JP4219155B2 - 観客席システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、劇場等に用いられる観客席システム及び椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、劇場等に用いられる椅子として、床体に支柱を固定して設け、椅子本体の側端部をこの支柱に支持させる構成のものが考えられている。このような椅子は、床体上に所定間隔をあけて支柱を立設し、この支柱の支持基部を床体上にボルト等により定着させられたもので、支柱間に椅子本体を配設して支持させている。(例えば特許文献1参照。)なお、前記特許文献1においては、床体は床、支柱は支持体、椅子本体は座及び背凭れとしてそれぞれ記載されている。また、この種の椅子は、前記特許文献1にも記載があるように、座のライジング動作が可能であることが多い。そして、このような構成を、簡単な構成で実現できるメリットや、安価に実現できるのメリット等により、劇場等においては、この種の椅子のみを用いた観客席システムが広く採用されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−194463号公報(第3頁、第1図、第3図、第4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した構成の椅子は、椅子本体の側端部を支柱に支持させているので、最低でも椅子本体の個数より1つだけ多い本数の支柱が必要である。床下に空調設備を設ける際に、前記支柱の存在により吹出し口を効果的な箇所に設置することが不可能である場合や、支柱により空気の流れが妨げられる場合があり、これらの場合、効率的な空調ができなくなる不具合が存在する。さらに、その他の床下設備を設ける場合にも、同様に支柱を避けて設置しなければならなくなることにより効果的な箇所に設置できなくなる不具合が存在する。
【0005】
本発明は、以上に述べた課題を解決し、床下設備を効果的に配置することを図るべく構成するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明に係る観客席システムは、床下空調システムとともに用いられ、間欠的に複数設けられ床体に固定して取り付けられる支柱に椅子本体の両側端部を支持させる構成を有する第1の椅子と、間欠的に設けられる複数の支柱と、前記支柱に両側端部を支持される椅子本体と、前記椅子本体の下方に幅方向に延伸して設けられる横架材と、床面から起立して設けられ前記横架材を支持する脚とを具備し、該横架材により前記支柱を支持し、前記支柱を前記横架材に載置した状態で該支柱の取り付けを行う構成を有する第2の椅子とを併用し、前記第2の椅子の横架材と脚とを別体に構成しているとともに、前記脚の前記横架材に対する幅方向の相対位置を変更可能に構成しているものであって、前記床下空調システムの吹出し口を避けて前記第2の椅子の脚を配置しているとともに、前記床下空調システムの吹出し口の直上近傍に前記第2の椅子の支柱を配置していることを特徴とする。
【0007】
このように構成すれば、椅子本体の個数よりも1つだけ多い本数の支柱を床体に取り付ける必要がある第1の椅子と異なり、前記第2の椅子は支柱の本数自体は第1の椅子と同一であるものの、この支柱よりも少ない本数の脚を床体に取り付ける構成にできるので、前記第1の椅子を主に使用しつつ、床下空調の吹出し口やその他の床下設備を設けたい箇所に、床体に取り付ける箇所を少なくできる前記第2の椅子を配置するようにできる。すなわち、観客席をより安価に構成したい等の理由で前記第1の椅子を主に用いる態様において、床体に取り付けられる支柱の存在により効果が妨げられるような床下空調やその他の床下設備の設置箇所にのみ前記第2の椅子を配置して、前記第1の椅子を主に用いつつ効果的に床下設備を設けることができるようになる。
【0008】
さらに、床下空調システムとともに用いられ、前記床下空調システムの吹出し口の直上近傍に前記第2の椅子の支柱を配置しているので、前記第2の椅子の脚を前記床下空調システムの吹出し口を避けて設置するようにして、効率的な空調を実現することができる。加えて、前記第2の椅子の横架材と脚とを別体に構成しているとともに、前記脚の前記横架材に対する幅方向の相対位置を変更可能に構成しているので、座席配置を換えることなく最も効果的な位置に床下空調の吹出し口やその他の床下設備を設け、しかる後に前記第2の椅子の脚の固定位置を設定するようにできる。すなわち、床下空調の吹出し口やその他の床下設備の設置の自由度をさらに高めることができる。
【0009】
前記第1の椅子の支柱が、その下端に床体に支持される部位である接地部を具備するとともに、前記第2の椅子の支柱が、その下端に前記横架材に支持される部位である被取付部を具備し、前記接地部の形状と前記被取付部の形状とを同一にしているものであれば、部材及び製造工程の共通化を図ることができ、したがって第2の椅子の製造コストの低減を図ることができるようになる。
【0010】
前記第2の椅子の支柱の前記椅子本体を支持する部位である椅子本体支持部の形状及び床面からの高さ位置を、前記第1の椅子の支柱の前記椅子本体を支持する部位である椅子本体支持部の形状及び床面からの高さ位置とそれぞれ同一にしているものであれば、部材及び製造工程のさらなる共通化を図ることができるようになり、前記第2の椅子の製造コストのさらなる低下を図ることができる。また、椅子本体支持部の床面からの高さ位置を同一にしているので、椅子本体の構成を同一のものにすれば椅子本体部分の外観を完全に一致させることができ、見栄えの向上を図ることもできる。
【0012】
前記第1の椅子の支柱の上端の床面からの高さ位置と、前記第2の椅子の支柱の上端の床面からの高さ位置とを略同一にしているものであれば、前記第2の椅子の支柱が前記第1の椅子の支柱と同一の構成を有することと合わせて、前記第1の椅子の外観と前記第2の椅子の外観とをさらに統一することができ、更なる見栄えの向上を図ることができる。
【0013】
上述した観客席システムに好適に用いられる椅子として、間欠的に設けられる複数の支柱と、前記支柱に両側端部を支持させた椅子本体と、前記椅子本体の下方に幅方向に延伸して設けられる横架材と、床面から起立して設けられ前記横架材を支持する脚とを具備し、該横架材により前記支柱を支持し、前記支柱を前記横架材に載置した状態で該支柱の取り付けを行うように構成しているとともに、前記支柱が、その下端に前記横架材に支持される部位である被取付部を具備するとともに、前記被取付部の形状を、間欠的に複数設けられ、床体に固定して取り付けられる支柱に椅子本体の両側端部を支持させる構成を有する椅子の支柱の床体に支持される部位である接地部の形状と同一にしているものが挙げられる。
【0014】
このような椅子の支柱を従来の椅子の支柱の床体への取り付けと同様の取付工程により横架材に取り付けるようにするには、前記支柱の下端にネジ挿通孔を有する被取付部を設け、前記ネジ挿通孔に雄ネジ部材を上方から挿し通してネジ止めを行うことにより、該支柱を前記横架材に取り付け可能に構成すればよい。従来の椅子の支柱は、下端部にネジ挿通孔を有する接地部を有し、この接地部のネジ挿通孔を床体に設けたアンカーの雌ねじ孔と重合させて雄ネジ部材を上方から挿し通してネジ止めを行うことにより床体に固定して取り付ける構成のものが多いからである。
【0015】
前記支柱を、支柱取付部材を介して横架材に取り付けるようにしているものであれば、前記支柱の奥行き寸法が前記横架材の奥行き寸法より大きいものであっても、前記支柱取付部材の奥行き寸法を前記支柱に対応させて設定することにより、前記支柱を前記横架材に安定して取り付けることができる。
【0016】
このような支柱を横架材に取り付ける簡単な構成として、前記支柱取付部材が、上方に開口し、前記横架材を略隙間なく収納可能に構成し、その上端の高さ位置が前記横架材の上端と略同じ又は前記横架材の上端より下方にある開口部と、前記支柱を取り付ける部位であり前記開口部上端から前後に突出させて設けている取付部とを有し、前記取付部にネジ挿通孔又は雌ネジ孔を前記支柱のネジ挿通孔に重合し得る位置に設け、前記支柱と前記支柱取付部材とをネジ作用により互いに固定するようにしているとともに、これら支柱及び支柱取付部材により前記横架材を挟んで固定するようにしているものが挙げられる。このようなものであれば、上述したような床体に設けたアンカーに支柱をネジ止めする構成と略同様の工程により支柱を横架材に取り付ける構成を実現できる。
【0017】
より効果的に床下空調の吹出し口やその他の床下設備を設けることができるようにするには、前記横架材と前記脚とを別体に構成しているとともに、前記脚の前記横架材に対する幅方向の相対位置を変更可能に構成すればよい。このように構成すれば、座席配置を変更することなく最も効果的な位置に床下空調の吹出し口やその他の床下設備を設け、しかる後に前記脚の固定位置を設定するようにできるからである。
【0018】
前記横架材に対する幅方向の相対位置を変更可能な脚を簡単な構成で実現できる構成として、前記脚が、床面から起立して設けられる脚本体と、前記脚本体の上端に設けられ、前記横架材を嵌め込むように構成した横架材取付部とを具備するものが挙げられる。このように構成すれば、前記横架材取付部に横架材を嵌め込んだまま脚を椅子の幅方向に移動させることもできるようになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態に係る観客席システムは、正面図を図1に示すように、第1の椅子C1と、第2の椅子C2とをともに用い、その床下に床下設備たる床下空調システムACを設けている。そして、この床下空調システムACの吹出し口AC1の直上近傍に前記第2の椅子C2、その他の箇所に前記第1の椅子C1を配置するようにしている。なお、以下の説明において、第1の椅子C1又は第2の椅子C2に着座する着座者が向かう方向を前方とする。
【0021】
前記第1の椅子C1は、正面図を図2、側面図を図3に示すように、床体に固定して取り付ける支柱1と、この支柱1に両側端部を支持させている複数の椅子本体2とを具備し、従来劇場等に用いられているこの種の椅子と同様に構成されている。
【0022】
具体的には、前記椅子本体2は、本実施形態では座21及び背22を具備する。さらに詳述すると、前記座21は、左右両側端にそれぞれ幅寸法を増す方向に突出させて設けた取付軸211を具備し、この取付軸211を中心に回転させることにより、座面が上向きをなす使用位置と、座面が後向きをなす収納位置との間でライジング動作可能に構成していている。また、前記背22は、その両側端を背取付部材221に支持させていて、この背取付部材221を介して前記支柱1に支持させている。
【0023】
一方、前記支柱1は、三面図を図4に示すように、その下端部に板状をなし、前後両端近傍にネジ挿通孔11aを有する接地部11を具備するとともに、この接地部11の中央部から前記椅子本体2を支持する支柱本体12を起立させて設けている。前記図4において、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。本実施形態では、前記図3に示すように、前記支柱本体12の下端に前記接地部11を熔接して設けていて、従来劇場等に用いられているこの種の椅子と同様に、この接地部11のネジ挿通孔11aと床体に設けた図示しないアンカーの雌ネジ孔とを重合させ、雄ネジ部材B1を前記ネジ挿通孔11aに挿し通し、前記雌ネジ孔にネジ止めして床体に固定するようにしている。また、支柱本体12の側面の高さ方向中間部には、椅子本体2を支持する椅子本体支持部たる座支持部121を設けている。この座支持部121は、具体的には、前記座21の取付軸211を収納する取付軸収納部121aと、この取付軸収納部を前方、後方、及び上方から被覆する被覆部121bとを具備する。この支柱1への座21の取り付けは、前記座取付部121aに座21の取付軸211を取り付けて行うようにしている。そして、座21を前記取付軸211を中心に回転させることにより、座21が前記ライジング動作を行うように構成している。一方、支柱本体12の側面の後部には、前記背取付部材221を取り付けるための背取付雌ネジ孔12xを形成している。そして、この支柱本体12の上端には、肘当部材取付具123を介して肘当部材122を設けている。また、この支柱1は、その前方及び側方にカバー13を設け、外部から隠蔽するようにしている。このカバー13は、図3に示すように、雄ネジ部材B2を介して支柱1に取り付けられる。なお、両端に位置する支柱1は、前記座支持部121及び背取付雌ネジ孔12xを内側面にのみ設けている。また、この支柱1は、本実施形態では互いに前記椅子本体2の幅寸法に略一致させて設定した所定間隔を設けて設置している。
【0024】
しかして、前記第2の椅子C2は、正面図を図5、側面図を図6にそれぞれ示すように、間欠的に設けられる複数の支柱3と、前記支柱3に両側端部を支持させ、上述した第1の椅子に用いた椅子本体2と同一の構成を有する複数の椅子本体2と、前記椅子本体2の下方に幅方向に延伸して設けられる横架材4と、床面から起立して設けられ前記横架材4を支持する2本の脚5とを具備するものであって、前記横架材4により前記支柱3を支持し、前記支柱3を前記横架材4に載置した状態で該支柱3の取り付けを行う構成を有する。そして、前記支柱3が、その下端に前記横架材4に支持される部位である被取付部31を具備し、前記被取付部31の形状を、前記第1の椅子C1の支柱1の前記接地部11の形状と同一にしている。
【0025】
具体的には、前記支柱3は、本実施形態では、三面図を図7に示すような形状をなすとともに、前記図6、及び前記図5におけるx−x断面図である図8に示すように、ネジ挿通孔512aを有する支柱取付部材51を介して横架材5に取り付けるようにしている。前記図7において、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。そして、その下端部に板状をなし、前後両端近傍にネジ挿通孔31aを有する被取付部31を備え、この被取付部31aの中央部から前記椅子本体4を支持する支柱本体32を起立させて設けている。具体的には、前記支柱本体32の下端に前記被取付部31を熔接して設けていて、前記被取付部31の形状を、上述した第1の椅子C1に用いた支柱1の接地部11の形状と同一に形成している。また、支柱本体32の側面の下部には、椅子本体4を支持する椅子本体支持部たる座支持部321を設けている。一方、支柱本体32の側面の後部には、前記背42を取り付ける部材である図示しない背取付部材を取り付けるための背取付雌ネジ孔32xを形成している。そして、この支柱本体32の上端には、図3に示すように、肘当部材322を設けている。前記座支持部321、背取付雌ネジ孔32x、及び肘当部材322は、いずれも第1の椅子C1に用いた座支持部121、背取付部12x、及び肘当部材122と同一の形状を有し、床面からの高さ寸法を第1の椅子C1に用いたものと同一に設定している。すなわち、この支柱3は、第1の椅子C1の支柱1の支柱本体12と比較して、長さ寸法を前記横架材5の上端の床面からの高さ寸法だけ短くした支柱本体32を用いているとともに、前記座支持部321及び背取付雌ネジ孔32xの支柱本体32の上端からの高さ位置を、第1の椅子C1の座支持部121及び背取付部12xの支柱本体12の上端からの高さ位置と同一に設定して取り付けている。そして、上述した第1の椅子C1の支柱1への椅子本体2の取りつけと全く同様にして、この支柱3に椅子本体2を取り付ける。また、この支柱3は、その前方及び側方にカバー33を設け、外部から隠蔽するようにしている。このカバー33の支柱3への取りつけ構造も、上述した第1の椅子C1の支柱1へのカバー13の取りつけ構造と同一である。さらに、両端に位置する支柱32は、第1の椅子C1と同様に、前記座支持部321及び背取付雌ネジ孔32xを内側面にのみ設けている。なお、本実施形態では、この支柱3もまた、互いに前記椅子本体2の幅寸法に略一致させて設定した所定間隔を設けて設置していて、この所定間隔を前記第1の椅子C1と一致させている。また、前記図8において、椅子本体4及びカバー33は、省略して示している。
【0026】
前記横架材4は、前記図1、図5、及び図6に示すように、前記座21の下方に幅方向に延伸して設けられ、本実施形態では略矩形状の断面形状を有するパイプ状の部材を利用し、その長さ寸法をこの第2の椅子C2の幅寸法と略一致させて形成している。また、前記図8に示すように、前記支柱3を支柱取付部材41を介して支持しているとともに、前記支柱3をこの横架材4に載置した状態で該支柱3の取り付けを行うようにしている。前記支柱取付部材41は、上方に開口し、前記横架材を略隙間なく収納可能な開口部411と、前記支柱3を取り付ける部位であり前記開口部411の上端から前後に突出させて設けている取付部412とを有する。そして、前記取付部412にネジ挿通孔412aを前記支柱3の被取付部31に設けたネジ挿通孔31aに重合し得る位置に設け、前記支柱3と前記支柱取付部材41とを雄ネジ部材B3及び雌ネジ部材N3を用いてネジ作用により互いに固定するようにしているとともに、これら支柱3及び支柱取付部材41により前記横架材4を挟んで固定するようにしている。なお、前記横架材4の奥行き寸法は、本実施形態では前記被取付部31の奥行き寸法より小さく、また、前記支柱取付部材41の奥行き寸法は、本実施形態では前記被取付部31の奥行き寸法と略一致させているとともに、その開口部411の内法の奥行き寸法を前記横架材4の奥行き寸法と略一致させ、さらに前記開口部411の深さ寸法は前記横架材4の高さ寸法と略一致させている。
【0027】
前記脚6は、本実施形態では、前記図5、前記図6、及び前記図5におけるy−y断面図である図9に示すように、床面に取り付けるように構成しているベース511と該ベース511から起立して設けられる脚支柱512とを有する脚本体51と、前記脚本体51の上端に設けられ前記横架材4を嵌め込むように構成した横架材取付部52とを具備し、前記横架材4をその端部近傍において支持している。前記ベース511は、本実施形態では奥行き方向に延伸する形状をなし、その前後両端近傍に床体に設けた図示しないアンカーに固定するためのネジ挿通孔511aを設けている。前記脚支柱512は、本実施形態では前記ベース511の奥行き方向中央部から起立して設けられる脚支柱本体512aと、後方に開口したチャネル状をなし、この脚支柱本体512aの前方に高さ寸法の略全域に亘って取り付けられる補強材512bとからなる。前記脚支柱本体512a及び補強材512bは、本実施形態では前記ベース511に熔接により固定して取り付けられている。前記横架材取付部52は、後方に開口するチャネル状の部材を利用して形成され、横架材取付部52aに前記横架材を嵌め込むようにして取り付けるようにしている。さらに、上下両面の前記横架材4の後端に対応する位置にネジ挿通孔52bを設け、雄ネジ部材B4を前記ネジ挿通孔52bに挿通させ、雌ネジ部材N4により前記雄ネジ部材B4を固定することにより、前記横架材4の後端がこの雄ネジ部材B4に対向するようにし、前記横架材4の前後動を規制している。なお、前記図9において、椅子本体4は省略して示している。
【0028】
以上に述べたように、本実施形態においては、劇場等に広く用いられている従来の椅子と同様の構成を有する前記第1の椅子C1と、脚5に支持させた横架材4に支柱3を支持させ、椅子本体2をこの支柱3に支持させる第2の椅子C2とを併用しているので、床下設備の都合等により第1の椅子C1の支柱1を多数設けると不具合が起こる箇所に第2の椅子C2を配置することにより、床下設備を効果的に配置することができる。さらに、それ以外の箇所には第1の椅子C1を配置しているので、このような構成を安価に実現することができる。
【0029】
特に、床下空調ACの吹出し口AC1近傍に第2の椅子C2を配置することにより、空調を効率的に行うことができる。
【0030】
また、第1の椅子C1の支柱1の接地部11の形状と、第2の椅子C2の支3柱の被取付部31の形状とを同一にしているので、同一の部材をこれら接地部11及び被取付部31に共用でき、部材の共通化を図ることができる。
【0031】
さらに、第1の椅子C1の支柱1の座取付部121の形状と、第2の椅子C2の支柱3の座取付部321の形状とを同一にしているので、これらの支柱1、3を支柱本体12、32の長さ寸法以外同一に構成することができ、この点からも部材の共通化を図ることができる。加えて、第1の椅子C1の支柱1の座取付部121の床面からの高さ位置と、第2の椅子C2の支柱3の座取付部321の床面からの高さ位置とを同一にし、さらに前記第1の椅子C1の支柱1の上端の床面からの高さ位置と前記第2の椅子C2の支柱3の上端の床面からの高さ位置とを同一にしているので、第1の椅子C1と第2の椅子C2の外観を、横架材5よりも上方の部分に関して統一することができ、見栄えの向上を図ることができる。
【0032】
加えて、前記第2の椅子の横架材4と脚5とを別体に構成しているとともに、前記脚5の前記横架材4に対する幅方向の相対位置を変更可能にしているので、第2の椅子の椅子本体2の位置は変更せずに脚5を床下空調ACの吹出し口AC1等の床下設備を避けて配置するようにでき、床下設備の更なる効果的な配置を図ることができる。また、前記脚5に、床面から起立して設けられる脚本体51と、前記脚本体51の上端に設けられ前記横架材4を嵌め込むように構成した横架材取付部52とを具備させているので、脚5の前記横架材4に対する幅方向の相対位置を簡単に変更できる。
【0033】
また、前記第2の椅子C2の支柱3の被取付部31にネジ挿通孔31aを設けていて、このネジ挿通孔に雄ネジ部材B3を上方から挿し通してネジ止めを行い、この支柱3を横架材4に取り付けるようにしているので、第1の椅子C1の支柱1の床体への取付工程と同様の工程によりこの支柱3を横架材4に取り付けることができる。
【0034】
さらに、前記支柱3を支柱取付部材41を介して横架材4に取り付けるようにしているとともに、支柱取付部材41の奥行き寸法を支柱3と略一致させているので、横架材4の奥行き寸法がこの支柱3よりも小さいにもかかわらず、支柱3を横架材4に安定して取り付けることができる。
【0035】
前記支柱取付部材41が、上方に開口し、前記横架材を略隙間なく収納可能な開口部411と、前記支柱3を取り付ける部位であり前記開口部411の上端から前後に突出させて設けている取付部412とを有し、前記取付部412にネジ挿通孔412aを前記支柱3の被取付部31に設けたネジ挿通孔31aに重合し得る位置に設け、前記支柱3と前記支柱取付部材41とを雄ネジ部材B3及び雌ネジ部材N3を用いてネジ作用により互いに固定するようにしているとともに、これら支柱3及び支柱取付部材41により前記横架材4を挟んで固定するようにしているので、以上に述べた横架材4への支柱3の取付構造を簡単な構成で実現できる。
【0036】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない、
例えば、配線コンセント等、床下空調の吹出し口以外の床下設備を配置している箇所の直上近傍に第2の椅子を配置するようにしてもよい。
【0037】
また、前記第2の椅子の支柱の横架材への取付構造は、上述した実施形態において述べた以外のものであってもよい。例えば、横架材の奥行き寸法を支柱の被取付部と略一致させるか又は前記被取付部よりも大きくするとともに、横架材に雌ねじ穴又は固定ナット等を用いた雌ねじ部材を形成し、被取付部に形成したネジ挿通孔に挿し通した雄ねじ部材を前記雌ねじ部材にネジ止めする態様や、上述した実施形態における支柱取付部材と支柱の被取付部とのネジ止めを下方から行うような態様が考えられる。また、支柱取付部材の奥行き寸法を支柱よりも大きくする態様も考えられる。
【0038】
さらに、横架材を支持する脚は、必要に応じて、横架材の中央部に1本だけ設けてもよく、また、椅子本体の個数を越えない範囲で3本以上設けるようにしてもよい。また、この脚は横架材と一体に形成してもよく、横架材の所定箇所に熔接やネジ止め等により相対位置を変更不可能に取り付けるようにしてもよい。
【0039】
加えて、支柱取付部材の開口部の深さは、横架材の高さ寸法よりも小さくしてもよい。このようなものであっても、該支柱取付部材にネジ挿通孔を設けるとともに、支柱の被取付部のネジ挿通孔に挿し通した雄ネジ部材をこのネジ挿通孔にも挿し通し、このネジ挿通孔の下方に設けた雌ネジ部材にネジ止めして、支柱と支柱取付部材との間に相寄る方向にネジの緊締力を作用させて支柱と支柱取付部材と横架材とを互いに固定することはできる。また、支柱取付部材の開口部の深さが横架材の高さ寸法と同一である場合及び横架材の高さ寸法より小さい場合のいずれにおいても、雌ネジ部材を用いる代わりに、支柱取付部材に雌ネジ孔を設けても支柱と支柱取付部材との間に相寄る方向にネジの緊締力を作用させることができるので、同様の効果は得られる。
【0040】
そして、第1の椅子と第2の椅子の支柱の上端や椅子本体取付部の床面からの高さ寸法を異なるものにする態様や、第1の椅子の支柱の接地部と第2の椅子の被取付部とを異なる形状に構成した態様であっても、第2の椅子の脚を支柱よりも少ない本数にし、設置する箇所を少なくして床下設備を効果的に配置できる効果を実現することはできる。加えて、この効果を実現するためには、必ずしも第1の椅子と第2の椅子の椅子本体を同一に構成する必要はない。
【0041】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で、種々に変形してよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る観客席システムは、床体に支柱を固定している第1の椅子と、床体から起立して設けられる脚に支持させた横架材に支柱を支持させている第2の椅子とを併用しているので、第1の椅子のみを用いた従来の観客席システムと比較して椅子の脚を少なくでき、床下空調の吹出し口等、床下設備を効果的に配置することができるようになる。また、第2の椅子を床下設備の配置箇所の直上近傍のみに配置し、その他の箇所に第1の椅子を配置するようにすれば、コスト上の理由などにより第1の椅子を主に利用する際に、床下設備を効果的に配置する構成を実現することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る観客席システムの正面図。
【図2】同実施形態に係る第2の椅子の正面図。
【図3】同実施形態に係る第2の椅子の側面図。
【図4】同実施形態に係る第1の椅子の支柱を示す図。
【図5】同実施形態に係る第2の椅子の正面図。
【図6】同実施形態に係る第2の椅子の側面図。
【図7】同実施形態に係る第2の椅子の支柱を示す図。
【図8】図5におけるx−x断面図。
【図9】図5におけるy−y断面図。
【符号の説明】
C1…第1の椅子
C2…第2の椅子
1…支柱(第1の椅子の支柱)
11…接地部
2…椅子本体
3…支柱(第2の椅子の支柱)
31…被取付部
31a…ネジ挿通孔
321…座支持部(椅子本体支持部)
4…横架材
41…支柱取付部材
411…開口部
412…取付部
412a…ネジ挿通孔
5…脚
AC…床下空調
AC1…床下空調の吹出し口

Claims (4)

  1. 床下空調システムとともに用いられ、
    間欠的に複数設けられ床体に固定して取り付けられる支柱に椅子本体の両側端部を支持させる構成を有する第1の椅子と、
    間欠的に設けられる複数の支柱と、前記支柱に両側端部を支持される椅子本体と、前記椅子本体の下方に幅方向に延伸して設けられる横架材と、床面から起立して設けられ前記横架材を支持する脚とを具備し、該横架材により前記支柱を支持し、前記支柱を前記横架材に載置した状態で該支柱の取り付けを行う構成を有する第2の椅子とを併用し、
    前記第2の椅子の横架材と脚とを別体に構成しているとともに、前記脚の前記横架材に対する幅方向の相対位置を変更可能に構成しているものであって、
    前記床下空調システムの吹出し口を避けて前記第2の椅子の脚を配置しているとともに、前記床下空調システムの吹出し口の直上近傍に前記第2の椅子の支柱を配置していることを特徴とする観客席システム。
  2. 前記第1の椅子の支柱が、その下端に床体に支持される部位である接地部を具備するとともに、前記第2の椅子の支柱が、その下端に前記横架材に支持される部位である被取付部を具備し、前記接地部の形状と前記被取付部の形状とを同一にしていることを特徴とする請求項1記載の観客席システム。
  3. 前記第2の椅子の支柱の前記椅子本体を支持する部位である椅子本体支持部の形状及び床面からの高さ位置を、前記第1の椅子の支柱の前記椅子本体を支持する部位である椅子本体支持部の形状及び床面からの高さ位置とそれぞれ同一にしていることを特徴とする請求項2記載の観客席システム。
  4. 前記第1の椅子の支柱の上端の床面からの高さ位置と、前記第2の椅子の支柱の上端の床面からの高さ位置とを略同一にしていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の観客席システム。
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