JP4225783B2 - 培養培地に適切な前駆体分子を加えることによる、繊毛虫培養物からのγ−リノレン酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊毛虫類で、発酵させることによってω−6脂肪酸(PUFA、多価不飽和脂肪酸)、特にγ−リノレン酸(GLA)を製造する方法に関する。この脂質/脂肪酸は、ヒト/動物の栄養、さらに製薬の分野で利用できる。
脂質/脂肪酸を得る繊毛虫類は、テトラヒメナ種(Tetrahymena sp.)であることが好ましく、テトラヒメナ サーモフィラ(Tetrahymena thermophila)であることが特に好ましい。
図1は、真核生物に関係のある酵素を考慮に入れたPUFA生合成の一般図(GillおよびValivetyのTrends Biotechnol.1997年、第15巻:401〜409ページに従って変更したもの)を示す。ステアリン酸(18:0)のオレイン酸(18:1Δ9)への変換は、Δ9不飽和化酵素(デサチュラーゼ)に触媒される。オレイン酸は、Δl2不飽和化酵素(デサチュラーゼ)によってリノール酸(18:2 Δ9,12、略語LA)に変換され、これが次に、Δ6不飽和化酵素(デサチュラーゼ)によってγ−リノレン酸(18:3、Δ6,9,12、略語:GLA)に変換され、あるいはΔ15不飽和化酵素(デサチュラーゼ)によってα−リノレン酸(18:3 Δ9,12,15、略語:ALA)に変換される。脂肪酸の伸長は、伸長酵素(エロンガーゼ)によって触媒され、これによってたとえばγ−リノレン酸からは、ジホモ−γ−リノレン酸(20:3、Δ8,11,15、略語:DGLA)が生成され、これが次に、Δ5不飽和化酵素(デサチュラーゼ)によってアラキドン酸(20:4 Δ5,8,11,15、略語:ARA)、すなわち、生理学的に活性なエイコサノイド、たとえばプロスタグランジン類、プロスタサイクリン類、トロンボキサン類、ロイコトリエン類の直接の前駆体分子に変換される。GLA(以下ではΔ6不飽和化脂肪酸と称する)から誘導されるPUFAの生成では、Δ6不飽和化酵素(デサチュラーゼ)によるLAのGLAへの変換が律速ステップであることがわかっている(Huang YSおよびMills DEの「γ−linolenic acid:Metabolism and its role in nutrition and medicine」、AOCS Press、米イリノイ州シャンペーン、1996年)。
脊椎動物は、脂肪酸の9位より後に二重結合を導入することができないので、LAやALAなどの不飽和脂肪酸は、脊椎動物には合成できず、主として食物の植物供給源に由来する必須栄養素である。哺乳類は、Δ6不飽和化酵素(デサチュラーゼ)によって、LAを、ARA前駆体であり、かつ大部分のプロスタグランジン類の本質的な前駆体分子でもあるGLAに変換することができる。ステアリドン酸(18:4 Δ6,9,12,15)、すなわちEPAの前駆体分子のALAからの生成も、同じくΔ6不飽和化酵素(デサチュラーゼ)によって触媒される。したがってΔ6不飽和化酵素(デサチュラーゼ)は、エイコサノイド生合成の第1の必須ステップである。
哺乳類のΔ6不飽和化酵素(デサチュラーゼ)の活性は、たとえばアルコール摂取、ストレス、食物摂取不足、および加齢プロセスなどの要因によって弱まることが判明している(HuangおよびMills、1996年;Horrobin(1990年)のRev.Contempt.Pharmacother.第1巻:1〜45ページ;Bolton−Smith C等(1997年)のEur.J.Clin.Nutr.第51巻:619〜624ページ;Leventhal L J等(1993年)のAnn.Intern.Med.第119巻:867〜873ページ)。これがGLAの供給不足をもたらし、次いで結局は、ARAなどのGLA由来の分子、およびそれから生成する生理学的に重要なエイコサノイドが不足することになる(Brenner RR(1976年)のAdv.Exp.Med.Biol.第83巻:85〜101ページ;Nakahara T等(1993年)のJ.Jpn.Oil Chem.Soc.第42巻:242〜253ページ;Chapkin,RS(1998年)の「Reappraisal of the essential fatty acids」、出典:「Fatty acids in food and their health implications」、第2版(Chow CK編)、Marcel Dekker、ニューヨーク州ニューヨーク)。GLAの供給によって、Δ6不飽和化脂肪酸の内在レベルの低下を補償するだけでなく、このような脂肪酸の所要量の増加を賄うことができる(Horrobin(1990年))。したがって、食事によってGLAを摂取することは、GLA由来分子が生合成されるために有利である(Fan.YYおよびChapkin,RS(1998年)のJ.Nutr.第128巻:1411〜1414ページ)。
GLAが人体に種々な有益な効果を及ぼすという発見は、この間、非常に多数の科学的研究によって補強されている。一例として、GLAが、たとえばアトピー性湿疹、リウマチ様関節炎、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性ニューロパシー、片頭痛、精神分裂病、および癌に有益な作用を及ぼすことが、臨床研究によって実証されている。このような研究では、統計的に有意な改善だけでなく、臨床像における臨床的に有意な改善が目標とされた。
このような有益な特性のために、GLAは、製薬、化粧品、動物飼料、および食品業界においてその使用範囲が広い。
ヒトおよび動物からの多くのPUFAは、直接に食物に由来するか、または食物を介して供給された必須脂肪酸が、不飽和化因子および伸長因子による変換を経たものである。
GLAを生成するのは、いくつかの市販の脂肪種子だけである。GLAは、マツヨイグサ(Oenothera biennis、総脂肪酸含有量の約10%がGLA)、ルリヂサ(Borago officinalis、約23%)、およびクロスグリ(Ribes nigrum、約18%)など、種々の植物の種子中にしか生成しない。その他には、たとえば真菌類のケカビ属およびクサレケカビ属(最高で約25%)、藍藻類のスピルリナ(約12〜18%)他といった種々の微生物も、GLA供給源として知られている。記載されている特にGLAに富む供給源は、繊毛虫類、たとえばテトラヒメナ(Tetrahymena)(最高で47%、Hill,DL(1972年)の「The biochemistry and physiology of Tetrahymena」、第3章、46〜73ページ、Academic press、ニューヨーク、ロンドン;Erwin,JおよびBloch,K(1963年)のJ.Biol.Chem.第238巻:1618〜1624ページ)である。
種々の真菌類、たとえばクサレケカビ属およびケカビ属からの発酵によるGLAの製造は、文献(Nakajima等のEssent.Fatty Aicosanoids,Invited Pap.Int.Congr.、第3巻、1992年、57〜64ページ;Nakahara等のIndustrial appl.of single cell oils、AOCS Press、(1992年)、61〜97ページ)にすでに記載されている。糸状に成長する真菌類の場合では、通常、培地の粘度が高いために、莫大な費用をかけない限り、GLA産生に不可欠な十分な酸素供給を工業的規模で実行することはできず、この問題は、依然として克服が待たれている(Hiruta等のj.Ferm.Biotech.、(1997年)、第83巻、79〜86ページ;ChmielのBioprozeβtechnik2、(1991年)、287〜302ページ;Cruegerおよびcruegerの「Biotechnologie−Lehrbuch der angewandten Mikrobiologie(応用微生物学のバイオテクノロジー教本)」、(1989年)、224〜266ページ)。
したがって、このような天然供給源からのGLAの工業生産は、これまでその工業的規模での使用を妨げてきた重大な不利点および問題点を抱えている。このような生物体から生成される油は、質だけでなく量がさまざまになり、さらに油の組成が非常に不均一であり、GLAを濃縮するために複雑かつ費用のかかる精製ステップが必要である。その上、GLA含有植物の栽培は、あまり経済的でない(Hansen CE等(1991年)のJ.Sci.Food Agric.第54巻:309〜312ページ)。GLA含有油の製造については、いくつかのGLA産生微生物における空間/時間の収率が、高等植物の場合よりも著しく良好であることがわかっている。
微生物での発酵によるGLAの製造は、この理由で、これまでどうしても十分な程度に実現されていなかった、他のGLA供給源に代わる大いに有望な選択支を提供する。
多くの微生物の脂肪酸スペクトルは、高等生物ほど不均一でなく、これによって精製が有利になる。その上、発酵による製造は、天候、飼料供給などの外的な要因に左右されない。さらに、このようにして調製したPUFAは、たとえば環境汚染による汚染物質をほとんど含まない。別の有利点は、たとえば、植物供給源から得たGLAとは対照的に、発酵法によって生成したGLAの利用性が信頼できることである。
PUFAまたはGLAを工業的に提供することへの関心は大きいので、従来技術には、発酵によってこのような脂肪酸の製造を最適化するおびただしい方法が存在する。これらの例は、Ratledge C(1993年)のTrends Biochem.第11巻:278〜284ページ;Ratledge C(1989年)のBiochem.Soc.Trans.第17巻:1139〜1141ページ;Gosselin Y等(1989年)のBiotechnol.Lett.第11巻:423〜426ページ、さらにまた国際特許出願WO86/03518に出ている。しかし、GLAの微生物発酵による工業的規模での製造については、PUFA産生微生物による発酵が複雑かつ高価であり、したがって現在達成できるGLA含有量では不経済であるので、GLA含有量を増大させることが必要である(supra Ratledge 1993年)。さらに、総脂質に対するGLA含有量が少ないために、精製が必要であるが、この精製を定量的に行うことができないので、高純度GLAを発酵によって意味のある収量で製造することは、実際的な側面から、現在では不可能である。
そのGLA含有量が本来すでに比較的高いために、発酵によるGLAの製造には、特にテトラヒメナ(Tetrahymena)が適するといえる。テトラヒメナ(Tetrahymena)は、発酵槽中で培養でき、高い細胞密度を実現することができる(Kiy,T.およびTiedtke(1992年)のAppl.Microbiol.Biotechnol.第37巻、576〜579ページ;Kiy,T.およびTiedtke,A.(1992年)のAppi.Microbiol.Biotechnol.第38巻、141〜146ページ)。
(GLAを含む)PUFAは、大部分がテトラヒメナ(Tetrahymena)の細胞膜のリン脂質(PL)に結合して存在している。細胞は、中性脂質(貯蔵脂質)の3.5〜4倍のリン脂質を含有している(Lees等のBiochemistry(1996年)第5巻(5)、1475〜1481ページ;Jonah等の(1971年)Biochimica et biophysica acta、第231巻、80〜92ページ)。しかし、細胞膜の面積は限られており、培養中では細胞数を増加させることによってしか増やすことができない。これによって、PUFA含有量の増加に必然的に制限がかかる。培養中には、細胞含有量を自由裁量で増すことができないからである。
対照的に、細胞あたりの中性脂質(貯蔵脂質)量は、増加させ、脂質液滴の形で蓄積させることができる。これは、的を絞ったアセタート供給について記載されている(Okuyama等のJ.Biol.Chem.、(1977年)、第253巻(10)、3588〜3594ページ;Borowitz等のBiochim.et biophys.acta、(1976年)、第424巻、114〜124ページ)。
しかし、中性脂質(NL)中のGLAの割合は、非常に低い(NL中で6.7%(w/w)、総脂質中で25.6%(w/w)(Jonah等のBiochimica et biophysica acta、(1971年)、第231巻、80〜92ページ)、あるいはNL中2.1%(w/w)、リン脂質(PL)中29.5%(w/w)、かつ総脂質中19%(w/w)(Erwin等のJ.Biol.Chem.、(1963年)、第238巻(5)、1618〜1624ページ))。アセタートを供給しても、脂肪酸組成は変化しない(Holz等(1973年)のBiol Tetrahymena、99〜122ページ)。
テトラヒメナ ピリフォーミス(Tetrahymena pyriformis)については、アセタートを供給した場合の細胞数の増加が報告されている(グルコースを含まない基本培地に0.1%アセタートを加えた場合、1mlあたり細胞1.2×l05個から1.6×105個)。グルコースを含む基本培地では、増加が有意でない(1mlあたりアセタートなしで細胞1.85×105個、アセタートを加えて細胞1.9×105個)(Mavrides(1973年)のCan.J.Biochem、323〜331ページ、培地組成:Dewey等(1950年)のArch.Biochem.Biophys、第29巻、281ページ)。しかし、これらの刊行物で報告された細胞数は、本発明に従って使用できる培地を用いて達成できる細胞数をずっと下回っている(本発明で使用した培地の1×106〜3×107個に対して最大2×105個)。
したがって、本発明の目的は、GLAの収量を著しく増加させることのできる手段によって、PUFA、好ましくはGLAを工業的規模で製造する方法を提供することである。この方法は、技術的に簡単であり、取扱いも容易であり、信頼でき、かつ費用のかからないものである。
本発明の別の目的は、より純粋な形のGLAを得るために中性脂質中のGLA含有量を増加させることである。
これらの目的に加え、明確に記載していないが、本明細書で最初から論じた文脈から問題なく派生し、または推論される他の目的は、特許請求項1の特徴をすべて備えた方法によって実現される。本発明の方法の好都合な変更は、請求項1を引用している従属請求項の形で保護範囲に含まれる。
これは、それ自体が知られている条件下、発酵槽中で繊毛虫を培養し、培地にGLA前駆体分子を加えることによって、GLA収量の増加が予想し得なかった方式で実現できることによるものである。
GLA前駆体分子に加えて、アセタートも培地に加えることが特に好ましい。
本発明の好ましい実施形態では、繊毛虫は、テトラヒメナ種(Tetrahymena sp.)である。
本発明の別の好ましい実施形態では、繊毛虫は、テトラヒメナ ロストラタ(Tetrahymena rostrata)(たとえばATCC30770)である。
本発明のもう1つの別の好ましい実施形態では、繊毛虫は、テトラヒメナ ピリフォーミス(Tetrahymena pyriformis)(たとえばATCC30039、30005、30202)である。
本発明のもう1つの別の好ましい実施形態では、繊毛虫は、テトラヒメナ サーモフィラ(Tetrahymena thermophila) B1868VII(たとえばATCC 30384)である。
アセタートは、培養開始の20〜39時間後に初めて加えることが好ましく、25〜35時間後に初めて加えることが特に好ましい。
本発明の別の好ましい実施形態では、アセタートを2段階で加える。
したがって、本発明の特に好ましい実施形態は、培養開始の20〜39時間後に最初の供給パルス(feed pulse)を加え、培養開始の40〜70時間後に次の供給パルスを加える場合、25〜35時間後に最初の供給適用量を加え、50〜60時間後に次の供給適用量を加えることが特に好ましい。
本発明の別の特に好ましい実施形態は、アセタートを、培養開始の20時間後、特に好ましくは培養開始の25時間後に加え始め、少なくとも1時間毎0.05g/lの速度で、培養期間中ずっと連続的に加えるものである。
GLA前駆体分子は、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1)、および/もしくはリノール酸(C18:2)、または対応する前駆体分子のトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、リン脂質、エステル、もしくは塩であることが好ましい。
本発明の好ましい実施形態では、培養物に、ヒマワリ種子油など、天然油の形のGLA前駆体分子を加える。
本発明の別の好ましい実施形態では、培養物にアザミ油の形のGLA前駆体分子を加える。
本発明のもう1つの別の好ましい実施形態では、培養物にオリーブ油の形のGLA前駆体分子を加える。
アセタートは、酢酸の形で、または酢酸塩、たとえば酢酸ナトリウムとして加えることが好ましい。
本発明をもたらした上述の発明者等の研究では、驚くべきことに、接種前、また培養中にアセタートを加えると、成長が弱くなることが判明した(実施例3)。このバイオマスの脂肪酸スペクトルまたはGLA含有量に著しい変化はないので、全体的に見て、GLAの収量に減損が生じる。
そこで、テトラヒメナ(Tetrahymena)に脂肪酸前駆体のみ、前駆体分子のトリアシルグリセリドのみ、アセタートのみ、または前駆体分子のトリアシルグリセリドとアセタートの組合せのいずれかを供給するさまざまな供給物実験を実施すると、驚くべきことに、テトラヒメナ種(Tetrahymena sp.)に前記前駆体分子とアセタートを合わせて供給すると、中性脂質含有量だけでなく、中性脂質中のGLA含有量が特に望ましく増加し、これによって、バイオマスDMのGLA含有量が250%まで、すなわち2.0%(w/w)から5.0%(w/w)に増大することが判明した。特に驚くべきことに、培養開始の約20〜40時間に、時間をずらしてアセタートを加えると、GLAの収量が特に高くなる。比較としては、脂肪酸前駆体およびアセタートを加えない標準の培養を行った。
したがって、本発明によれば、繊毛虫類は、そのPUFA含有量、好ましくはGLA含有量が高くなる条件下で培養する。
本発明の目的では、PUFA含有量またはGLA含有量が高いとは、対応する脂肪酸が、細胞および/または培養ブロス中に、遊離脂肪酸の形で、リン脂質として、中性脂質として、またはそれ以外に通常の生物学的条件下で脂肪酸が発生し得る他の形で存在する意味とする。
培養物または培養ブロスからγ−リノレン酸含有脂質またはγ−リノレン酸を単離できる方法は、当業者によく知られている。
繊毛虫からγ−リノレン酸含有脂質を単離するためのここでの一方法は、以下の段階、すなわち、
(i)発酵ブロスを0〜10℃に冷却し、次いで冷却した培養ブロスを遠心分離または濾過にかける段階、
(ii)得られたバイオマスを乾燥させる段階、
(iii)得られた脂質を、
(a)(ii)から得たバイオマスDM(BDM)を、全脂質を抽出できる極性溶媒、好ましくはエタノールでの抽出にかけ、
(b)その代わりに、非極性溶媒、好ましくはn−ヘキサンでBDMから中性脂質を抽出し、および/または
(c)(a)から得た全脂質を非極性溶媒で処理して、中性脂質と極性脂質、たとえばリン脂質を分離することによって抽出する段階
を踏めばよい。
繊毛虫から遊離のγ−リノレン酸またはそのエステルを単離する別の方法は、以下の段階、すなわち、
(i)上述の方法の段階(ii)または(iii)で得た生産物をけん化またはエステル化して、遊離脂肪酸またはエステルを生成させる段階、
(ii)沈殿(たとえば尿素沈殿)法および/またはクロマトグラフィ法によって、GLAを濃縮する段階
を踏めばよい。
発酵ブロスから直接に遊離γ−リノレン酸を単離する別の方法は、以下の段階、すなわち、
(i)発酵ブロスを0〜10℃に冷却し、次いで遠心分離または濾過にかける(その後希釈して濾過性を確認する)段階、
(ii)内在するテトラヒメナ(Tetrahymena)リパーゼによって、または他のリパーゼを加えることによって、遊離した脂質を加水分解する段階、
(iii)沈殿(たとえば尿素沈殿)法および/またはクロマトグラフィ法によってGLAを濃縮する段階
を含めばよい。
さらに、当業者にはわかりきったことであるが、たとえば、上で示したように得た脂質、脂肪酸、または脂肪エステルから、構造脂質(たとえば、トリグリセリド、リン脂質)が合成される。
非常に多くの類似の精製法が当業者に利用でき、本発明の範囲から離れなければ、こうした方法の1または複数のこれらの段階に変更を加えてよいことは言うまでもない。完全に異なる精製プランでさえ、ここには何も変化をもたらさないはずである。従来技術から多くの異なる精製プランを引き出すことができ、かつそのようなタイプの精製が選択されても、当業者の通常の知識に対応しているからである。
以下で述べる図面は、本発明の理解の向上に寄与するものである。
当業者にはわかることであるが、上で述べた詳細を考慮すれば、非常に多くの他のテトラヒメナ種、たとえばテトラヒメナ シルバナ(T.silvana)(たとえばATCC50084)、テトラヒメナ マラクセンシス(T.malaccensis)(たとえばATCC50065)、テトラヒメナ アジアティカ(T.asiatica)(たとえばATCC50068)、テトラヒメナ ボレアリス(T.borealis)(たとえばATCC30203)、テトラヒメナ カナデンシス(T.canadensis)(たとえばATCC50098)、テトラヒメナ オーストレイリス(T.australis)(たとえばATCC30349)、テトラヒメナ ボラックス(T.vorax)(たとえばATCC30421)、テトラヒメナ ファーガソニ(T.furgasoni)(たとえばATCC9357)、テトラヒメナ セトーサ(T.setosa)(たとえばATCC30782)、およびテトラヒメナ トロピカリス(T.tropicalis)(たとえばATCC30275)を用いる本発明の手順を使用しても、同様に良好なGLAの収量が得られる。
以下で述べる実施例によって、本発明をより詳細に述べる。しかし、実施例は、限定的であるとみなされるものではない。別段の記載がない限り、個々の実験にはテトラヒメナ サーモフィラ(Tetrahymena thermophila) B1868VII(たとえばATCC30384)を使用した。
[参考例1]
標準培養物
100ml容コニカルフラスコに20mlのMM−Var培地(表1を参照されたい)を装入し、またはバッフルを備えた500ml容コニカルフラスコに100mlのMM−Var培地を装入し、セルロース/綿製の栓で閉め、121℃で20分間滅菌した。
相応する場合は、滅菌前に、培地に添加物を入れた。
Figure 0004225783
予備培養物
予備培養物については、20mlの培地を含む100ml容フラスコに、細胞密度が1mlあたり細胞約5×104〜1×105個のMM−Var培地(表1を参照されたい)を接種し、25℃、60rpmで2日間かけて培養した。細胞数を、1mlあたり細胞1×106個と3×106個の間の値に到達させた。
振とうフラスコ中の主培養物
100mlの培地を含む500ml容コニカルフラスコ中で振とうフラスコ実験を行った。実験用フラスコに1mlあたり約5×104〜1×105個の細胞密度を接種し、25℃、100rpmで2日間かけて培養した。
1lまたは5l規模での発酵
1l容発酵槽(700mlの稼動体積)、5l容発酵槽(3lの稼動体積)、および13l容発酵槽(10lの稼動体積)中で発酵を行った。発酵槽に、pH電極、pO2電極、通気環、円板型攪拌器を備えた攪拌軸、酸/アルカリ用供給ライン、フィード供給用供給ライン、接種用フィッティング、およびサンプリングを標準装備した。
発酵槽に稼動体積の培地を装入し、滅菌器中、123℃で30分間滅菌した。
表2に発酵条件を明記する。
Figure 0004225783
発酵物に振とう培養物からの主培養物(上を参照)を接種した。
バイオマスの定量
バイオマス乾燥物を定量するために、5mlの細胞培養物を4℃、3400gで10分間遠心分離し、上清をデカントし、細胞ペレットを−80℃で凍らせた。凍結したバイオマスを凍結乾燥させ、バイオマス乾燥物の重量を決定した。
細胞数の決定
CASY 1 Cell Counter+Analyser System、TTC型、Scharfe Systemを使用して、細胞密度を決定した。測定については、細胞を弱いCASY電解質溶液中に希釈し(1:500)、直径150μmの毛細管を通して輸送した。粒径が15〜50μmの範囲の細胞をカウントした。
バイオマス乾燥物中の中性脂質含有量の決定
n−ヘキサンを用いてバイオマス乾燥物から非極性脂質成分(中性脂質)を抽出した。1バッチについて、約500mgのバイオマス乾燥物を、5mlのn−ヘキサン中、60℃で1時間攪拌し、次いで2700gで2分間遠心分離し、懸濁した物体を濾別することによって上清を精製した。濾過については、詰める高さを約1cmとして脱脂綿を詰めたパスツールピペットを使用した。最初の抽出の細胞残渣を5mlの溶媒でもう一度抽出し、バイオマスを遠心分離によって除き、上清を濾過した。2回の抽出の精製された有機相を合わせ、回転蒸発装置で溶媒を完全に蒸発させ、抽出された脂質の量を秤量によって決定した。
抽出した脂質の質的かつ量的分析
Iatroscan TM new MK−5 Analyserを使用して、抽出した脂質を質的かつ量的に分析した。クロマトグラフィ材料には、表面材料として耐熱性シリカゲルが使用されている分離棒(クロマロッド)を使用した。分離棒をデシケーター中に保管し、それぞれの分離操作の前にか焼して、妨害物質を除去した。FIDの測定条件は、走査速度:30秒/スキャン、O2流量:2l/分、およびH2流量:160ml/分となるように選択した。
分析しようとする脂質を、濃度約10g/lのクロロホルム/メタノール(2:1)中に溶解させ、その1μlを分離棒にのせた。分離は、移動層中で30分間かけて行ったが、その移動層の組成を表3に明記する。
Figure 0004225783
実行後、棒を80℃で5分間乾燥させ、Iatroscanで分析した。各脂質を割当て、確実な標準物質と比較することによって数量化した。標準溶液は、メタノール/クロロホルム(2:1)に溶解させた、4.65g/lのトリパルミチン酸、5.17g/lのジパルミチン酸、および5.64g/lのパルミチン酸の混合物とした。検量線を作成するために、0.5〜2.0μ1の量の標準溶液を分離棒にのせ、溶媒中で展開し、TLC−FIDによって分析した(表4)。
Figure 0004225783
ガスクロマトグラフィ(GC)によるGLA含有量の決定
水素炎イオン化検出器(ヒューレットパッカード社、米ウィルミントン)を装備したガスクロマトグラフィ装置(HP GC 6890)によって、脂肪酸スペクトルを決定した。
使用したカラムは、FFAP(遊離脂肪酸層)Permbond(Macherey&Nagel GmbH、Duren)であった。脂肪酸メチルエステル標準物質の滞留時間と比較することによって、脂肪酸を同定した。標準物質の既知の濃度に基づき、試料中の脂肪酸濃度が決定できた。
30〜70mgの凍結乾燥バイオマス乾燥物(バイオマスの定量を参照されたい)を秤量し、20%強度のHClメタノール溶液1mlおよび標準メタノール溶液(1mg/ml)1mlと混合した。脂肪酸を遊離させ、エステル交換を行って脂肪酸メチルエステルにするために、フタをした試験管に入った試料を、水浴中、60℃で2時間攪拌し、室温に冷却した。次に、試料を中和するために、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液1mlを加え、試料を慎重に混合した。n−ヘキサンを加えて、脂肪酸メチルエステルを抽出した。次いで、バッチを激しく混合し、4300rpmで2分間遠心分離することによって、相を分離した。上方の有機相の約2/3を取り去り、1μlの試料をGCカラム上に注入し、分析した(表5も参照されたい)。
Figure 0004225783
[参考例2]
アザミ油(リノレン酸供給源)がGLA生成に及ぼす影響
1ml/lのアザミ油を、滅菌する前に、100mlのMM−Var培地を含む2本の500ml容フラスコそれぞれに加えた。100mlのMM−Var培地を含む2本の500ml容フラスコを基準として使用した。アザミ油は、表6に報告された組成を有していた。脂肪酸は、トリグリセリドの形であった。
結果は、図2〜4に示す。これを加えたことによって、バイオマスが約8.3g/lから約9.5g/lに増加した(図2)。バイオマス内容物中のGLA含有量は、若干しか増加しなかったが(図3)、バイオマス濃度が高いことによって、GLAの体積濃度が28%(180mg/lから230mg/l)増大した。アザミ油を加えることによって、全脂肪酸中のGLAの比率は、33%から22%に低下した(図5)。
Figure 0004225783
[参考例3]
オリーブ油(オレイン酸供給源)がGLA生成に及ぼす影響
1ml/lのオリーブ油を、滅菌する前に、100mlのMM−Var培地を含む2本の500ml容フラスコそれぞれに加えた。100mlのMM−Var培地を含む2本の500ml容フラスコを基準とした。オリーブ油の組成は、表6(上)に示したものであった。脂肪酸は、トリグリセリドの形であった。結果は、図2〜4に示す。これを加えることによって、バイオマスが約8.3g/lから約9.1g/lに増加した(図2)。バイオマス中のGLA含有量は、有意に増加し(2.1%から3%)(図3)、バイオマス濃度も高くなり、GLAの体積濃度は、53%(180mg/lから275mg/lに)増大した。オリーブ油を加えることによって、全脂肪酸中のGLAの比率は、33%から24%に低下した(図5)。
参考例4]
アセタートがGLA生成に及ぼす影響(基本培地中のアセタート)
700mlのMM−Var培地を含む1l容発酵槽において発酵を行った。1つの発酵物を基準とし、他の2つには、滅菌前に、その培地に0.5および1.0g/lの酢酸ナトリウム(NaAc)を加えた。
酢酸ナトリウムは、培養の際、テトラヒメナ サーモフィラ(tetrahymena thermophila) B1868VIIの細胞成長に有害な影響を及ぼした(図6および7)。この実験の細胞密度だけでなく、そのバイオマス乾燥物(BDM)も、基準発酵物の結果を下回っていた。次いで、使用した酢酸ナトリウム量と細胞成長抑制作用の直接の相関関係としてはバイオマス乾燥物のGLA含有量は、NaAcを加えても変わらなかった(図8)。
また中性脂質の合成も、酢酸ナトリウムの添加によって若干変化しただけであった(表7を参照されたい)。
Figure 0004225783
46時間の培養時間の後でも、標準の発酵物との有意な差は観察できなかった。増加が認められたのは、70時間後になってからであり、MM−Var基本培地にNaAcを加えることによって、NL含有量が11%から17%(w/w)に増加した。中性脂質中のGLA含有量は、標準発酵物と若干の差があるだけであった。
驚くべきことに、NaAcを加えることによって、GLA産物の生成体積は低下した(図9)。
参考
アセタートがGLA生成に及ぼす影響(24時間後に培養物に加えたアセタート)
700mlのMM−Var培地を含む1l容発酵槽において発酵を行った。1つの発酵物を基準とし、他の発酵物には、発酵29時間後に滅菌した(121℃で20分間)10%強度溶液の形で、0.2、0.5、および1.0g/lの酢酸ナトリウム(NaAc)を加えた。29時間後に0.2および0.5g/lのNaAcを供給した発酵物では、発酵54時間後に再度同じ量を加えた。
酢酸ナトリウムは、培養中では、テトラヒメナ サーモフィラ(Tetrahymena thermophila) B1868VIIの細胞成長に有害な影響を及ぼした(図10および11)。実験の細胞密度だけでなく、そのBDMも、基準培養物の結果を下回っていた。使用した酢酸ナトリウム量と細胞成長抑制活性は、直接に相関していた。培養の際にNaAcを加えた場合、認められることのある直接の反応は、成長の低下、または細胞密度の減少である。バイオマス乾燥物のGLA含有量は、NaAcを加えても変化しなかった(図12)。
また、中性脂質の合成も、酢酸ナトリウムの添加によって若干変化しただけであった(表8を参照されたい)。
Figure 0004225783
アセタート培地を46時間培養した後、標準発酵物との差は観察されなかった。70時間後でさえ、有意な増加は認められなかった。GLA産物の生成体積は、アセタートを加えることによって縮小した(図13)。
実施
酢酸ナトリウムとアザミ油を加える
700mlのMM−Var培地を含む1l容発酵槽において発酵を行った。1つの発酵物を基準とし、1つには滅菌前に0.5g/lのNaAcおよび1ml/lのアザミ油を、1つには0.5g/lのNaAcおよび1ml/lのアザミ油を、対数期の終わりに向けて(28時間後まで)加えた。
図14および図15は、細胞数およびバイオマス乾燥物の経過を示す。培地にNaAcおよびアザミ油を加えると、テトラヒメナ(Tetrahymena)の成長が低下したことがわかるであろう。発酵開始時期に基質を加えた場合、基準発酵物と比べて、対数成長期が遅れたことが観察され、得られたBDMは、ほぼ同じであった。28時間後に加えると、その供給の結果としてBDMが減少した。
図16では、発酵の経過におけるバイオマスあたりのGLA含有量がプロットしてある。アザミ油および酢酸ナトリウムでの培養によって、GLA含有量が5.2%(w/w)まで著しく増加した。標準培養物は、2〜3%(w/w)という著しく低い値を示した。BDMが減少したにもかかわらず、GLA含有量が増加したことは、342mg/l(71時間、図17)というGLA濃度の高さに表われており、GLAの純度は、30面積%であった(図18)。
参考
オリーブ油とアセタートの供給の組合せ
オリーブ油を使用しても同様に良好な結果が得られた。
真核生物でのPUFAの生合成を示す一般図である。 MM−Var(標準培地)、MM−Var+アザミ油、およびMM−Var+オリーブ油(2本ずつの平行試験)を使用して得られたバイオマス乾燥物をg/lで示すグラフである。 MM−Var(標準培地)、MM−Var+アザミ油、およびMM−Var+オリーブ油(2本ずつの平行試験)を使用して得られた、バイオマス乾燥物に対するGLAの重量百分率を%で示すグラフである。 MM−Var(標準培地)、MM−Var+アザミ油、およびMM−Var+オリーブ油(2本ずつの平行試験)を使用して得られたGLA収量をmg/lで示すグラフである。 MM−Var(標準培地)、MM−Var+アザミ油、およびMM−Var+オリーブ油(2本ずつの平行試験)を使用して得られたGLAの収量をg/lの面積[%]で示すグラフである。面積[%]は、総脂質含有量のGLA比率を示す。 MM−Var基本培地にNaAcを加えた場合の細胞数の経過を示すグラフである。 MM−Var基本培地にNaAcを加えた場合のバイオマスDMの経過を示すグラフである。 MM−Var基本培地にNaAcを加えた場合のバイオマスDMのGLA含有量を示すグラフである。 MM−Var基本培地にNaAcを加えた場合の培養物のGLA濃度を示すグラフである。 培養中にNaAcを供給した場合の細胞数の経過を示すグラフであり(t=25h、54h)、矢印はそれを加えた時点を示す。 培養中にNaAcを供給した場合のバイオマスDMの経過を示すグラフであり(t=25h、54h)、矢印はそれを加えた時点を示す。 培養中にNaAcを供給した場合のGLA含有量を示す図である(t=25h、54h)。 培養中にNaAcを供給した場合の培養物のGLA濃度を示すグラフである(t=25h、54h)。 0.5g/lのNaAcおよび0.1%のアザミ油がT.thermophila B1868VIIの細胞数に及ぼす影響を示すグラフである。 0.5g/lのNaAcおよび0.1%のアザミ油がT.thermophila B1868VIIのバイオマスDMに及ぼす影響を示すグラフである。 0.5g/lのNaAcおよび0.1%のアザミ油で成長させたティー.サーモフィラ(T.thermophila) B1868VIIのGLA含有量の経過を示すグラフである。 ティー.サーモフィラ(T.thermophila) B1868VIIの培養中、0.5g/lのNaAcおよび0.1%のアザミ油がGLAの収量に及ぼす影響を示すグラフである。 0.5g/lのNaAcおよび0.1%のアザミ油で成長させたティー.サーモフィラ(T.thermophila) B1868VIIのバイオマスDMにおけるGLA面積の経過を示すグラフである。

Claims (10)

  1. γ−リノレン酸を発酵によって製造する方法であって、
    γ−リノレン酸前駆体分子を加えた培地でテトラヒメナ種(Tetrahymena sp.)を培養し、培養開始の20〜39時間後に最初の添加を行い培養開始の40〜70時間後に次の添加を行って2段階でアセタートを加え、培養を終えた後、テトラヒメナ種(Tetrahymena sp.)からγ−リノレン酸を単離し、
    前記γ−リノレン酸前駆体分子が、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1)、若しくはリノール酸(C18:2)、又は、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1)、及びリノール酸(C18:2)のうち何れか一つの脂肪酸のトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、リン脂質、エステル、若しくは塩であることを特徴とするγ−リノレン酸の製造方法。
  2. テトラヒメナ サーモフィラ(Tetrahymena thermophila)を使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. テトラヒメナ ピリフォーミス(Tetrahymena pyriformis)を使用することを特徴とする請求項に記載の方法。
  4. テトラヒメナ ロストラタ(Tetrahymena rostrata)を使用することを特徴とする請求項に記載の方法。
  5. 培養開始の25〜35時間後に最初のアセタートを加えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 培養開始の25〜35時間後に最初の添加を行い、培養開始の50〜60時間後に次の添加を行って、2段階でアセタートを加えることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 酢酸の形、または酢酸塩としてのアセタートを培養物に加えることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. 培地に、最終濃度を0.1ml/l〜10ml/lとして植物油を加えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 濃度が0.1g/l〜1g/lの酢酸ナトリウムとしてのアセタートを加えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記γ−リノレン酸前駆体分子がアザミ油であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
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