JP4230850B2 - 光回路及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光導波路中の溝内の自己形成レンズ状媒質又は自己形成光導波路による光回路及びその製造方法に関する。
キラーアプリケーションとしてウェブブラウザの登場によりインターネットの急速な普及をもたらし、通信トラヒックが増加し、さらなる爆発的な進展が予想された。その結果、西暦2000年を前後して北米を中心にロングホール市場には波長分割多重光通信システム用の部品の進展が過剰に予測され、ドットコム企業への期待と光部品の生産拡大が過熱しすぎた結果、光バブルが発生した。楽観論に基づくこれまでの右肩上がりの予測は崩壊し、過剰に投資した光部品市場は行方を求めるべくメトロ・アクセス系の光通信の未整備な分野へのマーケット展開を図り始めた。しかしながら、これまで同様の量産効果による部品コストの低廉化が期待できない現状や過大な投資が必要となるハイエンド技術の積極的な展開には誰しも疑念をいだかざるを得ない。これからの通信用光部品の開発トレンドには調達部品のマルチソース化といったマーケット調整は元より、低廉化した既開発品をより安い部品集積化技術により高度化していくことが必須となる。
図13に従来の光導波回路基板内に設けた溝部に誘電体多層膜波長フィルタを挿入して形成する波長分割多重光回路を、図14にはフィルタ挿入部の詳細図を示す。両図中、1は光導波路、1−aは入力光ポート、1−b1はフィルタ透過光出力ポート、1−b2はフィルタ反射光出力ポート、2は誘電体多層膜波長フィルタ、3は光硬化性樹脂材料が充填されたフィルタ挿入溝、4は光導波路基板、4−1,4−2は光導波路基板4の入力・反射光ポート側及び透過光ポート側である。
また、図15には溝内に誘電体多層膜波長フィルタ2の挿入固定後、すなわち入力光ポート1−aから固化後の光硬化性樹脂材料中への信号光伝搬の様子を解析した結果を示した。従来技術によるフィルタ溝3内の信号光伝搬解析結果に相当する。ここで、図15(a)は光硬化性樹脂材料屈折率分布、図15(b)は信号光(1550nm)伝搬解析結果、図15(c)は信号光(1550nm)伝搬解析位相分布結果をそれぞれ示している。また、図15(a)は屈折率差Δnが0.000の場合を示すとともに、図15(b)中の符号151、152、153、154は、相対光強度等高線が0.1、0.2、0.3、0.4の各場合をそれぞれ示している。
図13に示す波長フィルタ挿入形による波長分割多重光回路は加入者系光合分波回路部品類においても数々提案されてきた従来形光回路構成である(例えば、特開昭57−68098号公報)。当該光回路は種々の機能を有する光学薄膜と光回路基板とが分離されているため、それぞれの部品について低コスト・高品質な部品調達を追求できる可能性と、光学フィルタ部品を溝部へ簡易位置決めできるパッシブアライメントにより達成できるローコスト組立技術の2点から低廉化に有利な光部品集積化技術と考えられ、各種構成が検討されてきた。
かかる波長分割多重光回路における波長分割多重動作について述べる。従来技術の波長分割多重光回路によれば、図13、図14に示す入力光ポート1−aの光導波路1を伝播してきた波長λ1及びλ2の多重信号光が、光導波路1を分断するように形成されたフィルタ挿入溝3に出射することになる。出射光はフィルタ挿入溝3の部分で放散するが、誘電体多層膜波長フィルタ2の透過帯域内信号光の波長λ2はこの誘電体多層膜波長フィルタ2を透過し、対向して配置されたフィルタ透過光出力ポート1−b1に光結合が実現される。一方、透過帯域外の信号光の波長λ1については誘電体多層膜波長フィルタ2の面で反射後、フィルタ挿入溝3内を伝搬して、反射光ポート用のフィルタ反射光出力ポート1−b2に光結合する構成をとる。本構成をとることによって、波長多重信号光は波長λ1と波長λ2に分割可能となる。
図15中には光導波路1からフィルタ挿入溝3へ出射する信号光の伝搬の様子を示す。ここで、図14に示す座標軸は図15中の座標軸と一致している。すなわち、x軸が光導波路1の端面における導波路伝搬方向に対して垂直方向を示し、z軸がフィルタ挿入溝3の長手方向(導波路伝搬方向)を示している。
次に解析結果について順次説明を行う。図15中(a)は光硬化性樹脂材料充填領域(図14参照。)における屈折率分布の等高線分布を示している。図中、等高線分布を持たないことから一様な屈折率分布であることを示している。これは従来技術によって形成されたフィルタ挿入溝3の内部の屈折率分布構成に該当する。入力光ポート1−aを有する導波路1(本図中当該導波路1は直線導波路を仮定して解析を行っている。)から、このような均一屈折率分布を持つフィルタ挿入溝3部への信号光伝搬の解析を行った。このときの伝搬解析光強度分布を図15(b)に、位相分布を図15(c)にそれぞれ示した。図15(b)に示すように、光導波路から出射した光はすぐ様広がる様子が観察される。また図15(c)において等位相面の伝搬の様子を観察すれば(図中同段階の色調線部分)中央部のフラットな線分布の伝搬軸方向(z軸)には、狭まりと波面湾曲の増大が観察され、導波光がフィルタ挿入溝3中へ出射することで急峻に空間的に広がることが位相分布においても確かめることができる。なお、この種の公知技術を開示する特許文献としては、次の公開公報が存在する。
特開昭57−68098号公報
上述の如き従来技術に係る誘電体多層膜波長フィルタ挿入形の波長分割多重光回路においては、フィルタ挿入溝3内の誘電体多層膜波長フィルタ2への入射信号光の放散が著しいため、平面的に積層された誘電体多層膜波長フィルタ2に対して、種々の方向を向いた波数ベクトルからなる信号光が入射することになり、平面内に積層された誘電体多層膜波長フィルタ2の分波特性(中心波長、透過帯域幅)の劣化を招き、当該誘電体多層膜波長フィルタ2本来の設計通りの特性が得られない(伊藤正宣、小山二三夫「誘電体多層膜フィルタのスポットサイズ依存性」2002年電子情報通信学会エレクトロニクスソサエティ大会c−3−90参照。)。加えて、誘電体多層膜波長フィルタ2における反射波、透過波いずれの場合においても、それぞれのビーム伝搬の広がりを抑えることが困難となるため、フィルタ特性の劣化は入射ビーム特性から決定される劣化要因に加えて、フィルタ反射光出力ポート1−b2又はフィルタ透過光出力ポート1−b1のそれぞれの光導波路1と誘電体多層膜波長フィルタ2によって反射もしくは透過した光との結合効率の劣化が加わる。かくして、当該従来技術の構成による誘電体多層膜波長フィルタ2の挿入損失の増大を招いていた。
本発明は、上記従来技術に鑑み、より低損失で、且つ光学設計を反映し易い光回路及びその作成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の構成は、次の点を特徴とする。
1) 光導波路基板中に設けた1つ以上の菱形溝と、
前記菱形溝の対角位置に挿入するとともに前記菱形溝中に充填する光硬化性樹脂材料で位置決め固定される光学薄膜と、
前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を光導波路を介して前記光硬化性樹脂材料に伝搬・放射させることで前記菱形溝の内面に面した前記光導波路のコア部端部、又は前記菱形溝に設置した前記光学薄膜の面の近傍に形成したレンズ構造とを有すること。
2) 光導波路基板中に設けた1つ以上の菱形溝と、
前記菱形溝の対角位置に挿入するとともに前記菱形溝中に充填する光硬化性樹脂材料で位置決め固定される誘電体多層膜波長フィルタと、
前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を光導波路を介して前記光硬化性樹脂材料に伝搬・放射させることで前記菱形溝の内面に面した前記光導波路のコア部端部、または前記菱形溝に設置した前記誘電体多層膜波長フィルタの面の近傍に形成したレンズ構造とを有すること。
3) 光導波路基板中に設けた1つ以上の菱形溝と、
前記菱形溝の対角位置に挿入するとともに前記菱形溝中に充填する光硬化性樹脂材料で位置決め固定される光学薄膜と、
前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を前記光導波路を介して前記光硬化性樹脂材料に二回以上伝搬・放射させることで前記菱形溝の内面に面した前記光導波路のコア部より前記光学薄膜又はその近傍部分まで形成した光導波路コア構造とを有すること。
4) 光導波路基板中に設けた1つ以上の菱形溝と、
前記菱形溝の対角位置に挿入するとともに前記菱形溝中に充填する光硬化性樹脂材料で位置決め固定される誘電体多層膜波長フィルタと、
前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を前記光導波路を介して前記光硬化性樹脂材料に伝搬・照射させることで前記菱形溝の内面に面した前記光導波路のコア部より前記誘電体多層膜波長フィルタ又はその近傍部分まで形成した光導波路コア構造とを有すること。
) 光導波路基板中に設けた1つ以上の溝中に光学薄膜を挿入して形成する光回路の製造方法において、
前記溝として、菱形溝を形成し、
前記光学薄膜を前記菱形溝の対角位置に挿入して位置決めし、
前記菱形溝を光硬化性樹脂材料によって充填し
前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を光導波路より前記菱形溝内へ、1回伝搬・放射させることで、前記菱形溝の内面に面した前記光導波路のコア部端部、又は前記菱形溝に設置した前記光学薄膜の面の近傍においてレンズ構造を形成し、
その後前記レンズ構造形成部を除いた部分の光硬化性樹脂材料の重合が可能な強度の光照射、他の波長光による照射、又は熱処理工程を前記光硬化性樹脂材料全体に行うことによって、該光硬化性樹脂材料を全体的に固化し、前記菱形溝に挿入された光学薄膜と前記光導波路とを光学的に位置決め固定すること。
) 光導波路基板中に設けた1つ以上の溝中に誘電体多層膜波長フィルタを挿入して形成する光回路の製造方法において、
前記溝として、菱形溝を形成し、
前記誘電体多層膜波長フィルタを前記菱形溝の対角位置に挿入して位置決めし、
前記菱形溝を光硬化性樹脂材料によって充填し
前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を光導波路より前記菱形溝内へ、1回伝搬・放射させることで、前記菱形溝の内面に面した前記光導波路のコア部端部、又は菱形溝に設置した前記誘電体多層膜波長フィルタの面の近傍においてレンズ構造を形成し、
その後前記レンズ構造形成部を除いた部分の光硬化性樹脂材料の重合が可能な強度の光照射、他の波長光による照射、又は熱処理工程を前記光硬化性樹脂材料全体に行うことによって、該光硬化性樹脂材料を全体的に固化し、前記菱形溝に挿入された誘電体多層膜波長フィルタと前記光導波路とを光学的に位置決め固定すること。
) 光導波路基板中に設けた1つ以上の溝中に光学薄膜を挿入して形成する光回路の製造方法において、
前記溝として、菱形溝を形成し、
前記光学薄膜を前記菱形溝の対角位置に挿入して位置決めし、
前記菱形溝を光硬化性樹脂材料によって充填し
前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を光導波路より前記菱形溝内へ、2回以上伝搬・放射させることで、前記菱形溝の内側面に面した前記光導波路のコア部端部から前記光学薄膜又はその近傍まで光導波路コア構造を形成し、
その後前記光導波路コア構造形成部を除いた部分の光硬化性樹脂材料の重合が可能な強度の光照射、他の波長光による照射、又は熱処理工程を前記光硬化性樹脂材料全体に行うことによって、該光硬化性樹脂材料を全体的に固化し、前記菱形溝に挿入された光学薄膜と前記光導波路とを光学的に位置決め固定すること。
) 光導波路基板中に設けた1つ以上の溝中に誘電体多層膜波長フィルタを挿入して形成する光回路の製造方法において、
前記溝として、菱形溝を形成し、
前記誘電体多層膜波長フィルタを前記菱形溝の対角位置に挿入して位置決めし、
前記菱形溝を光硬化性樹脂材料によって充填し
前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を光導波路より前記菱形溝内へ、2回以上伝搬・放射させることで、前記菱形溝の内側面に面した前記光導波路のコア部端部から前記誘電体多層膜波長フィルタ又はその近傍まで光導波路コア構造を形成し、
その後前記光導波路コア構造形成部を除いた部分の光硬化性樹脂材料の重合が可能な強度の光照射、他の波長光による照射、又は熱処理工程を前記光硬化性樹脂材料全体に行うことによって、該光硬化性樹脂材料を全体的に固化し、前記菱形溝に挿入された誘電体多層膜波長フィルタと前記光導波路とを光学的に位置決め固定すること。
9) 上記5)乃至8)の何れか一つに記載する光回路の製造方法において、
前記光硬化性樹脂材料が充填された前記菱形溝に形成光を導入するために、前記光硬化性樹脂材料が充填された前記菱形溝と前記光導波路により接続された光硬化性樹脂材料を充填前の菱形溝に、45度付近の角度で斜め加工されたフィルム形光導波回路又は45度付近の角度で斜め加工された光ファイバを挿入して形成光を前記菱形溝に導入・照射すること。
10) 上記)又は)に記載する光回路の製造方法において、
前記光硬化性樹脂材料を充填した前記菱形溝中へレンズ構造を形成するにあたり、前記光導波路基板のうち少なくとも2ポート以上の光導波路を用いてコヒーレントな形成光の導入を図り、該複数ポートからの形成光を相互位相干渉させることによって、前記光硬化性樹脂材料で充填した前記菱形溝中の任意位置にレンズ構造を形成すること。
11)上記1)乃至4)の何れか一つに記載する光回路において、
前記菱形溝の溝端面を、対応する光導波路の伝搬方向に対して垂直に形成したこと。
12)上記1)、2)、3)、4)、11)の何れか一つに記載する光回路において、
前記菱形溝の対角線部に、当該対角線部より幅が広い矩形溝を設け、当該矩形溝に前記光学薄膜又は前記誘電体多層膜波長フィルタを挿入して固定したこと。
上記構成の本発明によれば、光導波回路内に設けた溝中に光学薄膜部品を挿入して実現される光回路において、光導波路から光学薄膜部品への光結合に際して光導波路からの出射ビームが放散してしまい、光学薄膜部品の特性が十分に再現できず、光回路としての機能が劣化するという問題を解決することができる。すなわち、本発明による溝内自己形成レンズもしくは自己形成光導波路を用いることによって、光導波路から収斂したビームを光学薄膜部品に光入射させることが可能になるとともに、光学薄膜部品からの反射又は光学薄膜部品を透過した信号光が光導波路と高効率に光結合が実現可能となるため、より低損失でかつ光学設計を反映しやすい光学薄膜部品挿入形の光回路を実現することができる。
先ず本発明の実施例に共通の原理を説明しておく。図1には本発明の各実施例中、共通して使用する光硬化性樹脂材料の屈折率変化の照射光量依存性を示している。
自己形成光導波路又は自己形成レンズ状媒質の製作においては照射光量に応じた樹脂内部屈折率差をもたらすために、
(1) 光硬化性樹脂材料として複数の樹脂材料の混合溶液を使用して2段階で波長を変えて露光を行う工程(山下達弥、各務学、伊藤博「マルチモード光ファイバを用いた光硬化性樹脂中の光導波路自己形成」信学技報,pp.31-36,(1999-10) 及び渡邊則利、宮田健太郎、村田佳一、三上修「グリーンレーザを用いた自己形成光導波路の作製」信学技報,pp.11-13,(2002-6)参照。)、
(2) ポリイミドワニスに感光基をドープした材料を用いて、露光により照射光量に応じた屈折率分布を得た後に、熱処理工程を経て導波構造を実現する工程(山下兼一、橋本崇、尾江邦重、宗和範、内藤龍介、望月周:「感光性ポリイミドを用いた自己形成光導波路のコア−クラッド新形成技術」第50回応用物理学会関係連合講演会27a−W−3。)、
及び
(3) 屈折率の高い部分を構成する樹脂を固化する光強度と屈折率の低い部分を構成する樹脂を固化する光強度とで十分な差を設けて実現する手法(広瀬直宏「光導波路の形成方法」特開2002−258095参照。)
の3工程が代表的な工程となる。
いずれの工程でも照射過程に加えてもう一過程を経る必要がある。図1では溝中の光硬化性樹脂材料内で屈折率差分布を初期付与する第1過程での、光硬化性樹脂材料の屈折率差の照射光量依存性を示している。光硬化性樹脂材料の反応光照射量依存による屈折率変化は同図に示すように、ある臨界照射量以下ではほとんどその屈折率変化がみられず、その臨界照射量を越えると照射光量に応じて屈折率が増加していく。その一方、ある一定以上の照射量となると屈折率は飽和し、屈折率変化を与えることは困難となる。このような照射量に対する屈折率変化については、丸山等の報告(:丸山英樹、満山照樹、清村圭博、春名正光「低コヒーレンス光干渉を用いた屈折率と厚さ同時測定の樹脂硬化性評価への応用」電子情報通信学会論文誌C,vol. J85-C, no.2, pp.103-106, 2002年2月参照。)に
おいて実測定結果が報告されている。本報告結果と本発明による原理説明図中の屈折率変化曲線と同一傾向を示すことが確認できる。原理説明に用いる図1は光硬化性樹脂材料の光照射量に対する屈折率依存性の典型的な傾向を示すものと考察できる。
上述の如き屈折率の照射量依存性を示す光硬化性樹脂材料を溝部に充填し、形成光(波長600nm以下の光)を直線光導波路を介して適切な光量で照射する構成をモデル化し、計算機シミュレーションによる解析を行った結果を図2に示す。解析の前提にあたり、形成光照射量と光硬化性樹脂材料の屈折率変化量との関係はAnthony S. Kewitsch らの提案する関係式(1)(Anthony S. Kewitsch and Amnon Yariv, “Self-focusing and self-trapping of optical beams upon photopolymerization," Optics Letters, vol,21, no.1,pp.24-26(1996) 参照。)に従った。図2中、13は光硬化性樹脂材料充填領域、1−aは入力光ポート、4−1は光導波路基板4の入力・反射光ポート側、5は光硬化性樹脂材料充填領域13に形成されたレンズ状媒質である。同図中(a)には解析座標を、(b)には解析結果として1ショット照射によって形成されたレンズ状媒質の屈折率分布の等高線分布を、(c)には形成されたレンズ状媒質屈折率分布における信号光伝搬特性を示している。
また、図中(a)に示すように、入力光ポート1−aから形成光(波長600nm以下の紫外光)を励振、直線導波路を経て溝部である光硬化性樹脂材料充填領域13に出射・照射させる。照射量として20.0×10-6mJで1回照射を行う。この照射過程で得られた屈折率分布の解析結果を図2(b)に示す。同図に示すように、屈折率分布はレンズ状に膨らみを持った形態となる。全照射量を一致させて、複数回照射した場合には光導波路形態すなわち直線形態となることも確認された(図示せず。)。この結果については参考文献(S.J.Frisken, “Light-induced optical waveguide uptapers," Optics, Letters, vol.18, no.13, pp.1035-1037,(1993))に類似の報告を見ることができる。すなわち、照射回数が少ない場合には屈折率変調を受ける領域が照射口から広がりを持つ傾向(前記文献中:“uptaper" と標記)を示す実験結果の報告と本実施例との間で整合が認められる。
なお、図2(b)中、符号21、22、23、24、25でそれぞれ屈折率差Δnが0.000、0.002、0.004、0.006、0.008の場合を示している。
形成された屈折率分布に信号光(波長:λ=1550nm)を伝搬させた場合の結果を図2(c) に示す。図2(c) と図14(b)とを比較すると明らかであるように、レンズ効果によって光導波路からの出射光の広がりは抑制され収束したビーム姿態で伝搬していく様子が観察できる。このことから光硬化性樹脂材料充填領域13における光導波路端でレンズ形成を行うことで、誘電体多層膜波長フィルタデバイスをはじめとする光学薄膜デバイスに収斂されたビームで光入射が実現可能となる。なお、図2(c)中、符号26、27、28、29でそれぞれ相対光強度等高線が0.1、0.2、0.3、0.4の場合をそれぞれ示している。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。また、各実施例において共通に用いる光硬化性樹脂材料は、形成光(波長600nm以下の紫外光)に対し、図1に示された照射光量と屈折率変化の関係を満たす光硬化性樹脂材料であり、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの樹脂を混合した樹脂等を用いることができる。
[第1実施例]
本実施例に係る光回路では誘電体多層膜波長フィルタを溝内に挿入して波長分割する光導波回路中の光導波路コアの溝端面にレンズ状媒質を有する場合である。図3に示すように、本実施例に係る光回路は、入力光ポート1−a、透過光出力ポート1−b1、反射光出力ポート1−b2、誘電体多層膜波長フィルタ2、光硬化性樹脂材料充填領域13、溝付近の光導波路基板4の入力・反射光ポート側4−1、溝付近の光導波路基板4の透過光ポート側4−2を有しており、光硬化性樹脂材料充填領域13にはレンズ状媒質5−a、5−bが形成されている。
本実施例に係る光導波回路構成及びその解析座標系を示す図3(a)を参照すれば明らかな通り、本実施例では、入力光ポート1−aから光硬化性樹脂材料充填領域13に出射した光が、誘電体多層膜波長フィルタ2の面で反射され(図中λ1)て反射光出力ポート1−b2に効率良く光結合できるとともに、誘電体多層膜波長フィルタ2を透過して(図中λ2)透過光出力ポートに効率よく光結合できるように構成される。その際、曲げ損失及び偏波依存損失の抑制を考慮した曲げ半径・角度により溝部端面に光導波路が導入される回路構成が一般的となる。本光導波路構成において、レンズ形態実現の可否を解析にて検討した結果を同図(b)に示した。同図中、符号31、32、33、34、35は、それぞれ屈折率差Δnが0.000、0.002、0.004、0.006、0.008の場合について示している。
まず、第1ステップにおいて、図3(a) にも示すように入力光ポート1−aから形成光(波長600nm以下の紫外光)を照射光量8.0×10-6mJで光硬化性樹脂材料充填領域13の光硬化性樹脂材料に照射してレンズ状媒質の形成を図った。次に、第2ステップとして同様の形成光条件で透過光出力ポート1−b2を介して光硬化性樹脂材料充填領域13の光硬化性樹脂材料に照射してレンズ状媒質の形成を行った。さらに、第3ステップとして同様の形成光条件で反射光出力ポート1−b1から光硬化性樹脂材料充填領域13の光硬化性樹脂材料に照射しレンズ状媒質の形成を行った。
その結果、図3中(b)に示すように各光ポート1−a、1−b2の光導波路端面において先端球状形態を有し、光波伝搬方向に伸びたレンズ状媒質が実現できることが明らかとなった。(ただし、本図中では透過光ポート1−b1の導波路端面のレンズについては図示していない。)
図4には図3に示した本実施例に基づき、信号光(波長:λ=1550nm)の導波路端レンズからの出射ビームの伝搬解析結果を示した。同図(a) は形成された導波路端レンズの屈折率分布形態を、同図(b)は信号光のレンズ状媒質中の伝搬解析結果を、同図(c) は信号光伝搬の位相分布解析結果を、それぞれ示している。なお、図中、符号41、42、43、44、45は屈折率差Δnが0.000、0.002、0.004、0.006、0.008の場合について、また符号46、47、48、49、50、51、52は相対光強度等高線が0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35の場合についてそれぞれ示している。
図4(b)に示すように、レンズ状媒質中を伝搬する信号光は図15(b)の信号光伝搬解析結果とは異なり、収斂したビーム伝搬特性が確認された。また、図4(c)に示す位相分布においても明らかなように、等位相面(図中同一段階の色調を有する線帯)を観察すると、伝搬方向とともにビームが平面波的に伝搬していく様子が観察される。
以上の結果から、実際に使用する光導波路構成においてもレンズ形成が可能であり、本光結合形態で多層膜フィルタ特性の向上が可能となることが明らかとなった。
[第2実施例]
図5は本発明の第2の実施例に係る光回路を示す図であって、同図(a) はその構造及び解析のための座標系を示しており、同図(b)は形成されたレンズ状媒質の屈折率分布を示す。また、図中、1−aは入力光ポート、1−b1は透過光出力ポート、1−b2は反射光出力ポート、2は誘電体多層膜波長フィルタ、13は光硬化性樹脂材料充填領域、4−1は溝付近の光導波路基板4の入力・反射光ポート側、4−2は溝付近の光導波路基板4の透過光ポート側、5は形成されたレンズ状媒質を示している。
本実施例においてはインコヒーレントな光を入力光ポート1−aからと反射光出力ポート1−b2の両方から同時に照射した場合の結果を示している。この時に使用しているフィルタは形成光についてはほぼ100%透過特性を有すると仮定している。本実施例では、それぞれのポートから全照射量として10.0×10-6mJの形成光を入射した。その形成されたレンズ状媒質の屈折率分布の解析結果を同図(b)に示している。図中に示すように屈折率分布は屈折率の高い部分が3角型に配列した形態となった。なお、図中の符号53、54、55、56、57で屈折率差Δnが0.000、0.002、0.004、0.006、0.008の場合についてそれぞれ示している。
本実施例におけるレンズ形態はフィルタ面を透過するビームについては収斂したビームが得られ、かつフィルタ面反射光ビームについては反射光ポートに収束できる機能を有するようになる。
図6には第2実施例によるレンズ状媒質屈折率分布形態での入・反射信号光(波長:λ=1550nm)ビーム伝搬特性を示した。図6(a)、(b)には入射側信号光伝搬解析結果を、図6(c)、(d)には誘電体多層膜波長フィルタ2によって反射された信号光ビームの伝搬の様子を示した。同図(a)、(b)には光強度等高線図、(c)、(d)にはその鳥瞰図を示した。これらの図に示すように、誘電体多層膜波長フィルタ2の面に入射する信号光が反射されるとともに、反射光と入射光との定在波を観察することができる。また、その定在波生成領域から、反射光として反射光出力ポート1−b2側へ伝搬していく様子を、図6(c)の光強度分布等高線図、図6(d)の鳥瞰図にて示した。特に図6(d)の鳥瞰図に着目すると明らかなように、光導波路端部に向けて反射ビームが伝搬するにつれ、これが収束している様子が観察できる。なお、図6中の符号61、62、63、64で相対光強度等高線が0.1、0.2、0.3、0.4の場合について、符号65、66、67、68、69で相対光強度等高線が0.05、0.1、0.15、0.2、0.25の場合についてそれぞれ示している。
以上のことから本実施例によるレンズ状媒質がフィルタ反射ビームの反射光出力ポートとの結合特性を向上させることが明らかとなり、本実施例によるレンズ形態により、挿入形フィルタの問題点のひとつである結合効率の向上を期待できることが明らかとなった。
本実施例によれば透過光出力ポート1−b1から形成光入射が不要となり第1実施例に比べて工程削減可能となる。
[第3実施例]
図7は本発明の第3実施例を説明する図であって、同図(a) はその構成及び解析のための座標系を示しており、同図(b)は第3実施例の製作条件のもとで解析によって得られたレンズ状媒質の屈折率分布を示す。
図中、1−aは入力光ポート、1−b1は透過光出力ポートを、1−b2は反射光出力ポート、1−cは予備ポート、2は誘電体多層膜波長フィルタ、13は光硬化性樹脂材料充填領域を、4−1は溝付近の光導波路基板4の入力・反射光ポート側、4−2は溝付近の光導波路基板4の透過光ポート側、5−a,5−b,5−cはそれぞれ入力光ポート端に形成されたレンズ状媒質、反射光入力ポート端に形成されたレンズ状媒質、コヒーレント光同時照射によって形成されたレンズ状媒質を示している。
本実施例においてはコヒーレントな光を入力光ポート1−a及び反射光出力ポート1−b2の両方から同時に照射した場合の結果を示している。この時に使用している誘電体多層膜波長フィルタ2は形成光についてはほぼ100%透過特性を有すると仮定している。本実施例では、それぞれのポートから全照射量として6.0×10-6mJの形成光を入射した。その解析によって求められたレンズ状媒質の屈折率分布解析結果を同図(b)に示している。図中に示すように光導波路端レンズ状媒質(図中5−a、5−b)のみならずフィルタ配置位置にレンズ状媒質の屈折率分布(図中5−c)が得られた。なお、図中の符号71、72、73、74で屈折率差Δnが0.002、0.004、0.006、0.008の場合についてそれぞれ示している。
本実施例におけるレンズ形態では入力光ポート1−aからの出射光はコリメート化されてビームが収斂するが、伝搬距離の増大とともに広がりをみせる。この場合に誘電体多層膜波長フィルタ2の面に配置されたレンズ構成によって、ビームが再度収束して誘電体多層膜波長フィルタ2の面に到達可能となる。また誘電体多層膜波長フィルタ2の面で反射したビームについても上述と逆過程で伝搬することが可能となる。
なお、本実施例では2ポートからの誘電体多層膜波長フィルタ2の面でのレンズ状媒質の形成を図ったが、透過光出力ポート1−b1側及びこれと対称に配置した予備ポート1−cからの合計4ポートからの形成光入射によっても、誘電体多層膜波長フィルタ2の面でのレンズ形態の成形が実現可能となるのは言うまでもない。
さらに、各種ポートからの出射光の位相調整を図ることにより、任意位置にレンズ状媒質の形成を行うことも可能である。
[第4実施例]
図8は本発明の第4の実施例を説明する図であって、同図(a)はその構成及び解析のための座標系を、同図(b)は形成された光導波路の屈折率分布を示す。同図中、1−aは入力光ポート、1−b1は透過光出力ポート、1−b2は反射光出力ポートを、2は誘電体多層膜波長フィルタ、13は光硬化性樹脂材料充填領域、4−1は溝付近の光導波路基板4の入力・反射光ポート側、4−2は溝付近の光導波路基板4の透過光ポート側を、11は自己形成光導波路を示している。なお、図中の符号81、82、83、84、85で屈折率差Δnが0.000、0.002、0.004、0.006、0.008の場合についてそれぞれ示している。
かかる本実施例においてはインコヒーレント光を入力光ポート1−a及び反射光出力ポート1−b2の両方から同時に複数回に分けて照射した場合の結果を示している。この時に使用している誘電体多層膜波長フィルタ2は形成光についてはほぼ100%反射特性を有すると仮定している。本実施例では、それぞれのポートから全照射量として10.0×10-6mJの形成光を3回に分けて入射した。その解析結果を図8(b)として示している。同図に示すように屈折率分布は誘電体多層膜波長フィルタ2の配置位置まで光導波路状の屈折率分布が得られた。本光導波路形態では、入力光ポート1−aからの出射光が自己形成光導波路11中を伝搬し、導波路中の伝搬光線角度からなるビームが誘電体多層膜波長フィルタ2の面に入射可能となる。また誘電体多層膜波長フィルタ2の面で反射したビームについても上述と逆過程で自己形成光導波路11中を伝搬することが可能となる。
なお、本実施例では2ポートからの形成光入力により誘電体多層膜波長フィルタ2の面までの自己形成光導波路11の形成を図った結果を示したが、透過光出力ポート1−b1側からの形成光入射によっても、誘電体多層膜波長フィルタ2の面までの自己形成光導波路11の形態の成形が実現可能となるのは言うまでもない。
本実施例によれば誘電体多層膜波長フィルタ2の面への入射光ビーム径の拡大は伴わないため、フィルタ透過波長特性中の透過幅特性設計値からの予測困難な偏差が考えられ、帯域幅、中心波長特性の向上は望めないものの、反射光出力ポートならびに透過光出力ポートのそれぞれに伝搬するビームとの結合効率の向上を図ることができる。
[第5実施例]
図9-1乃至図9-7は第5実施例を説明する図であって、4チャネル波長分割多重光回路の概要及びその製作工程を示す。これらの図中、図9-1は4チャネル波長分割多重光回路の動作を説明する図、図9-2乃至図9-7はその製作工程を説明する図である。図9-2乃至図9-7中、製作工程として工程順序をI→II→IIIと示している。また、レンズ形成基本工程には2形態があり、第1、第2、第4実施例に相当するA型と第3実施例に相当するB型に区分できる。
さらに、第II工程以下、使用するフィルタの透過波長特性により形成光照射方法が2種類あるため、2タイプに分けて工程を別々に記載する。すなわち、搭載する誘電体多層膜波長フィルタ2が形成光についても透過する場合の工程をI型、形成光を反射する場合の工程についてはII型と本文中では区分することとした。
従って、工程標記方法として
<(工程順序:I、II、III)−(レンズ形成基本工程種別:A、B)−(フィルタ種別:I型、II型=1、2)>
とした。
例えばII工程で第1、第2、及び第4実施例で示したレンズ状媒質を製作する場合で、かつ誘電体多層膜波長フィルタ2が形成光を透過する場合には、<II−A−1>と標記する。
次に、これら製作工程図中の光ポートの名称を下記標記法に従い本文中ならびに図中に表示した。
1−a:λ1〜λ4までの多重化波長信号の入力光ポート
(1−b1、λ1):波長λ1の透過光出力ポート
(1−b2、λ1):波長λ1以外の反射光出力ポート
もしくは(1−a、λ2):波長λ2の透過用フィルタ部への入力光ポート
(1−c、λ1):波長λ1の透過型フィルタ設置部の予備ポート
(1−b1、λ2):波長λ2の透過光出力ポート
(1−b2、λ2):波長λ2以外の反射光出力ポート
もしくは(1−a、λ3)(ただし、本光回路構成では反射光ポートは次段フィルタ部への入射光ポートとなりうるため、当該標記法に従えば2種類の標記をとりうるが、本実施例説明文中では混乱を避けるため反射光ポート側番号で標記統一した。):波長λ3の透過光フィルタ部への入力光ポート
(1−c、λ2):波長λ2の透過型フィルタ設置部の予備ポート
(1−b1、λ3):波長λ3の透過光出力ポート
(1−b2、λ3):波長λ3以外の反射光出力ポート
もしくは(1−a、λ4)(ただし、本光回路構成では反射光ポートは次段フィルタ部への入射光ポートとなりうるため、当該標記法に従えば2種類の標記をとりうるが、本実施例説明文中では混乱を避けるため反射光ポート側番号で標記統一した。):波長λ4の透過光出力ポート(ただし、波長λ4の透過型波長フィルタは図中には存在しないので本標記は実効無意味。)
(1−c、λ3):波長λ3の透過型フィルタ設置部の予備ポート
また、本図中の誘電体多層膜波長フィルタ2については
2−1:波長λ1の透過型波長フィルタ
2−2:波長λ2の透過型波長フィルタ
2−3:波長λ3の透過型波長フィルタ
から構成される。
以上の標記に従い、以下本発明に係る第5実施例を説明する。まず、 図9-1を用いて入力光ポート1−aから伝搬してきた4波長λ1、λ2、λ3、λ4からなる多重化した信号光を分離する光回路の動作を説明する。同図に示すように、入力光ポート1−aの光導波路を伝搬してきた4波長多重信号はまず、フィルタ2−1にて波長λ1が信号透過し、透過光出力ポート(1−b1、λ1)と光結合することになる。λ1以外の波長信号光はフィルタ2−1にて反射されて反射光出力ポート(1−b2、λ1)に光結合する。その後、本光導波路伝搬後にフィルタ2−2に入射し、波長λ2の信号光のみ透過し透過光出力ポート(1−b1、λ2)と光結合することになる。一方、それ以外の波長λ3とλ4の光信号は反射光出力ポート(1−b2、λ2)と光結合することになる。同様に、本光導波路伝搬後、フィルタ2−3に入射し波長λ3は透過光出力ポート(1−b1、λ3)に光結合を行う。また、波長λ4の反射光については反射光出力ポート(1−b2、λ3)に光結合する。
以上の過程を経て4波長λ1〜λ4は各4ポートに信号分配されることになる。
第1、第2、第4の実施例で説明を行ったレンズ状媒質を各フィルタ挿入溝部で順次製作する工程を図9-2<I−A>、図9-3<II−A−1>、図9-4<II−A−2>、図9-5<III −A−1>及び図9-6<III −A−2>を用いて述べる。これらの図に示す光回路を構成する部品として第1乃至第3形成用光源(例えばUV光源、アルゴンレーザ:波長λ=488nm、グリーンレーザ:波長λ=532nm 等)7−1、7−2、7−3、光導波路1(光導波路各ポート標記は前述)、波長λ1の透過型の誘電体多層膜波長フィルタ2−1、波長λ1の透過型フィルタ搭載部の光硬化性樹脂材料充填領域13−1、形成光導入端子(タイプ1及びタイプ2)6−1,6−2、光分岐回路8、可変遅延光回路9、光ファイバ10、波長λ2の透過型の誘電体多層膜波長フィルタ2−2、波長λ3の透過型の誘電体多層膜波長フィルタ2−3、波長λ2の透過型フィルタ搭載部の光硬化性樹脂材料充填領域13−2、波長λ3の透過型フィルタ搭載部の光硬化性樹脂材料充填領域13−3から構成される。
以下、図9-2に示す<I−A>工程から順に説明する。同図に示すように、第1乃至第4実施例で述べたレンズ状媒質の実現にあたっては、波長λ1の透過光出力ポート(1−b1、λ1)、波長λ1〜λ4の波長多重光の入力光ポート1−a、波長λ1以外の信号光の反射光出力ポート(1−b2、λ1)から形成光を入射して、各ポートにてレンズ状媒質もしくは自己形成光導波路を光導波路端に形成する。まず、誘電体多層膜波長フィルタ2−1を該当溝中へ設置前に、反射光出力ポート(1−b2、λ1)に形成光を導入するために、誘電体多層膜波長フィルタ2−2の搭載溝に形成光導入端子6−1又は6−2を設置する。すなわち形成光導入端子として、光ファイバ6−1−aとフィルム形態の光導波路6−1−bを光接続し、光導波路端部に45度斜めカットを施したものを用いて形成光を導入した。また、ファイバに斜め研磨を施した斜め研磨ファイバ6−2も試みた。これら手法により形成光を導入・照射して、誘電体多層膜波長フィルタ2−1の搭載溝部での形成光照射光強度を測定して、第1乃至第3の形成用光源7−1乃至7−3との照射光強度とのバランスを調整した。その後溝内に誘電体多層膜波長フィルタ2−1の搭載及び光硬化性樹脂材料の充填を行い、照射光強度バランスを考慮して光硬化性樹脂材料内に形成光を照射し、各実施例に応じたレンズ状媒質を各光ポートにて形成した。なお、第2実施例で述べたレンズ状媒質構成形成時には前述の形成光入力ポートをすべて使用せず、透過光出力ポート(1−b1、λ1)からの形成光入力を取り止め、照射光量を増加することで実現できるのは言うまでもない。
次に、第<II>工程について順次説明を行う。まず、フィルタ種別のI型に関する工程を述べる。波長λ2の透過型の波長フィルタ部のレンズ状媒質形成時には、図9-3の工程<II−A−1>に示すように予備ポート(1−c、λ1)と反射光出力ポート(1−b2、λ2)を経て形成光(1)の入力を行う。これにより誘電体多層膜波長フィルタ2−1を経て誘電体多層膜波長フィルタ2−2の搭載溝中へ形成光(1)を導入する。これについても前述の<I>工程の説明通り、光硬化性樹脂材料を誘電体多層膜波長フィルタ2−2の搭載溝内に充填前に照射光強度測定・調整を行う。他の透過光出力ポート(1−b1、λ2)及び反射光出力ポート(1−b2、λ2)の2ポートにもそれぞれ形成光(2)、(3)を第<I>工程と同様手法により光入力を行いレンズ状媒質又は光導波路を誘電体多層膜波長フィルタ2−2の搭載溝内で形成する。
続いて図9-4に示すフィルタ種別のII型に関する工程<II−A−2>について述べる。形成光(1)が誘電体多層膜波長フィルタ2−1において反射する場合は形成光(1)を多重信号光(波長λ1〜λ)の入力光ポート1−aから入射して誘電体多層膜波長フィルタ2−1で反射させた後、誘電体多層膜波長フィルタ2−2の搭載部へと導入する。他の形成光についてはI型と同様の手法で溝内に形成光(2)、(3)の導入・照射を行う。
工程<III −A−1>及び工程<III −A−2>について図9-5及び図9-6を用いて説明する。図9-5に示す工程<III −A−1>の場合には、形成光(2)の予備ポート(1−c、λ2)から入射させ、誘電体多層膜波長フィルタ2−2、反射光出力ポート(1−b2、λ2)を経て誘電体多層膜波長フィルタ2−3の搭載溝内へ形成光(2)を導入する。他の2ポートである透過光出力ポート(1−b1、λ3)及び反射光出力ポート(1−b2、λ3)への形成光の入力については形成光(1)は誘電体多層膜波長フィルタ2−3の透過光出力ポート(1−b1、λ3)から入力する。一方、形成光(3)については反射光出力ポート(1−b2、λ3)から導入して、溝内の光硬化性樹脂材料に照射を行う。この場合の形成光の導入に際して光硬化性樹脂材料を誘電体多層膜波長フィルタ2−3の搭載溝に注入前に照射光強度測定・調整を行う必要があるのはいうまでもない。
次に、図9-6に基づき工程<III −A−2>について述べる。本工程については誘電体多層膜波長フィルタ2−1、2−2が形成光を反射する場合であるため形成光(1)を入力光ポート1−aから入射して誘電体多層膜波長フィルタ2−1、2−2で反射させた後に誘電体多層膜波長フィルタ2−3の搭載溝内に導入する。他の形成光(2)、(3)については前述の工程<III−A−1>と同様である。
次に、第3実施例で述べたレンズ状媒質の具体的形成工程(レンズ形成基本工程B型)について図9-7に基づく工程<I−B>として説明する。
第3実施例におけるレンズ状媒質形成工程は入力光ポート1−aからの形成光(1)、反射光出力ポート(1−b2、λ1)からの形成光(1)′、透過光出力ポート(1−b1、λ1)からの形成光(1)″とで位相関係を保ってレンズ状媒質を形成する工程となる。そのため、同一の形成用光源7−1から光分岐回路8で3ポートに光分岐を行った後、それぞれの光路において可変遅延光回路9を用いて各々の光路(図中形成光(1)、形成光(1)′と形成光(1)″)で位相が合うように調整を行う。調整過程は誘電体多層膜波長フィルタ2の溝中設置前にフィルタ設置同一位置において受光素子を仮設置した後(図示せず)、全光路から出射される形成光同士が干渉した結果、最大光強度が検出できるように、可変遅延光回路9を調整して行う。次に、受光素子に変えて誘電体多層膜波長フィルタ2−1を溝内搭載し光硬化性樹脂材料の注入充填を行い、前述の設定遅延量でもって光導波路溝端から光硬化性樹脂材料に形成光照射を行い、三つの光ポートである透過光出力ポート(1−b1、λ1)、反射光出力ポート(1−b2、λ1)、入力光ポート(1−a、λ1)の端面のそれぞれ及びフィルタ搭載面にレンズが形成できることになる。
また工程においても第1、第2、第4実施例によるレンズ状媒質形成工程と同様に工程<II−A−1>、<III −A−1>、<II−A−2>、<III −A−2>と同様の工程種別を経ることで実現を行うため、本基本工程Bによる次後工程の説明については省略する。
以上4チャネル波長分割多重光回路を例に製作工程を述べたが、チャネル規模等は本実施例に限定されるものではないのは明らかである。
[第6実施例]
図10は第6の実施例を説明する図であって、同図(a)は本実施例によるフィルタ固定法とフィルタ−光導波路間の構成に係る菱形構造溝の上面図、同図(b)はそのa−a′線断面を示す断面図、同図(c)は図(a)のA部の詳細を示す基板カット型の上面図、同図(d)は光導波路伝搬方向垂直カット型の上面図である。同図中、1−aは入力光ポート、1−b1は透過光出力ポート、1−b2は反射光出力ポート、1−cは予備ポート、2は誘電体多層膜波長フィルタ、13は光硬化性樹脂材料充填領域、3−4は菱形溝、3−5はフィルタ溝である。ここで、図(d)に示す端面とiii-iii' は一致している。また、図11は図10(c)、(d)に示す溝付近の光導波路コア端面形状の相違によって得られる自己形成レンズ構造の相違について説明する図であって、同図(a) は溝端面が光導波路伝搬方向に対して斜めに切断された場合(図10(c)に示す基板カット型)に得られる自己形成レンズを、同図(b)は溝端面が光導波路伝搬方向に対して垂直方向に切断された場合(図10(d)に示す光導波路端面カット型)に得られる自己形成レンズを示している。なお、図11中、符号(111,116)、(112,117)、(113,118)、(114,119)は屈折率差Δnが0.002、0.004、0.006、0.008の場合についてそれぞれ示している。
以下図面を用いて第6の実施例を説明する。従来例として図13に示したフィルタ挿入形波長分割多重光回路においては、挿入溝はダイシングソーなどによって直線溝形態に形成される。このためフィルタの溝挿入時にフィルタの横方向位置が精度よく定まらず、かつフィルタの倒れが生じて光導波路との位置関係を正確に決定することが困難であった。そこで、図10に示すように、反応性イオンエッチング法によって菱形構造に溝形成することによって、光導波路と対向し、かつその対角位置に誘電体多層膜波長フィルタ2を挿入することによって、誘電体多層膜波長フィルタ2の横倒れの防止が可能となるとともに、位置決定が正確にできるようになった。なお、誘電体多層膜波長フィルタ2の仮固定については菱形溝底面に設けたフィルタ溝3−5によって実現した。
次に光導波路の菱形溝端面における光導波路コア端面形状の違いによるレンズ形状への影響について述べる。図10(c)、(d)は光導波路伝搬方向と溝端面との位置関係を示したものであって、同図に示すように、基板カット型(a)と光導波路伝搬方向垂直カット型(d)とで形成光の伝搬の様子が異なる。図中には光導波路を伝搬する波面を<i−i′>→<ii−ii′>→<iii − iii′>として二重線で示している。図10(c)に示す基板カット型では光導波路1−aのwg−a〜wg−b辺とwg−a′〜wg−b′辺とで見た場合、光硬化性樹脂材料中に先に伝搬する波面(同図中iii − iii′)が両辺で位相差が生じることがわかる。一方、図10(d)に示す光導波路伝搬方向垂直カット型では光導波路1−aから光硬化性樹脂材料中に伝搬開始する際、wg−a〜wg−b辺とwg−a′〜wg−b′辺とで見た場合、波面(同図中iii−iii′)が光導波路端面で一致し、両辺で見た場合に位相差が生じず、対称性が高くかつ、指向性の良いレンズ形態が実現できると予想できる。
図11はこれら光導波路コア端面形状の違いによるレンズ状媒質形態の差異を解析によって示したものである。基板カット型の光導波路形態ではwg−b部(図10(c)参照。)から形成光の照射が開始される影響から、基板カット型(図10(c)参照。)と光導波路伝搬方向垂直カット型(図10(d)参照。)とで比較すると基板カット型の方がwg−b側の膨らみが大きくなっており、ビーム伝搬方向に対する対称性ならびに指向性が光導波路伝搬方向垂直カット型と比べて悪いことが分かる。従って、光導波路伝搬方向に対して垂直な面に溝端面を形成することによって、指向性が高くかつ対称性のよい光ビームが得られることになる。
また、図12には図10で述べた菱形溝構造にさらに機能付与した構成を述べたものである。本実施例の説明で述べてきたように、菱形溝構造を実現することによってフィルタの倒れ防止が可能であったり、さらに菱形溝を構成する辺角度(図中θ)を調整することによって光導波路のコア部に形成するレンズ構造を対称性よく作りこむことができることを示してきた。しかしながら、菱形構造溝を構成する辺を延長するだけでは、菱形溝構造のフィルタ挿入対角線部において把持可能なフィルタサイズでフィルタを挿入することが困難な場合が発生した。図中のフィルタの幅が図中の幅wに比べて大きいためである。
一方、十分な菱形対角線長(図中L)を設けた場合には光導波路端からフィルタ面までの距離も長くなり、自己形成レンズもしくは自己形成光導波路による光結合系設計が困難な状況が発生した。そこで図12に示すように、菱形溝構造部の対角線部にフィルタとほぼ同一サイズの矩形溝3−6を反応性イオンエッチングにより製作をおこない、図10で述べた菱形溝構造でのフィルタサイズ制限を十分回避することが可能となった。
以上、誘電体多層膜波長フィルタを対象にこれまでの実施例を述べてきたが、当然のことながら本発明は誘電体多層膜波長フィルタのみに制約されるものではなく、誘電体多層膜ミラー、金属ミラー、磁性薄膜、波長板フィルタ等他の光学薄膜部品にも応用できるのは言うまでもない。
本発明はユビキタス通信をはじめとする情報通信処理装置用光部品類光結合技術・光導波回路構成技術に適用して有用なものである。
光硬化性樹脂材料の屈折率変化の照射光量依存性を示す特性図である。 本発明の実施例に共通(原理説明)の導波路端部球形レンズの形成結果と信号光の伝搬の様子を示す図で、(a)はその構成及び解析座標を示す説明図、(b)はそのレンズ状媒質の屈折率分布を示す特性図、(c)は前記レンズ状媒質の屈折率分布における信号光伝搬特性を示す特性図である。 第1実施例に係る光回路を示す図で、(a)はその構成及び解析座標を示す説明図、(b)はそのレンズ状媒質の屈折率分布を示す特性図である。 第1実施例に係る光回路の屈折率分布とその信号光伝搬の様子を示す特性図で、(a) は形成された導波路端レンズの屈折率分布特性を、(b)は信号光のレンズ状媒質中の伝搬解析特性を、(c) は信号光伝搬の位相分布解析特性をそれぞれ示している。 第2実施例に係る光回路を示す図で、(a)はその構成及び解析座標を示す説明図、(b)はそのレンズ状媒質の屈折率分布を示す特性図である。 第2実施例に係る光回路のレンズ形態でのビーム伝搬解析結果を示す特性図で、同図(a)、(b)には入射側信号光伝搬解析特性を、同図(c)、(d)には誘電体多層膜波長フィルタ2によって反射された信号光ビームの伝搬特性をそれぞれ示した。 第3実施例に係る光回路を示す図で、(a)はその構成及び解析座標を示す説明図、(b)はそのレンズ状媒質の屈折率分布を示す特性図である。 第4実施例に係る光回路を示す図で、(a)はその構成及び解析座標を示す説明図、(b)はその光導波路の屈折率分布を示す特性図である。 第5実施例に係る光回路を示す図で、4チャンネル波長分割多重光回路の構造を示す説明図である。 第5実施例に係る光回路の製造工程を示す図で、工程パターンI−Aを示す説明図である。 第5実施例に係る光回路の製造工程を示す図で、工程パターンII−A−1を示す説明図である。 第5実施例に係る光回路の製造工程を示す図で、工程パターンII−A−2を示す説明図である。 第5実施例に係る光回路の製造工程を示す図で、工程パターンIII−A−1を示す説明図である。 第5実施例に係る光回路の製造工程を示す図で、工程パターンIII−A−2を示す説明図である。 第5実施例に係る光回路の製造工程を示す図で、工程パターンI−Bを示す説明図である。 第6実施例を説明する図であって、同図(a)は本実施例によるフィルタ固定法とフィルタ−光導波路間の構成に係る菱形構造溝の上面図、同図(b)はそのa−a′線断面を示す断面図、同図(c)は(a)のA部の詳細を示す基板カット型の上面図、同図(d)は光導波路伝搬方向垂直カット型の上面図である。 第6実施例の解析結果を示す図で、図(a)が図10(c)に、図(b)が図10(d)にそれぞれ対応した屈折率分布を示す特性図である。 上記菱形構造溝の他の例を示す上面図、(b)はそのa−a‘線断面図である。 従来技術に係る波長分割多重光回路の構成を示す斜視図である。 図13に示す波長分割多重光回路の上面図である。 図13に示す波長分割多重光回路の解析結果を示す特性図で、(a)は光硬化性樹脂材料屈折率分布特性、(b)は信号光の伝搬解析特性、(c)は信号光の伝搬解析位相分布特性をそれぞれ示している。
符号の説明
1 光導波路
1−a 入力光ポート
1−b1 透過光出力ポート
1−b2 反射光出力ポート
1−c 予備ポート
2、2−1、2−2、2−3 誘電体多層膜波長フィルタ
3−4 菱形溝
3−5 フィルタ溝
3−6 矩形溝
4 光導波路基板
4−1 入力・反射光ポート側
4−2 透過光ポート側
5、5−a、5−b、5−c レンズ状媒質
6 形成光導入端子
6−1 導波路型形成光導入端子
6−1−a 光ファイバ
6−1−b 光導波路
6−2 斜め研磨光ファイバ
7−1、7−2、7−3 形成用光源
8 光分岐回路
9 遅延光回路
10 光ファイバ
11 自己形成光導波路
13、13−1、13−2、13−3 光硬化性樹脂材料充填領域

Claims (12)

  1. 光導波路基板中に設けた1つ以上の菱形溝と、
    前記菱形溝の対角位置に挿入するとともに前記菱形溝中に充填する光硬化性樹脂材料で位置決め固定される光学薄膜と、
    前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を光導波路を介して前記光硬化性樹脂材料に伝搬・放射させることで前記菱形溝の内面に面した前記光導波路のコア部端部、又は前記菱形溝に設置した前記光学薄膜の面の近傍に形成したレンズ構造とを有することを特徴とする光回路。
  2. 光導波路基板中に設けた1つ以上の菱形溝と、
    前記菱形溝の対角位置に挿入するとともに前記菱形溝中に充填する光硬化性樹脂材料で位置決め固定される誘電体多層膜波長フィルタと、
    前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を光導波路を介して前記光硬化性樹脂材料に伝搬・放射させることで前記菱形溝の内面に面した前記光導波路のコア部端部、または前記菱形溝に設置した前記誘電体多層膜波長フィルタの面の近傍に形成したレンズ構造とを有することを特徴とする光回路。
  3. 光導波路基板中に設けた1つ以上の菱形溝と、
    前記菱形溝の対角位置に挿入するとともに前記菱形溝中に充填する光硬化性樹脂材料で位置決め固定される光学薄膜と、
    前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を前記光導波路を介して前記光硬化性樹脂材料に二回以上伝搬・放射させることで前記菱形溝の内面に面した前記光導波路のコア部より前記光学薄膜又はその近傍部分まで形成した光導波路コア構造とを有することを有することを特徴とする光回路。
  4. 光導波路基板中に設けた1つ以上の菱形溝と、
    前記菱形溝の対角位置に挿入するとともに前記菱形溝中に充填する光硬化性樹脂材料で位置決め固定される誘電体多層膜波長フィルタと、
    前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を前記光導波路を介して前記光硬化性樹脂材料に伝搬・照射させることで前記菱形溝の内面に面した前記光導波路のコア部より前記誘電体多層膜波長フィルタ又はその近傍部分まで形成した光導波路コア構造とを有することを特徴とする光回路。
  5. 光導波路基板中に設けた1つ以上の溝中に光学薄膜を挿入して形成する光回路の製造方法において、
    前記溝として、菱形溝を形成し、
    前記光学薄膜を前記菱形溝の対角位置に挿入して位置決めし、
    前記菱形溝を光硬化性樹脂材料によって充填し、
    前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を光導波路より前記菱形溝内へ、1回伝搬・放射させることで、前記菱形溝の内面に面した前記光導波路のコア部端部、又は前記菱形溝に設置した前記光学薄膜の面の近傍においてレンズ構造を形成し、
    その後前記レンズ構造形成部を除いた部分の光硬化性樹脂材料の重合が可能な強度の光照射、他の波長光による照射、又は熱処理工程を前記光硬化性樹脂材料全体に行うことによって、該光硬化性樹脂材料を全体的に固化し、前記菱形溝に挿入された光学薄膜と前記光導波路とを光学的に位置決め固定することを特徴とする光回路の製造方法。
  6. 光導波路基板中に設けた1つ以上の溝中に誘電体多層膜波長フィルタを挿入して形成する光回路の製造方法において、
    前記溝として、菱形溝を形成し、
    前記誘電体多層膜波長フィルタを前記菱形溝の対角位置に挿入して位置決めし、
    前記菱形溝を光硬化性樹脂材料によって充填し、
    前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を光導波路より前記菱形溝内へ、1回伝搬・放射させることで、前記菱形溝の内面に面した前記光導波路のコア部端部、又は前記菱形溝に設置した前記誘電体多層膜波長フィルタの面の近傍においてレンズ構造を形成し、
    その後前記レンズ構造形成部を除いた部分の光硬化性樹脂材料の重合が可能な強度の光照射、他の波長光による照射、又は熱処理工程を前記光硬化性樹脂材料全体に行うことによって、該光硬化性樹脂材料を全体的に固化し、前記菱形溝に挿入された誘電体多層膜波長フィルタと前記光導波路とを光学的に位置決め固定することを特徴とする光回路の製造方法。
  7. 光導波路基板中に設けた1つ以上の溝中に光学薄膜を挿入して形成する光回路の製造方法において、
    前記溝として、菱形溝を形成し、
    前記光学薄膜を前記菱形溝の対角位置に挿入して位置決めし、
    前記菱形溝を光硬化性樹脂材料によって充填し、
    前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を光導波路より前記菱形溝内へ、2回以上伝搬・放射させることで、前記菱形溝の内側面に面した前記光導波路のコア部端部から前記光学薄膜又はその近傍まで光導波路コア構造を形成し、
    その後前記光導波路コア構造形成部を除いた部分の光硬化性樹脂材料の重合が可能な強度の光照射、他の波長光による照射、又は熱処理工程を前記光硬化性樹脂材料全体に行うことによって、該光硬化性樹脂材料を全体的に固化し、前記菱形溝に挿入された光学薄膜と前記光導波路とを光学的に位置決め固定することを特徴とする光回路の製造方法。
  8. 光導波路基板中に設けた1つ以上の溝中に誘電体多層膜波長フィルタを挿入して形成する光回路の製造方法において、
    前記溝として、菱形溝を形成し、
    前記誘電体多層膜波長フィルタを前記菱形溝の対角位置に挿入して位置決めし、
    前記菱形溝を光硬化性樹脂材料によって充填し、
    前記光硬化性樹脂材料に屈折率変化を与える波長を持つ形成光を光導波路より前記菱形溝内へ、2回以上伝搬・放射させることで、前記菱形溝の内側面に面した前記光導波路のコア部端部から前記誘電体多層膜波長フィルタ又はその近傍まで光導波路コア構造を形成し、
    その後前記光導波路コア構造形成部を除いた部分の光硬化性樹脂材料の重合が可能な強度の光照射、他の波長光による照射、又は熱処理工程を前記光硬化性樹脂材料全体に行うことによって、該光硬化性樹脂材料を全体的に固化し、前記菱形溝に挿入された誘電体多層膜波長フィルタと前記光導波路とを光学的に位置決め固定することを特徴とする光回路の製造方法。
  9. 請求項5乃至請求項8の何れか一つに記載する光回路の製造方法において、
    前記光硬化性樹脂材料が充填された前記菱形溝に形成光を導入するために、前記光硬化性樹脂材料が充填された前記菱形溝と前記光導波路により接続された光硬化性樹脂材料を充填前の菱形溝に、45度付近の角度で斜め加工されたフィルム形光導波回路又は45度付近の角度で斜め加工された光ファイバを挿入して形成光を前記菱形溝に導入・照射することを特徴とする光回路の製造方法。
  10. 請求項5又は請求項6に記載する光回路の製造方法において、
    前記光硬化性樹脂材料を充填した前記菱形溝中へレンズ構造を形成するにあたり、前記光導波路基板のうち少なくとも2ポート以上の光導波路を用いてコヒーレントな形成光の導入を図り、該複数ポートからの形成光を相互位相干渉させることによって、前記光硬化性樹脂材料で充填した前記菱形溝中の任意位置にレンズ構造を形成することを特徴とする光回路の製造方法。
  11. 請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載する光回路において、
    前記菱形溝の溝端面を、対応する光導波路の伝搬方向に対して垂直に形成したことを特徴とする光回路。
  12. 請求項1、2、3、4、11の何れか一つに記載する光回路において、
    前記菱形溝の対角線部に、当該対角線部より幅が広い矩形溝を設け、当該矩形溝に前記光学薄膜又は前記誘電体多層膜波長フィルタを挿入して固定したことを特徴とする光回路。
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