JP4219598B2 - 摩擦圧接方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦圧接で被接合部材を接合する摩擦圧接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
被接合部材を接合する接合装置として、摩擦圧接装置が知られている。摩擦圧接装置は、例えば、第2の被接合部材を固定し、第1の被接合部材を回転させた状態で第2の被接合部材側に押圧することによって、第1の被接合部材と第2の被接合部材を摩擦熱で接合するものである。
第1の被接合部材を第2の被接合部材に押圧する工程には、摩擦発熱工程とアップセット加圧工程がある。摩擦発熱工程では、第1の被接合部材を回転させた状態で、一定の圧力(摩擦圧)と所定の送り速度により第1の被接合部材を第2の被接合部材側に摩擦寄り代分だけ押圧される。第1の被接合部材と第2の被接合部材の接触部には摩擦熱が発生し、第1の被接合部材と第2の被接合部材が摩擦圧接される。
摩擦発熱工程からアップセット加圧工程に移行するタイミングは、第1の被接合部材が第2の被接合部材に押圧を開始してから摩擦寄り代分まで押圧する時間や、寄り代とする押圧量を予め設定し、このような設定値に基いて制御される。その上さらに、第1の被接合部材と第2の被接合部材の接触部から火花の飛散開始が目視によって確認されたら、摩擦発熱工程の次工程となるアップセット加圧工程がすぐに実施される。
すなわち、第1の被接合部材と第2の被接合部材の接触部から火花が飛散し始める頃には、第1の被接合部材と第2の被接合部材の接触部の相状態が接合可能な溶融状態になってきており、この状態でアップセット加圧工程を実施する。
アップセット加圧工程では、第1の被接合部材と第2の被接合部材を摩擦圧接された状態で、第1の被接合部材の回転を急停止させ、摩擦圧より大きい圧力(アップセット圧)が所定時間の間印加される。すると、第1の被接合部材と第2の被接合部材とのアップセット寄り代分が押圧され、第1の被接合部材と第2の被接合部材は、第1の被接合部材と第2の被接合部材の接触部で接合される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の摩擦圧接機では、第1の被接合部材と第2の被接合部材を接合する場合、被接合部材の材質によっては、第1の被接合部材と第2の被接合部材との接合状態が十分でない場合がある。接合状態が十分でないと、強度が低下する。例えば、FC材(ねずみ鋳鉄品)、FCD材(球状黒鉛鋳鉄品)等の鋳鉄品で形成された被接合部材を接合する場合である。このような場合には、摩擦発熱工程で第1の被接合部材と第2の被接合部材の接触部から火花の飛散が開始されていても、第1の被接合部材と第2の被接合部材の接触部が、十分に接合できるための溶融状態(均一な液相状態)になっていないことがある。
鋼材等で形成された被接合部材を摩擦圧接する場合、摩擦発熱工程において所定の送り速度で第1の被接合部材を第2の被接合部材に摩擦圧接すれば、押圧時の第2の被接合部材に対する第1の被接合部材の実質的な速度(寄り速度)は安定した状態で変化する。すなわち、第1の被接合部材と第2の被接合部材の接触部全体が、摩擦熱によって固相状態から接合可能な溶融状態に満遍無く変化しているためである。
しかしながら、鋳鉄品で形成された被接合部材を摩擦圧接する場合、第1の被接合部材と第2の被接合部材の接触部において、摩擦熱の発生効率が良い部分と悪い部分とが生じ易くなる。この結果、第1の被接合部材と第2の被接合部材の接触部は、固相に近い溶融状態の部分と、液相に近い溶融状態の部分とが共存した相状態になる。この状態で、第1の押圧被接合部材を第2の被接合部材に向けて摩擦圧接すると、第2の被接合部材に対する第1の被接合部材の寄り速度は、変動した状態で変化する。
したがって、アップセット加圧工程に移行する直前で、液相に近い溶融状態の部分から火花が飛散しても、第1の被接合部材と第2の被接合部材の接触部全体は、均一な液相状態が形成されていない。故に、この状態でアップセット加圧工程を実施しても、第1の被接合部材と第2の被接合部材との接合状態は不十分となり、第1と第2の被接合部材の摩擦圧接効率は低下する。
本発明は、このような問題点を解決するために創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、摩擦圧接時で変化する被接合部材の物理量を計測し、摩擦発熱工程で被接合部材の接合部が十分に接合可能な溶融状態に形成されていることを判別してからアップセット加圧を行うことにより、被接合部材の摩擦圧接効率を向上させることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するための本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの摩擦圧接方法である。
請求項1に記載の摩擦圧接方法では、第1の被接合部材と第2の被接合部材を摩擦圧接させる摩擦圧接方法であって、
第1及び第2の被接合部材の一方を回転させた状態で、前記両被接合部材の接合部を均一な液相状態とする摩擦発熱工程として他方の被接合部材に前記両被接合部材の接合部に摩擦発熱を生じさせることのできる摩擦圧力P1で圧接させる第1のステップと、
第1のステップを実行する間、圧接時の第1の被接合部材と第2の被接合部材との寄り速度の計測を所定の時間毎に連続で行い、
任意の時における寄り速度の計測を基本計測とし、基本計測以降、基本計測を含む連続する予め設定した設定回数n(nは自然数で、n≧2)回の計測において、
該設定回数n回すべての計測において、寄り速度の計測値Vnが、その直前で計測された寄り速度の計測値Vn−1以上(|Vn|≧|Vn−1|)になっていることを満たす場合、n回目の計測を行った時を基準時として、基準時から予め設定した蓄熱時間Tを計測する第2のステップと、
基準時より蓄熱時間Tを経て、第1及び第2の被接合部材の一方の回転を急停止させ、アップセット加圧工程として前記摩擦圧力P1より大きいアップセット圧力P2で他方の被接合部材に圧接させる第3のステップと、からなる。
摩擦圧接では、第1及び第2の被接合部材の接合部の相状態が液相状態により近づく程、押圧時の被接合部材の相対速度(寄り速度)は大きくなる傾向になる。これにより、n回分すべての計測に対して、寄り速度の計測値Vnが、その直前で計測された寄り速度の計測値Vn−1以上になっていることを満たしていれば、第1のステップにおいて第1及び第2の被接合部材の接合部は、液相状態に向けて変化していることになる。
したがって、第1及び第2の被接合部材の一方を回転させ、他方の被接合部材に圧接させる時に発生する摩擦熱を時間Tの間、第1及び第2の被接合部材の接合部全体に蓄熱させる。すると、第1及び第2の被接合部材の接合部は、蓄熱された摩擦熱によってさらに均一な液相状態になる温度まで昇温される。このため、第1及び第2の被接合部材の接合部は、例えば、鋳鉄品で形成された被接合部材を接合する場合、接合部の界面付近に球状または片状の黒鉛を形成しない状態になり、すなわち均一な液相状態になる。
以上により、第1及び第2の被接合部材の接合部が、均一な液相状態に生成されてからアップセット加圧を行えば、第1及び第2の被接合部材の接合に対する摩擦圧接効率は高くなる。
以下では、「寄り速度」の概念は、第1及び第2の被接合部材の一方を回転させた状態で、寄り代分に対して他方の被接合部材に圧接させる時、他方の被接合部材に対する第1及び第2の被接合部材の一方が移動する時の速度をいう。
【0005】
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの摩擦圧接方法である。
請求項2に記載の摩擦圧接方法では、第1の被接合部材と第2の被接合部材を摩擦圧接させる摩擦圧接方法であって、
第1及び第2の被接合部材の一方を回転させた状態で、前記両被接合部材の接合部を均一な液相状態とする摩擦発熱工程として他方の被接合部材に前記両被接合部材の接合部に摩擦発熱を生じさせることのできる摩擦圧力P1で圧接させる第1のステップと、
あらかじめ寄り速度の計測に対して設定値を設け、第1のステップを実行する間、圧接時における第1の被接合部材と第2の被接合部材との寄り速度を少なくとも1回計測し、
この寄り速度の計測値が、寄り速度の設定値以上に、予め設定した設定回数n回連続した状態に達した計測時の時を基準時として、基準時から予め設定した蓄熱時間Tを計測する第2のステップと、
基準時より蓄熱時間Tを経て、第1及び第2の被接合部材の一方の回転を急停止させ、アップセット加圧工程として前記摩擦圧力P1より大きいアップセット圧力P2で他方の被接合部材に圧接させる第3のステップと、からなる。
摩擦圧接によって被接合部材の寄り速度が設定値に到達する時、摩擦圧接時における第1及び第2の被接合部材の接合部は、ほぼ液相状態になっている。寄り速度が設定値に到達してから時間Tが経過する間、第1及び第2の被接合部材の一方を回転させた状態で、他方の被接合部材に圧接させる時に発生する摩擦熱を、第1及び第2の被接合部材の接合部全体に蓄熱させる。すると、第1及び第2の被接合部材の接合部は、蓄熱された摩擦熱によってさらに均一な液相状態を生成する温度まで昇温される。このため、第1及び第2の被接合部材の接合部は、例えば、鋳鉄品で形成された被接合部材を接合する場合、接合部の界面付近に球状または片状の黒鉛を形成しない状態になり、すなわち均一な液相状態になる。
したがって、第1及び第2の被接合部材の接合部が、均一な液相状態に生成されてからアップセット加圧を行えば、第1及び第2の被接合部材の接合に対する摩擦圧接効率は高くなる。
【0006】
また、本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの摩擦圧接方法である。
請求項3に記載の摩擦圧接方法では、第2のステップで第1の被接合部材と第2の被接合部材との寄り速度の計測を、所定の時間毎に連続で行い、
寄り速度の計測値が、はじめて設定値以上になった時の計測を基本計測とし、
基本計測以降、基本計測を含む連続する予め設定した設定回数n(nは自然数で、n≧2)回分の計測に対して、寄り速度の計測値が、すべて設定値以上になっていることを満たす場合、n回目の計測を行った時を基準時として、基準時から予め設定した蓄熱時間Tを計測する。
寄り速度の計測で設ける設定値は、第1及び第2の被接合部材の接合部がほぼ液相状態になる時に相当する寄り速度の数値を設定する。つまり、寄り速度の計測値が設定値以上になっていれば、第1及び第2の被接合部材の接合部は、ほぼ液相状態に近い相状態まで変化していることになる。
したがって、寄り速度の計測値がn回連続して設定値以上になっていれば、基準時における第1及び第2の被接合部材の接合部の相状態がほぼ液相状態に近い相状態まで形成されている可能性が、かなり高くなる。
その後、基準時から所定の時間Tの間、第1及び第2の被接合部材の一方を回転させた状態で、他方の被接合部材に圧接させる時に発生する摩擦熱を、第1及び第2の被接合部材の接合部全体に蓄熱させる。この結果、第1及び第2の被接合部材の接合部は、蓄熱された摩擦熱によって均一な液相状態になる温度まで昇温される。このため、第1及び第2の被接合部材の接合部は、均一な液相状態になる。
以上により、第1及び第2の被接合部材の接合部が均一な液相状態になった状態で、アップセット加圧を行うことができ、第1及び第2の被接合部材の接合に対する摩擦圧接効率は高くなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の第1の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の摩擦圧接装置1の概略図を示す。本実施の形態では、第1の被接合部材31を回転させた状態で、第2の被接合部材32に圧接させることによって、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32を摩擦圧接させる場合について説明する。
以下では、摩擦圧接装置1において、図1に示す右側方向を「前進方向」とし、左側方向を「後退方向」とする。
【0010】
摩擦圧接装置1は、ベッド2の上にスライドベース3を有する。スライドベース3は、図1に示すように、略L字型の形状に形成され、シリンダ12の取付け面3aを備えている。主軸台5は、スライドベース3の摺動面3bに積置され、前進及び後退の両方向に摺動しながら移動可能となっている。主軸台5には、本発明の検出箇所に相当する検出用係合部材4が設けられている。また、主軸台5には、主軸6が軸受(図示省略)を介して回転可能に取付けられている。主軸6には、モータ8の駆動力が、モータ8の出力軸に連結された出力プーリ9、ベルト10、主軸6に連結された入力プーリ11を介して伝達される。
図1に示すように、主軸6の一方側の端部(図1の右側端部)には、第1の被接合部材31を把持するチャック7が、主軸6の回転と共に回転可能に取付けられている。チャック7は、第1の被接合部材31を把持した時、後退方向に第1の被接合部材31が動かないようにストッパ機能を備えている。チャック7では、第1の被接合部材31が自在に着脱できるようになっている。なお、チャック7が、本発明の保持手段に対応する。
【0011】
ベッド2には、検出器21が設置されている。検出器21は、検出器用コントローラ22共に用いられる。なお、検出器21が、本発明の検出手段に対応に対応し、検出器用コントローラ22は本発明の制御手段に対応にする。検出器21は、ベッド2に対するスライドベース3の相対位置を検出する。検出器21は、スケール部23、検出部24で構成されたアナログ信号対応の磁気式反応計測器である。なお、検出器21は、磁気式反応計測器以外のアナログ信号対応の計測器を用いても良い。
検出部24は、スライドベース3の移動方向と同じ方向にスケール部23が配設できるように、ベッド2の任意の場所に設置されている。スケール部23の一端部は、検出用係合部材4と任意の取付け方法で係合されている。スケール部23の他端部は、検出部24内に収納されており、検出部24内から抜け出さない範囲で自在に移動できるようになっている。検出部24に内蔵されている検出センサ(図示省略)は、計測時にスライドベース3が位置する箇所に対応したスケール部23の目盛りを読む。これにより、検出器用コントローラ22は、検出センサの出力信号に基づいて、計測の基準位置からの相対変位量を検出する。
制御手段26は、検出部24がスケール部23の目盛りから検出した相対位置と、スライドベース3の移動時間に基いて、ベッド2に対するスライドベース3の相対速度を求める。スライドベース3の移動時間は、スライドベース3が計測の基準位置から計測時に検出されたスライドベース3の相対位置までの距離を移動するのに要した時間である。なお、計測の基準位置は、スライドベース3がスライドベース3上の所定場所に位置する場合に対応したスケール部23の目盛り基準となる位置、いわゆる相対原点をいう。
【0012】
また、スライドベース3の取付け面3aには、主軸台5を移動させるための駆動源となるシリンダ12が固定されている。シリンダ12は、シリンダロッド13の駆動を制御する駆動手段14と接続されている。シリンダ12には、圧力検出手段15が設置されている。駆動手段14には、例えば、油圧手段等が用いられ、圧力検出手段15として圧力スイッチ等が用いられる。
シリンダロッド13は、取付け面3aに設けられた穴部(図示省略)を挿通して主軸6に連結されている。これにより、シリンダロッド13がストローク方向(図1の左右方向)に延伸すると、主軸台5は前進方向に移動し、シリンダロッド13が縮むと、主軸台5は後退方向に移動することができる。
したがって、チャック7で把持されている第1の被接合部材31を、クランプ18で固定保持されている第2の被接合部材32に押圧する場合には、シリンダロッド13を延伸させ、前進方向に主軸台5を移動させる。
【0013】
一方、ベッド2の上面には、クランプ18が積置されている。クランプ18は、第2の被接合部材32を固定保持する。クランプ18では、第2の被接合部材32が自在に着脱できるようになっている。なお、クランプ18は、第2の被接合部材32の形状や大きさに対応させてベッド上の任意で固定できるように配設しても良く、ベッド2上におけるクランプ18の積置方法は、適宜変更可能である。
また、ベッド2の上面には、ストッパ17を配設した支持台16が積置されている。支持台16は、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32を押圧する時、第1と第2の被接合部材31、32が前進方向に動かないように、第2の被接合部材32の一端をストッパ17に当接させて支える。
【0014】
摩擦圧接装置1には、制御手段26が設けられている。制御手段26は、検出器用コントローラ22、A/D変換器25、シーケンサ20、本体制御部等で構成されている。検出器21は、検出器用コントローラ22に接続され、検出器用コントローラ22によって制御される。検出器用コントローラ22とシーケンサ20の間には、A/D変換器25が接続されている。シーケンサ20は、周知のとおり、デジタル信号に基いて制御を行う装置である。このため、A/D変換器25は、アナログ信号対応の検出器用コントローラ22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する必要があるために設けられる。
なお、アナログ信号対応の検出器21や検出器用コントローラ22を用いる代りに、デジタル信号対応の計測装置を用いる場合には、A/D変換器25の接続は不要となる。
シーケンサ20は、駆動手段14、圧力検出手段15と接続されている。また、シーケンサ20は、モータ8等の他、摩擦圧接装置1の各部と接続され(図示省略)、各部の動作を制御する。
また、摩擦圧接装置1は、表示手段19を有する。表示手段19は、シーケンサ20に接続されている。表示手段19は、ベッド2に対するスライドベース3の相対速度を表示するようになっている。
【0015】
次に、上記のように構成された摩擦圧接装置1を用いて、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32を摩擦圧接させる方法を、図2に示すフローチャート図を用いて概略的に説明する。
ここでは、摩擦圧接させる第1の被接合部材31と第2の被接合部材32として、図3に示すようなパイプ形状に形成された部材を用い、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32の両端面31a、32aを摩擦圧接させる場合について説明する。図3は、図1の二点鎖線内の第1の被接合部材31と第2の被接合部材32を示す拡大図であり、摩擦圧接前の状態を示す図である。図4は、第2の被接合部材32に第1の被接合部材31が摩擦圧接後された状態を示す図である。
【0016】
いま、主軸台5が、待機位置に位置しているものとする。本実施の形態では、待機位置は、主軸台5がスライドベース3の摺動面3bにおいて後退端側(後退方向の端側)に位置する場合をいう。
まず、ステップS1で、第1と第2の被接合部材31、32を取り付ける。第1の被接合部材31をチャック7で把持して、第2の被接合部材32をクランプ18により固定保持する(図1の状態)。
次に、ステップS2で、主軸台5を前進させる。駆動手段14を制御して、主軸台5を前進方向(図1の右方向)に移動させる。
次に、ステップS3で、主軸6を回転させる。モータ8を回転させて、主軸6を所定回転数N(rpm)で回転させる。これにより、第1の被接合部材31は、チャック7で把持された状態で回転する。
【0017】
次に、ステップS4で、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32を接触させる。駆動手段14を制御して、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32の押圧力を所定値P11(予熱圧力)に設定する。これにより、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32は、当接状態になる。
次に、ステップS5で、摩擦発熱させる。主軸6を所定回転数N(rpm)で回転させた状態で、駆動手段14を制御して、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32の押圧力を所定値P11からP12(摩擦圧力)に上げる。そして、圧力P12の状態で主軸6を回転し続ける。これにより、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32の両端面31a、32aが摩擦圧接される。
次に、ステップS6では、モータ8の回転を停止させ、主軸6の回転を停止する。
次に、ステップS7では、モータ8の回転の停止に合わせて、均一な液相状態(溶融状態)にある第1の被接合部材31と第2の被接合部材32の両端面31a、32aに対し、押圧力をP12からP13に上げ、所定時間の間圧力P13(アップセット圧力)を印加する。
次に、ステップS8で、第2の被接合部材32をクランプ18から取り外し、駆動手段14を制御して主軸台5を待機位置まで後退(図1の左方向)させる。次に、ステップS9で、第2の被接合部材32が摩擦圧接された第1の被接合部材(図4に示す状態)31をチャック7から取り出して、摩擦圧接加工は完了する。
なお、アップセット加圧工程において、第1及び第2の被接合部材31、32の接合部33は、図4に示すように、第1及び第2の被接合部材31、32の外周面より外側にもはみ出すが、はみ出した分の接合部33は、冷却後にバリとして削除される。
このため、摩擦圧接前の第1及び第2の被接合部材31、32の両端面31a、32aに相当する部分、すなわち第1と第2の被接合部材31、32の界面で第1と第2の被接合部材31、32が、十分な強度で接合されていれば良い。
一方、アップセット加圧工程で第1及び第2の被接合部材31、32の接合部33が、前後方向に大きく形成されていると、冷却後、第1と第2の被接合部材31、32による界面に溶融部が残留する恐れが出てくる。溶融部が残留すると、第1と第2の被接合部材31、32の界面に、例えばマルテンサイト系やセメンタイト系等の炭化鉄が形成され、摩擦圧接効率は低下する。このため、第1と第2の被接合部材31、32の接合強度や接合後の形状(例えば、接合後の寸法等)は、安定しなくなる。
したがって、第1の被接合部材と第2の被接合部材を摩擦圧接する時、両部材の接合箇所に形成される溶融部が、押圧方向に対して所定範囲を越えないような状態で、摩擦圧接することが好ましい。
【0018】
次に、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32を摩擦圧接しながら寄り速度を計測する方法を、前述した図2のフローチャート図に対応させながら、図5に示すフローチャート図と図6に示す寄り速度の計測データを用いて詳述する。
なお、本実施の形態では、図5のフローチャート図に用いる記号、パラメータは、次のように定義するものとする。
V[t]:時間tにおける寄り速度の計測値
tm:寄り速度の計測開始以降、m回目に寄り速度を計測した時間(m≧2)
k:V[t]≧V[t−1]を連続して成立させる設定回数(k≧2)
(t−1):時間tの直前で寄り速度を計測した時間
(t+1):時間tの直後で寄り速度を計測する時間
n:V[t]≧V[t−1]が成立した計測処理を連続して実行した回数(2≦n
≦k)
Th:基準時間から計測開始される蓄熱時間
図6は、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32の摩擦圧接時における寄り速度を、0.1sec毎に計測した計測データを示す図である。なお、図6の横軸では時間軸を示すが、摩擦発熱工程からアップセット加圧工程に移行する時を時間t=0としてプロットされている。したがって、寄り速度の計測を行う時の時間表記は、摩擦発熱工程でマイナス符号が付与され、アップセット加圧工程ではプラス符号が省略されている。
また、「寄り速度」の概念は、送りを行う側の一方の被接合部材を回転させた状態で、一方の被接合部材を他方の被接合部材に圧接させる時、一方の被接合部材が移動する時の他方の被接合部材に対する速度をいう。
【0019】
あらかじめ、設定回数kと蓄熱時間Thの設定値を入力しておく。
いま、主軸台5を前進させ、第1の被接合部材31が第2の被接合部材32に接触する直前の状態にあるものとする(ステップS2の状態)。
最初に、ステップS11で、主軸台5を前進させている時、第1の被接合部材31が第2の被接合部材32に接触(ステップS3及びステップS4)した時に生じるシリンダ12内の圧力変動を圧力検出手段15が検出したら、制御手段26は寄り速度の計測を開始する(ステップS5の状態)。寄り速度の計測は、所定の間隔を有した時間毎に連続して行う。
なお、寄り速度は、ベッド2に対するスライドベース3の相対速度とほぼ同じになる。このため、寄り速度は、ベッド2に対するスライドベース3の相対速度の計測を行えば、簡単に求めることができる。
【0020】
次に、ステップS12で、制御手段26が、寄り速度を計測すると、寄り速度の計測値を表示手段19に表示する。寄り速度の計測開始後、制御手段26は、m回目の寄り速度の計測値V[tm]がその直前で計測された(m−1)回目の寄り速度の計測値V[tm−1]以上になっているか否かを判別する。
V[tm]≧V[tm−1]が成立する場合には、これを「基本条件成立」としてV[tm]s≧V[tm−1]sがシーケンサ20に記憶され、tmで行った計測が「基本計測」になる。そして、ステップS13に進む。
一方、V[tm]<V[tm−1]となる場合には、ステップS11に戻り、V[tm]≧V[tm−1]が成立するまで、寄り速度の計測を継続する。
【0021】
次に、ステップS13で、V[tm]s≧V[tm−1]sの条件成立後、ステップS12と同様、(m+1)回目で計測した寄り速度の計測値V[tm+1]が、m回目の寄り速度の計測値V[tm]以上になっているか否かを判別する。
V[tm+1]≧V[tm]が成立する場合には、これを「1回目の条件成立」としてV[tm+1]1≧V[tm]1が、シーケンサ20に記憶される。
V[tm+1]<V[tm]となる場合には、ステップS11に戻り、V[tm]≧V[tm−1]が成立するまで、寄り速度の計測を継続する。(m+n−1)回目で計測された寄り速度の計測値V[tm+n−1]が、その直前の(m+n−2)回目で計測された寄り速度の計測値V[tm+n−2]以上になっている場合には、これを「n−1回目の条件成立」としてV[tm+n−1]n−1≧V[tm+n−2]n−1がシーケンサ20に記憶される。
このように、V[tm+n−1]n−1≧V[tm+n−2]n−1を満たす成立条件が、「基本条件成立」を含めてk回連続した状態(必要十分条件)になるまで、制御手段26は計測処理を継続して行う。そして、この必要十分条件を満足したら、ステップS14に進む。
なお、制御手段26が、「1回目の条件成立」以降(n−1)回の計測処理を行っていく最中に、後で計測された寄り速度の計測値V[t]が、その直前に計測された寄り速度の計測値V[t−1]より小さくなる場合には、ステップS11に戻る。そして、V[tm]≧V[tm−1]が成立するまで寄り速度の計測を継続する。
【0022】
次に、ステップS14では、V[tm+n−1]n−1≧V[tm+n−2]n−1を満すまでの計測処理の実行回数nが、設定回数kを満足しているか否かを判別する。
n=kを満たしていれば、シーケンサ20は、V[tm+n−1]を計測した時間、すなわちtm+n−1を基準時間tkとして設定する。
一方、n<kであれば、計測処理の実行回数nがk回になるまで計測を続ける。その際、n=kに達するまでにV[t]<V[t−1]となれば、ステップS11に戻る。そして、V[tm]≧V[tm−1]が成立するまで寄り速度の計測を継続する。
【0023】
次に、ステップS15で、シーケンサ20は、設定された蓄熱時間Thを基準時間tkより計測する。
なお、「蓄熱時間」の概念は、ステップS14までのフローの処理を実行した後、引き続き圧力P12で第1の被接合部材と第2の被接合部材を摩擦圧接させる時間をいい、時間tkを計測開始時として所定の時間が計測される。すなわち、時間tkの計測開始時から所定の時間の間、引き続き圧力P12で第1の被接合部材31と第2の被接合部材32を摩擦圧接することにより、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32の接合部33に対してさらに蓄熱を行う時間をいう。なお、蓄熱時間として設定される時間の長さは、摩擦圧接する被接合部材の大きさ、形状、材質等に対応して異なるものである。
例えば、図6に示した寄り速度の計測では、k=3(回)、Th=1.2(sec)があらかじめ設定されている。
図6の計測データでは、時間t=−1.4、−1.3、−1.2(sec)でそれぞれ計測された寄り速度の計測値が3回連続して増加しているため、時間t=−1.4(sec)における寄り速度の計測が基本計測となる。そして、時間t=−1.2(sec)が、基準時間tkに相当する。
したがって、蓄熱時間Thの計測は、基準時間tk=−1.2(sec)から開始される。
【0024】
次に、ステップS16で、シーケンサ20が蓄熱時間Thをタイムアップしたら、モータ8の回転を停止させる(ステップS6の状態)。モータ8の回転停止と同時に、押圧力をP12からP13に上げ、所定時間の間、アップセット圧力P13を印加する(ステップS7の状態)。
所定時間の間、アップセット圧力で第1の被接合部材31を第2の被接合部材32に印加したら、制御手段26は寄り速度の計測を終了する。この後、ステップS8及びステップS9を実行して、摩擦圧接加工は完了する。
【0025】
以上のように、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32の摩擦圧接におけるステップS14までの処理が終了した段階では、第1及び第2の被接合部材31、32の接合部33は、部分的に溶融された相状態に変化してきている。
さらに、基準時間tkより蓄熱時間Thの間、引き続き第1の被接合部材31を回転させた状態で、第2の被接合部材32に摩擦圧接させる。この時、摩擦圧接によって発生する摩擦熱が、第1及び第2の被接合部材31、32の接合部33全体に蓄熱される。すると、第1及び第2の被接合部材31、32の接合部33は、蓄熱された摩擦熱によって均一な液相状態を生成する温度まで昇温される。このため、第1及び第2の被接合部材31、32の接合部33の相状態は、例えば、鋳鉄品で形成された被接合部材を接合する場合、接合部33の界面付近に球状または片状の黒鉛を形成しない状態になり、すなわち均一な液相状態になる。
したがって、第1及び第2の被接合部材31、32の接合部33が均一な液相状態に生成されてから、アップセット加圧を行えば、第1及び第2の被接合部材31、32の摩擦圧接効率は高くなる。
また、鋳鉄品で形成された被接合部材を摩擦圧接する場合でも、被接合部材の接合部が均一な液相状態に生成されてからアップセット加圧を行えば、摩擦圧接された被接合部材の接合強度は、単品からなる同じ材料の被接合部材の機械強度とほぼ同程度となり、十分な接合状態となる。
【0026】
次に、本発明の第2の実施の形態を、図面を用いて説明する。
第1の実施の形態では、後で計測された寄り速度の計測値V[t]がその直前に計測された寄り速度の計測値V[t−1]以上になる計測処理をk回連続させて蓄熱時間Thの計測を開始したが、第2の実施の形態では、別の方法で蓄熱時間Thの計測を開始する場合について、図2のフローチャート図に対応させながら、図7に示すフローチャート図と図8に示す計測データを用いて説明する。
すなわち、第2の実施の形態では、計測された寄り速度の計測値V[t]が設定値Vs以上になる計測処理をk回連続して行なわれた時、蓄熱時間Thの計測が開始される。
以下では、図7のフローチャート図に用いる記号、パラメータは、次のように定義するものとする。
Vs:寄り速度の設定値
なお、第1の実施の形態と同一の構成部分は、同一符号を付して説明を省略し、フローチャート図における第1の実施の形態と同一の記号、パラメータについても、同様の扱いとし、説明を省略する。
【0027】
あらかじめ、設定回数kや蓄熱時間Thの設定値、寄り速度の設定値Vsを入力しておく。
いま、主軸台5を前進させ、第1の被接合部材31が第2の被接合部材32に接触する直前の状態にあるものとする(ステップS2の状態)。
最初に、ステップS31で、主軸台5を前進させている時、第1の被接合部材31が第2の被接合部材32に接触(ステップS3及びステップS4)した時に生じるシリンダ12内の圧力変動を圧力検出手段15が検出したら、制御手段26は寄り速度の計測を開始する(ステップS5の状態)。寄り速度の計測は、所定の間隔を有した時間毎に連続して行う。
【0028】
次に、ステップS32で、制御手段26が、寄り速度を計測すると、寄り速度の計測値を表示手段19に表示する。寄り速度の計測開始後、制御手段26は、m回目で計測した寄り速度の計測値V[tm]が設定値Vs以上になっているか否かを判別する。
V[tm]≧Vsが成立する場合には、これを「基本条件成立」としてV[tm]s≧Vssがシーケンサ20に記憶され、tmで行った計測が「基本計測」になる。そして、ステップS33に進む。
一方、V[tm]<Vsとなる場合には、ステップS31に戻り、V[tm]≧Vsが成立するまで寄り速度の計測を継続する。
【0029】
次に、ステップS33で、V[tm]1≧Vsの条件成立後、ステップS32と同様に、(m+1)回目で計測した寄り速度の計測値V[tm+1]が、設定値Vs以上になっているか否かを判別する。
V[tm+1]≧Vsが成立する場合には、これを「1回目の条件成立」としてV[tm+1]2≧Vs1が、シーケンサ20に記憶される。
一方、V[tm+1]<Vsとなる場合には、ステップS31に戻り、V[tm]≧Vsが成立するまで寄り速度の計測を継続する。
このように、V[tm+n−1]n−1≧Vsを満たす成立条件が、「基本条件成立」を含めてk回連続した状態(必要十分条件)になるまで、制御手段26は計測処理を継続して行う。そして、この必要十分条件を満足したら、ステップS34に進む。
なお、制御手段26が、「1回目の条件成立」以降(n−1)回の計測処理を行っていく最中に、後で計測された寄り速度の計測値V[t]が、その直前に計測された寄り速度の計測値V[t−1]より小さくなる場合には、ステップS31に戻る。そして、V[tm]≧V[tm−1]が成立するまで寄り速度の計測を継続する。
【0030】
次に、ステップS34では、V[tm+n−1]n−1≧Vsを満すまでの計測処理の実行回数nが、設定回数kを満足しているか否かを判別する。
n=kを満たしていれば、シーケンサは、V[tm+n−1]を計測した時間、すなわちt(m+n−1)を基準時間tkとして設定する。
一方、n<kであれば、計測処理の実行回数nがk回になるまで計測を続ける。その際、n=kに達するまでにV[t]<V[t−1]となれば、ステップS31に戻る。そして、V[tm]≧V[tm−1]が成立するまで寄り速度の計測を継続する。
【0031】
次に、ステップS35で、シーケンサ20は、基準時間tkより設定された蓄熱時間Thを計測する。
例えば、図8に示した寄り速度の計測では、k=3(回)、Th=0.9(sec)、Vs=1.0(mm/sec)が、あらかじめ設定されている。なお、寄り速度の設定値Vsには、およそ1.0(mm/sec)以上の数値を設定することが好ましい。
図8の計測データでは、時間t=−1.1、−1.0、−0.9(sec)でそれぞれ計測された寄り速度の計測値が、3回連続して設定値1.0(mm/sec)以上になっているため、時間t=−1.1(sec)における寄り速度の計測が基本計測となる。そして、時間t=−0.9(sec)が、基準時間tkに相当する。
したがって、蓄熱時間Thの計測は、基準時間tk=−0.9(sec)から開始される。
【0032】
次に、ステップS36で、シーケンサ20が蓄熱時間Thをタイムアップしたら、モータ8の回転を停止させる(ステップS6の状態)。モータ8の回転停止と同時に、押圧力をP12からP13に上げ、所定時間の間、アップセット圧力P13を印加する(ステップS7の状態)。
所定時間の間、アップセット圧力で第1の被接合部材31を第2の被接合部材32に印加したら、制御手段26は寄り速度の計測を終了する。この後、ステップS8及びステップS9を実行して、摩擦圧接加工は完了する。
【0033】
以上のように、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32の摩擦圧接におけるステップS34までの処理が終了した段階では、第1及び第2の被接合部材31、32の接合部33は、部分的に溶融された相状態に変化してきている。
さらに、基準時間tkより蓄熱時間Thの間、引き続き第1の被接合部材31を回転させた状態で、第2の被接合部材32に摩擦圧接させる。この時、摩擦圧接によって発生する摩擦熱が、第1及び第2の被接合部材31、32の接合部33全体に蓄熱される。すると、蓄熱された摩擦熱が、均一な液相状態を生成する温度まで第1及び第2の被接合部材31、32の接合部33を昇温する。このため、第1及び第2の被接合部材31、32の接合部33の相状態は、例えば、鋳鉄品で形成された被接合部材を接合する場合、接合部33の界面付近に球状または片状の黒鉛を形成しない状態になり、すなわち均一な液相状態になる。
したがって、第1及び第2の被接合部材31、32の接合部33が均一な液相状態に生成されてから、アップセット加圧を行えば、第1及び第2の被接合部材31、32の摩擦圧接効率は高くなる。
【0034】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更してもよい。
例えば、本実施の形態では、チャック7で把持した第1の被接合部材31を回転させた状態で、クランプ18で固定保持させた第2の被接合部材32に押圧したが、クランプで固定保持させた第2の被接合部材を、チャックで把持して回転させた状態の第1の被接合部材に押圧して摩擦圧接加工を行っても良い。
また、検出器21をスライドベース3の検出用係合部材4に取付けたが、ベッドに対するスライドベースの相対位置を検出するセンサの取付け位置は、適宜変更可能である。
また、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32として、パイプ形状の被接合部材を用いたが、被接合部材の材質、形状、大きさは種々変更可能である。また、検出器21と、検出器用コントローラ22で構成されたアナログ信号対応の磁気式反応計測器を用いて、ベッド2に対するスライドベース3の相対変位量を検出したが、ベッド2に対するスライドベース3の相対変位量の検出は、非接触式センサ51とリニアスケール52で構成されるデジタル信号対応の計測装置50を用いても良い。この場合、デジタル信号対応の計測装置50は、図9に示すように、非接触式センサ51をスライドベース3の一部に設置し、リニアスケール52をベッド2の一部に設置する。この場合、非接触式センサ51やリニアスケール52は、コントローラ53を介してシーケンサ20に接続される。
また、制御手段26には、シーケンサ20を用いて摩擦圧接装置1の制御を行ったが、制御手段にコンピュータ数値制御装置(CNC)を用いて制御を行っても良い。
また、本実施の形態では、第1の被接合部材31と第2の被接合部材32の寄り速度を計測し、既述した所定条件を満たした時、蓄熱時間Thの計測を開始したが、蓄熱時間Thの開始を行うタイミングは、摩擦圧接時で変動する圧力値を用いることもできる。例えば、第1と第2の被接合部材の両部材に歪みゲージを設け、摩擦圧接時における両部材にかかる圧力値を算出する。そして、算出された圧力値に対して、あらかじめ設定された所定条件を満たした時、蓄熱時間の計測を開始する。
また、図2のフローチャート図で摩擦圧接の概略方法を示したが、図2のフローチャート図に限定されるものではなく、被接合部材の摩擦圧接方法は、種々変更可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明による摩擦圧接方法を用いれば、摩擦発熱工程で被接合部材の接合部が十分に接合可能な溶融状態に形成されていることを判別することができる。したがって、被接合部材の接合部が均一な液相状態になってからアップセット加圧を行えば、被接合部材の摩擦圧接効率は向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摩擦圧接装置の概略図を示す。
【図2】被接合部材を摩擦圧接させるための概略方法を示すフローチャート図である。
【図3】摩擦圧接前の第1の被接合部材と第2の被接合部材を示す図である。
【図4】第2の被接合部材に第1の被接合部材が摩擦圧接された状態を示す図である。
【図5】第1の実施の形態で、第1の被接合部材と第2の被接合部材の摩擦圧接しながら寄り速度を計測する方法を示すフローチャート図である。
【図6】第1の実施の形態に関する寄り速度の計測データを示す図である。
【図7】第2の実施の形態に関して、第1の被接合部材と第2の被接合部材の摩擦圧接しながら寄り速度を計測する方法を示すフローチャート図である。
【図8】第2の実施の形態に関する寄り速度の計測データを示す図である。
【図9】変更例による摩擦圧接装置の概略図を示す。
【符号の説明】
1…摩擦圧接装置
4…検出用係合部材(検出箇所)
5…主軸台(保持手段)
7…チャック(保持手段)
12…シリンダ(駆動手段)
13…シリンダロッド(駆動手段)
14…駆動手段
21…検出器(検出手段)
20…シーケンサ(制御手段)
22…検出器用コントローラ(制御手段)
25…A/D変換器(制御手段)
26…制御手段
31…第1の被接合部材
32…第2の被接合部材
51…非接触式センサ(検出手段)
52…リニアスケール(検出手段)
53…コントローラ(制御手段)
Claims (3)
- 第1の被接合部材と第2の被接合部材を摩擦圧接させる摩擦圧接方法であって、
第1及び第2の被接合部材の一方を回転させた状態で、前記両被接合部材の接合部を均一な液相状態とする摩擦発熱工程として他方の被接合部材に前記両被接合部材の接合部に摩擦発熱を生じさせることのできる摩擦圧力P1で圧接させる第1のステップと、
第1のステップを実行する間、圧接時の第1の被接合部材と第2の被接合部材との寄り速度の計測を所定の時間毎に連続で行い、
任意の時における寄り速度の計測を基本計測とし、基本計測以降、基本計測を含む連続する予め設定した設定回数n(nは自然数で、n≧2)回の計測において、
該設定回数n回すべての計測において、寄り速度の計測値Vnが、その直前で計測された寄り速度の計測値Vn−1以上(|Vn|≧|Vn−1|)になっていることを満たす場合、n回目の計測を行った時を基準時として、基準時から予め設定した蓄熱時間Tを計測する第2のステップと、
基準時より蓄熱時間Tを経て、第1及び第2の被接合部材の一方の回転を急停止させ、アップセット加圧工程として前記摩擦圧力P1より大きいアップセット圧力P2で他方の被接合部材に圧接させる第3のステップと、
からなる摩擦圧接方法。 - 第1の被接合部材と第2の被接合部材を摩擦圧接させる摩擦圧接方法であって、
第1及び第2の被接合部材の一方を回転させた状態で、前記両被接合部材の接合部を均一な液相状態とする摩擦発熱工程として他方の被接合部材に前記両被接合部材の接合部に摩擦発熱を生じさせることのできる摩擦圧力P1で圧接させる第1のステップと、
あらかじめ寄り速度の計測に対して設定値を設け、第1のステップを実行する間、圧接時における第1の被接合部材と第2の被接合部材との寄り速度を少なくとも1回計測し、
この寄り速度の計測値が、寄り速度の設定値以上に、予め設定した設定回数n回連続した状態に達した計測時の時を基準時として、基準時から予め設定した蓄熱時間Tを計測する第2のステップと、
基準時より蓄熱時間Tを経て、第1及び第2の被接合部材の一方の回転を急停止させ、アップセット加圧工程として前記摩擦圧力P1より大きいアップセット圧力P2で他方の被接合部材に圧接させる第3のステップと、
からなる摩擦圧接方法。 - 請求項2に記載の摩擦圧接方法であって、
第2のステップで第1の被接合部材と第2の被接合部材との寄り速度の計測を、所定の時間毎に連続で行い、
寄り速度の計測値が、はじめて設定値以上になった時の計測を基本計測とし、
基本計測以降、基本計測を含む連続する予め設定した設定回数n(nは自然数で、n≧2)回分の計測に対して、寄り速度の計測値が、すべて設定値以上になっていることを満たす場合、n回目の計測を行った時を基準時として、基準時から予め設定した蓄熱時間Tを計測することを特徴とする摩擦圧接方法。
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