JP4227586B2 - ガラス障子 - Google Patents
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畳や襖と共に和室に欠くことのできない障子は、室内に和風のイメージを求める人々の建具に対するニーズを満たすだけでなく、木製の枠に障子紙を貼った構造によって屋外や室内からの視線を遮り、室内に適度の外光を採り入れながら風の流入を防ぎ、適度な湿気を通過させると共に太陽の眩しさを和らげ、拡散させる等、襖あるいは洋風窓およびカーテン等では得難い種々の効能を有していることから、高気密化や高断熱化が進む現代住宅においても依然として広く採用されている。
このような直射日光の拡散や採光、換気あるいは屋外の景色を楽しむ等の目的を果たす障子に関する技術は、登録実用新案第3085712号公報に示された、既設のマンション等のアルミサッシのガラス面に接合状に装着して和風障子風に仕上げることを可能とする「ガラス戸への装着用和風障子状格子」考案や、実開平5−32666号公報に開示された、ラックとピニオンおよび調速機能を有する緩衝装置を組み込むことにより、上げ下げ窓としての内障子が、急速に落下してしまうことを防止するものとした「緩衝装置を備えた上げ下げ窓」考案、および、特開平11−93545号公報に示された、障子組子の縦横格子状となる部分を中折れ可能とし、上下に設けられたロールブラインドの開閉操作に連動して開閉可能とした「ロールブラインド併用による折りたたみ式障子」発明等といった具合に、伝統的な様式に新たな機能を付加した様々なものが既に多数、開発されている。
しかしながら、このような障子ガラスを嵌め込んだ障子は、障子紙を貼着した通常の障子に比較して当然のことながら重量が重く、特に、雪見障子のように組子枠を昇降摺動させるものの場合には、その重量のために好みの高さ位置に開いたまま停止させようとすると、ガラス板の重みによって徐々に降下してしまうという現象を惹起してしまい、このような問題を解消するためには、昇降用の組子枠だけにはどうしても従前からの障子紙を貼るようにして軽量化しなければならず、結局、従来からの障子と同じで障子紙使用部分の耐久性という点で問題を残すことになってしまう。
そこで、この発明では、昇降摺動する組子枠にも障子ガラスを嵌め込み、所望の停止高さ位置で確実に一時停止させ続けることを可能とするガラス障子を実現することはできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造のガラス障子を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明のガラス障子は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、対峙することとなる各内側面で外寄り所定巾部分を上下に渡って所定深さに彫り込んでなる装着溝と、同じく内側面で残る内寄り所定巾部分を上下に渡り、奥部に鎌受入空間を形成してなる摺動溝とを有するようにした左右縦框に対し、その上下端近傍に夫々上下框を組み合わせて障子枠本体に形成する一方、それら左右縦框の各装着溝間には、障子枠本体の上方側が組子に障子紙を模した半透明の障子ガラスを背中合わせにした障子ガラス枠、下方側が透明ガラスを嵌め込んだ透明ガラス枠を組み込み、固定したものにすると共に、同左右縦框の各摺動溝間には、それら摺動溝奥部の鎌受入空間に嵌合、摺動自在とする鎌部の形成された左右縦枠を有し、それら左右縦枠鎌部の夫々外側面適所に制動用板バネを突設状にし、且つ外観を前記障子ガラス枠の下に組み合わせたときに全体として一枚の障子外観を呈するよう規制し、しかも全面に障子紙を模した半透明の障子ガラスを配するようにした雪見障子枠が、それら左右縦枠鎌部を対応する左右縦框鎌受入空間上方から制動用板バネの弾発力に抗するようにして差し入れ、上下摺動自在且つ上下任意箇所での停止自在となるように組み込んでなるものとした構成を要旨とするガラス障子である。
障子枠本体は、その他の引違いとなる障子と組み合せられ、あるいは片引きの建具枠内に装着されるものであり、障子自体の外郭枠部分を形成すると共に、その内側に雪見組子枠を上下方向に移動、および任意の高さ位置に停止できるよう組合せ可能とする機能を果たすものであり、左右縦框の上下端間に上下框を掛け渡し、木材や軽金属等の材質に応じた適宜仕口構造や、連結構造を介して一体化したものとしなければならず、左右縦框の互いに対峙する内側面の外寄り所定巾部分の上下に渡り、障子ガラス枠および透明ガラス枠の各鎌部を、上下方向に抜き差しできるよう嵌合、装着可能とした装着溝を形成したものとし、さらに、対峙内側面の内寄り所定巾部分の上下に渡り、雪見組子枠の左右凸条部を、上下方向に摺動自在に嵌合、装着可能とする摺動溝を形成したものとしなければならず、少なくとも上下框の一方を分解、取外しあるいは開放する等して障子ガラス枠、透明ガラス枠ならびに雪見組子枠を夫々、上下方向にスライド移動させて取り外しできるものとすべきである。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
以上のとおりの構成からなるこの発明のガラス障子は、組み立て製造の際に、図1中に示す、例えば図1および図2中に示すように、障子枠本体1左右縦框11,11の左右装着溝12,12に対し、上方から透明ガラス枠3の左右縦枠22,22を嵌合、スライドさせて下方にスライド移動させることによって障子枠本体1の下側約1/2を占めるよう装着した後、これに続いて障子ガラス枠2左右縦枠22,22を夫々嵌合状に組み合わせて障子枠本体1の上側約1/2を占めるようにしてしまうことにより、障子枠本体1の外寄り所定巾部分の上下に渡って障子ガラス枠2ならびに透明ガラス枠3を脱着自在とする装着が完了する。
以上のような構成からなる実施例のガラス障子は、前記したこの発明の効果の項の記載に加え、障子枠本体1左右縦框11の鎌受入空間14,14奥部に形成したバネ案内溝16,16によって雪見組子枠4の前後へのズレを規制して、制動用板バネ42,42とそれに相対する当接面とが常に正しく当接して制動用板バネ42,42からの弾発力による制動摩擦が発生するようにして確実な制動力が得られるようにすることできるものなるという利点が得られ、また、雪見組子枠4の鎌部41,4外側上下に渡ってバランスよくして夫々3個の制動用板バネ42,42,……を設けたことにより、重量の嵩む障子ガラス21でもより一層安定した停止、摩擦力を確保することができるものとなる。
ものでは、双方の当接する面の面積を大きくして摩擦抵抗を大きくする効果に加え、制動用板バネ42,42,……によって生じる障子枠本体1中央に向かう水平押圧力が楔効果を生むことにより、他の角度に設定した場合に比較してより高い摩擦力を得ることができるものとなるという利点が得られることになる。
叙述の如く、この発明のガラス障子は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの雪見障子に比較して障子紙を使用しないという点で耐久性と断熱性とに秀れたものとなり、しかも定期的に障子紙を張り替える作業が不要となるので大幅な維持、管理コストの削減を達成可能とし、遥かに経済的なものとすることができ、一般住宅はもとより、室内美観と高い耐久性とが求められる旅館やホテル等においても好評を博すこととなり、それら建築物のメンテナンス等に携わる建築、建具業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになることが予想される。
11 同 左右縦框
12 同 装着溝
13 同 摺動溝
14 同 傾斜状摩擦面
15 同 凹欠段差溝
16 同 バネ案内溝
17 同 上下框
2 障子ガラス枠
21 同 障子ガラス
22 同 鎌部
3 透明ガラス枠
31 同 透明ガラス
4 雪見組子枠
41 同 左右凸条部
42 同 制動用板バネ
43 同 平板座金
44 同 板バネ
Claims (6)
- 対峙することとなる各内側面で外寄り所定巾部分を上下に渡って所定深さに彫り込んでなる装着溝と、同じく内側面で残る内寄り所定巾部分を上下に渡り、奥部に鎌受入空間を形成してなる摺動溝とを有するようにした左右縦框に対し、その上下端近傍に夫々上下框を組み合わせて障子枠本体に形成する一方、それら左右縦框の各装着溝間には、障子枠本体の上方側が組子に障子紙を模した半透明の障子ガラスを背中合わせにした障子ガラス枠、下方側が透明ガラスを嵌め込んだ透明ガラス枠を組み込み、固定したものにすると共に、同左右縦框の各摺動溝間には、それら摺動溝奥部の鎌受入空間に嵌合、摺動自在とする鎌部の形成された左右縦枠を有し、それら左右縦枠鎌部の夫々外側面適所に制動用板バネを突設状にし、且つ外観を前記障子ガラス枠の下に組み合わせたときに全体として一枚の障子外観を呈するよう規制し、しかも全面に障子紙を模した半透明の障子ガラスを配するようにした雪見障子枠が、それら左右縦枠鎌部を対応する左右縦框鎌受入空間上方から制動用板バネの弾発力に抗するようにして差し入れ、上下摺動自在且つ上下任意箇所での停止自在となるように組み込んでなるものとしたことを特徴とするガラス障子。
- 対峙することとなる各内側面で外寄り所定巾部分を上下に渡って所定深さに彫り込んでなる装着溝と、同じく内側面で残る内寄り所定巾部分を上下に渡り、奥部に鎌受入空間を形成し、それら最奥部にはバネ案内溝を設けてなる摺動溝とを有するようにした左右縦框に対し、その上下端近傍に夫々上下框を組み合わせて障子枠本体に形成する一方、それら左右縦框の各装着溝間には、障子枠本体の上方側が組子に障子紙を模した半透明の障子ガラスを背中合わせにした障子ガラス枠、下方側が透明ガラスを嵌め込んだ透明ガラス枠を組み込み、固定したものにすると共に、同左右縦框の各摺動溝間には、それら摺動溝奥部の鎌受入空間に嵌合、摺動自在とする鎌部の形成された左右縦枠を有し、それら左右縦枠鎌部の夫々外側面適所に制動用板バネを突設状にし、且つ外観を前記障子ガラス枠の下に組み合わせたときに全体として一枚の障子外観を呈するよう規制し、しかも全面に障子紙を模した半透明の障子ガラスを配するようにした雪見障子枠が、それら左右縦枠鎌部を対応する左右縦框鎌受入空間上方から制動用板バネの弾発力に抗するようにして差し入れ、上下摺動自在且つ上下任意箇所での停止自在となるように組み込んでなるものとしたことを特徴とするガラス障子。
- 対峙することとなる各内側面で外寄り所定巾部分を上下に渡って所定深さに彫り込んでなる装着溝と、同じく内側面で残る内寄り所定巾部分を上下に渡り、奥部に鎌受入空間を形成し、それら最奥部にはバネ案内溝を設けてなる摺動溝とを有するようにした左右縦框に対し、その上下端近傍に夫々上下框を組み合わせて障子枠本体に形成する一方、それら左右縦框の各装着溝間には、障子枠本体の上方側が組子に障子紙を模した半透明の障子ガラスを背中合わせにした障子ガラス枠、下方側が透明ガラスを嵌め込んだ透明ガラス枠を組み込み、固定したものにすると共に、同左右縦框の各摺動溝間には、それら摺動溝奥部の鎌受入空間に嵌合、摺動自在とする鎌部の形成された左右縦枠を有し、それら左右縦枠鎌部の夫々外側面適所の三箇所にバランス良く制動用板バネを突設状にし、且つ外観を前記障子ガラス枠の下に組み合わせたときに全体として一枚の障子外観を呈するよう規制し、しかも全面に障子紙を模した半透明の障子ガラスを配するようにした雪見障子枠が、それら左右縦枠鎌部を対応する左右縦框鎌受入空間上方から制動用板バネの弾発力に抗するようにして差し入れ、上下摺動自在且つ上下任意箇所での停止自在となるように組み込んでなるものとしたことを特徴とするガラス障子。
- 左右縦框摺動溝の各々の奥部に形成し鎌受入空間は、その横断面が概略矩形状のものに形成され、それに対応し、雪見障子枠の鎌部もそれよりやや小さい相似形か、相似形ではないが鎌部の顎だけは対応する鎌受入空間に十分当接状となって摩擦面を形成するようにした、請求項1ないし3何れか一項記載のガラス障子。
- 左右縦框摺動溝の各々の奥部に形成し鎌受入空間は、その横断面が概略二等辺三角形に形成され、それに対応し、雪見障子枠の左右縦枠鎌部もそれよりやや小さい相似形で、二等辺三角形の斜辺相当面が、対応する鎌受入空間に当接状となって摩擦面を形成するようにした、請求項1ないし3何れか一項記載のガラス障子。
- 横断面を概略二等辺三角形に形成した左右縦框摺動溝各奥部の鎌受入空間、および雪見障子枠の左右縦枠鎌部は、それら概略二等辺三角形の斜辺の開き角度が90度に設定され、しかも斜辺相当面を縦框または縦枠の各横断面軸線に対して45度に設定してなるものとした、請求項5記載のガラス障子。
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