JP4222770B2 - パターン形成用シートおよびパターン形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるマイクロコンタクトプリンティング法によるパターン形成に使用することのできるパターン形成用シート、およびパターン形成用シートを使用したパターン形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、大規模集積回路の微細パターンをシリコンウェハ上に形成する方法として、次に示す工程からなるマイクロコンタクトプリンティング法が提案されている。
【0003】
(a)光リソグラフィーおよびフォトレジストプロセス等でパターニングしたシリコンウェハからなる鋳型にポリジメチルシロキサンの溶液を塗布した後、ポリジメチルシロキサンを加熱して重合・硬化させ、ポリジメチルシロキサンに鋳型のパターンを写し取る。
(b)硬化したポリジメチルシロキサンをスタンプに見立てて、その表面にインク(例えば、アルカンチオールのエタノール溶液)を付着させ、基板(例えば、金が蒸着されたシリコンウェハ)にスタンプして、基板上にパターンどおりの単分子膜を形成する。
(c)単分子膜が形成されていない部分のみを化学エッチングで除去することにより、基板のパターニングを行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記マイクロコンタクトプリンティング法によれば、数nm〜数百nmの線幅のパターンが形成できるといわれている。このようなマイクロコンタクトプリンティング法では、ポリジメチルシロキサン溶液を鋳型であるシリコンウェハに塗布するときに、ポリジメチルシロキサンにスタンプとして必要な膜厚を付与するために、ポリジメチルシロキサンの溶液粘度を高める必要がある。しかしながら、そのように溶液粘度を高めると、ポリジメチルシロキサン溶液の流動性が悪化し、ポリジメチルシロキサン溶液を鋳型に対して均一に塗布すること、およびポリジメチルシロキサン溶液を鋳型の形状に追従させることが困難となる場合がある。
【0005】
また、上記マイクロコンタクトプリンティング法では、ポリジメチルシロキサン溶液を攪拌調製するときに、溶液中にエアが混入し易いという問題がある。このように溶液中にエアが混入すると、ポリジメチルシロキサンが硬化した後、エアの部分がスタンプの欠陥となってしまう場合がある。
【0006】
さらに、上記マイクロコンタクトプリンティング法では、ポリジメチルシロキサンを重合・硬化させるために、相当の時間をかけてポリジメチルシロキサンを加熱する必要がある。この加熱は通常100℃以上で行うが、加熱工程から冷却工程にかけてポリジメチルシロキサンは大きく収縮、具体的には5%以上収縮するという問題がある。以上のような問題により、従来のマイクロコンタクトプリンティング法では、正確なパターンを有するスタンプの作製、ひいては精度の高いパターン形成が極めて困難である。
【0007】
また、ポリジメチルシロキサンの重合・硬化に要する時間は長く、通常10時間以上必要であるため、ポリジメチルシロキサンのスタンプは量産に向かない。
【0008】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、精度の高いパターン形成を容易に行うことができるとともに、量産し易いパターン形成用シート、さらにはデバイスの大量生産が可能なパターン形成用シートを提供すること、および精度の高いパターン形成を容易に行うことができるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1に本発明は、マイクロコンタクトプリンティング法において、鋳型からパターンを取得し、インクを付着させて基板にスタンプするためのパターン形成用シートであって、エネルギー線硬化性を有する高分子材料を主成分とするスタンプ層を備え、前記高分子材料は、側鎖にエネルギー線硬化性基を有するアクリル酸エステル共重合体であることを特徴とするパターン形成用シートを提供する(発明1)。
【0010】
上記発明(発明1)において、前記エネルギー線硬化性基は不飽和基であり、かつ、前記アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は50,000以上であるのが好ましい(発明2)。
【0011】
上記パターン形成用シート(発明1)によれば、スタンプ層と鋳型とを圧着し、その状態でエネルギー線の照射によりスタンプ層を硬化させるだけで、所定のパターンを有するスタンプを作製することができる。このようなパターン形成用シート(発明1)によれば、従来のマイクロコンタクトプリンティング法のようにポリジメチルシロキサン溶液を鋳型に塗布する必要がないため、ポリジメチルシロキサン溶液の流動性に起因して鋳型のパターンがスタンプに正確に転写されないという問題や、ポリジメチルシロキサン溶液の攪拌調製時に混入するエアに起因してスタンプに欠陥が生じるという問題がなく、鋳型のパターンを正確にスタンプ層に転写することができる。
【0012】
また、上記パターン形成用シート(発明1)によれば、スタンプ層を硬化させるのに長時間の加熱を必要としないため、スタンプ層は硬化時の収縮が少なく、正確なパターン形成が可能になるとともに、パターン形成用のスタンプを効率良く量産することができる。さらには、鋳型の材料が限定されず、熱に弱いプラスチック等を材料として選択することができ、また通常の材料からなる鋳型の寿命も長くなる。
【0013】
さらに、上記のような高分子材料を主成分とするスタンプ層は、鋳型のパターンを精密に転写することが可能であるとともに、硬化後に鋳型から剥離しても鋳型への付着物がほとんどない。また、上記高分子材料は硬化後に適度な強度を示すため、かかる高分子材料を主成分とするスタンプ層は耐久性に優れ、繰り返し使用することができる。さらに、上記高分子材料は硬化時の収縮率が小さく、通常5%以内、条件によっては1%程度の収縮率となり得る。
【0014】
上記発明(発明1,2)において、前記スタンプ層の硬化前の貯蔵弾性率は1×103〜3×106Paであるのが好ましい(発明3)。このように、スタンプ層の硬化前の貯蔵弾性率を1×103〜3×106Paとすることにより、鋳型とスタンプ層とを圧着するだけで、鋳型に形成されているパターンをスタンプ層に精密に転写することが可能となる。
【0015】
上記発明(発明1〜3)において、前記スタンプ層の硬化後の貯蔵弾性率は5×106Pa以上であるのが好ましい(発明4)。スタンプ層の硬化後の貯蔵弾性率がこのような値であると、スタンプ層に転写されたパターンが硬化によって確実に固定され、鋳型とスタンプ層とを分離する際に、パターンが破壊されたり、変形したりするおそれがなくなる。
【0016】
上記発明(発明1〜4)において、前記スタンプ層は、さらに光重合開始剤を含有してもよい(発明5)。エネルギー線として紫外線を使用する場合には、スタンプ層がこのようにさらに光重合開始剤を含有することにより、重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。
【0017】
上記発明(発明1〜5)において、前記スタンプ層の一方の面には基材が積層されていてもよい(発明6)。また、前記スタンプ層の他方の面には剥離シートが積層されていてもよい。
【0018】
第2に本発明は、(a)前記パターン形成用シート(発明1〜6)と鋳型とを圧着し、前記鋳型が有するパターンを前記パターン形成用シートのスタンプ層に転写する工程と、(b)前記スタンプ層にエネルギー線を照射して前記スタンプ層を硬化させ、前記転写したパターンを固定する工程と、(c)前記スタンプ層にインクを付着させる工程と、(d)前記インクを付着させたスタンプ層を基板にスタンプする工程とを備えたことを特徴とする、マイクロコンタクトプリンティング法におけるパターン形成方法を提供する(発明7)。
【0019】
上記パターン形成方法(発明7)によれば、従来のマイクロコンタクトプリンティング法のようにポリジメチルシロキサン溶液を鋳型に塗布する必要がないため、ポリジメチルシロキサン溶液の流動性に起因して鋳型のパターンがスタンプに正確に転写されないという問題や、ポリジメチルシロキサン溶液の攪拌調製時に混入するエアに起因してスタンプに欠陥が生じるという問題がなく、鋳型のパターンを正確にスタンプ層に転写することができる。
【0020】
また、上記パターン形成用方法(発明7)によれば、スタンプ層を硬化させるのに長時間の加熱を必要としないため、スタンプ層は硬化時の収縮が少なく、正確なパターン形成が可能になるとともに、パターン形成用のスタンプを効率良く量産することができる。さらには、鋳型の材料が限定されず、熱に弱いプラスチック等を材料として選択することができ、また通常の材料からなる鋳型の寿命も長くなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔パターン形成用シート〕
図1は本発明の一実施形態に係るパターン形成用シートの断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るパターン形成用シート1は、スタンプ層11と、スタンプ層11の一方の面(図1中下面)に積層された基材シート12と、スタンプ層11の他方の面(図1中上面)に積層された剥離シート13とからなる。ただし、剥離シート13は、パターン形成用シート1の使用時に剥離されるものである。
【0022】
スタンプ層11は、鋳型に形成されている凹凸のパターンが転写・固定され、そのパターンにインクを付着させて基板にスタンプするための層である。このスタンプ層11は、エネルギー線硬化性を有する高分子材料を主成分として構成される。
【0023】
スタンプ層11を構成する高分子材料は、側鎖にエネルギー線硬化性基を有するアクリル酸エステル共重合体であるのが好ましい。また、このアクリル酸エステル共重合体は、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)と、その官能基に結合する置換基を有する不飽和基含有化合物(a2)とを反応させて得られる、側鎖にエネルギー線硬化性基を有する分子量50,000以上のエネルギー線硬化型共重合体(A)であるのが好ましい。
【0024】
このような高分子材料を主成分とするスタンプ層11は、鋳型のパターンを精密に転写することが可能であるとともに、硬化後に鋳型から剥離しても鋳型への付着物がほとんどない。また、上記高分子材料は硬化後に適度な強度を示すため、かかる高分子材料を主成分とするスタンプ層11は耐久性に優れ、繰り返し使用することができる。さらに、上記高分子材料は硬化時の収縮率が小さく、通常5%以内、条件によっては1%程度の収縮率となり得る。
【0025】
アクリル系共重合体(a1)は、官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位とからなる。
【0026】
アクリル系共重合体(a1)が有する官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーであり、好ましくはヒドロキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物が用いられる。
【0027】
このような官能基含有モノマーのさらに具体的な例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシル基含有アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有化合物が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0028】
アクリル系共重合体(a1)を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。これらの中でも、特に好ましくはアルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が用いられる。
【0029】
アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を通常3〜60重量%、好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%の割合で含有し、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位を通常40〜97重量%、好ましくは60〜95重量%、特に好ましくは70〜90重量%の割合で含有してなる。
【0030】
アクリル系共重合体(a1)は、上記のような官能基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体とを常法で共重合することにより得られるが、これらモノマーの他にも少量(例えば10重量%以下、好ましくは5重量%以下)の割合で、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン等が共重合されてもよい。
【0031】
上記官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)を、その官能基に結合する置換基を有する不飽和基含有化合物(a2)と反応させることにより、エネルギー線硬化型共重合体(A)が得られる。
【0032】
不飽和基含有化合物(a2)が有する置換基は、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基含有モノマー単位の官能基の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、官能基がヒドロキシル基、アミノ基または置換アミノ基の場合、置換基としてはイソシアナート基またはエポキシ基が好ましく、官能基がカルボキシル基の場合、置換基としてはアジリジニル基、エポキシ基またはオキサゾリン基が好ましく、官能基がエポキシ基の場合、置換基としてはアミノ基、カルボキシル基またはアジリジニル基が好ましい。このような置換基は、不飽和基含有化合物(a2)1分子毎に一つずつ含まれている。
【0033】
また不飽和基含有化合物(a2)には、エネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合が、1分子毎に1〜5個、好ましくは1〜2個含まれている。このような不飽和基含有化合物(a2)の具体例としては、例えば、メタクリロイルオキシエチルイソシアナート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアナート、メタクリロイルイソシアナート、アリルイソシアナート;ジイソシアナート化合物またはポリイソシアナート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアナート化合物;ジイソシアナート化合物またはポリイソシアナート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアナート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
【0034】
不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマー100当量当たり、通常20〜100当量、好ましくは40〜95当量、特に好ましくは60〜90当量の割合で用いられる。
【0035】
アクリル系共重合体(a1)と不飽和基含有化合物(a2)との反応は、通常は常圧、不活性ガス雰囲気下、室温または40〜70℃の加温にて、酢酸エチル等の有機溶媒中で12〜48時間程度行われる。反応に際しては、触媒や重合禁止剤等を適宜使用することができる。例えば、官能基がヒドロキシル基であるアクリル系共重合体と、置換基がイソシアネート基である不飽和基含有化合物との反応の場合は、ジブチル錫ラウレート等の有機錫系の触媒を用いるのが好ましい。また、官能基と置換基との組合せに応じて、反応の温度、圧力、溶媒、時間、触媒の有無、触媒の種類を適宜選択することができる。これにより、アクリル系共重合体(a1)中の側鎖に存在する官能基と、不飽和基含有化合物(a2)中の置換基とが反応し、不飽和基がアクリル系共重合体(a1)中の側鎖に導入され、エネルギー線硬化型共重合体(A)が得られる。この反応における官能基と置換基との反応率は、通常70%以上、好ましくは80%以上であり、未反応の官能基がエネルギー線硬化型共重合体(A)中に残留していてもよい。
【0036】
このようにして得られるエネルギー線硬化型共重合体(A)の重量平均分子量は、50,000以上であり、好ましくは150,000〜1,500,000であり、特に好ましくは200,000〜1,000,000である。
【0037】
ここで、エネルギー線として紫外線を用いる場合には、上記エネルギー線硬化型共重合体(A)に光重合開始剤(B)を添加することにより、重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。
【0038】
このような光重合開始剤(B)としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメートなどが挙げられる。光重合開始剤(B)は、エネルギー線硬化型共重合体(A)100重量部に対して0.1〜10重量部、特には0.5〜5重量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
【0039】
上記スタンプ層11においては、エネルギー線硬化型共重合体(A)および光重合開始剤(B)に、適宜他の成分を配合してもよい。他の成分としては、例えば、エネルギー線硬化性を有しないポリマー成分またはオリゴマー成分(C)、エネルギー線硬化性の多官能モノマーまたはオリゴマー成分(D)、架橋剤(E)、その他の添加剤(F)が挙げられる。
【0040】
エネルギー線硬化性を有しないポリマー成分またはオリゴマー成分(C)としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられ、重量平均分子量が3,000〜250万のポリマーまたはオリゴマーが好ましい。
【0041】
エネルギー線硬化性の多官能モノマーまたはオリゴマー成分(D)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルオリゴ(メタ)アクリレート、ポリウレタンオリゴ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0042】
架橋剤(E)としては、エネルギー線硬化型共重合体(A)等が有する官能基との反応性を有する多官能性化合物を用いることができる。このような多官能性化合物の例としては、イソシアナート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、メラミン化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、オキサゾリン化合物、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属塩、アンモニウム塩、反応性フェノール樹脂等を挙げることができる。
【0043】
その他の添加剤(F)としては、例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、粘着付与剤、顔料、染料、カップリング剤等が挙げられる。
【0044】
これらの他の成分をスタンプ層11に配合することにより、硬化前におけるパターン転写の容易性、硬化後の強度、インクの付着性、保存安定性などを改善することができる場合がある。
【0045】
上記他の成分の配合量としては、例えば、エネルギー線硬化型共重合体(A)100重量部に対して、他の成分の合計で0〜50重量部であることが好ましく、特に0〜20重量部であることが好ましい。
【0046】
ここで、スタンプ層11の硬化前の貯蔵弾性率は1×103〜3×106Paであるのが好ましく、特に1×104〜5×105Paであるのが好ましい。「硬化前の貯蔵弾性率」の測定温度は、パターン形成用シート1と鋳型とを重ね合わせる(圧着する)作業環境と同じ温度であるものとする。すなわち、パターン形成用シート1と鋳型とを室温で重ね合わせる場合、貯蔵弾性率は、室温下で測定したものである。
【0047】
スタンプ層11の硬化前の貯蔵弾性率が上記のような範囲にあると、鋳型をスタンプ層11に圧着するだけで、鋳型に形成されているパターンがスタンプ層11に精密に転写される。
【0048】
また、スタンプ層11の硬化後の貯蔵弾性率は、5×106Pa以上であるのが好ましく、特に、1×107〜1×109Paであるのが好ましい。「硬化後の貯蔵弾性率」の測定温度は、パターン形成用シート1の使用環境と同じ温度、すなわち室温であるものとする。
【0049】
スタンプ層11の硬化後の貯蔵弾性率が上記のような範囲にあると、スタンプ層11に転写されたパターンが硬化によって確実に固定され、鋳型とスタンプ層11とを分離する際に、パターンが破壊されたり、変形したりするおそれがなくなる。
【0050】
スタンプ層11の厚みは、形成すべきパターンの厚さまたは深さに応じて決定されるが、通常は0.1〜50μm程度であり、好ましくは1〜30μm程度である。
【0051】
本実施形態に係るパターン形成用シート1では、スタンプ層11が圧力によって変形しやすいので、これを防止するために、スタンプ層11に基材シート12が積層されている。基材シート12としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ酢酸ビニルフィルムなどの樹脂フィルムを使用することができる。基材シート12の厚さは、通常3〜200μm程度であり、好ましくは10〜100μm程度である。
【0052】
また、本実施形態に係るパターン形成用シート1では、パターン転写前のスタンプ層11を保護すべく、スタンプ層11に剥離シート13が積層されている。剥離シート13としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ酢酸ビニルフィルムなどの樹脂フィルムをシリコーン系剥離剤等で剥離処理したものを使用することができる。
【0053】
剥離シート13は、スタンプ層11に平滑性を付与するために、剥離処理した側(スタンプ層11と接触する側)の表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であるのが好ましい。また、剥離シート13の厚さは、通常10〜200μm程度であり、好ましくは20〜100μm程度である。
【0054】
本実施形態に係るパターン形成用シート1は、例えば、スタンプ層11を構成する材料と、所望によりさらに溶媒とを含有する塗布剤を調製し、キスロールコーター、リバースロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、ダイコーター等の塗工機によって基材シート12上に塗布して乾燥させ、スタンプ層11を形成した後、そのスタンプ層11の表面に剥離シート13を積層することによって得られる。
【0055】
〔パターン形成方法〕
上記パターン形成用シート1を使用したパターン形成方法の一例について説明する。図2(a)〜(e)は本実施形態に係るパターン形成方法を示す断面図である。
【0056】
最初に、図2(a)〜(b)に示すように、パターン形成用シート1の剥離シート13を剥離除去し、露出したスタンプ層11を鋳型Mに圧着して、スタンプ層11に鋳型Mのパターンを転写する。スタンプ層11の室温における貯蔵弾性率が103〜106Paである場合には、鋳型Mへの圧着は室温で行うことができる。この圧着の圧力は、0.01〜100Nであるのが好ましく、特に0.1〜50Nであるのが好ましい。
【0057】
鋳型Mとしては、通常は光リソグラフィーおよびフォトレジストプロセス等でパターニングしたシリコンウェハが用いられるが、本実施形態によるパターン形成方法では高温加熱を必要としないため、所望のパターニングが可能であれば鋳型Mの材料は特に制限されることなく、例えばプラスチック等の材料を選択することもできる。また、本実施形態によるパターン形成方法では、熱で鋳型Mを傷めることがないため、鋳型Mの寿命を延ばすことが可能である。
【0058】
さらに、本実施形態によるパターン形成方法では、従来のマイクロコンタクトプリンティング法のようにポリジメチルシロキサン溶液を鋳型Mに塗布する必要がないため、ポリジメチルシロキサン溶液の流動性に起因して鋳型Mのパターンがスタンプに正確に転写されないという問題や、ポリジメチルシロキサン溶液の攪拌調製時に混入するエアに起因してスタンプに欠陥が生じるという問題がなく、鋳型Mのパターンを正確にスタンプ層11に転写することができる。
【0059】
次に、図2(b)に示すように、スタンプ層11と鋳型Mとを密着させた状態で、エネルギー線照射装置(図2(b)中では一例としてUVランプL)を使用して、基材シート12側からスタンプ層11に対してエネルギー線を照射する。これにより、スタンプ層11を構成するエネルギー線硬化性の材料が硬化し、貯蔵弾性率が上昇する。
【0060】
エネルギー線としては、通常、紫外線、電子線等が用いられる。エネルギー線の照射量は、エネルギー線の種類によって異なるが、例えば紫外線の場合には、光量で100〜500mJ/cm2程度が好ましく、電子線の場合には、10〜1000krad程度が好ましい。
【0061】
本実施形態によるパターン形成方法では、スタンプ層11を硬化させるのに加熱を必要としないため、スタンプ層11は硬化時の収縮が少なく、特にスタンプ層11を構成する材料として側鎖にエネルギー線硬化性基を有するアクリル酸エステル共重合体を使用した場合には、硬化時の収縮が非常に少ない。この場合における収縮率は、5%以内、条件によっては1%程度となり得る。
【0062】
また、本実施形態によるパターン形成方法では、スタンプ層11を硬化させるのに長時間を要しないため、パターン形成用のスタンプを効率良く量産することができる。
【0063】
次に、図2(c)に示すように、鋳型Mとスタンプ層11とを分離し、スピンコート法、カーテンコート法、浸漬法、スプレー法、LB膜法等の手段によりスタンプ層11の表面にインク2を付着させる。インクを構成する材料としては特に限定されるものではないが、例示するならば、光伝播材料、有機発光層材料、電子輸送層材料、ホール輸送層材料、電極層材料、増感色素材料等が挙げられる。
【0064】
光伝播材料は透明性に優れた材料であればよく、公知の材料、例えばアクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、アルカンチオール等を用いることができる。なお、これらの材料は、レジストインクとしても使用することができる。
【0065】
有機発光層材料としては、所定の波長光を得るために、公知の化合物を用いることができる。そのような化合物としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、トリアゾール誘導体、ポリフェニレン、トリフェニルアミン誘導体等が挙げられる。
【0066】
電子輸送層材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、ビチオフェン誘導体、トリチオフェン誘導体等を用いることができる。
【0067】
ホール輸送層材料としては、例えば、芳香族3級アミン誘導体等を用いることができる。
【0068】
電極層材料としては、例えば、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体等を用いることができる。
【0069】
増感色素材料としては、例えば、ルテニウムビピリジル誘導体、ルテニウムフェナントロリン誘導体、ルテニウムビキノリン誘導体、メロシアニン誘導体、フタロシアニン誘導体、オキサジン誘導体、トリフェニルメタン誘導体等を用いることができる。
【0070】
インクは、必要に応じて有機溶媒に溶解して使用する。有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、エチルセルソルブ、メチルセルソルブ等のアルコキシエタノール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒などを用いるのが好ましい。インク溶液の濃度は、0.001〜10重量%程度であるのが好ましい。
【0071】
次に、図2(d)に示すように、インク2を付着させたスタンプ層11を基板3に押し付け(スタンプし)、図2(e)に示すように、基板3の表面にインク2のパターンを形成する。半導体デバイスを製造する場合、基板3は通常シリコン(ウェハ)等の半導体からなるが、基板3の種類はこれに限定されるものではなく、ガラス、セラミックス、プラスチック等の絶縁体であってもよいし、金属等の導体であってもよい。
【0072】
基板3の表面に形成したインク2のパターンは、常法により乾燥させるのが好ましい。基板3の表面に形成するインク2の乾燥膜厚は、1nm〜1μmであるのが好ましく、特に好ましくは5nm〜800nmである。
【0073】
本実施形態において、スタンプ層11を構成する材料として側鎖にエネルギー線硬化性基を有するアクリル酸エステル共重合体を使用した場合、そのスタンプ層11は強度および耐久性に優れており、繰り返し使用することができるため、デバイスの大量生産が可能となる。
【0074】
なお、上記工程(d)の後には、インク2のパターンが形成された基板3に対してパターニングを行ってもよい。パターニングは、例えば、同種または異種のインクの積層、エッチング、メッキ、蒸着等により行うことができる。具体的には、基材3においてインク2のパターンが形成されなかった部分にメッキ、蒸着等により金属膜を形成した後、インク2のパターンを除去することによりパターニングしてもよいし、あらかじめ基板3の表面に金蒸着膜等の金属膜を形成しておき、その金属膜上にインク2のパターンを形成し、金属膜においてインク2のパターンが形成されなかった部分を化学エッチング等で除去することによりパターニングしてもよい。
【0075】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0076】
例えば、パターン形成用シート1における剥離シート13や基材シート12はなくてもよい。
【0077】
【実施例】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0078】
〔実施例1〕
(パターン形成用シートの製造)
2−エチルヘキシルアクリレート80重量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部とを酢酸エチル150重量部中で反応させて、官能基にヒドロキシル基を有するアクリル系共重合体の酢酸エチル溶液(固形分濃度40重量%)を得た。さらに、そのアクリル系共重合体の酢酸エチル溶液250重量部に、酢酸エチル100重量部と、置換基にイソシアナート基を有する不飽和基含有化合物としてのメタクリロイルオキシエチルイソシアナート21重量部(アクリル系共重合体の2−ヒドロキシエチルアクリレート100当量に対し78.5当量)と、触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.025重量部とを添加し、窒素雰囲気下、室温で48時間反応させて、エネルギー線硬化型共重合体を得た。このエネルギー線硬化型共重合体の重量平均分子量(Mw)は、790,000であった。
【0079】
得られたエネルギー線硬化型共重合体固形分100重量部に、光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製,商品名:イルガキュア184)3.8重量部を溶解させて、固形分濃度を33重量%に調整し、スタンプ層用樹脂溶液とした。
【0080】
上記スタンプ層用樹脂溶液を、厚さ50μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にナイフコーターによって塗布し、90℃の恒温槽に3分間投入して乾燥させ、これをパターン形成用シートとした。なお、PETフィルム上に形成されたスタンプ層の厚さは、25μmであった。
【0081】
〔試験例1〕
(貯蔵弾性率の測定)
実施例1で調製したスタンプ層用樹脂溶液を、シリコーン樹脂で剥離処理を施した厚さ38μmのPETフィルム上にナイフコーターによって塗布し、90℃の恒温槽に3分間投入して乾燥させ、試験用のスタンプ層を形成した。このようにして形成されたスタンプ層の厚さは、25μmであった。
【0082】
上記PETフィルムを剥離してスタンプ層を積層し、積層したスタンプ層の厚さを3mmとした。このスタンプ層の硬化前の貯蔵弾性率を、粘弾性測定装置(Rheometrics社製,装置名:DYNAMIC ANALYZER RDA II)を用いて1Hzで25℃の値を測定したところ、硬化前の貯蔵弾性率は6.1×104Paであった。
【0083】
次に、上記スタンプ層に対して紫外線を照射し(リンテック株式会社製,装置名:Adwill RAD−2000m/8を使用。照射条件:照度310mW/cm2,光量300mJ/cm2)、スタンプ層を硬化させた。硬化後のスタンプ層の貯蔵弾性率を、粘弾性測定装置(オリエンテック株式会社製,装置名:レオパイブロンDDV−II−EP)を用いて3.5Hzで25℃の値を測定したところ、硬化後の貯蔵弾性率は3.2×108Paであった。
【0084】
〔試験例2〕
実施例1で作製したパターン形成用シートのスタンプ層に対して、スポットUV照射機(アイグラフィック株式会社製,装置名:EYECURELIGHTSPOT UPI50mを使用。照射条件:照度310mW/cm2,光量300mJ/cm2)により紫外線を照射した。熱機械分析システム(マックサイエンス株式会社製,装置名:TMA4000S)を用いてスタンプ層の硬化後の収縮率を測定したところ、収縮率は1.2%であった。
【0085】
〔比較例〕
(スタンプの作製)
重量平均分子量100,000のジメチル−メチルビニルシロキサン共重合体99重量部に、重量平均分子量5,000のジメチル−メチルハイドロジエンシロキサン共重合体1重量部を加えた後、塩化白金酸を0.01重量部加えて十分に攪拌し、スタンプ用樹脂溶液とした。
【0086】
上記スタンプ用樹脂溶液を縦5cm、横5cm、深さ3cmのテフロン製型枠に注ぎ、150℃の恒温槽に24時間投入して樹脂溶液を反応・硬化させ、スタンプを形成した。このようにして作製したスタンプの厚さは3mmであった。
【0087】
(貯蔵弾性率の測定)
得られたスタンプの貯蔵弾性率を、粘弾性測定装置(オリエンテック株式会社製,装置名:レオパイブロンDDV−II−EP)を用いて3.5Hzで25℃の値を測定したところ、貯蔵弾性率は3.2×104Paであった。
【0088】
(収縮率の測定)
上記スタンプの硬化後の収縮率を、熱機械分析システム(マックサイエンス株式会社製,装置名:TMA4000S)を用いて測定したところ、収縮率は7.5%であった。
【0089】
〔実施例2〕
(パターン形成)
鏡面処理を施したニッケル基板の表面に、幅800nm、長さ2μm、深さ500nmの凹部を、四方連続状に、長さ方向の間隔1μm、幅方向の間隔1μmで形成し(以下「アレイパターン」という。)、これを鋳型とした。
【0090】
実施例1で作製したパターン形成用シートのスタンプ層に上記鋳型を載せて29Nの圧力で圧着し、鋳型のアレイパターンをスタンプ層に転写した。次に、PETフィルム側から紫外線を照射し(リンテック株式会社製,装置名:Adwill RAD−2000m/8を使用。照射条件:照度310mW/cm2,光量300mJ/cm2)、スタンプ層を硬化させた。その後、パターン形成用シートを鋳型から剥離した。
【0091】
インクとして、増感色素材料であるシス−ビス(イソチオシアネート)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)(Solaronix社製,Ruthenium535)をイソプロピルアルコールに溶解させたもの(濃度0.1重量%)を、スピンコート法により上記パターン形成用シートのスタンプ層に均一に塗布した。
【0092】
インクがスタンプ層に塗布されたパターン形成用シートを、鏡面処理を施したシリコンウェハの表面に0.1Nの圧力で圧着して、インクのパターンをシリコンウェハの表面に形成し、その後100℃の恒温槽に3分間投入してインクを乾燥させた。
【0093】
このようにしてシリコンウェハの表面に形成されたインクのパターンを、走査型プローブ顕微鏡(セイコーインスツルメンツ製,製品名:SPV300HV)を使用して観察したところ、幅790nm、長さ1.97μm、厚さ40nm、長さ方向の間隔1.01μm、幅方向の間隔1μmのインクパターンが形成されていることが確認できた。
【0094】
一方、比較例で調製したスタンプ用樹脂溶液を、上記鋳型と同様のアレイパターンを有する縦5cm、横5cm、深さ3cmのテフロン製型枠に注ぎ、150℃の恒温槽に24時間投入して樹脂溶液を反応・硬化させ、アレイパターンが転写されたスタンプを形成した。このスタンプを使用する以外、上記と同様にしてインクの塗布およびパターン形成を行った。
【0095】
形成されたインクのパターンを、走査型プローブ顕微鏡(セイコーインスツルメンツ製,製品名:SPV300HV)を使用して観察したところ、幅750nm、長さ1.85μm、厚さ55nm、長さ方向の間隔1.1μm、幅方向の間隔1.1μmのインクパターンが形成されていることが確認できた。しかしながら、インクパターンにはスタンプ用樹脂溶液を型枠に注いだときに発生した気泡由来の欠点が所々複数確認され、インクパターンは10ヶに対し3ヶの割合で長方形の形状には形成されていなかった。
【0096】
【発明の効果】
本発明のパターン形成用シートまたはパターン形成方法によれば、精度の高いパターン形成を容易に行うことができる。また、本発明のパターン形成用シートは量産し易く、スタンプ層を構成する材料を選択することにより、デバイスの大量生産が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るパターン形成用シートの断面図である。
【図2】 同実施形態に係るパターン形成用シートを使用したパターン形成方法の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…パターン形成用シート
11…スタンプ層
12…基材シート
13…剥離シート
2…インク
3…基板
Claims (7)
- マイクロコンタクトプリンティング法において、鋳型からパターンを取得し、インクを付着させて基板にスタンプするためのパターン形成用シートであって、
エネルギー線硬化性を有する高分子材料を主成分とするスタンプ層を備え、
前記高分子材料は、側鎖にエネルギー線硬化性基を有するアクリル酸エステル共重合体である
ことを特徴とするパターン形成用シート。 - 前記エネルギー線硬化性基が不飽和基であり、かつ、前記アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量が50,000以上であることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成用シート。
- 前記スタンプ層の硬化前の貯蔵弾性率は1×103〜3×106Paであることを特徴とする請求項1または2に記載のパターン形成用シート。
- 前記スタンプ層の硬化後の貯蔵弾性率は5×106Pa以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパターン形成用シート。
- 前記スタンプ層は、さらに光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパターン形成用シート。
- 前記スタンプ層の一方の面には基材が積層されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパターン形成用シート。
- (a)請求項1〜6のいずれかに記載のパターン形成用シートと鋳型とを圧着し、前記鋳型が有するパターンを前記パターン形成用シートのスタンプ層に転写する工程と、
(b)前記スタンプ層にエネルギー線を照射して前記スタンプ層を硬化させ、前記転写したパターンを固定する工程と、
(c)前記スタンプ層にインクを付着させる工程と、
(d)前記インクを付着させたスタンプ層を基板にスタンプする工程と
を備えたことを特徴とする、マイクロコンタクトプリンティング法におけるパターン形成方法。
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