JP4218049B2 - 打掛け錠 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トイレのドアなどに設けられ、受け部材に対するロックレバーの係脱操作により、ドアの施解錠を行う打掛け錠に関し、特に、閉め出し状態(空室状態の施錠)を確実に防止することができる打掛け錠に関する。
【0002】
【従来の技術】
商業施設、公共施設、医療施設などのトイレでは、ドアの施錠装置として打掛け錠が広く用いられている。この種の打掛け錠は、ドア又は開口枠部のいずれか一方に設けられる回動自在なロックレバーと、ドア又は開口枠部のいずれか他方に設けられる受け部材とを備えて構成され、受け部材に対するロックレバーの係脱操作により、ドアの施解錠を行うようになっている。
【0003】
しかしながら、上記のような打掛け錠では、ロックレバーを起立させた状態で退室すると、ドアを閉めた際の衝撃でロックレバーが倒れ、受け部材に係合する可能性がある。この場合には、ドアが空室状態で施錠され閉め出し状態となって、室外側からの解錠が非常解錠操作に寄らなければ開戸できず、また、非常解錠機能を有しないものでは開戸が不可能な状態となってしまう。このような閉め出し状態は、利用者の無意識な操作で発生する可能性もあるが、その多くは不心得者の悪戯によるものと思われる。
【0004】
そこで、閉め出し防止機構を有する打掛け錠が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に示される打掛け錠では、レバー回動軸の外周に係合溝を形成すると共に、その対向位置に板バネを設け、この板バネと係合溝の係合により、ロックレバーを起立姿勢で積極的に保持するようにしている。このような構成によれば、ロックレバーを起立させた状態でドアを閉めても、ロックレバーが衝撃で倒れることがないため、閉め出し状態を防止することが可能になる。
【0005】
しかしながら、上記のようなものでは、板バネと係合溝の係合が不完全であっても、ロックレバーが起立姿勢に保たれる位置(思案点)が存在し、この位置でロックレバーが保持されると、ドアを閉じた際の衝撃でロックレバーが倒れ、依然として閉め出し状態が発生する可能性がある。また、板バネの劣化やレバー回動軸の摩耗により、ロックレバーの起立保持力が低下した場合も、ドアを閉めた際の衝撃でロックレバーが倒れ、閉め出し状態が発生する可能性がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−155649号公報(第3頁、第5図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の如き問題点を一掃すべく創案されたものであって、回動自在なロックレバーの係脱操作により、ドアの施解錠を行うものでありながら、ロックレバーは、その起立姿勢位置で自重降下させることができ、ドアを閉じた際の衝撃で倒れてしまう危惧が一掃され、利用者の無意識操作による場合は勿論、不心得者の悪戯による操作よっても、起立保持させたまま退室することを禁止し得て、閉め出し状態の発生を確実に防止することができる。しかも、施錠操作にあたっても、操作ツマミを引き出しながら受け部材に係止すればよく、また、解除操作にあたっては、受け部材からの解離後に後方に引き込みすればよく、ロックレバーの大きな円弧移動を伴うことなく短い移動操作で行うことができ、操作性を向上することができる打掛け錠を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の打掛け錠は、ドア又は開口枠部のいずれか一方に設けられる回動自在な回転座に装着されるロックレバーと、前記ドア又は前記開口枠部のいずれか他方に設けられ、前記ロックレバーが係脱される受け部材とを備え、該受け部材に対する前記ロックレバーの回動による係脱操作により、前記ドアの施解錠を行う打掛け錠において、前記ロックレバーを、前記回転座に対して、そ解錠状態で起立姿勢の維持規制されて垂下姿勢となり、かつ、前記回転座を回動させながら引出し施錠操作を可能とすべく、回動中心の直交方向にスライド自在に構成したことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を好適な実施の形態として例示する打掛け錠を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、打掛け錠の平面図、図2は、打掛け錠の室内側正面図、図3は、打掛け錠の室外側正面図、図4は、打掛け錠の側面図である。
これらの図に示される打掛け錠1は、ドア2の施解錠を行うためのものであり、特に、商業施設、公共施設、医療施設などのトイレに好適なものである。本実施形態の打掛け錠1は、ドア2の室内側戸先部に設けられる錠本体3と、開口枠部4の室内側に設けられる受け部材5とを備えて構成されるが、錠本体3を開口枠部4に設け、受け部材5をドア2に設けてもよい。
【0010】
錠本体3は、ドア2の室内側に固定される室内側固定座6と、該室内側固定座6に回転自在(回動自在)に設けられる回転座7と、該回転座7に設けられるロックレバー8と、ドア2の室外側に固定される室外側固定座9と、該室外側固定座9に回転自在に設けられる表示体10と、該表示体10を覆うカバー11とを備える。
【0011】
室内側固定座6と室外側固定座9は、ドア2を挟み、複数のネジ12を介して互に連結固定される。このとき、非円形の連結軸13を介して、回転座7と表示体10が一体回転可能に連結される。表示体10の室外対向面は、使用中表示及び未使用表示を行うための表示領域となっている。これらの表示は、文字表示であってもよいし、色表示であってもよい。なお、11bは非常時においてドライバーやコインなどにより外部から連結軸13を回転させて解錠するための緊急解錠片である。
【0012】
本実施形態では、使用中を赤色、未使用を青色とし、表示体10の表示領域を色分けしている。カバー11には、表示窓11aが形成されており、この表示窓11aを介して表示体10の表示領域が目視可能となる。ロックレバー8が受け部材5に係合した施錠状態、すなわちロックレバー8が水平姿勢のときは、表示体10の赤色表示領域が表示窓11aを介して外部を臨み、使用中表示が行われる。また、ロックレバー8が受け部材5に係合しない解錠状態、すなわちロックレバー8が垂直姿勢のときは、表示体10の青色表示領域が表示窓11aを介して外部を臨み、未使用表示が行われる。
【0013】
以上の構成は、従来の打掛け錠と同様である。このような打掛け錠では、ロックレバー8を起立させた状態で退室すると、ドア2を閉めた際の衝撃でロックレバー8が倒れ、受け部材5に係合する可能性がある。この場合には、ドア2が空室状態で施錠され、室外側からの解錠が不可能な閉め出し状態となってしまう。本発明の打掛け錠1は、ロックレバー8を、回動中心の直交方向にスライド自在とし、ロックレバー8の起立維持を規制する。これにより、ロックレバー8を起立させたまま退室することを禁止し、閉め出し状態の発生を防止するものである。以下、そのための構成について説明する。
【0014】
回転座7には、回転中心の直交方向を向く非円形の貫通孔7aが形成され、ここにロックレバー8がスライド自在に挿通される。ロックレバー8の両端部には、それぞれ回転自在な操作ツマミ8aが設けられており、この操作ツマミ8aによってロックレバー8が回転座7から抜け止めされる。このように構成されたロックレバー8は、解錠状態のとき、起立姿勢を維持することが規制(起立不能)され、必ず垂下姿勢となる。つまり、ロックレバー8を意識的に起立させようとしても、ロックレバー8から手を放すと、ロックレバー8は、その自重により下方へスライドし、垂下姿勢となる。また、他の回転位置で手を放した場合も、ロックレバー8は、その自重により下方へ回動し、垂下姿勢となる。
【0015】
本実施形態のロックレバー8は、上下勝手がなく、その両端部がいずれも受け部材5に対して係脱可能となっている。つまり、ドア2を施錠する場合は、上下いずれかの操作ツマミ8aを摘み、ロックレバー8を引出しながら回転させて、その端部を上方から受け部材5に係合させる。例えば、図2に示す仮想線上側の操作ツマミ8aを摘んで施錠操作する場合は、操作ツマミ8aを受け部材5に向けて移動操作すると、ロックレバー8が引き出し動作に追随して回転座7の回転がなされ、受け部材5に係合させることができる。勿論、ロックレバー8を、上方へ引き上げた後、反時計回り方向に略90゜回転操作し、受け部材5に係合させることも可能である。また、図2に示す仮想線下側の操作ツマミ8aを摘んで施錠操作する場合は、ロックレバー8を、そのまま反時計回り方向に略270゜回転操作し、受け部材5に係合させることもできる。このようにロックレバー8を受け部材5に係合させると、操作ツマミ8aが受け部材5の外側部に係合し、ロックレバー8のスライドもロックされる。
【0016】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、打掛け錠1は、受け部材5に対するロックレバー8の係脱操作により、ドアの施解錠を行うのであるが、ロックレバー8は、回転座7に対して、その解錠状態で起立姿勢の維持が規制されて垂下姿勢となり、かつ、回転座7を回動させながら引出し施錠操作が可能となるよう、回動中心の直交方向にスライド自在に構成されているため、回動自在なロックレバーの係脱操作により、ドアの施解錠を行うものでありながら、解錠操作する際および解除状態においては、その起立姿勢位置で自重降下してしまうので起立姿勢が維持されることはなく、必ず垂下姿勢を保つことになり、ドアを閉じた際の衝撃でロックレバー8が倒れてしまう危惧を一掃することができる。これにより、ロックレバー8を起立させたまま退室することが禁止され、閉め出し状態の発生を確実に防止することができる。
【0017】
しかも、施錠操作は、操作ツマミ8aを引き出しながら受け部材5に係止すればよく、ロックレバー8の大きな円弧移動を伴うことなく短い移動で行うことができるので、操作性が向上されると共に、施錠時における受け部材5との係止音(衝突音)を回転のみの係止に比し小さくすることができる。また、解錠操作においても、操作ツマミ8aを受け部材5から離脱させて後方へ移動する操作が誘発され、ロックレバー8が後方に引き込みスライドされるので、その時点で操作ツマミ8aを離せば、ロックレバー8が下方に自重回転して解錠することができ、施錠操作時よりも更に短い移動ストロークにより操作を完了することができるばかりか、緊急解錠片11bによりロックレバー8を回転させる際も、回転途中で自重降下するので90度回転させることなく解錠できる。
【0018】
また、ロックレバー8の両端部は、いずれも受け部材5に対して係脱可能であるため、ロックレバー8の向きなどを意識せずに施錠操作を行うことができる。しかも、ロックレバー8の両端部に操作ツマミ8aを備えるため、上記引き出しながらの回転動作、引き上げ後の回転動作、および回転動作の3形態における任意の操作を無意識のうちに選択的に、かつ、ロックレバー8に直接触れることなく、施解錠操作を行うことができる。
一方、ロックレバー8は、回転自在、かつ、操作ツマミ8a、8a間においてスライド自在な構成であるため、回転中心(支点)位置もそのストローク間で移動(変位)することとなる。その結果、ロックレバー8は、解錠操作時に回転起立後に自重でスライド降下させる動作と、起立させずに後方に引き込み後、自重で回転降下させる動作とを無意識のうちに選択的に操作させることができる。
【0019】
また、操作ツマミ8aは、受け部材5に対する係合により、ロックレバー8のスライドをロックするため、施錠状態を確実に維持できるだけでなく、専用のスライドロック部材を不要にして、部品点数の削減やコストダウンを図ることができる。
【0020】
また、ロックレバー8は、回転座7の貫通孔7aにスライド自在に挿通され、操作ツマミ8aで抜け止めされるため、操作ツマミ8aを抜け止め部材に兼用し、部品点数の削減やコストダウンを図ることができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、ドア2又は開口枠部4のいずれか一方に設けられる回動自在な回転座7に装着されるロックレバー8と、前記ドア2又は前記開口枠部4のいずれか他方に設けられ、前記ロックレバー8が係脱される受け部材5とを備え、該受け部材5に対する前記ロックレバー8の回動による係脱操作により、前記ドア2の施解錠を行う打掛け錠1において、前記ロックレバー8を、前記回転座7に対して、そ解錠状態で起立姿勢の維持規制されて垂下姿勢となり、かつ、前記回転座7を回動させながら引出し施錠操作を可能とすべく、回動中心の直交方向にスライド自在に構成したことことにより、回動自在なロックレバーの係脱操作により、ドア2の施解錠を行うものでありながら、ロックレバー8は、回転座7に対して、その起立姿勢位置で自重降下させることができ、ドア2を閉じた際の衝撃で倒れてしまう危惧が一掃され、利用者の無意識操作による場合は勿論、不心得者の悪戯による操作よっても、起立保持させたまま退室することを禁止し得て、閉め出し状態の発生を確実に防止することができる。しかも、回転座7の自在回動によって、施錠操作にあたっては、操作ツマミ8aを受け部材5に向けて引き出しながら移動操作すれば受け部材に係止することができ、また、解除操作にあたっては、受け部材5からの解離後に後方に引き込みすればよく、ロックレバー8の大きな円弧移動を伴うことなく短い移動操作で行うことができ、操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】打掛け錠の平面図である。
【図2】打掛け錠の室内側正面図である。
【図3】打掛け錠の室外側正面図である。
【図4】打掛け錠の側面図である。
【符号の説明】
1 打掛け錠
2 ドア
3 錠本体
4 開口枠部
5 受け部材
6 室内側固定座
7 回転座
7a 貫通孔
8 ロックレバー
8a 操作ツマミ
9 室外側固定座
10 表示体
11 カバー
11a 表示窓
11b 緊急解錠片
12 ネジ
13 連結軸

Claims (5)

  1. ドア又は開口枠部のいずれか一方に設けられる回動自在な回転座に装着されるロックレバーと、前記ドア又は前記開口枠部のいずれか他方に設けられ、前記ロックレバーが係脱される受け部材とを備え、該受け部材に対する前記ロックレバーの回動による係脱操作により、前記ドアの施解錠を行う打掛け錠において、前記ロックレバーを、前記回転座に対して、そ解錠状態で起立姿勢の維持規制されて垂下姿勢となり、かつ、前記回転座を回動させながら引出し施錠操作を可能とすべく、回動中心の直交方向にスライド自在に構成したことを特徴とする打掛け錠。
  2. 請求項1記載の打掛け錠において、前記ロックレバーの両端部は、いずれも前記受け部材に対して係脱可能であることを特徴とする打掛け錠。
  3. 請求項1又は2記載の打掛け錠において、前記ロックレバーは、両端部に操作ツマミを備えることを特徴とする打掛け錠。
  4. 請求項3記載の打掛け錠において、前記操作ツマミは、前記受け部材に対する係合により、前記ロックレバーのスライドをロックすることを特徴とする打掛け錠。
  5. 請求項3又は4記載の打掛け錠において、前記ロックレバーは、前記回転座の貫通孔にスライド自在に挿通され、前記操作ツマミで抜け止めされることを特徴とする打掛け錠。
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