JP4219636B2 - 可とう管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可とう管に関し、より詳細には可とう管の湾曲特性の向上と耐久力の長寿化を図ることに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の金属製可とう管は、種々の構造のものがあり、その主たる物を図5〜図10を参照して説明する。
(従来例1)
可とう管1Aについて、左側面を示す図5(A)、正面断面を示す図5(B)、正面断面の部分拡大を示す図5(C)、金属板の断面を示す図5(D)、湾曲した状態の正面断面を示す図6(A)、コネクターと接続した姿態を示す図6(B)を参照して説明する。
可とう管1Aは、先ず、帯状の金属板22を、断面がS字状に重なり合い、その嵌合部に比較的太いクッション材(ゴムや木綿糸等)66を挿入することによって、隣接する帯状の金属板22に接近させて(L3=2mm、L4=4mm)、螺旋溝3の幅を狭くしてメタルチューブ5を形成する構造である。尚、金属板22の断面形状は、図5(D)に示すように、長さ(L)が同じ凸部と凹部のS字状である。
【0003】
そして、この可とう管1Aは、前記メタルチューブ5を樹脂押出成形機により、被覆部材(合成樹脂等)7に圧力をかけながら、前記メタルチューブ5の外周面を被覆することによって、被覆部材7はメタルチューブ5に形成の凹部5aに食い込むと共に、平坦な外周面7aに形成される。
そして、この可とう管1Aは、可動特性(湾曲した後に元の状態に戻らない状態)を有すると共に、端末にパッキン9を装着して、機器接続用のコネクター10に付設の袋ナット10aで締め付けると、被覆部材7の外周面7aが平坦であるので防水性を発揮する。
しかしながら、この可とう管1Aは、湾曲したとき、その曲率半径Rが大きく、且つ、単位長さ当たりの重量が重いという難点がある。
【0004】
(従来例2)
可とう管1Bについて、左側面を示す図7(A)、正面断面を示す図7(B)、正面断面の部分拡大を示す図7(C)、湾曲した状態の正面断面を示す図8(A)、コネクターと接続した姿態を示す図8(B)を参照して説明する。
この可とう管1Bは、前記可とう管1Aにおけるクッション材66を挿入せず(S字状の金属板22を接合)、できるだけ螺旋溝3の幅を広くしてメタルチューブ5を作成する。そして、樹脂押出成形機により、メタルチューブ5の内部から真空引きしながら、被覆部材7をメタルチューブ5の外周面に薄く、メタルチューブ5に形成の凹部5aに突部7dを形成する一方、外周面7aに大きな窪みの凹部7bを形成するように被覆する。
【0005】
この可とう管1Bは、S字状の金属板22が相互に接触しているので、可動状態で使用すると、その部分が摩耗する欠点を有しているし、このS字状の金属板22による接合のため、メタルチューブ5の内部を一定の負圧に維持することが困難であるので、強負圧で製作することになる。その結果、均一な被覆部材7による凹部7bの形成が困難となり、メタルチューブ5に形成の凹部5aに深く被覆部材7が食い込む突部7dが形成され、湾曲特性が著しく悪くなり、可とう管1Bが破損しやすいという問題がある。
又、この可とう管1Bの端末にパッキン9を装着して、機器接続用のコネクター10に付設の袋ナット10aで締め付けても、被覆部材7の外周面7aに形成の大きな凹部7bによって、隙間が生じて十分な防水性を発揮できない。
【0006】
(従来例3)
可とう管1Cについて、左側面を示す図9(A)、正面断面を示す図9(B)、正面断面の部分拡大を示す図9(C)、湾曲した状態の正面断面を示す図10を参照して説明する。
可とう管1Cは、前記可とう管1Bと同じ構造であるが、メタルチューブ5の外周面に凹凸を形成せず被覆部材7で覆う構造である。
この可とう管1Cは、メタルチューブ5を引っ張ると、被覆部材7と分離して抜ける欠点がある。又、この可とう管1Cを湾曲させると、内側の被覆部材7に不規則な皺7cが生じ、可動特性がよくないので、可動する場所には使用できない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、可とう管1Aは、湾曲したときの曲率半径が大きく、且つ、単位長さ当たりの重量が重いという難点がある。
可とう管1Bは、S字状の金属板22が相互に接触して摩耗する欠点を有しているし、可とう管1Cは、メタルチューブを引っ張ると、被覆部材7と分離して抜ける欠点がある。
そこで、本発明は、湾曲特性の向上と耐久性の向上を図ることができる可とう管を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の可とう管は、凹部(2a)と凸部(2b)で断面S字状に構成の金属板で構成してあり、前記S字状の金属板の凸部(2b)の長さを凹部(2a)の長さの0.9倍以下である。
又、この可とう管は、前記凸部(2b)と凹部(2a)を有する同じ形状のS字状の前金属板(2A)と後金属板(2B)を順次、噛合せてメタルチューブ(5)を形成するに当たって、前金属板(2A)の凹部(2a)の外側(2c)と後金属板(2B)の凸部(2b)の内側(2d)とを接触させて、前記前金属板(2A)の凹部(2a)と後金属板(2B)の凸部(2b)との間に空間(11)を形成する。また、後金属板(2B)の凸部(2b)の右外側(2x)と前金属板(2A)の凸部(2b)の左外側(2y)との間に凹部(5a)を形成する。
そして、前記メタルチューブ(5)の外周面を被覆部材で覆って前記凹部(5a)内を樹脂で内装する。
又、請求項2の可とう管は、空間(11)にクッション材(6)を挿入することによって金属同士の接触を無くすことができる。
又、請求項3の可とう管に使用するクッション材(6)は、凸部(6a)と凹部(6b)を交互に形成の不均一の太さの紐である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。尚、従来と同じ作用をなす部品は同じ符号を附す。
図1(A)は、可とう管1の斜視図、(B)は正面断面、(C)はS字状の金属板2の断面図、(D)は樹脂押出成形機によってメタルチューブ5の外周面に合成樹脂等の被覆部材7で覆って製作する概念図である。
【0010】
可とう管1は、良く知られた方法で、先ず、例えば、亜鉛メッキ帯状の金属板2を断面が、凹部2aと凸部2bで構成の略S字状に形成する。尚、凹部2aと凸部2bにおける長さ(L1、L2)は非対称で、凸部2bの長さ(L2)は0.9×凹部2aの長さ(L1)以下に形成する。
そして、この前金属板2Aの凹部2aの左外側2cと、後金属板2Bの凸部2bの内側2dとを接触させて、且つ、凸部2bの内側2eと凹部2aの内側2fとで空間11を形成しながら噛合せ、螺旋状に捲いて、後金属板(2B)の凸部(2b)の右外側(2x)と前金属板(2A)の凸部(2b)の左外側(2y)との間に凹部(5a)を形成すると共に、内周部に螺旋溝3を形成するメタルチューブ5が形成される(図1(B)、(C))。
即ち、メタルチューブ5は、S字状の金属板2を凹部2aと凸部2bの長さを異にする非対称とし、凸部2bの長さ(L2)は0.9×凹部2aの長さ(L1)以下のものを使用することによって、外周面に凹部5aが形成される。
【0011】
尚、可とう管1は、凸部2bの内側2eと凹部2aの内側2fとで空間11を維持した状態で形成してもよいが、その空間11にクッション材6を挿入して形成してもよい。
このクッション材6の専有断面積は、湾曲しても問題を生じさせない、前記空間11の断面積の1/2以下が望ましいが、全面であってもよい。尚、クッション材6は金属同士の接触を無くし、接触応力を分散させることができる。
また、クッション材6は、前記空間11の形状に合わせた断面丸状や角状の均一な太さの紐であってもよいが、ここでは図2(B)に示すように、凸部6aと凹部6bを交互に形成の合成樹脂やゴム等で製作の紐状が望ましく、その断面形状は、円形の他、楕円形や多角形状等であり、前記クッション材6に形成の凸部6aと凹部6bの口径(断面の大きさ)、凸部6aと凹部6bの長さ等は、使用する可とう管1の口径やメタルチューブ5を作成する長さL1、L2、可とう管1を湾曲するときの曲率半径R等を考慮して選定する。
【0012】
又、前記クッション材6に凸部6aと凹部6bを設けるのは、例えば、可とう管1を湾曲させると、凸部6aの圧縮が凹部6bに及んで、圧縮変形を分散させることができて、可とう管1の破損防止となる。
【0013】
次に、図1(D)に示すように、樹脂押出成形機によって、前記メタルチューブ5の外周面を合成樹脂等の被覆部材7で覆うが、この樹脂押出成形機の前に、メタルチューブ5の金属板2のピッチを詰める装置(図示略)が設置されている。
そこで、金属板2のピッチを詰めながら、メタルチューブ5内を真空ポンプ(図示略)を介して、適宜の負圧状態を維持しながらダイ17から抜き出す一方、図示略の樹脂溶融部で溶解された樹脂は、導管16を介してメタルチューブ5の外周に噴出し、被覆部材7はメタルチューブの凹部5aに充填され、金属板2のピッチが均等な状態で被覆される。
【0014】
以上のように、可とう管1は、空間11を有するチューブであるので、この可とう管1を図3に示すように、湾曲させると、その空間11によって、S字状の金属板2は浮遊状態になって柔軟に曲折でき、その曲率半径を小さくできるし、無理な応力の発生を抑制できるので、長期に渡って、曲折可能な可とう管1である。
尚、前記空間11の断面積の1/2以下を占めるクッション材6を挿入して形成の可とう管1であっても、曲折したときのS字状の金属板2は浮遊状態になり、曲率半径Rを小さくして曲折できる。
又、使用用途によっては、空間11の断面積にほぼ等しい断面形状のクッション材6を挿入して形成の可とう管1であってもよい。
【0015】
次に、前記可とう管1は、図1(D)の樹脂押出成形機によって、前記メタルチューブ5の外周面を合成樹脂等の被覆部材7で覆う際に、斜視図の図4(A)に示すように、メタルチューブ5の外面に接触して、帯状の導電体40a、或いは斜視図を示す図4(B)に示すように編み目状の導電体40b、更には、断面図の図4(C)に示すように導電線40cを巻きながら作成する。
この可とう管1は、導電性を有するものであり、メタルチューブ5と密着(接触)させることにより、メタルチューブ5の導電性がよくなりアースの役割を果たす。
【0016】
【発明の効果】
請求項1の可とう管は、S字状の金属板の凸部の長さ(L2)を凹部の長さ(L1)の0.9倍以下のものを使用し、前金属板(2A)の凹部(2a)の外側(2c)と後金属板(2B)の凸部(2b)の内側(2d)とを接触させ、且つ、凸部(2b)の内側(2e)と凹部(2a)の内側(2f)との間に空間(11)を形成しながら金属板を順次、噛合せて形成するため、柔軟に曲折することができて長寿化を図ることができる。
又、請求項2、3の可とう管は、空間(11)にクッション材(6)を挿入して、金属同士の接触を無くし、接触応力を分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は可とう管の斜視図、(B)は正面断面、(C)はS字状の金属板の断面図、(D)は樹脂押出成形機によってメタルチューブの外周面に合成樹脂等の被覆部材で覆って製作する概念図である。
【図2】(A)は可とう管のメタルチューブの嵌合部にクッション材を挿入した状態を示す斜視図、(B)はクッション材を示す図である。
【図3】可とう管の湾曲した状態の正面断面図である。
【図4】(A)はメタルチューブの外面に帯状の導電体を巻いた可とう管の斜視図、(B)は編み目状の導電体で覆う可とう管の斜視図、(C)は導電線で覆う可とう管の断面図である。
【図5】従来の可とう管1Aにおける、(A)は左側面図、(B)は正面断面図、(C)は正面断面の部分拡大図、(D)は金属板の断面図である。
【図6】(A)は可とう管1Aの湾曲した状態の正面断面図、(B)は可とう管1Aをコネクターに接続した姿態を示す図である。
【図7】従来の可とう管1Bにおける、(A)は左側面図、(B)は正面断面図、(C)は正面断面の部分拡大図である。
【図8】(A)は可とう管1Bを湾曲した状態の正面断面図、(B)は可とう管1Bをコネクターに接続した姿態を示す図である。
【図9】従来の可とう管1Cにおける、(A)は左側面図、(B)は正面断面図、(C)は正面断面の部分拡大図である。
【図10】可とう管1Cを湾曲した状態の正面断面を示す図である。
【符号の説明】
1 可とう管
2 金属板
2a 凹部
2b 凸部
3 螺旋溝
5 メタルチューブ
5a メタルチューブの凹部
6 クッション材
6a 凸部
6b 凹部
7 被覆部材
7a 外周面
22 金属板
Claims (3)
- 凹部(2a)と凸部(2b)で断面S字状に構成の金属板であり、
前記S字状の金属板の凸部(2b)の長さ(L2)を凹部(2a)の長さ(L1)の0.9倍以下であり、
前記凸部(2b)と凹部(2a)を有する同じ形状のS字状の前金属板(2A)と後金属板(2B)を順次、噛合せてメタルチューブ(5)を形成するに当たって、前金属板(2A)の凹部(2a)の外側(2c)と後金属板(2B)の凸部(2b)の内側(2d)とを接触させて前記前金属板(2A)の凹部(2a)と後金属板(2B)の凸部(2b)との間に空間(11)を形成し、且つ、後金属板(2B)の凸部(2b)の右外側(2x)と前金属板(2A)の凸部(2b)の左外側(2y)との間に凹部(5a)を形成し、
前記メタルチューブ(5)の外周面を被覆部材で覆って前記凹部(5a)内を樹脂で内装することを特徴とする可とう管。 - 空間(11)にクッション材(6)を挿入することを特徴とする請求項1の可とう管。
- クッション材(6)は凸部(6a)と凹部(6b)を交互に形成の不均一の太さの紐であることを特徴とする請求項2の可とう管。
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