともに可動爪8の長さHよりも小さい基板間隔Lで格納されている。
図2において、可動爪8の幅hはアーム6の厚さt以下である。二点鎖線で示す可動爪8′は可動爪8を回転したときの位置を示している。
図4において、ステージ12上面から深さWの位置に台座13が固定されている。破線で示した基板9はステージ12に固定された台座13に支持される。
このような構成によれば、回転駆動機構4を動作させると出力軸4aに固定された可動爪8を、出力軸4aを中心に回転させることができる。また、爪7,8が図1の位置にあるとき、移動機構2,3を動作させて爪7,8を基板9に接触させることでチャック、逆に移動機構2,3を動作させて爪7,8を基板9に接触しない位置まで移動させることでリリースすることができる。
図1で示した基板保持装置がマガジン10内の基板9に対して図1で示すように位置決めするためには以下の手順で行なう。
すなわち、基板保持部18がマガジン10の外にある状態において、移動機構2,3を動作させて爪7,8をリリース位置まで移動し、次に回転駆動機構4を動作させて可動爪8を二点鎖線で示す可動爪8′の位置に回転し、次に基板9とベース1が図1の位置関係になるように、ベース1を位置決め機構16により移動し、次に回転駆動機構4を動作させて二点鎖線で示す可動爪8′を可動爪8の位置に回転し、最後に移動機構2,3を動作させて爪7,8をチャック位置に移動する。この結果、マガジン10に格納されている基板9を保持することができる。
マガジン10から基板9を搬出するには、図1の基板保持装置で基板9を保持した状態で、位置決め機構16を図1の右方向へ移動する。このとき、前記マガジン10内で基板9が滑ってダスト等が基板9に付着しないように、例えば位置決め機構16を上方へ移動しておくことが好ましい。基板9マガジン10内へ基板9を搬入するには、以上の手順を逆に行なえば良い。
また、深さWのステージ12へ基板を搬入するには、図1に示す基板保持装置で基板9を保持した状態で、基板9とベース1が図4の位置関係になるように、ベース1を位置決め機構16により移動した後、移動機構2,3を動作させて爪7,8をリリース位置に移動する。この結果、基板保持装置で保持していた基板9をステージ12の台座13上に搬入することができる。ステージ12から基板9を搬出するには、以上の手順を逆に行なえば良い。
本実施形態によれば、マガジン10内に入る爪が可動爪8なので、図11、図14の従来の基板保持装置と同様に、可動爪8の長さHよりも小さい基板間隔Lでマガジン10に格納されている基板9を保持することができる。
また、本実施形態によれば、第2のアーム6が屈曲部を有するので、図14の従来の基板保持装置と同様に、ステージ12の深さWが変わった場合には、それに対応した深さの屈曲部を有するものを用いれば良いので、可動爪8の長さを変更しなくて済む。これにより、可動爪8の長さは基板の厚さtによってのみ決定される最小寸法に設定することができる。したがって、ステージ12の深さWが深くなっても、マガジンを大きくしたり、格納枚数を削減する必要ない。なお、可動爪8の長さを最小寸法に設定できることは、縦方向に関して装置を小型化できることを意味している。
さらに、このようにステージ12の深さに対応した第2のアーム6を用いることにより、ステージ12は第2のアーム6とは独立に設計できる。これにより、ステージの高精度化、高安定化が可能となる。
また、本実施形態では、可動爪8を第2のアーム8の先端部内に設けられた回転駆動機構4によってアーム6を中心にして回転可能となっている。すなわち、第2のアーム8の屈曲部には設けられていない回転駆動機構4によって回転可能となっている。このため、回転駆動機構4は、図14に示した従来の屈曲部に設けられた回転軸変換機構117とは異なり、簡単な構成で済み、(特に横方向に関して)大型化することはない。したがって、ステージ12の深さWが深くなっても、装置が(特に横方向に関して)大型化することはない。
また、このような種々の効果を有する基板保持装置を用いることにより、半導体装置(LSI)や液晶表示装置の製造装置や検査装置のいろいろな要求に合致した、実用性、汎用性の高い基板搬送装置を実現できるようになる。
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る基板保持装置のアーム部分を示す斜視図である。また、図6は本実施形態の基板保持装置を示す側面図、図7は図6の基板保持装置の矢示A−A´断面図、図8は図6の基板保持装置とステージとの位置関係を示す図である。
図中、1はベースを示しており、このベース1は位置決め機構16に固定されている。矢印17間は機構部、矢印18間は基板保持部を示してる。移動機構14,15(アーム移動手段)はベース1上に固定されている。移動機構14,15の可動部14a,15aは各々座標軸36のX方向へ移動可能である。移動機構2,3は各々移動機構14,15の可動部14a,15aに固定されており、移動機構2,3の可動部2a,3aは各々座標軸のZ方向へ移動可能である。
2本の第1のアーム5の一端は移動機構2の可動部2aに、厚さtの2本の第2のアーム6の一端は移動機構3の可動部3aに固定されている。一方、第1のアーム5の他端には爪7が固定、第2のアーム6の他端には長さHの可動爪8が回転可能に固定されている。可動爪8はリンク19によって可動爪8の回転軸8dの中心より偏芯距離nだけ偏芯した位置で連結されている。
図6において、破線で示す基板9は、爪7,8の台座部7a,8aで下面より支持あるいは爪7,8の側面部7b,8bとの摩擦力により支持される。また、破線で示す基板9は、マガジン10内に他の破線で示す基板11とともに可動爪8の長さHよりも小さい基板間隔Lで格納されている様子を示している。
図7において、可動爪8はアーム6の厚さt以下の幅hを持つ。二点鎖線で示す可動爪8′は可動爪8を回転したときの位置を示している。
図8において、ステージ12上面から深さWの位置に台座13が固定されている。基板9はステージ12に固定された台座13に支持される。
このような構成によれば、図5において移動機構14,15を動作させると可動部14a,15aに固定された移動機構2,3は座標軸36のX方向へ移動する。
このとき、移動機構2,3の可動部2a,3aに固定されたアーム5,6およびアーム5,6に固定された爪7,8についても座標軸36のX方向へ移動する。リンク19の長さmが一定であるのに対し、2つの可動爪8の回転中心8dの間の距離が変化することにより、偏芯距離nと移動機構3により発生する駆動力との積で表されるモーメントが可動爪8の回転中心8d回りに発生する。これにより、可動爪8は回転動作を行なうことができる。
また、爪7,8が図6の位置にあるとき、移動機構2,3を動作させて爪7,8を基板9に接触させることでチャック、逆に移動機構2,3を動作させて爪7,8を基板9に接触しない位置まで移動させることでリリースすることができる。
図6で示した基板保持装置がマガジン10内の基板9に対して図6で示すように位置決めするためには以下の手順で行なう。
すなわち、基板保持部18がマガジン10の外にある状態において、移動機構2,3を動作させて爪7,8をリリース位置まで移動し、次に移動機構15を動作させて可動爪8を二点鎖線で示す可動爪8′の位置に回転し、次に基板9とベース1が図6の位置関係になるように、ベース1を位置決め機構16により移動し、次に移動機構15を動作させて二点鎖線で示す可動爪8′を可動爪8の位置に回転し、最後に移動機構2,3を動作させて爪7,8をチャック位置に移動する。この結果、マガジン10に格納されている基板9を保持することがてきる。マガジン10から基板9を搬出するには、図6の基板保持装置で基板9を保持した状態で、位置決め機構16を図6の右方向へ移動する。このとき、マガジン10内で基板9が滑ってダスト等が基板9に付着しないように、例えば位置決め機構16を上方へ移動しておくことが好ましい。マガジン10内へ基板9を搬入するには、以上の手順を行なえば良い。
また、深さWのステージ12へ基板を搬入するには、図6に示す基板保持装置で基板9を保持した状態で、基板9とベース1が図8の位置関係になるように、ベース1を位置決め機構16により移動し、移動機構2,3を動作させて爪7,8をリリース位置に移動する。この結果、基板保持装置で保持していた基板9をステージ12の台座13上に搬入することができる。ステージ12から基板9を搬出するには、以上の手順を逆に行なえば良い。
本実施形態によれば、マガジン10内に入る爪が可動爪8なので、第1の実施形態と同様に、可動爪8の長さHよりも小さい基板間隔Lでマガジン10に格納されている基板9を保持することができる。
また、本実施形態によれば、第2のアーム6が屈曲部を有するので、第1の実施形態と同様に、可動爪8の長さは基板の厚さtによってのみ決定される最小寸法に設定することができるので、ステージ12の深さWが深くなっても、マガジンを大きくしたり、格納枚数を削減する必要ない。
本実施形態では、2つの可動爪8とリンク19で構成されるリンク構成の回転運動変換機構をアーム6の先端付近に配置し、かつ可動爪8をアーム6の先端部に回転可能に固定している。
これにより、移動機構15によるアーム6の直線運動は、リンク構成の回転運動変換機構により、回転運動に変換されるので、第1の実施形態と同様に、可動爪8はアーム6を中心にして回転可能となる。
すなわち、第2のアーム8の屈曲部には設けられていないリンク構成の回転駆動変換機構によって回転可能となっている。このため、回転駆動機構4は、図14に示した従来の屈曲部に設けられた回転軸変換機構117とは異なり、簡単な構成で済み、大型化することはない。したがって、ステージ12の深さWが深くなっても、装置が大型化することはない。
また、本実施形態の場合、リンク機構を用いて可動爪8を回転させているので、基板9の近くに放熱源は存在しない。一方、第1の実施形態の場合、モータを用いて可動爪8の回転を行なっているため、モータが放熱源となる。基板9が熱膨張係数の大きいウェハの場合、モータからの熱により基板9が反るなどの不都合が起こる。本実施形態は放熱源がないのでこのような不都合は起こらない。また、基板9が大型化しても、アーム6と可動爪8との接続部等を太くするだけ、必要な強度が得られ、安定に基板9を保持できる。
なお、回転運動変換機構へ入力される直線動作は必ずしも基板重量を支持するアーム6によって与えられる必要はない。図9に、本実施形態の変形例に係る基板保持部の斜視図を示す。本実施形態と同じ構造部材については説明を省略する。
駆動アーム20は本実施形態の移動機構3に固定されている。駆動アーム20の先端には、リンク19が回転可能に固定されている。この構成の場合、1つの第2のアーム6の直線運動が円運動に変換される。このような構成でも、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態において、2つのアーム6はどれも移動機構3に固定されているが、少なくとも1つのアーム6が移動機構3に固定されていれば良い。さらに、回転運動変換機構から出力として得られる回転力は、直接可動爪6を回転動作させる必要はない。
図10に、本実施形態の他の変形例に係る基板保持部の斜視図を示す。なお、本実施形態と同じ構造部材については説明を省略する。
リンク22はアーム6の先端に回転可能に固定されている。可動爪21はリンク22に回転可能に固定されている。このような構成において、アーム6がX軸方向に移動すると、リンク22は回転動作を行なうとともに、可動爪21はZ軸方向へ移動する。このような構成でも、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
図11に、本実施形態のさらに別の変形例に係る基板保持部の斜視図を示す。なお、本実施形態と同じ構造部材については説明は省略する。これは回転運動変換機構にリンク機構を用いない例である。
ナット23の両端は2つのアーム6のそれぞれの先端に固定されている。長手方向に対し中心付近から対称的にネジ溝が構成されたネジ軸24は、ナット23に接続されている。ネジ軸24には1つの爪25が固定されており、ネジ軸24と爪25により可動爪が構成されている。このような構成において、アーム6がY軸方向へ移動すると、ナット23とネジ軸24により回転力が生じ、ネジ軸24がY軸方向への軸中心に回転動作を行なうので、爪25は回転するようになる。
(第3の実施形態)
図12は、本発明の第3の実施形態に係る外形寸法の異なる基板の保持が可能な基板保持装置38(基板保持手段)およびそのフィンガ伸縮装置39(変長手段)を示す斜視図である。
フィンガ31はガイドフィンガ32に案内されて伸縮動作可能となっている。このガイドフィンガ32には、フィンガ31のガイドフィンガ32の案内方向への位置を位置決め固定する機能を有する、フィンガストッパ33が設けられている。すなわち、基板保持装置38は、フィンガ31を伸縮できる状態および伸縮できない状態の一方を選択的に取ることができる。
ガイドフィンガ32はベース34に固定されており、また、ベース34は基板搬送装置(ロボット)などの位置決め装置35に固定されている。図示しない基板は基板受け37に支持される。
フィンガ31は、真空チャック、電磁石または位置決めピンなどで構成される吸着連結機構40と連結および切り離しが可能となっている。吸着連結機構40は、フィンガ31との密着性、衝撃吸収性を高めるために、フレキシブルジョイント41に固定されている。
このフレキシブルジョイント41はガイド42に固定されており、このガイド42はベース52に固定されたガイドレール43に案内されてフィンガ31の伸縮方向へ移動可能となっている。
2つのガイド42はブラケット44に固定されており、このブラケット44に固定されたナット45、ネジ46によって構成されるボールネジなどのネジ系によって移動方向への動力が同時に伝達される。ネジ46はベース52に固定された軸受47,48によって支持されており、モータ49の駆動力によって駆動される。
フィンガストッパ33の解除機構50(状態設定手段)はブロック51を介してベース52に固定されている。すなわち、解除機構50はフィンガ伸縮装置(変長手段)と同じ基体に形成されており、フィンガ伸縮装置は解除機構50を兼ねている。この解除機構50は、フィンガ31が吸着連結機構40と連結するときにフィンガストッパ33を解除でき、フィンガ31が吸着機構40と切り放されるときにフィンガストッパ33を動作できる機構を有している。
次にフィンガ伸縮動作の詳細について説明する。
フィンガ31と吸着連結機構40の水平面内方向へ位置合わせを、位置決め機構35によって行ない、図12の位置に合わせる。位置決め機構35またはフィンガ伸縮装置39の台(不図示)を上下方向へ移動して、フィンガ31と吸着連結機構40を接触させる。
このとき、解除機構50とフィンガストッパ33がほぼ同時に接触し、フィンガストッパ33はフィンガ31の位置決め固定動作を解除する。吸着連結機構40を動作させてフィンガ31に吸着連結する。
モータ49によりネジ46を駆動し、ナット45を固定されたブラケット44を移動させることにより、ガイド42、このガイド42に固定されたフレキシブルジョイント41、フレキシブルジョイントに固定された吸着連結機構40を移動させて、フィンガ31が移動する。
目的の位置までフィンガ31を移動した後にモータ49を停止し、吸着連結機構40の動作を解除して、フィンガ31と吸着連結機構との連結を切り放す。
この後、位置決め機構35を上方へ移動することでフィンガストッパ33と解除機構50が切り放され、同時に、フィンガストッパ33がフィンガ31を位置決め固定する。これでフィンガ31の伸縮動作が完了する。
図13に図12の基板保持装置の平面図、図14に図13の基板保持装置の矢視A−A´断面図を示す。図中、36は基板を示している。図から、基板間隔は図24、図25の従来の基板保持装置を用いた場合と同じ間隔にでき、かつ基板保持装置の全長は図22、図23の従来の基板保持装置と同じ短い全長にできることが分かる。
このように本実施形態によれば、基板保持装置38にフィンガ31を伸縮させるためのフィンガ伸縮装置39を設けることなく、外形寸法の異なる基板36に合わせて基板保持装置38のフィンガ31を伸縮することができるようになる。また、本実施形態によれば、フィンガ伸縮機構39が基板保持装置38から独立しているので、フィンガ伸縮装置39が無い分だけ、基板保持装置38の基板面内の厚みおよび全長を縮小することができ、基板保持装置38の小型化、軽量化を実現できるようになる。
すなわち、同一寸法のマガジンにおいて格納可能な基板枚数を増加することができるようになる。あるいは同一基板枚数に対してマガジンサイズを低減することが可能となる。
また、基板搬送装置の基板保持装置として、本実施形態の基板保持装置38を用いれば、基板保持装置の旋回半径を縮小できるので、基板搬送装置の動作面積は小さくなる。
さらに、基板保持装置の重量を軽くできるので、基板搬送装置の搬送重量が低下し、基板搬送装置の可搬重量の増加や、基板搬送装置の小型化、さらには基板搬送装置の高速動作が可能となる。
さらにまた、基板搬送装置(ロボット)の先端へ配線される信号線、動力線は数量的に制限があることが多いが、フィンガ31を伸縮させるためのフィンガ伸縮装置39に利用していた駆動機構が取り外せたことにより、それを基板の有無検出などのセンサ等に流用可能となる。また、このような基板搬送装置を用いることにより、半導体製造装置のシステム全体の小型化も図れるようになる。
(第4の実施形態)
図15は、本発明の第4の実施形態に係る外形寸法の異なる基板の保持が可能な基板搬送装置を示す模式図である。なお、図12〜図14の基板保持機構およびフィンガ伸縮機構と対応する部分には図12〜図14と同一符号を付してあり、詳細な説明は省略する。
本実施形態は、フィンガの伸縮手段として、図12に示したようなフィンガ伸縮装置の代わりに、基板搬送ロボット60を用いる例である。すなわち、基板保持装置の搬送手段である基板搬送ロボット5が、フィンガの伸縮手段を兼ねている例である基板搬送ロボット60はテーブル61とともに架台62に固定されている。基板搬送ロボット60は、エレベータ63、ロボット本体64、第1アーム65、第2アーム66から構成されている。
テーブル61には、それに対して上下方向へ駆動可能な機能を有し、高さの調整が可能なベース67が固定されている。このベース67には、フレキシブルジョイント41と、解除機構50をフィンガの伸縮方向へ移動可能に固定している位置保持型案内機構68とが固定されている。
次にフィンガ31の伸縮の方法について説明する。
フィンガ31を伸縮するには、基板搬送ロボット60を図15(a)に示す位置に位置決めする。このとき、エレベータ63またはベース67もしくはこれら両方を駆動して、図15(b)に示す位置に基板搬送ロボット60を位置決めし、フィンガ31と吸着連結機構40を接触させる。さらに、解除機構50は図示しないフィンガストッパと連結すると同時に、フィンガストッパ33を駆動し、フィンガ31の位置決め動作を解除する。
次に吸着連結機構40を動作させ、フィンガ31と吸着連結機構40を連結固定させる。ここで、基板搬送ロボット60をフィンガ31の伸縮方向へ駆動すると、フィンガ31はガイド42から引き出される。このとき、解除機構50はフィンガストッパ33とともに移動する。
この後、吸着連結機構40を動作させ、フィンガ31との連結を切り放し、基板搬送ロボット60またはベース67を駆動して、フィンガ31と吸着連結機構40を分離する。これにより、解除機構50もフィンガストッパ33から切り放され、同時にフィンガストッパ33はフィンガ31を位置決め固定する。
以上のように、フィンガ31の伸縮動作を基板搬送ロボット60のような位置決め機構によって行なうことによっても、第3の実施形態と同様な効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、基板搬送装置を構成する基板搬送ロボット60を用いたが、基板搬送装置とは別に設けられた他の駆動機構、例えば、基板を処理するステージなどの駆動機構を用いて、フィンガ31の伸縮動作を行なうことでも、同様な効果を得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1、第2の実施形態の基板保持装置において、第3、第4の実施形態のフィンガの伸縮機構に相当するアームの駆動機構を独立にしても良い。その他、本発明の技術的範囲で、種々変形して実施できる。
1…ベース、2…移動機構(アーム移動手段)、2a…可動部、3…移動機構(アーム移動手段)、3a…可動部、4…回転駆動機構(位置変位手段本体)、4a…出力軸、5…第1のアーム、6…第2のアーム、7…爪(第1の支持部)、7a…台座部、7b…側面部、8…可動爪(第2の支持部)、8a…台座部、8b…側面部、9…基板、10…マガジン、11…基板、12…ステージ、13…台座、14…移動機構、14a…可動部、15…移動機構、15a…可動部、16…位置決め機構、17…機構部、18…基板保持部、19…リンク、20…駆動アーム、21…可動爪、22…リンク、23…ナット、24…ネジ軸、25…爪、31…フィンガ、32…ガイドフィンガ、33…フィンガストッパ、34…ベース、35…位置決め機構、36…座標軸、37…基板受、38…基板保持装置、39…フィンガ伸縮装置、40…吸着連結機構(状態設定手段)、41…フレキシブルジョイント、42…ガイド、43…ガイドレール、44…ブラケット、45…ナット、46…ネジ、47…軸受、48…軸受、49…モータ、50…解除機構、51…ブロック、52…ベース、60…基板搬送ロボット(搬送手段)、61…テーブル、62…架台、63…エレベータ、64…ロボット本体、65…第1アーム、66…第2アーム、67…ベース、68…案内機構。