JP4228878B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、産業分野における搬送、加工、印刷、成型、工作機械に適用されるモータの位置を制御するモータ制御装置に関し、特に、パルスエンコーダなどの位置検出器を用いてモータの速度及び位置を制御するサーボシステムに適用されるモータ制御装置に関する。
近年、各種加工機械、組立機械に対する高精度・高速化が要求されており、これら機械の駆動装置であるサーボ装置に対して、機械の振動抑制機能が要求されている。
サーボ装置は移動量を与えられると、制御対象である機械系に与えるトルクの最大値、移動速度の最大値などの各種制約条件に応じて、制御対象を駆動する最適な軌道を計算し、この計算された軌道軌跡に従って制御対象を駆動・制御する。目標位置に到達した時に残る機械系固有の共振周波数による振動を残留振動といい、これがある一定の振幅幅に入ることによってサーボ装置に与えられた一連の処理が終了することになる。
従って、この残留振動を抑制することによってサーボ装置の移動動作の完了時間を短縮することができる。また、機械系によっては残留振動によるオーバシュートによって発生する目標位置からの行き過ぎが大きな問題になる場合もあり、残留振動の抑制はサーボ装置にとって大きな課題となっている。
機械系の共振振動に起因する残量振動の抑制には、トルク制御系に対して共振振動成分を除去するノッチフィルタの挿入や、機械系の固有振動の励振を抑制する軌道軌跡生成手法などが提案されている。
図7に従来のモータ制御装置における軌道生成部の構成を示す。図7において、上位インタフェース部11は、図示せぬ上位システムとの間で、図1に示すモータ1が組み込まれた負荷機械5の移動に関する指示の受け取り及び移動動作完了のステータスの返送を行う。受け取った負荷機械5の移動量の情報は軌道演算部12へ送られ、ここで下式(1)に従い軌道演算を行う。この場合、制御する負荷機械5の特性、例えば、負荷慣性等の情報を機械記憶部13から読み込んで、軌道演算に用いる。
軌道演算部12での演算によって求められた軌道情報は、軌道パターン記憶部14に書き込まれて記憶される。この記憶された軌道パターンの情報は、時系列データとして位置指令出力部16より図1に示すサーボドライバ2に出力され、負荷機械5を駆動する。
このような機械系の励振抑制のための軌道生成手法を用いたモータ制御装置は、機械系の励振抑制のために、機械系に与えるトルク(加速度)の時間微分の自乗を積分した評価関数を最小化する軌道を、機械系の数学的モデルを用いて解析的に求めることができる。
このように求められた軌道は、高次の振動モードを励起しにくいことが知られており、下記の特許文献1及び非特許文献1も、そのような手法を基にしたものである。
非特許文献1によれば、移動量aを移動時間Tで移動する場合、制御対象が機械共振や粘性を持たないとすると、移動位置軌跡xl、移動速度x2、加速度x3と表すと、それぞれは、下式(1)〜(3)の通りとなることが記述されている。
Figure 0004228878
上式(1)〜(3)の時間に対する軌跡を図8に表す。図8において上から(a)位置、(b)速度、(c)加速度を示しており、加速度の変化が滑らかになるような軌道が生成される。
また、特許文献1では、制御対象を状態方程式として正確にモデル化し、それを基に加速度の時間変化の自乗積分値を最小化する軌跡生成の手法について記載されている。
特開平9−91005号公報 "Digital Servo Control for Head−Positioning of Disk Drives"FUJITSU Sci.Tech.J.,26,4,pp.378−390(February 1991)
ところで、従来のモータ制御装置においては、上記特許文献1のように、加速度の時間変化の自乗積分値を最小化する数理的手法により最適な軌道生成を行う場合には、移動量と移動時間を予め設定する必要がある。つまり、上式(1)に表されるように軌道の中に、移動量と移動時間が含まれることになるので、軌道生成時に、それらの値が定められている必要がある。
しかし、例えば電子部品の組立機械においては、移動量の算出をカメラで捕らえた画像により行うような場合がある。これは、電子部品実装機械などで、電子部品を実装する基板の位置や設置角度が毎回微妙に変化するような場合などが該当する。通常、カメラによる画像処理には時間がかかるので、部品実装の搬送速度を向上させるために、画像処理を待たず電子部品を運ぶピックアップ機構の動作を開始し、移動途中で画像処理データにより目標位置の補正を行う。
このような場合には、機械系の駆動制御中に目標位置が変わり、これに応じて移動量が変化するので、予め与えられた移動量及び移動時間により最適な軌道情報を生成する最適軌道生成手法を適用することができない。つまり、機械系を目標位置に駆動制御することができなくなるという問題がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、機械系の駆動制御中に目標位置が変わることにより残留振動を抑制するための移動量が変化した場合でも、最適な軌道情報を生成することを可能とすることによって機械系を目標位置に正確に駆動制御することができるモータ制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1によるモータ制御装置は、負荷機械を駆動するモータの位置及び速度の少なくとも1つと、前記モータに流れる電流値とから当該モータへ供給する電圧値及び電流値の少なくとも1つを求めて当該モータを駆動するサーボ手段と、上位システムより送られて来る前記負荷機械に対する操作量から残留振動を抑制する当該負荷機械の移動の軌道情報を求め、この求められた軌道情報を第1の記憶手段に記憶する軌道生成手段と、前記記憶された軌道情報に応じて時系列的に位置指令値を生成する位置指令出力手段と、この手段からの位置指令値に応じて前記サーボ手段が前記モータの位置を制御するモータ制御装置において、前記軌道生成手段は、前記上位システムから前記負荷機械への補正操作量の指示を受け取った場合に、現在の経過移動時間より目標到達残り時間を求め、この求められた残り時間をもとに補正操作量に対応する負荷機械の残留振動を抑制するための移動の補正軌道情報を求め、この補正軌道情報を第2の記憶手段に記憶し、前記位置指令出力手段は、前記第1の記憶手段に記憶された軌道情報と、前記第2の記憶手段に記憶された補正軌道情報とを加算し、この加算結果を新たな位置指令値とすることを特徴としている。
この構成によれば、負荷機械の駆動制御中における目標位置の変更が発生しても、元の目標位置との補正位置に対する共振振動を抑制する補正軌道情報を求め、この補正軌道情報を元の軌道情報に加算して位置指令値とし、この位置指令値によってサーボ手段がモータの位置を制御するようにしたので、容易に振動抑制可能な修正軌道によって修正目標位置への駆動制御を行うことができる。
また、本発明の請求項2によるモータ制御装置は、請求項1において、前記軌道生成手段は、時系列に沿って求めた複数の前記補正軌道情報を前記第2の記憶手段に記憶し、前記位置指令出力手段は、前記第1の記憶手段に記憶された軌道情報と、前記第2の記憶手段に記憶された複数の補正軌道情報とを順次加算し、これらの加算結果を順次新たな位置指令値とすることを特徴としている。
また、本発明の請求項3によるモータ制御装置は、請求項1において、前記第1の記憶手段に記憶された前回の軌道情報と、前記軌道生成手段によって今回求められた軌道情報との加算結果を軌道情報として前記前回の軌道情報に上書きする加算手段を更に備えたことを特徴としている。
上記の請求項2または3に記載の構成によれば、時系列に沿って複数の軌道補正処理を行うことができる。
以上説明したように本発明のモータ制御装置によれば、機械系の駆動制御中に目標位置が変わることにより残留振動を抑制するための移動量が変化した場合でも、最適な軌道情報を生成することを可能とするよって機械系を目標位置に正確に駆動制御することができるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の本実施の形態に係るモータ制御装置を用いたサーボシステムの構成を示すブロック図である。但し、図1に示す本実施の形態において、図7に示した従来例の各部に対応する部分には同一符号を付す。
図1に示すサーボシステム100は、軌道生成部1、サーボドライバ2及びエンコーダ4を有するモータ制御装置102と、モータ3と、負荷機械5とを備えて構成されている。
軌道生成部1は、機械全体の制御を行う図示せぬ上位システムの上位コントローラから移動量を指示値として受け取り、制御対象の負荷機械5の特性に合わせた移動軌道の情報を生成する。この生成された軌道情報は、時間に対する関数のような形式で生成される。例えば、上式(1)のような形式を取る。この軌道情報は、時間に従い、サーボドライバ2に位置指令値として与えられる。
サーボドライバ2は、与えられた位置指令値にモータ位置を追従させるようにモータ3に流す電流値を制御する。また、サーボドライバ2は、エンコーダ4よりモータ位置情報をデータとして受け取ることにより位置指令値とモータ位置との誤差を求め、この誤差をなくすようにモータ3を制御する。
モータ3は、サーボドライバ2から3相の電流が給電されることによって回転する。また、モータ3は、エンコーダ4と呼ばれる回転位置を検出する検出器が取り付けられており、エンコーダ4で検出されたモータ回転位置情報がサーボドライバ2へ送られる。モータ3の回転トルクは負荷機械5へ伝えられ、これによって負荷機械5が所望の動作を行う。
軌道生成部1は、上式(1)に基づいて軌道生成を行う。上位システムより位置指令値としてaが与えられ、その間の移動時間Tとすると、最高速度には時間T/2で達するため、最高速度Vmaxと移動時間Tとの関係は次式(4)のようになる。
=(15/8)×(a/Vmax) …(4)
最高速度Vmaxが条件として与えられている場合は、式(4)より与えられた位置指令値aより最適な移動時間Tを求め、上式(1)より時間と位置指令値のテーブルを作成する。この位置指令値のテーブルの内容は、その時間に従い順次出力されてサーボドライバ2へ与えられる。
軌道生成部1の構成を図2に示す。図2において、上位インタフェース部11は上位システムとの間で、負荷機械5の移動に関する指示の受け取り及び移動動作完了のステータスの返送を行う。受け取った負荷機械5の移動量の情報は、軌道演算部12へ送られ、ここで上式(1)に従い軌道演算を行う。この場合、制御する負荷機械5の特性、例えば、負荷慣性などを機械系特性記憶部13より読み込んで軌道演算に用いる。
演算された軌道情報は、軌道パターン記憶部14に書き込まれて記憶される。この記憶された軌道パターンは、加算器17を介して、時系列データとして位置指令出力部16よりサーボドライバ2へ出力され、負荷機械5を駆動する。位置指令出力部16は、一連の位置指令出力が完了し、サーボドライバ2から一定位置範囲内にモータ位置が収まったことを示す信号を受け取ると、上位システムに対して負荷機械5の移動動作が完了したことを通知する。なお、加算器17は、位置指令出力部16の中に組み込まれていてもよい。
上位インタフェース部11が負荷機械5の移動完了前に上位システムより新たな移動指示を受け取ると、この情報は軌道演算部12へ補正移動量bとして送られる。軌道演算部12は、位置指令出力部より現在までの移動時間情報Tを受け取る。この2つの情報より式(1)と同様な次式(5)により補正軌道パターンを生成し、補正軌道パターン記憶部15へ書き込んで記憶する。
Figure 0004228878
位置指令出力部16は、最初に書き込まれた軌道パターン記憶部14の情報と、負荷機械5の動作後に書き込まれた位置補正情報である補正軌道パターン記憶部15の情報とが、加算器17で加算された加算値を、サーボドライバ2へ与えることによって補正された移動位置へ負荷機械5を駆動する。
図3は、モータ制御装置102の構成要素であるサーボドライバ2の構成を示すブロック図である。つまり、図3は、モータ3を位置制御し、また、負荷機械5をモータ3で駆動制御する場合のサーボドライバ2の回路構成の一般例を示すものである。
この図3において、符号21はモータ3の回転位置を制御する位置制御回路、符号22はモータ3の回転速度を制御する速度制御回路、符号23はモータ3へ印加する電流を制御する電流制御回路、符号24はモータ3を駆動するPWMインバータ、符号25はモータ3に流れる各相電流をディジタル量に変換するA/D(Analog/Digital)変換器で構成された電流検出器、符号26はエンコーダ4からのモータ回転位置情報を微分することによってモータ回転速度を求める微分器である。
次に、軌道生成部1の軌道生成処理の動作を、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、軌道生成部1は、動作を開始すると上位システムからの位置指示を受け取るまで待ち状態となる(ステップ301)。ここで、上位システムからの位置指示を受け取ると、上式(4)により移動時間Tを求め、これと、上位システムより受け取った移動量aとにより式(1)を基に軌道演算を行う(ステップ302)。
次に、その演算により求めた軌道パターン情報を軌道パターン記憶部14へ書き込む(ステップ303)。これと同時に、軌道パターン記憶部14の内容を、時系列的に位置指令出力部16を介してサーボドライバ2への出力を開始する(ステップ304)。サーボドライバ2の動作開始後は、負荷機械5に駆動動作完了するか(ステップ305)、上位システムからの補正位置指示が送られて来るか(ステップ306)、を監視する。
ここで、動作完了すれば動作完了を上位システムへ通知して一連の駆動動作を終了する(ステップ310)。一方、動作完了前に補正位置指示を受け取ると、受け取った補正位置情報bより現在の経過移動時間Tを用いて上式(5)より補正軌道パターン演算を行う(ステップ307)。導出された補正軌道パターンは補正軌道パターン記憶部15へ書き込む(ステップ308)。この書き込みにより軌道パターンに補正軌道パターンが重畳された形で、位置指令出力部16よりサーボドライバ2へ時系列的に出力される。補正位置も考慮された負荷機械5の動作完了を待ち(ステップ309)、全体の動作が完了すれば動作完了を上位システムへ通知する(ステップ310)。
このような本実施の形態のモータ制御装置によれば、駆動制御する機械系の共振振動が励振されることを抑制する軌道情報に従って位置制御を行う際に、駆動制御中における目標位置の変更が発生しても元々の目標位置との補正位置に対する共振振動を抑制する補正軌道パターンを生成し、この軌道パターンを元来の軌道パターンに重畳する手段15,17を設けたことにより、容易に振動抑制可能な修正軌道により修正目標位置への駆動制御を行うことができる。
この他、上記実施の形態の第1の変形例として、図5にモータ制御装置における軌道生成部の構成をブロック図で示す。この図5に示す軌道生成部1が図2に示したものと異なる点は、補正記憶パターン部15が複数の補正軌道情報を記憶でき、軌道パターン記憶部14の情報と複数の補正軌道情報の加算結果が、サーボドライバ2へ与えられるよう構成したことにある。
また、上記実施の形態の第2の変形例として、図6にモータ制御装置における軌道生成部の構成をブロック図で示す。この図6に示す軌道生成部1が図2に示したものと異なる点は、軌道演算部12で生成された補正軌道情報が、軌道パターン記憶部14に既に書き込まれている情報と加算され、再書込みできるように構成されている。
これら第1及び第2の変形例の何れの場合においても、複数の軌道補正処理に対して対応することができる。
本発明の本実施の形態に係るモータ制御装置を用いたサーボシステムの構成を示すブロック図である。 上記実施の形態のモータ制御装置における軌道生成部の構成を示すブロック図である。 上記実施の形態のモータ制御装置におけるサーボドライバの構成を示すブロック図である。 上記実施の形態のモータ制御装置による軌道生成処理の動作を説明するためのフローチャートである。 上記実施の形態の第1の変形例によるモータ制御装置における軌道生成部の構成を示すブロック図である。 上記実施の形態の第2の変形例によるモータ制御装置における軌道生成部の構成を示すブロック図である。 従来のモータ制御装置における軌道生成部の構成を示すブロック図である。 一般的に軌道生成部で生成される軌道パターンの軌跡を示す図である。
符号の説明
1 軌道生成部
2 サーボドライバ
3 モータ
4 エンコーダ
5 負荷機械
11 上位インタフェース部
12 軌道演算部
13 機械系特性記憶部
14 軌道パターン記憶部
17 加算器
16 位置指令出力部
21 位置制御回路
22 速度制御回路
23 電流制御回路
24 PWMインバータ
25 電流検出器
26 微分器
100 サーボシステム
102 モータ制御装置

Claims (3)

  1. 負荷機械を駆動するモータの位置及び速度の少なくとも1つと、前記モータに流れる電流値とから当該モータへ供給する電圧値及び電流値の少なくとも1つを求めて当該モータを駆動するサーボ手段と、上位システムより送られて来る前記負荷機械に対する操作量から残留振動を抑制する当該負荷機械の移動の軌道情報を求め、この求められた軌道情報を第1の記憶手段に記憶する軌道生成手段と、前記記憶された軌道情報に応じて時系列的に位置指令値を生成する位置指令出力手段と、この手段からの位置指令値に応じて前記サーボ手段が前記モータの位置を制御するモータ制御装置において、
    前記軌道生成手段は、前記上位システムから前記負荷機械への補正操作量の指示を受け取った場合に、現在の経過移動時間より目標到達残り時間を求め、この求められた残り時間をもとに補正操作量に対応する負荷機械の残留振動を抑制するための移動の補正軌道情報を求め、この補正軌道情報を第2の記憶手段に記憶し、
    前記位置指令出力手段は、前記第1の記憶手段に記憶された軌道情報と、前記第2の記憶手段に記憶された補正軌道情報とを加算し、この加算結果を新たな位置指令値とする
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記軌道生成手段は、時系列に沿って求めた複数の前記補正軌道情報を前記第2の記憶手段に記憶し、
    前記位置指令出力手段は、前記第1の記憶手段に記憶された軌道情報と、前記第2の記憶手段に記憶された複数の補正軌道情報とを順次加算し、これらの加算結果を順次新たな位置指令値とする
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記第1の記憶手段に記憶された前回の軌道情報と、前記軌道生成手段によって今回求められた軌道情報との加算結果を軌道情報として前記前回の軌道情報に上書きする加算手段
    を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
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