JP2004138785A - 光合分波回路 - Google Patents

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Tetsushi Shoji
荘司 哲史
Koji Yamada
山田 浩治
Yasushi Tsuchizawa
土澤 泰
Toshibumi Watanabe
渡辺 俊文
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Abstract

【課題】超小型、且つ偏波面無依存の低損失光合分波回路を提供する。
【解決手段】基板15に積層された石英よりなるアンダークラッド16と、該アンダークラッド16に積層され断面が矩形であるコアと、該コアに積層されたオーバークラッド17とを含む、入力光導波路11と出力光導波路13、14とMMI導波路12とを有する光合分波回路において、前記コアは半導体とし、前記オーバークラッド17は石英と等しい屈折率を持つ物質とする。
【選択図】      図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路を伝わる光波を低損失で合波、または、分波する超小型の光合分波回路の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平面光導波路において、光スイッチまたは複数の導波路からの光波を、1本または複数の導波路や光ファイバに結合させるために、光合分波回路が利用されてきた。この光合分波回路として、方向性結合器、または、Y型合分波器、強結合型方向性結合器等がこれまで利用されてきた。これらの光合分波回路は、動作原理として、光導波路の基本モード(対称モード)と一次モード(反対称モード)との干渉効果を用いている。そのために、デバイス特性が、デバイス構造・材質・寸法に大きく依存するが、制作上、所望の構造等を実現することが困難であるため、導波光の過剰損失が大きい等の問題があった。
【0003】
これに対して、光合分波回路としてさらに、高次モードが伝搬可能な多モード導波路を用い、導波路内の各モード間の干渉を利用して光波の合分波機能を持たせた多モード干渉導波路(以下、MMI(Multi− Mode Interferometer)と記す。)がある。このMMI光合分波回路は、光の損失が少ない、及び制作が容易という特性を有することから、最近広く用いられるようになった。
【0004】
半導体を用いた従来の2×2MMI光合分波回路の基本構成を図1の斜視図及び図2の上面図に示す。これらの図面中、1はシリコン基板、2はコア、3は入力光導波路、4は出力光導波路、5はMMI導波路、6はアンダークラッド、7はオーバークラッドを示している。本構成の場合、導波路はハイメサ構造をとっているが、この他に、導波路側面を保護するために、誘電体膜で全体を覆うような構成にするか、またはエピタキシャル成長法によって、導波路側面をシリコン基板またはクラッド層により埋め込むように構成することができる。ここで、入力光導波路3、出力光導波路4は、MMI導波路5にハイブリッド集積、または少なくともシリコン基板1を共用してモノシリック集積して接続する光スイッチ等の機能デバイス導波路の導波光と同じ大きさのスポットサイズ(半径)を与える構造をとる。例えば、波長1.55μm帯の半導体MMIの場合、通常、シリコン基板1とクラッド6、7にはInPが、コア2にはInGaAsP、またはモノシリック集積される半導体機能デバイス導波路の導波路材料・構造が用いられる。
【0005】
上記半導体デバイス導波路の導波光のスポットサイズは、通常、0.1μm〜2μm程度であるため、入力光導波路幅wi、出力光導波路幅woはそれぞれ、0.5μm〜3μm、MMI導波路幅(wg)は5〜20μm、コア厚(tg)は0.1〜1μm程度となる。MMIの損失・クロストークを低減し、また、MMI導波路5の導波路長Lを短くするために、図1及び図2に示す2×2構成の場合、入力光導波路3、出力光導波路4の各位置は、d1=d2=d3=wg/3の関係で設定される。
【0006】
このようなMMIを用いた合分波回路は、方向性結合器を用いた合分波回路と比較して、デバイス制作時において、導波路の寸法や屈折率の偏差による特性のばらつきが小さく、特にクロストークの劣化が小さいことが明らかになり、近年多くの半導体デバイスに使用されるようになった(例えば、特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−160951号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の半導体系材料の光導波路は、上下方向の閉じ込め構造と左右方向の閉じ込め構造が非対称であるハイメサ構造であるため、偏波面依存性が強くなるという問題があった。
【0009】
また、従来の構成では、特に上下方向の閉じ込めでは、コアとクラッドとの屈折率差が10%程度以下であるため、導波光スポットサイズが波長程度の大きさになる。したがって、MMIの低損失性、低クロストーク性の制約から、MMI導波路幅wgを大きくする必要性が生じる。しかし、最適なMMIデバイス長Lは、原理的にコア幅wgに対して、L≒C・wg(C:定数)の関係が成り立つので、コア幅wgを大きくするにしたがってLが長くなり、MMI光合分波回路の大幅な小型化が難しくなるという問題があった。
【0010】
同様に、入出力光導波路の分岐数がM×Nの従来の光合分波回路では、デバイス制作時の導波路加工またはクロストーク等の制約から、入力光導波路幅wi、出力光導波路幅wo、導波路間隔dを無制限に小さくできない。したがって、分岐数M、Nが多くなるほど、MMI導波路幅wgを大きくする必要が生じ、これに伴ってデバイス長Lも長くなるという問題があった。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、超小型、且つ偏波面無依存の低損失光合分波回路を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1では、基板に積層された石英よりなるアンダークラッドと、該アンダークラッドに積層され断面が矩形のコアと、該コアに積層されたオーバークラッドとを含む、入力光導波路と出力光導波路と多モード干渉導波路とを有する光合分波回路において、前記コアは半導体からなり、前記オーバークラッドは石英と等しい屈折率を持つ物質からなることを特徴とする光合分波回路をもって解決手段とする。
【0013】
請求項2では、前記入力光導波路のコアの入力部及び前記出力光導波路のコアの出力部を除く全ての面が、前記オーバークラッドの物質により囲まれていることを特徴とする請求項1記載の光合分波回路をもって解決手段とする。
【0014】
請求項3では、前記コアはシリコンからなることを特徴とする請求項1または2何れか1項記載の光合分波回路をもって解決手段とする。
【0015】
請求項4では、前記コアの厚みが0.3μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の光合分波回路をもって解決手段とする。
【0016】
請求項5では、前記入力光導波路と出力光導波路のコアの厚みは、前記多モード干渉導波路のコアの厚みと等しいことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の光合分波回路をもって解決手段とする。
【0017】
上記構成により、超小型、且つ偏波面無依存の低損失光合分波回路を実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図3乃至図7は、本発明の一実施形態である導波光が1.55μm帯の1×2MMI光合分波回路を示している。図3は上面図、図4は側面図、図5乃至図7は導波路各部の断面図である。図中の矢印は、入出力光の進む方向を示している。このMMI光合分波回路は二分岐回路として動作するが、矢印の逆方向へ光を入出力させることにより、光合波回路として動作させることもできる。
【0020】
図3及び図4において、11は矩形断面のシリコンをコアとする完全埋め込み型の入力光導波路、12はスラブ状のシリコンによりなる矩形断面のコアを持つMMI導波路、13及び14は矩形断面のシリコンをコアとする完全埋め込み型の出力光導波路、15はシリコン基板、16は石英よりなるアンダークラッド、17はポリマーよりなるオーバークラッドである。ポリマー素材としては、石英と等しい屈折率であればよく、エポキシ樹脂やポリイミド、シリコーン等が使用される。屈折率は完全に同じでなくとも、もともとSiと石英の屈折率差が大きいので、数%程度の違いは誤差の範囲として許容される。wi1は入力光導波路幅、wi2は出力光導波路幅、wg1はMMI導波路幅を表している。また、d21は出力光導波路間の長さ、t1はコアの厚みを表している。入力光導波路11のコアの入力部及び出力光導波路13、14のコアの出力部を除く全ての面はポリマーよりなるオーバークラッド17に埋め込まれた状態である。
【0021】
図5は、入力光導波路11の断面図であって、石英よりなるアンダークラッド16上に積層されたシリコンよりなるコア50が、石英と同じ屈折率を有するポリマーよりなるオーバークラッド17に埋め込まれた構造となっている。wi1はコア50の幅、t1はその厚みである。
【0022】
図6は、MMI導波路12の断面図であって、石英よりなるアンダークラッド16上に積層されたシリコンよりなるコア60が、石英と同じ屈折率を有するポリマーよりなるオーバークラッド17に埋め込まれた構造となっている。wg1はコア60の幅、t2はその厚みである。
【0023】
図7は、出力光導波路13と14の断面図であって、石英よりなるアンダークラッド16上に積層されたシリコンよりなるコア70が、石英と同じ屈折率を有するポリマーよりなるオーバークラッド17に埋め込まれた構造となっている。wi2はコア70の幅、t3はその厚みである。
【0024】
モードソルバーによるシミュレーションによると、アンダークラッドを石英、オーバークラッドを石英と同屈折率のポリマーとし、矩形断面のシリコンをコアとする完全埋め込み型光導波路におけるシングルモード条件は、コアの一辺が0.3μm以下であることが必要である。ここでは、t1=t2=t3=0.3μmとし、また、偏波依存性を少なくするために、幅長と同じくwi1=wi2=0.3μmとする。
【0025】
MMI導波路では、wg1=1.6μm、L1=2.4μm、出力光導波路13及び14が接続される出力ポート間の間隔d21は0.9μmと極めて小さな形状である。
【0026】
これは、シリコンの屈折率が約3.47、石英の屈折率が1.46程度であるため、比屈折率差は約41%程度となり、導波路断面を小さくしても光を閉じ込めることができるためであり、また、入力光導波路11、出力光導波路13及び14のNA(Numerical Aparture)が大きいため、MMI導波路12の中で干渉現象が光軸方向に対してごく短い距離の中で発生するためである。
【0027】
図8に本実施形態に係る二分岐光合分波回路のTE偏波面とTM偏波面のそれぞれに関する過剰損失について、設計波長である1.55μm帯周辺の波長特性をモードソルバーの3次元フルベクトルシミレーションにとり示したものである。
【0028】
図からわかるように、TE偏波、TM偏波ともに、光通信に用いられる1.55μm帯の全域に渡って、過剰損失は0.5dB以下であり、1.4μmから1.7μmにわたる幅広い領域で1dB以下の過剰損失を保っている。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、超小型、且つ偏波無依存の低損失光合分波回路を実現することができる。
【0030】
さらに、LSIの母材として供給されるSOI(Silicon On Insulator)基板を利用することが可能となるとともに、他の材料と比べて微細加工技術の進展しているシリコン加工技術を利用することができるため、微小光学回路を容易に実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体を用いた従来の2×2MMI光合分波回路の基本構成を示す斜視図
【図2】半導体を用いた従来の2×2MMI光合分波回路の基本構成を示す側面図
【図3】本発明の一実施形態に係る1×2MMI光合分波回路の上面図
【図4】本発明の一実施形態に係る1×2MMI光合分波回路の側面図
【図5】本発明の一実施形態に係る1×2MMI光合分波回路の入力光導波路の断面図
【図6】本発明の一実施形態に係る1×2MMI光合分波回路のMMI導波路の断面図
【図7】本発明の一実施形態に係る1×2MMI光合分波回路の出力導導波路の断面図
【図8】本発明の一実施形態に係る二分岐光合分波回路において、導波光の波長に対する、TE偏波面とTM偏波面での過剰損失について示した図
【符号の説明】1、15…シリコン基板、2、50、60、70…コア、3、11…入力光導波路、4、13、14…出力光導波路、5、12…MMI導波路、6、16…アンダークラッド、7、17…オーバークラッド。

Claims (5)

  1. 基板に積層された石英よりなるアンダークラッドと、該アンダークラッドに積層され断面が矩形のコアと、該コアに積層されたオーバークラッドとを含む、入力光導波路と出力光導波路と多モード干渉導波路とを有する光合分波回路において、
    前記コアは半導体からなり、
    前記オーバークラッドは石英と等しい屈折率を持つ物質からなる
    ことを特徴とする光合分波回路。
  2. 前記入力光導波路のコアの入力部及び前記出力光導波路のコアの出力部を除く全ての面が、前記オーバークラッドの物質により囲まれている
    ことを特徴とする請求項1記載の光合分波回路。
  3. 前記コアはシリコンからなる
    ことを特徴とする請求項1または2何れか1項記載の光合分波回路。
  4. 前記コアの厚みが0.3μm以下である
    ことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の光合分波回路。
  5. 前記入力光導波路と出力光導波路のコアの厚みは、前記多モード干渉導波路のコアの厚みと等しい
    ことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の光合分波回路。
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