JP4227719B2 - 工具の保持方法および加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転自在の主軸に工具を保持させてワークを加工する加工装置における工具の保持方法および加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許第2505534号には、光路中に置かれた工具の周囲を透過した光を受光する複数の受光素子と、所定の間隔で各受光素子の出力に対応する2値化信号の記憶、更新を行なう記憶回路を備えた第1の検出手段と、前記工具が1回転する間に、工具の影で覆われた受光素子の数の最大値を保持する保持回路と、保持された数から工具の径を算出する演算回路を備えた第3の検出回路を設けたことを特徴とする工具検出装置の技術が開示されている。また、光路中に置かれた工具の周囲を透過した光を受光する複数の受光素子と、所定の間隔で各受光素子の出力に対応する2値化信号の記憶、更新を行なう記憶回路を備えた第1の検出手段と、前記記憶回路に順次記憶された2値化信号のレベルの切替る位置の最上位と最下位を検出し、その差に基づいて、工具の偏心量を算出する演算回路を備えた第4の検出手段を設けたことを特徴とする工具検出装置の技術も開示されている。
【0003】
この技術に依れば、主軸に保持させた工具の直径あるいは工具の振れを確認することができるから、精度に優れる加工をすることができた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、主軸の軸線と主軸に設けられた工具保持部の軸線との間にはずれがあり、また、工具における軸部の軸線と刃部の軸線との間にはずれがある。このため、刃部の直径が公差内の工具であっても、主軸を回転させたときの工具(実質的には刃部)の振れが予め定められている許容値を超えることがある。そこで、精度に優れる加工をする場合には、加工に必要とされる工具の数に加えて予備の工具を多数準備しておかなければならず、大きな工具保管場所を必要とした。
【0005】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、主軸の回転の軸線と工具保持部の軸線との間あるいは工具における軸部の軸線と刃部の軸線との間にずれがある場合でも、予備の工具の数を最小限のものにすることができ、工具保管場所を小さくすることができる工具の保持方法および加工装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、工具の保持方法として、工具を保持させた回転自在の主軸を当該軸線の回りに少なくとも1回転させ、この間における前記工具の径方向の振れが予め定める範囲を超えた場合は、前記工具を当該軸線の回りに回して、または/および前記主軸を当該軸線の回りに回して、前記主軸が前記工具を保持する位置を回転方向に変更することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、回転自在の主軸に工具を保持させてワークを加工する加工装置において、工具の径方向の振れを検出する検出装置と、工具を載置する載置台と、前記主軸を当該軸線の回りに指定する角度回転させる手段または/および前記載置台を当該軸線の回りに指定する角度回転させる手段とを設けることを特徴とする。
【0008】
この場合、前記工具の前記主軸に対する相対的な位置の変更回数が予め定める値になった場合は、保持している工具を他の工具に交換するようにしてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1は本発明に係るプリント基板穴明機の斜視図、図2は工具保持部の断面図、図3は工具支持治具の構成図である。図1において、プリント基板1は、テーブル2に固定されている。テーブル2は、ベッド3に固定された一対の直線案内装置4に支持され、図示を省略するボールねじおよびモータ5により前後(X)方向に移動自在である。テーブル2の端部には、工具の径方向の振れを検出するための工具振れ検出装置6と後述する工具支持治具21とが固定されている。
【0010】
ベッド3に固定された門形のクロスレール7には、一対の直線案内装置8が固定されている。クロススライド11は、直線案内装置8に支持され、ボールネジ9およびモータ10により、左右(Y)方向に移動自在である。クロススライド11には、一対の直線案内装置12が固定されている。サドル15は、直線案内装置12に支持され、ボールネジ13およびモータ14により、上下(Z)方向に移動自在である。
【0011】
図2に示すように、サドル15には、ハウジング17が固定されている。ハウジング17の中心部には、主軸19が配置されている。主軸19は図示を省略する軸受に支持され、軸線O1の回りに回転自在である。主軸19の下端側には、主軸19と実質的に一体で、工具16を着脱自在に保持するコレットチャック20が配置されている。コレットチャック20は、工具16の軸部16sを保持する。
【0012】
図3において、上段は工具支持装置21の正面断面図、下段は平面図である。固定ポスト31はプレート30に固定されている。回転ポスト32は軸受33を介してプレート30に保持されている。固定ポスト31および回転ポスト32の内側に形成された大径穴34は、工具16の軸部16sに嵌合する径であり、小径穴35は刃部16cよりも大径である。大径穴34と小径穴35を接続する面36は、軸部16sと刃部16cを接続するテーパ面16tと同じ角度に形成されている。面36の軸線Pは、軸受33における内輪の回転の軸線に一致している。回転ポスト32の下面には歯車37が固定されている。歯車37はパルスモータ38の出力軸に固定された歯車39に係合している。パルスモータ38は、NC装置18から指令される角度回転する。パルスモータ38はテーブル2に固定されている。NC装置18は、予め入力される加工プログラムに従ってプリント基板穴明機の各部を制御する。
【0013】
次に、本発明の原理を説明する。
図4は、工具保持部の各部の寸法関係を示す摸式図である。ここで、主軸19の回転の軸線O1に対するコレットチャック20の軸線O2のずれをα、また、軸部16sの軸線O3に対する刃部16cの軸線O4のずれをβ、刃部16cの半径をRとする。軸線O2と軸線O3が一致するとすると、同図(a)に示すように、それぞれの軸線がO1、O2(O3)、O4の順で一直線に並んだ場合、軸線O1を中心とする刃部16cの見かけの上の半径は最大値Rmax(Rmax=R+α+β)、振れは2(α+β)になる。一方、同図(b)に示すように、それぞれの軸線がO1、O4、O2(O3)の順で一直線に並んだ場合、刃部16cの見かけの半径は最小値Rmin(Rmin=R+α−β)、振れは2(α−β)になる。したがって、コレットチャック20すなわち主軸19が工具16を保持する位置を回転方向に変えることにより、刃部16cの振れを小さくすることができる。
【0014】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
図5は、本発明の動作を示すフローチャートである。加工プログラムをスタートすると、NC装置18は、予め固定ポスト31に配置されている工具16を主軸19に保持させ(手順S100)、保持回数iをi=1とする(手順S110)。そして、工具の振れ検出装置6により主軸19を1回転させたときの刃部16cの振れを測定し(手順S120)、測定値と予め入力されている許容値とを比較する(手順S130)。そして、測定値が許容値以内である場合は処理を終了して加工を行ない、測定値が許容値を超えている場合は手順140の処理を行なう。手順140では保持回数iをi=i+1としてから、保持回数iと予め設定されている再試行回数Snとを比較する(手順S150)。そして、i≦Snの場合は手順S160の処理を行ない、i>Snの場合はアラームを表示して(手順S200)作業を中止する。手順S160では、保持した工具16を回転ポスト32に載置する。そして、チャック20を開いた状態で回転ポスト32を軸線Pの回りに指定する角度θだけ回転させた後(手順S170)、チャック20を閉じて工具16を主軸19に保持させ(手順S180)、手順S120の処理を行なう。上記において、指定する角度θを45〜90度とし、Snを4(θ=90度の場合)〜8(θ=45度の場合)にすると、実用的である。
【0015】
この実施の形態では、回転ポスト32を設けたから、主軸19に回転子(ロータ)、また、ハウジング17にステータ(固定子)を設け、主軸19をエアベアリングで支持する場合にも、本発明を適用することができる。
【0016】
なお、工具16が図示を省略する工具保管場所に1本ずつ配置されている場合には、固定ポスト31を設けなくてもよい。
【0017】
また、主軸19側に主軸19の回転角度検出器を設けると共に、主軸19を指定する角度回転できるように構成する場合、ツールポスト31bを設けなくてもよい。
【0018】
さらに、手順S200ではアラームを表示して作業を中止するようにしたが、図示を省略する工具保管場所に同径の他の工具が保管されている場合には、同径の他の工具に交換するようにすると、作業が停止せず、作業能率を向上させることができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、工具を保持させた回転自在の主軸を当該軸線の回りに少なくとも1回転させ、この間における前記工具の径方向の振れが予め定める範囲を超えた場合は、前記工具を当該軸線の回りに回して、または/および前記主軸を当該軸線の回りに回して、前記主軸が前記工具を保持する位置を回転方向に変更するから、主軸や工具の各部の軸線心がずれている場合でも、予備の工具数を最小限のものにすることができ、工具保管場所を小さくすることができる。また、加工精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリント基板穴明機の斜視図である。
【図2】工具保持部の断面図である。
【図3】工具支持治具の構成図である。
【図4】工具保持部の各部の寸法関係を示す摸式図である。。
【図5】本発明の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 テーブル
16 工具
16c 刃部
19 主軸
31 固定ポスト
32 回転ポスト
P 軸線
θ 1回に回転させる角度
Claims (3)
- 工具を保持させた回転自在の主軸を当該軸線の回りに少なくとも1回転させ、この間における前記工具の径方向の振れが予め定める範囲を超えた場合は、前記工具を当該軸線の回りに回して、または/および前記主軸を当該軸線の回りに回して、前記主軸が前記工具を保持する位置を回転方向に変更することを特徴とする工具の保持方法。
- 回転自在の主軸に工具を保持させてワークを加工する加工装置において、工具の径方向の振れを検出する検出装置と、工具を載置する載置台と、前記主軸を当該軸線の回りに指定する角度回転させる手段または/および前記載置台を当該軸線の回りに指定する角度回転させる手段とを設けることを特徴とする加工装置。
- 前記工具の前記主軸に対する相対的な位置の変更回数が予め定める値になった場合は、保持している工具を他の工具に交換することを特徴とする請求項2に記載の加工装置。
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