JP4228345B2 - 光触媒およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、可視光の照射により光触媒活性を発現する光触媒およびその製造方法に関する。
【0002】
背景技術
酸化チタンを始めとする光触媒は、紫外線の照射により、酸化分解活性あるいは親水性などの優れた光触媒活性を発揮することが知られている。そのような性質を利用した用途としては、自己浄化材料、防曇材料、水分解による水素の生成等が挙げられる。
【0003】
一方、太陽光および室内照明(例えば蛍光灯)の光は、紫外線を含有するものの、それよりもはるかに高い光強度で可視光を含んでいる。したがって、可視光を光触媒に吸収させて光触媒活性を発現させることにより、太陽光および室内照明光をより高い効率で利用して光触媒活性を向上させることが望まれている。可視光による光触媒活性に関する技術としては、例えば以下のものが知られている。
【0004】
酸素欠陥を有する二酸化チタンにより、少なくとも400〜600nmの可視光照射下でNOx酸化活性を得ることが知られている(例えば、特許第3252136号公報(特許文献1)参照)。この酸素欠陥の導入は、二酸化チタンを希ガス類元素プラズマ処理することにより行われている。
【0005】
また、酸化チタン結晶において、酸素サイトの一部を窒素原子で置換し、かつチタンサイトの一部をバナジウム等の金属元素で置換することにより、可視光による光触媒活性を得ることが知られている(例えば、特開2001−205104号公報(特許文献2)参照)。
【0006】
さらに、ランタン等の遷移金属を含むオキシナイトライドからなる光触媒により、可視光による光触媒活性が得られることが知られている(例えば、特開2002−66333号公報(特許文献3))。また、カルシウムを添加したオキシナイトライドであるCa0.25La0.75TiO2.25N0.75が可視光照射により水の分解性能を発揮することも知られている(堂免一成ら,「日本化学会 2001年年会(春)予稿集」,p.365(非特許文献1)参照)。
【0007】
【特許文献1】
特許第3252136号公報
【特許文献2】
特開2001−205104号公報
【特許文献3】
特開2002−66333号公報
【非特許文献1】
堂免一成ら,「日本化学会 2001年年会(春)予稿集」,p.365
【0008】
【発明の概要】
本発明者らは、今般、ABOの式で表されるペロブスカイト型結晶構造を有する光触媒であって、Aサイトに二価の金属MIIおよび三価の金属MIIIを有し、Bサイトにチタンを有し、Oサイトに酸素原子および窒素原子を有する特定組成のものが、可視光の照射により高い光触媒活性を発現するとの知見を得た。例えば、SrTiOの式で表されるペロブスカイト型結晶であって、ストロンチウムの一定量をランタンで置換し、かつ酸素原子の一定量を窒素原子で置換したものが、可視光の照射により高い光触媒活性を発現するとの知見を得た。
【0009】
したがって、本発明は、可視光の照射下において高い光触媒活性を発現することができる光触媒を提供することを目的としている。
【0010】
すなわち、本発明の光触媒は、下記式(I)で表されるペロブスカイト型構造を有する結晶からなる、光触媒:
II 1−xIII TiO3−y (I)
(式中、MIIは、Sr、Ca、Mg、Ba、Be、およびRaからなる群から選択される二価の金属であり、MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択される三価以上の金属であり、0<x<0.2であり、0<y<3であり、y≧zである)。
【0011】
また、本発明の光触媒の第一の態様による製造方法は、
Sr、Ca、Mg、Ba、Be、およびRaからなる群から選択される二価の金属と、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択される三価以上の金属と、Tiとを含んでなる固形物を用意し、
該固形物を焼成して、ペロブスカイト型構造を有する結晶を生成させ、
該結晶をアンモニア含有雰囲気下で500〜800℃で熱処理し、その後、
該結晶を酸素含有雰囲気下で300〜650℃で熱処理すること
を含んでなる。
【0012】
さらに、本発明の光触媒の第二の態様による製造方法は、
Sr、Ca、Mg、Ba、Be、およびRaからなる群から選択される二価の金属と、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択される三価以上の金属と、Tiとを含んでなるペロブスカイト型結晶を用意し、
該結晶に窒素原子を含む気体またはプラズマを接触させて、前記結晶に窒素原子をドーピングすること
を含んでなる。
【0013】
【発明の具体的説明】
光触媒
本発明の光触媒は、式(I):MII 1−xIII TiO3−yで表されるペロブスカイト型構造を有する結晶からなる。ここで、MIIは二価の金属であり、MIIIは三価以上の金属である。ペロブスカイト型構造はABOとの一般式で表される結晶構造であり、その構造は図1に示される。図1に示される立方体において、立方体の中心がAサイトであり、立方体の頂点がBサイトであり、各辺の中心がOサイトである。本発明の光触媒は、図1に示されるペロブスカイト型構造において、Aサイトに二価の金属MIIおよび三価の金属MIIIを有し、BサイトにTiを有し、Oサイトに酸素原子および窒素原子を有する。Aサイト1モルに占める三価の金属MIIIのモル比率(すなわち式(I)のx)は0より大きく0.2未満である。Oサイトには、酸素原子の代わりに窒素原子を有するサイトのみならず、酸素原子が単に欠落しただけの空席のサイト(以下、このサイトを酸素欠陥という)が存在することがある。したがって、Oサイト3モルに占める酸素原子を有しないサイトのモル比率(すなわち式(I)のy)は、Oサイト3モルに占める窒素原子のモル比率(すなわち式(I)のz)と同じであるとは限らず、酸素欠陥があるとその分だけ大きくなる。すなわち、yはz以上の値を有する。なお、係数yは0より大きく3未満の値をとることができる。このような結晶構造を有する本発明の光触媒は、可視光の照射により予想外に高い光触媒活性を発現することができる。
【0014】
このような可視光による光触媒活性が得られる理由は定かではないが、次のように予想される。但し、以下の理論はあくまで予想であって、本発明はこの理論に限定されるものではない。まず、本発明の光触媒は、Bサイトにチタンを有し、Oサイトに酸素を有し、なおかつAサイトに二価の金属MIIを有することにより、ペロブスカイト型構造の酸化物結晶とされてなる。このペロブスカイト型酸化物結晶は、電子および正孔による高い還元力および酸化力を有しており、光触媒として機能するとともに、結晶内にある種の元素がドーピングされた場合であってもその光触媒活性を保持することができると考えられる。本発明の光触媒にあっては、この結晶構造のOサイトの一部に窒素がドーピングされる。これにより、光触媒は、そのバンド構造が変化して、紫外線よりも長波長側の可視光を吸収できるようになる。さらに、本発明の光触媒にあっては、Aサイトの一部に三価以上の金属MIIIがドーピングされることにより、可視光による光触媒活性が著しく向上する。この可視光による予想外に高い光触媒活性は、結晶内への三価以上の金属MIIIのドーピングにより、光触媒活性の低下をもたらす酸素欠陥を実質的に無くすか、あるいは有意に低減することができたためではないかと考えられる。なお、酸素欠陥は、Oサイトへの窒素のドーピングの際に、Oサイトから酸素が過剰に欠落することにより主として形成されるものと考えられる。
【0015】
チタン酸ストロンチウムをベースとするSr1−xLaTiO3−yの組成を有するペロブスカイト型結晶を例にとり、より具体的に説明する。まず、チタン酸ストロンチウムのバンド構造を図2(a)に示す。チタン酸ストロンチウムのバンド構造は、酸化チタンと同様に、伝導帯がチタンの3d軌道、価電子帯が酸素の2p軌道で構成される。伝導帯と価電子帯との間のバンドギャップ、すなわち禁制帯の幅は3.2eVである。このチタン酸ストロンチウムのOサイトに窒素をドーピングすると、図2(b)に示されるように、窒素の2p軌道が酸素の2p軌道で形成される価電子帯よりも負の位置に不純物準位を形成するか、あるいは窒素の2p軌道と酸素の2p軌道が混成して価電子帯が負のポテンシャル方向に広がる。その結果、バンドギャップが狭くなる。バンドギャップが狭くなるということは、酸化チタンの場合と比較して、より低いエネルギーを吸収して励起されうることを意味する。したがって、窒素原子が導入されたチタン酸ストロンチウムは紫外線よりもエネルギーの小さい可視光を吸収して励起されることが可能となる。ここで、窒素原子の結晶内への導入は還元雰囲気下で酸素原子を窒素原子で置換することにより通常行われるが、その際、導入される窒素1モルに対して、1モル以上の酸素原子が欠落してしまう。すなわち、Oサイトの一部に酸素原子および窒素原子のいずれも存在しない、酸素欠陥が生成される。この酸素欠陥は、図2(b)に示されるように、バンド構造に酸素欠陥の準位(Ti3+)の形成をもたらす。この酸素欠陥の準位は伝導帯よりも深い位置に存在するため、バンド間遷移で励起した電子正孔対の再結合をもたらし、その結果光触媒の効率を低下させる。本発明の光触媒においては、Aサイトに3価以上の金属MIIIが一定量ドーピングされることにより、活性低下の原因となる酸素欠陥の生成を抑制して、図2(c)に示されるように酸素欠陥の準位(Ti3+)の形成を抑制する。以上のようにして、本発明の光触媒は、可視光の照射により高い光触媒活性を発現するものと考えられる。
【0016】
本発明の光触媒における二価の金属MIIは、Sr、Ca、Mg、Ba、Be、およびRaからなる群から選択されるものであり、好ましくはSrである。これらの二価の金属は、チタンおよび酸素とともにペロブスカイト型構造MIITiOを与えることにより、可視光による光触媒活性の発現に寄与する。
【0017】
本発明の光触媒における三価以上の金属MIIIは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択されるものであり、好ましくはLa、Y、およびNdであり、より好ましくはLaである。これらの三価以上の金属MIIIは、イオン半径がSr2+に近く、禁制帯内に準位を形成しないと考えられる金属であり、光触媒活性を低下させる酸素欠陥の生成を抑制することができる。
【0018】
本発明の光触媒におけるAサイト1モルに占める三価の金属MIIIのモル比率、すなわち式(I)の係数xは、0より大きく0.200未満であり、上限は好ましくは0.190、より好ましくは0.100、最も好ましくは0.007であり、下限は好ましくは0.001、より好ましくは0.003である。このような範囲内であると、可視光による光触媒活性が向上する。この比率xの値は、X線光電子分光法(XPS)、二次イオン質量分析法(SIMS)、オージェ分光スペクトル、ICP発光分析、X線マイクロアナライザ(EPMA)、および蛍光X線等の機器分析を用いて、直接分析することができる。
【0019】
本発明の光触媒におけるOサイト3モルに占める窒素原子Nのモル比率、すなわち式(I)の係数zは0より大きく3未満であり、上限は好ましくは1、より好ましくは0.200、さらに好ましくは0.020であり、下限は好ましくは0.001である。このような範囲内であると、バンドギャップを充分に狭くすることができ、可視光による光触媒活性を向上させる。この比率zの値は、X線光電子分光法(XPS)、二次イオン質量分析法(SIMS)、オージェ分光スペクトル、ICP発光分析、X線マイクロアナライザ(EPMA)、および蛍光X線等の機器分析を用いて、直接分析することができる。
【0020】
紫外可視吸収スペクトルにおける波長420nmにおける吸収率が5%以上、好ましくは5〜60%、より好ましくは10〜30%である。この波長420nmにおける吸収率は、結晶中に含まれる窒素の含有量が高い程大きくなるため、窒素含有量を表す指標として利用することができると考えられる。すなわち、紫外可視吸収スペクトルにおける波長420nmにおける吸収率が上記範囲内であると、光触媒はその結晶中に充分な量の窒素を含有しており、それにより優れた可視光による光触媒活性が得られる。
【0021】
紫外可視吸収スペクトルにおける波長550nmにおける吸収率が45%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。この波長550nmにおける吸収率は、結晶中に含まれる酸素欠陥の量が高い程大きくなるため、酸素欠陥の量を表す指標として利用することができると考えられる。すなわち、紫外可視吸収スペクトルにおける波長550nmにおける吸収率が上記範囲内であると、光触媒はその結晶中に充分に低減された量の酸素欠陥を含有するか、もしくは実質的に酸素欠陥を含有しておらず、それにより優れた可視光による光触媒活性が得られる。
【0022】
本発明の好ましい態様によれば、光触媒の表面にPt、Pd、Ag、Cu、Au、およびNiからなる群から選択される金属を担持させて光触媒複合体とすることができる。これにより、光触媒活性をさらに向上させることができる。特に好ましい金属はAgおよびCuであり、これらの金属が担持された本発明の光触媒は優れた抗菌性および/または防藻性を発揮することができる。
【0023】
本発明の好ましい態様によれば、光触媒をシロキサン結合を有する化合物と組み合わせて光触媒複合体とすることができる。シロキサン結合を有する化合物は、その表面に水との親和性の高いシラノール基を有している。そのため、本発明の光触媒と組み合わせることにより、光触媒の暗所における親水性を維持させる機能を向上させることができる。シロキサン結合を有する化合物の好ましい例としては、シリカ、シリコーン、アルキルシリケート、アルカリシリケート、アクリルシリコーン、およびアルミノシリケート化合物が挙げられる。
【0024】
本発明の光触媒は、可視光を効率的に吸収することにより、可視光の照射下において高い光触媒活性を発現する。具体的には、本発明の光触媒は、可視光の照射により高い酸化分解活性を示す。また、本発明の光触媒は、可視光の照射により光誘起親水化反応も発現できると考えられる。
【0025】
可視光の波長は一般的に380〜780nmであるとされている。本発明において照射光は400〜500nmの波長を含むのが好ましい。可視光の照射源の具体例としては、太陽光、蛍光灯および白熱電球等の室内照明の光、水銀ランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプなどが挙げられる。これらの光源は可視光以外に紫外線を含むものであってよいことは言うまでもない。なお、太陽光には、窓から入射する太陽光および太陽光の散乱光も含まれるものとする。
【0026】
このような本発明の光触媒は、大気浄化や水質浄化等の環境浄化、防曇、防汚、自己浄化の用途に好ましく利用することができる。本発明による光触媒の製造方法を以下に説明する。
【0027】
第一の態様による製造方法
本発明の第一の態様による製造方法にあっては、まず、Sr、Ca、Mg、Ba、Be、およびRaからなる群から選択される二価の金属と、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択される三価以上の金属と、Tiとを含んでなる固形物を用意する。このような固形物は、ゾルゲル法あるいは固相反応法などの手法により作製することができる。
【0028】
本発明の好ましい態様によれば、上記固形物の作製が、二価の金属を含有する化合物と、三価以上の金属を含有する化合物と、Tiを含有する化合物とを溶媒に溶解して、加水分解させて加水分解生成物を得ることにより行われるのが好ましい。二価の金属を含有する化合物、三価以上の金属を含有する化合物、およびTiを含有する化合物の各々は、金属塩、アルコキシド、キレート化合物、およびアセテート化合物から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
【0029】
本発明の別の好ましい態様によれば、上記固形物の作製が、二価の金属を含有する化合物と、三価以上の金属を含有する化合物と、Tiを含有する化合物とを混合して混合物を得ることにより行われるのが好ましい。二価の金属を含有する化合物、三価以上の金属を含有する化合物、およびTiを含有する化合物の各々は、金属塩、アルコキシド、キレート化合物、およびアセテート化合物から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
【0030】
本発明の製造方法にあっては、上記のようにして得られた固形物を焼成して、ペロブスカイト型構造を有する結晶を生成させる。焼成温度および焼成時間はペロブスカイト型結晶を生成できる温度または時間であれば限定されないが、好ましい焼成温度は400〜1300℃、より好ましくは700〜1000℃であり、好ましい焼成時間は10分〜24時間、より好ましくは30分〜2時間である。また、焼成の際の雰囲気は、酸素を含有する雰囲気であれば限定されず、例えば大気中で行うことができる。なお、固形物が有機物を含んでいる場合、この焼成により有機物が燃焼して除去される。
【0031】
本発明の製造方法にあっては、得られた結晶をアンモニア含有雰囲気中で500〜800℃、好ましくは600〜800℃、より好ましくは700〜800℃で熱処理する。これにより、ペロブスカイト型結晶のOサイトに窒素を適切な量ドープして、可視光による光触媒活性を結晶に付与することができる。上記温度範囲内で熱処理することにより、結晶を窒化物へ相転移させることなく窒素のドーピングを適切に行うことができる。加熱時間は適切な量の窒素をドーピングすることができる時間であれば限定されないが、好ましくは10分〜24時間、より好ましくは30分〜2時間である。アンモニア含有雰囲気は、アンモニア単独であってもよいし、あるいはアンモニアと窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの混合気流を用いてもよい。また、アンモニア気流中での熱処理の前に、非晶質や不純物を取り除くために、粉体を酸やアルカリ等で洗浄してもよい。
【0032】
本発明の製造方法にあっては、窒素がドーピングされた仮焼体を、大気などの酸素含有雰囲気下で300〜650℃、好ましくは500〜650℃、より好ましくは550〜650℃で熱処理する。これにより、酸素欠陥を充分に低減して、可視光による光触媒活性を向上させることができる。加熱時間は酸素欠陥を充分に低減することができる時間であれば限定されないが、好ましくは10分〜24時間、より好ましくは30分〜2時間である。また、前記大気中での熱処理の前に、非晶質や不純物を取り除くために、粉体を酸やアルカリ等で洗浄してもよい。このようにして、本発明の光触媒が得られる。
【0033】
第二の態様による製造方法
本発明の第二の態様による製造方法にあっては、まず、Sr、Ca、Mg、Ba、Be、およびRaからなる群から選択される二価の金属と、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択される三価以上の金属と、Tiとを含んでなるペロブスカイト型結晶を用意する。このような結晶は、気相成長法などの手法により作製することができる。
【0034】
本発明の好ましい態様による気相成長法による上記ペロブスカイト結晶の作製は、二価の金属を含有する化合物と、三価以上の金属を含有する化合物と、Tiを含有する化合物とを用いて、気相成長法を行い、ペロブスカイト型結晶からなる固形物を析出させることにより行うことができる。気相成長法の好ましい例としては、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、およびMBE法が挙げられる。
【0035】
本発明の第二の態様による製造方法にあっては、上記のようにして得られた結晶に窒素原子を含む気体またはプラズマを接触させて、結晶に窒素原子をドーピングすることにより、本発明の光触媒を得ることができる。
【0036】
コーティング組成物
本発明のコーティング組成物は、本発明の光触媒またはその前駆体を基材上に塗布して、光触媒を基材上に担持させるための組成物である。
【0037】
本発明の好ましい態様によれば、コーティング組成物は、本発明の光触媒と、溶媒とを含んでなる。溶媒は、光触媒が分散するものであれば限定されず、その具体例としては、水、アルコール類、エーテル類、アセトン、2−ブタノン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族、芳香族、脂環式の炭化水素、石油類等の一般的な溶媒、およびこれらの組合せが挙げられる。この態様のコーティング組成物は、光触媒が溶媒中に分散されたゾルであってよい。
【0038】
本発明の好ましい態様によれば、コーティング組成物は、バインダーをさらに含んでなることができる。バインダーの好ましい例としては、シロキサン結合を有する化合物が挙げられ、その具体例としては、水ガラス等のアルカリシリケート、コロイダルシリカ、アルミノシリケート化合物が挙げられる。アルミノシリケート化合物は、シリケート化合物のSiの一部をAlで置換した化合物である。アルミノシリケート化合物は、電荷を補償するためにH+やLi+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+などのアルカリ金属イオンやBe2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+などのアルカリ土類金属イオンをさらに含有していてもよく、そのような化合物例としては、ゼオライトが挙げられる。また、シロキサン結合を有する化合物として、シリコーンエマルジョンを用いることもできる。また、バインダーの別の好ましい例として、フッ素樹脂エマルジョンが挙げられる。フッ素樹脂エマルジョンを含む塗膜は化学的安定性が高く、また、耐候性も高い。
【0039】
本発明の好ましい態様によれば、コーティング組成物はフィラーをさらに含んでなることができる。フィラーの好ましい例としては、一般的に使われるウィスカー、マイカ、タルクなどが挙げられる。本発明の好ましい態様によれば、コーティング組成物は着色顔料をさらに含んでなることができる。好ましい着色顔料は、無機系の着色顔料であり、その具体例としては、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、酸化クロム、コバルトブルー、鉄黒などの金属酸化物系、アルミナホワイト、黄色酸化鉄などの金属水酸化物系、紺青などのフェロシアン化合物系、黄鉛、ジンクロメート、モリブデンレッドなどのクロム酸鉛系、硫化亜鉛、朱、カドミウムイエロー、カドミウムレッドなどの硫化物、セレン化合物、バライト、沈降性硫酸バリウムなどの硫酸塩系、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウムなどの炭酸塩系、含水珪酸塩、クレイ、群青などの珪酸塩系、カーボンブラックなどの炭素系、アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛粉などの金属粉系、雲母・酸化チタン系などのパール顔料系などが挙げられる。本発明の好ましい態様によれば、コーティング組成物は増粘剤、または界面活性剤をさらに含んでなるものであってもよい。
【0040】
本発明の別の好ましい態様によれば、コーティング組成物は、本発明の光触媒の前駆体として、二価の金属を含有する化合物と、三価以上の金属を含有する化合物と、Tiを含有する化合物と、これらの化合物が溶解または分散される溶媒とを含んでなる。この態様のコーティング組成物を加水分解させて加水分解生成物を生成させ、さらに本発明の第一の態様の製造方法を行うことにより、光触媒を基材上に担持することができる。溶媒の好ましい例としては、アルコールなどの非水溶媒が挙げられ、その具体例としてはエタノール、プロパノール、イソプロパノール、およびブタノールが挙げられる。本発明の好ましい態様によれば、二価の金属を含有する化合物、三価以上の金属を含有する化合物、およびTiを含有する化合物の各々は、金属塩、アルコキシド、キレート化合物、およびアセテート化合物から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
【0041】
【実施例】
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
例1
光触媒の原料として、Ti源であるチタンテトライソプロポキシド、Sr源であるジエチルヘキサン酸ストロンチウム、La源であるジエチルヘキサン酸ランタン、およびアセチルアセトンを用意した。これらの原料を表1に示されるTi、SrおよびLaモル比となるように、希釈剤であるイソプロパノールに添加して混合した。このとき、アセチルアセトンはTi原子と等モル量になるように添加した。また、イソプロパノールは上記原料全体の濃度が30重量%となるような量添加した。このようにして、試料1〜10の各々について透明な混合液を得た。
【0043】
試料2〜10の各々について混合液の入ったビーカーを表面温度150℃のホットプレート上に設置し、16時間乾燥させて粉末を得た。この粉末を大気中850℃で1時間で焼成した後、乳鉢で粉砕して仮焼体粉末を得た。得られた仮焼体粉末をアルミナ製のボートの上に載せ、管状炉に設置した。管状炉内がアンモニアおよび窒素の混合気体で常に満たされるように、アンモニアガスを100cc/分で、窒素ガスを100cc/分で同時に1時間炉内に流した。引き続き、混合気体気流を維持しながら、仮焼体粉末を750℃で2時間熱処理した後、室温まで冷却した。この粉末を大気中で600℃で1時間の熱処理を行い、淡黄色ないし緑色の粉末を得た。
【0044】
一方、比較のため、Laを添加しないこと、およびアンモニア気流中および大気中での熱処理を行わないこと以外は、試料2〜10と同様にして試料1を作製した。得られた粉末は白色であった。
【0045】
試料1〜10の作製条件を表1に示す。なお、表1に示されるLa/(Sr+La)は式(I)におけるxに対応する。
【0046】
【表1】
Figure 0004228345
【0047】
得られた試料1〜10についてXRDによって結晶構造を評価した。その結果、試料1〜10の全てがペロブスカイト型構造であることが確認された。
【0048】
また、得られた試料1および4の組成をX線光電子分光装置(XPS:Kratos社、Axis-HS)を用いて、以下のようにして測定した。まず、粉末状の試料をカーボン粘着テープ上に固定した。XPSの真空チャンバー内で、アルゴンイオンスパッタリングによって表面を清浄化した後、結合エネルギーの分析を行った。測定条件は以下の通りとした。
アルゴンイオンスパッタリングの加速電圧:4.5kV
エミッション電流:20mA
スパッタリング時間:1分間
XPS測定のX線源:Mgkα線
Take off angle:45°
【0049】
測定する元素の軌道はSr-3d、La-4d、Ti-2p、N-1s、O-1s、C-1sとした。表面に吸着した炭化水素に起因するC-1s軌道のピークが284.8 eVとなるように、各元素の結合エネルギーをシフトさせた。各元素の原子の割合は、得られた結合エネルギーのピーク面積に、Kratos社が推奨しているAtomic Sensitive Factorを掛けて導出した。こうして、各試料におけるSr、La、Ti、N、O、Cの原子割合を算出した。XPSによる測定結果を表2に示す。試料4にはLaとN原子が含まれており、LaはAサイト、窒素はOサイトにドープされていることが確認された。なお、試料4におけるLa/(Sr+La)、すなわち式(I)におけるx、の実測値は0.006であった。
【0050】
【表2】
Figure 0004228345
【0051】
次に、イソプロパノールが光触媒活性により酸化分解されるとの性質を利用して、試料1〜10の光触媒活性を以下のようにして測定した。まず、試料1〜10の粉末をガラス製のシャーレに均一に敷いた。このシャーレを800mLのガラス製の反応用セル内に設置した。セル内を相対湿度50%の合成空気で置換した。セル内にイソプロパノールを注入して、暗所で2時間放置した。次いで、試料に光照射を行いながら、イソプロパノールと、分解生成物であるアセトンおよび二酸化炭素の濃度変化を測定した。光源として250Wのキセノンランプ(林時計工業、LA-250Xe)を用い、紫外線カットフィルター(東芝硝子、Y-43)および長波長カットフィルター(東芝硝子、V-50)を介して400nm〜500nmの波長域の可視光を試料に照射した。こうして、光触媒にイソプロパノールを酸化分解させて、その分解生成物としてアセトンを発生させた。このアセトンの発生量を測定することにより、各試料の光触媒活性を評価した。なお、イソプロパノールの濃度は光触媒試料を設置しない状態で500ppmとなるように設定した。イソプロパノール、アセトン、および二酸化炭素の濃度はマルチガスモニタ(Innova社、1312)で測定した。
【0052】
試料1〜10について測定された酸化分解により発生したアセトンの発生量を図3に示す。図3に示されるように、試料2〜8において可視光による顕著な分解活性が得られた。一方、窒素およびランタンを含まない試料1は可視光による分解活性が低かった。また、La/(Sr+La)の割合が0.2以上である試料9および10は分解活性が低かった。
【0053】
例2
大気中における熱処理を表2に示される条件で行ったこと以外は、例1の試料7と同様にして、試料11〜13を作製した。これらの試料の作製条件を表3に示す。なお、表3に示されるLa/(Sr+La)は式(I)におけるxに対応する。
【0054】
【表3】
Figure 0004228345
【0055】
得られた試料11〜13の光触媒活性を例1と同様にして評価した。試料11〜13について測定されたアセトンの発生量を図4に示す。図4に示されるように、比較例である試料1と比較して、試料11〜13はいずれも、可視光による顕著な分解活性を示した。また、大気中での熱処理温度以外の条件が同一である、試料11〜13の分解活性と、例1に記載した試料4の分解活性とを比較すると、試料4の可視光活性が最も高かった。これらの結果から、可視光での高活性化を実現するためには、大気中での熱処理を600℃で行うことが好ましいことが分かる。
【0056】
例3
La源であるジエチルヘキサン酸ランタンの代わりに、Y源であるジエチルヘキサン酸イットリウムを用いたこと以外は、例1の試料3および4と同様にして、試料14および15を作製した。これらの試料の作製条件を表4に示す。なお、表4に示されるY/(Sr+Y)は式(I)におけるxに対応する。得られた試料の結晶構造をXRDによって評価したところ、いずれもペロブスカイト型構造であると確認された。
【0057】
【表4】
Figure 0004228345
【0058】
試料14および15について測定されたアセトンの発生量を図5に示す。図5に示されるように、窒素およびイットリウムがドーピングされているチタン酸ストロンチウム、すなわち試料14および15は、何もドーピングされていない試料1よりも、高い分解活性を示した。
【0059】
例4
La源であるジエチルヘキサン酸ランタンの代わりに、Nd源である塩化ネオジムを用いたこと以外は、例1の試料3および4と同様にして、試料16および17を作製した。これらの試料の作製条件を表5に示す。なお、表5に示されるNd/(Sr+Nd)は式(I)におけるxに対応する。得られた試料の結晶構造をXRDによって評価したところ、いずれもペロブスカイト型構造であると確認された。
【0060】
【表5】
Figure 0004228345
【0061】
試料16および17について測定されたアセトンの発生量を図6に示す。図6に示されるように、窒素およびネオジムがドーピングされているチタン酸ストロンチウム、すなわち試料16および17は、何もドーピングされていない試料1よりも、高い分解活性を示した。
【0062】
例5
例1〜4で作製した試料1〜8および11〜17について、紫外可視吸収スペクトルの測定を行った。具体的には、紫外可視分光光度計(日本分光(株)、Ubest-55)において、積分球ユニットを用い、拡散反射率(Rd %)を測定した。測定条件は以下の通りとした:
レスポンス:Fast
バンド幅:3.0nm
測定波長範囲:200 nm〜800 nm
走査速度:400 nm/min
得られた結果から吸収率α=100-Rd (%)を算出し、波長420 nmにおける吸収率α1、および波長550nmにおける吸収率α2を導出した。
【0063】
吸収率スペクトルの結果の一例として、試料1、4、および7の結果を図7に示す。また、全てのサンプルの吸収率α1およびα2の結果を表6に示す。この結果から、例1〜4で作製された試料は、比較例態様である例1の試料1以外は、いずれもα1が5%以上で、α2が40%以下であった。
【0064】
【表6】
Figure 0004228345
【0065】
例6
例1および2で作製した試料4および11〜13について、窒素のドーピング量の測定をX線光電子分光法(XPS)により測定した。具体的には、各試料について、光電子スペクトルを測定し、その結果からストロンチウムおよびランタンの合計モル量に対する、窒素のモル比率N/(Sr+La)を算出した。モル比率N/(Sr+La)は式(I)におけるzに対応する。この結果を図8に示す。なお、図8において、横軸は大気中での熱処理温度を示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光触媒における、ABOとの一般式で表されるペロブスカイト型構造構造を示す図である。同図において、立方体の中心がAサイトであり、立方体の頂点がBサイトであり、各辺の中心がOサイトである。
【図2】(a)はチタン酸ストロンチウムのバンド構造を示す図であり、(b)はOサイトに窒素をドーピングしたチタン酸ストロンチウムが採りうる二種類のバンド構造を示す図であり、(c)Oサイトに窒素、Aサイトに3価以上の金属をドーピングしたチタン酸ストロンチウムが採りうる二種類のバンド構造を示す図である。
【図3】例1において試料1〜10について得られた、イソプロパノールの分解生成物であるアセトンの発生量を示す図である。
【図4】例2において試料11〜13について得られた、イソプロパノールの分解生成物であるアセトンの発生量を示す図である。
【図5】例3において試料14および15について得られた、イソプロパノールの分解生成物であるアセトンの発生量を示す図である。
【図6】例4において試料16および17について得られた、イソプロパノールの分解生成物であるアセトンの発生量を示す図である。
【図7】例5において試料1、4、および7について測定された、吸収率スペクトルである。
【図8】例8において試料4および11〜13について測定された、モル比率N/(Sr+La)を示す図である。このモル比率N/(Sr+La)は式(I)におけるzに対応する。

Claims (17)

  1. 下記式(I)で表されるペロブスカイト型構造を有する結晶からなる、光触媒:
    II 1−xIII TiO3−y (I)
    (式中、MIIは、Sr、Ca、Mg、Ba、Be、およびRaからなる群から選択される二価の金属であり、MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択される三価以上の金属であり、0<x<0.2であり、0<y<3であり、y≧zである)。
  2. 前記二価の金属MIIがSrである、請求項1に記載の光触媒。
  3. 前記三価以上の金属MIIIがLa、Y、およびNdからなる群から選択される、請求項1または2に記載の光触媒。
  4. 紫外可視吸収スペクトルにおける波長420nmにおける吸収率が5%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光触媒。
  5. 紫外可視吸収スペクトルにおける波長550nmにおける吸収率が45%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光触媒。
  6. 可視光の照射により光触媒活性を示す、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光触媒。
  7. 太陽光または室内照明光の照射により光触媒活性を示す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光触媒。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光触媒と、該光触媒の表面に担持されるPt、Pd、Ag、Cu、Au、およびNiからなる群から選択される金属とを含んでなる、光触媒複合体。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光触媒と、シロキサン結合を有する化合物とを含んでなる、光触媒複合体。
  10. 前記シロキサン結合を有する化合物が、シリカ、シリコーン、アルキルシリケート、アルカリシリケート、およびアクリルシリコーンからなる群から選択される、請求項9に記載の光触媒複合体。
  11. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光触媒の製造方法であって、
    Sr、Ca、Mg、Ba、Be、およびRaからなる群から選択される二価の金属と、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択される三価以上の金属と、Tiとを含んでなる固形物を用意し、
    該固形物を焼成して、ペロブスカイト型構造を有する結晶を生成させ、
    該結晶をアンモニア含有雰囲気下で500〜800℃で熱処理し、その後、
    該結晶を酸素含有雰囲気下で300〜650℃で熱処理すること
    を含んでなり、
    前記固形物が、前記二価の金属を含有する化合物と、前記三価以上の金属を含有する化合物と、Tiを含有する化合物とを溶媒に溶解して、加水分解させることにより得られたものであり、
    前記焼成が、酸素含有雰囲気下で400〜1300℃で行われる、製造方法。
  12. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光触媒の製造方法であって、
    Sr、Ca、Mg、Ba、Be、およびRaからなる群から選択される二価の金属と、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択される三価以上の金属と、Tiとを含んでなる固形物を用意し、
    該固形物を焼成して、ペロブスカイト型構造を有する結晶を生成させ、
    該結晶をアンモニア含有雰囲気下で500〜800℃で熱処理し、その後、
    該結晶を酸素含有雰囲気下で300〜650℃で熱処理すること
    を含んでなり、
    前記固形物が、二価の金属を含有する化合物と、前記三価以上の金属を含有する化合物と、Tiを含有する化合物とを混合して得られたものであり、
    前記焼成が、酸素含有雰囲気下で400〜1300℃で行われる、製造方法。
  13. 前記二価の金属を含有する化合物、前記三価以上の金属を含有する化合物、およびTiを含有する化合物の各々が、金属塩、アルコキシド、キレート化合物、およびアセテート化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項11または12に記載の方法。
  14. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光触媒の製造方法であって、
    Sr、Ca、Mg、Ba、Be、およびRaからなる群から選択される二価の金属と、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択される三価以上の金属と、Tiとを含んでなるペロブスカイト型結晶を用意し、
    該結晶に窒素原子を含む気体またはプラズマを接触させて、前記結晶に窒素原子をドーピングすること
    を含んでなる、製造方法。
  15. 請求項1〜7のいずれか一項に記載される光触媒と、溶媒とを含んでなる、コーティング組成物。
  16. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光触媒を基材上に担持させるためのコーティング組成物であって、
    Sr、Ca、Mg、Ba、Be、およびRaからなる群から選択される二価の金属を含有する化合物と、
    Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択される三価以上の金属を含有する化合物と、
    Tiを含有する化合物と、
    前記化合物が溶解または分散される溶媒と
    を含んでなる、コーティング組成物。
  17. 前記二価の金属を含有する化合物、前記三価以上の金属を含有する化合物、およびTiを含有する化合物の各々が、金属塩、アルコキシド、キレート化合物、およびアセテート化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項16に記載のコーティング組成物。
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