JP4220323B2 - 無端ベルトを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機やレーザプリンタ等の画像形成装置に関し、詳細には、べルト状画像形成部材、特にベルト状感光体ならびにベルト状中間転写体を用いて画像を形成する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置では、感光体ドラム等の潜像担持体上に形成された未定着トナー像を用紙等の記録媒体に転写して印刷画像を得る方式がとられる。前記未定着トナー像を記録媒体に転写する方式として、前記未定着トナー像を記録媒体に直接転写する方式と、潜像担持体上に形成された未定着トナー像を、ドラム状あるいは無端ベルト状のフィルム部材からなる中間転写体上に1次転写した後、該中間転写体上の未定着トナー像を改めて記録媒体上に2次転写して複写画像を得る方式とが知られている。
【0003】
図9は、ベルト状中間転写体を用いた画像形成装置の一例としてのカラープリンタの要部構成を示す模式図である。同図において、感光体ドラム等の潜像担持体(以下、「感光体ドラム」で代表して説明する)1の表面は帯電器2により所定の電荷で一様に帯電され、レーザー光Lの書き込み走査で第1色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体ドラム1の、A方向への回転で現像装置ユニット3の第1色の現像器との対向位置に至り、第1色の現像器でトナー現像される。感光体ドラム1はトナー像Tを担持してさらに回転する。
【0004】
上記トナー現像動作に合わせて、中間転写ベルト4は感光体ドラム1の周速と略同一の速度で移動し、感光体ドラム1と中間転写ベルト4とが当接する位置の直下付近で中間転写ベルト4に接して配置された1次転写ロール5が配置されている1次転写部において、該1次転写ロール5に印加される上記トナーの帯電極性と逆極性の転写電界によって感光体ドラム1に担持されていたトナー像Tが中間転写ベルト4に1次転写される。以上で、1次転写サイクルが終了する。
【0005】
中間転写ベルト4に1次転写されたトナー像は中間転写ベルト4の周回移動によって2次転写ロール6が配置されている2次転写部に至る。フルカラー画像形成装置の場合には潜像の形成からトナー像の1次転写までを予定色(一般にはイエロー(Y) 、マゼンタ(M) 、シアン(C) およびブラック(Bk))分だけ繰り返して中間転写ベルト4上に多色トナーを重ね合わせたカラートナー像を形成する。
【0006】
各色のトナー像を形成するため、現像装置ユニット3はイエロー現像器3−1、マゼンタ現像器3−2、シアン現像器3−3およびブラック現像器3−4の4色現像器からなる回転装置で構成され、感光体ドラム1に形成された各色の潜像を順次現像できるように構成されている。
【0007】
感光体ドラム1に担持された第1色のトナー像が1次転写部で中間転写ベルト4上に転写された後、感光体ドラム1上の残留トナーは感光体クリーナ7で除去されるとともに図示しない除電器で電荷が中和された後、次の,第2色に対応する潜像の形成がなされる。第2色の静電潜像も第1色と同様にして現像され、その第2色のトナー像が中間転写ベルト4上の、先に転写された第1色のトナー像に重ねて転写される。以下、第3色以降についても同様にして中問転写ベルト4に多重転写され、その結果、中間転写べルト4には未定着の複数色トナーが重畳したカラートナー像が形成される。
【0008】
すべての色のトナー像が1次転写された中間転写ベルト4が2次転写位置に達する時点で、タイミングを取って給紙トレイ8から送り出された記録媒体としての記録紙Pが2次転写位置に給送される。
【0009】
記録紙Pを2次転写ロール6および中間転写ベルト4によって挟持して搬送する際、2次転写ロール6に印加される前記トナー像の帯電極性と逆極性の転写電圧で形成される転写電界により中間転写ベルト4のトナー像が記録紙Pに2次転写される。
【0010】
トナー像が2次転写された記録紙Pは定着器9に送られ、加熱・加圧処理によりトナー像を記録紙Pに固定し、作像プロセスを終了する。なお、トナー像が2次転写された記録紙Pを除電するための除電器(図示せず)が2次転写ロール6の下流に配置される。
【0011】
2次転写ロール6は、中間転写ベルト4に対して矢印C方向に当接・離間自在に設けられていて、記録紙Pの進入に合わせて当接し、排出にあわせて離間する。2次転写ロール6は2次転写の終了とともに待避位置に戻る。また、中間転写ベルト4に対向して配置されているクリーナ10も記録紙Pへ転写されなかったトナー像をクリ−ニングすべく、中間転写ベルト4に対して2次転写ロールP同様、当接・離間する。
【0012】
このような中間転写ベルトを用いたカラー画像形成装置では、該中間ベルト上で既に多重転写された合成トナー像(各色トナー像の重畳像)を記録媒体に一括で転写しているので、潜像担持体から直接記録媒体に各色のトナー像を順次転写する方式におけるトナー像間の位置ずれや画像乱れの発生を効果的に防止できるといった利点を有している。
【0013】
前記中間転写ベルト4は、駆動ロール11、アイドルロール12、2次転写バックアップロール13およびテンションロール14により張架され、駆動ロール11により矢印B方向に搬送される。中間転写ベルト4には、該中間転写ベルト4が駆動ロール11等、各ロールの軸方向での位置を規制するための、リブおよびリブガイドからなる規制部材が設けられている。
【0014】
一方、前記駆動ロール11は、クリーナ10や2次転写ロール6による負荷がかかったときにも中間転写ベルト4がスリップしないように、表面に高摩擦材料の被覆層が形成されている。
【0015】
中間転写ベルト4の周回搬送に当たっては該中間転写ベルト4の周回方向の速度変動防止や、駆動ロール11等の軸方向での位置規制および中間転写ベルト4端部の破断防止の観点から、従来より各種の構成が提案されている。
【0016】
特開平2−27383号公報には、中間転写ベルトの画像領域外の、片方の端部にリブを設け、駆動ロールを含む複数のロール側にリブに対応した溝を設けるとともに、リブの摩擦係数を中間転写ベルトの摩擦係数と異ならせることが開示されている。特開平4−257888号公報には、駆動ロールと従動ロールに巻きかけたベルトの両端部にリブを設け、駆動ロールと従動ロールの両方の両端部にリブに対応する溝を設けることが開示されている。
【0017】
特開平5−134556号公報には、補強部材としてのテープを端部に貼付けた転写ベルトが開示されている。この転写ベルトでは、ロールと前記テープとの接触部で転写ベルトが浮き上がるのを防止して、該転写ベルトと補強部材の境目でクラックが発生しないようにするため、前記テープ位置と対応する部分において前記ロールの外径を細くしている。
【0018】
特開平9−175686号公報および特開平9−16512号公報には、中問転写ベルトとリブを縫いあわせ、中間転写べルトからのリブの脱落を防止する技術が開示されている。
【0019】
一方、中間転写ベルトと駆動ロールのスリップを防ぐ技術として特開平6−35331号公報には、駆動ロール表面に20から100ミクロンの凸凹を設ける技術、特開平8−152812号公報には中間転写ベルト内面、駆動ロールのいずれかまたは両方に、一部分または全面に粘着剤ないしは高摩擦系樹脂を塗布する技術が開示されている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
中間転写ベルトとそれを駆動するための駆動ロール、ならびに中間転写ベルトの蛇行を防止するためのリブおよびリブガイドを有する画像形成装置において、中間転写ベルトは、ポリカーボネート系樹脂、ボリイミド系樹脂をベースに、抵抗調整材料を含有する厚さ50から100ミクロンの半導電性フィルムである。駆動ロールの表面にはべルトとのスリップ防止のため、一般的には高摩擦処理がなされている。
【0021】
この高摩擦処理としては、アルミニウム製ロールの表面に、ウレタンゴム等の高摩擦樹脂をコーテイングしたりして、長期に渡って駆動ロールと中間転写ベルトの摩擦係数を維持できるようにしている。しかし、駆動ロールやべルトが新品のうちは駆動ロール表面の摩擦係数が高すぎるために、駆動ロール上でベルトが軸方向でスティックスリップを繰り返し、きしみ音が発生することがあった。
【0022】
さらに、複数のロールにより張架されている中間転写ベルトは搬送される間に、上述のように、軸方向の動き(ウォーク)を生ずる。一定量以上のウォークは、上述のリブおよびリブガイドによって規制されている。しかし、ウォークによってリブおよびリブガイドが互いに押し合う状態が長期間継続されると、特に、中間転写ベルトの端部の機械的強度が不足していた場合に、この状態に耐えられず破断してしまい、画像形成動作が続けられなくなるおそれがあるという問題点があった。
【0023】
一般に、ベルトが破断に至るような強い力は、装置本体の水平度の不良によるベルト装置の平面度の精度低下、装置本体の前後側板の部品積み上げや組み立て誤差によるねじれ、ベルト自体の軸方向両端での周長差などにより発生する。しかし、画像形成装置における画像担持体としての中間転写ベルト等は、さらに該中間転写ベルト等に特有の要因によって中間転写ベルト等が破断するおそれがある。
【0024】
中間転写ベルトが破断するという問題点の発生メカニズムについて説明する。新品の駆動ロールと新品中間転写ベルトとの組み合わせは摩擦係数が高く、駆動ロールと中間転写ベルトとのグリップ力が大きい。したがって、中間転写ベルトを張架している各ロールのアラインメント(軸の平行度)がわずかに所定値から外れている場合でも、ベルトはウォークを起こしやすい。したがって、初期から数十サイクルの周回という短時間のうちにベルトは片側に移動し、リブとリブガイドが強いグリップ力によって突き当たる。
【0025】
ベルトが駆動ロールにかかる位置、および駆動ロールを通過するときの位置において、リブの側面には次のような力が働く。図10は駆動ロール11にかかっている中間転写ベルト4の断面図であり、図11は駆動ロール11と中間転写ベルト4の接触部の断面図である。両図において、中間転写ベルト4の裏面両端部には駆動ロール11の側端面に当接して該中間転写ベルト4のウォークを防止するためのリブ41が設けられている。
【0026】
中間転写ベルト4がウォークして駆動ロール11の側面に当接した場合、該中間転写ベルト4が駆動ロール11とかかり始める部分R1では、リブ41の側面には力F1が作用する。つまり、中間転写ベルト4が浮き上がって駆動ロール11に乗り上げるような力が作用する。一旦、浮き上がった中間転写ベルト4は駆動ロール11を外れる位置R2で浮き上がりはなくなる。
【0027】
図12は、浮き上がりが生じた場合の中間転写ベルト4の断面図である。中間転写ベルト4は力F1によって浮き上がらされると同時に、リブ41の側面に強い押しつけ力が作用するため、盛り上がり部分RUが生じる。この盛り上がり部分RUは、前記部分R2では解消する。すなわち、中間転写ベルト4の側端部には、駆動ロール11の付近で、一方向への変形と、その反対方向への変形が交互に発生し、応力集中と応力解放が繰り返されている。
【0028】
前記リブ41を駆動ロール11の側面に押しつける力は、前記グリップ力が大きいほど、またアラインメントが低下するほど大きくなり、中間転写ベルト4を浮き上がらせやすくなる。前記リブ41が駆動ロール11の側面に強く押しつけられると、前記応力集中と応力解放が繰り返されるだけでなく、ロールの側面からベルトのリブを介してベルトを駆動する力が伝わり、ロール表面からベルトを駆動する本来の駆動速度と必ずしも一致せず、それが歪みとなって応力の蓄積と中間転写ベルト4と駆動ロール11とのきしみ音になる。
【0029】
前記盛り上がり部分RUで応力集中と応力解放が繰り返され、さらにベルト端部の歪みが蓄積により、そのまま運転を続けると疲労による局部的な亀裂CRが起こる。この局部的な亀裂CRはやがて中間転写ベルト4全体の破断に至る(図13参照)。また、中間転写ベルト4端部に存在していたノッチNからも、容易に中間転写ベルト4全体の破断に至る危険性がある(図14参照)。
【0030】
中間転写ベルトのウォークを防止するためには、中間転写べルトを張架する各ロール間の平行度をごく小さく保ったり、中間転写ベルトの周長差を高精度に加工して手前側と奥側の寸法差を小さくするなどの、部品精度や組み立て精度を厳しく維持する努力はもちろん必要である。
【0031】
しかし、中間転写ベルトやロール類の高精度化は、加工、組立、調整工程の複雑化を招き、量産性を考慮した場合には、目標達成は容易ではない。また、たとえ製作上の問題点が解消されたとしても、画像形成装置本体の設置面そのものの水平度が確保されていなかったりしていると、中間転写ベルトを張架する各ロール間の平行度は結局確保できなくなってしまうという問題点があった。
【0032】
部品精度や組み立て精度を厳しく管理することはもちろんであるが、それ以外にも、上記強い押し当て力を生じるウォークを起こすおそれがある他の要因、つまりグリップ力等の改善が必要であり、その達成が要請されている。
【0033】
本発明は、上述の問題点を解消し、ウォークによってリブとロールとが当接する力によって像担持体である無端ベルトが変形をして破壊するということがない画像形成装置を提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するために、本発明は、トナー像を保持して搬送するトナー像担持体としての無端ベルトと、該無端ベルトを張架搬送するための駆動ロールを含む複数のロールからなるベルト張架手段と、該無端ベルトの内周面両端部に沿って設けられ、前記駆動ロールの軸方向中央側の内側面と該軸方向端部側の外側面とを有するリブ部材と、前記駆動ロールの両端に前記無端ベルトの内周面と対向するように配設され、当該無端ベルトの内周面と対向する表面が前記駆動ロールの軸方向に沿って一定の径を成し、前記リブ部材のそれぞれの内側と接触して該リブ部材を案内するリブガイド部材とを備えた無端ベルトを用いた画像形成装置において、駆動ロールの軸端付近の前記リブガイド部材直径と駆動ロール外径に差を持たせるとともに、前記リブガイド部材を前記駆動ロールに対して独立的に回転できるようにした点に特徴がある。
【0035】
前記第1〜3の特徴によれば、前記リブガイド部材が前記ロールに対して独立的に回転できるようにされているので、ロールの側面からベルトのリブを介してベルトを駆動させる力が断ち切られ、ベルトがロール表面からのみ駆動されことになり、該ベルトに歪みが生じなくなる。このため、ベルトへの応力ストレスやきしみ音が発生しなくなる。また、駆動ロールの軸端の領域と無端ベルトとの間に間隙が生じ、駆動ロールの軸端でのグリップ力が低下する。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明を適用したカラー画像形成装置を詳細に説明する。ここでは、図9に関して説明した構成や動作等を援用し、適宜図9を参照しつつ説明する。
【0037】
図4はロール間に張架された中間転写ベルトにかかるテンションの状態を示す図である。中間転写ベルト4を駆動ロール11、アイドルロール12、テンションロール14、および2次転写バックアップロール13に張架してテンションロール14に張力を与えた場合、図4に示すテンションライン15が現れる。テンションライン15は中間転写ベルト4にかかる張力の不均一によって生ずる中間転写ベルト4上の「しわ」である。この「しわ」から、中間転写ベルト4の側端部付近では中央部に比べて大きい張力がかかっていることがわかる。この張力の違いにより、同図に示したように駆動ロール11上でのグリップ力Grが分布する。グリップ力Grは駆動ロール11の両端で極端に大きくなっている。
【0038】
図5は、使用期間の異なる駆動ロール11のグリップ力Grを示す図である。ここでは中間転写ベルト4の使用期間つまり使用周回数(kcs)が異なる4種類の駆動ロール11についてグリップ力Grの分布を測定している。この図から分かるように、前記グリップ力Grの不均等は駆動ロール11が新品に近いほど顕著である。使用期間が長くなると駆動ロール11の軸方向でのグリップ力Grの差は小さくなってくる。
【0039】
駆動ロールの両端部のグリップ力が低下するのは、ロール表面の汚れ具合が進行するためである。図6は駆動ロール11の使用期間毎の汚れ具合を示す図である。同図に示すように、駆動ロール11両端から汚れが進展している。この汚れは、主として中間転写ベルト4の裏面がこすりとられたものであり、その他の汚れの主なものは装置内に浮遊するトナーである。汚れは、ほぼ10キロ周回(kcs)で駆動ロール11の全長にいきわたって飽和する。
【0040】
このように、駆動ロール11が新品のときにはグリップ力が大きいため、中間ベルト4のウォークにより、中間転写ベルト4の側端部の繰り返し変形による損傷(図13,図14)が起きやすい。テンションロール14をゆるめてベルト張力を小さくすればグリップ力が落ちるので中間転写ベルト4の損傷は防止できるが、逆にグリップ力が小さすぎると、中間転写ベルト4上に重ねられる各色のトナーの色ずれが発生するという不具合がある。
【0041】
図7は、駆動ロール11の軸方向全域でのトータルグリップ力と色ずれとの関係を、ベルト張力をパラメータとして表した図である。ここで、トータルグリップ力とは、アイドルロール12と中間転写ベルト4とを固定しておき、その状態で駆動ロール4の軸にトルクメータを装着することによって測定した静止起動トルクをいう。ベルト張力を4kgfで使用する場合、画像形成装置全体の色ずれの許容値における中間転写ベルト4での負担分の許容値が、例えば、25μmであると、同図から、トータルグリップ力は6kgf以上でなければならないことがわかる。
【0042】
一方、上述のように、ベルト周回数が10kcs程度で駆動ロール11の汚れが飽和するため、少なくとも、ベルト周回数が10kcs程度以上の使用期間において、トータルグリップ力が6kgf以上になるように設定しなければならない。ベルト周回数が10kcs程度以上で大きいグリップ力を確保しようとすると、前記汚れが進んでいない初期使用状態においてトータルグリップ力は極めて大きくなり、ウォークによる中間転写ベルト4の変形を回避できない。中間ベルト4の破損は使用初期のグリップ力の大きい状態で発生している。
【0043】
そこで、本実施形態では、色ずれを少なくすることと、中間転写ベルト4の破損を防止することとを両立させるべく、次の対策をとった。すなわち、上述のように、駆動ロール11の軸方向端部でグリップ力Grが大きく、この現象は使用初期において特に顕著であることから、駆動ロール11の軸端付近では低摩擦化を施した。
【0044】
図8は、駆動ロール11および中間転写ベルト4の構成を示す要部断面図である。同図において、駆動ロール11は、ロール本体11aとその表面に被覆された高摩擦材料部分11bとからなる。この高摩擦材料部分11bは、クリーナ10や2次転写ロール6による負荷がかかったときにも中間転写ベルト4をスリップさせないために設けられている。前記ロール本体11aには、一例としてアルミニウムの管が使用され、高摩擦材料部分11bとしてはポリウレタンの被覆層(5〜50μm:好ましくは25μm)が使用される。
【0045】
駆動ロール11の軸端にはリブガイド17が設けられている。リブガイド17は表面が滑らかで、摺動性の良好な樹脂材料、例えばポリアセタールを使用するのが好ましい。また、リブガイド17はロール本体11bの側面とは固着されていないで分離されいているのがよい。なお、リブガイドはアイドルロール12およびテンションロール14にも同様に設けられている。
【0046】
中間転写ベルト4はポリイミド系樹脂で構成され、その厚みを50〜100μm、体積抵抗率が109 〜1012Ω・cm、表面抵抗率が1011〜1013Ω/□に調整された半導電性フィルムである。この中間転写ベルト4は、その厚み、体積抵抗率、表面抵抗率が上記の値の範囲に入っている半導電性樹脂材料であれば、アクリル系樹脂、塩化ビニール系樹脂、あるいはポリカーボネート系樹脂等に抵抗安定化材料を含有させたものを使用できる。
【0047】
中間転写べルト4の内側つまり画像担持面裏側の両端にはリブ41,41が設けられている。これらリブ41,41の内側つまり駆動ロール11の軸方向中央寄りの面が駆動ロール11の両端にそれぞれ設けられた前記リブガイド17の端部に外方から当接して中間転写ベルト4の、駆動ロール11の軸方向での動きを規制するように機能している。中間転写ベルト4の外側つまり画像担持面の両端には該中間転写ベルト4端部の強度を増大させるための補強部材としてのテープ18,18が接合されている。テープの材質の一例として厚さ50〜100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)を使用することができる。
【0048】
ここで、本発明の一実施形態を、図1を参照して説明する。図1は駆動ロール軸端部の拡大図である。この実施形態は、駆動ロール11の軸端付近では低摩擦化の一つとして、リブガイド17を駆動ロール11に対して独立的に回転可能に構成したものである。
【0049】
いま、リブガイド17が駆動ロール11と一緒に回動すると仮定すると、ベルトのリブ41はリブガイド17の側面と接触しているので、該リブ41は該リブガイド17の側面から駆動力を得ることになる。この時、リブ41が接触している箇所におけるリブガイド17の側面の回転速度は、駆動ロール11の周面の回転速度より小さいので、ベルト4の中央部と両端部とでは速度差が生じ、ベルト4に歪みが生じることになる。
【0050】
しかしながら、本実施形態では、リブガイド17は駆動ロール11に対して回転可能にされているので、ロールの側面からベルトのリブ41を介してベルト4を駆動させる力が断ち切られることになる。この結果、ベルト4は駆動ロールの周表面からのみ駆動されことになり、該ベルト4の端部に、速度差による歪みの蓄積が生ずるのを無くすことができる。このため、ベルト4に歪みが生じなくなり、ベルトへの応力ストレスが発生しなくなる。また、ベルトからきしみ音が発生しなくなり、ベルト4の端部における破損を防止または軽減できるようになる。
【0051】
また、前記テンションロール14にも、図1と同様に、その両側にリブガイドを設け、該リブガイドを回転可能にすると、前記駆動ロールの場合と同様の効果を得ることができる。なお、前記アイドルロール12、2次転写バックアップロール13にも、前記と同様のリブガイドを設けてもよい。
【0052】
このように、駆動ロール11と、少くともテンションロール14およびアイドルロール12の一方に、前記したリブガイドを設けた場合、該無端のベルト4を張架搬送するベルトユニット内で、これらのリブガイドは、各ロール11、14、および12の同一端側において、軸方向位置で、幅350mm当たり、0〜0.5mmの範囲内に位置するようにするのが好適である。
【0053】
次に、本発明の第2の実施形態を、図2を参照して説明する。この実施形態は、前記リブガイド17の直径を駆動ロール11の外径よりも大きくし、かつリブガイド17を駆動ロール11に対して独立的に回転可能に構成したものである。同図に示すように、リブガイド17の直径D1は駆動ロール11の直径D2よりもわずかに大きくし、かつリブガイド17は駆動ロール11に対して回転可能に構成されている。
【0054】
両者の直径に差を持たせることによって図示のように、駆動ロール11の軸端の領域bで中間転写ベルト4の裏面との間に間隙Gが生じる。つまりこの間隙Gが生じている領域b付近では駆動ロール11とベルト4との摩擦力がゼロないし低下するため、結果的に駆動ロール11の軸端でのグリップ力を低下させることができる。さらに、リブガイド17は駆動ロール11に対して回転可能であるので、ベルト4が駆動ロール11に駆動されて回動した時に、ロールの側面からベルトのリブ41を介してベルト4を駆動させる力がほぼ完全になくなる。このため、ベルト4は駆動ロールの周表面からのみ駆動されることになり、該ベルト4に歪みが生じなくなる。この結果、ベルト4の端部における破損を防止または軽減できるようになる。
【0055】
また、前記テンションロール14にも、図1と同様に、その両側に、該テンションロール14の直径よりわずかに大きな直径を有するリブガイドを設け、該リブガイドを回転可能にすると、前記駆動ロールの場合と同様の効果を得ることができる。なお、前記アイドルロール12、2次転写バックアップロール13にも、前記と同様のリブガイドを設けてもよい。
【0056】
また、前記第1実施形態と同様に、駆動ロール11と、少くともテンションロール14およびアイドルロール12の一方に、前記したリブガイドを設けた場合、該無端のベルト4を張架搬送するベルトユニット内で、これらのリブガイドは、各ロール11、14、および12の同一端側において、軸方向位置で、幅350mm当たり、0〜0.5mmの範囲内に位置するようにするのが好適である。また、前記リブガイド17の直径D1は、各ロール11、14、および12の直径D2より、0.3mm〜0.6mm程度大きくすると良いことが実験的に確かめられた。
【0057】
次に、本発明の第3の実施形態を、図3を参照して説明する。この実施形態は、図示されているように、前記リブガイド17の直径を大きくする代わりに、該リブガイド17および駆動ロール11端部の直径を小さくし、かつリブガイド17を駆動ロール11に対して独立的に回転可能に構成したものである。図3は、駆動ロール11端部、つまりリブ41の内側において中間転写ベルト4の裏面と対向する部分の直径D3を他の部分の直径D2よりもわずかに小さくして、その部分bで中間転写ベルト4の裏面との間に間隙を形成している。
【0058】
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。この実施形態は、リブガイド17の材料の選択、その表面の仕上げ等により、リブ41との摺動抵抗を低減して、換言すれば、リブガイド17のリブ41との摺動面の摩擦係数をリブ41の摩擦係数より小さくして、前記中間転写ベルト4が駆動ロール11に乗り上げる方向での力F1(図11参照)を小さくし、結果的に前記盛り上がり部分RUの高さを低減するようにしたものである。リブガイド17としては表面が滑らかで、摺動性の良好な樹脂材料、例えばポリアセタールを使用するのが好ましい。本実施形態を、前記第1、第2実施形態に適用すると、より良好な効果を得ることができるようになる。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、無端ベルト側端部で大きくなりがちなグリップ力を駆動ロールの軸方向で均一化することができるので、駆動ロール上においてウォークによるベルトの浮き上がり現象をなくすることができる。さらに、駆動ロールの軸端の領域と無端ベルトとの間に間隙が生じ、駆動ロールの軸端でのグリップ力が低下する。その結果、前記浮き上がりによるベルトの変形の繰り返しによる疲労によって、ベルトに亀裂等の破損が起こるのを大きく軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態における、駆動ロールと中間転写ベルトとの当接の態様を示す要部断面図である。
【図2】 本発明の第2の実施形態における、駆動ロールと中間転写ベルトとの当接の態様を示す要部断面図である。
【図3】 本発明の第3の実施形態における、駆動ロールと中間転写ベルトとの当接の態様を示す要部断面図である。
【図4】 中間転写ベルトにかかる張力およびグリップ力を示す図である。
【図5】 中間転写ベルトおよび駆動ロールのグリップ力を使用回数との関連で示す図である。
【図6】 汚れの付着した駆動ロールを示す図である。
【図7】 トータルグリップ力と色ずれ量との関係を示す図である。
【図8】 駆動ロールと中間転写ベルトとの当接の態様を示す要部断面図である。
【図9】 画像形成装置の構成を示す模式図である。
【図10】 駆動ロールと当接した状態の中間転写ベルトを示す要部断面図である。
【図11】 中間転写ベルトの端部の亀裂の一例を示す斜視図である。
【図12】 中間転写ベルトの端部盛り上がりの状態を示す図である。
【図13】 中間転写ベルトの端部の亀裂の一例を示す斜視図である。
【図14】 中間転写ベルトの端部の亀裂の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…感光体、 2…帯電ロール、 3…現像装置ユニット、 4…中間転写ベルト、 17…リブガイド、 18…補強テープ、 41…リブ。
Claims (4)
- トナー像を保持して搬送するトナー像担持体としての無端ベルトと、該無端ベルトを張架搬送するための駆動ロールを含む複数のロールからなるベルト張架手段と、該無端ベルトの内周面両端部に沿って設けられ、前記駆動ロールの軸方向中央側の内側面と該軸方向端部側の外側面とを有するリブ部材と、前記駆動ロールの両端に前記無端ベルトの内周面と対向するように配設され、当該無端ベルトの内周面と対向する表面が前記駆動ロールの軸方向に沿って一定の径を成し、前記リブ部材のそれぞれの内側と接触して該リブ部材を案内するリブガイド部材とを備えた無端ベルトを用いた画像形成装置において、
駆動ロールの軸端付近の前記リブガイド部材直径と駆動ロール外径に差を持たせるとともに、前記リブガイド部材を前記駆動ロールに対して独立的に回転できるようにしたことを特徴とする無端ベルトを用いた画像形成装置。 - 前記無端ベルトのトナー像担持面の両端に沿って補強部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の無端ベルトを用いた画像形成装置。
- 前記複数のロールはアイドルロール又はテンションロールを含み、該アイドルロール又はテンションロールの両端に前記リブ部材のそれぞれを案内するリブガイド部材が配設され、該リブガイド部材は該アイドルロール又はテンションロールに対して独立的に回転できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の無端ベルトを用いた画像形成装置。
- 前記リブガイド部材は、前記リブ部材よりも低摩擦係数の材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無端ベルトを用いた画像形成装置。
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