JP4227687B2 - 中空糸膜モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の中空糸膜モジュール用ハウジング(以下、ハウジングと略記する)を有する中空糸膜モジュールに関し、特に耐圧性を向上させ、有機物の汚濁物質などによる汚濁性の高い液体をろ過するのに適したものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、中空糸膜モジュールは、無菌水、飲料水、高度純水の製造、空気の浄化などの比較的汚濁性の低い用途に数多く使用されてきた。さらに、近年では、これらの用途に加えて、下水処理場における2次処理、3次処理や、浄化槽における固液分離、産業廃水中の浮遊物質の固液分離などの高汚濁性水の処理にも用いられるようになってきた。
このような用途に用いる中空糸膜モジュールは、例えば特開平5−261253号公報、特開平6−342号公報、特開平6−340号公報などに開示されている。
【0003】
これらの中空糸膜モジュールのハウジングは、内部に中空部(集水部)を有する矩形の柱状で、その一側面に、前記中空部に開口するスリットが形成されたものである。このハウジングを用いた中空糸膜モジュールには、例えばチューブ状の中空糸膜を複数本平行に配したシート状集合体が用いられる。すなわち、この中空糸膜モジュールは、前記スリットに、前記シート状集合体を構成する中空糸膜の繊維軸方向の端部が挿入され、これが、前記スリット内に充填されたポッティング樹脂によって固定されて構成されている。
この中空糸膜モジュールは、中空糸膜をシート状に集合して、中空糸膜の集合体の処理液に対する接触膜面積を拡大することにより、比較的高汚濁性の処理液を処理することができるようになっている。
【0004】
この中空糸膜モジュールは、例えば、以下のようにして製造する。すなわち、ハウジングの中空糸膜の固定面を構成する板状体を用意し、これにスリットを形成し、さらに、凹部を有する成形具を、前記板状体の裏面に、前記スリットが前記凹部で覆われるように設置する。
ついで、このスリットに、中空糸膜の繊維軸方向の端部を挿入し、前記成形具の凹部内に到達させる。そして、前記凹部とスリットにポッティング樹脂を充填して硬化させると、前記凹部の内部に、前記板状体から突出する凸部が形成される。そして、この凸部を、前記板状体の裏面との境目で切断すると、中空糸膜を前記スリットに固定するとともに、前記凸部内に位置していた中空糸膜の繊維軸方向の端部を、前記板状体の裏面で開口させることができる。
ついで、この板状体と、ハウジングの他の面を構成する部材を組み立てて、中空糸膜モジュールを得る。
【0005】
しかしながら、上述の中空糸膜モジュールにおいては、中空糸膜が細いスリット内に充填されたポッティング樹脂によって固定されている。このため、用途によっては中空糸膜の固定強度が不十分な場合があった。
また、スリットの深さを確保しなければ中空糸膜を安定に固定することができないため、ハウジングの中空糸膜の固定面を構成する板状体を厚くしなければならなかった。さらに、中空糸膜の固定時に成形具を用いるため、中空糸膜の固定面の面積をある程度大きくなければならなかった。この結果、中空糸膜の膜面積に対してハウジング全体のサイズが大きくなるという問題があった。
このため、中空糸膜モジュールを複数配設したユニットを設計する場合に、ひとつの中空糸膜モジュールの設置スペースが大きくなり、単位体積当たりの積層率(有効膜面積)が制限されるという不都合があった。
【0006】
このような問題を改良したものとして、特開平10−57775号公報には、図6(a)、(b)に示した構造のハウジングと、これを用いた中空糸膜モジュールが開示されている。図6(a)は、ハウジングの長さ方向に対して直交方向に切断した断面図、図6(b)はハウジングに固定した中空糸膜のシート状集合体の膜面側から見た平面図である。
【0007】
図中符号1はハウジングであり、このハウジング1は、内部に中空部(集水部)2aを有するパイプ状の本体2を備え、この本体2には、その長さ方向にそって、前記中空部2aと外部とに開口するスリット3が設けられている。さらに、このスリット3の両脇には、本体2の外面に突出する直線条の2つの凸部4、4が、前記スリット3と平行に設けられている。そして、これらの凸部4、4の内壁と、これらの凸部4、4に挟まれた本体2の外面とによって、その底面にスリット3を備えた凹部5が形成されている。
このハウジング1は、通常、市販されている既存のパイプを本体2として用い、このパイプ(本体2)にスリット3を形成し、さらに凸部4、4を本体2の外面に接着剤などで固定して製造したものである。
【0008】
一方、ろ過膜として作用する中空糸膜6は、複数平行に配列され、これらの中空糸膜6…の繊維軸方向に対して直交する横糸7によって一体化されて、シート状集合体8が構成されている。このシート状集合体8において、中空糸膜6…の繊維軸方向の端部6a…は開口している。以下、中空糸膜6の端部、あるいはシート状集合体8の端部とは、中空糸膜6の繊維軸方向の端部6aをいうものとする。
そして、このシート状集合体8は、その端部が、ハウジング1のスリット3に挿入され、中空部2aの内部に位置するように、凹部5とスリット3に充填されたポッティング樹脂5aによってハウジング1に固定されて、中空糸膜モジュール9が構成されている。
【0009】
この中空糸膜モジュール9を用いたろ過処理は、例えば以下のようにして行われる。すなわち、処理液が満たされた処理槽内に中空糸膜モジュール9を設置し、前記ハウジング1の本体2の中空部2aに、外部の集水管を接続し、さらにこの集水管をポンプなどの吸引手段に接続する。
そして、この吸引手段を作動させると、前記集水管と前記中空部2aを介して中空糸膜6の内部が負圧になる。これにより、外部の処理液が中空糸膜6によってろ過され、そのろ液は、中空糸膜6の端部6aから前記中空部2aに集められ、さらに前記集水管から回収される。
そして、このようなろ過運転によって、処理液中の固体物質が中空糸膜6の外面に付着して、中空糸膜モジュール9のろ過性能が低下してきた場合には、例えば、いったん運転を停止し、前記集水管から洗浄液を流して、中空糸膜6の内部に洗浄液を満たして、いわゆる逆洗浄を行う。
この際、中空糸膜6の外面には固体物質が吸着しているため、中空糸膜6の内側(2次側)から洗浄液による圧力がかかる。
【0010】
このハウジング1および中空糸膜モジュール9においては、本体2の外面に形成された凹部5にポッティング樹脂5aを充填することによって中空糸膜6(シート状集合体8)を固定するため、その端部6aの開口状態を保ったまま、中空糸膜6を固定することができる。
したがって、本体2をひとつの部材から構成することができ、また、中空糸膜6の固定面を曲面状などにすることができるため、比較的設計の自由度が高い。このため、ハウジング1の外径(サイズ)を小さくすることができる。
また、スリット3内に充填されたポッティング樹脂だけでなく、凹部5に充填された比較的大きな体積のポッティング樹脂5aによって中空糸膜6が固定されているため、上述の矩形のハウジングを用いたものより、機械的な強度を向上させることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この中空糸膜モジュール9において、本体2としては、上述のように、通常市販の丸パイプなどが用いられていた。このため、本体2の断面において、中空糸膜6の繊維軸方向の長さと、これに直交する方向の長さとが同じで、上述の矩形のハウジングを用いたものよりは向上させることができるものの、やはり、複数のモジュール間の距離を十分に小さくすることができず、ユニットを構成する際の単位体積当たりの積層率の向上効果に限界があった。
また、上述の逆洗浄時などに、中空糸膜6の内側から圧力がかかると、中空糸膜6から凸部4aに向かってポッティング樹脂5aを介して力がかかる。上述のように、凸部4aは本体2の外面に接着剤などによって後付けしたものなので、この力によって、凸部4aの強度が低下することがあった。特に汚濁性が高い処理液のろ過用途において、中空糸膜6の外面の固体物質の吸着量が多く、中空糸膜6の目詰まりがひどい場合は、凹部5の体積を大きくしてポッティング樹脂5aの量を増加させるなどの工夫をしたとしても、要求される強度(耐圧性)を実現できない場合があり、凸部4の耐久性の低下が問題となっていた。
【0012】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、中空糸膜の固定強度を向上させることができるハウジングを有する中空糸膜モジュールを提供することを課題とする。
さらには中空糸膜の内側からの圧力に対する耐圧性を向上させたハウジングを有する中空糸膜モジュールを提供することを目的とする。
また、複数の中空糸膜モジュールからなるユニットを形成した際に、単位体積あたりの積層率を高くすることができるハウジングを有する中空糸膜モジュールを提供することを課題とする。
さらに、ハウジングの大きさなどの設計条件が、できるだけ制限されないハウジングを有する中空糸膜モジュールを提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明において、柱状で、その長さ方向に直交する断面形状がU字状の本体の内部に、その長さ方向に沿う中空部が設けられ、前記本体の側面に設けられた平面に、本体の長さ方向に沿う凹部が設けられ、この凹部の底面に、前記中空部に開口するスリットが設けられ、前記スリットに中空糸膜の繊維方向の端部を挿入し、前記凹部内にポッティング樹脂を充填することによって、前記端部が前記中空部内に位置するように、前記中空糸膜が固定されていることを特徴とする中空糸膜モジュールを提案する。
また、前記中空部は、その長さ方向に直交する断面形状が円形であると好ましい。
さらに、前記凹部の内壁から突出する突起を備えていると好ましい。
また、前記凹部の深さは1〜50mm、前記スリットの幅は0.3〜5mmが好ましい。
このような中空糸膜モジュールは、中空糸膜の固定強度が高く、耐圧性が良好なものとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1(a)〜(c)、図2、図3は、本発明のハウジングと中空糸膜モジュールの一例を示したものであって、図1(a)〜(c)は、ハウジングに中空糸膜のシート状集合体を固定する操作を操作順に示した、ハウジング(本体)の長さ方向に直交する断面図である。図2は中空糸膜モジュールを示した平面図、図3は、ふたつのハウジングを用いて中空糸膜の両端を固定した状態を示したハウジング(本体)の長さ方向に直交する断面図である。
【0015】
図中符号11はハウジングであり、このハウジング11は、断面U字状の柱状の本体12を備え、この本体12は、その側面に、本体12の長さ方向に沿う、ひとつの長方形の平面12aを有している。
この平面12aには、本体12の長さ方向に沿う、断面長方形の溝状の凹部13が設けられている。
また、凹部13の底面13bには、本体12の長さ方向にそうスリット14が設けられている。このスリット14は、本体12の内部に設けられた、本体12の長さ方向にそう断面円形の中空部(集水部)15に開口している。
【0016】
前記凹部13の深さ(側壁13aの高さ)Aは、中空糸膜モジュールに要求される耐圧性や、中空糸膜の固定安定性を満足すれば所望のサイズに設定することができるが、通常は1〜50mmの範囲が好ましい。1mm未満の場合は、後述するポッティング樹脂16を十分に充填できず、中空糸膜モジュール17の耐圧性が低下する場合がある。50mmをこえると、中空糸膜モジュール17の有効膜面積が低下するため不都合である。
前記スリット14の幅Bは、中空糸膜6を挿入でき、かつ、中空糸膜6が潰れない程度の圧着力で保持できるサイズに設定される。スリット14の幅Bは、中空糸膜6を挿入した際に、中空糸膜6の外面とスリット14の内壁との間にあまり大きな隙間が形成されないように設定した方が、中空糸膜6を安定に保持することができる。
最適なスリット幅は中空糸膜6の外径などによって異なるが、通常0.3〜5mmとされる。
【0017】
また、この他のハウジング11のサイズについては、固定する中空糸膜6のサイズや用途などによって適宜調整されるが、この例において、本体12の断面における平面12aの幅Cは10mm、本体12の断面における凹部13の深さ方向のサイズDは22mm、凹部13の底面13bの幅Eは7mm、スリット14の深さFは3mmである。また、ハウジング11の長さは700mmである。
【0018】
このハウジング11の材質としては、必要な機械的強度と耐久性が得られれば種々のものを選択することができる。具体的にはポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリオレフィン、PVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル樹脂、ABS樹脂、変成PPE(ポリフェニレンーテル)などを例示できる。
このハウジング11を用いた中空糸膜モジュール17を、その使用後に、焼却処理する必要がある場合は、有毒ガスを出さずに完全燃焼させることができる炭化水素系の樹脂が好ましい。
【0019】
前記ハウジング11を用いた中空糸膜モジュール17は、例えば図6(a)、図6(b)に示したものと同様に、中空糸膜6が複数本平行に配列され、これらの中空糸膜6…の繊維軸方向に対して直交する横糸7によって一体化されたシート状集合体8を用いて構成することができる。
前記中空糸膜6は、用途によって種々の材質からなるものを用いることができる。具体的には、セルロース系、ポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)系、ポリスルフォン系などを例示でき、中でもポリエチレンなどの強伸度の高いものが好ましい。
なお、ろ過膜として使用可能な中空糸膜であれば、孔径、空孔率、膜厚、外径などに特に制限はなく、これらは用途などによって適宜調整される。
【0020】
この中空糸膜モジュール17は、以下のようにして製造することができる。
すなわち、まず、中空糸膜6の繊維軸方向の両方の端部6aが開口したシート状集合体8を用意する。この例において、中空糸膜6の外径は410μmである。また、シート状集合体8の膜面において、中空糸膜6の繊維軸方向の長さは400mm、これに直交する方向の長さ(シート状集合体8の幅)は600mmである。
ついで、図1(b)に示したように、スリット14に、シート状集合体8の端部(中空糸膜6…の繊維軸方向の端部6a…)を挿入し、中空部15の内部に位置するように配置する。このとき、スリット14の幅が狭く、シート状集合体8を挿入しにくい場合は、機械的にスリット14を広げる手段を用いることもできる。
【0021】
ついで、図1(c)、図2に示したように、凹部13とスリット14にポッティング樹脂16を充填し、中空部15とハウジング11の外部とを液密に仕切ってシート状集合体8を固定する。
前記ポッティング樹脂16としては、比較的粘弾性の高い樹脂が好ましい。例えばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン系充填材、各種ホットメルト樹脂などが好適である。
さらに、図3に示したように、シート状集合体8のもう一方の端部を、同様にハウジング11に固定して、中空糸膜6の両端部がハウジング11、11に固定された中空糸膜モジュール17を得る。
なお、中空糸膜6として、その一方の端部6aを封止したものを用いれば、シート状集合体8の一方の端部のみにハウジング11を設けた中空糸膜モジュールを構成することもできる。
【0022】
また、この例においては、操作性が良好であるため、複数の中空糸膜6を並列させ、横糸7で一体化した編み地状のシート状集合体8を用いている。この他、加工性はやや低下するが、複数の中空糸膜6を並列させ、ひき揃えた状態を保って、ハウジング11のスリット14に挿入、固定することもできる。
また、シート状集合体8の枚数は1枚であってもよいし、2枚以上の積層体を、ひとつのハウジング11のスリット14に挿入して固定することもできる。2枚以上積層する場合は、同じサイズのシート状集合体8を複数枚用いることもできるし、1枚のシート状集合体8を折り畳むことによって積層したものを用いることもできる。
【0023】
このように、折り畳んだ積層体を用いる場合、積層体の端部の一部は、U字に折り曲げられた状態で、中空部15内に保持される。この際、少なくとも積層体を構成する1枚のシート状集合体8における中空糸膜6の端部6aが、中空部15内に開口状態を保って保持されていれば、上述の場合と同様のろ過作用が得られる。
この積層体の積層(折り畳み)枚数は、シート状集合体8の厚さ(中空糸膜6の外径)やシート状集合体8を構成する中空糸膜6の本数などによって調整されるが、通常その上限値は5枚程度とされる。
【0024】
上述の中空糸膜モジュール17を用いてろ過操作を行う際には、ハウジング11の内部の中空部15を、外部の集水管に接続し、さらにこの集水管をポンプなどの吸引手段に接続する。
そして、処理液が満たされた処理槽内に中空糸膜モジュール17を設置して、前記吸引手段を作動させると、前記集水管を介して中空部15が負圧になり、前記処理液が中空糸膜6を通ってろ過され、そのろ液が中空糸膜6の端部6aから中空部15内に至り、前記集水管から回収される。
【0025】
中空糸膜モジュール17を複数配設してユニットを構成する場合は、シート状集合体8の膜面が平行になるように配し、また、複数の中空糸膜モジュール17に接続された集水管を、ひとつの吸引手段にまとめて接続するのが通常である。そして、ろ過運転によって中空糸膜モジュール17の中空糸膜6の外面に固体物質が付着して、中空糸膜モジュール17のろ過機能が低下してきたら、例えば、ろ過運転をいったん停止し、前記集水管から洗浄液を流して、中空糸膜6の内部に洗浄液を満たして逆洗浄を行う。
【0026】
図1(a)〜(c)、図2、図3に示したハウジング11の側壁13a、13aは、本体12に凹部13を形成することによって本体12と一体に成形されたものなので、上述の逆洗浄において、中空糸膜6に洗浄液を満たすことにより、中空糸膜6の内側からポッティング樹脂16を介して側壁13aに力が加わっても、十分に耐え得る強度(耐圧性)が得られる。このため、このハウジング11と、これを用いた中空糸膜モジュール17は、特に、洗浄時などに中空糸膜6の内側から大きな圧力がかかりやすい汚濁性の高い液体のろ過に好適である。
【0027】
また、本体12は、その断面形状がU字状であるため、図1(a)に示したように、本体12の断面において、平面12aの幅Cに対して中空部15側の本体12の幅を、同程度、あるいは狭く設計することができる。このため、中空糸膜モジュール17の設置に必要なスペースを小さくすることができる。そして、中空糸膜モジュール17を複数並列させてユニットを形成する際に、中空糸膜モジュール17どうしのシート状集合体8の膜面間の距離を小さく設定して、集積効率を向上させることができる。
このため、ユニットの大きさの制限を受ける様な場所でのろ過処理に好適である。具体的には、例えばマンホール内に配設された浄化槽でのろ過処理などに有効である。
【0028】
また、前記中空部15の断面形状が円形であるため、中空部15内部にかかる圧力を均一に分散させることができる。このため、さらにハウジング11の強度を向上させることができる。
【0029】
ところで、前記ハウジング11は、合成樹脂を用いて、常法により、一体に成形することもできるが、例えば図4に示したように、3つの部材から製造することもできる。すなわち、側面の平面に外形と相似形のU字状の凹所を有するU字状本体21を用意し、その内壁21aに、凹部13、スリット14、中空部15を構成する内部部材22、23を接着する。この場合も、主に本体12の外面を構成するU字状本体21の開口部側の端部に側壁13a、13aが一体に形成されるため、側壁13a、13aの強度を確保することができる。
【0030】
また、図5(a)〜(d)に示したように、ハウジング11の凹部13の内壁から突出する直線条の突起13c、13dを設けることにより、さらに中空糸膜モジュール17の強度を向上させることができる。
図5(a)、図5(b)は、凹部13の底面13bから突出する突起13cが設けられた例を示したものである。図5(a)においては、スリット14の両側にひとつずつ突起13cが設けられている。また、図5(b)においては、スリット14の両側にふたつずつ突起13cが設けられている。突起13cは、スリット14に固定される中空糸膜の繊維軸方向に対して平行に設けると、より効果を向上させることができ、好ましい。
図5(c)、図5(d)は、さらに、凹部13の側壁13a、13aの内側からそれぞれ突出する突起13d、13dが設けられた例を示したものである。突起13dは、スリット14に固定される中空糸膜の繊維軸方向に対して直交方向に設けると、より効果を向上させることができ、好ましい。
【0031】
突起13c、13dは、強度の向上効果が得られれば、その寸法、形状、数などは特に限定するものではない。例えば連続的な直線条でなくてもよく、本体12の長さ方向に、間欠的に設けることもできる。
すなわち、中空糸膜モジュールにおいてろ過を行った際に逆洗浄を行うと、中空糸膜内に洗浄液を充填することにより、スリット14に固定された中空糸膜の内側から凹部13に充填されたポッティング樹脂に圧力がかかる。そして、この圧力によってポッティング樹脂が凹部13から引き離されやすくなる傾向がある。そこで、ポッティング樹脂と凹部13との接触面に突起13c、13dによる凹凸を設けることにより、ポッティング樹脂の剥離を抑制することができる。この結果、さらにハウジング11および中空糸膜モジュールの強度(耐圧性)を向上させることができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
(実施例1)
まず最初に、図1(a)〜(c)、図2に示したものと同様の中空糸膜モジュールを作製した。このとき、ハウジングの凹部の深さは5mm、スリットの幅は1mmとした。また、シート状集合体は、三菱レイヨン(株)製ポリエチレン中空糸膜(文画性能0.1μm、外径410μm)を用いて編み地状に形成したものを1枚用いた。また、ハウジングはABS製で、ポッティング樹脂はポリウレタン樹脂を用いた。
ついで、この中空糸膜モジュールのハウジング(ポッティング樹脂)から伸びるシート状集合体を、ポッティング樹脂の外表面付近で切断して、中空糸膜を外部に開口させた。さらに、この開口状態の中空糸膜の端部を、ポッティング樹脂と同様の合成樹脂を用いて封止して、耐圧試験サンプルとした。
この耐圧試験サンプルについて、ハウジングの中空部側、すなわち中空糸膜の内側から、中空糸膜に対して98KPaの水圧を、1回のON−OFF(6sec-4sec)を1サイクルとして、間欠的にかけた。
この結果、このサイクルの繰り返し回数が10万回に到達しても、破損などは発生せず、十分な強度(耐圧性)を示した。
【0033】
(実施例2)
図5(d)に示したような突起を設けたハウジングを用いた以外は、実施例1と同様にして耐圧サンプルを作製し、同様の耐圧試験を行った。
凹部の底面に設けた突起は幅1mm、高さ2mmで、スリットから最も近い突起までの、このスリットからの距離は0.1mm、この突起から隣接する突起までの距離は0.3mmであった。
また、側壁の内側に設けた突起は幅1.5mm、高さ1.5mmで、側壁上端から0.5mmの位置に設けた。
この結果、前記サイクルの繰り返し回数が20万回をこえても破損などは観察されなかった。
【0034】
(比較例)
図6に示した構造のハウジングを用いて中空糸膜モジュールを構成して、実施例1と同様の耐圧試験を行った。
ハウジングの材質、中空糸膜およびシート状集合体、ポッティング樹脂は、実施例1と同様とした。また、本体のサイズは内径13mm、外径18mm、スリットの幅は2mm、凸部の高さは3mm、凹部の幅は10mmとした。 この結果、前記サイクルの繰り返し回数が8万回に到達した時点で、破損によるリークが発生した。
【0035】
これらの実施例、比較例の結果より、本発明に係る実施例1、2は、比較例とくらべて強度(耐圧性)に優れており、特に凹部の内壁に突起を設けた実施例2においては、さらに効果が向上することが明らかとなった。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明におけるハウジングは、ポッティング樹脂を充填する凹部の側壁を、本体と一体に成形することができるため、これを用いた中空糸膜モジュールにおいては、その逆洗浄などの際に、中空糸膜の内側からポッティング樹脂を介して前記側壁に力が加わっても、十分に耐え得る強度(耐圧性)が得られる。
このため、本発明の中空糸膜モジュールは、特に、洗浄時などに中空糸膜の内側から大きな圧力がかかりやすい汚濁性の高い液体のろ過に好適である。
また、ハウジングの本体の断面形状をU字状とし、その側面の平面に凹部を形成することにより、中空糸膜モジュールの設置に必要なスペースを小さくすることができる。そして、中空糸膜モジュールを複数並列させてユニットを形成する際に、集積効率を向上させることができる。このため、ユニットの大きさの制限を受ける様な場所でのろ過処理に好適である。
さらに、前記本体内部の中空部の断面形状を円形とすることにより、中空部内部にかかる圧力を均一に分散させて、さらにハウジングと中空糸膜モジュールの強度を向上させることができる。
また、ハウジングの凹部の内壁に突起を設けることにより、ハウジングと中空糸膜モジュールの強度をさらに向上させることができる。
また、前記凹部の深さを1〜50mm、中空糸膜を挿入する前記スリットの幅を0.3〜5mmに設定することにより、さらに中空糸膜をハウジングに安定に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)〜(c)は、本発明のハウジングの一例に、中空糸膜のシート状集合体を固定する操作を操作順に示した断面図である。
【図2】 図1(c)に示した構成の平面図である。
【図3】 中空糸膜のシート状集合体の両端部を、それぞれ図1(a)に示したハウジングに固定した中空糸膜モジュールの構造を示した断面図である。
【図4】 図1(a)に示したハウジングの組立方法の一例を示した断面図である。
【図5】 図5(a)〜(d)は、図1(a)に示したハウジングにおいて、ハウジングの凹部内壁から突出する突起を設けた例を示した断面図である。
【図6】 従来のハウジングと中空糸膜モジュールに構造を示したもので、図6(a)は断面図、図(b)は平面図である。
【符号の説明】
11…ハウジング、12…本体、12a…平面、
13…凹部、13a…側壁、13b…底面、13c、13d…突起、
14…スリット、15…中空部(集水部)、16…ポッティング樹脂、
17…中空糸膜モジュール。
Claims (3)
- 柱状で、その長さ方向に直交する断面形状がU字状の本体の内部に、その長さ方向に沿う中空部が設けられ、前記本体の側面に設けられた平面に、本体の長さ方向に沿う凹部が設けられ、この凹部の底面に、前記中空部に開口するスリットが設けられ、前記スリットに中空糸膜の繊維方向の端部を挿入し、前記凹部内にポッティング樹脂を充填することによって、前記端部が前記中空部内に位置するように、前記中空糸膜が固定された中空糸膜モジュール。
- 前記中空部は、その長さ方向に直交する断面形状が円形である請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
- 前記凹部の内壁から突出する突起を備えている、請求項1〜2のいずれか一項に記載の中空糸膜モジュール。
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