JP4218916B2 - 被測定体の支持装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス板やセラミックス板等の被測定体を測定するために、この被測定体をその平面状態を維持しつつ支持し得る被測定体の支持装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、干渉計等の光学測定装置は、被測定体の表面形状等の微小変化を測定するものであるため、その被測定体を安定した状態で保持することが極めて重要である。
【0003】
例えば、保持台に被測定体を載設するようにした場合は、被測定体がこの保持台の表面にならった形状とされるため、保持台の表面には高い面精度が要求される。
【0004】
しかし、仮に保持台表面が高い面精度を有していても、被測定体と保持台との間に塵埃等が介在する場合には被測定体の一部表面がこの塵埃等にならった形状となってしまい、この結果、あたかも被測定体自体に凸部が存在するかの如き測定結果が得られることとなる。
【0005】
また、ガラス板等からなる被測定体を保持台により支持した場合、被測定体と保持台表面との間が真空状態となり、保持台の形状にならってしまい被測定体の形状変化を来すことになる。また、時間経過と共に両者がくっついてしまい被測定体の取りはずしが困難となる。特にロボットアーム等により被測定体を自動設定する場合にはその取りはずしは困難を極める。
【0006】
そこで、このような問題解決のために、特に被測定体が板状とされている場合には、保持台表面に碁盤の目状の溝を設け空気の通路となし、被測定体の着脱を容易にした例が出願人から特開昭62−65137「吸着チャック装置」で開示されている。しかしこの場合でも、被測定体と保持台表面とは面接触に近い状態となっており、両者の間に塵埃等が介在してしまうことは避けられない。
【0007】
これら被測定体と保持台の表面との吸着の問題と、その両者間に塵埃が介在してしまうという問題解決のために、板状の被測定体の側面を均等に保持し、被測定体の底面をフリー状態とした被測定体保持装置が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように被測定体をその側面のみにおいて保持するようにした場合には、被測定体がその自重によりたわむため、測定結果からそのたわみ量を除去して本来の被測定体表面形状を求めるために、周知のベキ級数多項式を用いた面倒な演算を行わなければならない。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、被測定体の測定結果が塵埃等の影響を受けるおそれがなく、また面倒な演算を施すことなく、本来の被測定体形状について高精度な測定結果を得ることができる被測定体の支持装置を容易に製造し得る製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の被測定体の支持装置の製造方法は、被測定体の形状を光学的に測定する測定装置において、
稠密に配列された多数の支持点により該被測定体を支持するように構成されてなり、
前記各支持点は支持体上に形成された固定層に、一部分が該固定層中に固着され他の部分が該固定層から突出するように固定されてなる多数の粒子の各頭頂部からなり、該各支持点は仮想的な一平面上に配されてなる被測定体の支持装置を製造する方法であって、
剛性部材の、高い面精度を有する第1の平面上に略同一サイズの多数の粒子を稠密に配置する粒子配置工程と、
剛性を有する平板状の支持部材からなる第2の平面上に、前記多数の粒子を固着するための固定剤層を形成する固定剤層形成工程と、
前記第1の平面上に配置された前記多数の粒子と、前記第2の平面上に形成された固定剤層を対向させ、前記第1の平面に前記第2の平面を被せるようにし、その状態で該第2の平面を上方から加圧して、前記固定剤層に前記多数の粒子を、各々の一部分が該固定剤層中に固着され他の部分が該固定剤層から突出するように、固着する粒子固着工程とからなることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記多数の粒子は、各々の粒子が隣接する3個以上の他の粒子と互いに点接触するように、稠密に配列されてなることを特徴とするものである。
また、前記粒子は球状とされてなることが望ましい。
【0012】
また、前記固定剤層は接着剤層であることが望ましい。
さらに前記固定剤層は低融点材料層であることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る被測定体の支持装置を示す概略側面図である。
すなわち、図示するように、本支持装置は剛性を有する平板状の支持部材3上に、多数の球体2を稠密に配列し固着した球体取付層4を積層してなる。
【0014】
上記多数の球体2は同一形状の微小(例えば直径が2〜3mm)なスチール製ボールベアリングからなり、それらの上部頂点は同一平面上に位置するように位置決めされている。
【0015】
また、上記球体取付層4は接着剤として周知のものから構成されてなり、一方上記支持部材3は金属板、ガラス板あるいは合成樹脂板等の種々の板状のものが用いられ、望ましくは熱膨張率の小さいものが用いられる。
【0016】
このような支持装置は、干渉計装置やモアレ装置等の光学測定装置において被測定体を支持する支持装置として用いられる。
【0017】
図2は、本実施形態の支持装置により板状の被測定体5(例えばシリコンウエハや石英製の波長板)を支持する様子を示すものである。図示するように板状の被測定体5の底面5Aは稠密に配列固定された多数の球体2の上部頂点により支持されるので、各球体2には被測定体5による荷重が均等に加わることとなり、平板状表面を有する保持台上に支持した場合と同様の支持効果を得ることが出来る。
【0018】
また、これら球体2と被測定体5の底面5Aとは点で接触することとなるから、これらの間に塵埃がはさまって前述したような従来技術の如き問題が発生するおそれがない。すなわち塵埃が被測定体5と球体2の間に侵入した場合にも塵埃は球体2に沿って滑落し、被測定体5と球体2の間にはさまるおそれがない。また、被測定体5が自重により保持部分と吸着してしまうという問題も発生しない。さらに、被測定体5は点で支持されることになるので、被測定体5がガラス等の透明部材で形成されている場合にも、上方から入射した検査光によるこの被測定体5の底面5Aにおける支持部材の反射光が測定結果に悪影響を及ぼす可能性を実値的に0に等しくすることができる。
【0019】
なお、ここで「稠密」とは球体2が略密に、かつ略均等に配列されている状態をいうものとし、例えば各球体2が平面方向に隣接するすべての球体2と点接触する図3の如き配列のみならず、図4あるいは図5に示すような、一部に略均等な空間が存在するものも含まれるものとする。
【0020】
また、上記球体2に代えて、図6に示す如く、被測定体5を支持する部分のみが球面形状の粒子2Aを用いたり、図7に示す如き、米粒状の粒子2Bを用いたりすることが可能である。要は、多数の粒子を稠密に配列させることができ、かつそれらの頂点において被検体5を支持することができるような形状を有するものであればよい。
【0021】
次に、上記支持装置の製造方法について説明する。
まず、球体配置工程において、図8に示すように極めて面精度の高い上面1Aを有する剛性平板1上に多数の球体2を稠密に配列する。
【0022】
次に、板状部材準備工程において、図9に示す如く、剛性を有する支持部材3の上面3Aに接着剤からなる球体取付層4を均一に塗布して板状部材を形成する。
【0023】
さらに、球体固着工程において、上記接着剤が固まらないうちに、図10に示す如く、多数の球体2が配列された剛性平板1上に、球体取付層4を下向きにした上記板状部材を被せるようにし、その状態で上記板状部材をその上方から加圧し、各球体2の一部(例えば半分程度)を球体取付層4内に固着せしめる。
【0024】
この状態で球体取付層4を構成する接着剤が固まるまで放置しておき、接着剤が固まったならば剛性平板1を取りはずす。この場合において、接着剤として低融点材料を用いると、上述した粒子の上部頂点側に接着剤が回り込んだ場合に除去するのに都合がよい。
【0025】
このようにして形成された支持装置は、上下反転させれば図1に示された状態のものとなる。
このように本実施形態による支持装置の製造方法によれば極めて簡単な作業で容易に支持装置を製造することができる。
【0026】
なお、上記実施形態においては、球体配置工程において球体2を剛性平板1の上面1A上に単に稠密に並べているが、剛性平板1の上面1A上に、球体2が通過もしくは嵌り込むことができる程度の孔を規則的に設けた、難接着性材料からなるシートを配設すれば、球体2を剛性平板1上に容易に配列することができるので望ましい。但し、このシートの孔は、球体2の上記上部頂点が剛性平板1の上面1Aに接触することを許容すものとする必要がある。
なお、球体2を前述した如き別形状の粒子とした場合にも同様である。
【0027】
このように孔を規則的に設けたシートを用いた場合には、固化していない状態の接着剤が球体を伝わって流下した場合でも、接着剤が上述した粒子の上部頂点側に回り込むのをこのシートで防止することが出来る。
【0028】
また、前述したシートをフッ素樹脂などの難接着性材料としておけば、接着剤が固化し剛性平板1を取り外したのち、シートを接着剤から容易に剥離することができ、接着剤から球体の上部頂点側をシートの厚さだけ均一に露出させることができるので望ましい。
【0029】
また、上述した球体2あるいはそれに代わる粒子が鋼などの磁性体からなる場合には、前述した球体配置工程において剛性平板1自体を磁石または着脱自在の磁石としたり、剛性平板1の下方から磁石を用いたりして粒子を配列させるようにすることも可能である。
【0030】
なお、粒子は稠密に配列されていなくとも、略密かつ略均等に配列されていればよいのであって上記シートあるいは磁石を用いて粒子を配列する場合には粒子を互いに当接させずとも、該粒子を略均一な位置に容易に配設することができる。
【0031】
また、上記粒子の材質は上記実施形態によるものに限られず、他の金属、ガラス、セラミックス等の耐久性を有する種々のものを用いることが可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の被測定体の支持装置によれば、略均等位置に配設された多数の粒子を用いて、被測定体を点で支持するようにしているので、被測定体と支持部材との密着を防止でき、侵入した塵埃を粒子の外面に沿って滑落させてその塵埃により測定結果が影響を受けないようにすることができ、さらに被測定体を周囲支持する方法に比べて自重たわみがほとんどないので測定結果からそのたわみ量を面倒な計算式を用いて減算する必要も生じない。
【0033】
また、本発明の支持装置の製造方法によれば、面精度の高い面を有する剛性部材の該面上に多数の微小粒子を配設し、次に粒子固定層が形成された支持部材を粒子固定層を下向きにして上記配列された粒子上に押し付けて各粒子の一部が粒子固定層に固着された後、上記剛性部材を取り外し、上下反転させることにより支持装置を製造するようにしており、この状態で各粒子の上部頂点は上記剛性部材の平面にならい、仮想平面上に高精度に位置しているので、簡易かつ容易に高精度な被測定体の支持装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る被測定体の支持装置を示す概略図
【図2】図1の装置により被測定体を支持せしめた様子を示す概略図
【図3】球体の配列状態を示す図
【図4】図3に示す球体の配列状態の変更例を示す図
【図5】図3に示す球体の配列状態の他の変更例を示す図
【図6】図1に示す粒子形状の変更例を示す図
【図7】図1に示す粒子形状の他の変更例を示す図
【図8】本発明の実施形態に係る被測定体の支持装置の製造方法における球体配置工程を示す図
【図9】本発明の実施形態に係る被測定体の支持装置の製造方法における板状部材準備工程を示す図
【図10】本発明の実施形態に係る被測定体の支持装置の製造方法における球体固着工程を示す図
【符号の説明】
1 剛性平板
1A 上面
2 球体
2A、2B 粒子
3 支持部材
3A 上面
4 球体取付層
5 被測定体
5A 底面
Claims (5)
- 被測定体の形状を測定する測定装置において、
稠密に配列された多数の支持点により該被測定体を支持するように構成されてなり、
前記各支持点は支持体上に形成された固定層に、一部分が該固定層中に固着され他の部分が該固定層から突出するように固定されてなる多数の粒子の各頭頂部からなり、該各支持点は仮想的な一平面上に配されてなる被測定体の支持装置を製造する方法であって、
剛性部材の、高い面精度を有する第1の平面上に略同一サイズの多数の粒子を稠密に配置する粒子配置工程と、
剛性を有する平板状の支持部材からなる第2の平面上に、前記多数の粒子を固着するための固定剤層を形成する固定剤層形成工程と、
前記第1の平面上に配置された前記多数の粒子と、前記第2の平面上に形成された固定剤層を対向させ、前記第1の平面に前記第2の平面を被せるようにし、その状態で該第2の平面を上方から加圧して、前記固定剤層に前記多数の粒子を、各々の一部分が該固定剤層中に固着され他の部分が該固定剤層から突出するように、固着する粒子固着工程とからなることを特徴とする被測定体の支持装置の製造方法。 - 前記多数の粒子は、各々の粒子が隣接する3個以上の他の粒子と互いに点接触するように、稠密に配列されてなることを特徴とする請求項1記載の被測定体の支持装置の製造方法。
- 前記粒子は球状とされてなることを特徴とする請求項1または2記載の被測定体の支持装置の製造方法。
- 前記固定剤層は接着剤層であることを特徴とする請求項1〜3までのいずれか1項記載の被測定体の支持装置の製造方法。
- 前記固定剤層は低融点材料層であることを特徴とする請求項1〜4までのいずれか1項記載の被測定体の支持装置の製造方法。
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