JP4230867B2 - 光増感型太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、光増感型太陽電池に関する。
一般的な光増感型太陽電池として、金属酸化物の微粒子からなる半導体層の表面に色素を担持させたものから構成された電極(半導体電極)と、この電極と対向する透明電極と、2つの電極間に介在される液状の電解質層とを備えるものがある。このような太陽電池は、電解質層が液状であるため、湿式の光増感型太陽電池と呼ばれる。
前述したような光増感型太陽電池は、以下の過程を経て動作する。すなわち、透明電極側より入射した光は、半導体層表面に担持された色素に到達し、この色素を励起する。励起した色素は、速やかに半導体層へ電子を渡す。一方、電子を失うことによって正に帯電した色素は、電解質層から拡散してきたイオンから電子を受け取ることによって電気的に中和される。電子を渡したイオンは透明電極に拡散して、電子を受け取る。この半導体電極とこれに対向する透明電極とを、それぞれ負極および正極とすることにより、湿式光増感型太陽電池が作動する。
湿式光増感型太陽電池においては、酸化チタンからなる半導体層中に移動した電子の逆流を抑制するために半導体層表面を塩基性の化合物で処理し開放電圧を上昇させ、光電変換効率を改善する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、湿式光増感型太陽電池の電流密度を上昇させる方法として、アセトニトリルの有機溶媒系の電解質層に酸性物質である酢酸を添加することが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
ところで、湿式光増感型太陽電池では低分子の溶媒が使用され、この溶媒の液漏れを防ぐために、シールドを厳重に行なう必要がある。しかしながら、長い年月の間シールドを維持するのは困難であり、溶媒分子の蒸発や液漏れによる溶媒消失によって、素子機能の劣化と環境に対する影響が心配される。このようなことから、液状の電解質層の代わりに、イミダゾリウム塩を含む液体電解質(溶融塩)を含有する電解質層を用いることが提案されてきている(例えば、特許文献2参照)。このような太陽電池を用いることにより、有機溶媒の揮発などの問題がないことから、長期安定性が高いという効果を得ることができる。
さらに、上述した溶融塩を含む光増感型太陽電池の電解質層をゲル化することにより、揮発しやすいヨウ素を閉じ込めることからさらに長期安定性が高くなる。しかしながら、従来の材料を用いて電解質層のゲル化を行った際に、ゲル化が困難であるという問題があった。そして、このことは太陽電池全体の特性の低下につながっていた。
特開2002−93476公報(第3−7頁、第1図) J. Electrochem. Soc., 147, 3049 (2000) 特開2002−289268公報(第3−14頁、第1図)
上述したように、光増感型太陽電池の電解質層のゲル化が困難であるという問題があった。
本発明は、この問題に鑑み、容易にゲル化を行うことが出来、光電変換特性の高い、ゲル状の電解質層を用いた光増感型太陽電池を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、表面に色素が担持された半導体電極と、半導体電極に離間対向して配置され、表面に導電層を有する対向基板と、半導体電極と導電層とに挟持され、ヨウ素分子、ヨウ化物の溶融塩、カルボン酸化合物及びゲル化剤とからなる電解質層とを具備し、カルボン酸化合物が、酢酸、安息香酸、フルオロ酢酸、ブタン酸、アジピン酸、サリチル酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする光増感型太陽電池を提供する。
本発明においては、カルボン酸化合物が、酢酸及び安息香酸から選ばれる少なくとも1種であっても良い。
また、本発明においては、電解質層中に、さらにピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラゾール、3−フルオロピリジンから選ばれる少なくとも1種のアミン化合物含んでも良い。
また、本発明においては、電解質層中に、さらに水を含んでも良い。
本発明によれば、容易にゲル化を行うことが出来、光電変換特性の高い、ゲル状の電解質層を用いた光増感型太陽電池を提供することが出来る。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の実施形態の光増感型太陽電池は、電解質層中に、ヨウ素分子、ヨウ化物の溶融塩、カルボン酸化合物及びゲル化剤とを含むものである。本発明の実施形態の光増感型太陽電池が、これらからなることが必要である理由を以下に示す。
上述したように、溶融塩を含有する電解質層を用いた光増感型太陽電池は、長期安定性が高いものの、ゲル化を行う際、ゲル化が困難であるという問題があった。本発明者らは、この問題が、イオン成分の供給を行うために電解質中に含まれるLiIがゲル化剤と錯体を形成しゲル化を阻害しているためであることを見出した。そこで、種々の材料を用いて、光電変換効率とゲル化の状態を調査した結果、カルボン酸化合物を添加した場合にはゲル化を阻害せずにイオン成分の供給を行うことが出来ることが分かった。
また、カルボン酸化合物に加えてpka値が4以下であるアミン化合物を添加する場合には、次のような効果が得られる。つまり、上述したように酢酸には電流密度の上昇という効果もあるが、酢酸のみを添加した場合は開放電圧が低下する。また、pka値が4以下であるアミン化合物を添加した場合には、色素が吸着していない半導体電極の表面にこのアミン化合物を吸着させることにより、一旦半導体内に注入された電子が電解質層内にリークする逆電子反応を防ぐことが出来るが、電流密度が低下する。しかしながら、カルボン酸化合物とpka値が4以下であるアミン化合物との双方を添加した場合には、開放電圧が低下せずに電流密度の上昇が得られるのである。また、pka値が4以下であるアミン化合物はカルボン酸化合物と同様にゲル化を阻害しないことから、本実施形態に好ましく適用することが出来る。
次に、本発明の実施形態の光増感型太陽電池に用いられる電解質層について詳しく説明する。
本発明の実施形態に用いられる電解質は、ヨウ素(I)を含み、I-とI3 -とからなる可逆的な酸化還元対を含む。可逆的な酸化還元対は、ヨウ素分子(I2)と、ヨウ化物の溶融塩との混合物から供給することができる。
上述したような酸化還元対は、後述する色素の酸化電位よりも0.1〜0.6V程度小さい酸化還元電位を示すことが望ましい。色素の酸化電位よりも0.1〜0.6V小さい酸化還元電位を示す酸化還元対は、例えば、I-のような還元種が、酸化された色素から正孔を受け取ることができる。こうした酸化還元対が電解質中に含有されることによって、半導体電極と導電層との間の電荷輸送の速度を速くすることができるとともに、開放電圧を高くすることができる。
ヨウ化物の溶融塩としては、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、第4級アンモニウム塩、ピロリジニウム塩、ピラゾリジウム塩、イソチアゾリジニウム塩、イソオキサゾリジニウム塩等の複素環含窒素化合物のヨウ化物等を使用することができる。
ヨウ化物の溶融塩としては、例えば、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1,3−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムアイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾールアイオダイド、1−エチル−3−イソプロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−プロピル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、ピロリジニウムアイオダイド、エチルピリジニウムアイオダイド、ブチルピリジニウムアイオダイド、ヘキシルピリジニウムアイオダイド、トリヘキシルメチルアンモニウムアイオダイド等を挙げることができる。こうしたヨウ化物の溶融塩は、前述した種類の中から選ばれる1種、または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、粘度が低くホールの拡散速度を高く出来ることから、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドを用いることが好ましい。
本発明の実施形態の電解質相中には、このようなヨウ素分子及びヨウ化物の溶融塩に加え、カルボン酸化合物及びゲル化剤を含む。
まず、カルボン酸化合物としては、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、フルオロ酢酸、トリメチル酢酸、メトキシ酢酸、メルカプト酢酸、トリクロロ酢酸、1,3−フェニレン二酢酸、1,4−フェニレン二酢酸、4−カルボキシフェニル酢酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼン二酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、アビエチン酸、アダマンタンカルボン酸、1−アダマンタンカルボン酸、イソ吉草酸、ピペコリン酸、ピルビン酸、グリオキシル酸、チオグリコール酸、ラウリン酸、乳酸、マンデル酸、メルカプト酢酸、グリコール酸、フェニル酢酸、シクロヘキサンカルボン酸、シュウ酸等の脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アセチレンジカルボン酸、アブシシン酸、オレイン酸、クロトン酸、ソルビン酸、プロピオル酸、リノレン酸、オレイン酸、アスコルビン酸、リノール酸、ウンデシレン酸等の脂肪族不飽和カルボン酸、アマニ油、大豆油等の天然不飽和脂肪酸、アジピン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アセトンジカルボン酸、リンゴ酸、酒石酸、シュウ酸、1,4−ブタンジカルボン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、1,8−オクタンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、マロン酸、フェニルマロン酸、ベンジルマ
ロン酸、マレイン酸、ブチルマロン酸、シトラマル酸、グルタル酸、フェニルグルタル酸、スベリン酸、セバシン酸、クエン酸(3個)等の脂肪族飽和ジカルボン酸、コハク酸、シトラコン酸、フマル酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸、安息香酸、3,3’−メチレン二安息香酸、4,4’−メチレン二安息香酸、4,4’−オキシ二安息香酸、4,4’−チオ二安息香酸、3,3’−カルボニル二安息香酸、4,4’−カルボニル二安息香酸、4,4’−スルホニル二安息香酸、o−クロロ安息香酸、m−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ブロモ安息香酸、m−ブロモ安息香酸、p−ブロモ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、2−アセチル安息香酸、メトキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、アントラニル酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、o−メトキシ安息香酸、m−メトキシ安息香酸、p−メトキシ安息香酸、o−アミノ安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸N−アセチルアントラニル酸、サリチル酸、けい皮酸、馬尿酸、ペニシリン酸、インドール−2−カルボン酸、3−インドール酢酸、3−インドール酪酸、3−インドールアクリル酸、インドール−3−プロピオン酸、シトラジン酸、ニコチン酸、ピコリン酸、ベンジル酸、没食子酸、イソニコチン酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ホモフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシイソフタル酸、4,6−ジヒドロキシイソフタル酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等をあげることが出来るが、これらに限定されるものではない。叉、これらを単独または複数併用してもよい。また、これらの中でも、分子の大きさが小さいことから、酢酸及び安息香酸は特に好ましく用いることが出来る。
ゲル化剤としては、例えば、二つ以上の含窒素複素環基を有する化合物と、これとオニウム塩を形成可能なハロゲン含有基を2つ以上含む化合物とを用いることが出来る。
オニウム塩を形成可能なハロゲン含有基を2つ以上にすることによって、二つ以上の含窒素複素環基を有する化合物間にオニウム塩型の架橋構造を形成することができ、この架橋構造を持つオニウム塩により電解質組成物をゲル化させることができる。
オニウム塩を形成可能なハロゲン含有基を2つ以上含む化合物としては有機ハロゲン化物が好ましい。有機ハロゲン化物は、オニウム塩を形成しやすく、また、多官能とすることにより架橋密度を上げることができるので好ましい。ハロゲン含有化合物は、1分子当りのハロゲン原子数が2以上であることが好ましい。このような化合物においては、1分子中に異なるハロゲン原子を存在させ、ハロゲン原子数の総量を2以上としてもよいが、1分子中に1種類のハロゲン原子を2つ以上存在させてもよい。1分子当りのハロゲン原子数が1個である場合には、上述した元素A含有化合物とハロゲン含有化合物とから得られる重合体の重合度が低くなり、電解質組成物のゲル化が困難になるおそれがある。1分子当りのハロゲン原子数は、2以上1,000,000以下であることがより好ましい。1分子当りのハロゲン原子数が2以上であるハロゲン含有化合物としては、例えば、ジブロモメタン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、ジブロモブタン、ジブロモペンタン、ジブロモヘキサン、ジブロモヘプタン、ジブロモオクタン、ジブロモノナン、ジブロモデカン、ジブロモウンデカン、ジブロモドデカン、ジブロモトリデカン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、ジクロロブタン、ジクロロペンタン、ジクロロヘキサン、ジクロロヘプタン、ジクロロオクタン、ジクロロノナン、ジクロロデカン、ジクロロウンデカン、ジクロロドデカン、ジクロロトリデカン、ジヨードメタン、ジヨードエタン、ジヨードプロパン、ジヨードブタン、ジヨードペンタン、ジヨードヘキサン、ジヨードヘプタン、ジヨードオクタン、ジヨードノナン、ジヨードデカン、ジヨードウンデカン、ジヨードドデカン、ジヨードトリデカン、1,2,4,5−テトラキスブロモメチルベンゼン、エピクロロヒドリンオリゴマー、エピブロモヒドリンオリゴマー、ヘキサブロモ
シクロドデカン、トリス(3,3−ジブロモ−2−ブロモプロピル)イソシアヌル酸、1,2,3−トリブロモプロパン、ジヨードバーフルオロエタン、ジヨードパーフルオロプロパン、ジヨードパーフルオロヘキサン、ポリエピクロルヒドリン、ポリエピクロルヒドリンとポリエチレンエーテルとの共重合体、ポリエピブロモヒドリンおよびポリ塩化ビニルなどの多官能ハロゲン化物が挙げられる。こうしたハロゲン化物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
二つ以上の含窒素複素環基を有する化合物の主鎖の骨格は、特に限定されず、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、酸素原子からなる郡から選ばれた少なくとも一種の原子を有する2価の有機基なら何でもよく、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、エーテル基、エステル基等、またはこれらの有機基の組み合わせにより構成される有機基が挙げられる。アルキレン基としては、-(CH2)n−(n=1〜10の整数)、-CH2CH(CH3)−、-CH(CH3)CH(CH3)−、-CH2CH(CH3)CH2−などの直鎖又は分枝を有する炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。アリーレン基としては、フェニレン、フチレン、アントラセニレン、ビフェニレン、トリフェニレン、スチルベニレン、ナフェニレン、芳香環の置換基としては、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ)、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ等が挙げられる。さらに例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等のポリマーが挙げられる。
前記含窒素複素環置換基としては、例えば、ピロイル基、イミダゾイル基、ピラゾイル基、イソチアゾイル基、イソオキサゾイル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドイル基、インドイル基、イソアゾイル基、プリニル基、クイノリジニル基、イソクイノイル基、クイノイル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサキニジル基、キノアキサゾリニル基、シノィニル基、フェリジニル基、カルバソール基、カルボリニル基、フェナンチリジニル基、アクチリニル基、ペリミジル基、フェナンシロィニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フィラザニル基、フェノキサジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラリゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルフォリニル基、1−メチルイミダゾイル基、1−エチルイミダゾイル基、1−プロピルイミダゾイル基等を挙げることができる。また、前記置換基として、前述した種類の中から選ばれる1種以上の含窒素複素環置換基から構成されるスピロ環体、前述した種類の中から選ばれる2種以上の含窒素複素環置換基の集合体(ヘテロ環集合体)などを用いても良い。
二つ以上の含窒素複素環基を有する化合物としては、例えば、ポリビニルイミダゾール、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリベンズイミダゾール、ビピリジル、ターピリジル、ポリビニルピロール、1,4−ジ(4−ピリジル)ブタン、2−(4−ピリジル)エチルエーテルや、下記の(化1)に示す、(a)乃至(e)の化合物等を挙げることができる。
Figure 0004230867
本発明の実施形態においては、電解質中に、これに加えてさらにpka値が4以下であるアミン化合物を含んでも良い。
pka値が4以下であるアミン化合物としては、脂肪族系、脂環族系のヘテロパラフィン化合物、芳香族系、ヘテロ芳香族系、ポリエーテル系、ポリアミド系、のいずれかのアミン化合物を用いることが出来る。
例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の2級あるいは3級の脂肪族ポリアミン類、3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン等の2級あるいは3級の脂環族ポリアミン類、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン等の2級あるいは3級の芳香族ポリアミン類、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン等の2級あるいは3級のポリエーテルアミン類、ポリアミドの分子末端にアミノ基を有する2級あるいは3級のポリアミドアミン類、アニリン、N―メチルアニリン、N,N´―ジメチルアニリン、o,m,p位のいずれかのメチル置換アニリン、o,m,p位のいずれかのヒドロキシ置換アニリン等のアニリン系化合物に代表される1〜3級の芳香族アミン類の他、ピリジン、2,3,4位のいずれかのメチル置換ピリジン、ベンゾピリジン、iso−ベンゾピリジン、2−フルオロピリジン、3
−フルオロピリジン、2−クロロピリジン、3−クロロピリジン、2−ブロモピリジン、3−ブロモピリジン、2−ヨードピリジン、3−ヨードピリジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、3−アセチルピリジン等のピリジン誘導体等のピリジン系化合物、3−クロロキノリン、4−クロロキノリン、7−クロロキノリン、8−アミノキノリン等のキノリン誘導体、1−メトキシイソキノリン等のイソキノリン誘導体、9−メトキシフェナントリジン等のフェナントリジン誘導体、に代表されるヘテロ窒素原子1個を含む6員環芳香族複素環化合物類、ピリダジン、3−メチルピリダジン、4−メチルピリダジン、3−メトキシピリダジン、4−メトキシピリダジン等のピリダジン誘導体、ピリミジン,4−メチルピリミジン、2−アミノピリミジン、2−ジメチルアミノピリミジン、5−アミノピリミジン、4−メトキシピリミジン等のピリミジン誘導体、ピラジン、2−メチルピラジン、2,3,5,6−テトラメチルピラジン、2−アミノピラジン、2−メトシキピラジン等のピラジン誘導体、フタラジン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナジン、フェナントロリン、ヘテロ窒素原子2個を含む6員環芳香族複素環化合物類、1,4,5−トリアザナフタリン、1,4,6−トリアザナフタリン等のトリアザナフタリン誘導体に代表されるヘテロ窒素原子3個を含む芳香族複素環化号物類、ピロール,2〜3位置換メチルピロール,iso−ピロール等に代表されるヘテロ窒素原子1個を含む5員環芳香族複素環化合物類、2−イミダゾリン,3−イミダゾリン,4−イミダゾリン,ピラゾール,イミダゾール,2−メチルイミダゾール,1,2−ジメチルイミダゾール,2−メチル−4−メチルイミダゾール,2−エチル−4−エチルイミダゾール,2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール(イミダゾリンゾール)系化合物、インダゾール系化合物等に代表されるヘテロ窒素原子2個を含む5員環芳香族複素環化合物類、イミダゾリジン等に代表されるヘテロ窒素原子2個を5員環脂肪族複素環化号物類、プリン系化合物等のヘテロ芳香族系をあげることが出来るが、これらに限定されるものではない。叉、これらを単独または複数併用してもよい。また、これらの中でも、溶融塩電解液に溶解しやすいことから、pKaが4以下の範囲にあるヘテロ芳香族化合物は特に好ましく用いることが出来る。
また、本発明の実施形態においては、溶融塩や、カルボン酸化合物、ゲル化剤を含有する電解質層に、さらに水を含有しても良い。水を含有する電解質は、光増感型太陽電池のエネルギー変換効率をより高くすることができる。
前記電解質層中の水の含有量は、ヨウ化物の溶融塩と水との合計量を100重量%とした際に10重量%以下にすることが色素の加水分解反応等が生じないために好ましい。水の含有量のさらに好ましい範囲は、ヨウ化物の溶融塩と水との合計量を100重量%とした際に0.01重量%以上、10重量%以下で、最も好ましい範囲は前記合計量100重量%に対して0.5重量%以上、5重量%以下である。
さらに、本発明の実施形態においては、電解質層中に半導体電極の表面に吸着される色素を添加して溶解させておいても良い。色素の溶解濃度としては飽和溶解度程度とすることが好ましいが、一般に色素は電解質溶液に溶解しにくいので飽和溶解度以下でも良く、溶解濃度は5×10-6mol/L以上、さらには5×10-5mol/L以上としておけば半導体電極に付着させてある色素が電解質層中に溶出し難くなり好ましい。色素の電解質層中における濃度が大きすぎる場合は、光を有効に利用できなくなる恐れがあり、好ましくない。
次に、この電解質層を用いた光増感型太陽電池の実施の態様について説明する。
この実施の態様では、光受光面を有する基板と、基板の一方の面に形成される透明導電層と、透明導電層に形成され、かつ表面に色素が吸着されている半導体電極と、半導体電極と対向する対向基板及び、対向基板の半導体電極と対向する面に形成される導電層(対
向電極)と、導電層と半導体電極との間に存在し、ヨウ素分子、ヨウ化物の溶融塩、カルボン酸化合物及びゲル化剤を有する電解質とを具備し、太陽光が基板から入射するタイプの構造である。
なお、対向基板及び対向電極に、可視光領域の吸収が少なく、透明な材料を用いることにより、対向電極側から太陽光を入射させる構成とすることも出来る。
以下、透明導電層、半導体電極、色素、対向基板及び導電層について説明する。
(ア)透明導電層
透明導電層は、可視光領域の吸収が少なく、かつ導電性を有することが好ましい。この透明導電層には、フッ素あるいはインジウムなどがドープされた酸化スズ膜、フッ素あるいはインジウムなどがドープされた酸化亜鉛膜などが好ましい。また、伝導性を向上させて抵抗の上昇を防ぐ観点から、透明導電層と併用して低抵抗な金属マトリクスを配線することが望ましい。
(イ)半導体電極
半導体電極は、可視光領域の吸収が少ない透明な半導体から構成することが望ましい。かかる半導体としては、金属酸化物半導体が好ましい。具体的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、亜鉛、インジウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンあるいはタングステンなどの遷移金属の酸化物、SrTiO3、CaTiO3、BaTiO3、MgTiO3、SrNb26のようなペロブスカイト、あるいはこれら複合酸化物または酸化物の混合物、GaNなどを挙げることができる。
(ウ)色素
半導体電極の表面に吸着される色素としては、例えば、ルテニウム−トリス型の遷移金属錯体、ルテニウム−ビス型の遷移金属錯体、オスミウム−トリス型の遷移金属錯体、オスミウム−ビス型の遷移金属錯体、ルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体、フタロシアニン、ポルフィリン等を挙げることができる。
(エ)対向基板
対向基板は、可視光領域の吸収が少なく、かつ導電性を有することが好ましい。この対向基板には、酸化スズ膜、酸化亜鉛膜などが好ましい。
(オ)導電層
この導電層は、例えば、白金、金、銀のような金属から形成することができる。これらの導電層の膜厚を薄くすることにより、可視光領域の吸収が少なく、透明な導電層を得ることが出来る。
本発明の実施形態の光増感型太陽電池は、例えば、以下に説明する方法で製造してもよい。
まず、光受光面を有する基板を用意し、その一方の面に透明導電層および半導体電極を順次形成する。そして、半導体電極の表面に色素及びカルボン酸化合物を順次吸着させる。一方、表面に導電層が設けられた対向基板を準備して、この導電層と前述の半導体電極とを離間対向して配置して、電池ユニットを組み立てる。
次いで、電解質を、前述の半導体電極と導電層との間隙に注入して、電解質層とする。また、本実施形態はゲル状電解質層とする為、電解質前駆体をゲル化させる。引き続き、電池ユニットを密封することにより、本発明の実施形態の光増感型太陽電池が得られる。
ゲル状の電解質層を得るためには、電解質前駆体のゲル化の際には、電池ユニットを加熱することが好ましい。加熱処理の温度は、50〜200℃の範囲内にすることが好ましい。これは、次のような理由によるものである。すなわち、熱処理温度が50℃未満の場
合には、ゲルの重合度が低下して、ゲル状とするのが困難になるおそれがある。一方、200℃を越える高温で熱処理を行なった場合には、色素の分解が起こりやすくなる。なお、より好ましくは、熱処理温度は70〜150℃である。
以下、図面を参照して、具体例をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
n型半導体電極の材料として、平均一次粒径が30nmの高純度酸化チタン(アナターゼ)粉末に硝酸を添加した後、純水とともに混練し、さらに界面活性剤で安定化させたペーストを作製した。
図1(a)に示すように、ガラス基板1上にフッ素ドープした酸化スズ導電膜2(透明導電膜2)を設け、その上にこのペーストをスクリーン印刷法で印刷し、温度450℃で熱処理を行うことにより、酸化チタン(アナターゼ)粒子からなる厚さ2μmのn型半導体電極4を形成した。
このスクリーン印刷と熱処理を複数回繰り返し、最終的にフッ素ドープした酸化スズ導電膜2(透明導電膜2)上に厚さ8μmのアナターゼ相からなる酸化チタン粒子3を含むn型半導体電極4を形成した。このn型半導体電極4のラフネスファクターは1500であった。ラフネスファクターは、基板の投影面積に対する、窒素吸着量から求めた。
次いで、シス−ビス(シオシアナト)−N,N−ビス(2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)二水和物)の3×10-4M乾燥エタノール溶液(温度約80℃)に4時間浸漬したのち、アル
ゴン気流中で引き上げることにより、n型半導体電極4表面に色素であるルテニウム錯体を担持させた。
また、白金をつけたフッ素ドープ酸化錫電極5(導電膜5)を形成したガラス基板6(対向電極6)を、直径が30μmのスペーサーを利用して前述のn型半導体電極4を作製した基板1上に設置し、周囲を電解液注入口を残してエポキシ系樹脂7で固めて固定した。
以上の操作によって、図1(a)に示すような光電変換素子ユニットが得られた。
電解質は、次のようにして調製した。1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド1gに、水0.05g、ヨウ素0.05g、ピラジン0.1g、酢酸0.01gを溶解させ、電解質を調製した。この電解質に、ゲル化剤としてポリビニルピリジン(分子量60,000)0.02gと1,6−ジブロヘキサン0.023gを添加し、電解質組成物を得た。
次いで、図1(b)に示すように、光電変換ユニットの開口部に注入口8から電解質組成物9を注入した。電解質9は、図1(c)に示されるように、n型半導体電極4に浸透するとともに、n型半導体電極4と酸化スズ電極5(導電層5)との間にも注入された。
引き続き、図1(d)に示すように、光電変換ユニットの開口部をエポキシ樹脂10で封口した後、60℃で30分間、ホットプレート上で加熱することにより、光電変換素子、すなわち光増感型太陽電池を製造した。得られた太陽電池の断面図を図2に示す。
図2に示されるように、ガラス基板1上には、透明導電層2および透明なn型半導体電極4が順次形成されている。このn型半導体電極4は、微粒子3の集合体から形成される
ため、表面積が極めて大きい。また、n型半導体電極4の表面には色素が単分子吸着している。n型半導体電極4の表面で、色素が形成されていない部位には、ピラジンによりn型半導体電極4は覆われている。一方の対向基板6は、ガラス基板6と、このガラス基板6におけるn型半導体電極4側の面に形成された導電層5とから構成される。このような光増感型太陽電池では、ガラス基板1側から入射した光11をn型半導体電極4の表面に吸着されている色素が吸収した後、前記色素がn型半導体電極4へ電子を渡すと共に、前記色素がゲル状電解質9にホールを渡すことによって光電変換を行う。
(実施例2)
ピラジンの代わりに、ピリミジンを用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(実施例3)
ピラジンの代わりにピリダジンを用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(実施例4)
ピラジンの代わりにピラゾールを用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(実施例5)
ピラジンの代わりに3−フルオロピリジンを用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(実施例6)
1,6-ジブロモヘキサンの代わりに1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチルを用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(実施例7)
酢酸の代わりに安息香酸を用いること以外は、前述した実施例6で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(実施例8)
ピラジンの代わりにピリミジンを用いること以外は、前述した実施例6で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(実施例9)
酢酸の代わりに安息香酸を用いること以外は、前述した実施例8で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(実施例10)
酢酸の代わりにフルオロ酢酸を用いること以外は、前述した実施例8で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(実施例11)
酢酸の代わりにブタン酸を用いること以外は、前述した実施例8で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(実施例12)
酢酸の代わりにアジピン酸を用いること以外は、前述した実施例8で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(実施例13)
酢酸の代わりにサリチル酸を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(実施例14)
水を加えない以外は、前述した実施例6で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(実施例15)
水を加えない以外は、前述した実施例9で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(実施例16)
ピリミジンを加えない以外は、前述した実施例8で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(比較例1)
ピラジンの代わりにt−ブチルピリジン0.02gを用いる以外は実施例1で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(比較例2)
酢酸を加えない以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(比較例3)
安息香酸を加えない以外は、前述した実施例9で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(比較例4)
プロピレンカーボネートに、よう化リチウム0.5M及びヨウ素0.05Mを溶解させ、電解質を調製した。この電解質1gに、ピラジン0.1g、酢酸0.01g、を添加し、電解質組成物を得たこと以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
(比較例5)
ヨウ化リチウムを加える以外は、前述した比較例3で説明したのと同様な構成の色素増感型太陽電池を製造した。
実施例1〜16及び比較例1〜5の太陽電池について、擬似太陽光を100mW/cm2の強度で照射した際のエネルギー変換効率を求め、その結果を(表1)に示す。次いで、実施例1〜16及び比較例1〜5の太陽電池を100℃で1ヶ月間貯蔵した後、擬似太陽光を100mW/cm2の強度で照射した際のエネルギー変換効率を求め、これを貯蔵前のエネルギー変換効率と比較し、低下率を求めた。またゲル化した場合を○、しなかった場合を×とし、これらも(表1)に示す。さらに、電池特性試験を、キセノンランプ付きソーラーシュミレーター(WXS-R50S-1.5, マキ製作所製)を用いてAM1.5 (100 mW/cm2) の条件で測定した。そしてI−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、開放電圧(Voc/V)、短絡電流(Isc/mA・cm-2)を求めることにより、実施例1、実施例16及び比較例4の開放電圧、短絡電流を求めた結果を(表2)に示す。
Figure 0004230867
Figure 0004230867
(表1)に示すように、本発明の実施形態に係る各実施例の色素増感型太陽電池は、各比較例の色素増感型太陽電池と比較して、ゲル特性が高いことから長期安定性が高まり、また、光電変換効率も高い。例えば、比較例1では、t−ブチルピリジンを用いていることから、pka値が4を超えるものであるため架橋剤と反応してしまい、ゲル化できずに長期安定性が低下し、カルボン酸化合物の光電変換効率を上げる効果も低減してしまう。また、比較例2、3では、カルボン酸化合物を用いていないことからイオン成分の供給を行うことが出来ず、光電変換効率が低下する。さらに、比較例4では、有機溶媒を用いた湿式光増感型太陽電池を用いていることから、初期の光電変換効率は高いものの、低下率が非常に大きく使用が困難である。また、比較例5では、イオン成分を供給するために、カルボン酸化合物を用いずに従来のヨウ化リチウムを用いていることから、ゲル化が阻害されて長期安定性が低下する。
これに対して、各実施例では、ゲル特性が高いことから長期安定性が高まり、また、光電変換効率も高い。各実施例の中でも、実施例1,2,3,4,5,16等から、pka値が4以下であるアミン化合物を用いる方が光電変換効率が高く、その中でも、ピリミジンが特に光電変換効率を高めるために好ましいことが分かる。また、実施例1,7,9,10,11,12,13等から、カルボン酸化合物の中でも、安息香酸が最も光電変換効率を高めるために好ましいことが分かる。また、実施例1,6,8等から、ゲル化剤の中でも、1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチル)が、ゲル特性が高く長期安定性に優れることが分かる。さらに、実施例1,14,15等から、水を添加することにより、光電変換効率を高めることが可能であることが分かる。
本発明の実施形態に係る色素増感型太陽電池の製造工程の一例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る色素増感型太陽電池の一例を示す断面図である。
符号の説明
1…ガラス基板
2…透明導電膜
3…酸化チタン微粒子
4…半導体電極
5…導電膜
6…対向基板
7,10…エポキシ樹脂
8…注入ノズル
9…電解質組成物
11…入射光

Claims (4)

  1. 表面に色素が担持された半導体電極と、
    前記半導体電極に離間対向して配置され、表面に導電層を有する対向基板と、
    前記半導体電極と前記導電層とに挟持され、ヨウ素分子、ヨウ化物の溶融塩、カルボン酸化合物及びゲル化剤とからなる電解質層と
    を具備し、
    前記カルボン酸化合物が、酢酸、安息香酸、フルオロ酢酸、ブタン酸、アジピン酸、サリチル酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする光増感型太陽電池。
  2. 前記カルボン酸化合物が、酢酸及び安息香酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の光増感型太陽電池。
  3. 前記電解質層中に、さらにピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラゾール、3−フルオロピリジンから選ばれる少なくとも1種のアミン化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の光増感型太陽電池。
  4. 前記電解質層中に、さらに水を含むことを特徴とする請求項1記載の光増感型太陽電池。
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