しかし、前者の検出器を具備する釣具では、道糸や釣竿の性状によっては、波の伝播・変換が適切になされないおそれがあり、一般の道糸等に適用し難いなど、汎用性に欠けていた。また、後者の肉眼による判断では、特に海などの水面が荒れていると、浮子の動きが魚のあたりであるのか、水面の揺れであるのかの判断がつき難かった。
本発明は、魚が掛かると釣竿が撓るという釣竿の一般的な性状に着目してなされたものであり、釣竿の状態を介して魚類のあたりを適切に判断することができる釣具を提供することをその目的としている。
本発明の釣具は、荷重がかかると撓る釣竿と、釣竿の撓りに伴う変化量を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に基づいて、釣竿に魚類が掛かったか否かを判断する判断手段と、を備えたものである。
この構成によれば、釣竿に魚類が掛かると釣竿が撓るが、この撓りに伴う変化量を検出することで、魚類が掛かったかどうか、すなわちあたりか否かを判断している。これにより、一般の釣竿が具備する基本的性状を有効活用することで、魚類のあたりを適切に判断することができる。なお、あたりと判断した場合に、例えばその旨を視聴覚的に報知してもよいし、又は、釣竿を釣り上げ方向に移動させる装置や、電動リールを駆動してもよい。
この場合、変化量は、釣竿の曲げ応力の変化量であることが、好ましい。
この構成によれば、釣竿自体の変化量を検出するため、検出精度を高め得る。なお、曲げ応力は、引張りでも圧縮でもどちらでもよい。
同様に、検出手段は、一端が釣竿の釣り針側の先端部に固定され、当該釣竿の長手方向に沿って延在する紐状部材と、釣竿の撓りに伴って繰り出されるように紐状部材を巻回したドラムと、ドラムの回転量を検出する検出器と、を備え、変化量は、ドラムの繰出し方向の回転量であることが、好ましい。
この構成によれば、釣り針に魚類が掛かると、釣竿の撓りに伴ってドラムから紐状部材が繰り出されるが、そのドラムの繰出し方向の回転量を検出し、これに基づいて魚類のあたりを判断するようにしている。この場合、紐状部材の一端が釣竿のもっとも撓る(たわみの大きい)先端部に固定されているため、紐状部材を最大限繰り出すことができ、検出精度を高めることができる。
同様に、検出手段は、発光素子と受光素子とを有し、これら両素子間の光路が釣竿の長手方向に沿っており、検出手段は、釣竿の撓りに伴う受光量の変化量を検出することが、好ましい。
この構成によれば、釣竿の撓りに伴い、発光素子と受光素子との間の光路から光が減衰または外部に放出されて受光量が変化し、この変化量に基づいて魚類のあたりを判断することができる。なお、両素子間の光路は釣竿の内部に構成されることが好ましい。また、発光素子および受光素子の一方を釣竿の先端に設け、他方を釣竿の基端に設けるようにしてもよい。あるいは、光路上に反射部材を設け、例えば反射部材を釣竿の先端に設け、両素子を釣竿の基端に設けるようにしてもよい。
これらの場合、釣竿に沿って延在する道糸と、道糸を繰出し可能に巻回するスプール、およびスプールの繰出し方向の回転を制動するブレーキ機構を備えたリールと、を更に備え、変化量が閾値を超えていると判断手段により判断されたときに、ブレーキ機構は、スプールの繰出し方向への制動力が小さくなるように制御し、ドラグ力を調整することが、好ましい。
この構成によれば、変化量が閾値を超えている場合、例えば魚類が掛かって道糸が強く引かれた場合であっても、ブレーキ機構によりスプールの繰出し方向への制動力が小さくなるため、道糸をスプールから適切に繰り出すことができる。これにより、道糸の張力が緩和されてドラグ力の調整がなされるため、魚類が掛かった際に道糸(ハリス)が切れたり、魚類をばらしたりすることを防止することが可能となる。一方、魚類が掛かっていないときには、仕掛けの自重等により道糸がスプールから繰り出すのを、ブレーキ機構により防止することができる。
同様に請求項1に記載の釣具の場合、釣竿に沿って延在する道糸と、道糸を繰出し可能に巻回するスプール、およびスプールの繰出し方向の回転を制動するブレーキ機構を備えたリールと、を更に備え、検出手段は、釣竿の撓りと共に道糸が繰り出されたときに、ブレーキ機構にかかる制動に対する反作用の力の変化量を検出することが、好ましい。
この構成によれば、釣竿の撓りに伴う変化量として、スプールの制動に対するブレーキ機構にかかる反作用の力の変化量が検出され、この変化量に基づいて魚類のあたりを判断することができる。
この場合、変化量が閾値を超えていると判断手段により判断されたときに、ブレーキ機構は、スプールの繰出し方向への制動力が小さくなるように制御し、ドラグ力を調整することが、好ましい。
この構成によれば、上記と同様に、魚類が掛かって道糸が強く引かれた場合であっても、道糸の張力が緩和されてドラグ力の調整がなされるため、道糸(ハリス)が切れたり、魚類をばらしたりすることを防止することが可能となる。また、魚類が掛かっていないときには、仕掛けの自重等により道糸がスプールから繰り出すのをブレーキ機構で防止することができる。
これらの場合、魚類が掛かっていない非魚信状態における釣竿の撓りに伴う変化量を、基準値として記憶した記憶手段を更に備え、判断手段は、検出手段の検出結果に基準値を加味して判断することが、好ましい。
この構成によれば、自然環境による釣竿の僅かな撓りと誤認することなく、魚類のあたりを確実に判断することができる。なお、自然環境としては波や風等の影響が挙げられ、記憶した基準値は、予め記憶された標準的な変化量でもよいし、あるいは最初に水中に釣竿を垂らした際に記憶された変化量でもよい。
本発明の釣具によれば、釣竿の撓りに伴う変化量を検出して、魚類のあたりが判断されるため、釣り人が魚類のあたりを見逃すことを防止でき、十分な釣果を挙げることができる。
図1に示すように、海釣りなどに用いられる釣具1は、荷重がかかると撓る釣竿2と、釣竿2の基端部を装着してこれを魚の釣上げ方向に持上げる竿上げ装置3と、竿上げ装置3に隣接して釣竿2に取り付けた電動リール4と、電動リール4に繰出し・巻取り可能に巻回された道糸5と、釣竿2の長手方向に沿って複数が分散して設けられ、電動リール4から繰り出した道糸5を釣竿2に沿ってその先端側(竿先側)に案内する道糸ガイド6と、道糸5の繰り出し先端部に取り付けられた釣り針などの仕掛け7と、を備えている。
また、釣具1は、釣竿2に取り付けられ、釣竿2の撓りに伴う変化量を検出する検出ユニット8(検出手段)を具備している。さらに、釣具1は、釣竿2の先端部と仕掛け7との間の道糸5の繰出し部分5aに取り付けられた浮子(図示省略)のほか、電動リール4などの各種構成装置を統括制御するコントローラ9(図4参照)を具備している。
この釣具1を釣り人が使用する場合には、道糸5の繰出し部分5aに浮子や仕掛け7を取り付けて、海などの水面へと投入する。魚が釣り針に掛かり仕掛け7が水中下方に引き込まれると、道糸5の繰出し部分5aには下方への引張り力が作用される。これにより、釣竿2はその先端側から下方へと撓ると共に、その撓りに伴う変化量が検出ユニット8により検出される。そして、その検出信号を受けたコントローラ9により魚が実際に掛かったか否かが判断され、魚が掛かった「あたり」の場合には、電動リール4や竿上げ装置3が駆動される等して、魚が釣り上げられる。
本実施例の釣竿2の材質は、荷重がかかると撓るカーボン等であればよく、可撓性が高いことが好ましい。また、釣竿2は、一続きのもので構成されているが、もちろん元竿に中竿を入れ子形式で装着したものであってもよい。各道糸ガイド6は、図1および図2に示すように、道糸5を内部空間に案内する環状の本体ガイド11と、本体ガイド11を釣竿2の外側上面に固定するガイド固定12と、で構成されている。最も遠方の道糸ガイド6aは、釣竿2を好適にその先端側から下方に撓らせるべく、釣竿2の先端部に固定されている。道糸5が本体ガイド11の内側下面を押し下げるように接触することで、ガイド固定12を介して釣竿2が撓るようになっている。
検出ユニット8は、その主要機構部21がケース22内に収容されている。検出ユニット8は、このケース22の案内口からケース22外に引き出された検出用糸23と、検出用糸23を釣竿2の先端側に案内する複数の検出用糸ガイド24と、を有している。検出用糸23は、伸縮性の低い紐状部材であり、テトロン(登録商標)などの繊維や柔軟性のあるスチールワイヤなどで構成されている。検出用糸23の一端(繰出し端)は釣竿2の先端部に取り付けた糸固定具25に固定され、検出用糸23の他端は主要機構部21の後述するドラム31に巻回されて固定されている。魚のあたりによって釣竿2の先端側が下方へと撓ると、検出用糸23には引っ張り方向の張力が作用され、検出用糸23の一部がドラム31から繰り出される。
複数の検出用糸ガイド24は、釣竿2の長手方向に沿って所定のピッチで分散して、釣竿2に固定されている。各検出用糸ガイド24は、図2に示すように、道糸ガイド6よりも細径のリング状からなり、その内部空間に検出用糸23を案内している。各検出用糸ガイド24は、釣竿2を挟んで道糸ガイド6とは反対側の釣竿2の外側下面に固定されており、検出用糸23と道糸5とが釣竿2を挟んで略平行に設けられるようになっている。この簡易な構造により、釣具1の使用時や保管時等を含め、道糸5と検出用糸23とが絡むことが防止されている。
図3に示すように、検出ユニット8の主要機構部21は、検出用糸23を繰出し・巻取り可能に巻回した上記のドラム31と、ドラム31の軸線部を固着した入力軸32と、入力軸32の回転を増幅する歯車機構33と、歯車機構33の最終伝達部品に臨んだ検出器34と、歯車機構33等とは反対側のドラム31の軸線方向に設けた巻取りばね35と、を有している。
巻取りばね35は、一端がドラム31に係止されてケース22内に組み込まれており、検出用糸23に常時適度なテンションを付与する機能を有している。すなわち、巻取りばね35は、常時、ドラム31を介して検出用糸23に巻取り方向にテンションを付与していると共に、魚が掛かったときなど釣竿2に荷重がかかったときには、検出用糸23をたるませないようにしつつ、ドラム31の繰出し方向への回転を許容可能に構成されている。
歯車機構33は、入力軸32に固定した大径の入力歯車41と、入力軸32に平行な中間軸42と、入力軸32とほぼ同軸上の出力軸43と、これら各軸32,42,43を回転可能に支持する複数の軸受け44と、中間軸42に固着され入力歯車41に噛合すると共に入力歯車41より小径の第1中間歯車45と、中間軸42に固着された第1中間歯車45より大径の第2中間歯車46と、出力軸43に固着され第2中間歯車46に噛合する第2中間歯車46より小径の出力歯車47と、出力軸43に固着された出力プレート48と、を備えている。ドラム31が検出用糸23の繰出し方向に入力軸32と共に回転すると、その回転が入力歯車41から第1中間歯車45等を介して出力歯車47に伝達され、出力プレート48が回転する。この場合、各歯車の速比を同図に示すように設計することにより、ドラム31の回転数を増幅して出力プレート48を回転させている。
検出器34は、ドラム31の回転に伴い回転する出力プレート48を介して、ドラム31の回転量を検出するものである。すなわち、本実施例の検出ユニット8は、ドラム31の繰出し方向の回転量を検出器34により検出することで、釣竿2の撓りに伴う変化量を検出する。検出器34の構成として例えば、出力プレート48と光学式のロータリエンコーダを構成する場合には、出力プレート48はその周方向に多数のスリットを同一ピッチで形成したパルス円板からなり、検出器34はその各スリットに臨むフォトインタラプタで構成される。そして、検出器34は、上記のコントローラ9に有線または無線で接続されており、検出結果である検出信号をコントローラ9に入力する。
図4に示すように、釣具1の制御系は、基本的に、コントローラ9から成る制御部61と、電動リール4や竿上げ装置3等を駆動する各種ドライバを有する駆動部62と、検出ユニット8を有する検出部63と、を備えている。この制御部61が、検出ユニット8の検出結果に基づいて、釣竿2に魚が掛かったか否かを判断する判断手段として機能している。また、釣具1が上記の構成に加えて、魚が掛かった旨を報知する報知装置64を具備した場合には、駆動部62は、報知装置64を駆動するためのドライバを具備する。報知装置64は、例えばブザーや表示器などで構成され、音や光などで魚が掛かった旨を報知する。
制御部61は、CPU71、ROM72、RAM73、および入出力インターフェース74を備え、これらは互いにバス75を介して接続されている。ROM72は、CPU71で処理する制御プログラムや制御データを記憶する制御プログラム領域等を有している。また、ROM72は、例えば、魚が掛かっていない非魚信状態における釣竿2の撓りに伴う変化量を基準値として記憶している。
すなわち、水中に垂らした状態の釣竿2は、波や風等の自然環境の影響によって撓ることがあるが、ROM72は、その撓りに伴う標準的な変化量(ドラム31の繰出し方向の回転量)を第1初期基準値として記憶している。なお、第1初期基準値を例えば波等の影響力に基づいて5段階に設定しておき、コントローラ9に接続した切替スイッチにより、第1初期基準値を適宜切り替えることができるようにしても良い。
RAM73は、各種レジスタ群等を有し、主として制御処理のための各種作業領域として使用される。例えば、ある自然環境の最初に釣竿2を水中に垂らした際に、その非魚信状態における釣竿2の撓りに伴う変化量を検出ユニット8により検出する構成の場合には、RAM73は、この変化量を第2初期基準値として記憶している。なお、釣竿2が非魚信状態から魚信状態に移行するまでの過渡期の変化量を、検出ユニット8が随時検出する構成とした場合には、RAM73が随時検出される第2初期基準値を更新して、最新の第2初期基準値を記憶するようにしてもよい。
入出力インターフェース74には、電動リール4、竿上げ装置3および報知装置64の各種ドライバのほか、検出ユニット8が接続されている。そして、CPU71は、上記の構成により、ROM72内の制御プログラムに従って、入出力インターフェース74を介して各種信号、各種指令、各種データ等を入力し、RAM73内の各種データ等を処理した後、入出力インターフェース74を介して各種ドライバに制御信号を出力することにより、釣具1全体を制御している。
例えば、CPU71は、検出ユニット8の検出結果に第1初期基準値や第2初期基準値の基準値を加味して、魚が掛かったか否かを判断する。魚が掛かったと判断した場合には、CPU71は、電動リール4の駆動を制御し、道糸5を巻き取るように電動リール4を巻取り動作させる。同様に、CPU71は、魚が掛かったと判断した場合には、竿上げ装置3の駆動を制御し、釣竿2を持上げるように竿上げ装置3を釣上げ動作させる。また同様に、魚が掛かったと判断した場合には、CPU71は、報知装置64の駆動を制御し、その旨を釣り人に報知させる。
本実施例によれば、一般の釣竿2が具備する「魚が掛かれば撓る」という基本的性状を有効活用して、釣竿2の撓りに伴う変化量として、検出用糸23の繰り出しに伴うドラム31の回転量を検出することで、魚が掛かったか否かを判断するようにしている。このため、魚のあたりを適切に判断することができる。また、検出ユニット8の検出結果に第1初基準値や第2初期基準値を加味しているため、釣竿2の自然環境による僅かな撓りと誤認を生ずることなく、魚のあたりを確実に判断することができる。
なお、本実施例の検出ユニット8は、魚が掛かった場合の釣竿2の撓りに伴う変化量と、非魚信状態における釣竿2の撓りに伴う変化量と、の二つの検出を兼ねる構成であるが、この構成に代えて、各変化量専用の検出ユニット8として構成してもよい。また、釣竿2を動かして魚をさそう動作を行う際に、スイッチ操作により検出ユニット8を予めOFFにしておき、あたりと誤認しない構成を採用してもよい。
次に、本発明の実施例4に係る釣具1について、図9ないし図16を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の部材には同一の符号を振ることにより、適宜、詳細な説明を省略する。
上記実施例と同様に、釣具1は、荷重がかかると撓る釣竿2と、釣竿2に取り付けた電動リール4と、電動リール4に繰出し・巻取り可能に巻回された道糸5と、複数の道糸ガイド6と、道糸5の繰出し先端部に取り付けられた仕掛け7と、コントローラ9(図16参照)と、を備えている。コントローラ9は、電動リール4内に組み込まれている。なお、竿上げ装置3は設けられていない。
釣具1は、釣竿2の撓りに伴う変化量を検出する検出ユニット8として、釣竿2に設けた第1の検出ユニット101と、電動リール4に設けた第2の検出ユニット102と、を具備している。第1の検出ユニット101と電動リール4内のコントローラ9とは、信号用ケーブル104で接続されている。第1の検出ユニット101および第2の検出ユニット102の検出信号を受けたコントローラ9により、魚が実際に掛かったか否かが判断される。そして、魚が掛かった「あたり」の場合には、コントローラ9により電動リール4のブレーキ機構156が制御されるなど、後述する各種機構が制御される。
第1の検出ユニット101(検出手段)は、釣竿2の撓りに伴う受光量の変化量を検出するものである。具体的には、図8ないし図10に示すように、第1の検出ユニット101は、釣竿2の基部側に設けられた発光素子110および受光素子112と、釣竿2の先端側に設けられた反射部材114と、を有している。
これら両素子間(110,112間)の光路は、発光素子110から反射部材114までの光路となる第1の光ファイバ116と、反射部材114から受光素子112までの光路となる第2の光ファイバ118と、によって構成されている。すなわち、両素子間(110,112間)の光路は、釣竿2の長手方向に沿っている。
第1の光ファイバ116は、釣竿2の中心線に沿って釣竿2の内部に設けられている。第2の光ファイバ118は、釣竿2の内部に設けられ、略円筒状の光遮断膜120を介して第1の光ファイバ116の外側に位置している。なお、第2の光ファイバ118は、多数本が束ねられている。
第2の光ファイバ118の外周面は、光反射膜122によって覆われており、さらに光反射膜122は、これを保護する保護膜(塗料)124によって覆われている。すなわち、本実施例の釣竿2は、第1の光ファイバ116、光遮断膜120、第2の光ファイバ118、光反射膜122および保護膜124によって構成され、荷重がかかると全体として撓るように構成されている。
なお、図11に示すように、光反射膜122と保護膜124との間にカーボンファイバーなどの補強材126を設け、これを含めて釣竿2が全体として撓るように構成されてもよい。このような構成とすることで、釣竿2の内部に作り込んだ第1の光ファイバ116および第2の光ファイバ118の損傷を好適に防止することができる。
発光素子110は、第1の光ファイバ116の位置に対応して、釣竿2の基端に設けられている。発光素子110からの光は、レンズ128で集光されて、所定の角度で第1の光ファイバ116に導入される。受光素子112は、第2の光ファイバ118の位置に対応して釣竿2の基端に設けられ、発光素子110に隣接している。受光素子112側のコネクタ130が第2の光ファイバ118側のコネクタ132に接続されており、第2の光ファイバ118を伝播する光が受光素子112に導出される。発光素子110および受光素子112には、上記の信号用ケーブル104が接続されている。
反射部材114は、第1の光ファイバ116および第2の光ファイバ118の位置に対応した位置に設けられている。反射部材114は、第1の光ファイバ116から入射された光を第2の光ファイバ118に反射可能な反射面を有している。反射部材114は、釣竿2の先端を閉塞するように、釣竿2の先端に組み込まれている。反射部材114は、釣竿2の最も先端側にある道糸ガイド6aの近傍に位置している。なお、道糸ガイド6aは、釣竿2の先端部に止糸136で固定されている。
このような第1の検出ユニット101では、釣竿2の撓りに伴って、光路の状態が変化することになる。このため、発光素子110から反射部材114を介して受光素子112に伝搬する光の量が変化する。すなわち、釣竿2の撓りに伴い、受光素子112での受光量が変化する。第1の検出ユニット101は、この受光量の変化量の検出結果を信号用ケーブル104を介してコントローラ9に出力する。そして、コントローラ9によって、この検出結果に基づいて魚が掛かった「あたり」であるか否かが判断される。
図12ないし図15は、電動リール4に設けた第2の検出ユニット102を示している。第2の検出ユニット102(検出手段)は、釣竿2の撓りに伴う変化量として、電動リール4のブレーキ機構156にかかる反作用の力の変化量を検出する。
電動リール4は、道糸5を繰出し可能に巻回するスプール150と、スプール150と一体回転するシャフト152と、シャフト152を回転可能に支持する軸受154と、シャフト152を回転させる駆動源となる図外のモータと、スプール150の繰出し方向の回転を制動するブレーキ機構156と、を備えている。モータは、シャフト152を介して、スプール150を巻取り方向に回転駆動させる。モータは、コントローラ9に接続されている。
スプール150は、道糸5を繰出し・巻取り可能に巻回する胴部160と、胴部160の両側に設けられたフランジ部162,162と、を有している。また、スプール150は、一方のフランジ部162の外側に設けられたディスク板164と、ディスク板164の外側に設けられた油切リング166と、を有している。
本構成では、スプール150、シャフト152、ディスク板164および油切リング166を一体で構成したが、もちろん別体で構成してもよい。油切リング166は、シャフト152などに油をさすメンテナンス時に、ブレーキ機構156の後述するブレーキパッド170などに油が入り込まないように機能する。
ブレーキ機構156は、上記のディスク板164と、ディスク板164を挟んで対向して設けられた一対のブレーキパッド170,170と、一対のブレーキパッド170,170を各々保持する一対のパッド保持板172,172と、各パッド保持板172,172を介して各ブレーキパッド170,170をディスク板164に離接させる電磁石174と、パッド保持板172,172間に設けられて電磁石174を保持する電磁石保持板176と、電磁石保持板176を固定するベース板178と、ブレーキ機構156にかかる制動に対する反作用の力を検出する検出部180と、を有している。ブレーキ機構156の構成によって、第2の検出ユニット102の主要部が構成されている。
ベース板178は、各パッド保持板172,172をその互いに対向する方向にスライド可能に支持している。ベース板178は、電磁石保持板176と反対側の支持部位182で、電動リール4の図外のケースに回動可能に支持されている。すなわち、ベース板178は、パッド保持板172,172、電磁石174および電磁石保持板176と一体に、支持部位182を中心として図13に示す矢印方向に回動する。
電磁石174は、コントローラ9に接続されており、コントローラ9により制御されることでブレーキ機構156の制動力を調整する。
具体的には、スプール150の繰出し方向の回転を制動する場合には、電磁石174は、一対のパッド保持板172,172を接近させるように移動させ、一対のブレーキパッド170,170をディスク板164に接触させる。本構成では、電磁石174に流れる電流を制御することで、ブレーキパッド170,170をディスク板164に接触させる力、すなわちスプール150の繰出し方向の回転を制動する制動力を調整することができるようになっている。一方、スプール150の制動状態を解除する場合には、電磁石174は、一対のパッド保持板172,172を離間させるように移動させ、一対のブレーキパッド170,170をディスク板164から離間させる。
検出部180は、スプール150の制動時に一対のパッド保持板172,172に当接可能なストッパ190と、ストッパ190を介して制動に対する反作用の力を検出するロードセル192(センサ)と、ストッパ190およびロードセル192を保持するセンサ保持板194と、を有している。センサ保持板194は、一対のパッド保持板172,172側の先端にストッパ190を保持すると共に、ロードセル192をストッパ190に臨ませて保持している。また、センサ保持板194は、ストッパ190と反対側の基部側の二箇所の固定部位196,196で、上記図外のケースに不動に固定されている。
ストッパ190は、断面コ字状に形成されている。ストッパ190は、一対のパッド保持板172,172がフランジ部162や油切リング166に接触することを阻止する一対の第1規制部200,200と、一対の第1規制部200,200間をディスク板164を跨いで連絡する第2規制部202と、で構成されている。一対の第1規制部200,200は、一対のパッド保持板172,172の最大離間位置をも規制している。
第2規制部202は、内側の端面が一対のパッド保持板172,172に臨むと共に、外側の端面がロードセル192に臨んでいる。第2規制部202は、スプール150の制動時に支持部位182を中心に回動した一対のパッド保持板172,172によって接触される。その際にロードセル192によって制動に対する反作用の力が検出される。
これを詳述するに、スプール150が非回転状態のときには、一対のパッド保持板172,172は、第2規制部202に当接しまたは僅かにクリアランスを有している。一方、ブレーキパッド170,170がディスク板164に接触した制動状態で、スプール150が繰出し方向(図13の矢印方向)に回転すると、一対のパッド保持板172,172は、支持部位182を中心に第2規制部202側に回動し、これを押し込むように回動方向に僅かに移動させる。このときに第2規制部202が受けた力(制動に対する反作用の力)が、ロードセル192によって検出される。ロードセル192は、コントローラ9に接続されており、検出結果をコントローラ9に出力する。
通常、釣竿2に魚が掛かる前の状態では、スプール150は、ブレーキ機構156による所定の制動力で、その回転を制動されている。釣竿2に魚が掛かるなど釣竿2に荷重がかかると、釣竿2が撓ると共に道糸5がスプール150から繰り出されるように引かれる。このとき、上記のように、ロードセル192が検出するブレーキ機構156にかかる制動に対する反作用の力が変化する。
ロードセル192は、この反作用の力の変化量の検出結果をコントローラ9に出力する。そして、コントローラ9によって、この検出結果に基づいて魚が掛かった「あたり」であるか否かが判断される。また、後述するように、コントローラ9によって、ブレーキ機構156の制動力が緩和され、道糸5を所定の張力以下とするようにドラグ力が調整される。
図16に示すように、釣具1の制御系は、基本的に、コントローラ9から成る制御部61と、電動リール4、電磁石174および報知装置64を駆動する各種ドライバを有する駆動部62と、第1の検出ユニット101の受光素子112および第2の検出ユニット102のロードセル192を有する検出部63と、を備えている。この制御部61が、第1の検出ユニット101および第2の検出ユニット102の各検出結果に基づいて、釣竿2に魚が掛かったか否かを判断する判断手段として機能している。
制御部61は、CPU71、ROM72、RAM73、および入出力インターフェース74を備え、これらは互いにバス75を介して接続されている。上記実施例と同様のROM72は、例えば、魚が掛かっていない非魚信状態における釣竿2の撓りに伴う変化量を基準値として記憶している。
すなわち、水中に垂らした状態の釣竿2は、波や風等の自然環境の影響によって撓ることがあるが、ROM72は、その撓りに伴う標準的な変化量(受光素子112での受光量の変化量およびブレーキ機構156にかかる反作用の力の変化量)を第1初期基準値として記憶している。なお、第1初期基準値を例えば波等の影響力に基づいて5段階に設定しておき、コントローラ9に接続した切替スイッチを釣り人が操作するにより、第1初期基準値を適宜切り替えることができるようにしてもよい。
また、ROM72は、ブレーキ機構156の制動力の設定値として、道糸5(ハリス)の太さ(強度)に応じたものを記憶している。そして同様に、釣り人の切替スイッチの操作により、適宜、ブレーキ機構156の制動力を道糸5の太さに応じて設定することができる。
例えば、CPU71は、第1の検出ユニット101の受光素子による検出結果に第1初期基準値等の基準値を加味して、魚が掛かったか否かを判断する。また、CPU71は、第2の検出ユニット102のロードセル192による検出結果に第1初期基準値等の基準値を加味して、魚が掛かったか否かを判断する。この場合、CPU71は、第1の検出ユニット101の検出結果および第2の検出ユニット102の両方を加味して、魚が掛かったか否かを判断してもよいし、一方の検出結果だけで魚が掛かったか否かを判断してもよい。
魚が掛かったと判断した場合には、CPU71は、報知装置64の駆動を制御し、その旨を釣り人に報知させる。また同様に、魚が掛かったと判断した場合には、CPU71は、電動リール4の駆動を制御し、そのモータを巻取り駆動させる。またこのとき、CPU71は、ブレーキ機構156の制動力を適宜制御して、ドラグ力を調整する。具体的には、魚が掛かったときの受光素子112での受光量の変化量や、ロードセル192での制動に伴う反作用の力の変化量が所定の閾値を超える旨が、CPU71により判断されたときに、ブレーキ機構156の電磁石174に流れる電流を制御し、制動力を小さくするようにする。
これにより、魚が掛かって道糸5が強く引かれた場合であっても、道糸5の張力が緩和されてドラグ力の調整がなされる。このため、魚が掛かった際に道糸5が切れたり、魚をばらしたりすることを防止することが可能となる。またこのとき、ブレーキ機構156は、道糸5(ハリス)の太さ(強度)に応じた制動力となるように、CPU71により制御される。これにより、道糸5の状態を魚の動きに合わせたものとすることができる。
ここで、ブレーキ機構156が制動力を小さくする基準となる上記の「所定の閾値」は、魚が掛かった瞬間の変化量の設定値でもよい。もっとも、この「所定の閾値」は、魚の引きが急激に強くなった場合など、この設定値よりもやや高めの値となる設定値でもよい。また、「所定の閾値」は、道糸5(ハリス)の太さ(強度)を考慮して、設定されることが好ましい。
なお、第1実施例〜第3実施例の釣具1の電動リール4に本実施例のブレーキ機構156を適用することもできる。このときには、CPU71が、ドラム31の回転量や、釣竿2の曲げ応力の変化量が所定の閾値を超えていると判断したときに、ブレーキ機構156の制動力を小さくするようにして、ドラグ力が調整される。
また、上記説明では、電動リール4を例に説明したが、もちろん電動式でない手動のリールであっても、ブレーキ機構156等を適用することができる。また、ブレーキ機構156をディスクブレーキ式とし、その駆動源を電磁石174としたが、もちろんこれに限定されるものではない。
1・・・釣具、2・・・釣竿、4・・・電動リール、8・・・検出ユニット(検出手段)、9・・・コントローラ(判断手段)、23・・・検出用糸(紐状部材)、31・・・ドラム、34・・・検出器、101・・・第1の検出ユニット(検出手段)、102・・・第2の検出ユニット(検出手段)、110・・・発光素子、112・・・受光素子、114・・・反射部材、116・・・第1の光ファイバ、118・・・第2の光ファイバ、150・・・スプール