JP4221889B2 - 筒内噴射式内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料噴射弁から気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射式内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
筒内噴射式の内燃機関では、その気筒内に燃料噴射弁から燃料を直接噴射供給し、点火プラグの近傍に燃料を偏在させることにより、理論空燃比よりも極めてリーンな空燃比での燃焼、いわゆる成層燃焼を実現するようにしている。
【0003】
ところで、こうした筒内噴射式の内燃機関では、噴射された燃料の一部が燃焼することなく、その燃料噴射弁の噴孔部に付着したままの状態になることがある。このように燃料が噴孔部に付着すると、その付着した燃料の揮発性分が燃料噴射弁の熱によって蒸発し、同燃料中の揮発性の低い炭化成分がデポジットとして噴孔部に堆積するようになる。そして、このデポジットの堆積量が多くなると、燃料噴射量の減少や燃料噴霧形状の変化等、燃料噴射弁における噴射特性が変化し、ひいては機関燃焼状態の悪化を招くこととなる。
【0004】
そこで従来では、特開平9−287525号公報に提案されるように、機関温度が高くデポジットが堆積し易い状況にあると判断されるときに、点火時期を遅角制御して燃焼温度を低下させ、これによりデポジットの堆積を抑制するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように点火時期を遅角制御して燃焼温度を低下させることで、確かにデポジットの堆積は抑制されるようになる。但し、このように点火時期といった、いわば燃焼を直接制御する因子を変更するようにすると、その変更に伴う機関燃焼状態への悪影響が無視できないものとなる。例えば、デポジットの堆積を確実に抑制すべく点火時期を遅角させるようにすると、失火が発生して機関燃焼状態の悪化を招くこととなる。従って、上記従来の装置にあっては、こうした失火の発生を抑えるために点火時期の遅角量を制限せざるを得ず、デポジットの堆積を抑制するにも自ずと限界が生じていた。
【0006】
特に、上記成層燃焼時においては、燃料噴射弁から噴射された燃料が点火プラグの近傍に偏在しているごく限られた期間に点火を実行する必要がある。このため、こうした成層燃焼時には、点火時期の遅角量が一層制限されるようになり、点火時期の遅角制御を通じてデポジットの堆積を十分に抑制することは極めて困難になる。
【0007】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は機関燃焼状態の悪化を極力抑えつつ、燃料噴射弁のデポジット堆積を抑制することのできる筒内噴射式内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1記載の発明では、燃料噴射弁から気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射式内燃機関の制御装置において、機関本体を冷却水によって冷却する手段であって前記冷却水の温度を調整する調整手段を備える冷却手段と、前記燃料噴射弁の温度を検出する温度検出手段と、前記検出される燃料噴射弁の温度が所定温度より高いときには前記燃料噴射弁の温度が前記所定温度以下になるように前記調整手段を通じて前記冷却水の温度を制御するとともに前記燃料噴射弁の噴射が終了してから同弁による次の噴射が開始されるまでの期間に応じて前記所定温度を可変設定する制御手段とを備えるようにしている。
【0009】
上記構成によれば、機関本体を冷却する冷却水の温度を制御して機関本体の温度を低下させることにより、燃料噴射弁から機関本体への放熱性を高めて同燃料噴射弁の温度を効果的に低下させることができる。しかも、点火時期等、燃焼を直接制御する因子を変更した場合と比較して機関燃焼状態への悪影響が小さく抑えられるようになる。その結果、機関燃焼状態の悪化を極力抑えつつ、燃料噴射弁のデポジット堆積を抑制することができるようになる。
燃料噴射中は、燃料の冷却効果により燃料噴射弁の温度が一時的に低下しており、また噴孔部の燃料も常に流動しているため、デポジットの堆積は進行しない。寧ろこの場合には、燃料が噴射されるのに伴って堆積したデポジットが除去されるようになる。一方、燃料噴射弁の噴射が終了してから同弁による次の噴射が開始されるまでの期間(以下、「噴射インターバル」という)は、燃料噴射弁の噴孔部における温度が上昇し、また噴孔部に付着した燃料に流れも生じていないため、燃料に含まれる揮発成分の蒸発が促進され、デポジットの堆積が進行するようになる。従って、この噴射インターバルが長くなる運転状況下にあるほど、デポジットの堆積速度が増大するようになる。
この点、上記請求項1に記載の発明によれば、冷却水温度を制御するに際して、上記所定温度を噴射インターバルに応じて可変設定するようにしている。従って、噴射インターバルに応じて変化するデポジットの堆積速度に見合ったかたちで冷却水温度を制御することができ、デポジットの堆積を一層効果的に抑制することができるようになる。更に、冷却水温度の制御を通じて機関本体の温度が不必要に低下してしまうのを極力抑制することができ、過冷却による熱損失の増大、ひいては燃費の悪化を併せて回避することができるようになる。
【0014】
請求項2記載の発明では、燃料噴射弁から気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射式内燃機関の制御装置において、機関本体を冷却水によって冷却する手段であって前記機関本体において前記燃料噴射弁の取付部位近傍を流れる冷却水の流量を調整する調整手段を備える冷却手段と、前記燃料噴射弁の温度を検出する温度検出手段と、前記検出される燃料噴射弁の温度が所定温度より高いときには前記燃料噴射弁の温度が前記所定温度以下になるように前記調整手段を通じて前記取付部位近傍の冷却水流量を制御するとともに前記燃料噴射弁の噴射が終了してから同弁による次の噴射が開始されるまでの期間に応じて前記所定温度を可変設定する制御手段とを備えるようにしている。
【0015】
上記構成によれば、燃料噴射弁の取付部位近傍における冷却水流量を制御し、機関本体において前記取付部位近傍の温度を低下させることにより、燃料噴射弁から機関本体への放熱性を高めて同燃料噴射弁の温度を効果的に低下させることができる。しかも、点火時期等、燃焼を直接制御する因子を変更した場合と比較して機関燃焼状態への悪影響が小さく抑えられるようになる。その結果、機関燃焼状態の悪化を極力抑えつつ、燃料噴射弁のデポジット堆積を抑制することができるようになる。
燃料噴射中は、燃料の冷却効果により燃料噴射弁の温度が一時的に低下しており、また噴孔部の燃料も常に流動しているため、デポジットの堆積は進行しない。寧ろこの場合には、燃料が噴射されるのに伴って堆積したデポジットが除去されるようになる。一方、燃料噴射弁の噴射が終了してから同弁による次の噴射が開始されるまでの期間(以下、「噴射インターバル」という)は、燃料噴射弁の噴孔部における温度が上昇し、また噴孔部に付着した燃料に流れも生じていないため、燃料に含まれる揮発成分の蒸発が促進され、デポジットの堆積が進行するようになる。従って、この噴射インターバルが長くなる運転状況下にあるほど、デポジットの堆積速度が増大するようになる。
【0016】
この点、上記請求項2に記載の発明によれば、冷却水流量を制御するに際して、上記所定温度を噴射インターバルに応じて可変設定するようにしている。従って、噴射インターバルに応じて変化するデポジットの堆積速度に見合ったかたちで冷却水流量を制御することができ、デポジットの堆積を一層効果的に抑制することができるようになる。更に、冷却水流量の制御を通じて機関本体の温度が不必要に低下してしまうのを極力抑制することができ、過冷却による熱損失の増大、ひいては燃費の悪化を併せて回避することができるようになる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置において、揮発性に関連する燃料の性状を検出する燃料性状検出手段を更に備え、前記制御手段は前記検出される燃料性状に応じて前記所定温度を可変設定するものとして構成される。
【0018】
上記構成によれば、燃料性状に応じて燃料の揮発性が変化し、デポジットの堆積速度が異なる場合でも、その堆積速度に見合ったかたちで冷却水温度或いは冷却水流量を制御することができ、デポジットの堆積を一層効果的に抑制することができるようになる。更に、冷却水温度或いは冷却水流量の制御を通じて機関本体の温度が不必要に低下してしまうのを極力抑制し、過冷却による熱損失の増大、ひいては燃費の悪化を併せて回避することができるようになる。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置において、前記燃料性状検出手段は前記内燃機関のノッキング発生状況に基づいて前記燃料性状を検出するものとして構成される。
【0020】
一般に、アンチノック性を高めるためにオクタン価向上剤を添加した燃料は、揮発性が低下する傾向がみられる。従って、内燃機関においてノッキングが発生し難い場合には、高オクタン価の燃料が用いられており、その揮発性が低いと判断することができる。
【0021】
上記構成によれば、こうした内燃機関のノッキング発生状況と燃料の揮発性に関連する燃料性状との関係に基づいて燃料性状を検出するようにしているため、これを正確に検出することができるようになる。
【0022】
請求項5記載の発明では、請求項1乃至4のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置において、前記温度検出手段は燃料噴射量及び機関回転速度、並びに前記冷却水の温度に対応した前記燃料噴射弁の機関定常時における温度を求め、該温度を徐変処理した温度を前記燃料噴射弁の温度として検出するものとして構成される。
【0023】
機関定常時における燃料噴射弁の温度は、内燃機関において単位時間当たりに発生する発生熱量と、同じく単位時間当たりに内燃機関から冷却水に伝達される放熱量とに基づいて求めることができる。そして、これら燃焼熱量及び放熱量のうち、燃焼熱量は燃料噴射量及び機関回転速度と相関をもって変化し、放熱量は冷却水温度と相関をもって変化する。即ち、燃料噴射量が多くなるほど一回の燃焼爆発により発生する熱量(発生熱量)が増大し、機関定常時における燃料噴射弁の温度は高くなる。また機関回転速度が高くなるほど単位時間当たりの燃焼回数が増加し、やはり機関定常時における燃料噴射弁の温度は高くなる。一方、冷却水温度が低くなるほど、機関本体から冷却水に伝達される熱量(放熱量)が増大し、機関定常時における燃料噴射弁の温度は低くなる。
【0024】
上記請求項5記載の発明では、こうした関係に基づいて、機関定常時における燃料噴射弁の温度を、燃料噴射量及び機関回転速度、並びに冷却水温度に対応するものとして求めるようにしている。そして更に、機関本体及び燃料噴射弁が所定の熱容量を有しており、それらの温度変化には所定の応答遅れがあることを考慮して、上述のようにして求めた機関定常時における燃料噴射弁の温度を徐変処理し、その徐変処理された温度を同燃料噴射弁の温度として検出するようにしている。従って、請求項5記載の発明によれば、燃料噴射弁の温度を直接測定するセンサを別途設けなくとも、同燃料噴射弁の温度を正確に推定してこれを検出することができるようになる。尚、上記徐変処理における時定数は、機関本体及び燃料噴射弁の熱容量に応じて定められるものであり、例えばこれは実験等により同定することができる。
請求項6記載の発明では、燃料噴射弁から気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射式内燃機関の制御装置において、機関本体を冷却水によって冷却する冷却手段と、前記燃料噴射弁の温度を検出する手段であって燃料噴射量及び機関回転速度、並びに前記冷却水の温度に対応した前記燃料噴射弁の機関定常時における温度を求め、該温度を徐変処理した温度を前記燃料噴射弁の温度として検出する温度検出手段と、前記検出される燃料噴射弁の温度に基づいて前記冷却手段による冷却態様を制御する制御手段とを備えるようにしている。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置において、前記冷却手段は前記冷却水の温度を調整する調整手段を備え、前記制御手段は前記検出される燃料噴射弁の温度が所定温度より高いときには前記燃料噴射弁の温度が前記所定温度以下になるように前記調整手段を通じて前記冷却水の温度を制御するものとして構成される。
請求項8記載の発明は、請求項6記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置において、前記冷却手段は前記機関本体において前記燃料噴射弁の取付部位近傍を流れる冷却水の流量を調整する調整手段を備え、前記制御手段は前記検出される燃料噴射弁の温度が所定温度より高いときには前記燃料噴射弁の温度が前記所定温度以下になるように前記調整手段を通じて前記取付部位近傍の冷却水流量を制御するものとして構成される。
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置において、揮発性に関連する燃料の性状を検出する燃料性状検出手段を更に備え、前記制御手段は前記検出される燃料性状に応じて前記所定温度を可変設定するものとして構成される。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置において、前記燃料性状検出手段は前記内燃機関のノッキング発生状況に基づいて前記燃料性状を検出するものとして構成される。
【0025】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、この発明の第1の実施形態にかかる筒内噴射式内燃機関の制御装置について図1〜図8を参照して説明する。
【0026】
図1に示されるように、この内燃機関10のシリンダヘッド12には、各気筒(同図では一つの気筒のみ示す)に対応して燃料噴射弁14及び点火プラグ16がそれぞれ取り付けられている。燃料噴射弁14は、デリバリパイプ(図示略)を介して高圧ポンプ(図示略)に接続されており、同高圧ポンプから供給される燃料は、燃料噴射弁14の噴孔部14aから燃焼室18内に直接噴射供給される。また、点火プラグ16はイグナイタ(図示略)を備えた点火コイル20に接続されている。イグナイタに入力される点火信号に同期して、点火コイル20に発生する高電圧が点火プラグ16に供給されることにより、混合気の点火が行われる。
【0027】
次に、シリンダヘッド12及びシリンダブロック13等、機関本体を冷却水によって冷却するための機関冷却系について説明する。
シリンダヘッド12及びシリンダブロック13の内部には、冷却水が循環する冷却水通路21,22がそれぞれ形成されている。これら各冷却水通路21,22のうち、シリンダブロック13の冷却水通路22は、燃料噴射弁14の取り付け側に位置する通路22aと、その反対側に位置する通路22bとによって構成されており、これら各通路22a,22bはシリンダブロック13内において各別に形成されている。
【0028】
シリンダヘッド12の冷却水通路21は、送り通路23を介してウォータポンプ25の吐出口に接続されている。また、シリンダブロック13の冷却水通路22a,22bも同様に、それぞれ送り通路24a,24bを介してウォータポンプ25の吐出口に接続されている。ウォータポンプ25から吐出された冷却水はこれら送り通路23,24a,24bを通じて各冷却水通路21,22a,22bにそれぞれ導入される。
【0029】
一方、各冷却水通路21,22a,22bは、それぞれ戻り通路26を介してラジエータ27に接続されている。従って、シリンダヘッド12及びシリンダブロック13を冷却することにより温度上昇した各冷却水通路21,22a,22b内の冷却水は、この戻り通路26を通じてラジエータ27に導入され、同ラジエータ27の熱交換作用によって冷却される。そして、このように冷却された冷却水はウォータポンプ25に戻され、同ウォータポンプ25から再び各冷却水通路21,22a,22bに吐出される。
【0030】
上記戻り通路26とウォータポンプ25との間には、ラジエータ27をバイパスしてこれら戻り通路26とウォータポンプ25とを直接接続するバイパス通路28が設けられている。このバイパス通路28が戻り通路26から分岐する部分には、戻り通路26からラジエータ27を介してウォータポンプ25に戻される冷却水の流量(以下、「ラジエータ流量」という)Qrと、同戻り通路26からウォータポンプ25に直接戻される冷却水の流量(以下、「バイパス流量」という)Qbとの割合を、所定のデューティ比Dを有する制御信号に基づいて調整する流路制御弁29が設けられている。
【0031】
図2は、ラジエータ流量Qr及びバイパス流量Qbと上記デューティ比Dとの関係を示している。同図2に示されるように、デューティ比Dがその最小値「0%」に設定されるときには、バイパス流量Qbは「0」となり、各冷却水通路21,22a,22bから戻り通路26を通じて流路制御弁29に達した冷却水は、同流路制御弁29を介して全てラジエータ27側に送られるようになる。そしてこの場合、ラジエータ流量Qrが最大になるため、各冷却水通路21,22a,22bから戻り通路26に戻される冷却水の温度とウォータポンプ25から各冷却水通路21,22a,22bに送られる冷却水の温度との差は最も大きくなる。
【0032】
また、このようにデューティ比Dが「0%」に設定された状態から同デューティ比Dを増大させると、ラジエータ流量Qrが減少するとともに、その減少分だけバイパス流量Qbが増大するようになる。従って、流路制御弁29の開度が増大するのに伴ってラジエータ流量Qrが減少し、各冷却水通路21,22a,22bから戻り通路26に戻される冷却水の温度とウォータポンプ25から各冷却水通路21,22a,22bに送られる冷却水の温度との差も徐々に小さくなる。
【0033】
そして、デューティ比Dがその最大値「100%」に設定されると、ラジエータ流量Qrは「0」となり、各冷却水通路21,22a,22bから戻り通路26を通じて流路制御弁29に達した冷却水は全てウォータポンプ25に直接送られるようになる。そしてこの場合、ラジエータ流量Qrが最小(「0」)になるため、各冷却水通路21,22a,22bから戻り通路26に戻される冷却水の温度とウォータポンプ25から各冷却水通路21,22a,22bに送られる冷却水の温度との差は最も小さくなる。
【0034】
このように流路制御弁29に入力される制御信号のデューティ比Dの大きさに応じてラジエータ流量Qrが変化し、ラジエータ27によって冷却される冷却水の量、即ち機関冷却系の冷却効率が変化する。従って、各冷却水通路21,22a,22bから戻り通路26に戻される冷却水の温度が同じであるとすれば、上記制御信号のデューティ比Dが小さく設定されるほど、ウォータポンプ25から各冷却水通路21,22a,22bに送られる冷却水の温度が低下するようになる。
【0035】
また、この流路制御弁29についての上記デューティ制御、換言すれば機関冷却系の冷却態様にかかる制御は、内燃機関10の電子制御装置30を通じて行われており、通常は、冷却水温度が所定温度(例えば、「80℃」)となるように同機関冷却系が制御されている。
【0036】
この電子制御装置30は、中央演算処理装置の他、流路制御弁29を駆動するための駆動回路、更に各種演算結果や関数データを記憶するメモリ30aを備えている。そして、電子制御装置30には、機関回転速度を検出する回転速度センサ31、アクセルペダル(図示略)の踏込量(アクセル開度)を検出するアクセルセンサ32等々、機関運転状態を把握するための各種センサの検出信号が取り込まれる。またこれらセンサ31,32の他、シリンダブロック13において燃料噴射弁14の取付位置近傍には水温センサ33が取り付けられており、同水温センサ33により上記各冷却水通路22a,22bのうち、燃料噴射弁14の取り付け側に位置する通路22aの冷却水温度THWが検出される。この水温センサ33の検出信号も上記各センサ31,32と同様に電子制御装置30に取り込まれる。
【0037】
そして、電子制御装置30は、これら各センサ31〜33の検出信号等に基づいて所定のデューティ比Dを有する制御信号を生成し、この制御信号に基づいて流路制御弁29を駆動することにより冷却水温度を制御する。
【0038】
また、電子制御装置30は、こうした冷却水温度にかかる制御の他、内燃機関10の各種制御を統括して実行する。
例えば、電子制御装置30は、燃料噴射にかかる制御を実行する。即ち、電子制御装置30は、機関回転速度NE及びアクセル開度PA等に基づいて燃料噴射量QINJを算出するとともに、燃料噴射圧とこの燃料噴射量QINJとに基づいて燃料噴射時間を算出する。そして、この燃料噴射時間に基づいて燃料噴射弁14を開閉駆動する。
【0039】
更に、電子制御装置30は、機関回転速度NE及び燃料噴射量QINJとに基づき定まる機関運転状態に応じて燃料噴射弁14の燃料噴射時期等を変更することにより、内燃機関10の燃焼形態を成層燃焼、弱成層燃焼、及び均質燃焼との間で切り替える制御を実行する。
【0040】
即ち、図3に示されるように、機関回転速度NE及び燃料噴射量QINJに基づき定まる機関運転状態が成層燃焼を実行すべき領域(成層燃焼領域)にあるときには、燃料噴射時期が各気筒の圧縮行程後期に設定されるとともに、空燃比が理論空燃比よりもリーン側に設定される。この成層燃焼時には、点火プラグ16の近傍にのみ燃料濃度の濃い混合気が偏在した状態で燃焼が行われるようになる。
【0041】
尚、この成層燃焼時には、燃料と吸入空気との混合時間が短いため、機関燃焼状態を適切に維持する上で、燃料噴射弁14から噴射される燃料が燃焼室18の熱によって十分に気化されることが条件となる。このため、成層燃焼は、冷却水温度THWが所定の温度(成層燃焼許可温度THWA)以上であることを条件に行われる。
【0042】
一方、機関運転状態が均質燃焼を実行すべき領域(均質燃焼領域)にあるときには、燃料噴射時期が各気筒の吸気行程に設定される。その結果、燃料噴射弁14から噴射された燃料と吸入空気との混合時間が確保され、噴射燃料と吸入空気とが十分に混ざり合った略均質な状態で燃焼が行われるようになる。この均質燃焼では、空燃比が、理論空燃比或いは同理論空燃比よりもリッチになるように機関運転状態に応じて適宜設定される。
【0043】
更に、機関運転状態が弱成層燃焼を実行すべき領域(弱成層燃焼領域)にあるときには、燃料噴射時期が各気筒の吸気行程と圧縮行程とに設定される。その結果、燃料は2段階に分割して噴射されるようになり、成層燃焼時よりも成層度が低下した均質燃焼に近い状態で燃焼が行われるようになる。この弱成層燃焼では、空燃比が理論空燃比よりもリーン側に設定される。
【0044】
次に、本実施形態の制御装置により実行される機関冷却系の冷却態様にかかる制御について、その具体的な手順を図4に示すフローチャートを参照して説明する。尚、このフローチャートにおける一連の処理は、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0045】
この一連の処理では、まず、燃料噴射量QINJ、機関回転速度NE、冷却水温度THW、及び現在の燃焼形態Sn(成層燃焼S1、弱成層燃焼S2、均質燃焼S3)に対応した機関定常時における燃料噴射弁14(正確には噴孔部14a)の温度(以下、単に「定常温度」という)THISが算出される(ステップ100)。
【0046】
この定常温度THISと上記各種パラメータQINJ,NE,THW,Snとの関係は、実機を用いた実験や計算機上でのシミュレーション等に基づいて予め設定され、メモリ30aに関数マップとして記憶されている。
【0047】
因みに、この定常温度THISの各値は例えば以下のような手順に従って求めることができる。(i)まず、燃料噴射量QINJ、機関回転速度NE、及び冷却水温度THWをそれぞれ所定値のまま固定し、燃焼形態Snについてもこれを上記各形態S1〜S3のいずれかに固定する。(ii)そして、この状態のまま十分に時間が経過した後において、噴孔部14aの温度を測定し、これをそれら各パラメータQINJ,NE,THW,Snのそのときの状態に対応した定常温度THISの値とする。更に、この(i),(ii)の手順を各パラメータQINJ,NE,THW,Snをそれぞれ変更して繰り返し、また必要に応じて補間演算を行うことにより、それら各パラメータQINJ,NE,THW,Snに対応する定常温度THISの値を全て求めることができる。
【0048】
図5は、冷却水温度THWを所定値に、燃焼形態Snを所定の形態S1〜S3にそれぞれ固定した場合における、上記定常温度THISと燃料噴射量QINJ及び機関回転速度NEとの関係を示している。同図5に示されるように、定常温度THISは、燃料噴射量QINJが多くなるほど、また機関回転速度NEが高くなるほど高い値になる。これは、燃料噴射量QINJが多くなるほど一回の燃焼爆発により発生する熱量が増大し、また機関回転速度NEが高回転になるほど単位時間当たりの燃焼爆発回数が増加し、いずれも燃焼室18における単位時間当たりの発生熱量が増大する結果、機関本体から燃料噴射弁14に伝達される熱量が増大するためである。
【0049】
図6は、燃料噴射量QINJ及び機関回転速度NEをそれぞれ所定値に、燃焼形態Snを所定の形態S1〜S3にそれぞれ固定した場合における、冷却水温度THWと定常温度THISとの関係を示している。同図6に示されるように、定常温度THISは、冷却水温度THWが低くなるほど低い値になる。これは、冷却水温度THWが低くなるほど、機関本体から冷却水に伝達される熱量(放熱量)が増大して機関温度が低下する結果、燃料噴射弁14から機関本体に伝達される熱量が増大するためである。
【0050】
また、これら燃料噴射量QINJ、機関回転速度NE、及び冷却水温度THWをいずれも所定値に固定した場合において、燃焼形態Snを成層燃焼S1としたときの定常温度THISの値THIS_S1、弱成層燃焼S2としたときの定常温度THISの値THIS_S2、均質燃焼S3としたときの定常温度THISの値THIS_S3は以下の関係にある。
【0051】
THIS_S1>THIS_S2>THIS_S3 ・・・(1)
上式(1)より明らかなように、定常温度THISは燃焼形態の成層度が強いほど高い値になる。これは以下のような理由によるものと推測される。成層度が強くなるほど、点火プラグ16の近傍に偏在する混合気の燃料濃度が高くなり、燃焼時においてこの点火プラグ16近傍の燃焼温度も局所的に高くなる。燃料噴射弁14の噴孔部14aはこの点火プラグ16と近接して位置しているため、このように点火プラグ16近傍の燃焼温度が局所的に高くなると、同噴孔部14aの温度も高くなる。従って、燃料噴射量QINJ、機関回転速度NE、及び冷却水温度THWをいずれも所定値に固定した場合における、各燃焼形態S1〜S3に対応した定常温度THISの値は、上式(1)に示されるような関係となる。
【0052】
このようにして各パラメータQINJ,NE,THW,Snに対応する定常温度THISが求められると、次にこの定常温度THISに基づいて燃料噴射弁14の実際の温度(以下、「実温度」という)THIAが算出される(ステップ110)。
【0053】
シリンダヘッド12及びシリンダブロック13の他、燃料噴射弁14は所定の熱容量を有しているため、その噴孔部14aの実際の温度、即ち上記実温度THIAは、先に求めた定常温度THISと常に一致しているわけではない。即ち、この定常温度THISが変化する場合、実温度THIAは、この定常温度THISに対して遅れて変化するようになる。
【0054】
図7は、定常温度THIS及び実温度THIAについてそれらの推移態様の一例を示している。例えば、同図7のタイミングt1において上記燃料噴射量QINJ、機関回転速度NE、冷却水温度THW、及び燃焼形態Snにより定まる機関運転状態が変化したとすると、一点鎖線にて示されるように、定常温度THISもその機関運転状態の変化に合わせて所定値THIS1から所定値THIS2まで変化する。一方、このように定常温度THISが変化すると、同図7に実線にて示されるように、実温度THIAはこの定常温度THISに対して所定の応答遅れをもって追従し、所定時間が経過したタイミングt2において定常温度THISと一致するようになる。
【0055】
このため、実温度THIAの算出に際しては、こうした応答遅れを考慮する必要があり、本実施形態では、以下の式(2)に基づいて定常温度THISを徐変処理(なまし処理)することにより、この実温度THIAを算出するようにしている。
【0056】
THIAa←THIAb+(THIS−THIAb)/TK・・・(2)
上式(2)において、「THIAa」は、今回の制御周期における実温度THIAの値であり、「THIAb」は、前回の制御周期における実温度THIAの値である。また、「TK」は、上記応答遅れの程度を示す時定数である。この時定数TKは、主に機関本体(シリンダヘッド12及びシリンダブロック13)及び燃料噴射弁14等の熱容量に応じて変化するものであり、例えば実験等を通じてこれを同定することができる。
【0057】
次に、燃料噴射弁14の噴射が終了してから同弁14による次の噴射が開始されるまでの期間(噴射インターバル)TINJが、燃料噴射時間TAUと現在の機関回転速度NEとに基づき次式(3)に従って算出される(図4のステップ120)。
【0058】
TINJ←k1/NE−TAU ・・・(3)
k1:定数
上式(3)から明らかなように、噴射インターバルTINJは、機関回転速度NEが低回転になるほど長くなり、また燃料噴射時間TAUが短いほど、換言すれば燃料噴射量QINJが少ないほど長くなる。
【0059】
そして次に、噴射インターバルTINJに基づいて燃料噴射弁14の噴孔部14aについてその許容温度THIMが算出される(ステップ130)。この許容温度THIMは、デポジットの堆積速度が許容範囲にあるときにおける噴孔部14aの最高温度である。即ち、噴孔部14aの温度がこの許容温度THIM以下である場合には、デポジットの堆積速度が無視できる範囲にあるとみなすことができる。尚、噴孔部14aの温度がこの許容温度THIMよりも高い場合には、後述するように、このデポジットの堆積速度を低下させる処理(ステップ170,180)が実行される。
【0060】
図8は、この許容温度THIMの算出に際して参照される関数マップを示している。同図8に示されるように、許容温度THIMは噴射インターバルTINJが長くなるほど低い温度に設定される。これは、噴射インターバルTINJが長くなると、燃料に含まれる揮発成分の蒸発時間が長くなり、デポジットの堆積速度が増大する傾向があるため、許容温度THIMを低く設定してこの堆積速度を低下させる処理をより低い温度から行う必要があるからである。
【0061】
このようにして許容温度THIMが算出されると、次に実温度THIAがこの許容温度THIMと比較される(図4のステップ140)。そして、実温度THIAが許容温度THIM以下である場合には(ステップ140:NO)、この一連の処理は一旦終了される。
【0062】
尚、本実施形態の制御装置がその適用対象とする内燃機関10にあっては、上述したように、燃焼形態として弱成層燃焼或いは均質燃焼が選択されている場合には成層燃焼時と比較して噴孔部14aの温度が低く抑えられる傾向がある。このため、弱成層燃焼時や均質燃焼時において実温度THIAが許容温度THIMを上回るような状況は通常は発生しない。従って、燃焼形態として成層燃焼以外の形態が選択されている場合には、常に実温度THIAが許容温度THIM以下(ステップ140:NO)となってこの一連の処理は一旦終了されるようになる。即ち、デポジットの堆積速度を低下させる処理(ステップ170,180)は、実質的に成層燃焼時にのみ実行されることとなる。
【0063】
一方、実温度THIAが許容温度THIMを超えている場合には(ステップ140:YES)、冷却水温度の目標値(目標冷却水温度)THWTが以下の式(4)に基づいて算出される(ステップ150)。
【0064】
THWT←THW−(THIA−THIM)/α1 ・・・(4)
上式(4)において、「α1」は、冷却水温度THWを「1℃」だけ変化させた場合における噴孔部14aの温度変化量である。従って、上式(4)において「(THIA−THIM)/α1」は、冷却水温度THWを低下させることで実温度THIAを許容温度THIMにまで低下させる際において、その冷却水温度THWの変化量に相当するものとなる。このため、上式(4)により得られる目標冷却水温度THWTと等しくなるように冷却水温度THWが制御されることにより、実温度THIAは許容温度THIMに一致するようになる。
【0065】
次に、このようにして目標冷却水温度THWTが算出されると、この目標冷却水温度THWTと前記成層燃焼許可温度THWAとが比較される(ステップ160)。ここで、目標冷却水温度THWTが成層燃焼許可温度THWAを上回っている場合(ステップ160:YES)、即ち目標冷却水温度THWTに一致するように冷却水温度THWを低下させても、成層燃焼を継続することが可能である場合には、目標冷却水温度THWT等に基づいて機関冷却系の冷却態様が制御される(ステップ170)。即ちこの場合には、例えば次の式(5)に基づきデューティ比Dが設定され、そのデューティ比Dに基づいて流路制御弁29が駆動される。
【0066】
D←D+(THWT−THW)×K ・・・(5)
K(>0):ゲイン定数
上式(5)より明らかなように、目標冷却水温度THWTが実際の冷却水温度THWを下回っている場合には、デューティ比Dが現状の値よりも小さい値に設定される。従って、ラジエータ流量Qrの流量が増大し、冷却水温度THWは目標冷却水温度THWTと一致するまで徐々に低下するようになる。
【0067】
一方、目標冷却水温度THWTが成層燃焼許可温度THWA以下である場合(ステップ160:NO)には、冷却水温度THWの制御を通じてデポジットの堆積速度を低減させることができないため、成層燃焼の実行が禁止されるとともに、燃焼形態が成層燃焼から成層強度の低い弱成層燃焼或いは均質燃焼に変更される(ステップ180)。このように燃焼形態が弱成層燃焼或いは均質燃焼に変更されることにより、噴孔部14aの温度が低下するため、デポジットの堆積速度も低下するようになる。
【0068】
このように冷却水温度THWの低下、或いは燃焼形態の変更を通じてデポジットの堆積速度を低下させる処理(ステップ170,180)が実行されると、この一連の処理は一旦終了される。
【0069】
以上説明した態様で機関冷却系の冷却水温度を制御するようにした本実施形態にかかる制御装置によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)噴孔部14aの温度(実温度THIA)に基づいてシリンダヘッド12やシリンダブロック13等、冷却水による機関本体の冷却態様を制御するようにしている。即ち、噴孔部14aの温度が許容温度THIMより高いときには、同温度がこの許容温度THIM以下になるように、ラジエータ流量Qrの調整を通じて冷却水の温度を制御するようにしている。そしてこれにより、機関本体の温度を低下させて燃料噴射弁14から機関本体への放熱性を高めることができ、同燃料噴射弁14、特にその噴孔部14aの温度を効果的に低下させることができる。しかも、点火時期等、燃焼を直接制御する因子を変更した場合と比較して機関燃焼状態への悪影響が小さく抑えられるようになる。その結果、機関燃焼状態の悪化を極力抑えつつ、燃料噴射弁14のデポジット堆積を抑制することができるようになる。
【0070】
(2)また、この許容温度THIMを噴射インターバルTINJに応じて可変とし、同噴射インターバルTINJが長いときほど許容温度THIMを低く設定するようにしている。このため、噴射インターバルTINJに応じて変化するデポジットの堆積速度に見合ったかたちで冷却水の温度を制御することができ、デポジットの堆積を一層効果的に抑制することができるようになる。また、こうした冷却水温度の制御を通じて機関本体の温度が不必要に低下してしまうのを極力抑制することができ、過冷却による熱損失の増大や、それに起因する燃費の悪化、更には目標冷却水温度THWTが成層燃焼許可温度THWA以下に設定されて成層燃焼が禁止されることに伴う燃費の悪化を併せて回避することができるようになる。
【0071】
(3)更に、燃焼室18における発生熱量、機関本体から冷却水への放熱量、並びに機関本体及び燃料噴射弁14の熱容量をそれぞれ考慮して、噴孔部14aの温度(実温度THIA)を検出するようにしている。具体的には、燃料噴射量QINJ、機関回転速度NE、冷却水温度THW、並びに燃焼形態Snに対応した機関定常時の温度(定常温度THIS)を求め、この定常温度THISを上記式(2)に基づいて徐変処理した温度を噴孔部14aの温度として検出するようにしている。従って、この噴孔部14aの温度を直接測定するセンサを別途設けなくとも、同温度を極めて正確に推定してこれを検出することができるようになる。
【0072】
(4)更に、噴孔部14aの温度が許容温度THIMより高い場合において、特に目標冷却水温度THWTが成層燃焼許可温度THWA以下であると判断されるときには、成層燃焼の実行を禁止して燃焼形態を同成層燃焼よりも成層強度の低い弱成層燃焼或いは均質燃焼に設定するようにしている。そして、このように混合気の成層強度を低下させることによって噴孔部14aの温度を低下させるようにしている。その結果、点火時期等、燃焼を直接制御する因子を変更することによる機関燃焼状態の悪化や、或いは噴射燃料の気化が十分でないまま成層燃焼が行われることによる機関燃焼状態の悪化を極力抑えつつ、燃料噴射弁14のデポジット堆積を抑制することができるようになる。
【0073】
[第2の実施形態]
次に、この発明の第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図9及び図10を参照して説明する。
【0074】
第1の実施形態では、噴射インターバルTINJのみに基づいて許容温度THIMを設定するようにしていたが、本実施形態では、この噴射インターバルTINJの他、内燃機関10において使用される燃料の揮発性に関連する燃料性状に基づいて許容温度THIMを設定するようにしている。
【0075】
燃料の揮発性が異なっていると、仮に噴射インターバルTINJが同じであっても、デポジットの堆積速度がその揮発性に応じて異なるようになる。即ち、燃料の揮発性が高くなるほど、噴射インターバルTINJにおける燃料の蒸発が促進され、デポジットの堆積速度が増大するようになる。従って、デポジットの堆積を一層効果的に抑制する上では、そのときに使用されている燃料の揮発性についてもこれを上記許容温度THIMの設定に際して考慮するのが望ましい。このため、本実施形態では、揮発性に関連する燃料性状を検出し、この燃料性状を上記噴射インターバルTINJと併せて許容温度THIMの設定に反映させるようにしている。
【0076】
また、本実施形態において、上記燃料性状は内燃機関10におけるノッキングの発生状況に基づいて検出され、更に、このノッキング発生状況は、電子制御装置30の点火時期制御を通じて求められるノック学習値に基づいて評価される。
【0077】
以下、この点火時期制御の概要並びにノック学習値について説明する。
電子制御装置30は、機関回転速度NE及び燃料噴射量QINJ等、機関運転状態に基づいて基本となる点火時期を算出し、この算出される点火時期をノッキングが発生しない範囲で最大に進角させた時期をもって点火プラグ16による点火を実行する。
【0078】
更に、電子制御装置30は、この点火時期の最大進角量をノック学習値として学習し、これをメモリ30aに記憶する。例えば、ノッキングが発生した場合には、点火時期を遅角側に制御すべくノック学習値がより小さな値に更新される。一方、ノッキングが発生しない状況が継続する場合には、点火時期を進角側に制御すべくノック学習値がより大きな値へと更新される。
【0079】
このように、上記ノック学習値は内燃機関10におけるノッキング発生状況に即して変化し、これが大きな値として学習されているときほど、内燃機関10はノッキングが発生し難い状況にあることになる。
【0080】
また、こうしたノッキングの発生状況は、一般に燃料の揮発性と相関を有している。即ち、アンチノック性を高めるためにオクタン価向上剤を添加した燃料は揮発性が低下する傾向があり、ノッキングが発生し難い場合には、高オクタン価の燃料が用いられているために、その揮発性が低いと判断することができる。従って、上記ノック学習値が大きな値として学習されているときほど、そのときに使用されている燃料の揮発性が低く、デポジットの堆積が発生し難いものと判断することができる。
【0081】
そこで、本実施形態では、先の図4のフローチャートに示されるステップ120の処理を実行した後、ステップ140の判断処理を実行する前に、ノック学習値の大きさに応じて許容温度THIMを設定する処理(図9に示される各ステップ122,132,134の処理)を実行するようにしている。
【0082】
即ち、図9のフローチャートに示されるように、まず上記ノック学習値が予め定められた判定値β以上であるか否かが判断される(ステップ122)。この判定値βは、現在使用されている燃料が、揮発性の低い高オクタン価の燃料(重質燃料)か、或いは揮発性の高い低オクタン価の燃料(軽質燃料)かを判断するためのものである。即ち、ノック学習値がこの判定値β以上である場合には、ノッキングが発生し難い傾向にあるため、重質燃料が使用されていると判定することができ、一方、判定値β未満である場合には、逆にノッキングが発生し易い傾向にあるため、軽質燃料が使用されていると判定することができる。
【0083】
尚、ノッキングの発生状況はこうした燃料の揮発性の他、燃焼室18内に吸入される吸入空気の温度(吸気温度)や機関温度によっても左右され、これら吸気温度や機関温度が低いときほど発生し難くなる。このため、上記判定値βは、こうした吸気温度や機関温度による影響を排除すべく、吸気温度が低いときほど、また機関温度(例えば冷却水温度THWにより評価される)が低いときほど、大きな値に設定される。尚、こうした判定値βと冷却水温度THWとの関係は、関数データのかたちでメモリ30aに記憶されている。
【0084】
ここで、ノック学習値が判定値β以上であり、重質燃料が使用されていると判定された場合には(ステップ122:YES)、許容温度THIMを求めるためのマップとして重質燃料用マップAが選択され、このマップAを用いて噴射インターバルTINJに基づく許容温度THIMが算出される(ステップ132)。一方、ノック学習値が判定値β未満であり、軽質燃料が使用されていると判定された場合には(ステップ122:NO)、軽質燃料用マップBが選択され、同マップBを用いて噴射インターバルTINJに基づく許容温度THIMが算出される(ステップ134)。
【0085】
図10は、本実施形態における許容温度THIMと噴射インターバルTINJとの関係を示しており、同図の一点鎖線は重質燃料用マップAが選択された場合における両者の関係を、実線は軽質燃料用マップBが選択された場合における関係をそれぞれ示している。同図10に示されるように、噴射インターバルTINJが長くなるほど許容温度THIMが低い温度に設定される点については、第1の実施形態と同様であるが、本実施形態にあっては特に、燃料性状が揮発性の高い性状であるときほど、許容温度THIMが低く設定される。即ち、軽質燃料が使用されている場合には、重質燃焼が使用されている場合と比較して許容温度THIMが低く設定される。従って、軽質燃料使用時には、重質燃料使用時と比較してデポジットの堆積速度を低下させる処理がより低い温度から行われるようになる。
【0086】
このようにして燃料性状に応じた各マップA,Bが参照され、許容温度THIMが算出された後は、実温度THIAとこの許容温度THIMとの比較判断が行われる(図4のステップ140)。
【0087】
以上説明した態様で機関冷却系を制御するようにした本実施形態にかかる制御装置によれば、第1の実施形態において示した(1)〜(4)の作用効果に加えて更に以下のような作用効果を奏することができる。
【0088】
(5)本実施形態では、内燃機関10のノッキング発生状況に基づいて使用燃料が重質燃料であるか或いは軽質燃料であるかを検出するようにしている。そして、使用燃料が軽質燃料であるため、その揮発性が高いと判定された場合には、揮発性の低い重質燃料が使用されているときよりも上記許容温度THIMを低く設定するようにしている。従って、燃料性状に応じて燃料の揮発性が変化し、デポジットの堆積速度が異なる場合でも、その堆積速度に見合ったかたちで冷却水温度を制御することができ、デポジットの堆積を一層効果的に抑制することができるようになる。また、こうした冷却水温度の制御を通じて機関本体の温度が不必要に低下してしまうのを極力抑制することができ、過冷却による熱損失の増大や、それに起因する燃費の悪化、更には目標冷却水温度THWTが成層燃焼許可温度THWA以下に設定されて成層燃焼が禁止されることに伴う燃費の悪化を併せて回避することができるようになる。
【0089】
(6)特に、ノック学習値を上記判定値βと比較することにより、使用燃料が重質燃料か或いは軽質燃料かを判定するようにしており、こうした揮発性に関連する燃料性状をセンサを別途設けなくとも、内燃機関10のノッキング発生状況に基づいて正確に検出することができるようになる。
【0090】
[第3の実施形態]
次に、この発明の第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0091】
上記各実施形態では、噴孔部14aの実温度THIAを低下させるに際して、冷却水温度THWを低下させるようにしたが、本実施形態では、この機関冷却系の冷却態様を制御するための構成及びその制御手順の一部が第1の実施形態と相違している。
【0092】
図1に示されるように、本実施形態の制御装置にあっては、ウォータポンプ25の吐出口と燃料噴射弁14の取付位置と反対側に位置する冷却水通路22bとを接続する送り通路24bの途中に流量制御弁35が設けられている。そして、この流量制御弁35の開度に基づいて、ウォータポンプ25から上記冷却水通路22bに送られる冷却水の流量が調節される。このように上記冷却水通路22bの冷却水流量が調節されることにより、同通路22bとその他の冷却水通路、即ち燃料噴射弁14の取り付け側に位置するもう一方の冷却水通路22a及びシリンダヘッド12の冷却水通路21についてそれらを流れる冷却水の流量比が調節されるようになる。即ち、流量制御弁35の開度が絞られると、燃料噴射弁14の取付位置と反対側に位置する冷却水通路22bの流量が減少する一方、その減少分だけシリンダブロック13に形成されたもう一方の冷却水通路22a及びシリンダヘッド12の冷却水通路21に流れる冷却水の流量が増大するようになる。その結果、燃料噴射弁14の取付位置近傍は、冷却水によって効果的に冷却されるようになり、燃料噴射弁14から機関本体への放熱性も高められるようになる。
【0093】
次に、こうした構成を備えた本実施形態の制御装置では、以下の手順に従って機関冷却系による冷却態様が制御される。即ち、先の図4の一連の処理において、実温度THIAが許容温度THIMを上回っていると判断された場合には(図4のステップ140:YES)、図11のフローチャートに示されるように、以下の式(6)に基づいて流量制御弁35の目標開度OA、換言すれば上記各冷却水通路21,22a,22bの流量比についてその目標値が算出される(図11のステップ152)。
【0094】
OA←OA−(THIA−THIM)/α2 ・・・(6)
上式(6)において、「α2」は、流量制御弁35の開度を「1°」だけ絞った場合における噴孔部14aの温度変化量である。
【0095】
そして、この流量制御弁35の目標開度OAが全閉「0°」より大きい場合には、同目標開度OAに基づいて流量制御弁35の開度が調節され、冷却水の流量比制御が実行される(ステップ172)。そして、この流量比制御を通じて燃料噴射弁14の取付位置近傍を流れる冷却水の流量が増大し、機関本体への放熱性が高められる結果、噴孔部14aの実温度THIAは許容温度THIMと一致するまで低下するようになる。
【0096】
一方、目標開度OAが全閉以下である場合、即ち上記冷却水の流量比制御を通じて噴孔部14aの実温度THIAを許容温度THIM以下にまで低下させることができない場合には、成層燃焼の実行が禁止されるとともに、燃焼形態が成層燃焼から弱成層燃焼或いは均質燃焼に変更される(ステップ180)。
【0097】
以上説明した本実施形態によれば、冷却水温度の制御に替え、燃料噴射弁14の取付部位近傍における冷却水流量を制御することにより、第1の実施形態において示した(1)〜(4)と同等の作用効果を奏することができるようになる。
【0098】
本発明の上記実施形態は以下のように更にその構成や制御態様の一部を変更して実施することもできる。
・上記各実施形態では、噴孔部14aの定常温度THISを算出するに際し、燃焼形態Snの他、燃料噴射量QINJ及び機関回転速度NEに基づいて燃焼室18での発生熱量を推定するようにしたが、例えばこれら燃料噴射量QINJ及び機関回転速度NEに替えて、或いはこれら各パラーメータQINJ,NEに加えて排気温度に基づいて発生熱量を推定するようにしてもよい。
【0099】
・上記各実施形態では、実温度THIAが許容温度THIMを上回っていることを条件に、冷却水温度を低下させる処理や燃料噴射弁14の取付位置近傍を流れる冷却水の流量を増大させる処理を行うようにしたが、例えば、実温度THIAと許容温度THIMとの偏差(THIA−THIM)に基づいて、これら冷却水温度や冷却水流量の制御を常に行うようにしてもよい。
【0100】
・第2の実施形態では、ノッキングの発生状況に基づいて揮発性に関連する燃料性状を検出するようにしたが、例えば、いわゆる空燃比フィードバック制御の実行中において、過渡運転時における実空燃比と理論空燃比との乖離傾向に基づいて同燃料性状を検出することもできる。尚この場合には、上記乖離傾向が大きいときほど揮発性の高い性状の燃料が使用されていると判断する。
【0101】
・デポジットの堆積を抑制するために、上記第1及び第2の実施形態では冷却水温度を制御するようにし、また第3の実施形態では冷却水流量を制御するようにしたが、これら冷却水温度及び冷却水流量にかかる各制御を双方実行するようにしてもよい。
【0102】
・第3の実施形態では、燃料噴射弁14の温度が燃料噴射弁14の取付位置と反対側に位置する冷却水通路22bに流量制御弁35を設け、同通路22bを流れる冷却水の流量を制御するようにしたが、例えば、シリンダヘッド12において燃料噴射弁14の周囲を囲むようにして燃料噴射弁用の冷却水通路を別途形成するとともに、この冷却水通路に流量制御弁を設け、同冷却水通路を流れる冷却水の流量制御を通じて燃料噴射弁14の温度制御を行うようにしてもよい。
【0103】
・上記各実施形態において、冷却水温度や冷却水流量にかかる制御の他、点火時期を遅角させる制御或いはEGR量を増大させる制御を併せて行うこともできる。例えば、上記目標冷却水温度THWTが成層燃焼許可温度THWA以下となるような場合(図4のステップ160:NO)において、上記目標冷却水温度THWTを成層燃焼許可温度THWAと等しく設定し、冷却水温度を成層燃焼可能な限界近くまで低下させることによって噴孔部14aの温度を極力低下させる。但しこの場合には、噴孔部14aの温度を許容温度THIMにまで低下させることができないため、点火時期遅角制御或いはEGR量増大制御を実行することにより、噴孔部14aの温度を許容温度THIMにまで更に低下させるようにする。このようにすれば、成層燃焼を禁止することなく、デポジットの堆積を抑制することができるようになる。また、機関冷却系にかかる制御を優先して行うことで、機関燃焼状態の悪化も極力抑制することができる。
【0104】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、これら実施形態から把握できる技術思想について以下に記載する。
(イ)燃料噴射弁から気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射式内燃機関の制御装置において、
前記燃料噴射弁の温度を検出する温度検出手段と、
前記検出される燃料噴射弁の温度に基づいて機関燃焼室における混合気の成層強度を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする筒内噴射式内燃機関の制御装置。
【0105】
(ロ)前記制御手段は前記検出される燃料噴射弁の温度が所定温度より高いときには成層燃焼の実行を禁止して燃焼形態を同成層燃焼よりも成層強度の低い弱成層燃焼或いは均質燃焼に設定する
上記(イ)に記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置。
【0106】
(ハ)前記温度検出手段は燃料噴射量及び機関回転速度、並びに前記冷却水の温度に対応した前記燃料噴射弁の機関定常時における温度を求め、該温度を徐変処理した温度を前記燃料噴射弁の温度として検出する
上記(イ)又は(ハ)に記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の制御装置についてその構成を示す概略構成図。
【図2】バイパス流量及びラジエータ流量の割合と流路制御弁に入力される制御信号のデューティ比との関係を示す説明図。
【図3】燃料噴射量及び機関回転速度と燃焼形態との関係を示す説明図。
【図4】第1の実施形態におけるデポジットの堆積抑制処理の手順を示すフローチャート。
【図5】燃料噴射量及び機関回転速度と燃料噴射弁の定常温度との関係を示すグラフ。
【図6】冷却水温度と燃料噴射弁の定常温度との関係を示すグラフ。
【図7】燃料噴射弁の定常温度及び実温度についてその推移態様の一例を示すタイミングチャート。
【図8】許容温度と噴射インターバルとの関係を示すマップ。
【図9】第2の実施形態におけるデポジットの堆積抑制処理の手順を示すフローチャート。
【図10】許容温度と噴射インターバルとの関係を示すマップ。
【図11】第3の実施形態におけるデポジットの堆積抑制処理の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
10…内燃機関、12…シリンダヘッド、13…シリンダブロック、14…燃料噴射弁、14a…噴孔部、16…点火プラグ、18…燃焼室、20…点火コイル、21,22…冷却水通路、23,24a,24b…送り通路、25…ウォータポンプ、26…戻り通路、27…ラジエータ、28…バイパス通路、29…流路制御弁、30…電子制御装置、30a…メモリ、31…回転速度センサ、32…アクセルセンサ、33…水温センサ、35…流量制御弁。
Claims (10)
- 燃料噴射弁から気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射式内燃機関の制御装置において、
機関本体を冷却水によって冷却する手段であって前記冷却水の温度を調整する調整手段を備える冷却手段と、
前記燃料噴射弁の温度を検出する温度検出手段と、
前記検出される燃料噴射弁の温度が所定温度より高いときには前記燃料噴射弁の温度が前記所定温度以下になるように前記調整手段を通じて前記冷却水の温度を制御するとともに前記燃料噴射弁の噴射が終了してから同弁による次の噴射が開始されるまでの期間に応じて前記所定温度を可変設定する制御手段と
を備えることを特徴とする筒内噴射式内燃機関の制御装置。 - 燃料噴射弁から気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射式内燃機関の制御装置において、
機関本体を冷却水によって冷却する手段であって前記機関本体において前記燃料噴射弁の取付部位近傍を流れる冷却水の流量を調整する調整手段を備える冷却手段と、
前記燃料噴射弁の温度を検出する温度検出手段と、
前記検出される燃料噴射弁の温度が所定温度より高いときには前記燃料噴射弁の温度が前記所定温度以下になるように前記調整手段を通じて前記取付部位近傍の冷却水流量を制御するとともに前記燃料噴射弁の噴射が終了してから同弁による次の噴射が開始されるまでの期間に応じて前記所定温度を可変設定する制御手段と
を備えることを特徴とする筒内噴射式内燃機関の制御装置。 - 揮発性に関連する燃料の性状を検出する燃料性状検出手段を更に備え、
前記制御手段は前記検出される燃料性状に応じて前記所定温度を可変設定する
請求項1又は2記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置。 - 前記燃料性状検出手段は前記内燃機関のノッキング発生状況に基づいて前記燃料性状を検出する
請求項3記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置。 - 前記温度検出手段は燃料噴射量及び機関回転速度、並びに前記冷却水の温度に対応した前記燃料噴射弁の機関定常時における温度を求め、該温度を徐変処理した温度を前記燃料噴射弁の温度として検出する
請求項1乃至4のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置。 - 燃料噴射弁から気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射式内燃機関の制御装置において、
機関本体を冷却水によって冷却する冷却手段と、
前記燃料噴射弁の温度を検出する手段であって燃料噴射量及び機関回転速度、並びに前記冷却水の温度に対応した前記燃料噴射弁の機関定常時における温度を求め、該温度を徐変処理した温度を前記燃料噴射弁の温度として検出する温度検出手段と、
前記検出される燃料噴射弁の温度に基づいて前記冷却手段による冷却態様を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする筒内噴射式内燃機関の制御装置。 - 前記冷却手段は前記冷却水の温度を調整する調整手段を備え、
前記制御手段は前記検出される燃料噴射弁の温度が所定温度より高いときには前記燃料噴射弁の温度が前記所定温度以下になるように前記調整手段を通じて前記冷却水の温度を制御する
請求項6記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置。 - 前記冷却手段は前記機関本体において前記燃料噴射弁の取付部位近傍を流れる冷却水の流量を調整する調整手段を備え、
前記制御手段は前記検出される燃料噴射弁の温度が所定温度より高いときには前記燃料噴射弁の温度が前記所定温度以下になるように前記調整手段を通じて前記取付部位近傍の冷却水流量を制御する
請求項6記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置。 - 揮発性に関連する燃料の性状を検出する燃料性状検出手段を更に備え、
前記制御手段は前記検出される燃料性状に応じて前記所定温度を可変設定する
請求項7又は8に記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置。 - 前記燃料性状検出手段は前記内燃機関のノッキング発生状況に基づいて前記燃料性状を検出する
請求項9記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置。
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