JP4230167B2 - 自動給餌機 - Google Patents

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    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動給餌機に関し、特に養殖魚に対する給餌作業を自動的に行うようにした自動給餌機に関する。
【0002】
【従来の技術】
養魚場の生け簀では養殖中の魚が計画通りに、しかも健全に育つように所定時間、例えば12時間毎あるいは24時間毎に餌を与えることが行われるが、手作業で給餌作業を行うのは作業者の負担が非常に大きい。
【0003】
これに対し、タイマーによって給餌モータを設定時刻に設定時間だけ作動させ、給餌モータによって給餌機構を駆動して給餌作業を自動的に行うようにした自動給餌機が種々提案されている(例えば、特開平04−304830号公報、実開昭55−128567号公報、実開昭60−171170号公報、実開昭60−145463号公報、実開平03−48460号公報、実開平05−4868号公報、等参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の自動給餌機では給餌機構を駆動する給餌モータに加わる負荷が餌の種類や残量によって変化し、負荷が大きい時には給餌モータの回転数が低下し、逆に負荷が小さい時には回転数が上昇する。また、電源電圧が何らかの原因で変動し、電源電圧が高くなると給餌モータの回転数が上昇し、低くなると回転数が低下していた。
【0005】
その結果、給餌モータの回転が変化すると、給餌機構からの給餌量も変化し、作業者の知らないうちに与えられる餌の過不足が生じ、魚の育成不足や余剰分の餌の腐敗による水質汚濁が発生するおそれがあった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑み、餌の種類や残量、電源電圧の変動に関係なく、安定した量の給餌を行うことができるようにした自動給餌機を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明に係る自動給餌機は、餌を貯蔵する餌タンクと、該餌タンク内の餌を餌吐出口へ輸送する給餌機構と、電圧の印加によって作動されて上記給餌機構を駆動する給餌モータと、該給餌モータに駆動電圧を印加する給餌モータ電源回路と、上記給餌モータの作動を時間的に制御する給餌タイマー手段とを備え、給餌作業を自動的に行うようにした自動給餌機において、上記給餌モータの回転数に関連するパラメータの大きさを検出する回転パラメータ検出手段と、上記検出されたパラメータの大きさから上記給餌モータの回転数を求めるモータ回転数演算手段と、上記演算された回転数が上記給餌モータの設定された目標回転数になるように上記給餌モータの印加電圧を制御する給餌モータ電圧制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の特徴の1つは給餌モータの回転数に関連するパラメータの大きさを検出し、その大きさからモータ回転数を求め、モータ回転数が目標回転数になるように給餌モータの印加電圧を制御するようにした点にある。
【0009】
これにより、給餌モータの負荷が餌の種類や残量に応じて変動してモータ回転数が変化すると、給餌モータの回転数に関連するパラメータの大きさからモータ回転数が求められ、求められたモータ回転数が目標回転数になるように印加電圧が制御される。また、電源電圧が何らかの原因で変動した場合も回転数に関連するパラメータから求められるモータ回転数が目標回転数になるように印加電圧が制御される。
【0010】
その結果、給餌機構からは餌の種類や残量あるいは電源電圧の変動に関係なく、常に一定量の餌が給餌され、作業者の知らないうちに餌の過不足が生じることはないので、魚の育成不足や水質汚濁の発生を確実に防止できる。
【0011】
回転パラメータは給餌モータの回転数に関連するパラメータであれば、例えば餌の残量、餌の重量、電源電圧、その他どのようなパラメータでもよいが、給餌モータの回転数に直接的に関連するパラメータ、具体的にはモータ電流及び印加電圧が好ましい。即ち、回転パラメータ検出手段は、給餌モータのモータ電流を検知する電流センサー手段の信号を受け、給餌モータのモータ電流の大きさを検出する電流検出手段と、給餌モータの印加電圧を検知する電圧センサー手段の信号を受け、給餌モータの印加電圧の大きさを検出する電圧検出手段とから構成されるのが好ましい。
【0012】
本発明に係る自動給餌機では上述のように給餌量を一定に制御できるが、電圧を印加しているにもかかわらず給餌機構が何らかの原因で止まってしまったような場合、そのまま給餌モータに電圧を印加し続けると、給餌モータに過大な負荷が作用し、給餌モータやギヤ系が損傷してしまうおそれがある。
【0013】
そこで、給餌モータ電圧制御手段には電流検出手段で検出されたモータ電流が設定された上限電流を越えないように給餌モータの印加電圧を制御する過負荷制限機能を更に備えるのがよい。これにより、電圧を印加しているにもかかわらず給餌機構が何らかの原因で止まってしまったような場合にも、給餌モータに加わっている負荷が増大すると、給餌モータの印加電圧が低下され、給餌モータの負荷が設定値を越えないように制御できる。
【0014】
また、自動給餌機内で餌が詰まったような場合、そのまま給餌モータを回転させ続けると、給餌モータに過大な負荷が作用し、給餌モータやギヤ系が損傷してしまうおそれがある。
【0015】
そこで、給餌モータ電圧制御手段には、電流検出手段で検出したモータ電流が設定された上限電流に達した時に給餌モータの印加電圧の極性を反転させるモータ逆転機能と、モータ逆転機能の作動時間を制御する逆転タイマー機能とを更に備えるのがよい。これにより、自動給餌機内で餌が詰まった場合には給餌モータへの電圧極性が逆になり、給餌モータが逆回転して餌の詰まりが解消し、所定時間の経過後に給餌モータへの電圧極性が元に戻され、給餌モータが元の通り正常に作動することとなる。
【0016】
給餌モータ電圧制御手段には上述の給餌モータの動作が固まった場合の対処機能と、餌が詰まった場合の対処機能はいずれか一方のみを装備してもよく、両方の機能を装備しておき、選択できるようにしてもよい。
【0017】
本発明では給餌タイマー手段によって給餌モータの作動が時間的に制御され、毎日決められた時刻、例えば12時間毎あるいは24時間毎に給餌を行うことができる。しかし、例えば冬期や魚の病中時には日をあけて給餌を行う必要が生じることがあるが、作業者が遠方に設置された自動給餌機まで出向き、給餌タイマー手段の動作を手作業で再設定するのは作業者には煩わしく、負担が大きい。
【0018】
そこで、給餌タイマー手段は常に毎日作動を許容する毎日タイマー機能の他、1日おきに作動許容及び作動禁止を繰り返す中1日タイマー機能と、1日目作動を許容し次の2日間は作動を禁止するという動作を3日間隔で繰り返す中2日タイマー機能を更に有し、上記常時タイマー機能、中1日タイマー機能及び中2日タイマー機能のいずれかを選択する動作間隔日選択手段を更に備えるのがよい。これにより、給餌タイマー手段の動作を再設定するという煩雑な作業を不要にでき、作業者の負担を大幅に軽減できる。
【0019】
また、自動給餌機によってはその構造あるいは設置場所の状況に起因して餌吐出口から水面までの距離が大きいこともある。かかる自動給餌機によって稚魚に給餌をする場合、小さい稚魚用の餌が風によって飛ばされ、餌が無駄になるおそれがある。そこで、一端が餌吐出口に嵌合され、他端が水面近くで開口する餌輸送パイプを更に設けるのがよい。これにより、小さい稚魚用の餌も風に飛ばされることなく、確実に水面に供給でき、餌の無駄を解消できる。
【0020】
また、給餌を行う場合、餌が水面上の狭い一ヶ所に集中して給餌されると、魚が集まって相互にぶつかり合って魚体が傷つき、商品価値を損なうおそれがある。そこで、餌吐出口から吐出された餌を飛散させる餌飛散機構を更に備えるのが好ましい。これにより、魚が狭いスペース内に集まることはなく、魚体の傷つきによって魚の商品価値が損なわれるのを確実に防止できる。
【0021】
自動給餌機に餌飛散機構を搭載した場合、餌飛散機構に電圧を印加しているにもかかわらず餌飛散機構が何らかの原因で止まってしまったような場合、あるいは餌飛散機構内で餌が詰まったような場合、そのまま飛散モータに電圧を印加し続けると、飛散モータに過大な負荷が作用し、飛散モータやギヤ系が損傷してしまうおそれがある。
【0022】
そこで、餌吐出口から吐出された餌を飛散させる餌飛散機構と、電圧の印加によって作動されて上記餌飛散機構を駆動する飛散モータと、該飛散モータに駆動電圧を印加する飛散モータ電源回路と、上記餌の飛散距離を設定するための飛散距離設定手段と、上記飛散モータのモータ電流を検知する電流センサー手段と、設定された飛散距離となるように上記飛散モータの印加電圧を制御する一方、上記電流センサー手段の信号を受け、上記飛散モータのモータ電流を検出し、モータ電流が設定された上限電流に達した時に上記飛散モータの印加電圧の極性を所定時間の間反転させる飛散距離制御手段と、を更に備えるのが好ましい。
【0023】
これにより、餌飛散機構が何らかの原因で止まってしまったような場合や餌飛散機構内で餌が詰まった場合には飛散モータへの電圧極性が逆になり、飛散モータが逆回転して餌飛散機構の停止原因や餌の詰まりが解消し、所定時間の経過後に飛散モータへの電圧極性が元に戻され、飛散モータが元の通り正常に作動することとなる。勿論、モータ電流が上限を越えないように、飛散モータへの印加電圧を制御するようにすることもできる。
【0024】
また、自動給餌機に餌飛散機構を搭載した場合、餌飛散機構の動作を停止させても、給餌モータの動作停止の遅れに起因して餌飛散機構の停止後に餌吐出口から餌が出ることがある。かかる場合、餌飛散機構内に餌が溜まって固まったり詰まったりするおそれがある。そこで、給餌機構が停止した後、やや時間をおいてから餌飛散機構を停止させる停止遅延手段を更に備えるのが好ましい。これにより、餌飛散機構の停止後に餌吐出口から餌が出ることはなく、餌飛散機構内に餌が固まったり詰まったりするおそれを解消できる。
【0025】
生け簀の大きさが小さい場合、餌飛散機構によって飛散された餌が生け簀の外に飛び出るおそれがある。そこで、餌飛散機構を駆動する飛散モータと、餌の飛散距離を調整するための飛散距離調節器と、飛散距離調節器の信号に応じて飛散モータに印加される電圧を制御する飛散距離制御手段を更に備えるのが好ましい。
【0026】
また、給餌の開始時に生け簀内の魚が給餌されたことに気づかないと、餌が無駄になるおそれがある。また、給餌量が少ない場合、一部の魚が給餌に気づかないと、餌を食べ始めるタイミングに差が生じ、先に食べ始めた魚と後で食べ始めた魚との間で餌の摂取量に差ができ、魚体の大きさに差が生じるおそれがある。
【0027】
そこで、水中に音波を発生する水中音波発生器と、給餌開始時に水中音波発生器を作動させる音波駆動手段とを更に備えるのがよい。これにより、養殖中の全ての魚が給餌されたことを的確に知ることができ、全ての魚がほぼ一定量の餌を摂取することが可能となり、魚体の大きさに差ができるおそれを解消できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図5は本発明に係る自動給餌機の好ましい実施形態を示す。本例の自動給餌機1はその外郭をケーシング2によって構成され、ケーシング2はステンレス鋼等の金属材料又はFRP等の複合合成樹脂材料、その他の適切な材料を素材とし、上面の開口した矩形箱状に製作され、上面開口には蓋4がヒンジによって開閉自在に取り付けられている。
【0029】
このケーシング2内には餌を貯蔵する餌タンク3が内蔵され、餌タンク3の下半部は下窄まり状をなし、餌タンク3の上面には餌投入口30が形成され、餌タンク3の上端部はケーシング2の上面開口から少し突出され、その餌投入口30は蓋4によって封鎖されるようになっている。
【0030】
また、ケーシング2内には給餌機構5、電源バッテリ6及び給餌制御装置7が内蔵されている。図4に示されるように、給餌機構5では餌タンク3の底部に供給パイプ50の一端部が連通して接続され、供給パイプ50の一端には給餌モータ51が取付けられ、給餌モータ51の出力軸には螺旋状の送りスクリュー52が取付けられている。給餌モータ51は給餌モータ電源回路60によってバッテリ6と接続され、又蓋4の上面にはバッテリ6を充電するための太陽電池40が取付けられている。なお、太陽電池40は必ずしも設ける必要はない。
【0031】
また、供給パイプ50には計量装置(図示せず)が設けられ、供給パイプ50の他端側には餌吐出口8が形成され、送りスクリュー52が回転することによって餌タンク3内の餌が計量されて所定量だけ供給パイプ50内に取り込まれ、供給パイプ50の餌吐出口8に向けて移送されるようになっている。
【0032】
餌吐出口8には餌飛散機構9が設けられている。この餌飛散機構9において、餌吐出口8には飛散モータ90が出力軸を下方に向けて取付けられ、飛散モータ90の出力軸には餌飛散羽根91が取付けられ、餌飛散羽根91が回転することによって餌吐出口8から吐出された餌を飛散するようになっている。
【0033】
また、給餌制御装置7ではハウジング70内にマイクロコンピータ71が内蔵され、ハウジング70にはタッチスイッチ式の操作パネル72が取付けられ、又ハウジング70の上端面には餌の飛散距離を調整するための飛散距離調節用ボリューム(飛散距離設定手段)73が取付けられている。
【0034】
マイクロコンピュータ71は基本的にはCPU、RAM、ROM(又はHDD)及び複数の入出力ポートから構成され、機能的には図5に示されるように電流検出手段(回転パラメータ検出手段)710、印加電圧検出手段(回転パラメータ検出手段)711、モータ回転数演算手段712、電圧制御手段(給餌モータ電圧制御手段)713、目標回転数設定手段714、飛散距離制御手段715及び給餌タイマー手段716を含む。なお、上記電流検出手段710及び印加電圧検出手段711は給餌モータ51の回転数に関連するパラメータの大きさを検出する回転パラメータ検出手段を構成している。
【0035】
電流検出手段710はCPUによって実現される機能手段であって、給餌モータ51の給餌モータ電源回路60に接続された電流検出回路(電流センサー手段)10からの信号をマイクロコンピュータ71の入出力ポートで受け、モータ電流の大きさを求めるようになっている。
【0036】
電圧検出手段711はCPUによって実現される機能手段であって、給餌モータ51に接続された電圧検出回路(電圧センサー手段)11からの信号をマイクロコンピュータ71の入出力ポートで受け、給餌モータ51の印加電圧の大きさを求めるようになっている。
【0037】
モータ回転数演算手段712はCPUによって実現される機能手段であって、上記求められたモータ電流と印加電圧から予め定義された関数(又はテーブル)を用いて給餌モータ51の回転数を演算するようになっている。
【0038】
電圧制御手段713はCPUによって実現される機能手段であって、給餌モータ51の給餌モータ電源回路60に接続された給餌モータ電圧制御回路12に入出力ポートから制御信号を与え、上記演算されたモータ回転数が目標回転数設定手段714から与えられる目標回転数になるように上記給餌モータの印加電圧を制御するようになっている。
【0039】
また、電圧制御手段713は過負荷制限機能を更に備え、電流検出手段710で求められたモータ電流を予め設定された上限電流と比較し、モータ電流が上限電流を越えないように給餌モータ51の印加電圧を制御するようになっている。なお、この過負荷制限機能は電流検出手段710で検出したモータ電流が設定された上限電流に達した時に給餌モータ51の印加電圧の極性を反転させるモータ逆転機能と、該モータ逆転機能の作動時間を制御する逆転タイマー機能とから構成することもできる。
【0040】
飛散距離制御手段715はCPUによって実現される機能手段であって、飛散距離調節用ボリューム73の信号を受け、飛散モータ電源回路61に接続された飛散モータ電圧制御回路13に入出力ポートから制御信号を出力し、餌飛散機構9の飛散モータ90の印加電圧を制御するようになっている。
【0041】
また、操作パネル72のほぼ中央には図2及び図3に示されるように、設定値を表示する設定値表示部720、設定内容の表示を切り替える表示切替ボタン721、設定内容の値を増減させる増減ボタン722及び表示項目を表示する項目ランプ723がレイアウトされている。
【0042】
さらに、操作パネル72の右側には給餌動作の態様を設定する連続間欠切替ボタン724、連続動作か間欠動作かを表示する連続間欠ランプ729、動作予約の番号を表示する予約番号表示部725及び予約番号を切り替える予約番号切替ボタン726がレイアウトされている。
【0043】
また、操作パネル72の左側には給餌制御装置7の動作を切り替える動作切替ボタン727及び動作状態を表示する動作ランプ728がレイアウトされている。
【0044】
次に、給餌動作について説明する。給餌動作が開始されると、マイクロコンピュータ71から給餌動作を開始させるための制御信号が給餌モータ電圧制御回路12に与えられ、給餌モータ電圧制御回路12が給餌モータ51の給餌モータ電源回路60を閉成すると、給餌モータ51に電圧が印加され、給餌モータ51が回転する。すると、送りスクリュー52が回転されて餌タンク3内の餌が供給パイプ50に取り込まれながら計量装置で計量され、設定量の餌が供給パイプ50内を餌吐出口8に向けて移送され、餌吐出口8から所定量の餌が吐出される。
【0045】
同時に、マイクロコンピュータ71からの餌の飛散を開始させるための制御信号が飛散モータ90の飛散モータ電源回路61に接続された飛散モータ電圧制御回路13に与えられ、飛散モータ電圧制御回路13が飛散モータ電源回路61を閉成すると、飛散モータ90に電圧が印加され、飛散モータ90が回転し、吐出された餌を飛散させ、これによって例えば生け簀の水面の所定の範囲にわたって所定量の餌が給餌される。
【0046】
以上の給餌動作の際に、電流検出回路10で給餌モータ51のモータ電流が、電圧検出回路11で給餌モータ51の印加電圧が検出され、それらの検出回路10、11の出力信号は給餌制御装置7のマイクロコンピュータ71の入出力ポートに入力されている。
【0047】
マイクロコンピュータ71においては電流検出手段710でモータ電流の大きさが求められ、電圧検出手段711で給餌モータ51の印加電圧の大きさが求められる。モータ回転数演算手段712にはモータ電流・印加電圧とモータ回転数との関係を示す関数が予め与えられており、モータ回転数演算手段712では上記求められたモータ電流の大きさと印加電圧の大きさとからモータ回転数が求められる。
【0048】
目標回転数設定手段714には養殖中の魚に与えるべき給餌量に対応した給餌モータ51の目標回転数が予め設定されており、電圧制御手段713では上記求められたモータ回転数と目標回転数とが比較され、給餌モータ51の回転数が目標回転数となるように制御信号を給餌モータ電圧制御回路12に与え、給餌モータ51の回転数が制御されている。
【0049】
今、求められたモータ回転数が目標回転数よりも低い場合には給餌モータ51の印加電圧が高くなるように制御される。すると、給餌モータ51の回転数は上昇して目標回転数に近づく。逆に、求められたモータ回転数が目標回転数よりも高い場合には給餌モータ51の印加電圧が低くなるように制御される。すると、給餌モータ51の回転数は低下して目標回転数に近づく。
【0050】
従って、餌の種類や残量が変化しても、又電源電圧が何らかの原因で変動しても、給餌モータ51の回転はほぼ一定に維持され、魚には常に予め定められた一定の量の餌が与えられので、魚の育成不足や余剰分の餌の腐敗による水質汚濁が発生することもない。
【0051】
また、電圧制御手段713にはモータ電流の上限が与えられている一方、電流検出手段710からの信号が入力され、モータ電流と上限電流とが比較されている。そして、給餌モータ51の負荷が大きくなり、モータ電流が上限電流を越えそうになると、過負荷防止機能が働き、給餌モータ51の印加電圧を低下させてモータ出力を小さくし、給餌モータ51に過大な負荷が加わるのが防止されることとなる。
【0052】
次に、操作パネル72の操作方法について説明する。動作時間を設定する場合、表示切替ボタン721を押し、開始時刻の項目ランプ723を点灯させ、増減ボタン722で給餌動作を開始する時刻を設定する。次に、表示切替ボタン721を押し、動作時間の項目ランプ723を点灯させ、増減ボタン722を押して給餌動作の継続時間を設定する。
【0053】
次に、給餌動作を間欠動作とするか又は連続動作とするかを選択するが、間欠動作をさせる場合は連続間欠切替ボタン724を押し、連続間欠ランプ729の間欠のランプを点灯させ、表示切替ボタン721を押し、休止の項目ランプ723を点灯させ、増減ボタン722によって休止時間を設定する。さらに、表示切替ボタン721を押し、動作の項目ランプ723を点灯させ、増減ボタン722で動作時間を設定すると、間欠動作の設定を行うことができる。
【0054】
連続動作させる場合には連続間欠切替ボタン724を押し、連続間欠ランプ729のうち、連続のランプを点灯させる。
【0055】
また、給餌量を設定する場合、表示切替ボタン721を押し、給餌量の項目ランプ723を点灯させ、増減ボタン722を押して給餌量を設定すると、給餌動作中の単位時間あたりの餌吐出量を設定することができる。そして、表示切替ボタン721を押して現在時刻の項目ランプ723を点灯させ、増減ボタン722で現在時刻を設定する。
【0056】
最後に、動作切替ボタン727を押し、動作ランプ728のタイマーを点灯させることにより、設定データがマイクロコンピュータ71の入出力ポートに与えられる。そして、現在時刻が開始時刻に達した時点で設定された給餌量で給餌動作が開始され、間欠設定されていれば休止時間だけ停止し、動作時間だけ餌を吐出する間欠動作を繰り返し、給餌動作を開始してから動作時間で設定された時間が経過すると、給餌動作が停止する。
【0057】
飛散距離の調整は飛散距離調節用ボリューム73を回して行う。飛散距離調節用ボリューム73を飛散距離小側に回すと、飛散距離制御手段715が飛散モータ90の電圧を低くし、飛散モータ90の回転数が低下することによって飛散距離が短くなる。逆に、飛散距離調節用ボリューム73を飛散距離大側に回すことによって飛散モータ90に印加される電圧が高くなり、飛散モータ90の回転数が上昇して飛散距離が大きくなる。なお、飛散距離調節用ボリューム73に代え、スイッチ等で段階的に切り替えを行う機構を採用してもよい。
【0058】
以上のように、給餌を設定した日及び時刻に自動的に行うことができるので、作業者がタイマー停止のために生け簀等に足を運ぶ手間を省くことができ、給餌作業に要する労力が軽減される。
【0059】
また、魚の数、種類及び大きさ等に応じて給餌する餌の量を設定でき、餌の大小や電源電圧の変動にかかわらず、一定量で給餌でき、水質の悪化や餌の無駄を低減できる。
【0060】
図6及び図7は第2の実施形態を示す。本例では給餌制御装置7のマイクロコンピュータに、毎日作動を許容する毎日タイマー機能、1日おきに作動許容及び作動禁止を繰り返す中1日タイマー機能及び1日目作動を許容し次の2日間は作動を禁止するという動作を3日間隔で繰り返す中2日タイマー機能が搭載されるとともに、毎日タイマー機能、中1日タイマー機能及び中2日タイマー機能のいずれかを選択する動作間隔日選択手段の機能を実現するようになっている。毎日タイマー機能、中1日タイマー機能及び中2日タイマー機能はマイクロコンピュータに内蔵された第1、第2及び第3のタイマーの動作の組合せによって実現される。
【0061】
また、操作パネル72には時計の文字盤を模した第1のパネル200がレイアウトされ、第1のパネル200には文字盤の下方に午前か午後かを表示する午前午後表示ランプ201,及び午前・午後の切替、給餌時刻の変更、給餌時刻の確定及び解除を行うタイマー設定ボタン203が設けられ、又文字盤の12時間分の時間目盛りの近傍には給餌時刻を表示する給餌時刻表示ランプ202が設けられている。
【0062】
また、第1のパネル200の文字盤内には上方に連続・タイマーの表示ランプ204、動作設定切替ボタン205が、下方に毎日・中一日及び中二日の動作間隔表示ランプ206及び動作間隔切替ボタン207がレイアウトされている。
【0063】
また、操作パネル72には第1のパネル200の右側に第2、第3のパネル208、209がレイアウトされている。第2のパネル208には連続表示ランプ210及び給餌形態切替ボタン211がレイアウトされている。また、第3のパネル209には間欠表示ランプ212、動作及び休止の時刻表示窓213、214、分及び秒の表示ランプ、時刻を進める又は戻す操作ボタン215、216が設けられている。
【0064】
また,第3のパネル209の下側には第4のパネル217がレイアウトされ、第4のパネル217には給餌量表示窓218及び給餌量セットボタン219が設けられている。さらに、第1のパネル200の下側には第5のパネル220がレイアウトされ、第5のパネル220には時刻表示窓221、時刻を進ませる時刻設定ボタン222、午前・午後表示ランプ223が設けられている。
【0065】
次に、動作について説明する。給餌動作を行う場合、予め時刻設定ボタン222によって時刻表示窓221に表示される現在時刻を正確に合わせるとともに、給餌量設定ボタン219によって給餌量表示窓218に表示される単位時間あたりの給餌量を設定しておく。また、動作設定切替スイッチ205によって連続給餌かタイマー給餌かを選択する。連続給餌を選択した場合には日付や時刻に関係なく、給餌量表示窓218に表示された給餌量が連続的に給餌機構5の計量装置によって計量され、餌吐出口8から吐出される。
【0066】
タイマー給餌を選択した場合、タイマー設定ボタン203によって給餌機構5による給餌時刻を設定する。さらに、給餌形態切替ボタン211によって間欠給餌か連続給餌かを選択する。間欠給餌を選択した場合、操作ボタン215、216によって運転時間と休止時間をそれぞれ設定する。また、動作間隔切替ボタン207によって毎日給餌を行うのか、1日おきに給餌するのか、3日に一度給餌するのかを選択する。
【0067】
タイマー給餌を選択した場合、マイクロコンピュータ内の第1のタイマーによって時刻が計時され、設定された起動時刻から終了時刻の間、給餌機構5が作動し、給餌量表示窓218に表示された量の餌が餌吐出口8から吐出される。
【0068】
その際、連続給餌が選択されていると、餌は給餌が終了するまで連続的に放出されるが、間欠給餌が選択されていると、給餌が開始されてからマイクロコンピュータ内の第2のタイマーが時刻を計時し、設定した運転時間の間放出が継続され、設定された休止時間の間だけ放出が休止され、かかる動作が第1のタイマーで設定した終了時刻がくるまで繰り返される。
【0069】
また、操作パネル72の動作間隔切替ボタン207によって毎日給餌が選択されていると、毎日同時刻に給餌機構5が作動され、中1日が選択されていると、1日おきの同時刻に給餌が行われ、中2日が選択されていると、3日に1度同じ時刻に給餌が行われる。
【0070】
次に、図7に示すマイクロコンピュータの給餌動作の制御処理のフローチャートを用いてタイマー機能の演算処理を説明する。処理が開始されると、動作設定切替ボタン205の動作設定がタイマー(ON)になっているか否かが判定され(ステップS100)、タイマー(ON)になっていると、第3のタイマーのカウント値から給餌動作設定日か否かが判定される(ステップS110)。給餌動作の設定日の場合には第1のタイマーのカウント値から給餌動作時刻か否かが判定される(ステップS120)。
【0071】
給餌設定時刻になると、第2のタイマーのカウント値から給餌間欠動作がONか否かが判定され(ステップS130)、給餌間欠動作がONになると間欠給餌が実行され(ステップS140)、ONでない場合には連続動作がONか否かが判定され(ステップS150)、連続動作がONになると、連続給餌が実行される(ステップS160)。
【0072】
最後に、第1のタイマーのカウント値から動作終了時刻になったか否かが判定され(ステップS170)、動作終了時刻になるまでは上述の一連の動作が繰り返えされ、動作終了時刻になると、処理を終了する。
【0073】
なお、操作パネル72のレイアウトは図6と異なるレイアウトでもよく、又マイクロコンピュータの演算処理は図7と異なるフローであってもよい。
【0074】
図8は第3の実施形態を示し、図において図4と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例では給餌機構5の供給パイプ50の餌吐出口8には餌輸送パイプ80の上端が連結され、餌輸送パイプ80の下端は所定寸法だけ下方に延びて開口されており、餌輸送パイプ80によって餌が水面近くまで導かれ、風等の影響を受けることなく給餌を行うことができるようになっている。
【0075】
従って、稚魚期の軽い餌を水面近くまで導くことができるので、不要に餌が飛散することがなく、逆に成魚の時期は餌輸送パイプ80から餌飛散機構9に付け替えると、餌を散布できるので、魚同士のぶつかりによる魚の傷付きを抑えることができ、一台で様々な大きさの魚に対応することができる。
【0076】
図9は第4の実施形態を示し、図において図1ないし図8と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例では自動給餌機のケーシングから水中音波発生器110がワイヤーによって懸垂され、水中音波発生器110には音波駆動器100が接続され、音波駆動器100は給餌制御装置5からの給餌を開始したことを示す信号を受けて水中音波発生器110を駆動する。
【0077】
水中音波発生器110はFRP等の合成樹脂材料またはステンレススチールなどの金属を素材とした中空の密閉容器を有し、その内部には振動体を内蔵し、音波駆動器100によって駆動されることによって振動体の音波が水中へ伝わり生け簀内の魚に給餌していることを知らせるようになっている。
【0078】
水中音波発生器110は必要に応じて別途ワイヤーを延長して自動給餌機から離して設置してもよい。
【0079】
本例では魚が給餌時に音波が出ることを学習し、音波を聞いた魚が給餌開始と同時に餌を食べに集まってくるので、餌の取りこぼしを削減できる。また、音波は生け簀内に行き渡るので、すべての魚に給餌していることを知らせることができ、一様に給餌されることによって魚の育成が効率化される。
【0080】
図10は第5の実施形態を示し、図において図5と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例では飛散モータ90の飛散モータ電源回路61に電流検出回路(電流センサー手段)93が接続され、その信号はマイクロコンピュータ71の入出力ポートから飛散距離制御手段715に入力されている。
【0081】
飛散距離制御手段715は飛散距離調節用ボリューム(飛散距離設定手段)73の信号を受け、飛散モータ90の飛散モータ電源回路61に接続された飛散モータ電圧制御回路13に入出力ポートから制御信号を出力し、餌飛散機構9の飛散モータ90の印加電圧を制御する一方、電流検出回路93の信号から飛散モータのモータ電流の大きさを求め、求めたモータ電流を予め設定された上限電流と比較し、モータ電流が上限電流に達した時に飛散モータ90の印加電圧の極性を所定時間だけ反転させるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る自動給餌機の好ましい実施形態を示す斜視図である。
【図2】 上記実施形態における給餌制御装置を示す概略斜視図である。
【図3】 上記給餌制御装置を示す正面図である。
【図4】 上記実施形態における給餌制御装置を示す断面構成図である。
【図5】 上記実施形態における機能ブロックを示す図である。
【図6】 第2の実施形態における給餌制御装置を示す正面図である。
【図7】 上記実施形態におけるマイクロコンピュータの演算処理を示すフローチャート図である。
【図8】 第3の実施形態を示す断面構成図である。
【図9】 第4の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図10】 第5の実施形態における機能ブロックを示す図である。
【符号の説明】
1 自動給餌機
3 餌タンク
5 給餌機構
50 給餌パイプ
51 給餌モータ
6 バッテリ
60 給餌モータ電源回路
61 飛散モータ電源回路
8 餌吐出口
80 餌輸送パイプ
9 餌飛散機構
10 電流検出回路(電流センサー手段)
11 電圧検出回路(電圧センサー手段)
12 給餌モータ電圧制御回路
71 マイクロコンピュータ
710 電流検出手段
711 電圧検出手段
712 モータ回転数演算手段
713 給餌モータ電圧制御手段
715 飛散距離制御手段
716 給餌タイマー手段
73 飛散距離調節用ボリューム(飛散距離設定手段)
90 飛散モータ
93 電流検出回路(電流センサー手段)

Claims (4)

  1. 餌を貯蔵する餌タンクと、該餌タンク内の餌を餌吐出口へ移送する給餌機構と、電圧の印加によって作動されて上記給餌機構を駆動する給餌モータと、該給餌モータに駆動電圧を印加する給餌モータ電源回路と、上記給餌モータの作動を時間的に制御する給餌タイマー手段とを備え、給餌作業を自動的に行うようにした自動給餌機において、
    上記給餌モータの回転数に関連するパラメータの大きさを検出する回転パラメータ検出手段と、
    上記検出されたパラメータの大きさから上記給餌モータの回転数を求めるモータ回転数演算手段と、
    上記演算された回転数が上記給餌モータの設定された目標回転数になるように上記給餌モータの印加電圧を制御する給餌モータ電圧制御手段と、
    餌吐出口から吐出された餌を飛散させる餌飛散機構と、
    電圧の印加によって作動されて上記餌飛散機構を駆動する飛散モータと、
    該飛散モータに駆動電圧を印加する飛散モータ電源回路と、
    上記餌の飛散距離を設定するための飛散距離設定手段と、
    上記飛散モータのモータ電流を検知する電流センサー手段と、
    設定された飛散距離となるように上記飛散モータの印加電圧を制御する一方、上記電流センサー手段の信号を受け、上記飛散モータのモータ電流の大きさを検出し、モータ電流が設定された上限電流に達した時に上記飛散モータの印加電圧の極性を所定時間の間反転させる飛散距離制御手段と、
    上記給餌機構の停止後、時間をおいてから餌飛散機構を停止させる停止遅延手段と、
    を備えたことを特徴とする自動給餌機。
  2. 上記回転パラメータ検出手段が、上記給餌モータのモータ電流を検知する電流センサー手段の信号を受け、上記給餌モータのモータ電流の大きさを検出する電流検出手段と、上記給餌モータの印加電圧を検知する電圧センサー手段の信号を受け、上記給餌モータの印加電圧の大きさを検出する電圧検出手段とから構成される請求項1記載の自動給餌機。
  3. 上記給餌モータ電圧制御手段が、上記給餌モータのモータ電流を検知する電流センサー手段の信号を受けて上記給餌モータのモータ電流の大きさを検出する電流検知手段で検出されたモータ電流が設定された上限電流を越えないように上記給餌モータの印加電圧を制御する過負荷制限機能を更に備えた請求項1記載の自動給餌機。
  4. 上記給餌モータ電圧制御手段が、上記給餌モータのモータ電流を検知する電流センサー手段の信号を受けて上記給餌モータのモータ電流の大きさを検出する電流検知手段で検出したモータ電流が設定された上限電流に達した時に上記給餌モータの印加電圧の極性を反転させるモータ逆転機能と、該モータ逆転機能の作動時間を制御する逆転タイマー機能とを更に備えた請求項1記載の自動給餌機。
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