JP4223903B2 - ドライバ工具 - Google Patents

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Description

本発明は、ネジの取り外し方法及び電動式或いは空圧式等の駆動力でドライバビットを回転させてネジの取り付け或いは取り外しを行うドライバ工具に関する。
製品の組立或いは分解において、ネジを用いた部品の取り付けや取り外しには、電動式或いは空圧式のドライバ工具が用いられることが多い。これらのドライバ工具は、ネジの頭部と当接し、この頭部の凹部に嵌合するドライバビットがネジの軸周りに回転することで、ネジを締めたり緩めたりして部品の取り付けや取り外しを行うものである。このようなネジの取り付け或いは取り外しを行う従来のドライバ工具は、例えば、下記特許文献1に示されるものがある。この従来のドライバ工具を、図11を用いて説明する。
図11(a)に示すように、従来のドライバ工具は、ネジ7の頭部に当接するドライバビット901を収容するカラー902を装備しており、このカラー902がドライバビット901を中心にして位置し、ドライバビット901の軸方向に弾発的に移動可能になっている。ネジ7の頭部は、カラー902の内側に保持されるようになっていて、例えば、第1部品5と第2部品6とを締結するためにネジ7を取り付ける際には、ネジ7が部品6側にネジ込まれるにしたがってカラー902が、スプリング903の弾性に反して、ドライバ工具基部904に向かって相対的に後退するようになっている。
特開平9−174450号公報
ところが、図11(b)に示すように、このような従来のドライバ工具においては、ネジ7を部品6から取り外す場合には、ネジ7の回転により、ネジ7は部品6に対して軸方向に移動するが、その際に作業者がネジ7の移動に合わせてドライバ工具を移動させないと、その位置でネジ7が回転し続ける。このため、部品6の雌ネジ部のネジ山6aと、ネジ7のネジ山7aが互いに干渉してしまい、これらのネジ山6a、7aが損傷しやすいという問題がある。特に、樹脂製の部品6と、金属製のネジ7の組み合わせでは、樹脂製の部品6が損傷しやすく、損傷すると再度部品7を取り付けることができなくなってしまう。
よって本発明は、上述した現状に鑑み、ネジ側及び部品側のネジ山を損傷させることなく、ネジを取り外したり、取り付けたりすることができる工具を提供することを課題としている。
上記課題を解決するためになされた請求項記載のドライバ工具は、ネジの取り付け或いは取り外しを行うドライバ工具であって、このドライバ工具と前記ネジが取り付け或いは取り外しされる所定の部品との位置関係を保持する位置保持手段と、前記ネジの頭部に当接するドライバビットを装着する装着部と、前記装着部を回転させるアクチュエータと、前記装着部を前記ネジの軸方向に前進或いは後退させる移動手段と、を有し、前記移動手段は、前記装着部が直線的に移動するようにガイドする直動ガイドと、前記直動ガイドの移動ブロックと一端が回転自在に接続され、2つ以上の部位で異なるピッチのネジ山を有する送りネジと、前記ドライバビットと等速回転し、前記送りネジの他端に連結されるモータと、前記送りネジの各ネジ山にそれぞれ対応し、前記送りネジと螺合する複数のナットと、ドライバ工具基部と前記複数のナットとの接続を切り替える接続切替手段と、により構成されることを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、ドライバビットを回転させながらネジの軸方向に移動させることができるので、ネジが同じ位置で回転することがなくなってネジと部品とが干渉することがなくな。また、ドライバビットを交換可能になる。
また、異なるピッチのネジ山を有する送りネジとこれに螺合する複数のナットとを備えて、ナットとの接続を切り替えることにより、接続されたナットに螺合するピッチでドライバビットが移動する。このため、取り付け或いは取り外しを行うネジのピッチに送りネジのピッチをあわせることで、ドライバビットを回転させたときにネジとドライバビットとが等しく移動する。
上記課題を解決するためになされた請求項記載のドライバ工具は、請求項記載のドライバ工具において、前記移動手段は、速度制御可能である、ことを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、ドライバビットの回転数とネジ山のピッチとから導出したネジの移動速度に合わせて、移動手段によりドライバビットの移動速度を制御することが可能になる。
上記課題を解決するためになされた請求項記載のドライバ工具は、請求項記載のドライバ工具において、前記移動手段は、位置制御可能である、ことを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、ドライバビットの回転数とネジ山のピッチとから導出したネジの移動量に合わせて、移動手段によりドライバビットの位置を制御することが可能になる。
上記課題を解決するためになされた請求項記載のドライバ工具は、請求項記載のドライバ工具において、前記移動手段は、力制御可能である、ことを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、ドライバビットから受ける力が所定の範囲内になるように、移動手段によりドライバビットの移動を制御することが可能になる。
上記課題を解決するためになされた請求項記載のドライバ工具は、請求項記載のドライバ工具において、前記移動手段は、圧力制御可能なシリンダピストン機構、を含んで構成される、ことを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、圧力制御可能なシリンダピストン機構により、ドライバビットを常に一定の力で付勢しながらネジを取り外すことができる。したがって、ネジと部品に過大な力が発生することがなくなる。
上記課題を解決するためになされた請求項記載のドライバ工具は、請求項記載のドライバ工具において、前記アクチュエータが、請求項記載のモータとして機能し、このモータの出力が所定の動力伝達機構により、前記ドライバビット及び前記送りネジを回転させるために伝達される、ことを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、アクチュエータを移動手段に含まれるモータとして兼用しているので、ドライバ工具の小型軽量化を図ることができる。
上記課題を解決するためになされた請求項記載のドライバ工具は、請求項記載のドライバ工具において、前記ドライバビット或いは前記装着部と前記送りネジと前記アクチュエータの出力端とが同軸になるように連結される、ことを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、ドライバビット(装着部)と送りネジとアクチュエータの出力端とが同軸になるように連結されるので、小径のドライバ工具が得られて、より小型軽量化を図ることができる。
上記課題を解決するためになされた請求項記載のドライバ工具は、請求項記載のドライバ工具において、前記位置保持手段は、前記ドライバビットを周回するように形成され、少なくとも、3点で前記部品の雌ネジ部の周囲に当接し、これと反対側が前記ドライバ工具基部と接続される、突き当て部材である、ことを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、位置保持手段が、少なくとも、3点で部品の雌ネジ部の周囲に当接するので、部品に対してドライバ工具の位置が正確に定まる。また、位置保持手段がドライバビットを周回するように形成されているので、作業中に軸方向以外の力が発生しても、ドライバ工具を安定的に保持することができる。
上記課題を解決するためになされた請求項記載のドライバ工具は、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のドライバ工具において、前記ドライバビットの回転軸方向に柔軟性を有するコンプライアンス手段、を更に有することを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、コンプライアンス手段により部品やネジの誤差が吸収される。
上記課題を解決するためになされた請求項10記載のドライバ工具は、請求項記載のドライバ工具において、前記コンプライアンス手段は、前記位置保持手段の先端或いは中間部に前記ドライバビットの移動方向に弾性を有する弾性部品を備える、ことを特徴とする。
請求項10記載の発明によれば、位置保持手段の先端或いは中間部に弾性部品を備えることにより、簡単な構造で上記コンプライアンス手段を実現できる。
上記課題を解決するためになされた請求項11記載のドライバ工具は、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のドライバ工具において、前記ドライバビットに作用する軸方向の力を検出する力検出手段、を更に有することを特徴とする。
請求項11記載の発明によれば、ドライバビットに作用する軸方向の力を検出することで、作業中に部品やネジに過大な力が発生したことを検知でき、作業者にその情報を明示したり、ドライバビットの回転を停止させることも可能になる。
請求項記載の発明によれば、ドライバビットを回転させながらネジの軸方向に移動させることができるので、ネジが同じ位置で回転することがなくなってネジと部品とが干渉することがなくなり、ネジ側及び部品側のネジ山が損傷することがない。また、ドライバビットを交換可能になるので、多種のネジに対応できる。
また、異なるピッチのネジ山を有する送りネジとこれに螺合する複数のナットとを備えて、ナットとの接続を切り替えることにより、接続されたナットに螺合するピッチでドライバビットが移動する。このため、取り付け或いは取り外しを行うネジのピッチに送りネジのピッチをあわせることで、ドライバビットを回転させたときにネジとドライバビットとが等しく移動する。したがって、ピッチの異なる複数種類のネジにも対応して、上記効果を享受することができる。
請求項記載の発明によれば、ドライバビットの回転数とネジ山のピッチとから導出したネジの移動速度に合わせて、移動手段によりドライバビットの移動速度を制御すること
が可能になる。したがって、ネジ側及び部品側のネジ山の損傷を防止することが可能になる。
請求項記載の発明によれば、ドライバビットの回転数とネジ山のピッチとから導出したネジの移動量に合わせて、移動手段によりドライバビットの位置を制御することが可能になる。したがって、ネジ側及び部品側のネジ山の損傷を防止することが可能になる。
請求項記載の発明によれば、ドライバビットから受ける力が所定の範囲内になるように、移動手段によりドライバビットの移動を制御することが可能になる。したがって、ネジ側及び部品側のネジ山の損傷を防止することが可能になる。
請求項記載の発明によれば、圧力制御可能なシリンダピストン機構により、ドライバビットを常に一定の力で付勢しながらネジを取り外すことができる。したがって、ネジと部品に過大な力が発生することがなくなり、ネジ側及び部品側のネジ山が損傷することがない。
請求項記載の発明によれば、アクチュエータを移動手段に含まれるモータとして兼用しているので、ドライバ工具の小型軽量化を図ることができる。
請求項記載の発明によれば、ドライバビット(装着部)と送りネジとアクチュエータの出力端とが同軸になるように連結されるので、小径のドライバ工具が得られて、より小型軽量化を図ることができる。
請求項記載の発明によれば、位置保持手段が、少なくとも、3点で部品の雌ネジ部の周囲に当接するので、部品に対してドライバ工具の位置が正確に定まる。また、位置保持手段がドライバビットを周回するように形成されているので、作業中に軸方向以外の力が発生しても、ドライバ工具を安定的に保持することができる。
請求項記載の発明によれば、コンプライアンス手段により部品やネジの誤差を吸収してドライバビットとネジの頭部との接触を良好に保つことができる。
請求項10記載の発明によれば、位置保持手段の先端或いは中間部に弾性部品を備えることにより、簡単な構造で上記コンプライアンス手段を実現できる。したがって、ドライバ工具の小型軽量化を図ることができる。
請求項11記載の発明によれば、ドライバビットに作用する軸方向の力を検出することで、作業中に部品やネジに過大な力が発生したことを検知でき、作業者にその情報を明示したり、ドライバビットの回転を停止させることも可能になる。したがって、より効果的
にネジ側及び部品側のネジ山の損傷を防止することができる。
[参考例1]
図1は、本発明の参考例1に係るドライバ工具を示す断面図である。図2(a)〜図2(c)は、図1のドライバ工具を用いたネジの取り外し方法を示す図である。図1に示すように、ドライバビット1は、モータ2の出力端に接続されている。モータ2は、速度制御可能なスライダ3に固定されており、ドライバビット1の軸方向への前進と後退が可能である。モータ2とスライダ3とは、マイクロコンピュータを含んで構成される制御装置4により制御される。モータ2及びスライダ3は、図示しないスイッチが押下されることでスタートする。モータ2及びスライダ3は、円筒状のドライバ工具基部9に収容されている。
図2(a)に示すように、第1部品5と第2部品6とは、ネジ7により締結されている。ネジ取り外し時には、作業者は、円筒形の位置決め部材8の先端を第1部品5に突き当てることにより、このドライバ工具と第1部品5との位置関係を保ちつつ、スライダ3を先端方向に前進させることで、ドライバビット1とネジ7の頭部の凹部とが嵌合される。位置決め部材8は、ドライバビット1を周回するように形成され、少なくとも、3点での雌ネジ部の周囲に当接し、これと反対側がドライバ工具基部9と接続される。
次に、図2(b)に示すように、モータ2でドライバビット1を図中実線矢印で示すように回転させながら、図中点線矢印で示すようにスライダ3を後退させる。この際、制御装置4において、ネジ7のネジ山7aのピッチとモータ2の回転数とから、ネジ7の移動速度を算出して、スライダ3をネジ7と同じ速度で移動させる。ネジ山7aのピッチは、取り外すネジ7に合わせて予め制御装置4に指定しておく。
また、制御装置4は、ネジ7のネジ山7aのピッチとモータ2の総回転数とからネジ7が移動した距離を算出し、その値が、予めネジ7の長さから指定した値に達したときに、図2(c)に示すように、モータ2の回転が停止するように制御する。
参考例では、スライダ3を速度制御可能としているが、位置制御可能なスライダや力制御可能なスライダを用いることも可能である。位置制御可能なスライダを用いる場合には、モータでドライバビットを回転させると共に、制御装置4はネジ7のネジ山7aとモータ2の回転数とから、ネジ7の移動した距離を算出し、その値に合わせてスライダ3を作動させる。また、算出した値が、予めネジ7に合わせて指定した値に達したときにモータ2の回転を停止するようにする。
力制御可能なスライダを用いる場合には、モータ2でドライバビット1を回転させる際に、スライダに作用する力が予め設定した範囲内に入るようにスライダを移動させる。この範囲の設定は、予め実験等でネジを回すのに必要な最小の押しつけ力及び対応部品とネジのネジ山を損傷しないような最大の力それぞれを求めておき、それらをこの範囲の上限及び下限とする。スライダが受ける力がこの設定した範囲に入ってから、その範囲の下限よりも小さくなった場合は、モータの回転を停止させる。
このように、参考例1によれば、ネジとドライバビットとの接触を良好に保つことができると共に、ネジと部品とが干渉することがないので、ネジ側及び部品側のネジ山が損傷することがない。
[実施例]
図3は、本発明の実施例に係るドライバ工具を示す断面図である。この実施例では、ドライバビット21はモータ22の出力端に接続された装着部23に装着されている。これにより、モータ22が回転することで、装着部23及びドライバビット21が回転する。また、モータ22は、速度制御可能なスライダ24に固定されており、ドライバビット21の軸方向への前進或いは後退が可能である。モータ22とスライダ24とは、制御装置25により制御される。モータ22及びスライダ24は図示しないスイッチが押下されることでスタートする。装着部23は、ドライバビット21の取り替えが可能で、ネジの種類に合わせて所望のドライバビットに交換することで、種々のネジに対応する。ドライバビット21の装着後の作用は上記参考例1と同様である。
このように、実施例によれば、参考例1の効果に加えて、ドライバビットを交換可能になるので、多種のネジに対応できるようになる。なお、実施例は、請求項に対応する。
[実施例]
図4(a)〜図4(c)は、本発明の実施例3に係るドライバ工具及びこのドライバ工具を用いたネジの取り外し方法を示す図である。図4(a)に示すように、ドライバビット31はモータ32の出力端に接続されている。モータ32はシリンダ33のロッド34に固定されている。シリンダ33は、チューブ35によりシリンダ33内の圧力が常に一定になるように、図示しないエア供給装置からエアが供給されている。したがって、図4(b)に示すように、モータ32を実線矢印で示すように回転させてネジ7を取り外す際には、ネジ7からの力によりロッド34が点線矢印で示す方向に後退する。シリンダ33には図示しない近接スイッチが設けられており、図4(c)に示すように、ネジ7が取り外された位置にロッド34があるときに、この近接スイッチがオンになるように予め近接スイッチを配置する。そして、近接スイッチがオンになったときにモータ32の回転を停止させる。
このように、実施例によれば、圧力制御可能なシリンダピストン機構により、ドライバビットを常に一定の力で付勢しながらネジを取り外すことができる。したがって、ネジと部品に過大な力が発生することがなくなり、ネジ側及び部品側のネジ山が損傷することがない。なお、実施例は、請求項に対応する。また、シリンダ33、ロッド34、チューブ35は請求項のシリンダピストン機構に対応する。
[参考例2]
図5は、本発明の参考例2に係るドライバ工具を示す断面図である。図5に示すように、ドライバビット41はモータ42の出力端に接続されている。モータ42は、ドライバビット41が直線的に移動するようにガイドする直動ガイド(リニアガイドともよばれる)の移動ブロック43に固定されており、ドライバビット41の前進或いは後退が可能である。また、移動ブロック43は、ボールネジ44と回転自在に接続されている。ボールネジ44は、モータ45と連結されており、このモータ45は摺動部材46によりドライバビット41の軸方向周りの回転が規制されると共に、軸方向への前進或いは後退が可能である。ボールネジ44は、ドライバ工具基部40に固定されたナット47と螺合しているので、モータ45の回転によりボールネジ44及びモータ45は軸方向に前進或いは後退を行う。モータ42とモータ45とは、制御装置48により、等速回転するように制御され、ボールネジ44は、ネジ7のネジ山7aとピッチを等しくしているため、モータ42及びモータ45の回転により、ドライバビット41とネジ7とは同じ速さで移動する。
このように、参考例2によれば、ドライバビット41と等速回転するモータ42、45
と、ネジ山のピッチと等しいピッチのボールネジ44及びナット47によって、ドライバビット41を回転させたときにネジ7の移動とドライバビット41の移動とが等しくなる。したがって、ネジ側及び部品側のネジ山が損傷することがない。
[実施例]
図6は、本発明の実施例に係るドライバ工具を示す断面図である。図7(a)〜図7(d)は、図6のドライバ工具を用いたネジの取り外し方法を示す図である。図7(a)〜図7(d)において、ネジ7及びネジ7′は、それぞれ異なるピッチのネジ山7a及びネジ7a′を有する。これに対応して、第2部品6及び6′も、それぞれ異なるピッチのネジ山6a及びネジ6a′を有する。
図6に示すように、ドライバビット51はモータ52の出力端に接続された装着部53に装着されている。装着部53は、ドライバビットの取り替えが可能で、取り付け或いは取り外しを行うネジに合わせて所望のドライバビットに交換可能である。モータ52は、リニアガイドの移動ブロック54に固定されており、ドライバビット51の前進或いは後退が可能である。また、移動ブロック54は、ボールネジ55と回転自在に接続されている。ボールネジ55は、モータ56と連結されており、モータ56は摺動部材57によりドライバビット51の軸方向周りの回転が規制されると共に、軸方向への前進或いは後退が可能である。ボールネジ55は、ネジ山のピッチが異なる2つのネジ部55a、55bを有し、各ネジ部でナット58、59と螺合している。ナット58、59は、固定装置60、61を有しており、ドライバ工具基部65への固定及び開放が行われる。また、ナット58、59は、摺動部材62によりドライバビット51の軸方向への前進或いは後退が可能である。モータ52とモータ56とは、制御装置64により等速回転するように制御される。ボールネジ55のネジ部55a、55bは、取り付け或いは取り外しを行う複数種のネジのネジ山、例えば、7a、7a′と一致している。
図7(a)及び図7(b)に示される場合には、ネジ7及びネジ部55aのそれぞれのネジ山のピッチは等しい。固定装置60をオン、固定装置61をオフにして、モータ52を回転させてネジ7を取り外すと同時に、モータ56を回転させると、ドライバビット51はネジ7と同じ方向に同じ速さで移動する。ネジ7を取り外した後、同じ状態でモータ56を逆回転させるとことで、ドライバ工具は図6に示すような初期状態に戻る。
図7(c)及び図7(d)に示される場合には、ネジ7′及びネジ部55bのそれぞれのネジ山のピッチは等しい。固定装置60をオフ、固定装置61をオンにして、モータ52を回転させてネジ7′を取り外すと同時に、モータ56を回転させると、ドライバビット51はネジ7′と同じ方向に同じ速さで移動する。ネジ7′を取り外した後、同じ状態でモータ56を逆回転させるとことで、ドライバ工具は図6に示すような初期状態に戻る。
本実施例は、ネジ山のピッチの異なる2種類のネジに対して、2種類のネジ部55a、55bを有するボールネジと2種類のナットから構成されているが、2種類以上のネジに対応させる場合には、それらのネジにそれぞれ合わせてボールネジのネジ部とナットとで構成するようにしればよい。
このように、実施例によれば、異なるピッチのネジ山を有するボールネジ55とこれに螺合する複数のナット58、59とを備えて、ナットとの接続を切り替えることにより、接続されたナットに螺合するピッチでドライバビット51が移動する。したがって、取り付け或いは取り外しを行うネジのピッチにボールネジのピッチをあわせることで、ドライバビットを回転させたときにネジとドライバビットとが等しく移動する。したがって、ピッチの異なる複数種類のネジにも対応して、上述の実施例の効果を享受することができる。なお、実施例は、請求項に対応する。また、ボールネジ55は請求項の送りネジに対応する。
[実施例]
図8は、本発明の実施例に係るドライバ工具を示す断面図である。図8に示すように、ドライバビット71は装着部72に装着されている。装着部72は、ドライバビットの取り替えが可能で、取り付け或いは取り外しを行うネジに合わせて所望のドライバビットに交換可能である。装着部72は、リニアガイドの移動ブロック73に回転自在に連結されており、ドライバビット71の前進或いは後退が可能である。また、装着部72は、ボールネジ74と接続されていて、ボールネジ74と同様に回転する。ボールネジ74は、モータ75と連結されており、モータ75は摺動部材76によりドライバビット71の軸方向周りの回転が規制されると共に、軸方向への前進及び後退が可能である。ボールネジ74は、ネジ山のピッチが異なる2つのネジ部74a、74bからなり、各ネジ部でナット77、78と螺合している。ナット77、78は、固定装置79、80を有しており、ドライバ工具基部83への固定及び開放が行われる。また、ナット77、78は、摺動部材81、82によりドライバビット71の軸方向への前進或いは後退が可能である。モータ75の回転により、ドライバビット71は回転しながら、軸方向に前進及び後退を行う。
このような構成において、上記実施例で説明したように、例えば、ボールネジ74のネジ部74aのピッチと等しいネジ山7aを有するネジ7を取り外す場合には、モータ75を回転させると、ドライバビット71はネジ山7aと同じ方向に同じ速さで移動する。この実施例のドライバ工具は、取り付け或いは取り外しを行うネジに合わせたネジ部74a、74bを備えるボールネジ74とナット77、78で構成されているため、固定装置のオン、オフの組み合わせにより、複数種のネジに対応することができる。この実施例においては、装着部72とボールネジ74とモータ75とは、直接連結されているが、ギア或いはベルト、プーリ等の動力伝達手段を介して、減速することなく連結させることも可能である。
このように、実施例によれば、モータ75が、アクチュエータとしての機能と同時に移動手段としての機能を兼用しているので、ドライバ工具の小型軽量化を図ることができる。また、ドライバビット71(装着部72)とボールネジ74とモータ75の出力端とが同軸になるように連結されるので、小径のドライバ工具が得られて、より小型軽量化を図ることができる。なお、実施例6は、請求項6及び7に対応する。
[実施例]
図9は、本発明の実施例に係るドライバ工具を示す断面図である。図9に示すように、位置決め部材98の先端にはゴム部材97が固定されている。すなわち、例えば、図1の実施例1と同様の構成のドライバ工具における位置決め部材の先端にはゴム部材97が固定されている。ゴム部材97は第1部品5に当接してこのドライバ工具と第1部品5との位置関係を保持する。また、図中実線矢印で示すように、ドライバビット91の軸方向への弾性或いは柔軟性を有するため、所望の押し付け力で押し付けながら作業することによって、ネジ7、第1部品5、第2部品6の寸法誤差を吸収して、ドライバビット91のネジ7の頭部への接触が安定する。この実施例において、ゴム部材97は位置決め部材98の先端部に設けるようにしているが、位置決め部材98の中間或いは根元(図中、上端)に配置するようにしてもよい。
このように、実施例によれば、ドライバビット91とネジ7の頭部との接触を、簡単
な構成を追加するだけでより良好に保つことができる。このようなゴム部材97は、本発明の他の実施例にも同様に適用可能である。なお、実施例は、請求項9、10に対応する。ゴム部材97は請求項のコンプライアンス手段、弾性部品に対応する。
[実施例]
図10は、本発明の実施例に係るドライバ工具を示す断面図である。図10に示すように、装着部105とモータ102との間には、一軸の力センサ103が組み込まれている。これにより、ドライバビット101とネジ7との間に作用する力を測定し、過大な力が作用した場合や、ドライバビット101とネジ7の頭部とがうまく噛み合っていない場合のエラー検出ができる。この情報に基づき、作業者に図示しない表示部でその旨明示したり、モータ102を緊急停止させたりする。
このように、実施例によれば、力センサ103を利用することにより、作業中に部品やネジに過大な力が発生したことを検知でき、作業者にその情報を明示したり、ドライバビット101の回転を停止させることも可能になる。したがって、より効果的にネジ側及び部品側のネジ山の損傷を防止することができる。なお、実施例は、請求項11に対応する。
なお、上記各実施例において、詳細な説明は省略したが、それぞれの制御装置25、48、64、70、94、104は実施例1の制御装置4と同様にマイクロコンピュータを含んで構成され、上述の制御を行う。また、それぞれのドライバ工具基部29、39、40、65、83、99、109及び位置決め部材28、38、48、66、84、98、108も実施例1のドライバ工具基部9及び位置決め部材8と同様の円筒状をしている。また、各実施例においては、ネジ取り外し時の制御を例示したが、ネジ取り付け時においても基本的に同様の制御が可能である。但し、取り付け時のドライバビット、ネジの回転方向、移動方向は、取り外し時とは逆になる。
以上のように、本発明の実施例によれば、ネジ側及び部品側のネジ山を損傷させることなく、ネジを取り外したり、取り付けたりすることができるようになる。
本発明の参考例1に係るドライバ工具を示す断面図である。 図2(a)〜図2(c)は、図1のドライバ工具を用いたネジの取り外し方法を示す図である。 本発明の実施例に係るドライバ工具を示す断面図である。 図4(a)〜図4(c)は、本発明の実施例に係るドライバ工具及びこのドライバ工具を用いたネジの取り外し方法を示す図である。 本発明の参考例2に係るドライバ工具を示す断面図である。 本発明の実施例に係るドライバ工具を示す断面図である。 図7(a)〜図7(d)は、図6のドライバ工具を用いたネジの取り外し方法を示す図である。 本発明の実施例に係るドライバ工具を示す断面図である。 本発明の実施例に係るドライバ工具を示す断面図である。 本発明の実施例に係るドライバ工具を示す断面図である。 図11(a)及び図11(b)は、従来のドライバ工具を用いたネジの取り外し方法を示す図である。
符号の説明
1 ドライバビット
2、52、56 モータ
3 スライダ
4 制御装置
5 第1部品
6 第2部品
7 ネジ
8 位置決め部材
9 ドライバ工具基部
23 装着部
33 シリンダ
34 ロッド
35 チューブ
43、54、73 移動ブロック
44、55、74 ボールネジ
46、81、82 摺動部材
47、58、59、77、78 ナット
60、61 固定装置
97 ゴム部材
103 力センサ

Claims (11)

  1. ネジの取り付け或いは取り外しを行うドライバ工具であって、
    このドライバ工具と前記ネジが取り付け或いは取り外しされる所定の部品との位置関係を保持する位置保持手段と、
    前記ネジの頭部に当接するドライバビットを装着する装着部と、
    前記装着部を回転させるアクチュエータと、
    前記装着部を前記ネジの軸方向に前進或いは後退させる移動手段と、を有し、
    前記移動手段は、
    前記装着部が直線的に移動するようにガイドする直動ガイドと、
    前記直動ガイドの移動ブロックと一端が回転自在に接続され、2つ以上の部位で異なるピッチのネジ山を有する送りネジと、
    前記ドライバビットと等速回転し、前記送りネジの他端に連結されるモータと、
    前記送りネジの各ネジ山にそれぞれ対応し、前記送りネジと螺合する複数のナットと、 ドライバ工具基部と前記複数のナットとの接続を切り替える接続切替手段と、
    により構成されることを特徴とするドライバ工具。
  2. 請求項1記載のドライバ工具において、前記移動手段は、速度制御可能である、ことを特徴とするドライバ工具。
  3. 請求項1記載のドライバ工具において、前記移動手段は、位置制御可能である、ことを特徴とするドライバ工具。
  4. 請求項1記載のドライバ工具において、前記移動手段は、力制御可能である、ことを特徴とするドライバ工具。
  5. 請求項1記載のドライバ工具において、前記移動手段は、圧力制御可能なシリンダピストン機構、を含んで構成される、ことを特徴とするドライバ工具。
  6. 請求項1記載のドライバ工具において、前記アクチュエータが、請求項1記載のモータとして機能し、このモータの出力が所定の動力伝達機構により、前記ドライバビット及び前記送りネジを回転させるために伝達される、ことを特徴とするドライバ工具。
  7. 請求項6記載のドライバ工具において、前記ドライバビット或いは前記装着部と前記送りネジと前記アクチュエータの出力端とが同軸になるように連結される、ことを特徴とするドライバ工具。
  8. 請求項1記載のドライバ工具において、前記位置保持手段は、前記ドライバビットを周回するように形成され、少なくとも、3点で前記部品の雌ネジ部の周囲に当接し、これと反対側が前記ドライバ工具基部と接続される、突き当て部材である、ことを特徴とするドライバ工具。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のドライバ工具において、前記ドライバビットの回転軸方向に柔軟性を有するコンプライアンス手段、を更に有することを特徴とするドライバ工具。
  10. 請求項9記載のドライバ工具において、前記コンプライアンス手段は、前記位置保持手段の先端或いは中間部に前記ドライバビットの移動方向に弾性を有する弾性部品を備える、ことを特徴とするドライバ工具。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のドライバ工具において、前記ドライバビットに作用する軸方向の力を検出する力検出手段、を更に有することを特徴とするドライバ工具。
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