JP4226439B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

この発明は、エネルギー損失を防止するための流量制御弁を備えたパワーステアリング装置に関する。
エネルギー損失を防止するための流量制御弁を備えたパワーステアリング装置として、本願出願人が特許文献1として既に開示したものがある。
この従来の装置は、図34に示すように、上記流量制御弁Vのスプール1の一端を一方のパイロット室2に臨ませ、スプール1の他端を他方のパイロット室3に臨ませている。
上記一方のパイロット室2には、ポンプポート4を介してポンプPを常時連通させている。また、この一方のパイロット室2は、流路6→可変オリフィスa→流路7を経由して、パワーシリンダ8を制御するステアリングバルブ9の流入側に連通している。
一方、上記他方のパイロット室3には、スプリング5を介在させるとともに、流路10および流路7を介してステアリングバルブ9の流入側に連通している。そのため、上記両パイロット室2,3は、流路6→可変オリフィスa→流路7→流路10を介して連通することになり、可変オリフィスaの上流側の圧力が一方のパイロット室2に作用し、下流側の圧力が他方のパイロット室3に作用することになる。なお、上記可変オリフィスaの開度は、ソレノイドSOLに対するソレノイド電流指令値SIによって制御するようにしている。
上記スプール1は、一方のパイロット室2の作用力と、他方のパイロット室3の作用力およびスプリング5のバネ力とがバランスした位置を保つが、そのバランスした位置において、タンクポート11の開度が決められる。
例えば、エンジン等のポンプ駆動源12の作動によって、ポンプPを駆動させると、ポンプポート4に圧油が供給されて、可変オリフィスaに流れが生じる。このように可変オリフィスaに流れが生じると、その前後に差圧が発生し、この差圧によって両パイロット室2,3に圧力差が発生する。そして、この圧力差によってスプール1が図示するノーマル位置からスプリング5に抗して上記バランスする位置に移動する。
このようにしてスプール1がノーマル位置から移動すると、タンクポート11の開度が大きくなるが、このときのタンクポート11の開度に応じてポンプPからステアリングバルブ9側に導かれる制御流量QPと、タンクTあるいはポンプPに還流される戻り流量QTとの分配比が決まる。言い換えれば、タンクポート11の開度に応じて制御流量QPが決まることになる。
このように制御流量QPがタンクポート11の開度に応じて制御されるということは、結局、可変オリフィスaの開度に応じてこの制御流量QPは決まることになる。なぜなら、タンクポート11の開度を決めるスプール1の移動位置は、両パイロット室2,3の圧力差で決まり、この圧力差を決めているのが可変オリフィスaの開度だからである。
したがって、車速や操舵状況に応じて、制御流量QPを制御するためには、可変オリフィスaの開度、すなわちソレノイドSOLに対するソレノイド電流指令値SIを制御すればよいことになる。なぜなら、可変オリフィスaは、ソレノイドSOLの励磁電流の大きさによって、その開度を最大から最小まで任意に制御できるようにしているからである。
一方、上記制御流量QPが導かれるステアリングバルブ9は、図示していないステアリングホィールの入力トルク(操舵トルク)に応じて、パワーシリンダ8への供給量を制御する。例えば、操舵トルクが大きければ、ステアリングバルブ9の切り換え量を大きくして、パワーシリンダ8への供給量を増やし、逆に操舵トルクが小さければ、ステアリングバルブ9の切り換え量を小さくして、パワーシリンダ8への供給量を少なくするようにしている。そして、パワーシリンダ8は、圧油の供給量が多いほど大きいアシスト力を発揮し、供給量が少ないほどアシスト力を小さくする。
なお、操舵トルクとステアリングバルブ9の切り換え量は、図示していないトーションバーなどのねじれ反力によって設定している。
上記のようにしてパワーシリンダ8に供給される要求流量QMは、ステアリングバルブ9によって制御されているが、このステアリングバルブ9に供給される制御流量QPは、上記したように流量制御弁Vによって制御されている。ここで、パワーシリンダ8が必要とする要求流量QMと、流量制御弁Vで決められる制御流量QPとをなるべく等しくすれば、ポンプP側のエネルギー損失を低く抑えることができる。なぜなら、ポンプP側のエネルギー損失は、制御流量QPとパワーシリンダ8の要求流量QMとの差によって発生するからである。
そこで、制御流量QPをパワーシリンダ8の要求流量QMにできるだけ近づけて、エネルギー損失を防止するために、この従来例では、可変オリフィスaの開度を制御するようにしている。この可変オリフィスaの開度は、上記したようにソレノイドSOLに対する励磁電流で決まるが、この励磁電流を制御するのが以下に説明するコントローラCである。
このコントローラCには、操舵角センサ14と車速センサ15とを接続している。このコントローラCは、図35に示すように、操舵角センサ14によって検出した操舵角に基づいて電流指令値I1を特定し、また、操舵角を微分して算出した操舵角速度に基づいて電流指令値I2を特定する。
なお、上記操舵角と電流指令値I1とは、その操舵角と制御流量QPとの関係がリニアな特性になる理論値に基づいて決めている。また、操舵角速度と電流指令値I2との関係も、操舵角速度と制御流量QPとの関係がリニアな特性になる理論値に基づいて決めている。ただし、これら電流指令値I1および電流指令値I2は、操舵角および操舵角速度がある設定値以上にならなければ、いずれもゼロを出力するようにしている。つまり、ステアリングホィールが中立あるいはその近傍にあるときに、上記電流指令値I1もI2もゼロにすることによって、中立近傍を不感帯域としている。
また、コントローラCは、車速センサ15の検出値に基づいて、操舵角用電流指令値I3と操舵角速度用電流指令値I4とを出力するようにしている。
上記操舵角用電流指令値I3は、低速域で1を出力し、最高速域で例えば0.6を出力するようにしている。また、上記操舵角速度用電流指令値I4は、低速域で1を出力し、最高速域で例えば0.8を出力するようにしている。つまり、低速域から最高速域でのゲインは、1〜0.6の範囲で制御する操舵角用電流指令値I3の方が、1〜0.8の範囲で制御する操舵角速度用電流指令値I4よりも大きくなるようにしている。
そして、上記操舵角用電流指令値I3を、操舵角による電流指令値I1に掛け合わせるようにしているため、この乗算結果である操舵角系の電流指令値I5は、高速になればなるほど小さくなる。しかも、操舵角用電流指令値I3のゲインを、操舵角速度用電流指令値I4のゲインよりも大きく設定しているので、高速になればなるほどその減少率が大きくなる。つまり、低速域では応答性を高く保ち、高速域になると応答性を下げるようにしている。このように車速に応じて応答性を変化させるのは、一般に、高速走行中においては、それほど高い応答性を必要とせず、高い応答性を必要とするのは、ほとんどの場合低速域だからである。
一方、操舵角速度による電流指令値I2には、操舵角速度用電流指令値I4を限界値として、操舵角速度系の電流指令値I6を出力させるようにしている。この電流指令値I6も、車速に応じて減少させるようにしている。ただし、操舵角速度用電流指令値I4のゲインは、操舵角用電流指令値I3よりも小さくしているので、電流指令値I6の減少率は、電流指令値I5の場合よりも小さい。
このように車速に応じて限界値を設定したのは、高速走行中に過剰なアシスト力が発揮されることを主に防止するためである。
上記のようにして出力された操舵角系の電流指令値I5と操舵角速度系の電流指令値I6との大小を比較し、大きな方の値を採用するようにしている。
例えば、高速走行時には、ステアリングを急操作することはほとんどないので、通常、操舵角系の電流指令値I5の方が、操舵角速度系の電流指令値I6よりも大きくなる。そのため、高速走行時には、ほとんどの場合、操舵角系の電流指令値I5が選択される。そして、このときのステアリング操作の安全性・安定性を高めるために、電流指令値I5のゲインを大きくしている。つまり、走行速度が速くなればなるほど、制御流量QPを少なくする比率を高めて、走行時の安全性・安定性を高めるようにしている。
一方、低速走行時には、ステアリングを急操作することが多くなるので、多くの場合に操舵角速度の方が大きくなる。そのため、低速走行時には、ほとんど操舵角速度系の電流指令値I6が選択される。そして、このように操舵角速度が大きい場合には、応答性が重視される。
したがって、低速走行時には、ステアリング操作の操作性すなわち応答性を高めるために、操舵角速度を基準にしながら、その操舵角速度系の電流指令値I6のゲインを小さくしている。言い換えれば、走行速度がある程度速くなっても、ステアリングを急操作したときには、制御流量QPを十分に確保することによって、応答性を確保するようにしている。
上記のようにして選択された電流指令値I5あるいはI6には、スタンバイ用電流指令値I7を加算する。そして、このスタンバイ用電流指令値I7を加算した値を、ソレノイド電流指令値SIとして駆動装置16に出力する。
このようにスタンバイ用の電流指令値I7を加算しているので、ソレノイド電流指令値SIは、操舵角、操舵角速度および車速に基づく電流指令値が全てゼロの場合でも、所定の大きさを保っている。そのため、所定の流量がステアリングバルブ9側に常に供給されることになる。エネルギー損失を防止するという観点からすれば、パワーシリンダ8およびステアリングバルブ9側の要求流量QMがゼロなら、流量制御弁Vの制御流量QPもゼロにするのが理想的である。
つまり、制御流量QPをゼロにするということは、ポンプPの吐出量全量をタンクポート11からポンプPまたはタンクTに還流させることを意味する。そして、タンクポート11からポンプPまたはタンクTに還流する流路は、本体B内にあって非常に短いので、その圧力損失がほとんどない。圧力損失がほとんどないので、ポンプPの駆動トルクも最小に抑えられ、その分、省エネにつながることになる。このような意味から、要求流量QMがゼロのときに、制御流量QPもゼロにするのが、エネルギー損失を防止するという観点からは有利になる。
それにもかかわらず、要求流量QMがゼロのときでもスタンバイ用電流指令値I7からなるスタンバイ流量QSを確保しているのは、以下の理由からである。
第1に、装置の焼き付きを防止するためである。すなわち、スタンバイ流量QSを装置に循環させることによって、冷却効果が期待できるからである。
第2に、応答性を確保するためである。すなわち、上記のようにスタンバイ流量QSを確保しておけば、それが全然ないときよりも、目的の制御流量QPに到達する時間が短くてすむ。この時間差が応答性になるので、結局、スタンバイ流量QSを確保した方が、応答性を向上させることができる。
第3に、キックバック等の外乱やセルフアライニングトルクに対抗するためでもある。すなわち、外乱やセルフアライニングトルク等による抗力がタイヤに作用すると、それがパワーシリンダ8のロッドに作用する。もし、スタンバイ流量QSを確保しておかなければ、この外乱やセルフアライニングトルクによる抗力で、タイヤがふらついてしまう。しかし、スタンバイ流量を確保しておけば、上記のような抗力が作用したとしても、タイヤがふらついたりしない。
すなわち、上記パワーシリンダ8のロッドには、ステアリングバルブ9を切り換えるためのピニオン等がかみ合っているので、上記抗力が作用すると、ステアリングバルブ9も切り換わって、その抗力に対抗する方向にスタンバイ流量QSを供給することになる。したがって、スタンバイ流量QSを確保しておけば、上記キックバックによる外乱やセルフアライニングトルクに対抗できることになる。
次に、この従来例の作用を説明する。
車両の走行中には、操舵角によるソレノイド電流指令値I1と操舵角用電流指令値I3との乗算値である操舵角系の電流指令値I5が出力される。それとともに、操舵角速度系の電流指令値I6が出力される。この電流指令値I6は、操舵角速度によるソレノイド電流指令値I2の、操舵角速度用電流指令値I4を限界値としたものである。
そして、操舵角系の電流指令値I5と操舵角速度系の電流指令値I6との大小が判定されるとともに、その大きい方の電流指令値I5あるいはI6に、スタンバイ用電流指令値I7が加算され、そのときのソレノイド電流指令値SIが決められる。このソレノイド電流指令値SIは、車両の高速走行時には、主に操舵角系の電流指令値I5が基準となり、車両の低速走行時には、主に操舵角速度系の電流指令値I6が基準となる。
なお、スプール1の先端には、スリット13を形成している。このスリット13は、スプール1が図示するノーマル位置にあるときでも、一方のパイロット室2と可変オリフィスaとを連通させるものである。すなわち、スプール1がノーマル位置にあるときでも、ポンプポート4から一方のパイロット室2に供給された圧油を、上記スリット13→流路6→可変オリフィスa→流路7を介してステアリングバルブ9側に供給することによって、装置の焼き付きの防止、キックバック等の外乱の防止、および応答性を確保するようにしている。
また、図中符号17,18は絞りであり、符号19はリリーフ弁である。
特開2001−260917号公報(第3頁〜第7頁、図1,図2)
上記従来のパワーステアリング装置では、ドライバーが例えばステアリングホィールを一方向に60deg操舵した状態から他方向に60deg操舵すると、図36に示すように、操舵角系および操舵角速度系の電流指令値I1、I2は、中立位置付近においていったん0まで下がった後、再び復帰する。すなわち、電流指令値I1,I2が中立位置付近でV字を描き、この電流指令値I1,I2が急激に変化する。このような電流指令値I1、I2が、ソレノイド電流指令値SIとしてそのまま出力されると、ステアリングバルブ9への制御流量QPも急激に変化する。そして、このようにステアリングバルブ9への制御流量QPが急激に変化すると、ドライバーが必要とする操舵トルクも急激に変化するため、ドライバーに違和感を与えるという問題があった。
また、ステアリングホィールを大舵角域で止めた場合には、操舵角に応じた電流指令値が出力されるため、制御流量の急激な減少はほとんど生じないが、大舵角域にあるステアリングホィールを小舵角域で止めた場合には、操舵角に応じた電流指令値が減少するだけでなく、それまで出力されていた操舵角速度用の電流指令値も出力されなくなるので、電流指令値の急激な減少が生じる。このように電流指令値が急激に減少すると、制御流量QPが急激に減少するために、必要とする操舵トルクの急増によって、結果的にドライバーに違和感を与えるという問題があった。
この発明の目的は、入力される電流指令値が急激に減少した場合でも、ドライバーに違和感を与えることのないパワーステアリング装置を提供することである。
この発明は、パワーシリンダを制御するステアリングバルブと、このステアリングバルブの上流側に設けた可変オリフィスと、この可変オリフィスの開度を制御するソレノイドと、このソレノイドを駆動するソレノイド電流指令値SIを制御するコントローラと、このコントローラに接続するとともに操舵角や操舵角速度などの操舵状況を検出する操舵状況検出センサと、ポンプから供給される圧油を上記可変オリフィスの開度に応じてステアリングバルブ側とタンク又はポンプ側とに分配する流量制御弁とを備え、上記コントローラが、操舵状況検出センサからの各種信号に対応する電流指令値に基づいて、ソレノイド電流指令値を特定するパワーステアリング装置を前提にする。
第1の発明は、上記装置において、上記コントローラには、操舵状況検出センサからの操舵角信号及び操舵角速度信号に基づく実際の操舵角系電流指令値Ibθ及び操舵角速度系電流指令値Ibωを記憶する電流指令値特性記憶部と、操舵角系基準電流指令値Iaθを特定するために予め設定された操舵角系基準減少率Δaθ及び操舵角速度系基準電流指令値Iaωを特定するために予め設定された操舵角速度系基準減少率Δaωを記憶した遅れ制御特性記憶部と、実行部とを備え、上記実行部は、単位時間の始点と終点における操舵角系電流指令値Ibθ及び操舵角速度系電流指令値Ibωを検出するとともに、検出した電流指令値から単位時間当たりの操舵角系減少率Δbθ及び操舵角速度系減少率Δbωをそれぞれ算出、これら算出した減少率Δbθ基準減少率Δaθの大小、及び算出した減少率Δbωと基準減少率Δaωの大小をそれぞれ比較し、Δaθ≧Δbθのときには、上記単位時間の終点における実際の操舵角系電流指令値Ibθを出力し、Δaθ<Δbθのときには、上記単位時間の始点から基準減少率Δaθで減少する操舵角系基準電流値Iaθを特定するとともに、上記単位時間の終点における操舵角系基準電流指令値を出力し、Δaω≧Δbωのときには、実際の操舵角速度系電流指令値Ibω出力し、Δaω<Δbωのときに上記単位時間の始点から基準減少率Δaωで減少する操舵角速度系基準電流指令値Iaωを特定し、上記単位時間の終点における操舵角速度系基準電流値を出力し、さらにコントローラは、特定された操舵角系の値と操舵角速度系の値のうちいずれか大きいほうの値を選択して出力することを特徴とする。
第2の発明は、上記第1の発明における操舵角系基準減少率Δaθ及び操舵角速度系基準減少率Δaωを、車速が低速域にあるとき最小値を保ち、中速域においては車速の増加に応じて増加し、高速域においては最高値を保つことを特徴とする。
第3の発明は、上記第1の発明における操舵角系基準減少率Δaθを、操舵角速度が小領域にあるとき最高値を保ち、中領域においては操舵角速度の増加に応じて減少し、大領域においては最小値を保つ一方、操舵角速度系基準減少率Δaωは、車速が低速域にあるとき最小値を保ち、中速域においては車速の増加に応じて増加し、高速域においては最高値を保つことを特徴とする。
第4の発明は、上記第1の発明における操舵角系基準減少率Δaθを、車速が低速域にあるとき最小値を保ち、中速域においては車速の増加に応じて増加し、高速域においては最高値を保つ一方、操舵角速度系基準減少率Δaωは、操舵角が小領域にあるとき最小値を保ち、中領域にあるとき操舵角の増加に応じて増加し、大領域においては最高値を保つことを特徴とする。
第5の発明は、上記第1の発明における操舵角系基準減少率Δaθを、操舵角速度が小領域にあるとき最高値を保ち、中領域においては操舵角速度の増加に応じて減少し、大領域においては最小値を保つ一方、操舵角速度系基準減少率Δaωは、操舵角が小領域にあるとき最小値を保ち、中領域にあるとき操舵角の増加に応じて増加し、大領域においては最高値を保つことを特徴とする。
第1の発明によれば、入力される操舵角系電流指令値及び操舵角速度系電流指令値が急激に減少した場合でも、遅れ制御をかけることによって、出力される電流指令値の減少率を基準減少率以内に保つことができ、急激な変動が緩和される。
したがって、ステアリングバルブに対する供給流量の減少率も小さくする方向に制御することができ、必要とする操舵トルクの急激な変化が原因で従来生じていた違和感も防止することができる。
第2の発明によれば、操舵角系基準減少率及び操舵角速度系減少率を、車速に応じて可変にしたので、実際の走行状態に適した細かい制御ができる。
第3の発明によれば、操舵角系基準減少率Δaθを操舵角速度に応じて可変にし、操舵角速度系基準減少率Δaωを車速に応じて可変にしたので、実際の走行状態に適した細かい制御ができる。
第4の発明によれば、操舵角系基準減少率Δaθを車速に応じて可変にし、操舵角速度系基準減少率Δaωを操舵角に応じて可変にしたので、実際の走行状態に適した細かい制御ができる。
第5の発明によれば、操舵角系基準減少率Δaθを操舵角速度に応じて可変にし、操舵角速度系基準減少率Δaωを操舵角に応じて可変にしたので、実際の走行状態に適した細かい制御ができる。
図1〜図5に、この発明の第1実施形態を示すが、図34に示したコントローラC以外の構成については、前記従来例と全く同じなので、以下ではコントローラCについてのみ説明する。
図1に示すように、コントローラCは、操舵角センサ14によって検出した操舵角に基づ電流指令値I1を特定し、また、操舵角を微分して算出した操舵角速度に基づ電流指令値I2を特定する。ただし、操舵角速度センサを別に設けて、この操舵角速度センサによって検出した操舵角速度に基づ上記電流指令値I2を特定してもよい。
上記操舵角と電流指令値I1との関係は、電流指令値I1に応じて制御される制御流量QPが操舵角とリニアになるように決められているが、それはソレノイドSOL等の特性等に応じて理論的に定まるものである。また、操舵角速度と電流指令値I2との関係も、操舵角速度と制御流量QPとの関係がリニアな特性になるように理論的に定められる。
また、コントローラCは、車速センサ15の検出値に基づいて、操舵角用の電流指令値I3と操舵角速度用の電流指令値I4とを出力するようにしている。上記電流指令値I3は、車速がゼロまたは極微速域にあるときに小さくなり、一定の速度以上になると1を出力する。また、上記電流指令値I4は、車速がゼロまたは極微速域にあるときに1より大きな値を出力し、一定の速度以上になると1を出力する。これら電流指令値のうち、電流指令値I3を上記操舵角系の電流指令値I1に乗算し、電流指令値I4を上記操舵角速度系の電流指令値I2に乗算するようにしている。
上記のように車速が0または極微速域にあるとき、電流指令値I3を1よりも小さくしたのは、車両が極微速域あるいはステアリングホィールを切ったままアイドリング状態にあるときに、エネルギーロスを最小限に抑えるためである。このようにしたのは、例えばステアリングホィールを切ったままアイドリング状態にあるとき、操舵角に応じた電流指令値I1がソレノイド電流指令値SIとして出力されていると、無駄な流量がステアリングバルブ9側に供給されることになる。このような無駄を防止するために、車速が0または極微速域にあるときに、1より小さな値である電流指令値I3を乗算し、操舵角系の電流指令値I1を小さくするようにしている。
また車速が0または極微速域で電流指令値I4を1よりも大きくしたのは、車速が0または極微速域で、ステアリングホィールを切り始めるときに、操舵角系の電流指令値を大きくして応答性を上げるようにするためである。
上記車速に基づく電流指令値I3を乗算したら、この乗算後の電流指令値(I1×I3)に、後で詳しく説明する遅れ制御部において遅れ制御をかけて、さらにこの遅れ制御後の電流指令値に、車速に基づいて設定した電流指令値I5を乗算する。
また、操舵角速度系の電流指令値(I2×I4)にも、遅れ制御部において遅れ制御をかけて、この遅れ制御後の電流指令値に、車速に基づいて設定した電流指令値I6を乗算する。
上記電流指令値I5,I6は、低速域で1を出力し、最高速域では1未満の小数点の値を出力するようにしている。そのため、低速域では入力値をそのまま出力するが、高速になればなるほど出力値が小さくなる。つまり、低速域では応答性を高く保ち、高速域になると応答性を下げるようにしている。このように車速に応じて応答性を変化させるのは、一般に、高速走行中においては、それほど高い応答性を必要とせず、高い応答性を必要とするのは、ほとんどの場合低速域だからである。
上記乗算後の各電流指令値は、車速に基づいて設定した電流指令値I7,I8を限界値として出力される。すなわち、乗算後の値が、そのときの車速に応じた電流指令値I7,I8を超えている場合には、この超えた分をカットして、限界値内の電流指令値をそれぞれ出力させるようにしている。このように車速に基づく限界値を設定したのは、高速走行中に過剰なアシスト力が発揮されることを防止するためである。
なお、上記電流指令値I7,I8も、車速に応じて減少させるようにしているが、そのゲインは上記電流指令値I5,I6のゲインよりも小さく設定している。
次に、上記のように限界値内に抑えられた操舵角系の電流指令値と操舵角速度系の電流指令値との大小を比較して、最終的には大きい方の値を採用する。このように大きな値を採用するようにしたのは、従来と同様に、低速域で操舵角速度系の電流指令値を利用してその応答性を上げ、高速域では操舵角度系の電流指令値を利用して必要以上のアシスト力が出力されないようにするためである。そして、最終的に選択される大きい方の電流指令値基本電流指令値Idとして利用するようにしている。
このようにして基本電流指令値Idを求めたら、この基本電流指令値Idにスタンバイ用の電流指令値Isを加算する。ただし、スタンバイ用の電流指令値Isをそのまま加算するのではなく、スタンバイ用の電流指令値Isに、車速に基づいて設定した電流指令値I9を乗算した値を加算する。
上記車速に基づく電流指令値I9は、低速域では1を出力しているが、中速域では車速が高くなるにつれてその値が徐々に小さくなる。そして、高速域になると最小値を保つようにしている。したがって、この車速に基づく電流指令値I9とスタンバイ用の電流指令値Isとを乗算した値は、低速域ではそのまま出力され、中速域から高速域にかけて次第に小さくなる。そして、高速域では、最小値を保つことになる。高速域でスタンバイ用の電流指令値を小さくすれば、高速域におけるスタンバイ流量の無駄を防止することができる。
なお、高速域でも、電流指令値I9と電流指令値Isとを乗算した値がゼロにならないように設定している。
上記のように基本電流指令値Idにスタンバイ用の電流指令値(Is×I9)を加算したら、その加算後の値をソレノイド電流指令値SIとして駆動装置16(図34参照)に出力する。そして、この駆動装置16が、ソレノイド電流指令値SIに対応した励磁電流をソレノイドSOLに出力することになる。
以上のようにして、ソレノイド電流指令値SIを制御しているが、例えば、図2に示すように、ステアリングホィールを左側に操舵している状態から中立位置を僅かに超えて右側の小舵角域で停止した場合に遅れ制御部が威力を発揮する。もし、遅れ制御部がない場合には、電流指令値I1×I3である図3の実線で示す実際の操舵角系電流指令値Ibθ変化する。すなわち、操舵角系の電流指令値Ibθは、時間軸を同じにした図2との比較において明らかなように、操舵角の減少にともなって徐々に減少し、所定の操舵角に達すると一定のレベルを保つ。
一方、電流指令値I2×I4である図3の破線で示す実際の操舵角速度系電流指令値Ibωは、上記図2との比較において明らかなように、ステアリングを操作している間は一定の値を保ち、ステアリングホィールの操作を停止した時点で急激に減少する。
例えば、操舵角速度系の電流指令値Ibωのみに基づいてソレノイド電流指令値SIが制御されると、パワーシリンダ8によるアシスト力は、ステアリングホィールの操作を停止した時点で急激に減少する。このようにアシスト力が急激に減少すると、ステアリングホィール操舵トルクすなわち保舵トルクが図4の破線で示すように急増する。そして、このように保舵トルクが急増すると保舵できなくなったりして、ドライバーに違和感を与えることになる。
そこで、このような不都合を解消するために、上記遅れ制御部がその機能を発揮するが、この遅れ制御部について以下に説明する。
上記遅れ制御部は、電流指令値特性記憶部と、遅れ制御特性記憶部と、遅れ制御を実行する実行部とを備えている。
上記電流指令値特性記憶部は、実際の操舵角系電流指令値Ibθ及び実際の操舵角速度系電流指令値Ibωを記憶する機能を有している
また、上記遅れ制御特性記憶部は、操舵角系基準減少率Δaθ及び操舵角速度系基準減少率Δaωを記憶している。操舵角系基準減少率Δaθは、図3の二点鎖線で示す操舵角系基準電流指令値Iaθを特定するための値であり、操舵角系基準電流指令値Iaθの傾きを決めるものである。
また、操舵角速度系基準減少率Δaωは、図3の一点鎖線で示す操舵角速度系基準電流指令値Iaωを特定するための値であり、操舵角速度系基準電流指令値Iaωの傾きを決めるものである。これら基準減少率Δaθ及びΔaωは、実験によって決めたものである。
図5は、上記遅れ制御部による制御フローを示しているが、操舵角系の制御内容と操舵角速度系の制御内容は、基本的に同じである。そこで、以下では、この図5を共通に用いて操舵角系の制御と操舵角速度系の制御を説明する。ただし、この図5では、操舵角系を表す「θ」及び操舵角速度系を表す「ω」の記号を省略している。
まず、操舵角系の遅れ制御について説明する。つまり、図5の制御フローにおいて「a」または「b」の後に「θ」をつけて説明する。
ステップ0では、操舵角系基準減少率Δaθを取り込んで、遅れ制御特性記憶部に記憶する。次に、ステップ1で、時間t1における実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t1)を検出して、ステップ2で時間t1と検出値Ibθ(t1)を記憶する。
ステップ3では、上記時間t1から一定時間経過後の時間t2における実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t2)を検出する。そして、ステップ4で、この時間t2と検出値Ibθ(t2)とを記憶する。
なお、上記時間t1がこの発明の単位時間の始点であり、時間t2が終点である。
ステップ5では、上記操舵角系電流指令値Ibθ(t1)と操舵角系電流指令値Ibθ(t2)とを比較する。そして、Ibθ(t1)よりもIbθ(t2)の方が小さい場合、すなわち電流指令値が減少した場合にはステップ6に移り、実際の操舵角系電流指令値Ibθの単位時間当たりにおける減少率Δbθを算出する。
ステップ7では、上記減少率Δbθと予め上記遅れ制御特性記憶部が記憶している操舵角系基準減少率Δaθとを比較する。そして、操舵角系基準減少率Δaθの方が実際の減少率Δbθよりも小さいと判断した場合にステップ8に移り、上記時間t2における操舵角系電流指令値として、操舵角系基準減少率Δaθに基づく操舵角系基準電流指令値Iaθを出力する。ここで出力される操舵角系基準電流指令値Iaθは、時間t1における実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t1)を通り、減少率が操舵角系基準減少率Δaθの直線、すなわち図3における二点鎖線上の操舵角系基準電流指令値Iaθ(t2)である。このように操舵角系基準電流指令値Iaθが出力されるということは図3における実線上の、実際の操舵角系電流指令値Ibθよりも大きな値が出力されることになる。
上記のように操舵角系電流指令値として上記操舵角系基準電流指令値Iaθを出力したら、ステップ9に進み、t2を新たなt1に置き換えるとともに、Iaθ(t2)をIbθ(t1)に置き換える。そして、再びステップ2に戻り、上記手順を繰り返すことになる。
一方、上記ステップ5において、Ibθ(t1)よりもIbθ(t2)の方が大きいと判断した場合、すなわち電流指令値が増加している場合には、ステップ10に移り、実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t2)を出力する。
また、上記ステップ7において、操舵角系基準減少率Δaθよりも実際の操舵角系減少率Δbθの方が小さいと判断した場合にもステップ10に移り、実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t2)を出力する。つまり、電流指令値は減少しているが、それほど急激に減少していない場合には、実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t2)で制御する。
そして、ステップ11に進み、上記ステップ2以降の処理を繰り返す。
次に、操舵角速度系の遅れ制御について説明する。つまり、図5の制御フローにおいて「a」または「b」の後に「ω」をつけて説明する。
図5に示すように、ステップ0では、操舵角速度系基準減少率Δaωを取り込んで、遅れ制御特性記憶部に記憶する。次に、ステップ1において、時間t1における実際の操舵角速度系電流指令値Ibω(t1)を検出して、ステップ2で時間t1と検出値Ibω(t1)を記憶する。
ステップ3では、上記時間t1から一定時間経過後の時間t2における実際の操舵角速度系電流指令値Ibω(t2)を検出する。そして、ステップ4で、この時間t2と検出値Ibω(t2)とを記憶する。
ステップ5では、上記操舵角速度系電流指令値Ibω(t1)と操舵角速度系電流指令値Ibω(t2)とを比較する。そして、Ibω(t1)よりもIbω(t2)の方が小さい場合、すなわち電流指令値が減少した場合にはステップ6に移り、実際の操舵角速度系電流指令値Ibωの単位時間当たりにおける減少率Δbωを算出する。
ステップ7では、上記減少率Δbωと予め上記遅れ制御特性記憶部が記憶している操舵角速度系基準減少率Δaωとを比較する。そして、操舵角速度系基準減少率Δaωの方が実際の減少率Δbωよりも小さいと判断した場合にステップ8に移り、上記時間t2における操舵角系電流指令値として、操舵角速度系基準減少率Δaωに基づく操舵角速度系基準電流指令値Iaωを出力する。ここで出力される操舵角速度系基準電流指令値Iaωは、時間t1における実際の操舵角速度系電流指令値Ibω(t1)を通り、減少率が操舵角系基準減少率Δaθの直線、すなわち図3における一点鎖線上の操舵角速度系基準電流指令値Iaω(t2)である。このように操舵角速度系基準電流指令値Iaωが出力されるということは図3における破線上の、実際の操舵角速度系電流指令値Ibωよりも大きな値が出力されることになる。
上記のように操舵角速度系電流指令値として基準電流指令値Iaωを出力したら、ステップ9に進み、t2を新たなt1に置き換えるとともに、Iaω(t2)をIbω(t1)に置き換える。そして、再びステップ2に戻り、上記手順を繰り返すことになる。
一方、上記ステップ5において、Ibω(t1)よりもIbω(t2)の方が大きいと判断した場合、すなわち電流指令値が増加している場合には、ステップ10に移り、実際の操舵角速度系電流指令値Ibω(t2)を出力する。
また、上記ステップ7において、操舵角速度系基準減少率Δaωよりも実際の操舵角速度系減少率Δbωの方が小さいと判断した場合にもステップ10に移り、実際の操舵角速度系電流指令値Ibω(t2)を出力する。つまり、電流指令値は減少しているが、それほど急激に減少していない場合には、実際の操舵角速度系電流指令値Ibω(t2)で制御する。
以上のように、この第1実施形態によれば、実際の操舵角系電流指令値Ibθ及び実際の操舵角速度系電流指令値Ibωが減少している場合であって、しかも、その減少率Δbθ及びΔbωが、操舵角系基準減少率Δaθ及び操舵角速度系基準減少率Δaωよりも大きいと判断した場合に限り、操舵角系基準減少率Δaθ及び操舵角速度系基準減少率Δaωに基づく操舵角系基準電流指令値Iaθ及び操舵角速度系基準電流指令値Iaωを出力するようにしている。
このようにすれば、操舵角系電流指令値や、操舵角速度系電流指令値の急激な減少がなくなり、図4の二点鎖線や一点鎖線で示すように、ドライバーが必要とする操舵トルクも緩やかに上昇するので、実際の操舵角系電流指令値Ibθまたは操舵角速度系電流指令値Ibωに基づく場合に生じる急激な操舵トルクの増加を抑えることができる。したがって、保舵状態を安定させることができ、ドライバーに違和感を与えることも防止できる。
図6〜図10に示す第2実施形態は、遅れ制御部における操舵角系基準減少率Δaθ及び操舵角速度系基準減少率Δaωを、車速に応じて可変にしたものである。すなわち、この第2実施形態では、図10に示すように、ステップからステップ6までの手順については上記第1実施形態と同じであるが、ステップ7において車速vを検出し、ステップ8では車速vに対応した操舵角系基準減少率Δaθ及び操舵角速度系基準減少率Δaωを設定するようにしている。
なお、ステップ9からステップ13の手順は、第1実施形態のステップ7からステップ11の手順に対応するものであり、その内容は同じである。
上記ステップ8においては、図6に示すように、車速に応じて決まる係数K1(K2)を、基準減少率Δaθ(Δaω)にかけあわせている。この車速に応じて決まる係数K1(K2)は、車速が低速域にあれば1未満の一定値となるが、中速域になると車速の増加に応じて増加する。そして、高速域になると、係数K1(K2)は1となる。
したがって、図7に示すように、ステアリングホィールを左側から右側に操舵する場合、操舵角系基準減少率Δaθによって決まる操舵角系基準電流指令値Iaθは、図8の二点鎖線で示すように、車速が低速域の場合、傾きの緩やかな電流指令値Iaθ1となり、車速が高速域の場合、傾きの急な電流指令値Iaθ2となる。そして、車速が中速域にあれば、上記電流指令値Iaθ1とIaθ2との間の傾きをもった電流指令値Iaθ3となる。
また、操舵角速度系基準減少率Δaωによって決まる操舵角速度系基準電流指令値Iaωは、図8の一点鎖線で示すように、車速が低速域の場合、傾きの緩やかな電流指令値Iaω1となり、車速が高速域の場合、傾きの急な電流指令値Iaω2となる。そして、車速が中速域にあれば、上記電流指令値Iaω1とIaω2との間の傾きをもった電流指令値Iaω3となる。
車速が低速域にある場合の基準減少率Δaθ及びΔaωを小さくすれば、出力される電流指令値の変化が小さくなるので、図9に示すように、低速域における操舵トルクの急激な増加を抑制することができる。したがって、車両が低速域にある場合の操舵をスムーズに行うことができる。
一方、車速が中速域から高速域になると、それに応じて基準減少率Δaθ及びΔaωも大きくなるので、出力される電流指令値の変化も大きくなるが、高速域においては、電流指令値の変化によってハンドルの中立感がでてくるので、その分、操縦安定性が向上する。
つまり、この第2実施形態によれば、基準減少率Δaθ及びΔaωを、車速が低速域にあるとき最小値を保ち、中速域においては車速の増加に応じて増加し、高速域においては最高値を保つように制御する構成にしたので、実際の走行状態に適したより細かい制御が可能となる。
図11〜図15に示す第3実施形態は、操舵角系の遅れ制御部における操舵角系基準減少率Δaθを、操舵角速度に応じて可変にし、操舵角速度系の遅れ制御部における操舵角速度系基準減少率Δaωを、車速に応じて可変にしたものである。つまり、この第3実施形態は、上記第2実施形態における操舵角系基準減少率Δaθを、車速に代えて操舵角速度に応じて可変にしたものである。そのため、この操舵角系の遅れ制御を示す図15において、ステップからステップ6までの手順と、ステップ9からステップ13の手順は、上記第2実施形態と同じであるが、ステップ7では操舵角速度を検出し、ステップ8では操舵角速度に対応した操舵角系基準減少率Δaθを設定するようにしている。
上記ステップ8においては、図11に示すように、操舵角速度に応じて決まる係数K3を基準減少率Δaθにかけあわせている。この操舵角速度に応じて決まる係数K3は、操舵角速度が小領域の場合、1の値を保ち、操舵角速度が中領域の場合、操舵角速度に応じて減少する。そして、操舵角速度が大領域の場合、係数K3は1未満となる。
したがって、図12に示すように、ステアリングホィールを左側から右側に操舵する場合、操舵角系基準減少率Δaθによって決まる基準電流指令値Iaθは、図13の二点鎖線で示すように、操舵角速度が小領域にあれば傾きの急な電流指令値Iaθ1となり、操舵角速度が大領域にあれば傾きの緩やかな電流指令値Iaθ2となる。そして、操舵角速度が中領域にあれば、上記Iaθ1とIaθ2との間の傾きを持った電流指令値Iaθ3となる。
操舵角速度が大領域における基準減少率Δaθを小さくすれば、出力される電流指令値Iaθ2の変化が小さくなるので、図14に示すように、操舵角速度が大領域における操舵トルクの急激な増加を抑制することができる。操舵角速度が大領域にある場合というのは、車両が低速である場合がほとんどである。そのため、操舵角速度が大領域にある場合の基準減少率Δaθを小さくすることによって、車両が低速域にある場合の操舵をスムーズに行うことができる。
一方、操舵角速度が小さくなるにつれて基準減少率Δaθが大きくなると、電流指令値の変化も大きくなるため、ハンドルの中立感がでてくるが、操舵角速度が小さくなるということは、車速が高速域になる傾向にあるということが推測できる。したがって、操舵角速度が小さくなるにつれて基準減少率Δaθを大きくすることによって、車速が高速域にあるときの操縦安定性を向上させることができる。
以上のように、この第3実施形態によれば、操舵角速度系基準減少率Δaωを車速に応じて可変に制御する一方で、操舵角系基準減少率Δaθを、操舵角速度が小領域にあるとき最高値を保ち、中領域においては操舵角速度の増加に応じて減少し、大領域においては最小値を保つように制御する構成にしたので、実際の走行状態に応じたより細かい制御が可能となる。
図16〜図19に示す第4実施形態は、操舵角系の遅れ制御部における操舵角系基準減少率Δaθを、車速に応じて可変にし、操舵角速度系の遅れ制御部における操舵角速度系基準減少率Δaωを、操舵角に応じて可変にしたものである。つまり、この第4実施形態は、上記第2実施形態における操舵角速度系基準減少率Δaωを、車速に代えて操舵角に応じて可変にしたものである。そのため、この操舵角速度系の遅れ制御を示す図10において、ステップからステップ6までの手順と、ステップ9からステップ13の手順は、上記第2実施形態と同じであるが、ステップ7で操舵角を検出し、ステップ8で操舵角に対応した操舵角速度系基準減少率Δaωを設定するようにしている。
上記ステップ8においては、図16に示すように、操舵角に応じて決まる係数K6を基準減少率Δaωにかけあわせている。この操舵角に応じて決まる係数K6は、操舵角が小領域にあれば1未満となるが、操舵角が中領域にあると操舵角の増加に応じて増加する。そして、操舵角が大領域になると、係数K6は1の値を保つ。
したがって、図17に示すように、ステアリングホィールを左側から右側に操舵する場合、操舵角速度系基準減少率Δaωによって決まる基準電流指令値Iaωは、図18の一点鎖線で示すように、操舵角が小領域にある場合、傾きの緩やかな電流指令値Iaω1となり、操舵角が大領域にある場合、傾きの急な電流指令値Iaω2となる。
操舵角が小領域にある場合の操舵角速度系基準減少率Δaωを小さくすれば、出力される電流指令値の変化が小さくなるので、図19に示すように、操舵角が小領域にある場合の操舵トルクの急激な増加を抑制することができる。そのため、小舵角域における保舵トルクの増加が抑制され、スムーズな保舵が可能となる。
一方、操舵角が大きくなるにつれて、操舵角速度系基準減少率Δaωが大きくなると、電流指令値の減少率も大きくなるため、ハンドルの中立感がでてくる。したがって、操縦安定性を向上させることができる。
以上のように、この第4実施形態によれば、操舵角系基準減少率Δaθを、車速に応じて可変に制御する一方で、操舵角速度系基準減少率Δaωを、操舵角が小領域にあるときに最小値を保ち、中領域にあるとき操舵角の増加に応じて増加し、大領域においては最高値を保つように制御する構成にしたので、実際の走行状態に応じたより細かい制御が可能となる。
図20〜図23に示す第5実施形態は、操舵角系の遅れ制御部における操舵角系基準減少率Δaθを、操舵角速度に応じて可変にし、操舵角速度系の遅れ制御部における操舵角速度系基準減少率Δaωを、操舵角に応じて可変にしたものである。つまり、この第5実施形態は、上記第3実施形態における操舵角系の遅れ制御の部分と、上記第4実施形態における操舵角速度系の遅れ制御の部分とを組み合わせたものである。
操舵角系における制御フローは、上記第3実施形態と同じであり、操舵角速度に応じて決まる係数K7を基準減少率Δaθにかけあわせている。なお、係数K7は、操舵角速度が小領域の場合に1の値を保ち、操舵角速度が中領域の場合には、操舵角速度に応じて減少する。そして、操舵角速度が大領域の場合には、係数K7は1未満となる。
また、操舵角速度系における制御フローは,上記第4実施形態と同じである。すなわち、操舵角に応じて決まる係数K8を、基準減少率Δaωにかけあわせている。なお、係数K6は、操舵角が小領域にあれば1未満となるが、操舵角が中領域にあると操舵角の増加に応じて増加する。そして、操舵角が大領域になると、係数K6は1の値を保つ。
この第5実施形態によれば、図21に示すように、ステアリングホィールを左側から右側に操舵する場合、操舵角系基準減少率Δaθによって決まる基準電流指令値Iaθは、図22の二点鎖線で示すように、操舵角速度が小領域にあれば傾きの急な電流指令値Iaθ1となり、大領域にあれば傾きの緩やかな電流指令値Iaθ2となる。そして、操舵角速度が中領域にあれば、上記Iaθ1とIaθ2との間の傾きをもった電流指令値Iaθ3となる。
また、操舵角速度系基準減少率Δaωによって決まる基準電流指令値Iaωは、図22の一点鎖線で示すように、操舵角が小領域にあれば傾きの緩やかな電流指令値Iaω1となり、大領域にあれば傾きの急な電流指令値Iaω2となる。
上記したように、操舵角系において、操舵角速度が大領域にある場合の操舵角系基準減少率Δaθを小さくすれば、出力される操舵角系電流指令値の変化が小さくなるので、図23に示すように、操舵角速度が大領域にある場合の操舵トルクの急激な増加を抑制することができる。操舵角速度が大領域にある場合というのは、車速が低速である場合がほとんどであるため、操舵角速度が大領域にある場合に操舵角系基準減少率Δaθを小さくすることによって、車両が低速域にある場合の操舵をスムーズに行うことができる。
また、操舵角速度が小さくなるにつれて操舵角系基準減少率Δaθが大きくなると、電流指令値の変化も大きくなるため、ハンドルの中立感がでてくるが、操舵角速度が小さくなるということは、車両が高速域になる傾向にあるということが推測できる。したがって、操舵角速度が小さくなるにつれて基準減少率Δaθを大きくすることによって、車両が高速域にあるときの操縦安定性を向上させることができる。
一方、操舵角速度系において、操舵角が小領域にある場合の操舵角速度系基準減少率Δaωを小さくすれば、出力される電流指令値の変化が小さくなるので、図23に示すように、操舵角が小領域にある場合における操舵トルクの急激な増加を抑制することができる。そのため、小舵角域における保舵トルクの増加が抑制され、スムーズな保舵が可能となる。
また、操舵角が大きくなるにつれて、操舵角速度系基準減少率Δaωが大きくなると、電流指令値の減少率も大きくなるため、ハンドルの中立感がでてくる。したがって、操縦安定性を向上させることができる。
つまり、この第5実施形態によれば、操舵角系基準減少率Δaθを、操舵角速度が小領域にあるとき最高値を保ち、中領域においては操舵角速度の増加に応じて減少し、大領域においては最小値を保つ一方、操舵角速度系基準減少率Δaωを、操舵角が小領域にあるとき最小値を保ち、中領域にあるとき操舵角の増加に応じて増加し、大領域においては最高値を保つようにしたので、実際の走行状態に応じたより細かい制御が可能となる。
図24〜図28に示す第6実施形態は、遅れ制御部と電流指令値維持部とを設けることによって、違和感の原因となるソレノイド電流指令値SIの急激な変化を防止するようにしたものである。すなわち、この第6実施形態では、図24に示すように、操舵角系の電流指令値(I1×I3)に、遅れ制御部または電流指令値維持部によって所定の制御をかけ、操舵角速度系の電流指令値(I2×I4)に、遅れ制御部または電流指令値維持部によって所定の制御をかけるようにしている。
上記遅れ制御部の機能については、上記第1〜第5実施形態の遅れ制御部と同じなので、ここではその詳細な説明を省略する。
一方、上記電流指令値維持部は、出力する電流指令値を一定に維持する機能を有しているが、車速判定部からの信号によって、その機能がオンオフされるようにしている。
上記車速判定部は、車速センサによって検出した車速が一定値以下のときに低速と判断し、このとき電流指令値維持部の機能をオンにする。また、車速センサによって検出した車速が一定値を超えると高速と判断し、このとき電流指令値維持部の機能をオフにする。
図28は、この第6実施形態の制御フローを示しているが、操舵角系の制御内容と操舵角速度系の制御内容は、基本的に同じである。そこで、以下では、この図28を共通に用いて操舵角系の制御と操舵角速度系の制御を説明する。ただし、この図28では、操舵角系を表す「θ」及び操舵角速度系を表す「ω」の記号を省略している。
まず、操舵角系の遅れ制御について説明する。つまり、図28の制御フローにおいて「a」または「b」の後に「θ」をつけて説明する。
ステップ0では、操舵角系基準減少率Δaθを取り込んで、それを遅れ制御特性記憶部に記憶する。次に、ステップ1で、時間t1における実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t1)を検出して、ステップ2で時間t1と検出値Ibθ(t1)を記憶する。
ステップ3では、上記時間t1から一定時間経過後の時間t2における実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t2)を検出する。そして、ステップ4で、この時間t2と検出値Ibθ(t2)とを記憶する。
ステップ5では、上記操舵角系電流指令値Ibθ(t1)と操舵角系電流指令値Ibθ(t2)とを比較する。そして、Ibθ(t1)よりもIbθ(t2)の方が小さい場合、すなわち電流指令値が減少したと判断した場合にはステップ6に移り、実際の操舵角系電流指令値Ibθの単位時間当たりにおける操舵角系減少率Δbθを算出する。
ステップ7では、車速を検出し、ステップ8においてこの車速が低速か高速かを車速判定部が判断する。そして、車速判定部が高速と判断した場合には、ステップ9に移り、上記遅れ制御特性記憶部が記憶している操舵角系基準減少率Δaθを設定する。このようにして操舵角系基準減少率Δaθを設定したら、ステップ10において、この操舵角系基準減少率Δaθと実際の操舵角系減少率Δbθとを比較する。そして、操舵角系基準減少率Δaθの方が実際の操舵角系減少率Δbθよりも小さいと判断した場合には、ステップ11に移り、上記時間t2における操舵角系電流指令値として、操舵角系基準減少率Δaθに基づく操舵角系基準電流指令値Iaθを出力する。ここで出力される操舵角系基準電流指令値Iaθは、時間t1における実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t1)を通り、減少率が操舵角系基準減少率Δaθの直線、すなわち図26における二点鎖線上の操舵角系基準電流指令値Iaθ(t2)である。
このように操舵角系基準電流指令値Iaθが出力されるということは、図26の二点鎖線で示すように、実際の操舵角系電流指令値Ibθよりも大きな値が出力されることになる。したがって、図27に示すように、操舵トルクの急増を抑えることができるので、ドライバーに与える違和感を防止できる。
上記のように操舵角系電流指令値として上記操舵角系基準電流指令値Iaθを出力したらステップ12に移り、t2をt1に置き換えるとともに、Iaθ(t2)をIbθ(t1)に置き換える。そして、再びステップ2に戻り、上記手順を繰り返すことになる。
なお、上記ステップ5において、Ibθ(t1)よりもIbθ(t2)の方が大きいと判断した場合には、ステップ15に移り、実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t2)を出力する。このような場合は、操舵角の中立から切り込んでいく操舵状態を示すことから、操舵力が増加する方向にあり、このような状況で電流指令値Ibθを遅らせると、過度な操舵力を招くことになる。そこで、上記したように、実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t2)を出力するようにしている。
また、上記ステップ10において、操舵角系基準減少率Δaθの方が実際の操舵角系減少率Δbθよりも大きいと判断した場合にもステップ15に移り、実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t2)を出力する。つまり、電流指令値は減少しているが、それほど急激に減少していない場合には、実際の操舵角系電流指令値Ib(t2)で制御する。
一方、上記ステップ8において低速と判断された場合には、ステップ17に移り、その時点で出力されている実際の操舵角系電流指令値Ibθに、操舵角系電流指令値Iaθを維持させることになるが、この時点で出力される操舵角系電流指令値Iaθというのは、実際の操舵角系電流指令値Ibθに相当するものである。したがって、低速の状態でステアリングホィールを操作する場合には、電流指令値は全く減少しない。
次に、ステップ18では、上記一定に維持されている操舵角系基準電流指令値Iaθが、実際の操舵角系電流指令値Ibθよりも大きいか否かを判断する。操舵角系基準電流指令値Iaθが実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t2)よりも大きい場合には、ステップ16に移り、t2をt1に置き換えるとともに、Ibθ(t2)をIbθ(t1)に置き換える。そして、再びステップ2に戻り、上記手順を繰り返すことになる。
一方、上記ステップ18において、一定に維持されている操舵角系電流指令値Iaθが、実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t2)以下になると、この実際の操舵角系電流指令値Ibθ(t2)で制御することになる(ステップ15)。そして、その後、ステップ16に移り、上記と同様にステップ2に戻る。
次に、操舵角速度系の遅れ制御について説明する。つまり、図28の制御フローにおいて「a」または「b」の後に「ω」をつけて説明する。
ステップ0では、操舵角速度系基準減少率Δaωを取り込んで、それを遅れ制御特性記憶部に記憶する。次に、ステップ1で、時間t1における実際の操舵角速度系電流指令値Ibω(t1)を検出して、ステップ2で時間t1と検出値Ibω(t1)を記憶する。
ステップ3では、一定時間経過後の時間t2における実際の操舵角速度系電流指令値Ibω(t2)を検出する。そして、ステップ4で、この時間t2と検出値Ibω(t2)とを記憶する。
ステップ5では、上記操舵角速度系電流指令値Ibω(t1)と操舵角速度系電流指令値Ibω(t2)とを比較する。そして、Ibω(t1)よりもIbω(t2)の方が小さい場合、すなわち電流指令値が減少したと判断した場合にはステップ6に移り、実際の操舵角速度系電流指令値Ibωの単位時間当たりにおける操舵角速度系減少率Δbωを算出する。
ステップ7では、車速を検出し、ステップ8においてこの車速が低速か高速かを車速判定部が判断する。そして、車速判定部が高速と判断した場合には、ステップ9に移り、操舵角速度系基準減少率Δaωを設定する。このようにして操舵角速度系基準減少率Δaωを設定したら、ステップ10において、この操舵角速度系基準減少率Δaωと実際の操舵角速度系減少率Δbωとを比較する。そして、操舵角速度系基準減少率Δaωの方が実際の操舵角速度系減少率Δbωよりも小さいと判断した場合には、ステップ11に移り、ステップ11に移り、上記時間t2における操舵角系電流指令値として、操舵角系基準減少率Δaωに基づく操舵角系基準電流指令値Iaωを出力する。ここで出力される操舵角速度系基準電流指令値Iaωは、時間t1における実際の操舵角系電流指令値Ibω(t1)を通り、減少率が操舵角系基準減少率Δaωの直線、すなわち図26における一点鎖線上の操舵角系基準電流指令値Iaω(t2)である。
このように操舵角速度系基準電流指令値Iaωが出力されると、図26の一点鎖線で示すように、実際の操舵角速度系電流指令値Ibωよりも大きな値が出力されることになる。したがって、図27に示すように、操舵トルクの急増を抑えることができるので、ドライバーに与える違和感を防止できる。
上記のように操舵角系電流指令値として上記操舵角系基準電流指令値Iaθを出力したらステップ12に移り、t2をt1に置き換えるとともに、Iaθ(t2)をIbθ(t1)に置き換える。そして、再びステップ2に戻り、上記手順を繰り返すことになる。
なお、上記ステップ5において、Ibω(t1)よりもIbω(t2)の方が大きいと判断した場合には、ステップ15に移り、実際の操舵角速度系電流指令値Ibω(t2)を出力する。このような場合は、操舵角の中立から切り込んでいく操舵状態を示すことから、操舵力が増加する方向にあり、このような状況で電流指令値Ibωを遅らせると、過度な操舵力を招くことになる。そこで、上記したように、実際の操舵角速度系電流指令値Ibω(t2)を出力するようにしている。
また、上記ステップ10において、操舵角速度系基準減少率Δaωの方が実際の操舵角速度系減少率Δbωよりも大きいと判断した場合にもステップ15に移り、実際の操舵角速度系電流指令値Ibω(t2)を出力する。つまり、電流指令値は減少しているが、それほど急激に減少していない場合には、実際の操舵角速度系電流指令値Iω(t2)で制御する。
一方、上記ステップ8において低速と判断された場合には、ステップ17に移り、その時点で出力されている実際の操舵角速度系電流指令値Ibωに、操舵角速度系電流指令値Iaωを維持させることになるが、この時点で出力される操舵角速度系電流指令値Iaωというのは、実際の操舵角速度系電流指令値Ibωに相当するものである。したがって、低速の状態でステアリングホィールを操作する場合には、電流指令値は全く減少しない。
次に、ステップ18では、上記一定に維持されている操舵角系基準電流指令値Iaωが、実際の操舵角系電流指令値Ibωよりも大きいか否かを判断する。操舵角系基準電流指令値Iaωが実際の操舵角系電流指令値Ibω(t2)よりも大きい場合には、ステップ16に移り、t2をt1に置き換えるとともに、Ibω(t2)をIbω(t1)に置き換える。そして、再びステップ2に戻り、上記手順を繰り返すことになる。
一方、上記ステップ18において、一定に維持されている操舵角系電流指令値Iaωが、実際の操舵角系電流指令値Ibω(t2)以下になると、この実際の操舵角系電流指令値Ibω(t2)で制御することになる(ステップ15)。そして、その後、ステップ16に移り、上記と同様にステップ2に戻る。
この第6実施形態では、実際の電流指令値Ibθ(Ibω)が減少している場合であって、しかも、その減少率Δbθ(Δbω)が基準減少率Δaθ(Δaω)よりも大きいと判断した場合に限り、基準減少率Δaθ(Δaω)に基づく基準電流指令値Iaθ(Iaω)を出力するようにしている。このようにすれば、図26に示すように、操舵角系につていは二点鎖線で示すように、操舵角速度系については一点鎖線で示すように、ドライバーが必要とする操舵トルクも緩やかに減少する。したがって、実際の電流指令値Ibθ(Ibω)に基づく場合よりも操舵トルクの変化量を少なく抑えることができ、操舵トルクの急激な変化によって生じる違和感を防止することができる。
また、特に車速が低速の場合には、その時点で出力されている実際の電流指令値Ibθ(t2)及びIbω(t2)に、電流指令値Iaθ(Iaω)を維持するので、低速走行時のスムーズな操舵が可能となる一方で、高速走行時には、メリハリのある中立感を与えることができる。
一方、図29〜図33に示した第7実施形態は、上記第6実施形態における電流指令値維持部のオンオフの切り換えを、操舵角系については操舵角速度判定部によって制御し、操舵角速度系については操舵角判定部によって制御するようにしたものである。
図33は、この第7実施形態の操舵角系の制御を示したものである。ステップからステップ6までの手順と、ステップ10からステップ12までの手順と、ステップ15及びステップ16の手順は、上記第6実施形態と全く同じである。ただし、この第7実施形態では、ステップ7で操舵角速度を検出し、ステップ8で操舵角速度の大小を判定している
上記ステップ8では、操舵角速度が所定の値よりも大きいと判断した場合にステップ17に移り、そのとき出力されている電流指令値Iaθを維持する。操舵角速度が大きい場合というのは、車両が低速で走行していることが多い。そこで、この第7実施形態では、操舵角速度に基づいて車速を予測し、上記第6実施形態と同様に、走行状態に適した制御ができるようにしている。
一方、操舵角速度が小さい場合というのは、車両が高速で走行している場合が多いので、上記ステップ8において、操舵角速度が所定の値以下であると判断した場合には、基準減少率Δaθが実際の減少率Δbθよりも小さい場合に基準電流指令値Iaθを出力し、その逆の場合には実際の電流指令値Ibθを出力する。
一方、操舵角速度系については、上記ステップ7で操舵角を検出し、上記ステップ8において、操舵角が所定の値よりも小さいと判断した場合にステップ17に移り、そのとき出力されている操舵角速度系電流指令値Iaωを維持する。
一方、上記ステップ8において、操舵角が所定の値以上であると判断した場合には、操舵角速度系基準減少率Δaωが実際の操舵角速度系減少率Δbωよりも小さいときに操舵角速度系基準電流指令値Iaωを出力し、その逆の場合には実際の操舵角速度系電流指令値Ibωを出力する。
このようにした第7実施形態によれば、スムーズな保舵が可能で、メリハリのある中立感を与えることができる。
ところで、上記第〜第7実施形態では、基準減少率Δaθ(Δaω)を可変に制御するために、係数をかけあわせているが、係数をかけあわせる代わりに、予め記憶したテーブル値に基づいて基準減少率Δaθ(Δaω)を可変に制御するようにしてもよい。
また、上記第1〜第7実施形態では、電流指令値I5,I6をゲインとして乗じた直後に、電流指令値I7,I8を限界値とするリミッターを個別に設定しているが、個別にリミッターを設定する代わりに、スタンバイ用の電流指令値を加算した後の値に、車速に応じた電流指令値を限界値とするリミッターを一律に設定してもよい。
さらに、車速に基づく電流指令値I5,I6を個別に乗じる代わりに、大小判定後の値に、車速に基づく電流指令値をゲインとして一律に乗じてもよい。
さらにまた、スタンバイ用の電流指令値を加算した後の値に、車速に応じた電流指令値を限界値とするリミッターを一律に設定してもよいし、大小判定後の値に、車速に基づく電流指令値をゲインとして一律に乗じてもよい。
そして、上記第1〜第7実施形態では、流量制御弁Vの可変オリフィスaの開度をコントローラCで制御することで、制御流量QPに無駄が生じないようにしているが、この制御流量QPというのは、図34に示したように、タンクポート11の開度を調節することによって制御している。すなわち、ポンプPの吐出油のうち、不要な流量を、タンクポート11を介してタンクTに環流させることによって、制御流量QPを制御している。そして、ポンプPの吐出油をタンクポート11に導く流路というのは、本体Bの内部にあるために非常に短い。
したがって、この環流させる流路において、圧力損失がほとんど生じないため、油温の上昇もほとんどない。つまり、上記第1〜第7実施形態では、流量制御弁Vが、制御流量QP以外の流量を、タンクポート11を介してタンクTに環流させる構成にしているので、油温の上昇を抑えるという効果も得ることができる。
第1実施形態のコントローラCの制御ブロック図である。 操舵角と時間との関係を示す説明図である。 電流指令値と時間との関係を示す説明図である。 必要とする操舵トルクと時間との関係を示す説明図である。 第1実施形態のコントローラCの制御フロー図である。 第2実施形態のコントローラCの制御ブロック図である。 操舵角と時間との関係を示す説明図である。 電流指令値と時間との関係を示す説明図である。 必要とする操舵トルクと時間との関係を示す説明図である。 第2実施形態のコントローラCの制御フロー図である。 第3実施形態のコントローラCの制御ブロック図である。 操舵角と時間との関係を示す説明図である。 電流指令値と時間との関係を示す説明図である。 必要とする操舵トルクと時間との関係を示す説明図である。 第3実施形態のコントローラCの制御フロー図である。 第4実施形態のコントローラCの制御ブロック図である。 操舵角と時間との関係を示す説明図である。 電流指令値と時間との関係を示す説明図である。 必要とする操舵トルクと時間との関係を示す説明図である。 第5実施形態のコントローラCの制御ブロック図である。 操舵角と時間との関係を示す説明図である。 電流指令値と時間との関係を示す説明図である。 必要とする操舵トルクと時間との関係を示す説明図である。 第6実施形態のコントローラCの制御ブロック図である。 操舵角と時間との関係を示す説明図である。 電流指令値と時間との関係を示す説明図である。 必要とする操舵トルクと時間との関係を示す説明図である。 第6実施形態のコントローラCの制御フロー図である。 第7実施形態のコントローラCの制御ブロック図である。 操舵角と時間との関係を示す説明図である。 電流指令値と時間との関係を示す説明図である。 必要とする操舵トルクと時間との関係を示す説明図である。 第7実施形態のコントローラCの制御フロー図である。 従来の装置の全体図である。 従来のコントローラCの制御ブロック図である。 従来の操舵時における電流指令値の変化を示したグラフである。
符号の説明
V 流量制御弁
P ポンプ
SOL ソレノイド
T タンク
a 可変オリフィス
8 パワーシリンダ
9 ステアリングバルブ
C コントローラ
14 操舵角センサ
15 車速センサ
SI ソレノイド電流指令値
Is スタンバイ用の電流指令値

Claims (5)

  1. パワーシリンダを制御するステアリングバルブと、このステアリングバルブの上流側に設けた可変オリフィスと、この可変オリフィスの開度を制御するソレノイドと、このソレノイドを駆動するソレノイド電流指令値SIを制御するコントローラと、このコントローラに接続するとともに操舵角や操舵角速度などの操舵状況を検出する操舵状況検出センサと、ポンプから供給される圧油を上記可変オリフィスの開度に応じてステアリングバルブ側とタンク又はポンプ側とに分配する流量制御弁とを備え、上記コントローラが、操舵状況検出センサからの各種信号に対応する電流指令値に基づいて、ソレノイド電流指令値を特定するパワーステアリング装置において、上記コントローラには、操舵状況検出センサからの操舵角信号及び操舵角速度信号に基づく実際の操舵角系電流指令値Ibθ及び操舵角速度系電流指令値Ibωを記憶する電流指令値特性記憶部と、操舵角系基準電流指令値Iaθを特定するために予め設定された操舵角系基準減少率Δaθ及び操舵角速度系基準電流指令値Iaωを特定するために予め設定された操舵角速度系基準減少率Δaωを記憶した遅れ制御特性記憶部と、実行部とを備え、上記実行部は、単位時間の始点と終点における操舵角系電流指令値Ibθ及び操舵角速度系電流指令値Ibωを検出するとともに、検出した電流指令値から単位時間当たりの操舵角系減少率Δbθ及び操舵角速度系減少率Δbωをそれぞれ算出、これら算出した減少率Δbθ基準減少率Δaθの大小、及び算出した減少率Δbωと基準減少率Δaωの大小をそれぞれ比較し、Δaθ≧Δbθのときには、上記単位時間の終点における実際の操舵角系電流指令値Ibθを出力し、Δaθ<Δbθのときには、上記単位時間の始点から基準減少率Δaθで減少する操舵角系基準電流値Iaθを特定するとともに、上記単位時間の終点における操舵角系基準電流指令値を出力し、Δaω≧Δbωのときには、実際の操舵角速度系電流指令値Ibω出力し、Δaω<Δbωのときに上記単位時間の始点から基準減少率Δaωで減少する操舵角速度系基準電流指令値Iaωを特定し、上記単位時間の終点における操舵角速度系基準電流値を出力し、さらにコントローラは、特定された操舵角系の値と操舵角速度系の値のうちいずれか大きいほうの値を選択して出力することを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 操舵角系基準減少率Δaθ及び操舵角速度系基準減少率Δaωは、車速が低速域にあるとき最小値を保ち、中速域においては車速の増加に応じて増加し、高速域においては最高値を保つことを特徴とする請求項1記載のパワーステアリング装置。
  3. 操舵角系基準減少率Δaθは、操舵角速度が小領域にあるとき最高値を保ち、中領域においては操舵角速度の増加に応じて減少し、大領域においては最小値を保つ一方、操舵角速度系基準減少率Δaωは、車速が低速域にあるとき最小値を保ち、中速域においては車速の増加に応じて増加し、高速域においては最高値を保つことを特徴とする請求項1記載のパワーステアリング装置。
  4. 操舵角系基準減少率Δaθは、車速が低速域にあるとき最小値を保ち、中速域においては車速の増加に応じて増加し、高速域においては最高値を保つ一方、操舵角速度系基準減少率Δaωは、操舵角が小領域にあるとき最小値を保ち、中領域にあるとき操舵角の増加に応じて増加し、大領域においては最高値を保つことを特徴とする請求項1記載のパワーステアリング装置。
  5. 操舵角系基準減少率Δaθは、操舵角速度が小領域にあるとき最高値を保ち、中領域においては操舵角速度の増加に応じて減少し、大領域においては最小値を保つ一方、操舵角速度系基準減少率Δaωは、操舵角が小領域にあるとき最小値を保ち、中領域にあるとき操舵角の増加に応じて増加し、大領域においては最高値を保つことを特徴とする請求項1記載のパワーステアリング装置。
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