JP4218224B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、第一の機関運転条件下で燃料が噴射される第一噴孔と、第二の機関運転条件下で燃料が噴射される第二噴孔と、第一噴孔及び第二噴孔を開閉する噴孔開閉弁を具備し、噴孔開閉弁の先端部がサック部に入ることによってシール部が形成され、噴孔開閉弁の先端部がサック部に入った状態のまま第一噴孔及び第二噴孔が開閉され得る燃料噴射装置が知られている。この種の燃料噴射装置の例としては、例えば特開平2000−73905号公報の図13に記載されたものがある。特開平2000−73905号公報の図13に記載された燃料噴射装置では、噴孔開閉弁のリフト量が小さい時には、噴孔開閉弁の先端部によって第一噴孔が閉じられ、その第一噴孔から燃料が噴射されず、噴孔開閉弁のリフト量が大きい時には、噴孔開閉弁の先端部がサック部に入った状態であるものの、噴孔開閉弁の先端部によって第一噴孔が閉じられなくなり、その第一噴孔から燃料が噴射されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開平2000−73905号公報の図13に記載された燃料噴射装置では、噴孔開閉弁の先端部により、噴孔開閉弁のリフト量に応じて第一噴孔が開閉されるものの、噴孔開閉弁の先端部がサック部内を摺動するように構成されているため、噴孔開閉弁の先端部とサック部の壁面との間には所定のクリアランスが設けられている。従って、噴孔開閉弁の先端部によって第一噴孔が閉じられている時であっても、シール部(噴孔開閉弁の最先端から第一噴孔までの部分)の長さが比較的短い場合には、そのシール部を介して燃料が第一噴孔まで漏れてしまうおそれがある。一方で、特開平2000−73905号公報の図13に記載された燃料噴射装置では、そのシール部の長さは、噴孔開閉弁のフルリフト量に相当する長さよりも短い長さになる。従って、特開平2000−73905号公報の図13に記載された燃料噴射装置においては、燃料噴射装置の構造上、そのシール部の長さを長くすることが困難である。
【0004】
また従来、第一の機関運転条件下で燃料が噴射される第一噴孔と、第二の機関運転条件下で燃料が噴射される第二噴孔と、第一噴孔及び第二噴孔を開閉する噴孔開閉弁とを具備する燃料噴射装置が知られている。この種の燃料噴射装置の例としては、例えば特開平2000−73905号公報の図13に記載されたものがある。特開平2000−73905号公報の図13に記載された燃料噴射装置では、第一の機関運転条件下においては、噴孔開閉弁のリフト量が大きくされ、第一噴孔及び第二噴孔の両方から燃料が噴射される。また、第二の機関運転条件下においては、噴孔開閉弁のリフト量が小さくされ、第一噴孔からは燃料が噴射されず、第二噴孔のみから燃料が噴射される。つまり、特開平2000−73905号公報の図13に記載された燃料噴射装置では、噴孔開閉弁がリフトされるときには、常に第二噴孔から燃料が噴射されるようになっている。
【0005】
ところが、機関運転条件に応じて最適な燃料噴射を実行するためには、第二噴孔から燃料を噴射せず、第一噴孔のみから燃料を噴射することが要求される場合もあり得る。しかしながら、特開平2000−73905号公報の図13に記載された燃料噴射装置では、噴孔開閉弁がリフトされるときには常に第二噴孔から燃料が噴射されるため、特開平2000−73905号公報の図13に記載された燃料噴射装置によっては、第二噴孔から燃料を噴射することなく第一噴孔のみから燃料を噴射し、機関運転条件に応じた最適な燃料噴射を実行することができない。
【0006】
前記問題点に鑑み、本発明は噴孔開閉弁の先端部がサック部に入ることによって形成されるシール部の長さを長くし、そのシール部を介して燃料が噴孔まで漏れてしまうおそれを低減することができる燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【0007】
更に本発明は第二噴孔から燃料を噴射することなく第一噴孔のみから燃料を噴射し、機関運転条件に応じた最適な燃料噴射を実行することができる燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、第一の機関運転条件下で燃料が噴射される第一噴孔と、第二の機関運転条件下で燃料が噴射される第二噴孔と、第一噴孔及び第二噴孔を開閉する噴孔開閉弁を具備し、噴孔開閉弁の先端部がサック部に入ることによってシール部が形成され、噴孔開閉弁の先端部がサック部に入った状態のまま第一噴孔及び第二噴孔が開閉され得る燃料噴射装置において、シール部を隔てて第一噴孔と第二噴孔とを配置し、第一噴孔を開閉する第一噴孔開閉弁と第二噴孔を開閉する第二噴孔開閉弁とを設け、第一噴孔開閉弁の閉弁時に第一噴孔開閉弁が着座する第一シート位置と第二噴孔開閉弁の閉弁時に第二噴孔開閉弁が着座する第二シート位置とをシール部とは別個に設け、第一噴孔開閉弁を閉弁側に付勢するための第一制御室であってコモンレール及びリターン通路にそれぞれ連結された第一制御室と、第二噴孔開閉弁を閉弁側に付勢するための第二制御室であってコモンレール及びリターン通路にそれぞれ連結された第二制御室と、第一制御室とリターン通路との接続及び遮断並びに第二制御室とリターン通路との接続及び遮断を制御することにより第一制御室内及び第二制御室内の圧力を制御するための圧力制御弁と、を設け、圧力制御弁により第一制御室がリターン通路から遮断されると第一制御室内の圧力が上昇することにより第一噴孔開閉弁が閉弁されて第一噴孔からの燃料噴射が停止され、圧力制御弁により第一制御室がリターン通路に接続されると第一制御室内の圧力が低下することにより第一噴孔開閉弁が開弁されて第一噴孔から燃料が噴射され、圧力制御弁により第二制御室がリターン通路から遮断されると第二制御室内の圧力が上昇することにより第二噴孔開閉弁が閉弁されて第二噴孔からの燃料噴射が停止され、圧力制御弁により第二制御室がリターン通路に接続されると第二制御室内の圧力が低下することにより第二噴孔開閉弁が開弁されて第二噴孔から燃料が噴射されることを特徴とする燃料噴射装置が提供される。
【0009】
請求項1に記載の燃料噴射装置では、第一噴孔開閉弁又は第二噴孔開閉弁の先端部がサック部に入ることによって形成されるシール部を隔てて第一噴孔と第二噴孔とが配置され、第一噴孔開閉弁の閉弁時に第一噴孔開閉弁が着座する第一シート位置と第二噴孔開閉弁の閉弁時に第二噴孔開閉弁が着座する第二シート位置とがシール部とは別個に設けられている。つまり、請求項1に記載の燃料噴射装置では、第一噴孔開閉弁又は第二噴孔開閉弁の先端部によって第一噴孔が閉じられるのではなく、第一噴孔開閉弁が第一シート位置に着座することによって第一噴孔が閉じられる。また、第一噴孔開閉弁が第一シート位置に着座するか否かによって第一噴孔が開閉されるようになっているため、特開平2000−73905号公報の図13に記載された燃料噴射装置のように噴孔開閉弁の先端部によって第一噴孔を開閉できるようにするためにシール部の長さを短くする必要もない。そのため、例えばシール部の長さを長く設定しておくことにより、シール部を介して燃料が第一噴孔又は第二噴孔まで漏れてしまうおそれを低減することができる。つまり、第一噴孔開閉弁又は第二噴孔開閉弁の先端部がサック部に入ることによって形成されるシール部の長さを長くし、そのシール部を介して燃料が第一噴孔又は第二噴孔まで漏れてしまうおそれを低減することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、第一噴孔開閉弁の先端部がサック部に入った状態のまま第一噴孔が開閉され得るように第一噴孔開閉弁及び第一噴孔を形成し、第一噴孔開閉弁及び第二噴孔開閉弁を閉弁すべきとき、最初に第一噴孔開閉弁を第一シート位置に着座させ、次いで第二噴孔開閉弁を第二シート位置に着座させることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置が提供される。
【0011】
請求項2に記載の燃料噴射装置では、第一噴孔開閉弁の先端部がサック部に入った状態のまま第一噴孔が開閉され得るように第一噴孔開閉弁及び第一噴孔が形成され、第一噴孔開閉弁及び第二噴孔開閉弁を閉弁すべきときには、最初に第一噴孔開閉弁が第一シート位置に着座せしめられ、次いで第二噴孔開閉弁が第二シート位置に着座せしめられる。そのため、最初に第二噴孔開閉弁が第二シート位置に着座せしめられ、次いで第一噴孔開閉弁が第一シート位置に着座せしめられるのに伴い、第一噴孔開閉弁が第一シート位置に着座せしめられる時にサック部内の燃料が第二噴孔を介して押し出されてしまうのを回避することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、第一の機関運転条件下で燃料が噴射される第一噴孔と、第二の機関運転条件下で燃料が噴射される第二噴孔と、第一噴孔及び第二噴孔を開閉する噴孔開閉弁とを具備する燃料噴射装置において、第一噴孔を開閉するための第一噴孔開閉弁と、第二噴孔を開閉するために第一噴孔開閉弁の内側に配置された第二噴孔開閉弁とが設けられ、第一の機関運転条件下では、第二噴孔から燃料が噴射されることなく第一噴孔から燃料が噴射され、第二の機関運転条件下では、第一噴孔から燃料が噴射されることなく第二噴孔から燃料が噴射され、第一噴孔開閉弁を閉弁側に付勢するための第一制御室であってコモンレール及びリターン通路にそれぞれ連結された第一制御室と、第二噴孔開閉弁を閉弁側に付勢するための第二制御室であってコモンレール及びリターン通路にそれぞれ連結された第二制御室と、第一制御室とリターン通路との接続及び遮断並びに第二制御室とリターン通路との接続及び遮断を制御することにより第一制御室内及び第二制御室内の圧力を制御するための圧力制御弁と、を設け、圧力制御弁により第一制御室がリターン通路から遮断されると第一制御室内の圧力が上昇することにより第一噴孔開閉弁が閉弁されて第一噴孔からの燃料噴射が停止され、圧力制御弁により第一制御室がリターン通路に接続されると第一制御室内の圧力が低下することにより第一噴孔開閉弁が開弁されて第一噴孔から燃料が噴射され、圧力制御弁により第二制御室がリターン通路から遮断されると第二制御室内の圧力が上昇することにより第二噴孔開閉弁が閉弁されて第二噴孔からの燃料噴射が停止され、圧力制御弁により第二制御室がリターン通路に接続されると第二制御室内の圧力が低下することにより第二噴孔開閉弁が開弁されて第二噴孔から燃料が噴射されることを特徴とする燃料噴射装置が提供される。
【0013】
請求項3に記載の燃料噴射装置では、機関運転条件に応じて最適な燃料噴射を実行するためには第二噴孔から燃料を噴射せず第一噴孔のみから燃料を噴射することが要求される場合もあり得る点に鑑み、第一噴孔を開閉するための第一噴孔開閉弁と、第二噴孔を開閉するために第一噴孔開閉弁の内側に配置された第二噴孔開閉弁とが設けられ、第一の機関運転条件下では第二噴孔から燃料が噴射されることなく第一噴孔から燃料が噴射され、第二の機関運転条件下では第一噴孔から燃料が噴射されることなく第二噴孔から燃料が噴射される。そのため、第二噴孔から燃料を噴射することなく第一噴孔のみから燃料を噴射できるようにすることにより、機関運転条件に応じた最適な燃料噴射を実行することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は本発明の燃料噴射装置の第一の実施形態の部分断面側面図である。図1に示す燃料が噴射されない第一モードにおいては、噴孔開閉弁としての第一ニードル弁及び第二ニードル弁のリフト量がゼロになっている。図1において、1は第一の機関運転条件下で燃料が噴射される第一噴孔、2は第一噴孔1を開閉するための第一ニードル弁、3は第一ニードル弁2の閉弁時に第一ニードル弁2が着座する第一シート位置である。4は第二の機関運転条件下で燃料が噴射される第二噴孔、5は第二噴孔4を開閉するために第一ニードル弁2の内側に配置された第二ニードル弁、6は第二ニードル弁5の閉弁時に第二ニードル弁5が着座する第二シート位置である。第一の実施形態では、第一ニードル弁2及び第二ニードル弁5は上側にリフトするように配置されている。
【0016】
7は第一噴孔1に燃料を供給するための第一燃料供給通路である。第一燃料供給通路7内の燃料により、第一ニードル弁2は開弁側(図1の上側)に付勢される。8は第一ニードル弁2を閉弁側(図1の下側)に付勢するための第一制御室、9は第一ニードル弁2を閉弁側(図1の下側)に付勢するためのスプリング、10は第一制御室8内に流入する燃料量を設定するための第一インレットオリフィス、11は第一制御室8から流出する燃料量を設定するための第一アウトレットオリフィスである。12は第二噴孔4に燃料を供給するための第二燃料供給通路である。第二燃料供給通路12内の燃料により、第二ニードル弁5は開弁側(図1の上側)に付勢される。13は第二ニードル弁5を閉弁側(図1の下側)に付勢するための第二制御室、14は第二ニードル弁5を閉弁側(図1の下側)に付勢するためのスプリング、15は第二制御室13内に流入する燃料量を設定するための第二インレットオリフィス、16は第二制御室13から流出する燃料量を設定するための第二アウトレットオリフィスである。
【0017】
17は第一制御室8内の圧力及び第二制御室13内の圧力を制御するための圧力制御弁である。第一の実施形態では、圧力制御弁17は下側にリフトするように配置されている。18は圧力制御弁17を収容する制御弁室、19は制御弁室17内に流入する燃料量を設定するための第三インレットオリフィスである。第三インレットオリフィス19は第一ニードル弁2及び第二ニードル弁5の閉弁速度を確保するために設けられているが、他の実施形態では、この第三インレットオリフィス19を排除することも可能である。20は圧力制御弁17を駆動するためのピエゾ式アクチュエータである。第一の実施形態では、圧力制御弁17を駆動するためにピエゾ式アクチュエータが用いられているが、他の実施形態では、圧力制御弁17を駆動するために他の任意のアクチュエータを使用可能である。
【0018】
21は第一ニードル弁2の先端部、22はサック部である。第一の実施形態では、第一ニードル弁2がリフトしても、第一ニードル弁2の先端部21がサック部22に入ったままになるように、第一ニードル弁2の先端部21及びサック部22は形成されている。つまり、第一ニードル弁2及び第二ニードル弁5は、第一ニードル弁2の先端部21がサック部22に入った状態のまま第一噴孔1及び第二噴孔4を開閉することができる。23は第一ニードル弁2の先端部21とサック部22の内壁面とにより形成されるシール部である。つまり、このシール部23は、第一ニードル弁2の先端部21がサック部22に入ることにより形成される。図1に示すように、第一噴孔1と第二噴孔4とはシール部23を隔てて配置されている。また、シール部23とは別個に第一シート位置3と第二シート位置6とが設けられている。
【0019】
図1に示す第一噴孔1及び第二噴孔4から燃料が噴射されない第一モードにおいては、圧力制御弁17のリフト量がゼロとされ、そのため、制御弁室18内の燃料がリターン通路に流出できなくなり、制御弁室18、第一制御室8及び第二制御室13内の圧力が上昇する。その結果、第一ニードル弁2及び第二ニードル弁5が閉弁側(図1の下側)に付勢され、第一ニードル弁2及び第二ニードル弁5のリフト量はゼロになっている。
【0020】
図2は第一噴孔から燃料が噴射され第二噴孔から燃料が噴射されない第二モードを示した図1と同様の図である。図2に示すように、第一噴孔1から燃料が噴射され第二噴孔4から燃料が噴射されない第二モードにおいては、圧力制御弁17がフルリフト位置に配置される。そのため、図1に示した場合と同様に、第二制御室13内の燃料は第二アウトレットオリフィス16及び制御弁室18を介してリターン通路に流出することができず、第二制御室13内の圧力が高い状態のまま維持される。その結果、第二ニードル弁5のリフト量がゼロのまま維持され、第二噴孔4から燃料は噴射されない。一方、第一制御室8内の燃料は第一アウトレットオリフィス11及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるようになり、第一制御室8内の圧力が減少する。その結果、第一ニードル弁2はリフトせしめられ、第一噴孔1から燃料が噴射される。図2に示した第二モードは、例えば燃費を向上させるための実用モード域において使用され、微粒化のよい噴霧が提供される。
【0021】
図3は第一噴孔及び第二噴孔の両方から燃料が噴射される第三モードを示した図1と同様の図である。図3に示すように、第一噴孔1及び第二噴孔4の両方から燃料が噴射される第三モードにおいては、圧力制御弁17が中間リフト位置に配置される。そのため、図2に示した場合と同様に、第一制御室8内の燃料が第一アウトレットオリフィス11及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるようになり、第一制御室8内の圧力が減少する。その結果、図2に示した場合と同様に、第一ニードル弁2がリフトせしめられ、第一噴孔1から燃料が噴射される。更に、第二制御室13内の燃料も第二アウトレットオリフィス16及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるようになり、第二制御室13内の圧力が減少する。その結果、第二ニードル弁5がリフトせしめられ、第二噴孔4から燃料が噴射される。図3に示した第三モードは、例えば高出力が要求される出力域において使用され、高噴射率の噴射が行われる。
【0022】
図示しないが、図3に示した第三モードから図1に示した第一モードに切換えられるとき、つまり、第一ニードル弁2及び第二ニードル弁5が開弁された状態から第一ニードル弁2及び第二ニードル弁5が閉弁された状態に切換えられるとき、最初に第一ニードル弁2が第一シート位置3に着座せしめられ、次いで第二ニードル弁5が第二シート位置6に着座せしめられるように、第一インレットオリフィス10、第一アウトレットオリフィス11、第二インレットオリフィス15及び第二アウトレットオリフィス16は設定されている。
【0023】
第一の実施形態によれば、図1〜図3に示したように、第一ニードル弁2の先端部21がサック部22に入ることによって形成されるシール部23を隔てて第一噴孔1と第二噴孔4とが配置され、第一ニードル弁2の閉弁時に第一ニードル弁2が着座する第一シート位置3と第二ニードル弁5の閉弁時に第二ニードル弁5が着座する第二シート位置6とがシール部23とは別個に設けられている。つまり、第一ニードル弁2の先端部21によって第一噴孔1が閉じられるのではなく、第一ニードル弁2が第一シート位置3に着座することによって第一噴孔1が閉じられる。また、第一ニードル弁2が第一シート位置3に着座するか否かによって第一噴孔1が開閉されるようになっているため、特開平2000−73905号公報の図13に記載された燃料噴射装置のようにニードル弁の先端部によって第一噴孔を開閉できるようにするためにシール部の長さを短くする必要もない。そのため、例えばシール部23の長さを長く設定しておくことにより、シール部23を介して燃料が第一噴孔1又は第二噴孔4まで漏れてしまうおそれを低減することができる。つまり、第一ニードル弁2の先端部21がサック部22に入ることによって形成されるシール部23の長さを長くし、そのシール部23を介して燃料が第一噴孔1又は第二噴孔4まで漏れてしまうおそれを低減することができる。
【0024】
更に第一の実施形態によれば、図1〜図3に示したように、第一ニードル弁2の先端部21がサック部22に入った状態のまま第一噴孔1が開閉され得るように第一ニードル弁2及び第一噴孔1が形成され、第一ニードル弁2及び第二ニードル弁5を閉弁すべきとき(図1)には、最初に第一ニードル弁2が第一シート位置3に着座せしめられ、次いで第二ニードル弁5が第二シート位置6に着座せしめられる。そのため、最初に第二ニードル弁5が第二シート位置6に着座せしめられ、次いで第一ニードル弁2が第一シート位置3に着座せしめられるのに伴い、第一ニードル弁2が第一シート位置3に着座せしめられる時にサック部22内の燃料が第一ニードル弁2の先端部21によって第二噴孔4を介して押し出されてしまうのを回避することができる。
【0025】
以下、本発明の燃料噴射装置の第二の実施形態について説明する。図4は本発明の燃料噴射装置の第二の実施形態の図1と同様の部分断面側面図である。図4に示す燃料が噴射されない第一モードにおいては、噴孔開閉弁としての第一ニードル弁及び第二ニードル弁のリフト量がゼロになっている。図4において、図1〜図3に示した参照番号と同一の参照番号は図1〜図3に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示している。211は第一制御室8から流出する燃料量を設定するための第一アウトレットオリフィスである。216は第二制御室13から流出する燃料量を設定するための第二アウトレットオリフィスである。
【0026】
図4に示す第一噴孔1及び第二噴孔4から燃料が噴射されない第一モードにおいては、圧力制御弁17のリフト量がゼロとされ、そのため、制御弁室18内の燃料がリターン通路に流出できなくなり、制御弁室18、第一制御室8及び第二制御室13内の圧力が上昇する。その結果、第一ニードル弁2及び第二ニードル弁5が閉弁側(図4の下側)に付勢され、第一ニードル弁2及び第二ニードル弁5のリフト量はゼロになっている。
【0027】
図5は第一噴孔から燃料が噴射されず第二噴孔から燃料が噴射される第二モードを示した図4と同様の図である。図5に示すように、第一噴孔1から燃料が噴射されず第二噴孔4から燃料が噴射される第二モードにおいては、圧力制御弁17がフルリフト位置に配置される。圧力制御弁17がフルリフト位置に配置されると、第一制御室8内の燃料は第一アウトレットオリフィス211及び制御弁室18を介してリターン通路に流出することができず、第一制御室8内の圧力が高い状態のまま維持される。その結果、第一ニードル弁2のリフト量がゼロのまま維持され、第一噴孔1から燃料は噴射されない。一方、第二制御室13内の燃料は第二アウトレットオリフィス216及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるようになり、第二制御室13内の圧力が減少する。その結果、第二ニードル弁5はリフトせしめられ、第二噴孔4から燃料が噴射される。図5に示した第二モードは、例えば燃費を向上させるための実用モード域において使用され、微粒化のよい噴霧が提供される。
【0028】
図6は第一噴孔及び第二噴孔の両方から燃料が噴射される第三モードを示した図4と同様の図である。図6に示すように、第一噴孔1及び第二噴孔4の両方から燃料が噴射される第三モードにおいては、圧力制御弁17が中間リフト位置に配置される。圧力制御弁17が中間リフト位置に配置されると、第二制御室13内の燃料が第二アウトレットオリフィス216及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるようになり、第二制御室13内の圧力が減少する。その結果、第二ニードル弁5がリフトせしめられ、第二噴孔4から燃料が噴射される。更に、第一制御室8内の燃料も第一アウトレットオリフィス211及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるようになり、第一制御室8内の圧力が減少する。その結果、第一ニードル弁2がリフトせしめられ、第一噴孔1から燃料が噴射される。つまり、第一噴孔1及び第二噴孔4の両方から燃料が噴射される。図6に示した第三モードは、例えば高出力が要求される出力域において使用され、高噴射率の噴射が行われる。
【0029】
図示しないが、図6に示した第三モードから図4に示した第一モードに切換えられるとき、つまり、第一ニードル弁2及び第二ニードル弁5が開弁された状態から第一ニードル弁2及び第二ニードル弁5が閉弁された状態に切換えられるとき、最初に第一ニードル弁2が第一シート位置3に着座せしめられ、次いで第二ニードル弁5が第二シート位置6に着座せしめられるように、第一インレットオリフィス10、第一アウトレットオリフィス211、第二インレットオリフィス15及び第二アウトレットオリフィス216は設定されている。
【0030】
第二の実施形態によれば、第一の実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0031】
以下、本発明の燃料噴射装置の第三の実施形態について説明する。図7は本発明の燃料噴射装置の第三の実施形態の図1と同様の部分断面側面図である。図7に示す燃料が噴射されない第一モードにおいては、噴孔開閉弁としての第一ニードル弁及び第二ニードル弁のリフト量がゼロになっている。図7において、図1〜図6に示した参照番号と同一の参照番号は、図1〜図6に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示している。302は第一噴孔1を開閉するための第一ニードル弁、305は第二噴孔4を開閉するために第一ニードル弁2の内側に配置された第二ニードル弁である。第三の実施形態では、第一ニードル弁302及び第二ニードル弁305は上側にリフトするように配置されている。
【0032】
第一燃料供給通路7内の燃料により、第一ニードル弁302は開弁側(図7の上側)に付勢される。308は第一ニードル弁302を閉弁側(図7の下側)に付勢するための第一制御室、309は第一ニードル弁302を閉弁側(図7の下側)に付勢するためのスプリング、310は第一制御室308内に流入する燃料量を設定するための第一インレットオリフィス、311は第一制御室308から流出する燃料量を設定するための第一アウトレットオリフィスである。第二燃料供給通路12内の燃料により、第二ニードル弁305は開弁側(図7の上側)に付勢される。313は第二ニードル弁305を閉弁側(図7の下側)に付勢するための第二制御室、314は第二ニードル弁305を閉弁側(図7の下側)に付勢するためのスプリング、315は第二制御室313内に流入する燃料量を設定するための第二インレットオリフィス、316は第二制御室313から流出する燃料量を設定するための第二アウトレットオリフィスである。
【0033】
図7に示す第一噴孔1及び第二噴孔4から燃料が噴射されない第一モードにおいては、圧力制御弁17のリフト量がゼロとされ、そのため、制御弁室18内の燃料がリターン通路に流出できなくなり、制御弁室18、第一制御室308及び第二制御室313内の圧力が上昇する。その結果、第一ニードル弁302及び第二ニードル弁305が閉弁側(図7の下側)に付勢され、第一ニードル弁302及び第二ニードル弁305のリフト量はゼロになっている。
【0034】
図8は第一噴孔から燃料が噴射され第二噴孔から燃料が噴射されない第二モードを示した図7と同様の図である。図8に示すように、第一噴孔1から燃料が噴射され第二噴孔4から燃料が噴射されない第二モードにおいては、圧力制御弁17が中間リフト位置に配置される。そのため、第一制御室308内の燃料は第一アウトレットオリフィス311及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるようになり、第一制御室308内の圧力が減少する。その結果、第一ニードル弁302はリフトせしめられ、第一噴孔1から燃料が噴射される。一方、第二制御室313内の燃料も第二アウトレットオリフィス316及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるように圧力制御弁17が中間リフト位置に配置されているものの、第一制御室308内の燃料よりも第二制御室313内の燃料の方が流出しづらいように第二アウトレットオリフィス316が形成されている。そのため、第一ニードル弁302がリフトせしめられた時点において、第二ニードル弁305はリフトすることができないようになっている。その結果、第二モードにおいては、第一噴孔1のみから燃料が噴射され、第二噴孔4からは燃料が噴射されない。図8に示した第二モードは、例えば高出力が要求される出力域において使用され、高噴射率の噴射が行われる。そのために、第一噴孔1の直径は比較的大きくされている。
【0035】
図9は第一噴孔から燃料が噴射されず第二噴孔から燃料が噴射される第三モードを示した図7と同様の図である。図9に示すように、第一噴孔1から燃料が噴射されず第二噴孔4から燃料が噴射される第三モードにおいては、圧力制御弁17がフルリフト位置に配置される。そのため、図7に示した場合と同様に、第一制御室308内の燃料が第一アウトレットオリフィス311及び制御弁室18を介してリターン通路に流出することができず、第一制御室308内の圧力が高い状態のまま維持される。その結果、第一ニードル弁302のリフト量がゼロのまま維持され、第一噴孔1から燃料は噴射されない。一方、第二制御室313内の燃料は第二アウトレットオリフィス316及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるようになり、第二制御室313内の圧力が減少する。その結果、第二ニードル弁305はリフトせしめられ、第二噴孔4から燃料が噴射される。図9に示した第三モードは、例えばエミッションを向上させるための実用モード域において使用され、微粒化のよい噴霧が提供される。そのために、第二噴孔4の直径は比較的小さくされている。
【0036】
第三の実施形態によれば、図7〜図9に示したように、第一ニードル弁302の先端部21がサック部22に入ることによって形成されるシール部23を隔てて第一噴孔1と第二噴孔4とが配置され、第一ニードル弁302の閉弁時に第一ニードル弁302が着座する第一シート位置3と第二ニードル弁305の閉弁時に第二ニードル弁305が着座する第二シート位置6とがシール部23とは別個に設けられている。つまり、第一ニードル弁302の先端部21によって第一噴孔1が閉じられるのではなく、第一ニードル弁302が第一シート位置3に着座することによって第一噴孔1が閉じられる。また、第一ニードル弁302が第一シート位置3に着座するか否かによって第一噴孔1が開閉されるようになっているため、特開平2000−73905号公報の図13に記載された燃料噴射装置のようにニードル弁の先端部によって第一噴孔を開閉できるようにするためにシール部の長さを短くする必要もない。そのため、例えばシール部23の長さを長く設定しておくことにより、シール部23を介して燃料が第一噴孔1又は第二噴孔4まで漏れてしまうおそれを低減することができる。つまり、第一ニードル弁302の先端部21がサック部22に入ることによって形成されるシール部23の長さを長くし、そのシール部23を介して燃料が第一噴孔1又は第二噴孔4まで漏れてしまうおそれを低減することができる。
【0037】
更に第三の実施形態によれば、機関運転条件に応じて最適な燃料噴射を実行するためには第二噴孔4から燃料を噴射せず第一噴孔1のみから燃料を噴射することが要求される場合もあり得る点に鑑み、第一噴孔1を開閉するための第一ニードル弁302と、第二噴孔4を開閉するために第一ニードル弁302の内側に配置された第二ニードル弁305とが設けられ、第一の機関運転条件下では図8に示したように第二噴孔4から燃料が噴射されることなく第一噴孔1から燃料が噴射され、第二の機関運転条件下では図9に示したように第一噴孔1から燃料が噴射されることなく第二噴孔4から燃料が噴射される。そのため、第二噴孔4から燃料を噴射することなく第一噴孔1のみから燃料を噴射できるようにすることにより、機関運転条件に応じた最適な燃料噴射を実行することができる。
【0038】
以下、本発明の燃料噴射装置の第四の実施形態について説明する。図10は本発明の燃料噴射装置の第四の実施形態の図1と同様の部分断面側面図である。図10に示す燃料が噴射されない第一モードにおいては、噴孔開閉弁としての第一ニードル弁及び第二ニードル弁のリフト量がゼロになっている。図10において、図1〜図9に示した参照番号と同一の参照番号は、図1〜図9に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示している。402は第一噴孔1を開閉するための第一ニードル弁、404は第二の機関運転条件下で燃料が噴射される第二噴孔、421は第一ニードル弁302の先端部である。図11は第一ニードル弁の先端部の断面図である。図11に示すように、第一ニードル弁302の先端部421には、スワールを形成するための穴440が設けられている。
【0039】
図10に示す第一噴孔1及び第二噴孔404から燃料が噴射されない第一モードにおいては、圧力制御弁17のリフト量がゼロとされ、そのため、制御弁室18内の燃料がリターン通路に流出できなくなり、制御弁室18、第一制御室308及び第二制御室313内の圧力が上昇する。その結果、第一ニードル弁402及び第二ニードル弁305が閉弁側(図10の下側)に付勢され、第一ニードル弁402及び第二ニードル弁305のリフト量はゼロになっている。
【0040】
図12は第一噴孔から燃料が噴射され第二噴孔から燃料が噴射されない第二モードを示した図10と同様の図である。図12に示すように、第一噴孔1から燃料が噴射され第二噴孔404から燃料が噴射されない第二モードにおいては、圧力制御弁17が中間リフト位置に配置される。そのため、第一制御室308内の燃料は第一アウトレットオリフィス311及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるようになり、第一制御室308内の圧力が減少する。その結果、第一ニードル弁302はリフトせしめられ、第一噴孔1から燃料が噴射される。一方、第二制御室313内の燃料も第二アウトレットオリフィス316及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるように圧力制御弁17が中間リフト位置に配置されているものの、第一制御室308内の燃料よりも第二制御室313内の燃料の方が流出しづらいように第二アウトレットオリフィス316が形成されている。そのため、第一ニードル弁402がリフトせしめられた時点において、第二ニードル弁305はリフトすることができないようになっている。その結果、第二モードにおいては、第一噴孔1のみから燃料が噴射され、第二噴孔404からは燃料が噴射されない。図12に示した第二モードは、例えば高出力が要求される出力域において使用される。この第二モードでは、高噴射率の噴射が行われ、貫徹力の高い噴霧が形成される。そのために、第一噴孔1の直径は比較的大きくされている。
【0041】
図13は第一噴孔から燃料が噴射されず第二噴孔から燃料が噴射される第三モードを示した図10と同様の図である。図13に示すように、第一噴孔1から燃料が噴射されず第二噴孔404から燃料が噴射される第三モードにおいては、圧力制御弁17がフルリフト位置に配置される。そのため、図10に示した場合と同様に、第一制御室308内の燃料が第一アウトレットオリフィス311及び制御弁室18を介してリターン通路に流出することができず、第一制御室308内の圧力が高い状態のまま維持される。その結果、第一ニードル弁302のリフト量がゼロのまま維持され、第一噴孔1から燃料は噴射されない。一方、第二制御室313内の燃料は第二アウトレットオリフィス316及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるようになり、第二制御室313内の圧力が減少する。その結果、第二ニードル弁305はリフトせしめられ、第二噴孔404から燃料が噴射される。図13に示した第三モードは、例えば予混合圧縮着火燃焼を実現し、エミッションを向上させるためのモード域において使用され、貫徹力が低く拡散度合いが高い噴霧が提供される。そのために、第二噴孔4の直径は比較的小さくされている。図13に示すように、第四の実施形態では、貫徹力が低く拡散度合いが高い噴霧を、インジェクタの下側であってピストン(図示せず)の上部空間内に形成可能である。
【0042】
第四の実施形態によれば、図10〜図13に示したように、第一ニードル弁402の先端部421がサック部22に入ることによって形成されるシール部23を隔てて第一噴孔1と第二噴孔404とが配置され、第一ニードル弁402の閉弁時に第一ニードル弁402が着座する第一シート位置3と第二ニードル弁305の閉弁時に第二ニードル弁305が着座する第二シート位置6とがシール部23とは別個に設けられている。つまり、第一ニードル弁402の先端部421によって第一噴孔1が閉じられるのではなく、第一ニードル弁402が第一シート位置3に着座することによって第一噴孔1が閉じられる。また、第一ニードル弁402が第一シート位置3に着座するか否かによって第一噴孔1が開閉されるようになっているため、特開平2000−73905号公報の図13に記載された燃料噴射装置のようにニードル弁の先端部によって第一噴孔を開閉できるようにするためにシール部の長さを短くする必要もない。そのため、例えばシール部23の長さを長く設定しておくことにより、シール部23を介して燃料が第一噴孔1又は第二噴孔4まで漏れてしまうおそれを低減することができる。つまり、第一ニードル弁402の先端部421がサック部22に入ることによって形成されるシール部23の長さを長くし、そのシール部23を介して燃料が第一噴孔1又は第二噴孔4まで漏れてしまうおそれを低減することができる。
【0043】
更に第四の実施形態によれば、機関運転条件に応じて最適な燃料噴射を実行するためには第二噴孔404から燃料を噴射せず第一噴孔1のみから燃料を噴射することが要求される場合もあり得る点に鑑み、第一噴孔1を開閉するための第一ニードル弁402と、第二噴孔404を開閉するために第一ニードル弁402の内側に配置された第二ニードル弁305とが設けられ、第一の機関運転条件下では図12に示したように第二噴孔404から燃料が噴射されることなく第一噴孔1から燃料が噴射され、第二の機関運転条件下では図13に示したように第一噴孔1から燃料が噴射されることなく第二噴孔404から燃料が噴射される。そのため、第二噴孔404から燃料を噴射することなく第一噴孔1のみから燃料を噴射したり、第一噴孔1から燃料を噴射することなく第二噴孔404のみから燃料を噴射したりすることにより、機関運転条件に応じた最適な燃料噴射を実行することができる。
【0044】
以下、本発明の燃料噴射装置の第五の実施形態について説明する。第五の実施形態は、上述した第一の実施形態又は第二の実施形態を改良したものである。図14は本発明の燃料噴射装置の第五の実施形態の一部を示した部分断面側面図である。図14に示す燃料が噴射されない第一モードにおいては、噴孔開閉弁としての第一ニードル弁及び第二ニードル弁のリフト量がゼロになっている。図14において、第二噴孔は省略されており、また、図1〜図6に示した参照番号と同一の参照番号は図1〜図6に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示している。502は第一噴孔1を開閉するための第一ニードル弁、550は第二シート位置6を通って第一噴孔1内に流入する燃料量を設定するためのオリフィスである。図14に示すように、第五の実施形態では、第一及び第二の実施形態に設けられていたシール部23が設けられていない。
【0045】
図14に示す第一噴孔1及び第二噴孔から燃料が噴射されない第一モードにおいては、圧力制御弁17のリフト量がゼロとされ、そのため、制御弁室18内の燃料がリターン通路に流出できなくなり、制御弁室18、第一制御室8及び第二制御室13内の圧力が上昇する。その結果、第一ニードル弁502及び第二ニードル弁5が閉弁側(図14の下側)に付勢され、第一ニードル弁502及び第二ニードル弁5のリフト量はゼロになっている。
【0046】
図15は第一噴孔から燃料が低噴射圧で噴射される第二モードを示した図14と同様の図である。図15に示すように、第一噴孔1から燃料が低噴射圧で噴射される第二モードにおいては、圧力制御弁17がフルリフト位置に配置される。圧力制御弁17がフルリフト位置に配置されると、第一制御室8内の燃料は第一アウトレットオリフィス211及び制御弁室18を介してリターン通路に流出することができず、第一制御室8内の圧力が高い状態のまま維持される。その結果、第一ニードル弁502のリフト量がゼロのまま維持され、第一シート位置3を介して第一噴孔1に燃料は供給されない。一方、第二制御室13内の燃料は第二アウトレットオリフィス216及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるようになり、第二制御室13内の圧力が減少する。その結果、第二ニードル弁5はリフトせしめられ、第二シート位置6及びオリフィス550を介して第一噴孔1に燃料が供給され、第一噴孔1から燃料が低噴射圧で噴射される。図15に示した第二モードは、例えばパイロット噴射を噴射すべきときに使用され、貫徹力が低く、噴射率が低いパイロット噴霧が提供される。
【0047】
図16は第一噴孔から燃料が高噴射圧で噴射される第三モードを示した図14と同様の図である。図16に示すように、第一噴孔1から燃料が高噴射圧で噴射される第三モードにおいては、圧力制御弁17が中間リフト位置に配置される。圧力制御弁17が中間リフト位置に配置されると、第二制御室13内の燃料が第二アウトレットオリフィス216及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるようになり、第二制御室13内の圧力が減少する。その結果、第二ニードル弁5がリフトせしめられ、第二シート位置6及びオリフィス550を介して第一噴孔1に燃料が供給される。更に、第一制御室8内の燃料も第一アウトレットオリフィス211及び制御弁室18を介してリターン通路に流出できるようになり、第一制御室8内の圧力が減少する。その結果、第一ニードル弁502がリフトせしめられ、第一シート位置3を介して第一噴孔1に燃料が供給される。つまり、第一シート位置3及び第二シート位置6の両方を介して第一噴孔1に燃料が供給され、第一噴孔1から燃料が高噴射圧で噴射される。図16に示した第三モードは、例えばメイン噴射を噴射すべきときに使用され、貫徹力が高く、噴射率が高いメイン噴霧が提供される。
【0048】
第五の実施形態の変形例では、第一ニードル弁502の作動タイミングと第二ニードル弁5の作動タイミングとをずらし、初期噴射率が低い所謂ブーツ噴射を実行し、騒音を低減し、エミッションを向上させることも可能である。
【0049】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、例えばシール部の長さを長く設定しておくことにより、シール部を介して燃料が第一噴孔又は第二噴孔まで漏れてしまうおそれを低減することができる。つまり、第一噴孔開閉弁又は第二噴孔開閉弁の先端部がサック部に入ることによって形成されるシール部の長さを長くし、そのシール部を介して燃料が第一噴孔又は第二噴孔まで漏れてしまうおそれを低減することができる。
【0050】
請求項2に記載の発明によれば、最初に第二噴孔開閉弁が第二シート位置に着座せしめられ、次いで第一噴孔開閉弁が第一シート位置に着座せしめられるのに伴い、第一噴孔開閉弁が第一シート位置に着座せしめられる時にサック部内の燃料が第二噴孔を介して押し出されてしまうのを回避することができる。
【0051】
請求項3に記載の発明によれば、第二噴孔から燃料を噴射することなく第一噴孔のみから燃料を噴射できるようにすることにより、機関運転条件に応じた最適な燃料噴射を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料噴射装置の第一の実施形態の部分断面側面図である。
【図2】第一噴孔から燃料が噴射され第二噴孔から燃料が噴射されない第二モードを示した図1と同様の図である。
【図3】第一噴孔及び第二噴孔の両方から燃料が噴射される第三モードを示した図1と同様の図である。
【図4】本発明の燃料噴射装置の第二の実施形態の図1と同様の部分断面側面図である。
【図5】第一噴孔から燃料が噴射されず第二噴孔から燃料が噴射される第二モードを示した図4と同様の図である。
【図6】第一噴孔及び第二噴孔の両方から燃料が噴射される第三モードを示した図4と同様の図である。
【図7】本発明の燃料噴射装置の第三の実施形態の図1と同様の部分断面側面図である。
【図8】第一噴孔から燃料が噴射され第二噴孔から燃料が噴射されない第二モードを示した図7と同様の図である。
【図9】第一噴孔から燃料が噴射されず第二噴孔から燃料が噴射される第三モードを示した図7と同様の図である。
【図10】本発明の燃料噴射装置の第四の実施形態の図1と同様の部分断面側面図である。
【図11】第一ニードル弁の先端部の断面図である。
【図12】第一噴孔から燃料が噴射され第二噴孔から燃料が噴射されない第二モードを示した図10と同様の図である。
【図13】第一噴孔から燃料が噴射されず第二噴孔から燃料が噴射される第三モードを示した図10と同様の図である。
【図14】本発明の燃料噴射装置の第五の実施形態の一部を示した部分断面側面図である。
【図15】第一噴孔から燃料が低噴射圧で噴射される第二モードを示した図14と同様の図である。
【図16】第一噴孔から燃料が高噴射圧で噴射される第三モードを示した図14と同様の図である。
【符号の説明】
1…第一噴孔
2…第一ニードル弁
3…第一シート位置
4…第二噴孔
5…第二ニードル弁
6…第二シート位置
7…第一燃料供給通路
8…第一制御室
12…第二燃料供給通路
13…第二制御室
17…圧力制御弁
18…制御弁室
20…ピエゾ式アクチュエータ
21…第一ニードル弁の先端部
22…サック部
23…シール部
Claims (3)
- 第一の機関運転条件下で燃料が噴射される第一噴孔と、第二の機関運転条件下で燃料が噴射される第二噴孔と、第一噴孔及び第二噴孔を開閉する噴孔開閉弁を具備し、噴孔開閉弁の先端部がサック部に入ることによってシール部が形成され、噴孔開閉弁の先端部がサック部に入った状態のまま第一噴孔及び第二噴孔が開閉され得る燃料噴射装置において、シール部を隔てて第一噴孔と第二噴孔とを配置し、第一噴孔を開閉する第一噴孔開閉弁と第二噴孔を開閉する第二噴孔開閉弁とを設け、第一噴孔開閉弁の閉弁時に第一噴孔開閉弁が着座する第一シート位置と第二噴孔開閉弁の閉弁時に第二噴孔開閉弁が着座する第二シート位置とをシール部とは別個に設け、第一噴孔開閉弁を閉弁側に付勢するための第一制御室であってコモンレール及びリターン通路にそれぞれ連結された第一制御室と、第二噴孔開閉弁を閉弁側に付勢するための第二制御室であってコモンレール及びリターン通路にそれぞれ連結された第二制御室と、第一制御室とリターン通路との接続及び遮断並びに第二制御室とリターン通路との接続及び遮断を制御することにより第一制御室内及び第二制御室内の圧力を制御するための圧力制御弁と、を設け、圧力制御弁により第一制御室がリターン通路から遮断されると第一制御室内の圧力が上昇することにより第一噴孔開閉弁が閉弁されて第一噴孔からの燃料噴射が停止され、圧力制御弁により第一制御室がリターン通路に接続されると第一制御室内の圧力が低下することにより第一噴孔開閉弁が開弁されて第一噴孔から燃料が噴射され、圧力制御弁により第二制御室がリターン通路から遮断されると第二制御室内の圧力が上昇することにより第二噴孔開閉弁が閉弁されて第二噴孔からの燃料噴射が停止され、圧力制御弁により第二制御室がリターン通路に接続されると第二制御室内の圧力が低下することにより第二噴孔開閉弁が開弁されて第二噴孔から燃料が噴射されることを特徴とする燃料噴射装置。
- 第一噴孔開閉弁の先端部がサック部に入った状態のまま第一噴孔が開閉され得るように第一噴孔開閉弁及び第一噴孔を形成し、第一噴孔開閉弁及び第二噴孔開閉弁を閉弁すべきとき、最初に第一噴孔開閉弁を第一シート位置に着座させ、次いで第二噴孔開閉弁を第二シート位置に着座させることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
- 第一の機関運転条件下で燃料が噴射される第一噴孔と、第二の機関運転条件下で燃料が噴射される第二噴孔と、第一噴孔及び第二噴孔を開閉する噴孔開閉弁とを具備する燃料噴射装置において、第一噴孔を開閉するための第一噴孔開閉弁と、第二噴孔を開閉するために第一噴孔開閉弁の内側に配置された第二噴孔開閉弁とが設けられ、第一の機関運転条件下では、第二噴孔から燃料が噴射されることなく第一噴孔から燃料が噴射され、第二の機関運転条件下では、第一噴孔から燃料が噴射されることなく第二噴孔から燃料が噴射され、第一噴孔開閉弁を閉弁側に付勢するための第一制御室であってコモンレール及びリターン通路にそれぞれ連結された第一制御室と、第二噴孔開閉弁を閉弁側に付勢するための第二制御室であってコモンレール及びリターン通路にそれぞれ連結された第二制御室と、第一制御室とリターン通路との接続及び遮断並びに第二制御室とリターン通路との接続及び遮断を制御することにより第一制御室内及び第二制御室内の圧力を制御するための圧力制御弁と、を設け、圧力制御弁により第一制御室がリターン通路から遮断されると第一制御室内の圧力が上昇することにより第一噴孔開閉弁が閉弁されて第一噴孔からの燃料噴射が停止され、圧力制御弁により第一制御室がリターン通路に接続されると第一制御室内の圧力が低下することにより第一噴孔開閉弁が開弁されて第一噴孔から燃料が噴射され、圧力制御弁により第二制御室がリターン通路から遮断されると第二制御室内の圧力が上昇することにより第二噴孔開閉弁が閉弁されて第二噴孔からの燃料噴射が停止され、圧力制御弁により第二制御室がリターン通路に接続されると第二制御室内の圧力が低下することにより第二噴孔開閉弁が開弁されて第二噴孔から燃料が噴射されることを特徴とする燃料噴射装置。
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