JP4228920B2 - サイドメンバ構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車体の両側の下方で前後方向に配設されるサイドメンバ構造に関する。
車体の両側の下方で前後方向に配設される従来のサイドメンバ構造の一例を図8乃至11に示す。図8乃至11において、前記サイドメンバ構造は、サイドメンバ20と、サイドメンバ20に接して配置されるリンフォース21と、サイドメンバ20及びリンフォース21を上側から覆うフロントパネルなどのパネル22とを有する。
サイドメンバ20は、下方に傾斜する傾斜部20dと、この傾斜部20dの後方から連続して水平に延在する水平部20eとを有する。このサイドメンバ20は、底面20aと、底面20aの両側からそれぞれ上方に延びる側壁20bと、側壁20bの上側から車幅方向(外側)に延びる延在部20cとを有し、断面略U字状である。
リンフォース21は、底面21aと、底面21aの両側からそれぞれ上方に延びる側壁21bと、側壁21bの上側から車幅方向に延びる延在部21cとを有し、断面略U字状である。なお、サイドメンバ20の延在部20cとリンフォース21の延在部21cとは略同じ大きさである。また、図11に示すように、リンフォース21が配設された部位の後方側でサイドメンバ20に上方へ向う段差部20fが形成されており、その部位でのサイドメンバ20とパネル22とに隙間が生じることを防止している。
車両の前方で衝突すると、サイドメンバ構造の傾斜部に最も負荷がかる。サイドメンバ構造の傾斜部を補強するため、上記リンフォース21はサイドメンバ20の傾斜部20dから水平部20eに渡って配設される。
このようなサイドメンバ構造は、製造コストの観点から、重量の軽い車両から重量の重い車両まで共通化(共有化)されている。
車両の前方で衝突すると、この衝突による力及び車両後方の重量による力はサイドメンバ構造の傾斜部にかかる。
重量の軽い車両では、前記車両の後方の重量が軽いため、衝突による力及び車両後方の重量による力に対してサイドメンバ構造の傾斜部が耐え、前記力がそのまま車両全体に伝搬して、車室内にいる乗員まで伝わるおそれがある。そのため、重量の軽い車両では、サイドメンバ構造の傾斜部の強度を低くして、車両の前方で衝突すると、サイドメンバ構造の傾斜部はつぶれて(曲がって)この衝突による力を吸収している。
重量の重い車両では、前記車両の後方の重量が重いため、衝突による力及び車両後方の重量による力によって、サイドメンバ構造の傾斜部がつぶれて(曲がって)、前記力を吸収している。
よって、車両の前方で衝突しても車室内にいる乗員の安全性を確保する観点から、車両の重量に応じてサイドメンバ構造の傾斜部の耐力(強度)を変える必要がある。
下記特許文献1に記載される自動車の前部車体構造には、下方へ傾斜する傾斜部に連続して後方に延在する水平部を有するサイドメンバにリンフォースを追加することにより、その部分の強度を局部的に高めて、車両の衝突時に該連結部の折れ曲がりの発生を防止した技術が開示されている。
実開平3−53381号公報
サイドメンバ構造の傾斜部の強度を変える方法として、リンフォースの板厚や大きさを変えることが考えられる。しかしながら、リンフォースの板厚を変えると、他の部品、例えばサイドメンバ、パネルなどとのあわせなどが変わってしまい、サイドメンバ構造を共通化できないという問題がある。即ち、図11に示す構造において、リンフォース21の水平部21eの長さを変えると、サイドメンバ20の上方に向かう段差部20fの位置を車両前後方向で変化させる必要があるし、リンフォース21の板厚を変えると、段差部20fの高さを変化させる必要があるため、サイドメンバ構造を共通化できないといった問題があった。
そこで、本発明の課題は、強度を容易に調整できるサイドメンバ構造を提供することにある。
上述した課題を解決する第1の発明に係るサイドメンバ構造は、
車両前後方向に延びると共に、下方に傾斜する傾斜部及び該傾斜部の後方から連続して水平に延在する水平部を有し、上部に車幅方向へ延在する第1フランジ部を有する断面略U字状のサイドメンバと、前記サイドメンバを上側から覆うリンフォースと、
前記リンフォースの上部に設けられるパネルとが接合されたサイドメンバ構造において、
前記リンフォースは、前記サイドメンバの前記傾斜部から前記水平部に渡って前記第1フランジ部より広幅で前記第1フランジ部に重合する第2フランジ部を有する第1接合部と、前記第1接合部の車両後方側に設けられ、前記第1フランジ部に重合するフランジ部を有さずに前記サイドメンバに接合される第2接合部とを有し、
前記サイドメンバの前記第1フランジ部には、前記リンフォースの前記第1接合部よりも車両後方側にて、上方に向かう段差部が備えられる一方、
前記パネルは前記リンフォース及び前記サイドメンバに比較して薄板にて形成され、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とが溶接されると共に、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との溶接部位より外側で前記第2フランジ部と前記パネルとが溶接され、前記第1接合部の車両後方側では前記第1フランジ部と前記パネルとが溶接される
ことを特徴とする。
上述した課題を解決する第の発明に係るサイドメンバ構造は、
第1の発明記載されるサイドメンバ構造において、
前記リンフォースの前記第2接合部は、前記サイドメンバの側壁に接合される
ことを特徴とする。
第1の発明に係るサイドメンバ構造では、車両前後方向に延びると共に、下方に傾斜する傾斜部及び該傾斜部の後方から連続して水平に延在する水平部を有し、上部に車幅方向へ延在する第1フランジ部を有する断面略U字状のサイドメンバと、前記サイドメンバを上側から覆うリンフォースと、前記リンフォースの上部に設けられるパネルとが接合されたサイドメンバ構造において、前記リンフォースが、前記サイドメンバの前記傾斜部から前記水平部に渡って前記第1フランジ部より広幅で前記第1フランジ部に重合する第2フランジ部を有する第1接合部と、前記第1接合部の車両後方側に設けられ、前記第1フランジ部に重合するフランジ部を有さずに前記サイドメンバに接合される第2接合部とを有し、前記サイドメンバの前記第1フランジ部には、前記リンフォースの前記第1接合部よりも車両後方側にて、上方に向かう段差部が備えられることで、前記リンフォースの前記第1接合部の車両後方側で、前記サイドメンバの前記第1フランジ部と前記パネルとを溶接できると共に、前記リンフォースの前記第2接合部の長さを変えて、前記リンフォースと前記サイドメンバとを溶接で固定してなる前記サイドメンバ構造の強度を容易に調整することができる。その結果、車両に応じて、前記リンフォースの前記第1接合部の長さ、前記サイドメンバの形状及び前記パネルの形状を変更する必要がないので、サイドメンバ構造を共通化することができ、組み付け性が向上する。前記パネルが前記リンフォース及び前記サイドメンバに比較して薄板にて形成され、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とが溶接されると共に、前記第2フランジ部と前記パネルとが溶接されることで、前記サイドメンバと前記リンフォースとの溶接、前記リンフォースと前記パネルとの溶接となるので、溶接の品質が安定すると共に、組み付け性が向上する。
の発明に係るサイドメンバ構造では、第1の発明記載されるサイドメンバ構造において、前記リンフォースの前記第2接合部は、前記サイドメンバの側壁に接合されることで、前記リンフォースの前記第2接合部の長さを変えて、前記リンフォースと前記サイドメンバとを溶接で固定してなる前記サイドメンバ構造の強度を容易に調整することができる。その結果、車両に応じて、前記リンフォースの前記第1接合部の長さ、前記サイドメンバの形状及び前記パネルの形状を変更する必要がないので、サイドメンバ構造を共通化することができ、組み付け性が向上する。
以下に、本発明に係るサイドメンバ構造を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るサイドメンバ構造の斜視図、図2は、図1におけるII−II矢視断面図、図3は、図1におけるIII−III矢視断面図、図4は、図1におけるIV−IV矢視断面図、図5は、図1におけるV−V矢視断面図、図6は、本発明の一実施形態に係るサイドメンバ構造に用いるリンフォースの斜視図、図7は、本発明の一実施形態に係るサイドメンバ構造を適用した車両の側面図である。
本発明の一実施形態に係るサイドメンバ構造は、図7に示す様に、サイドメンバ10と、サイドメンバ10に接して配置されるリンフォース11と、サイドメンバ10及びリンフォース11を覆うフロントパネルなどのパネル12とを有する。前記サイドメンバ構造は、車両の前後方向に延びると共に、下方に傾斜する傾斜部と、傾斜部の後方から連続して水平に延在する水平部とを有する。つまり、サイドメンバ10は、車両の前後方向に延びると共に、下方に傾斜する傾斜部10dと傾斜部10dの後方から連続して水平に延在する水平部10eとを有する。なお、パネル12も、サイドメンバ10と同様に、車両の前後方向に延びると共に、下方に傾斜する傾斜部12dと、傾斜部12dの後方から連続して水平に延在する水平部12eとを有する。
サイドメンバ10は、断面略U字状であり、底面10aと、底面10aの両側からそれぞれ上方に延びる側壁10bと、側壁10bの上部から車幅方向(外側)に延びる第1フランジ部10cとを有する。
リンフォース11は、車両の前後方向に延び、サイドメンバ10の傾斜部10dから水平部10eに渡りサイドメンバ10に接合して配設されるので、下方に傾斜する傾斜部11dと、傾斜部11dの後方から連続して水平に延在する水平部11eとを有する。
このリンフォース11は、断面略U字状であり、底面11aと、底面11aの両側からサイドメンバ10の側壁10bに沿って上方に延びる側壁11bと、側壁11bの上部から車幅方向にそれぞれ延びる第1接合部である第2フランジ部11cとを有する。リンフォース11の第2フランジ部11cとサイドメンバ10の第1フランジ部10cとが接合する。ただし、リンフォース11の第2フランジ部11cの後方から車両後方に向って、サイドメンバ10の側壁10bに沿って延びる側壁11bと、底面11aとがさらに延在する。よって、リンフォース11の第2フランジ部11cの後方から車両後方に向って延びる側壁11bが第2接合部となる。
サイドメンバ10の第1フランジ部10cは、図5に示すように、リンフォース11の第2フランジ部11cより車両後方に、上方に向かう段差部10fを備える。この段差部10fでは、図4に示す様に、サイドメンバ10の側壁10bは上方に延びて、サイドメンバ10の第1フランジ部10cとパネル12とが接合している。
よって、リンフォース11の第2接合部である側壁11bの長さを変えることにより、サイドメンバ10とリンフォース11とを溶接で固定してなるサイドメンバ構造の強度を変えることができるので、車両の重量に応じてサイドメンバ10の段差部10fの位置を変更する必要がなく、車両の重量に関わらずサイドメンバ構造を共通化することができる。
なお、リンフォース11の第2フランジ部11cは、サイドメンバ10の第1フランジ部10cより外側に延びる。
ここで、本発明の一実施形態に係るサイドメンバ構造の組み付け手順について、以下に説明する。
最初に、図1乃至4に示す様に、サイドメンバ10に接合させてリンフォース11を配置する。次に、サイドメンバ10の第1フランジ部10cとリンフォース11の第2フランジ部11cとを溶接で固定し、リンフォース11の第2フランジ部11cの後方ではサイドメンバ10の側壁10bとリンフォース11の側壁11bとを溶接で固定する。
次に、サイドメンバ10とリンフォース11とを溶接してなる部材の上方からパネル12を配置する。次に、パネル12とリンフォース11の第2フランジ部11cとを溶接で固定し、リンフォース11の第2フランジ部11cの後方ではパネル12とサイドメンバ10の第1フランジ部10cとを溶接で固定する。
よって、サイドメンバ10とリンフォース11、リンフォース11とパネル12、及びサイドメンバ10とパネル12、つまり、厚板同士の溶接、及び厚板と薄板との溶接となり、溶接の品質が安定するので、組み付けの品質が向上する。
したがって、本発明の一実施形態に係るサイドメンバ構造では、リンフォース11をサイドメンバ10に接合する断面略U字状とし、傾斜部11dから水平部11eに渡って、サイドメンバ10の第1フランジ部10cに接合する第2フランジ部11cと、第2フランジ部11cの後方で、第2フランジ部11cを有さずにサイドメンバ10の側壁10bに接合する第2接合部である側壁11bとを有し、リンフォース11の第2フランジ部11cの後方に位置するサイドメンバ10の第1フランジ部10cに、上方のパネル12に向う段差部10fを備えたことにより、リンフォース11の第2フランジ部11cの車両後方側で、サイドメンバ10の第1フランジ部10cとパネル12とを溶接できると共に、リンフォース11の第2接合部である側壁11bの長さを変えて、リンフォース11とサイドメンバ10とを溶接で固定してなるサイドメンバ構造の強度を容易に調整することができる。よって、車両に応じて、リンフォース11の第2フランジ部11cの長さ、サイドメンバ10の形状及びパネル12の形状を変更する必要がないので、サイドメンバ構造を共通化することができ、組み付け性が向上する。
また、サイドメンバ10の傾斜部10dから水平部10eに渡って、リンフォース11を配置することにより、車両の前方で衝突して、この衝突による力の入力に最も弱いサイドメンバ10の傾斜部10dを補強することができ、車室内にいる乗員の安全性を向上させることができる。
さらに、リンフォース11の第2フランジ部11cをサイドメンバ10の第1フランジ部10cより外側へ延ばしたことにより、サイドメンバ10の第1フランジ部10cとリンフォース11の第2フランジ部11cとを溶接した後、リンフォース11の第2フランジ部11cとパネル12とを溶接することができ、厚板同士の溶接、厚板と薄板との溶接となり、溶接の品質が安定すると共に、組み付け性が向上する。
本発明の一実施形態に係るサイドメンバ構造の斜視図である。 図1におけるII−II矢視断面図である。 図1におけるIII−III矢視断面図である。 図1におけるIV−IV矢視断面図である。 図1におけるV−V矢視断面図である。 本発明の一実施形態に係るサイドメンバ構造に用いるリンフォースの斜視図である。 本発明の一実施形態に係るサイドメンバ構造を適用した車両の側面図である。 従来のサイドメンバ構造の一例の斜視図である。 図8におけるIX−IX矢視断面図である。 図8におけるX−X矢視断面図である。 図8におけるXI−XI矢視断面図である。
符号の説明
10 サイドメンバ
11 リンフォース
12 パネル

Claims (2)

  1. 車両前後方向に延びると共に、下方に傾斜する傾斜部及び該傾斜部の後方から連続して水平に延在する水平部を有し、上部に車幅方向へ延在する第1フランジ部を有する断面略U字状のサイドメンバと、前記サイドメンバを上側から覆うリンフォースと、
    前記リンフォースの上部に設けられるパネルとが接合されたサイドメンバ構造において、
    前記リンフォースは、前記サイドメンバの前記傾斜部から前記水平部に渡って前記第1フランジ部より広幅で前記第1フランジ部に重合する第2フランジ部を有する第1接合部と、前記第1接合部の車両後方側に設けられ、前記第1フランジ部に重合するフランジ部を有さずに前記サイドメンバに接合される第2接合部とを有し、
    前記サイドメンバの前記第1フランジ部には、前記リンフォースの前記第1接合部よりも車両後方側にて、上方に向かう段差部が備えられる一方、
    前記パネルは前記リンフォース及び前記サイドメンバに比較して薄板にて形成され、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とが溶接されると共に、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との溶接部位より外側で前記第2フランジ部と前記パネルとが溶接され、前記第1接合部の車両後方側では前記第1フランジ部と前記パネルとが溶接される
    ことを特徴とするサイドメンバ構造。
  2. 前記リンフォースの前記第2接合部は、前記サイドメンバの側壁に接合される
    ことを特徴とする請求項1記載のサイドメンバ構造。
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